科学技術振興事業団の財務調査結果の概要


通知日:平成12年3月3日
通知先:科学技術庁

財務の構造

 事業の概要
   事業団は、科学技術の振興のための基盤整備及び先端的・独創的な研究開発の推進を目的として日本科学技術情報センターと新技術事業団を統合し、平成8年に設立
 
1.  新技術創製のための基礎的研究:初期的段階の技術に関する知見を探索
2.  新技術の開発:新技術の企業への委託開発又は開発あっせんを行い実用化を促進
3.  科学技術情報の流通:国内外の科学情報を収集し文献データベースを整備→オンライン等で提供
 
 財務の概要
 
1.  国からの出資金、補助金(一般管理費に充当)等により事業を実施
2.  一般勘定(基礎的研究、新技術開発等) :出資金累計1,600億円 → 累積欠損金 950億円(H8)
3.  文献情報提供勘定(科学技術情報の流通) :出資金累計 670億円 → 累積欠損金 400億円(H8)

事業内容とその課題

 新技術創製のための基礎的研究

 
1.
 基礎的研究は、多額の公的資金に依存→出資金累計1,014億円(H8)
2.
 研究成果: 工業所有権の取得・出願 1,346件 研究開発成果が企業会計
原則に照らし資産として
計上されない
欠損金866億円(H8)
    論文の公表・発表 10,571件
  → 平成10年度以降研究終了分から、外部
 専門家を含めて研究成果を評価・公表
 
ポイント
 新たな評価の実施状況を踏まえつつ、研究成果の的確な評価を推進していくことが必要
   
 新技術の開発
 
1.

 委託開発:開発リスクの大きい新技術の企業化。出資金で開発費を負担
 企業化開発案件累計 410件 開発費累計 1,046億円

ほとんどを回収
2.  開発あっせん:開発リスクの低い新技術の企業化 → 事業費に見合う収入得られず
 あっせん案件累計 540件 事業費累計20億円 ←→ あっせん料収入2億円
 S62: あっせん件数37件(事業費5,300万円) → H8:
5件(3億5,700万円)
  1件当たり事業費 140万円   7,100万円
 
ポイント
 委託開発は、開発費を回収しつつ、新技術の企業化に一定の成果
 開発あっせんは、事業効果の低迷傾向を踏まえ、事業の在り方の見直しが必要
   
 科学技術情報の流通
 
1.  文献データベース(作成・導入)の整備経費は、平成5年度以降売上高を上回っている状況
 (注) 整備している14分野のうち、ニーズの高い3分野については、補完的に外部データベースを導入
2.  事業団作成分の売上高は経費の6割弱
 → 売上高19億7,000万円(H8) ←→ 整備経費33億7,000万円
3.  作成データベースの14分野別の収録シェアと利用シェアの間に乖離
 収録シェア>利用シェア:9分野
 収録シェア<利用シェア:4分野
   ・乖離の大きい分野
 
  (収録シェア)
(利用シェア)
 医学分野
18.3%
35.5%
 物理分野
12.7%
 5.2%
 
作成データべースの利用状況
 
ポイント
 データベースの利用の促進を図る観点から、新規データの作成に際し、より一層利用状況を加味することの検討が必要