農林水産統計業務に関する行政評価・監視結果に基づく勧告(要旨)

勧告日平成13年9月11日
勧告先農林水産省、内閣府(沖縄総合事務局)
実施時期平成11年12月〜平成13年9月


〔行政評価・監視の背景事情等〕
  ○  農林水産省の統計関係組織:
  本省統計情報部−地方農政局(7)−統計情報事務所(42)−出張所(277)等
  要員約5,900人(平成13年4月1日現在) (国の統計関係職員の約3分の2)
  このほか、各部局でも必要に応じて統計調査を実施
  ○  既存統計調査の必要性、調査内容の見直し、統廃合を含む調査の簡素化等が提言
  「統計行政の新中・長期構想」(平成7年3月10日統計審議会答申)
  「行政コスト削減に関する取組方針」(平成11年4月27日閣議決定)
  ○  調査対象機関:農林水産省、内閣府(沖縄総合事務局)、都道府県(25)、関係団体等
  ○  担当部局:行政評価局、管区行政評価局(7局)、四国行政評価支局、行政評価事務所(17)


[主な勧告事項]
  統計調査の合理化、効率化
(1)  農林水産施策の改革、生産構造の変化等に対応した統計調査の廃止、見直し
農林水産省では68本の統計調査を実施。
このうち43本を大臣官房統計情報部が実施。(平成12年度末現在)
  農林水産施策の改革に対応した統計調査の廃止、見直し(3統計調査)
[例]農林家経営動向調査(平成9年度から毎年実施)
          目的:中山間地域等の農業の生産条件に関する不利を補正するための支援施策等の検討に資すること]
          食料・農業・農村基本法が成立(平成11年)し、所要の支援施策(中山間地域等直接支払交付金制度等)が創設・実施

  農林水産業における生産構造等の変化等に対応した統計調査の廃止、見直し(4統計調査)
[例]養蚕収繭量統計調査[毎年、収繭量(収穫された生繭の重量)、養蚕農家数等を調査]
          収繭量:24,925トン(平成2年)→1,496トン(11年。2年の6%)
養蚕農家数:52,000戸(2年)→4,000戸(11年。2年の8%)
養蚕に対する行政の関与:生糸の安定価格帯制度が廃止されるなど大幅に縮小

   農林水産施策の改革、生産構造の変化等に的確に対応して、個別の統計調査の廃止を含めた抜本的な見直しを行うこと。



(2)  統計調査の実施方法の合理化、効率化
<調査方法>1.職員調査:職員が直接調査対象を訪問
                    2.調査員調査:臨時的に雇用する調査員が調査対象を訪問
                    3.郵送調査:調査票の配布及び回収を郵送
<他府省の状況>ほとんどが2.調査員調査又は3.郵送調査
<農林水産省の状況>42統計調査のうち38統計調査は1.職員調査
  郵送調査とすることが可能と考えられるもの(5統計調査)
[例]農業生産環境調査[市町村及び農業改良普及センター(都道府県の機関)を対象に、調査票を郵送し、職員が調査客体を訪問して回収]
郵送で回収することが可能
∵調査内容が平易、回答方法は選択式、調査客体は地方公共団体であり回収確実

  調査員調査とすることが可能と考えられるもの(4統計調査)
[例]加工食品流通動態調査
[食品製造業等の企業・事業所を対象に、総販売額、品目別販売額等を調査]
⇒食品産業の事情に詳しい者であれば、調査内容を説明し、協力を求めることは可能



   調査員調査又は郵送調査を積極的に活用するなど調査方法を抜本的に見直すこと。



  報収集等業務の合理化、効率化
統計情報組織では、統計調査のほか情報の収集・分析業務を実施
○  生鮮食料品のマーケット・レポート(本省企画)
[東京(大田及び築地市場)、大阪(本場及び東部市場)の4中央卸売市場(青果物)における取引概況や今後の動向(入荷量及び価格の見通し)等に関する情報を収集、取りまとめ、日々提供。東京及び大阪の3中央卸売市場に計17人が常駐]
⇒類似の情報は、新聞、卸売会社においても提供

○  「イベント情報」、「朝市・産地直売所の所在地案内」等の情報の収集・提供(7地方農政局(統計情報部)中4局で企画)
  ⇒このような情報は、都道府県、市町村、関係団体等もホームページや広報紙等で提供

1.本省企画業務のうち、中央卸売市場に職員を常駐させて行っている業務については、必要性を含めその在り方を抜本的に見直すこと。
2.地方農政局(統計情報部)企画業務のうち、イベントの開催や朝市・産地直売所の所在地案内等に関する業務については廃止すること。



  地方統計情報組織の合理化等
(1)  出張所の統廃合の推進
<出張所の設置数>
       (昭和24年度) 2,113か所 → (平成13年4月1日) 277か所
       平成13年度以降は、統廃合計画なし
張所相互間の距離が短い場合は、統廃合を推進する余地あり
調査対象158出張所のうち最寄り出張所までの道路距離が30km(車での所要時間が約1時間)未満の出張所が63か所(40%)。中にはわずか8kmの例
員数の少ない出張所では、緊急的な調査への機動的な対応が困難
上記63出張所のうち21か所は10人未満


   最寄りの出張所間の距離・所要時間や出張所の配置職員数、調査客体の分布状況等を勘案した出張所の統廃合の基準を策定し、これに則して計画的に出張所の統廃合を推進すること。



(2)  地方統計情報組織における要員配置の合理化
<地方統計情報組織の定員>
       (昭和43年度末) 12,095人 →(平成13年度末)5,549人
  統計情報事務所の1人当たり業務量
  事務所の職員数/当該事務所の総務課職員数:10人〜18人と較差
  「農業経営統計調査」の調査対象農家数/事務所の担当職員数:19戸〜96戸と較差

   統計情報事務所及び出張所について、業務量に見合った要員配置となるよう見直すこと。



[その他の勧告事項]
    統計調査により得られたデータと行政上収集されているデータの重複の是正
    地方農政局(統計情報部)における統計調査及び情報収集等業務の審査・取りまとめ等に関する業務の抜本的見直し