主な通知事項
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関係省が講じた改善措置状況
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1 重要文化財等の指定等の適切化
文部科学省は、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財又は史跡名勝天然記念物(以下「重要文化財等」という。)の指定又は指定の解除において、透明性、公正性を確保し、その一層の適切化を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
1) |
重要文化財等の指定又は指定の解除の理由を整理し類型化することにより、各々の文化財の特性に対応した重要文化財等の指定又は指定の解除についての文化審議会への諮問対象候補に係る情報の提供に関する指針を策定し、これを関係者に周知徹底すること。 |
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(説明)
○ |
文化財の指定又は指定の解除- 文部科学大臣は、文化財の指定又は指定の解除に当たっては、あらかじめ、文化審議会への諮問が必要(保護法第153条)。
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○ |
文化審議会への諮問対象候補の選考
- 重要文化財等の指定に係る文化審議会への諮問対象の選考は、文化庁の調査官が収集した各種学会の研究成果、国庫補助を受けて地方公共団体が実施する文化財の調査結果等の情報により実施
- 文化審議会への諮問対象候補の選考と文化審議会における審議は、重要文化財等の指定基準に基づき行われているが、この指定基準の内容は抽象的なものとなっており、指定の解除に関しては基準なし
- 重要文化財等の指定又は指定の解除の理由を整理し類型化することにより、指定又は指定の解除の候補に係る情報提供に関する指針を策定し、これを地方公共団体に示すことが有効であると考えられるが、その指針の策定なし
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→○ |
今回の通知を踏まえ、平成17年4月、都道府県、政令指定都市及び中核市の教育委員会(以下「都道府県教育委員会等」という。)に対し、通知(注)を発出
同通知では、重要文化財等の指定又は指定の解除に係る「情報提供に関する考え方」を、重要文化財(美術工芸品)、重要文化財(建造物)、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物の6種の区分ごとに、近年の指定例又は指定の解除例を基に類型化し、文化審議会への諮問対象候補に係る情報の提供に関する指針(以下「指針」という。)として提示
(注 |
)「文化財保護法の一部改正等に伴う制度の運用方針等について(平成17年4月26日付け17庁財第33号文化庁文化財部長通知。以下「運用通知」という。) |
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→○ |
本指針については、平成17年4月27日開催の「文化財保護法の一部改正等に関する説明会」(以下「説明会」という。)における説明、インターネットホームページへの掲載により周知徹底を実施 |
→○ |
平成17年4月1日に施行された改正文化財保護法において、新たに「民俗技術」が重要無形民俗文化財の指定対象となるなどの制度改正が行われたことを踏まえ、今後とも、この指針については、運用の状況や新たな指定例等を勘案した上で、更に充実を図るとともに、関係者への周知徹底に努めていく予定 |
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2) |
地方公共団体から文化庁に対する意見具申制度の枠組みの中に、この指針による指定又は指定の解除の候補に係る情報を提供できる仕組みを設け、これを関係者に周知徹底すること。 |
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(説明)
○ |
文化審議会への諮問対象候補の選考
- 文化財の保存及び活用に関し、地方公共団体から文化庁に対する意見具申制度(保護法第189条)はあるが、独自に地方公共団体から文化審議会への諮問対象候補に係る情報を提供できる仕組みなし
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→○ |
今回の通知を踏まえ、都道府県教育委員会等が、その区域内に存する文化財の保存及び活用に関して、文化庁長官に対して意見を具申する制度の中で、運用通知で示した指針により、重要文化財等の指定又は指定の解除に係る情報提供を行うことができる仕組みを設定 |
→○ |
本仕組みについては、説明会での説明、インターネットホームページへの掲載により、周知徹底を実施 |
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2 重要文化財等の管理の適切化
文部科学省は、重要文化財等の管理の適切化を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
1) |
都道府県教育委員会又は市教育委員会(政令指定都市教育委員会、中核市教育委員会及びその他の市教育委員会を含む。)に対し、文化財保護指導委員制度を活用するなどにより重要文化財等の管理の状況について積極的に情報収集を行い、情報収集の結果得られた不適切な管理の状況に係る情報を文化庁に提供するよう要請を徹底すること。 |
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(説明)
○ |
文化庁の権限
- 重要文化財等の現状又は管理、修理・復旧若しくは環境保全の状況について、所有者等から報告を徴収
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○ |
都道府県教育委員会等の事務
- 現状変更等の許可を行った重要文化財等の現状又は管理、修理・復旧若しくは環境保全の状況について、所有者等から報告を徴収
- 文化財について、随時、巡視、所有者等に対し保護に関する指導や助言等を行う文化財保護指導委員を置くことが可能
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○ |
文化庁による重要文化財等の管理状況の把握
- 重要文化財等の管理が適切に行われていない状況の把握が不十分
- 都道府県教育委員会等の中には文化財保護指導委員を設置しているものがあるが、文化庁は、都道府県教育委員会等に対し、重要文化財等の管理状況について積極的に情報収集を行うこと、情報収集の結果得られた不適切な管理の状況に係る情報を文化庁に提供することについての要請が不徹底
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○ |
重要文化財等の中には、適切に管理されていないものあり 重要文化財、重要有形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物は、全国で約1万5千件。調査した12道府県所在のものは6,510件。
このうち、862件を抽出調査。
適切に管理されていないもの・・・計68件
- 無許可の現状変更等、現状変更等の許可条件が遵守されていない工事等、維持管理が不適切なことにより一部が毀損、破損しているもの
・・・重要文化財又は史跡名勝天然記念物 14件
- 消防法に基づく、消防火災報知設備等が未設置のもの
・・・重要文化財の建造物 10件
- 無許可で現状変更等を行っているが毀損、破損には至っていないもの
・・・史跡又は名勝 4件
- 標識や境界標等が未設置のもの
・・・史跡名勝天然記念物 28件
- 所在が不明なもの
・・・重要文化財 12件
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→○ |
今回の通知を踏まえ、都道府県教育委員会等に対して運用通知を発出し、文化財保護指導委員制度を活用するなどにより、重要文化財等の管理の状況について積極的に情報収集を行い、情報収集の結果得られた不適切な管理の状況に係る情報を文化庁に提供するよう要請 |
→○ |
本件については、説明会における説明、インターネットホームページへの掲載により周知徹底を実施 |
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2) |
提供された不適切な管理に係る情報に基づき、重要文化財等の所有者等に対し、管理に関し必要な指示等を行うこと。所有者等がこの指示に従わず、重要文化財等が滅失等の危険を生じている場合は、管理に関する命令又は勧告を行うなど、厳正な措置を講ずること。 |
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(説明)
○ |
文化庁の権限
- 所有者等に対する管理、修理・復旧に関する指示、命令、勧告
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○ |
所有者等の責務
- 適切な管理、現状変更等の許可の申請、所有者の変更、所在の変更等に係る届出
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→○ |
今回の通知を踏まえ、都道府県教育委員会等に対して運用通知を発出し、文化庁としては、管理が不適切な場合などには、所有者等に対する指示等や命令又は勧告を行うなどの措置を講ずることとなる旨を周知。 |
→○ |
本件については、説明会での説明、インターネットホームページへの掲載により周知徹底を実施 |
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