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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月27日開催)議事録

日時

平成24年9月27日(木)10時00分から12時25分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理、田渕雪子委員、縣公一郎、石田晴美、稲継裕昭、岡本義朗、梶川融、河村小百合、柴忠義、玉井克也の各臨時委員
(総務省)
渡会修官房審議官、北川修評価監視官、竹中一人調査官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(国土交通省)
  2. その他(報告事項等)

資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 本日は、一昨日に続きまして、今年度の見直し対象の27法人のうち国土交通省所管5法人の見直し当初案に関する各府省のヒアリングを行います。本日は国土交通省北河政策統括官付政策評価官、原鉄道局鉄道事業課長ほか御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の見直し当初案の主要なポイントについて御説明いただきたいと思います。時間の都合がございますので、5分程度ですが、よろしくお願いいたします。
【北河評価官】  国土交通省政策評価官の北河でございます。委員の皆様方には平素より大変お世話になっております。当省におきましては20の独立行政法人を所管しておりますが、このうち五つの法人が今年度で中期目標期間の終了を迎えます。この5法人につきましてはこれまで着実に業務を実施してきており、平成23年度評価につきましても、5法人とも総合評定として中期目標の達成に向けて着実な実施状況にあるという国土交通省独立行政法人評価委員会からの評価がされたところでございます。今回の見直し当初案につきましても、平成22年12月や本年1月の閣議決定を踏まえ作成しております。
 それでは、鉄道・運輸機構から説明をさせていただきます。
【原課長】  それでは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の見直し当初案について御説明させていただきます。私、国土交通省鉄道事業課長の原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の右横の「鉄道・運輸機構の見直し当初案について」を御覧いただけますでしょうか。まず、見直しの基本的な考え方でございますけれども、平成22年12月7日に閣議決定されました独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針などに沿った内容としております。
 具体的な主な見直し状況を以下に掲げておりますけれども、ポツのところでございますが、特例業務勘定では、利益剰余金のうち1.2兆円を震災復興財源といたしまして、国庫納付をいたしております。また、鉄道助成業務では補助金交付業務の一部を国へ移管しております。また、高度船舶技術開発業務などにおきましては、利子補給及び債務保証業務を終了しております。そして、基礎的研究業務は今年度で終了することとしております。
 その下、組織の見直しに対する考え方でございますけれども、各年度の事業内容及び事業規模に対応した合理的、機動的な組織の編成、運営の効率化等を図るため、本社及び地方機関の組織の新設・改廃を機動的かつ弾力的に行い、確実に実施してまいります。
 これは例えば平成23年度におきまして、東北新幹線の建設工事の進捗によりまして盛岡市に設置しておりました東北新幹線建設局を青森市に移転しましたけれども、今後も事業の進捗、あるいは業務量の波動に合わせまして柔軟に組織の新設・改廃を行い、人的資源を有効に活用していきたい、こんなふうに考えております。
 次のページに入らせていただきまして、各業務の御説明をさせていただきます。
 まず鉄道建設等業務におきましては、本年6月に着工が認められました区間を加えた整備新幹線の建設を推進するほか、都市鉄道につきましては従来進めてきた民鉄線事業は建設中の2線をもって終了いたします。その一方、都市利便鉄道増進事業、これは下の真ん中の図のところにございますけれども、既存の路線の間に短絡線を設けまして、直通運転などを実現して、利便向上を図っていく、こうした事業でございますけれども、こういった事業を推進していく。そして、その際、その下の・ですが、引き続き品質及び工事の安全確保、総工事費の管理、工事実施に関する情報提供及び技術開発への取組ということを実施してまいります。また、これまで培ってきました技術力を活用して、これら事業の実施に支障のない範囲で国が進める我が国鉄道システムの海外展開に向けた取組などを支援してまいります。
 次のページに入りまして、左の鉄道助成業務でございますけれども、鉄道事業者等に対する円滑かつ適正な助成を実施するほか、既設新幹線の譲渡管理及び債務処理を着実に実施いたします。その際、引き続き第三者機関の助言を業務運営に反映するとともに、審査ノウハウの継承、職員のスキルアップなどによりまして業務遂行に係る能率性の向上を図っていくこととしております。
 そして、右側、特例業務、いわゆる国鉄清算業務でございますけれども、残された土地の処分につきましては適切かつ早期の処分を図ってまいります。また、その下の・でございますが、JR三島・貨物会社の経営自立を図るため、関係3大臣合意及び債務等処理法の規定に基づきまして支援措置を実施してまいります。
 以上、鉄道関係でございましたが、海事関係業務につきましては海事局より御説明させていただきます。
【藤原室長】  海事局の財務企画室長の藤原と申します。よろしくお願いいたします。
 1枚おめくりいただきまして、海事関係の業務というのを二つ挙げさせていただいております。一つが共有船舶の建造業務、もう一つが高度船舶の技術開発業務でございます。このうち左の共有船舶建造業務というのは、機構と海上運送事業者の方が費用を分担しまして、船舶を共有建造すると。この際に財政投融資の資金などを活用させていただいて行っております共有船舶事業に係る業務でございます。こちらにつきましては重点集中改革期間、平成17年から21年における取組の成果等を踏まえまして、内航海運の効率化のための鉄道建設施設整備支援機構の船舶勘定見直し方針というのを策定しておりますけれども、こちらのほうに基づく機構の取組を継続しながら、更なる財務の改善に努力していきたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、こうした船舶の共有建造しているわけですけれども、こういった業務における政策誘導、なるべく環境性能とか、そういった政策的な優遇を行う効果が高いものに絞りまして、支援してまいりたいというようなことで、SES船と呼んでおりますけれども、大変環境性能の高い船舶であるとか、あとはCO2の排出削減、16%と高い排出削減能力を持った船といった高度な環境性能を有する船舶の建造等に対して、より重点的な支援を実施してまいりたいというふうに考えております。
 それから、右側の高度船舶技術開発業務でございますけれども、こちらのほうは機構におけます出資金等を活用いたしまして、環境技術の実用化等に対しまして、第一船の登載の際の設計費等に対して支援を行うものでございます。こちらのほうにつきましては、内航船舶の効率的な運航に資することに配慮しながら、環境負荷低減等の政策目的に沿ってテーマを募集して、実用化された場合の波及効果等を踏まえた助成を実施していきたいというふうに考えております。
 それから、こういった対象事業を選考、それから評価する際に対しては、やはり客観性、透明性を確保する必要がございますので、こちらの下の表に掲げてございますように、外部有識者からなる委員会を設けまして、評価を受けるとともに、助成先等を公表してまいりたい、このように考えております。
 大変簡単でございますが、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。
 ただいま説明いただきました見直し当初案につきまして御質問、始めたいと思いますが、なるべく質問に対しては冗長的にならずに、ポイントを絞って的確にお答えいただきたいというふうに思っております。
 それでは、御質問ございましたら、どなたからでも結構です。山本委員、どうぞ。
【山本分科会長代理】  時間の関係上、複数の質問を合わせてさせていただければと思います。最初に簡単なところから、きょう配付されました資料1−1−(1)の組織の見直しに関する考え方というのがありまして、その次に、3ページに大阪の梅田駅の写真が載っており吹田信号場プロジェクト等々、貨物ターミナルの跡地のことが書いてあります。これについてはプロジェクトが進んでかなり土地の処分が進んでいるということだと私は理解しているのですが、そうすると、西日本の支社でどれぐらい土地の処分が残っているのかということをまず第1点、お知らせいただきたいと思います。また、それに対してどういうふうな組織の見直しなり、例えば先ほどおっしゃったように、盛岡から青森に新幹線の建設局を変えられた、そういうような試みを国鉄清算業務について、どういうふうにお考えかというのが1点ですね。
 それと、今もお話にあった、最後の共有船舶建造業務の関係なのですが、これは確かにかなり努力されて、単年度は確か収支が黒字に転換されたということ。これは非常に高くされると思うのですが、ただ、まだ今520億円ぐらいの累積欠損金があると思うのです。これについて見直しに当たっての具体的な数値目標というのを是非お考えいただきたいと思います。その数値目標をどれぐらいの水準にされているのか。あるいはそういうことはやはり難しいのかどうかということの2点について御質問したいと思います。
【原課長】  まず1点目の山本先生の御質問についてお答えさせていただきます。
 御指摘の梅田駅の北ヤード、約14ヘクタールございますけれども、こちらにつきましては土地処分の見通しを得るために、関係機関との協議、調整を進めておりますが、今月6日に都市再生特別措置法に基づきます都市再生緊急整備協議会というものが、大阪市の市長が議長を務めますが、設置されまして、整備計画の策定作業が開始されたばかりでございます。今後この協議会での議論を踏まえまして、土地処分の見通しを確定する、こういったことになっております。このため、現時点で処分時期というものは、その議論によってきますので、決まっておりません。したがいまして、今日御指摘ありました、国鉄清算事業団の西日本支社のことだと思うのですけれども、そちらの組織の見直しの見通しは立っておりません。
【山本分科会長代理】  ですから、土地処分として、この件も含めて、どれぐらい残っているのでしょうか。
【原課長】  残り71ヘクタールでございまして、そのうち14ヘクタールが御指摘のありました梅田駅でございます。
【藤原室長】  続きまして、海事勘定におけます繰越欠損金があるということと、それの削減目標についてどう考えているのかということについてでございます。
 御指摘のとおり、機構のほうには、これはバブル期の遺産というふうに考えておりますけれども、繰越欠損金というのが生じまして、その結果見直し方針というものを財務省と共同で策定させていただいて、削減に努めてきたということでございます。見直し方針の中では、当然、機構の組織をリストラするとか、そういうこととともに、事業の対象のほうもやはり堅い償還確実性というか、確実に使用料を払っていただける事業者のほうに対象を絞り込む。それから最終的には政府のほうからも出資金等の支援をしていただいて、おかげさまで、何とか出資金も入れていただいたような効果もございまして、全体としては債務超過という状態を脱却している状態ではございますが、片方できちんと機構の中も区分しておりまして、まだ赤字の分として520億円ぐらい残っているのは事実でございます。それで、平成19年ぐらいからそういった見直し方針に基づく事業の絞り込み等を行いまして、単年度では今山本委員のほうからも話があったように、収益が出せるときもございます。ただ、具体的に言うと、全体の利益で言うと、大体10億円強の利益が過去4年ぐらいの実績で、昨年は4億円ぐらいというようなことで少なかったのですけれども、平均して出せてきておりますけれども、まだ過去採択してしまった船の中で非常に財務状況が悪いところがございまして、そういったところについては債務返済を繰り延べしているのですけれども、その努力をしても、なおかつやはり難しくて、最終的に破綻とかしますと、その分が一気に赤字が出たりするというようなことがございまして、平成21年は少し大きな赤字を計上したりしております。
 ただ、こういった過去の採択したものというのも、だんだん少なくなってきているということは事実でございますし、それから、平成17年以降、いわゆる見直し方針というのを策定して、事業をきちんとやるようにして以降は、未収金を出すような事業者を採択しているということはございませんので、今後の見通しとしては何とか黒字を出していけるのではないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、事業の環境ということなのですけれども、大体、今全体の貨物の分野で言っても3割ぐらいのシェアで機構がお手伝いしているというような状況になっております。こちらのほうはほかのところは民間の金融機関とやっていて、機構のほうは一つ金額が比較的中小の事業者がやる中でも大き目のところであるとか、あるいはなかなか民間の事業者で保証は取れてもお金を出しにくいところとか、そういうようなすみ分けみたいなことがある程度できていまして、その中で一定の事業規模というのは確保できるのではないかなというふうに思っています。
 ただ、他方で、今後の状況というのをどういうふうに推測するかといいますと、一つは対象としている貨物船の老齢化というのがどんどん進んできていまして、老朽化というのを防ぐためにも船舶の代替建造をしていかなければいけない。そのためにも機構の共有建造制度を使っていただかなければいけないというふうに思っているのですが、どんどん景気の状況とか、昨今の状況を見ますと、老朽化、償却年数を過ぎた、14年を過ぎた船というのがどんどん増えていますので、そういった意味で言うと、今後も船舶を代替したいという需要は出てくると思うのですけれども、それであれば、全体の需要量というか、代替建造量が増えるかというと、もう片方では、やはり景気が悪いから、もう少し我慢しようとか、あるいは荷主とか、そういった船を買う側のほうが合理化とか、統合とかして、船を作ること自体を削減してしまうみたいなこともありますので、大幅に業務量が増えるということは難しいのではないか。
 それから、その中で、機構が今一定のシェアを持っていますし、そういったすみ分けの中で事業量を確保できていけると思いますけれども、あまりそこから肥大化していくということについては、民業との関係で、民業圧迫との批判も招きかねませんし、そのために使用料を上げるとか、あるいは無理なセールスをかけるとか、そういったことはなかなか難しいのかなというふうに考えております。
 片方で言うと、そういった見直しとか、未払金みたいなものが出ないような努力というのはしておりまして、そういったことでは一定の数値化を図るようなことをしておりますので、そういった中で幾らというようなことで数値目標を立てるというところはなかなか難しいのですけれども……。
【阿曽沼分科会長】  すみません。冗長的にならないようにというお願いをしていましたが、時間がございませんので、的確にお答えください。
【藤原室長】  すみません。長くなって恐縮でございます。数値目標を具体的に立てていくということについて、なかなか難しい点があるかなというふうに考えている次第でございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  御説明ありがとうございます。
 今の山本委員からの御質問に対して追加で、組織の見直しについて、まず1点お伺いさせてください。
 8月に、国鉄清算事業の東日本支社について、平成24年度末をもって廃止縮小の可能性について検討、という御回答をいただいているのですけれども、現時点での検討の状況と結果がいつ頃出るのかについてお答えください。
 続けて2点目も質問をさせていただきます。海事関係なのですが、今日の資料の4ページで、共有船舶建造業務について、二つ目の「・」で先ほどSESスーパー・エコ・シップや、16%のCO2排出削減船、こういった高度な環境性能を有する船舶の建造等に対してより重点的な支援を実施するということがここに記されているわけですが、こちらについては具体的にどういう内容なのか。共有船舶の建造事業量を拡充するということなのか。将来の建造事業量の見通しを含めて、お伺いさせていただきたいと思います。
【原課長】  田渕先生の最初の御質問にお答えさせていただきます。
 国鉄清算事業の東日本支社につきましては、平成24年度末をもちまして廃止することを前提に検討しておりますが、最終的には平成25年度の鉄道運輸機構の全体の組織計画の一つといたしまして、理事会に諮った上で決定すると、こういった形式をとっておりますので、例年でございますと、2月ごろに決定されるということなります。
【藤原室長】  2点目に関してなんですけれども、スーパー・エコ・シップとか、16%のCO2削減船については、今も使用料を低減するような措置を講じていまして、こういった措置を活用しながら、船舶の建造への政策誘導を図っていきたいということで、共有建造量の拡充を意図したものではございません。今ある中をそこにシフトさせていこうということで考えているということが一つと。
 あとは事業量の見通しにつきましては、先ほどちょっと先に申し上げたとおりなのですけれども、老朽化の割合という増になるような要因と、他方で将来的に抑制的なところも働くと思いますので、それから景気的な動向も勘案しますと、どういうふうに見通しを立てるかというのは非常に難しいというふうに考えていまして、機構のほうでも中長期な見通しというのは持ってないと。当面、横ばいぐらいで考えていくしかないのかなというのが現状でございます。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。ほかにございますか。石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  今日の説明資料にはないのですが、見直し当初案本体に内航海運の活性化融資業務についてありますので、そちらについて2点ほど質問させてください。
 内航海運活性化融資業務というのは、内航総連合会にお金を貸すために、機構が政府保証を付けて民間金融機関からお金を借りて、内航総連合会に貸すというスキームだと思うのですが、23年度の決算資料だとこちらのセグメントでは5,000万円ほど赤字が出ています。事業費用の内訳を見せていただくと、36%ぐらいが一般管理費で人件費の割合が非常に高い。民間金融機関からお金を借りて、それを貸すというところに役員1人、職員7人、契約職員8人、合計16人が関わっているというのは、まず1点目として、ちょっと人件費が高過ぎるのではないか。関わっている人数が多過ぎるのではないのかと。
 2点目は、そもそも政府保証を付けて低利で借りているわけですけど、何故機構が間に挟まらないといけないのですか。政府が保証するのであれば、民間金融機関から内航総連合会がそのまま低利でお金を借りれば、回収業務にも関わる必要がないと思います。この2点について、教えてください。
【藤原室長】  ちょっと担当のほうから答えさせていただきます。
【小森対策官】  恐れ入ります。海事局内航課の小森です。
 今委員おっしゃったとおり、現状、この業務にかかわる人数は役員1人、職員7名、契約職員が8名で業務を行っています。この業務自体がいろいろ予算の管理であるとか、決算等の経理業務、いろいろ手間が掛かる部分というのはほかの融資業務と変わらないところがございます。1対1でできるということではなくて、それぞれスタッフがそこに配置されて、業務の内容が多岐にわたっておりますので、それぞれ専門性があるものについて、人員が必要となっている現状でございます。ということで、JRTTとしては、現状のスタッフの配置というのが過大であるとは考えていないところです。
 あと、事業自体の御説明でございますが、委員のおっしゃるとおり、こちら日本内航海運組合総連合会が内航海運組合法に基づいて調整事業──カルテルでございますが──として行っている事業でございます。こちら、そもそも昔々、三十数年続きました船腹調整事業というスクラップ・アンド・ビルド方式の調整事業を廃止するに当たりまして、この引当権利といいますか、1対1で船をスクラップされるときに、造船させる、増トンさせるときには1対1.5とか増やすということで、引当権利が発生して、これが地方銀行のほうで借り入れるときの担保の価格といいますか、担保要件になっていたものですから、これを一気になくすと、地方の経済が破綻してしまうということから、これをゆっくりとなくしていくということで取り入れた業務でございます。
 当初、この事業は市中銀行からも借り入れていたのですけれども、市中銀行がなかなか貸してくれないということがございまして、政府保証を付けるということで財務省と協議を重ねた結果、JRTTといいますか、当時の船舶整備公団を入れてやるということになった経緯がございます。そして、こちらなのですけれども、船腹調整事業自体は、出ていく人に交付金を払って、入ってくる人からの納付金で収支が相償われた時点で終わるというような事業でございますけれども、御承知のとおり、タイムラグがどうしても生じてしまうために、交付金を払うために借入れをしなければいけないという状況になっている状況でございます。
 今後、28年度で交付金自体はこの事業を入れたときは違ったのですけれども、船齢15年以下の船舶は交付金の対象になっているものですから、平成27年度をもって交付金が終了します。28年度以降は粛々と建造される船から納付金を納めてもらって、それが相償ったところでやめるということになっておりますので、今後、この業務は今の体制でやらざるを得ない状況になっておりまして、なお、24年1月20日に閣議決定された独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針において、内部ガバナンスをより高度化するため、法人の財務状況を専門的に点検する体制の整備について検討することとされたことを受けまして、今後の業務についてもガバナンスを強化した上で取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上、簡単でございますが、よろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  海事関係で1点確認させていただきたいのですけれども。
 代替建造促進に対する具体的な方策についてなのですが、内航海運代替建造対策検討会、こちら昨年7月に開催されていると思うのですが、その中で検討されている内容として、代替建造促進に向けた短期的取組、中期的取組などに分類した今後の施策の工程表を記載したアクション・プログラムとして位置付けているということで、8月のワーキングの際に御回答いただいていると思うのですね。その際、施策の検討状況は頂いているのですけれども、その内容について次期中期目標に具体的に盛り込まれるということでよろしいですか。
【藤原室長】  はい。こちらのほう、具体的な内容といたしましては、内航の船主、オーナーの競争力強化とか、内航船のイノベーションの推進とか、環境への脱皮とか、そういうことについて国が検討すべき措置というのがまず書かれております。具体的な内容で言うと、予算を新たに作りなさいとか……。
【田渕委員】  中期目標に具体的に盛り込まれるかどうかだけで結構です。内容は結構です。
【藤原室長】  答えとして言うと、そういった国が自ら検討するようなものについて、機構に指示すべき中期目標に盛り込めるようなところというのがまずないのではないかということと、もう一つ機構がやるべきということが書いてあって、こちらのほうは内容が詰まってくればということであるのですけれども、船舶債権の証券化ということがございます。ただ、こちらのほうについて確かにアイデア等は出てきていまして、機構のほうで今検討しているのですけれども、まだ具体的にこういう形でやれるというような見込みが立ってないものですから、今時点で中期目標に具体的に反映できるような内容がちょっと難しいかなと思っています。
【田渕委員】  内容も精査して、盛り込むべきところは実際に盛り込んでいっていただきたいと思います。
 以上です。
【藤原室長】  承知いたしました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  今の御説明をちょっと横から聞いていますと、具体的な事業の結果が見えないから、大臣から指示ができないというふうに受け止めますが、それは独立行政法人の制度の在り方としておかしいのではないですか。
【藤原室長】  事業の結果が見えないと、ということではなくて、一つは、多分、国として税制措置を拡充するとか、そういった内容になっているものについては、これは機構が中期目標にこうしなさいとか……。
【岡本臨時委員】  機構が中期目標を書くのではないと思いますね。大臣が中期目標を……。
【藤原室長】  そうです。失礼しました。
【岡本臨時委員】  ですから、国土交通省、あるいは国土交通大臣として何をやるかという政策的決定があって、それに基づいてそれを実施する機構に指示をするわけですね。ですから、指示の結果の答えがある程度見えてこない限り、目標を指示できないというのはおかしいと思うのですが。
【藤原室長】  そのとおりだと……。指示すべき内容を指示しなければ、この施策の中に盛り込まれていることで、税制を確保したり、予算をつけたりとかして、内航の代替建造がより進むように国が環境整備を進めているわけですが、そうした中で、政策一つ一つをとらまえて、機構に具体的に何か指示すべき事項があるのかどうかということで考えているのですが……。
【阿曽沼分科会長】  よく理解できませんが。河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  これはコメントなのですが、先ほどの御説明のときに、内航海運のところ、検討がされているけれども、証券化がどうのところでなかなかということが、お話があったので、御存知かどうか分かりませんけれども、ヨーロッパで船舶ファンドブリーフというスキームがあるのは御存知ですか。かなり進んだやり方であって、ドイツであるとか、北海に面しているデンマークとかの国で非常に進んでいるようなやり方で、普通の証券化と違うのですが、かなりそれなりの規模も実績もずっと長く続けているような仕組みというか、そういうものがありますので、そういうのもアイデアがもしないようでしたらよく御検討されて、ヨーロッパの金融界で十分に実務に乗って回っている仕組みですので、御検討されてはいかがかと思います。
 以上です。
【藤原室長】  承知いたしました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 いろいろなお答えを聞いてきておりますと、主務省、それから独法そのものが危機感を持って、どんな社会状況であろうと何かやり切るという、受け身ではなくて自主的にやり切るという気概が非常に少ないように思います。これは独法全体に言えることなのかもしれません。それから、先ほどのお答えの中でいわゆる一般管理費が53%、他の融資業務と変わらないという話だったのですね。では、何が変わらないのか。本当に自分たちは過重な、いわゆる一般管理費を掛けているのではないかということを前提に身を切る効率的な方策を考えていく。そういった気概が必要だと思いますね。一つ一つのお答えに皆様方の前向きな危機感を持った気概を感じられないと思います。委員の方々からいろいろな御質問があったと思いますけれども、重く受け止めていただいて、さらなる御検討をしていただきたいと思っています。
 時間の都合がありますので、鉄道建設・運輸施設整備支援機構につきましては、ここで一旦打ち切らせていただきますが、御説明いただきました皆様方には御協力を賜りまして、ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 時間の都合で御質問が十分にできなかった委員もおられるというふうに思いますので、その場合は後日事務局を通じて照会いたしましたり、必要に応じて、またワーキングで再度ヒアリングをお願いしたりすることがございますので、併せて御協力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  では、続きまして、日本高速道路保有・債務返済機構について、井上道路局総務課高速道路経営管理室長から御説明いただきます。
【井上室長】  井上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  5分ぐらいでよろしくお願いいたします。
【井上室長】  はい、分かりました。お手元の資料について、お時間の関係もありますので、手短に御説明したいと思います。
 まず1ページ目ですけれども、日本高速道路保有・債務返済機構は、御承知のとおり、平成16年に道路4公団民営化ということで、平成17年10月に設立されてございます。
 次に3ページ目でございますけれども、民営化前は日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の4公団でございましたが、民営化に伴いまして、高速道路会社と日本高速道路保有・債務返済機構に分かれたということでございます。機構は高速道路を保有し、債務を償還する。会社は高速道路の建設、管理及び料金徴収を行うということで、計6会社が設立されたということでございます。
 次に4ページでございます。機構は先ほど申しましたとおり、高速道路を保有し、それを会社に貸し付けるということでございます。機構は、会社が建設をした際に生じる債務を引き受けます。会社は高速道路の管理を行い、利用者の方から料金を徴収し、債務返済の原資となります貸付料を機構に払うというスキームによって45年間で債務を返済することになってございます。そのため、平成62年には機構は解散するということになってございます。
 次に5ページと6ページでございますけれども、これは平成21年12月9日の勧告の方向性に対する対応状況についてまとめたものでございます。これは時間の関係上、説明は省略させていただきます。
 次に7ページでございます。今回の見直し素案の概要としてまとめさせていただいております。7ページの中段でございますけれども、これまでの「効率化に向けた取組」ということで簡単に記載させて頂いておりますが、前回いただいた勧告の方向性を踏まえ、中期計画に盛り込み、それをどのように実施しているかということを簡単に御説明したいと思います。
 まず1点目でございますけれども、債務償還の条項でありますけれども、おかげさまで計画を上回るような債務返済が進んでいるということでございます。
 2点目でございますけれども、協定の状況でありますが、諸情勢の金利等の状況に応じて、あるいは料金施策の見直しに応じて機動的に見直しをしているということが2点目でございます。
 3点目でございますけれども、資金調達でございます。今後の金利上昇リスクを軽減するために、基本的には長期、あるいは超長期、10年から20年、30年といったような債券を発行して債務返済に充てるわけですけれども、債務の返還の平準化等々の観点から多様化を進めておりまして、4年債でありますとか、6月の民借りを実施しているということでございます。
 4点目でございますけれども、契約状況でございます。契約について、いろいろな随契を一般競争にするでありますとか、一般競争にしたものでも一者応礼が見られますので、参加要件の緩和ですとか、そういったことを通じまして、不断に契約の点検と改善に努めているということでございます。
 5点目でありますけれども、機構でやっています道路管理者の権限の代行につきましては、閣議決定した基本方針に基づきまして、特殊車両通行許可の事務等につきまして業務の効率化を図っているということでございます。
 それから8ページでございます。最後になりますけれども、会社の経営努力による高速道路の新設、改築、修繕につきまして、これはいわゆるインセンティブ助成金と呼んでおりますけれども、会社がいろいろ新開発でありますとか、工法の工夫によって高速道路の新設、改築、修繕についてコストダウンを図った場合、この場合には縮減した半分を会社のインセンティブを働かせるために助成金として機構が渡すという仕組みがございまして、これをより円滑に行うためにいろいろな運用の改善を行ったところでございます。
 こうしたこれまでの取組を踏まえまして、また、行政刷新会議でありますとか、政独委あるいは国土交通省の評価委員会の皆様方の御意見も反映しながら、今後の見直しに向けた考え方ということをまとめさせていただいたところであり、8ページの 「今後の見直しに向けた考え方」について簡単にご説明させていただきます。まず1点目は、会社からの債務引受けの的確な実施ということでありまして、高速道路の新改築、あるいは災害復旧等を行ったときに、機構が会社から債務を引受けるわけですけれども、これをしっかりチェックしていくということが非常に大事でございますので、実地の確認などを含めたより一層の的確、厳正なチェックをするということと、この状況がなかなか国民の皆様方に分かりにくいということもございますので、どういうふうにやっているかということもしっかり説明するような、透明性の確立、向上の努力もしていきたいということでございます。
 2点目でありますけれども、会社の経営努力に対する助成業務の適切な実施ということで、先ほど申しましたインセンティブ助成金につきましての運用改善でございます。これは助成額を算定する際の基準となる債務引受限度額と助成対象基準額を設定するときにしっかり適切に実施するということでございます。実際にコストを削減した場合に、会社の経営努力かどうかというのをしっかり調べなければなりません。例えば、計画に見込んでいた工費が実際は地盤が良くて、トンネルの新設のときに掛かる費用が少なくて済むといった場合には、それは会社の経営努力とはいえませんので、そういう費用を除いたものを経営努力とするということにしています。そういったことをしっかり精査してやるということと、あと新技術で開発したものも、当座は経営努力と認められるかもしれませんけれども、そういったものの標準化を進めて、スタンダードにするということも進めたいというふうに考えております。これにつきましても国民の皆様方に分かりやすく説明するように透明性の確保に努力したいということでございます。
 3点目でありますけれども、国民に対するサービスの向上ということでございまして、道路に関しましてはアウトカム指標、これは例えば路上工事の時間でありますとか、あるいは構造物のいろいろなものを、きちんと保全しているか。あと渋滞損失がどれぐらい生じているか。そういったことをアウトカム指標として、機構と会社が協定の中で管理しているわけですけれども、それを指標の設定につきまして、若干指標によっては考え方が会社によってばらばらだった……
【阿曽沼分科会長】  すみません。スピードアップしてください。
【井上室長】  すみません。そういったこと等ございますので、それをしっかり統一化するということと、あと通行止め情報、あるいは特車関連情報について、利用者に提供するということでございます。
 以上につきましては会社と連携して機構がリーダーシップを取ってやるということでございます。
 あと危機管理能力の強化も図りたいと思っておりますし、9ページをめくっていただきますと、ホームページの改善、あるいは給与水準の適正化といったことにも努めてまいりたいということでございます。
 それと、組織の見直しに対する考え方でございますけれども、業務の実施体制の見直しということでございまして、事務によっては、実は高速道路会社からの出向者もかなり機構に入っておりますから、利害相反が生じるような事務もあるのではないかという御指摘を受けておりますので、そこについての対応もしっかりやっていきたいということでございます。
 最後になりますけれども、東京事務所の移転についても、早期移転について検討を進めていきたいということでございます。
 説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました見直し当初案につきまして、御質問ございましたら、どなたからでも結構でございます。よろしくお願いいたします。山本委員、どうぞ。
【山本分科会長代理】  先ほど御説明がありましたように、これは料金収入で返済していくというスキームなので、難しいかもしれないのですが、事前に国土交通省から頂いた資料によりますと、高速道路会社で1,300億円というかなりの利益剰余金が発生しているわけですね。そうすると、いわゆる国民感情からして、本来の料金スキームは別にして、これだけの利益剰余金が発生している要因が何であるかということをまず分析して、先ほどインセンティブ契約という話もあったわけですので、やはりこれは何らかの形で行政サービスに還元するとか、今おっしゃったようなアウトカム指標のばらつきがあるわけですから、ここら辺に還元していくというような姿勢が是非とも必要であって、今のスキームでは難しいかもしれませんが、是非今回の見直しで御検討をお願いしたいと思っておりますので、それについての意見をまずお聞かせいただきたいと思います。
【井上室長】  1点目は利益がどうして生じてしまうのかということでございますけれども、基本的には高速道路事業について言えば、料金収入から計画管理費を引いて、貸付料を全部機構に渡すということになってございますけれども、会社がコスト削減に努めまして、経営管理費を削減しますと、剰余金が出てしまうということ構図に今のところなっているということでございまして、これはおっしゃるとおり、利用者に還元するようなことが非常に大事だと思いますので、その方策について今検討はしているところであります。これは利益譲渡の在り方ということで、今後、国土交通省として検討していくということでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  今のお話の関連ですが、利益を利用者に還元していくというのは、具体的にどのように利用者に還元していくのでしょうか。
 それと、事前に頂いた資料を見ると、今テレビのニュース等の報道でもあるように、パーキングエリアとか、サービスエリアでの関連事業の収入が非常に大きくて、それが利益が出ている要因ではないかと考えるのですが、関連事業の収益はこの貸付料の中に考慮されているのでしょうか。もしされていないのであれば、パーキングエリアとサービスエリアの更地というのは誰の所有なのですか。もしそれが機構のものであれば、そこから発生する収益ももちろん貸付料の中に考慮してしかるべきと思います。道路会社の収益が上がっているのであれば、貸付料を増やして、債務の返済を早期に行うほうが国民の負担が少なく、より高度なサービスを提供するということにつながるのではないかと思うのですが、その辺、御回答お願いします。
【井上室長】  1点目の利用者還元の在り方の御質問なのですけれども、今どういうメニューで、どのぐらいの規模ということは検討中なのですけれども、例えば道路の安全性の向上とか、社会的に今主張されている補修の問題とか、そういったところにできないかというふうに検討しているところでございます。
 それと2点目で、関連事業で収益が上がっているのだから、早期償還に充てたほうが良いのではないかということでございます。まさにその点につきましては民営化の際に議論になりました。高速道路事業については利潤が入っていませんので、先ほど申しましたように、料金収入から計画管理費を引きまして、貸付料を機構に払うことによって償還していくというスキームになっております。関連事業につきましては民営化のまさに根幹部分といいますか、民間の経営ノウハウを生かして利潤を求めるという仕組みになっていて、高速道路事業と関連事業は一応別々に考えまして、制度設計しております。さらに申しますと、今株主は政府あるいは地方公共団体なのですが、将来的には上場を目指しておりまして、この関連事業で上がった収益というのは、株主の配当原資であるという整理がなされているところであります。
 それと、関連事業の資産、債務は会社に帰属しておりまして、そういった意味ではサービスエリア・パーキングアエリアの店舗の部分の敷地と申しますのは会社の資産になっておりまして、その上がりを高速道路事業に充てるとなりますと、今後も関連事業であるサービスエリア・パーキングエリアの新設・改築などの投資が必要な中で、それを高速道路事業に充てるということになると、関連事業にもかなり大きな影響があるであろうということでございまして、現在の仕組みとしては、貸付料の算定には関連事業の収益は考慮されていない、そういうような仕組みになっているところです。
【石田臨時委員】  追加でよろしいでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【石田臨時委員】  将来上場をお考えになっていらっしゃって、そうすると、配当という形で株主に還元するというお話でしたけど、今国が株主ですね。今配当はされてないですね。上場までにはまだまだ時間があると思うのですが、今国に配当金は払わないのでしょうか。
 それと、サービスエリア、パーキングエリアの底地は道路会社のものなのですか。
【井上室長】  駐車場の部分は機構資産、店舗が建っている部分は会社資産になります。
【石田臨時委員】  駐車場の底地のみが機構所有というのであれば、SA・PAの収益全部を機構に返すというか、貸付料に含む必要はもちろんないと思います。民営化して、民間のノウハウを生かして営業しているわけですから。ただ、売上の何%分かは機構のものである駐車場によるものなので、やはり百貨店だって、売上の何%かは大家さんに支払われているわけですから、そういう意味で貸付料のほうに今後は何らかの形で考慮するというのを是非お考えいただきたいと思います。
【井上室長】  そういった意味ではおっしゃるとおり、サービスエリア・パーキングエリアの駐車場というのは機構の所有になっていますけれども、店舗のお客さんが使っているという意味ではデパートみたいな関係があります。駐車場の管理費用はそういう意味では高速道路事業と関連事業の折半になっていますので、貸付料という形ではありませんけれども、間接的に管理費用の負担という形で、機構に入っています。機構に入っているといいますか、機構は介しませんけれども、そういう意味では管理事業は費用負担しているということが言えると思います。
【石田臨時委員】  配当金についてはいかがでしょうか。
【井上室長】  すみません。今の高速道路と接しているということで、これは実は許可対象になっています。道路用地の隣にサービスエリア・パーキングエリア施設を作っておりますので、連結料という形で売上高に応じて機構の収入にしています。
【石田臨時委員】  配当金についてはどうなっていますか。
【高松専門官】  配当金についてはこれまでこの7年間、高速道路事業分及び関連事業分のいずれについても配当しておりません。
【石田臨時委員】  今後も考えないということですか。
【高松専門官】  いえ、そういうことではありません。当然のことながら、配当というのは、これは会社の提案と株主ということでありますので。ただ、高速道路会社の関連事業のほうについて言いますと、おそらく一般会計のほうに入ってくると思いますので、それは今後の利益剰余金の積み上がり状況によって検討されるべきことだと思っています。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  協定についてお伺いします。見直し当初案では触れられていないのですけれども、ホームページで、業務の基本的な枠組み等の中でもしっかり協定を見直し、協定に基づいて実施、という形で書かれているわけですね。ただ、協定とはどういうものなのかといったものをホームページで見ようと思っても、かなり見つけにくい。御覧になったことはありますか。
【井上室長】  あります。
【田渕委員】  ありますか。何々に関する協定の一部を変更する協定について、別紙何々が別紙何々に変わったというような形で、その別紙の中身を見ると、工事の内容が書いてあるということで、どういう状況のときにその協定が見直しをされたのか、そういったものが一切見つけられなかった。どこかにあるのであれば、それは後ほど頂きたいと思います。
要するに、協定の見直しというのは機構と道路会社双方から申し出ることができるわけで、どういう状況のときに見直しをして、どういう基準で変えていくかといったものについて、現在規定があるのかどうか、基準があるのかどうか。もしないのであれば、どういう状況のときにどういう理由で見直しを図ったのかということはしっかり整理をされるべきではないか。もしあるのであれば、どういった基準があるのかというものを教えていただきたい。資料も後ほどいただきたい。ないのであれば、それは検討すべきではないかということなのですが、いかがでしょうか。
【井上室長】  協定については、逐次、かなりの回数になりますが、変更されていますけれども、大きく分けまして、料金の変更、あるいは新しい事業を行う場合、あるいは5年ごとの見直しということで、主に交通需要の交通センサスの調査結果を踏まえて、その辺の見直しを行っているというのが大きなところでありまして、例えば例示を申しますと、昨年6月に首都高速道路、阪神高速道路で対距離制を導入しましたけれども、そういったときの協定変更でありますとか、あるいは今年の4月ですけれども、東日本高速道路株式会社と中日本高速道路株式会社で東京外環道の整備が入りましたので、そういったときに協定を変更したということでございます。
 この点について、ホームページ上では、なかなか分かりにくいのではないかということで、田渕委員がおっしゃっているのは、こういう理由で変更しましたということがきちんと国民に分かりやすく説明されるべきではないかということだと思いますので、透明性の確保という意味から、きちんとホームページに国民の皆さんに分かりやすいような形で載せるような方向で検討したいと思っております。
 なお、基準についてですけれども、先ほど申しましたとおり、料金変更、5年ごとの見直し、あるいは新しい事業をやる場合といったのが大体の基準といえば基準なのですけれども、そういったどういうときに変更されているかということが分かりやすいように、ちょっと工夫してみたいというふうに思います。
【田渕委員】  よろしいですか。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【田渕委員】  その協定の協議の際もそうなのですが、業務の実施体制の見直しということで、出向者が多く、プロパーの職員がいらっしゃらないわけですね。そうした中で、先ほど対応をしっかりやっていきたいというお話があったかと思うのですけれども、協定についても、実施体制が本当にしっかりしていないと、機構の利益を害するような形になったりする場合もあると思うのですけれども、具体的にはどういう形で、モラルハザードに対する対策を検討されているのか教えていただけますか。
【井上室長】  御指摘を踏まえまして、取組として既に実施しておりますのは、各会社の高速道路の管理状況の確認について、確認対象となっている会社からの出向者は関わらないということを今やり始めておりまして、今後さらに債務引受限度額、計画管理費算定のときにしっかり恣意性が排除できるようなチェックの仕方のマニュアル化、あるいは利益相反が生じる可能性がある事務については当該会社の出向者以外の者がリーダーとなって作業チームを組む、あるいは前にも御説明したかもしれませんが、国からの出向者である部長がチェックをしているのですが、更に加えて、例えば企画審議役という部長の下にいる役職がありますので、そうした役職も活用しながら、多層なチェック体制を組んでいきたいと思っています。更に今後必要があれば、人事配置の見直しとか、係の見直しとか、そういったことも考えていきたいと思っています。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますでしょうか。岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  ちょっと確認をさせていただきたいのですが、お話を伺っていますと、道路公団の民営化のときに決められたスキーム、例えば高速道路のスキームであったり、債務返済のスキームであったりというのは、例えば45年間債務返済というのは既定路線としてずっとやっていかれるという前提でお話しされているように思いますが、我々の立場は、例えば中期目標期間中にこういう実態、あるいは事実ができたならば、それも含めて見直しをしたらどうかという立場からすると、先ほどの貸付料の話を聞いていますと、それほど固定的に、こういう整理をされているからこうなっていますという説明では不十分で、なぜこういう状況になっているのに45年間の債務返済をそのまま置いておくのかという、そちらのほうの説明をしていただいたほうが良いように思うのですね。貸付料というのは、協定で決まるのですね。まずその辺を確認させていただくと、別に法律で縛られているわけではないわけですね。もし法令で縛られているとすると、法令を変えれば良い話だと思うのですけれども、その辺り、こういう利益剰余金が積み上がっている状況の中では、普通の債務者だったら早く返済していこうと思うのが、国民感情的には説明しやすいと思うのですね。そういう観点から、国土交通省の御担当の皆様は説明していただかないと、なかなか我々としては納得できないと思います。
【阿曽沼分科会長】  非常に重要な御指摘だと思いますので、それについて何かお答えございますか。
【井上室長】  民営化したときのスキームにつきましては、関係の法律の中で法律施行後10年以内に状況を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということになっておりますので、今後料金の在り方、高速道路の在り方の検討を進めて、その中で全体のスキームとして今の制度がどうなのかという検証をしたいと考えてございます。
【岡本臨時委員】  ですから、多分この場もそういう場だと思うのですね。我々は一般的な常識だと思っているのですが、そういう観点からもう少し早く債務返済ができるのではないでしょうかと。おそらくそういう観点から我々が意見を申し上げているときに、こういう法制度になっていますから、そのとおりやっていきますという説明ではなくて、なぜ我々の主張が受け入れられないのかという説明をしていただきたいと言っているのです。であれば、そこでもうちょっと、債務返済についての議論が深まるのではないのですか。そうしないと、45年間ずっと、どんなに利益が上がろうが、ずっと45年間で支払っていくということがそのまま続く。それだと、あまり政策評価・独立行政法人評価委員会の見直しなんて、意味がないですよね。そこはもう少し国土交通省の御担当の皆様も受け止めていただいて、このスキームを始めて数年たっていると思いますが、なぜ今の段階で45年間必要なのかということを説明していただかないと、説明不足ではないでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  今の御質問に関して見解なり、検討の内容について、また文書等で御返答いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかにございますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、時間の都合もございますので、日本高速道路保有・債務返済機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中、御協力をありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力をお願いいたします。
 時間の都合で十分な質問をできなかった委員もおられるというふうに思いますので、その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いしたりということがあるかと思いますので、その際には対応をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  次に、国際観光振興機構について、柏木観光庁国際観光政策課長から御説明をお願いいたします。時間の都合がございますので、5分程度でお願いします。
【柏木課長】  柏木です。どうぞよろしくお願いします。
 配付しております3枚紙の資料がございます。1枚目は当法人、独立行政法人国際観光振興機構、略称JNTO、通称日本政府観光局という言い方をしておりますけれども、この法人の概要でございます。主要観光国は、それぞれこういう政府とは別の民との間に位置するようなNTOという組織を設けて、誘致合戦をしております。海外のそれぞれの現場で競争しながら、それぞれの国の宣伝をしているということでございます。
 主な業務といたしましては、外国人観光旅客の来訪促進のための活動でございますけれども、現地にあります旅行会社、具体的には旅行会社の経営者、旅行商品を企画する担当者、販売担当者、そういう方々に対する働きかけ、それから、現地のメディアの方々に対する働きかけにより、日本の観光関係の記事を書いていただくというもの。そのほかにもインセンティブ旅行を大きな企業の中でを担当している方等々、そういう方々と現地でのネットワークをしっかり作って、マーケティング、人の手によるプロモーションをやっているということでございます。それを中心にして、その他、日本国内では観光案内所の関係の仕事、通訳案内士関係の仕事もございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。現在、進行中の第2期中期目標期間中の取組でございますが、一般管理費につきましては15%削減、こういう目標がございます。現在10.5%まで来ておりまして、もう一頑張りのところでございます。
 それから、業務経費でございますが、これは5%という目標に対して14.9%まで来ております。人件費につきましては19.9%、かなり削減しているという状況でございます。
 それから、平成22年12月7日に閣議決定された独法の事務・事業の見直しの基本方針への対応状況について、主なものでございますが、企画、立案、調査、国として基本的にやるべきものと民間との役割分担をしっかりしなさい、こういうお話が一つございます。それにつきましては、この法人、海外での活動を中心としている法人でございまして、海外に拠点を持たない観光庁自らがやることができない、こういう部分がございます。そういう役割分担に対応しまして、観光庁でやるべきものについては観光庁に一元化するということで整理をしております。
 それに合わせまして海外プロモーション活動のうち、ビジット・ジャパン事業という国が民間に委託して行う事業がございますけれども、これについては、JNTOも海外でこの事業についての応援をしていただいているわけでございます。一方で、民間のほかの主体と競争しながら参加していた経緯があったわけでありますけれども、そういう受託の競争、民と競い合うということはしない。参加しないということにしております。
 それから、外国人観光案内所の直営のものは廃止するということでございまして、民間委託を既に始めています。
 それから、北京事務所、バンコク事務所におきまして、国際交流基金との事務所の共用化。これも順次実施しております。
 その他通訳案内士の試験についても指摘がございまして、それについても対応しているということでございます。
 次のページ、これは次の中期目標に向けた見直しの基本的な考え方でございますけれども、海外宣伝業務の効率化を進めていくということでございまして、この22年の閣議決定と24年1月20日の閣議決定、これを踏まえて、観光庁との役割分担をきちんと整理していくという中で、訪日プロモーション事業の海外現地における事業実施の推進機関という、閣議決定された観光立国推進基本計画で位置付けられている立場をしっかり踏まえて、ほかのいろいろなところとの協力関係をしっかりしたものにし、オール・ジャパンで取り組んでいくということで、機動的、効率的にやっていっていただきたいというふうに思っております。
 それから、独法の制度組織の24年の見直しを踏まえまして、ほかの独立行政法人との関係でもしっかりと事業を連携したり、海外事務所の機能的統合を進めてやっていきたいと思っております。
 また、それを支えるために海外への経営資源のシフトも進めていきます。
 国内関係の仕事でございますけれども、外国人観光案内所につきましては、直営はもうやめたわけでありますが、日本全体の外国人観光案内所の水準が上がるようにしっかりと御努力をいただく。その中で、その中核になるものを運営委託していますけれども、これについてはナショナルセンターとしての役割をしっかり果たすように頑張っていただく。
 通訳案内士試験については、試験事務の効率化を図っていって、何とかほかの受けてくれるところが出てくるような状況が作れないかということで頑張っていっていただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明いただきました見直し当初案につきまして御質問ございましたら、どうぞ委員の方からお願いいたします。山本委員。
【山本分科会長代理】  ちょっと最初に気になった点が一つあります。これはこういうふうに法律に書いてあればしようがないと思うのですけれども、先ほどの見直しで国際交流基金との統合等の話も出たのですが、それはどうなっているかということの確認もあるのですが、見直し当初案の文言についてですが、促進だからしようがないと思うのですけど、宣伝という言葉を今初めて見てちょっとぎくっとしたのですが、宣伝というのは一方的に売り込むわけですね。相互コミュニケーションではない。宣伝と言ってしまったら国際交流基金の例えば双方向の事業との統合の可能性なんていうのはもともと出てこないわけなので、統合も視野にして見直しを行って、当面としては事業連携をされるということですから、宣伝という言葉に違和感を非常に覚えました。
 問題は、国際交流基金としては、当面の間事業連携をされる。そして、国際協力機構、国際交流基金、日本貿易振興機構の海外事務所との、今度は機能的統合だと、こういうふうに文言を使い分けておられますね。私が一番知りたいのは事業連携と機能的統合というと、どういう違いなのかということと、これのトーンから言うと、むしろ逆のようなイメージもするのですが、事業連携して将来的には国際交流基金との統合を目指そうとされているのか。ここで言っている事業連携というのは具体的に何をしようとしているのかというのが分からないと、結果的に中期計画を定めて、毎年の年度計画に落としていかれる場合、あるいは本省のほうとしてそれについてレビューする、あるいは独法自身が自分のマネジメントされる場合に、何をもって事業連携を推進していくのかというのが決まらないといけないと思いますので、まず事業連携というのはどういうことを目指しておられるのかということと、機能的統合というのとどう違うのか。事業連携を進めていくと将来的には国際交流基金との統合に行き着くのかどうかということについて、お尋ねしたいと思います。
【柏木課長】  事業連携とはどのようなことを考えているかということでございますが、基本的な方向をこれからこうやっていくのだというプログラムを、8月末に取りまとめましたので、それに基づいて話合いの場もしっかり作ってこれからやっていこうとしております。その中で、いろいろお互いの長所をいかして協力していく部分が相当あるという議論はいろいろしております。そういう中では、例えば日本文化祭みたいないろいろなイベントを、国際交流基金が打っております。その中に観光的な要素もしっかり盛り込んでいく。それは協力してやっていく中で、素材提供などもできていく部分がいろいろ見えております。外交上重要な周年事業もございます。これは大使館も含めて取り組んでおられるケースがありますが、そういうところにも同じように観光的な要素をしっかり入れていくということができるのではないかと思っております。
 それからまた、施設の相互活用というのは非常に重要でありまして、国際交流基金は非常に大きなホールをそれぞれ現地で持っておられます。これを使って、本来、基金の目的とは少しずれてきますが、旅行会社に対する説明会とか、市場形成のための活動に使わせていただくことを今考えております。それぞれの国の状況に応じてやれることがございますので、それはしっかり具体化をしていきたいというふうに思っております。
 それから、機能的統合との違いについて、海外事務所について機能的な統合をするのだということが記述されております。これは事務所を物理的に同じ建物に集めてくる。それによって一体的に行動をできるということが現実、現場の感覚としてございます。そういうものを指して機能的統合というふうに我々は理解しておりまして、これは国際交流基金だけではなくて、JETRO、JICAを含めてやろうとしております。特に国際交流基金とは密接にやろうということで、既に北京とバンコクにおいては始めているわけでありますけれども、そういう場所的に同じところに置いてより緊密に協力関係を深めるという、そういう事務所の在り方、これが機能的統合だというふうに理解しております。
【山本分科会長代理】  当面は事業連携ですから、今のお話を聞いていると、事業連携を深めても統合にはいかないというふうに受け止めたのですが、そういうことなのですか。
【柏木課長】  今回、夏に取りまとめたものは事業のそういう連携を主軸になるものとしておりますが、それをさらに進めるための裏付けといいますか、進めるためのものとして、海外事務所のそういう機能的な統合に加えて、本部事務所も同じところに移ろうではないかということを、明確に年限を切って書き込んでおります。今後頑張っていかないといけない部分でございまして、それをやって、両事務所の本部でもしっかりと連携をとってやっていけるようにしたいと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  今の観点とつながるところがあると思うのですが、資料の3ページ、効率的な海外宣伝業務というところの2点目、今、御質問があった、そういった活動を支えるためにということで、経営資源と権限の海外シフトを進めると明記されているのですが、経営資源と権限というのは具体的にはどういう内容になるのか。本部の話もされていましたけれども、これを進めることによって本部のスリム化を目指していらっしゃるのか。もし本部のスリム化を目指していらっしゃるのであれば、どの程度のスリム化を目指しているのか。その点、まずお聞かせいただけますか。
【柏木課長】  この組織の一番肝になる経営資源は人でございまして、人による活動ということになってまいりますが、そのまさに人的資源を海外に移していきたいということでございます。これは仕事の中身も整理して、海外でできることは海外でやるという形でシフトさせていくということでございます。
 権限でございますけれども、海外で決められることは海外で決めようということでございます。ですので、海外事務所長の判断で経費のある程度の執行も含めてできる仕組みを作っていこうと思っております。判断の基準の材料になるものもきちんとないといけませんので、そういうことも含めてやっていきたいということでございます。
 それで、いろいろな工夫をして、海外に人を移していって、では、どのぐらいなのだという数量的なものでございますが、次期中期目標期間の中で、1枚目の資料を見ていただきますと、常勤職員の比率が国内58人、海外33人というふうになっておりまして、国内のほうが多くなっております。海外にはその他現地職員、非常に優秀な現地職員がいらっしゃいまして、37人と。現地職員と日本から派遣された職員とでチームを形成して活動しているわけでありますけれども、常勤職員は国内のほうが多い、こういう状況でございます。この比率は、約2対1でございますが、これを次期中期計画期間中におおむね1対1にしたいと思っております。その方向で検討しております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
【田渕委員】  続けてよろしいでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【田渕委員】  ということは、総数はそれほど減らないということですか。シフトしていくということで、全体としてはスリム化しないわけですか。ほかの機構と連携していくわけですよね。そういったもので、そこに対してのスリム化という観点では効果はどういうふうに判断されていらっしゃいますか。
【柏木課長】  この仕事の現状を見ておりますと、まだ日本は観光後進国だと思っております。観光はこれから伸びていく分野だと思っておりまして、市場も今より広げていかないといけないというふうに思っております。東南アジアでありますとか、そういうところもしっかり成長させていかないといけないということでございます。そうするには、この法人は仕事が増える法人だと思っております。とはいえ、人を増やすということではなくて、そうやってシフトさせていく中でしっかりと対応してきたい、こう思っているところでございます。
【田渕委員】  では続けて、3ページの資料の二つ目の、国内受入体制整備支援の充実という点について質問をさせてください。2点目のところで、ナショナル・センターとしての全国の外国人観光案内所の中核的役割を果たすべく努める、ということになっているのですけれども、主務省として、ナショナル・センターとしての役割をどう捉えていらっしゃいますか。
【柏木課長】  この法人は過去50年にわたって観光案内所業務をやっております。いろいろなノウハウが積み上げられております。かなり大きなボリュームのノウハウになっているのですけれども、積み上げてきたノウハウ、情報提供ノウハウでありますが、これにさらに民間に委託してという形で、引き継ぎながら、民間の御協力をいただいて、委託を受けていただいてやるという形によって、民間の創意工夫も今取り入れている段階にございます。そういうことをやって、英中韓3言語の対応でございますけれども、今質的に日本トップ水準の外国人案内所サービスというものを実施していただきたいと思っておりますし、現に実施していただいております。これを続けていただきたいというふうに期待しております。
 それをしながら、日本のほかの案内所に対して、そこからの問い合わせに答えるというサービスも提供しております。いわば案内の支援サービスでございますが、全国の案内所の中にはそういう人を、そこまで外国語ができる方をしっかり置くという余裕がない、あるいはそれほどの人数はまだ来ていませんというところがありますので、そういうところも電話等使ったやり取りで応援していくということをやっていっていただきたいということであります。
 それからあと、スタッフの実地研修ですね。こういったニーズも受け入れるということもやっていただきたい。そういう意味でナショナルセンターとしての中核的な役割を果たしていただきたいというふうに期待しております。
【田渕委員】  今の御回答の中でも質的なトップ水準という言葉があったのですけれども、質的なトップ水準はどのくらいのものなのかということですね。これまでの観光案内所、設置効果といったものは実際測っていらっしゃるのか。本当に質的に、今もトップ水準とおっしゃっていましたけど、トップ水準なのかどうか。現状をどう捉えているのか。それがなければ、更なる質的な向上というのは難しいと思うのですね。その辺はいかがですか。
【柏木課長】  これは是非現場を御覧いただければというふうに思っております。質的に高いというのは、本当にお客さんの立場に立って問題解決に当たる能力です。そのノウハウもいろいろあって、それを積み上げているということでございます。
【田渕委員】  観光案内所の設置効果はどれだけのものがあったのか。その辺はどう測っていらっしゃるのですか。
【柏木課長】  そもそもインターネットが発達した時代に観光案内所は要るのかどうかという検討を、昨年度根本的に考えてみるワーキンググループを設置して検討いたしました。海外のお客様の声を、空港で捕まえたり、いろいろしたのですが、案内所を使ってないというお客様を捕らえて、その中で、どうして使わなかったのですかともう少し詳しいことを、ヒアリングをいたしました。そうすると、4分の1の方は、案内所を使いたかったのだけど、場所が分からなかった、こういうお答えをしておられます。それから、3分の1ぐらいの方はインターネットでもう分かりますからみたいな答えをしておられる。いろいろなお客さんがおられるのだと思いますが、一定の割合で案内所に期待をしているお客様というのは結構いるのだな。日本人以上に外国人の旅行者には、そういうお客さんが一定割合おられると。期待されているというのは事実だと思っております。
 あと、数量的なもので、どのくらいお客さんが現実に来ておられるかというのも把握をしていかなければいけないと思っております。ちなみにどれぐらい来られているかですが、大阪の案内所、駅にございますが、これが一昨年、震災前で21万人。震災の年、昨年が15万人ぐらいです。京都の案内所も大体21万人で、昨年は13万人です。成田の案内所ですと、第一ターミナル、第二ターミナル、両方ございますが、あわせて昨年で12万人ぐらい。一昨年は特に震災前ですので、もっと多い数字だった、こういうような数字でございます。地方を含めて、なかなか正確に把握するのは難しいところもあって、設置管理者と連携も取らないといけないと思いますけれども、そういう状況の把握は進めていかないといけないと思っております。
【阿曽沼分科会長】  石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  同じく3ページに今の観光案内所の下のところに通訳案内士試験業務についても述べられているのですが、先に頂いた資料によりますと、随分と出願者数が減っていらっしゃいますね。これについてはどのように分析されていらっしゃるのでしょうか。
【新垣課長】  お答えいたします。
 確かに平成15年から10年分を提出させていただきましたけれども、18年、19年、特に18年から海外、具体的には中国の北京、それから韓国、香港、台湾ということで、試験を開始しまして、そこで、海外の受験者数で大幅に増えたということがございます。海外の受験者数も大体一巡、収束してきたかなというのが今の状況でございまして、これまでの出願者の状況を見ていると、7,000人切ることもあるのですけれども、大体6,000人から7,000人ぐらいで推移してきたということもあって、七、八千人ぐらいのベースで推移するものかなというふうには考えております。23年度につきましては、こちら、実はいろいろな要因がある中の一つで、新聞で通訳案内士の在り方の検討会をやっていたのが平成22年の冬ごろにあったのですが、そのタイミングで通訳案内士の資格は要らなくなりますという新聞報道が出まして、それで、通訳案内士については、試験を受けなくてもいいのですねというような風評的な影響もあったのかなということも考えております。今それで適切な周知をして、きちんと通訳案内士の正しい理解を広めていく必要があるな、こういうことを考えております。
【石田臨時委員】  通訳案内士しかできない業務というのはあるのですか。
【新垣課長】  通訳案内士は、報酬を得て、外国語で外国人の方に観光の案内をするということでございまして、これは通訳案内士の資格を取っていただかないとできないということが通訳案内士法の定めになっています。
【石田臨時委員】  そうすると、観光バスツアーとか、そこの方たちはみんな通訳案内士の資格を持っているのですか。
【新垣課長】  外国人に観光案内される場合には持っている必要があります。要は、どこかに連れていってあげますという添乗業務には特に通訳案内士の資格は要らないのですけれども、例えば観光地で、観光の名所は何ですよというようないろいろな観光案内をするという業務については通訳案内士法で資格を取っていただく必要があるというところでございます。
【石田臨時委員】  そうすると、旅行のツアーで添乗員の人が案内することについては通訳案内士の資格は要らないわけですか。
【新垣課長】  はい。添乗の単なるガイドに関しては、通訳案内士の資格は不要でございます。
【石田臨時委員】  あといろいろな観光地に行くとボランティアで観光ガイドされている方が結構いらっしゃいますよね。そうすると、有償でないなら資格は要らないということですね。そうすると、通訳案内士というのはニーズがあるのですか。楽観的なと言ったら失礼ですけれども、出願者数は多分7,000人から8,000人で推移するのではないのかなということですが、今のところ見ていくと、ずっと減り続けていますね。平成20年からいくと、1,000人以上の感じで減り続けていますね。ニーズがないのに、赤字を出しながらやっていく必要というのはあるのですか。
【新垣課長】  まずニーズに関しましては今訪日外国人のお客さんについて、ちょっと減っておりますけど、今年度900万人を目指してやっているわけでございますし、それから、2016年には1,800万人、長期的には2,500万人と。外国からいらっしゃるお客さんにきちんと通訳案内していくという意味では、これからニーズは高まっていくというふうに考えています。
【石田臨時委員】  高まっていくと思われる根拠は何ですか。先ほども申しましたが個人的に旅行に行くと、ボランティアで案内してくれる方がいらっしゃるではないですか。今、日本でも団塊の世代がどんどん定年退職していって、いろいろとボランティアをしたいという方が多い中で、有償で行う通訳案内士という資格試験のニーズはあるのですか。あると思われる根拠を是非お示しいただきたいのですけれども。
【新垣課長】  今でも通訳案内士の方に業務の発注は来ておりますし、特に中国や韓国のお客さんが……。
【阿曽沼分科会長】  時間の関係もありますので、もしそういうきちんとした根拠があればお出しください。
【新垣課長】  はい。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 いろいろな御回答、やり取りを聞いて、私は統合という言葉の意味が意外と認識するのは難しいなというふうに思いました。統合には組織の統合、機能の統合、事務所の統合というのがありますが、事務所の統合というのは共有化とか、共通化するということで、統合という言葉を使って本当にいいのか。我々がいう統合は、組織の統合ということが主たる意味合いというふうに思いますので、その辺について、もう少し具体的に、なぜできないのか、できるのか、なぜ統合に至らなかったのかということを客観的かつ合理的に御説明いただくことが必要なのではないかというふうに強く思います。
 また、目的から考えると、観光客の方々、観光に来る方々の現地での掘り起こしと、そして、日本国内での受入れ、これは満足度を持って帰っていただく、リピートを多くしていくという意味では、掘り起こしと受入れというものについての業務の在り方というのは当然違ってくるのだろうというふうに思いますが、全体のスキームとワークフローを俯瞰して、本当にトータルでこの業務はどういう業務で、ここはどこがやるべきなのかということをきちんと分かりやすくまとめていただくということが必要なのではないかと。
 一つ質問ですが、ナショナルセンターというのは全国の外国人観光案内所のナショナルセンターなのか、皆様方の組織そのものがナショナルセンターとして全体的に業務をやろうとされているのか。どっちの理解が正しいのでしょうか。観光案内所に限ったナショナルセンターでしょうか。
【柏木課長】  これは観光案内所です。
【阿曽沼分科会長】  そうですか。分かりました。
 では、今私が申し上げた全体的に日本を知っていただいて、観光客を増やすというのは非常に重要でございますね。私どもは、ワンストップ・オペレーションでトップのリーダーシップによって掘り起こしから受入れ、そういったことを全体のワークフローの中で合理的な組織の在り方というのが必要、求められているのではないかというふうに思っておりますので、再度、御検討いただきたいというふうに思います。
 それでは、時間の都合もありますので、国際観光振興機構につきましてはここで一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。本日御説明いただきました皆様には御多用中ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力をお願い申し上げます。
 時間の関係で十分な質問ができなかった委員もおられるというふうに思いますので、その場合は後日事務局を通じて照会いたしましたり、また、再度ワーキングの開催等でのお願いしたりすることもあろうかと思いますので、その際は御対応のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、水資源機構について、池本水管理国土保全局水資源部水資源政策課長から御説明いただきます。5分程度でお願いいたします。
【池本課長】  水資源政策課でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず水資源機構の概要とこれまでの取組について、簡単に触れさせていただきます。お手元の資料の資料1−2の8ページを御覧いただきたいと存じます。独立行政法人水資源機構の見直し素案の概要の四角の枠に入った資料、文章でございますけれども、水資源機構につきましては、業務概要のところに記述しておりますとおり、重要な水系でございます7水系におきまして河川管理者の権限を代行し、洪水調節とともに、各利水者に対する安定的な水の供給の確保を目的としまして、治水、利水を目的とするダム、用水路等の新築、改築、それから管理等を行っております。
 次に、これまでの取組でございますけれども、その下に簡単にまとめてございますけれども、用水路事業、ダム事業の着実な進捗を図るとともに、効率的な洪水調節ということで、大規模な出水に対しましては、ダム群の統合操作を行うことで下流の洪水被害を最小限に抑えるとともに、今後水路の改築につきましては、通水しながら改築が行えるように二連化を推進しまして、そういった点検補修を可能とするとともに、ストックマネジメントの取組としまして、点検診断、長期的なコスト分析によります整備計画を策定しまして、効率的な施設の改築、維持管理の効率化を推進したところでございます。
 それから、2番目の業務運営の効率化としましては、事務所の統合、間接部門のスリム化、それから維持管理業務につきましては民間委託拡大計画を策定いたしまして、今後更に民間委託の拡大を図ることとしております。
 事務的経費につきましては、目標としております5年間で5%以上の削減という目標に対しまして17.3%の削減を実施したところでございます。また、国家公務員並みの給与の削減も実施しております。
 次のページでございますけれども、その他事務的経費の削減、工事等のコストの縮減、そうした目標値につきましては着実に進捗をさせておりますし、一般競争入札による調達の拡大、随意契約を最小限に抑える取組、こうしたものも着実に取り組んでございます。
 次の今後の見直しに向けた考え方につきましてはその前の資料に簡単にまとめてございますので、こちらを御覧いただきたいと存じます。前の資料の1−1−(4)というパワーポイントの資料を御覧いただきたいと思います。よろしいでしょうか。見直しの基本的な考え方を四つの○でまとめてございますけれども、まず一つ目が、機構の本来の使命でございますが、安定的かつ良質な用水の供給、洪水被害の防止軽減、これを引き続き全うしていけるような体制の構築ということでございますが、東日本大震災も経験しまして、また記録的な豪雨も相次いでおります。こうした大規模地震、異常洪水、そういったリスクの高まりなどの様々な社会的な要請に応えていけるような体制を効率化を図りながらどのように実現していくかということが一つの大きな課題でございます。
 二つ目が施設の老朽化ということでございまして、築後20年、30年たっている施設が半数を超えてまいりまして、それへの対応が必要になっているということもございますし、また、建設が完了して、どちらかというと管理に力を注ぐ時代に入ってきましたので、そういった経験豊かな技術者が減少していくことを踏まえまして、どのように技術の向上、蓄積、継承を図っていくか、こうしたことも一つの課題でございます。
 また、そうした蓄積した技術を災害支援、国際貢献にどのようにいかしていくか、こうしたものが一つの課題でございます。
 それから、当然でございますけれども、業務の質の向上を図りつつ、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針等に基づきまして各種業務運営の効率化の取組を実施することとしております。また、組織の見直しの在り方につきましては、利水者の意向も踏まえながら、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針に基づきましてスリム化などに取り組んでいくこととしております。
 以下具体的な取組を簡単な絵にして記載してございますけれども、まず下の左側の図でございますけれども、ストックマネジメントを全面的に展開していきたいということでございます。これは全面的な改築を繰り返すのではなくて、計画的な点検と補修を重ねることで、最終的な施設の長寿命化を図りまして、全体のコストを削減していこうという取組でございます。こうしたことで、確実な機能維持とコスト削減を図っていこうというものでございます。
 それから、右のところでございますけれども、既存の施設、こうした既存のストックの能力を最大限発揮させ、効用を発揮させるという取組といたしまして、例えば名張川3ダムの洪水対応におきましては降雨とかダム流入量を予測監視しながら、時々刻々と情報を分析し、予測を立てながら、幾つかのダムを統合的に運用しまして、結果としましては最大限浸水被害を回避することができたわけでございますけれども、こうした取組を今後とも進めていくということでございます。
 次のページを御覧いただきたいと思います。水インフラの担い手としての総合力の確保でございますけれども、先ほども申しました施設管理への移行が進む中で、建設を経験した経験豊かな職員が減少していくということで、これをどういうふうに次世代に継承していくかということが問題となるわけでございますけれども、引き続き技術5か年計画を策定いたしまして、幾つかのテーマごとに水質改善、耐震性向上、施設の長寿命化、気候変動対応など様々な技術の研究開発を計画的に推進するとともに、そうした人材の育成を進めていきたいということでございます。
 それから、下にございますけれども、再生可能エネルギーの積極的な活用につきましても取り組んでいるところでございます。
 それから、このページの真ん中のところでございますけれども、国内外への技術支援ということで、災害支援につきましては支援要請に基づきまして、水資源機構の技術力、ノウハウ等を活用して対応をいたしております。例えばということで、タイにおける大規模な洪水におきましても国際緊急援助隊に水資源機構から職員を派遣しまして、支援活動を実施いたしました。
 また、大震災の際におきましては、宮城県の女川町におきまして、可搬式海水淡水化装置による給水支援活動を実施したわけでございますけれども、こうしたさまざまな水資源機構の技術力、ノウハウ、資材、そうしたものを活用して技術支援なり、災害支援を行っていくということが一つの柱でございます。
 それから最後に、業務運営の効率化でございますけれども、維持管理業務等民間委託拡大計画を策定しておりまして、今後コスト比較や信頼性の確保などについてモデル地区を選定しまして検証しておりますけれども、その検証を踏まえた上で民間委託の拡大を図っていきたいということで考えてございます。また、それ以外の形で他の主体に任せる、地方自治体などに任せられる業務はないか、そういった業務の移管につきましても進捗を図ってまいりたいと考えております。
 以下、宿舎の見直し、入札制度の向上につきましても先ほど申し上げました路線に従って取り組んでいく予定でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいま御説明いただきました見直し当初案につきまして御質問ございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。山本委員、どうぞ。
【山本分科会長代理】  パワーポイントの2枚目の今直前にお話しいただいた業務運営の効率化の関係なのですが、確かになかなか難しいような気もしないわけではないのですが、この図を見ていますと、部分的な民間委託なり、自治体への委託というのはあるのだけれども、内容のことで、多分信頼性の確保とか、あるいは安定的な問題とかあるのかもしれませんが、この図だけ見ていると、全面的な一括的な委託というのはお考えでないような気がします。逆に言うと、こういう部分的な委託だから、結構集めないとなかなか民間委託のメリットが出ないという、こういう問題も出てきますよね。そこら辺は、ただ一定の信頼すべき技術力があるとか、逆に言うと、危険な話になるかもしれませんが、海外の民間事業者等があるのかもしれませんが、そういうことを踏まえて、逆に言うと、コスト比較、信頼性の確保、受注業者の確保、こういう要件を満たせば、包括的な委託というか、全面的な委託も特定の例えばダム管理者についてはあり得る、こういうことで理解してよろしいのですか。そこら辺のお考えを確認したいと思いまして。
【池本課長】  水資源機構の業務につきましては、先ほど御説明しましたように、例えば洪水調節とか、安全・安心な水の供給、そういった使命を担っております。したがいまして、例えば洪水操作ですとか、あるいは各利水者との調整を含めまして、日常業務におきましても大変判断を伴う業務がございます。そうした意味で、そうした中核的な業務と、中核的な業務に関わる、それを支える業務につきまして一括して委託をするということは、なかなか水資源機構の場合は困難ではないかと考えておりますし、また、そうした要素のないものにつきましては、従来から民間委託につきましては一部進めてきたところでございます。
 この民間委託拡大計画につきましては、それをさらに進めるために、こうした図にございますように、例えば一定の業務で、補助的業務の中で業務を再構築しまして、1か所で例えばまとめて処理するような業務の体制の整理を図った上で、それが例えば非効率にならないような、例えば人に換算しまして1人に満たないようなものを出すということではなくて、一定のまとまったものになれば、出すことによってコストの面でも十分効果があると認められるものであれば、民間委託をしていけるのではないか。そういったことをこれから検討の上で進めていきたいということでございます。
 そうした中で、例えば判断の基準としまして、ここにございますようなコストの比較、それから信頼性の確保、それから受注業者そのものが、果たして山間僻地にある施設もございますので、確保できるのかどうか。そうしたことを検討していく必要があるということで、先ほども申し上げましたけれども、モデル地区を選定しまして、そうしたものの検証を進めております。その結果を踏まえて、更なる民間委託の拡大を進めていく。そういう計画を持っているところでございます。
【山本分科会長代理】  ただ、それだとあまり目立った効果が出ないような気がするのですけどね。結果的に分からないわけではないのですけど。ただ、例えば高速道路会社と高速道路の機構のように、非常に微妙な問題もあるのですが、かなり思い切って権限移譲とかしているのもありますよね。ですから、自治体とかの場合で、洪水調整の最終的な指揮権とか、そういうのはなかなか難しいと思うのですが、相手方によっては委託の範囲をかなり多くしないと、逆に言うと今のようなお考えだといろいろ調整コストなり、契約とか、かえって表に見えないコストが掛かるような気がします。契約的なコストとしては一見削減できるのだけど、実際はかなり一手間かかって、何にもならないというふうになるおそれがあるので、そこら辺、よくお考えいただいて、更なる見直しをやっていただきたいと、今のときには思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにありますか。石田委員。
【石田臨時委員】  1ページ目のところの見直しの基本的な考え方の○の3番目と4番目なのですが、業務運営の効率化等を実施する。あと組織の見直しの在り方についても取り組んでいくという比較的抽象的な表現なのですが、これを是非次期の中期目標設定のときには、具体的な数値に落とし込んで目標を作っていただきたいと思います。
 ということで、先ほどの山本先生の維持管理業務、民間委託についても、委託拡大計画には、具体的に29年度末までに民間委託率を最大42%まで拡大するとうたっていらっしゃいますね。でしたら、それを次期の中期目標にもきっちりと明示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【池本課長】  この○の3番目と4番目にございます二つの閣議決定に基づきまして、現在、機構の業務の運営の効率化、組織の見直し、それぞれ取り組んでいるところでございますけれども、これにつきましては、特に事務・事業の見直し方針につきましては、幾つか多くの項目がございまして、数値として答えを出すものとそうでないものとございますけれども、これも次期中期の計画の策定の中で、よくよく指摘も踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
 それから、維持管理業務と民間委託拡大計画につきましては、御指摘のように、目標値を記載してございます。民間委託拡大計画におきましては、先ほど申し上げました論点も記載してございまして、民間委託業務拡大に当たっては、コスト比較、受注業者の確保、信頼性の確保の観点からの検証及び類似業務の集約化等の更なる検討を行いつつ推進することから、目標の数値については増減する場合もあるが、第3期中期計画の最終年次である平成29年度までに管理に関わる業務量全体に対する民間委託率を最大42%まで拡大と。御指摘のように、こういった内容となっております。今後のそうした先ほどの民間委託に関わる幾つかの論点につきまして現在試行実施しているところでございますので、今後の試行結果、こうした検証状況を踏まえながら、検討していきたいと考えております。
【阿曽沼分科会長】  ほかに御質問ございますか。石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  同じ1ページ下のところにストックマネジメントを全面的に展開するとあるのですけれども、ダム、それから用水路等は寿命が長いですね。そうすると、日本の社会も人口構成とか、産業構成が変わっていって、当初思っていたほど水の需要がないかもしれない。将来どうなるのかということまで考えて、ストックマネジメントは逐次見直しされているのでしょうか。
【池本課長】  施設そのものにつきましては、例えば改築などの場合には、それぞれ各省庁、関係省庁がそれぞれの省庁が定めました要領に従って事業評価をしながら改築等々につきまして検討していくこととなっております。また、そうした老朽化対策の中でストックマネジメントを行う場合につきましても、それぞれの例えば関係省庁とか、利水者であります地方公共団体や農業関係者、そういうところと十分調整をしまして、ストックマネジメントを実施していくということになりますので、今後の施設の在り方なり、水需要の動向、そういうことも十分把握しながら、十分関係者とも議論し、検証しながら、こうしたストックマネジメントなり、改築なり、こうした取組も行われていくものと考えております。
【阿曽沼分科会長】  石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  本年8月31日の閣議決定で社会資本整備重点計画というのが出て、主要な河川構造物については、長寿命化の計画を23年度末は約3%なのを28年度末に100%にするようにと出ているのですが、これについても数値目標等の形で次期の目標には入れ込んでいただけると考えてよろしいですか。
【池本課長】  ストックマネジメントの考え方で施設の運営を図っていくということにつきましては、現行の中期計画の中でも基本的な方針ということで考えられております。それに基づきまして、例えば水路等の施設につきましては、計画的な保全対策を行うために施設ごとの施設機能保全計画の策定を一部行っているところでございます。これは社会資本整備重点計画に盛り込まれております長寿命化計画と軌を一にするというものであると思いますので、社会資本整備重点計画の策定を踏まえて、更に今後機能保全計画の策定がほかの施設におきましてもきちんと進むように、これから取り組んでいくことになると考えております。また、ダム等の施設におきましても、これまでもダムの定期検査におきまして、施設整備状況の検査などを行いまして、データを蓄積して、カルテなども策定しまして、それに基づいて、必要に応じて補修等を行ってきたところでございますけれども、これにつきましても社会資本整備重点計画が策定されたことも含めまして、今後とも適切な維持管理計画に取り組んでいきたいと考えております。
【阿曽沼分科会長】  田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  見直し当初案に載ってない総合技術センターの見直しについて、お伺いしたいのですけれども、ダムに関する試験研究といったものに関しては、ほかの研究所、要するに、国交省の地方整備局技術事務所ですとか、独法であれば土木研究所、建築研究所等々でも実施されているのではないかと。これらの研究所と総合技術センターとの差別化をどう図られているのか。役割分担はできているのか。できているのであれば、どういう形で役割分担が図られているか。その辺りを教えていただけますか。
【池本課長】  総合技術センターにつきましては、おそらくほかのそういった試験研究機関とはそもそも成り立ちのところが違っておりまして、総合技術センターにつきましては水資源機構が保有しております施設の建設管理、災害復旧工事を行う中で、現場で生じましたそういった実務的な、技術的な諸課題に対しまして効率的な技術面からの検討指導を行うということで、基本的には現場の技術面での支援部隊としての役割になっておりまして、そうした意味では研究所における純粋な研究業務を行う機関とは若干趣旨が異なるものと考えております。
【田渕委員】  実験の施設等々、そういったものは共有できているのですか。それとも別にある形ですか。
【池本課長】  水資源機構の総合技術センターの実験場というのは、こうしたほかの試験研究機関とは別にございます。
【田渕委員】  ほかの研究所のそういったところを一緒に使うとか、そういうことによって、例えば相乗効果ですとか、経費の削減とか、そういった観点というのは生まれないでしょうか。
【池本課長】  総合技術センターというのが先ほど申し上げましたような形で成り立ちがございますので、総合技術センターにつきましては例えば管理所で起きました突発的な、技術的な事案につきまして、総合技術センターから人を派遣して迅速に対応するとか、あるいは何年かに1回点検業務があれば、それぞれの現場にもともと技術者を置くのではなくて、総合技術センターに人をストックしておいて、そこから派遣すると。そういった形で実施しております。そういった形で個々の施設の診断やカルテ管理等も効率的に行われるような形になっております。その中で、そういった技術的な問題につきまして、現場で例えば解決したい問題というのが起こってきたときに、例えば実験なり、現場に即した試験研究が必要だという場合に、総合技術センターがそういった課題につきまして実験、研究を行いまして解決するということを実際に行っております。そうした意味では、純粋な試験研究を行う機関と、それから現場で起きた問題点を現場の職務に通じた職員が自ら解決していくという意味では、若干趣旨なり、やり方等に違いがあるのではないかというふうに思います。
【田渕委員】  どういう形で地方整備局の技術事務所ではこういうことをやっていて、土木研究所ではこういう形で対応がなされていると。差別化が本当にきちんとできているのか、役割分担が分かる資料をいただけますか。
【池本課長】  それにつきましては引き取って検討させていただきたいと思います。
【田渕委員】  よろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  ほかによろしゅうございますか。
 今の御質問の回答の中で成り立ちが違っているという枕言葉が何回かありましたけれども、成り立ちの違いというのは今本当に重要なポイントではないわけですね。法的ないろいろな縛りというのがもしあるとすれば、それをどういうふうに変えていくのかということも議論しなければいけませんし、役割の見直し、将来に向けた方向性をどう考えていくのか。その中で役割の分担をどう変えていくことが組織の効率化、若しくは高質化、質の高い組織になっていくかということが求められているわけですから、そういう観点で、今田渕委員から御依頼のありました役割の分担若しくは連携の状況がきちんと分かるような資料を提出していただきたいというふうに思います。どうぞ。
【池本課長】  成り立ちという言葉で若干誤解を招いたのかもしれませんけれども、成り立ちというのは、今までの経緯という意味ではございません。今現に果たしている機能ということで使った言葉でございますので。これにつきまして誤解がもし生じたのであれば、訂正をさせていただきたいと思いますし、また、御指摘につきまして、御指摘の向きは十分理解できましたので、資料につきましては作成させていただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  今現在どうなっていますかということを質問しているわけではないわけですから、今後の見直しの方向性というものをどういうふうに考えるのかという御質問でございますので、そういうことをしっかりと受け止めて御回答いただければありがたいと思います。
 それでは、時間の都合もございますので、水資源機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては御多用中、御協力賜りまして、ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 時間の関係で十分に御質問できなかった委員もあろうかと思いますので、今後、事務局を通じての照会、また、再度のワーキングの開催等についてもお願いすることがあろうかと思いますけれども、その際には御協力、御対応のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは次に、空港周辺整備機構について、滝川航空局航空ネットワーク部環境・地域振興課長から御説明をお願いいたします。5分程度でよろしくお願いします。
【滝川課長】  はい、分かりました。航空局環境・地域振興課長、滝川でございます。
 お手元の資料1−1−(5)に基づきまして、私のほうから5分間で見直しの考え方を御説明させていただきます。
 まず1ページ目上段は、機構についての基本的な計数等でございますので、説明は省略いたしますが、国からの補助額、支出予算額ともに減少傾向であることは御覧いただけると思います。
 下半分、中期目標の達成状況でございます。○四つについて、かいつまんで御説明をいたします。
 まず組織運営の効率化についてでございますが、これは伊丹空港に係る事業が新関空会社に移管されまして、大阪国際空港事業本部を廃止したこともございまして、平成19年度から24年7月1日までの間に役職員を90名から32名まで削減しております。
 業務運営につきましては中期計画での削減目標20%に対しまして、平成23年度段階で60.9%に相当する額を削減しております。これが業務費でございます。また一般管理費につきましても、目標15%を上回る27.8%相当額を削減しております。
 次に、民家防音工事補助事業についてでございますが、これにつきましては補助のプロセスを見直し、申請者自らエアコンの設置更新等を行い、その後定額補助とするという簡素化を行いました。
 また、財務内容の改善についてでございますが、繰越欠損金につきましては、計画よりも1年早く、20年度決算の段階で解消することができました。
 次に2ページをお願いいたします。2ページ、上のほうは独法の事務・事業見直しの基本方針と制度・組織の見直しの基本方針、それぞれ閣議決定の項目につきまして右側に対応する形で行ってきた具体措置を書いたものでございます。
 まず事務事業でございます。事業規模の縮減につきましては、右の段を御覧いただきたいと思いますが、先ほど述べましたように、周辺環境対策自体が進捗していること、あるいはコスト削減の努力によりまして事業費の縮減を行っていますし、政府出資につきましても10.5億円あったものを3億円に減額しております。
 次に、大阪国際空港事業本部でございますが、今年の7月1日をもちまして、新関西国際空港株式会社に業務を移管し、本部を廃止いたしました。
 次に、福岡空港事業本部の業務の在り方についてでございます。これにつきましては次の制度及び組織の見直しの基本方針とあわせて御説明いたしますが、今年1月の閣議決定で、福岡空港については空港の運営の民間委託等を進める中で、業務を運営法人等に移管するという方向で検討すると、こう決めていただいております。これを受けまして、国土交通省といたしましては、先の通常国会に民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案を提出したところでございますが、御審議をいただく間がございませんで、継続審議となったところでございます。
 そして、この移管ができるまでの間は成果目標達成法人とするということとされましたので、私どもとしては行政事業型の成果目標達成法人として、国との連携を保ちつつ、確実、正確な業務執行に努めることとしております。
 今後の見直しの方向性でございますが、事業、組織全般について運営効率化、あるいは業務サービスの向上等を図り、また、来るべき民間運営会社等に対する移管について検討するということを前提としつつ、各事業の各論といたしましては○四つに整理をいたしておりますが、まず緑地造成事業でございますけれども、これは地元の御理解をいただきつつ進める国からの委託事業でございますので、地元との調整のできたものから進めていくこととしています。
 再開発整備事業につきましては、新しい事業着手は行わず、当面既存物件の修繕や維持管理を主な業務といたします。
 民家防音事業につきまして、対象家屋の住民からの申請に基づいて行うものでございますので、効率化を図りつつ、国と自治体の補助を受けて実施をしてまいります。
 移転補償事業につきまして、これも対象家屋の住民等からの申請に基づくものでございますので、それを受けて国の委託事業として実施いたします。いずれも業務運営の効率化と民間の運営権者等に対する移管を念頭に置きつつ行うということが前提でございます。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関する御質問等、どなたからでも結構でございますので、どうぞ。石田委員。
【石田臨時委員】  御説明にあったように、大阪国際空港の事業は新関西国際空港に移管されたわけですね。今は福岡もそういう形で民間の主体に移行するように継続審議をしているというお話なのですが、民間に運営主体が移った場合でも、緑地造成事業、あるいは移転補償事業等については、やはり国の業務を委託で渡すということですか。
【滝川課長】  これは法律上、今の騒音防止法上の業務を新しい運営権者に行ってもらうこととして、ですから、それは会社の業務ということになります。財源につきましても民間の運営権者ができた場合には、彼らが空港運営に伴って着陸料等の収入を得ることになりまして、これを財源として移転補償等の事業も行うということになります。そういう意味で国が委託料を払って、委託事業として行うというスキームはなくなります。
【石田臨時委員】  分かりました。
 あと、今継続審議ということですが、これが審議決着した場合には、間に合えば年度計画等にその工程表は盛り込んでいただけるという理解でよろしいのですか。
【滝川課長】  法案ができますれば、タイミングとか、民間事業者さんの状況に応じてどこまで具体的に書けるかということはございますが、年度計画には何らか位置付けをして、なるべく早く移管ができるようにと。あるいはそのための準備業務を書くことにはなろうかと思います。ただ、私ども必要なことは、運営権の売却というスキームになっていくわけですけれども、そのときになるべく有利なというか、最も有利な条件で運営権を売却してなるべく多くの対価を国として頂きたいというふうに思っているものですから、その関係でお尻の年度を切ってしまって、民間事業者とはやや交渉に近い部分もあるものですから、そこに不利になることは避けたいと思っています。ただ、工程をなるべく具体化して早く進めたいという考え方を持っております。
【石田臨時委員】  あと、それに関連して、今90名から32名になったということですが、32名の方は運営主体が変わるとそのまま移行できるのですか。
【滝川課長】  現在の職員は基本的に国、福岡県、福岡市からの人事交流で行っている職員でございますので、これは基本的には引き揚げていくということが前提になろうかと思います。民間の運営事業者さんは、空港運営に関するノウハウをうまく見つけていただいて、民間事業者にやっていただくというのが前提だと思っています。
【阿曽沼分科会長】  田渕委員、どうぞ。
【田渕委員】  民家防音事業について、大阪国際空港から業務を新しい運営主体に移管されていると思うのですけれども、その際、何か混乱とか、トラブルとか、そういったものはなかったのでしょうか。
【滝川課長】  幸いそういうものはなかったと思います。2段階ございまして、まずは円滑に旧機構から新関空会社にきちんと引き継ぎができるかどうか。これにつきましては無事に7月1日を迎えることができました。また、その後約3カ月経過しておりまして、私どもは大阪の航空局なども含めて国土交通省と新関空会社、地元の自治体、エアライン、場合によっては地域の住民団体の皆さん、折に触れて、会議という形式を取ることもあれば、そうでない、いわば日常的な非公式の接触もございますけれども、そういう中でいろいろな問題点は共有するようにしております。その中で大きなトラブルと言えるようなものは今のところ聞いておりませんので、何とか順調に、今のところ承継できていると考えております。
【田渕委員】  いろいろな問題点も共有されていて、特段の大きなものはないということなのですけれども、今度、福岡空港も新しい運営主体に移管されるわけですね。是非そのときにそういった問題点や課題等をいかして、トラブルのない形で、国民の皆さんに御迷惑が掛からないよう進めていっていただきたいと思います。
【滝川課長】  引き継ぎについてはなかなか地味な仕事ですが、実務的には相当大変でございましたので、まず、機構から新しい運営権者に業務を承継する点については、一定のノウハウを今回蓄積できたと思いますので、確実にやりたいと思います。幸い、今のところトラブルなく推移しておりますけれども、なければないほうがいいと私ども思っておりますが、もしも今後、何か地域で課題が生じて、それの解決についてまた経験の蓄積ができれば、当然そのことも新しい法律に基づく承継の中でいかしていきたいと考えております。ありがとうございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。石田委員、どうぞ。
【石田臨時委員】  ちょっと伺いたいのですが、新関西国際空港は、運営主体になりたいという人が出てきて当然だと思うのですね、パイが大きいので。でも、福岡の場合は継続審議が決着して、では、運営主体について誰かなってくれますかと民間に声をかけたときに、なり手というのはいるのですかね。というか、先ほどのお話だと、今まで緑地造成とか、移転補償も国からお金が出ていたけれど、これからは着陸料でやってもらうという話になると、利益というか、収益が見込めないと手がなかなか挙がってこないと思うのですが、その辺はいかがですか。
【滝川課長】  福岡空港は現在も非常に発着回数、旅客数も増えておりますし、今後滑走路増設の検討等も行われているわけで、現在の実力、それからポテンシャル、非常に高い空港だと思いますし、そういう意味で、一般的に言えば、現段階での民間事業者の中には御関心をお持ちのところがあろうかと思います。ただ、一方で、非常に市街地に近いということがこの空港のメリット、利便性の一つの大きなポイントなのですけれども、これは伊丹と共通点でございますけれども、それだけに周辺環境対策も非常に丁寧に、あるいは一定の事業量を行わなければいけないわけでして、そこのところをうまくバランスさせて、収益の見通しが立つようなスキームを民間から御提案いただきたいと思っておりますし、私どもとしても、なるべくそのための環境整備はやりたいと思っています。ただ、それをやるためにはやはり民間事業者も、相当の検討期間が必要ですし、私どもからしますと、国が管理している間に可能な何らかの環境整備をきちんとやって、なるべく有利な条件にして、民間も利益が見込めるいい条件の空港にする。私どもからすると裏表でございますけれども、なるべく良いコンセッションフィーをいただけるようにすると。それをするためには、先生御指摘のように、一定の時間を掛けて良いものを練り上げていく必要性はあろうかと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  よろしいですか。これはむしろ教えていただきたいということなのですが、今の独立行政法人の枠組みの中における国から見たガバナンスの状況と新しいコンセッション法の中で成立するであろう、法律の中での国からのガバナンスの在り方というのは、どう考えればよろしいのでしょうか。株式会社ということであれば、民間主体ということを前面に出されると、ある程度国の制約というものが遠くなるように思いますが、他方でこれは市場論理でやる事業ではないところもありますね。市場に全く任せてしまってもいいという業務ではないと思いますので、その辺はいかがでしょうか。
【滝川課長】  空港の運営管理、いろいろな側面がございますけれども、まず安全面ですね。ここが航空行政として、最も国として守らなければいけないところでございます。安全にかかわる一側面として管制ですね。航空管制業務については新しい法律に基づくコンセッションをやったとしても、国が管制業務を続けていきますので、そこを通じて、まず一つは安全の確保を図るということがございます。
 もう一方で、非常に難しゅうございますのが、周辺環境対策でありますとか、安全も、むしろ安心側に触れたような部分を住民の皆様にどうやって御理解をいただくかということがございます。この点につきましては、ある意味で積極的な空港運営ができるかということと、それをするために周辺地域の住民の皆さんの御理解をうまくいただけるかということが裏表だと思っていますので、そこを全く分離した経営というのは株式会社にお任せする場合でも、私はそのようにできないのではないかというふうに思っております。
【岡本臨時委員】  今言われたような国の関わりというものは法律の中に根拠があるということですね。
【滝川課長】  コンセッションをしますと、周辺環境対策については騒音障害防止法に基づく業務をやる。その中で必要なことを事業者がやるということになりますので、いわば委託側である国と受託会社の関係にはなっていきます。
【阿曽沼分科会長】  ほかによろしゅうございますか。大体よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もございますので、空港周辺整備機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては御多用中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえて、今後の主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。
 時間の都合で十分な御質問ができなかった委員がおられるかもしれません。この場合は後日事務局を通じて照会しましたり、必要に応じて、またワーキングの開催をお願いしたりすることもあろうかと思いますが、その際には御対応のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 それから、北河政策評価官におかれましては、最初から最後まで御出席賜りましたけど、一つ一つの独法に対して、新たな御質問、資料の提出、いろいろお願いを申し上げておりますので、事務局のほうともよく相談をしながら、対応のほどよろしくお願いいたします。
【北河評価官】  はい。今後ともよろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  本日はどうもありがとうございました。
【北河評価官】  ありがとうございました。
【滝川課長】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  以上で本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたしたいと思います。
 最後に事務局から報告事項がございますので、お願いいたします。
【北川評価監視官】  はい。次回ですが、明日10時から、お昼を挟みまして、16時45分までの予定で、この建物の8階第1特別会議室でヒアリングを行います。文部科学省、財務省、経済産業省の計11法人となります。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用中、ありがとうございました。

了 
 

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