政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(9月26日開催)


  1. 日時  平成20年9月26日(金)10時00分から11時30分

  2. 場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

  3. 出席者
            (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、森泉陽子政策評価分科会長代理、藤井眞理子委員、高木勇三臨時委員、高橋伸子臨時委員、田中常雅臨時委員、谷藤悦史臨時委員、永瀬伸子臨時委員

      (総務省行政評価局)
      関行政評価局長、新井審議官、渡会審議官、新井総務課長、松林政策評価官、松本評価監視官、安原評価監視官、羽室政策評価審議室長
     
  4. 議題
            1    配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価(総合性確保評価)について
      外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価(総合性確保評価)について

  5. 資料
            資料1   配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価 説明資料
      資料2 外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価 説明資料

  6. 会議経過
    【金本分科会長】  時間が参りましたので、ただいまから政策評価分科会を開会させていただきます。
     本日の議題は、「配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価(総合性確保評価)について」及び「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価(総合性確保評価)について」でございます。
     「配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価」は、平成19年3月から、「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」は平成19年7月からそれぞれ評価を実施しております。今日は、これらの政策評価について御審議いただきたいと思います。
     まず、「配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価」について、事務局から説明をお願いいたします。
    【松本評価監視官】  担当評価監視官の松本でございます。座って説明させていただきます。
     お手元の資料、「配偶者からの暴力の防止等に関する政策評価 説明資料」というつづりでございます。資料について簡単に構成を申し上げますと、資料1−1が、今後私どもが評価結果を取りまとめるに当たって、このような方向で取りまとめていきたいという考え方を示した資料でございます。この私どもの考え方に対して、いろいろ御助言賜ればと思っております。これを中心に御説明申し上げたいと思います。
     それ以降の資料でございますが、資料1−1を補足するものといたしまして、資料1−2が効果の発現状況に係る経年推移、基本的な統計のデータでございます。それから資料1−3がアンケート結果の概要でございます。
     それから参考資料1といたしまして、この政策の概要をつけておりますし、また、参考資料2といたしまして、もう少し詳細に見たときの施策体系図というものをつけております。それから、最後につけさせていただきましたのが、先般私どもが8月末に公表しましたこの評価の一環として行ったアンケートの結果の概要でございます。それでは、資料1−1をお開きいただきたいと思います。まず、一番上に掲げております評価の対象とする政策であります。これは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律等に基づく配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための政策ということで、簡単に申し上げれば配偶者暴力防止法というのが平成13年10月に施行されておりまして、その法制定効果がどうなのか見ていきたいということでございます。
     関係府省といたしましては、中心的な役割を果たしておりますのは内閣府の男女共同参画局であります。それから、主務省としてはそのほかに三つございまして、警察庁、法務省、厚生労働省でございます。それ以外に関係する府省といたしましては、総務省が住民基本台帳の閲覧の関係、文部科学省が被害者の子どもたちの就学の関係、国土交通省が被害者を公営住宅に入居しやすい環境の整備と、自立支援の関係から総務省、文部科学省、国土交通省が関係しているということで、都合7省庁が基本的にこの政策に関係している省庁ということでございます。それらの関係省庁の政策が総合的に効果を発揮するために、うまく展開されているのかという観点からいろいろチェックしてみたということでございます。
     資料1−1にお戻りいただいて、上のほうに掲げております枠の二つ目でございます。政策の目的は、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることです。中心的な役割を果たす省庁といたしまして7省庁御説明申し上げましたが、このほかにアクターといたしましては、都道府県、市町村、地方公共団体プラス民間のボランティアでやっていらっしゃる方々、NPOの方々といった方々も一体となってお取り組みいただくという体系になってございます。
     この目的について分かりやすく申し上げれば行政として配偶者からの暴力に係る通報体制、相談体制、保護する体制、自立を支援する体制といった体制を整備していきましょうということです。そういう中で、暴力の防止でありますとか被害者の保護を図ってまいりましょうというのが基本的な目的であります。
     その下でございますが、私どもが評価項目として掲げましたのは、有効性の観点が中心でございます。配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護という目的に照らして、どのような効果が発現しているのかという観点です。
     具体的な設問といたしましては法の制定を契機に、国、地方公共団体及び民間団体におけるDVの防止、被害者の保護に係る体制の整備はどのように進んでおり、それを被害者等はどの程度利用しているのかという切り口と、国、地方公共団体及び民間団体の実務担当者は、法の制定以降の取組についてどのように評価しているのか、アンケートを中心にこの辺を見たということでございます。
     次に効果の発現状況ですが、まず、体制整備がどの程度進んできたのかということでございますが、主なものとして五つほど御紹介させていただきます。
     一つは、配偶者暴力相談支援センターというものがございます。困ったときに駆け込めるところとイメージしていただければよろしいかと思いますが、そういった支援センターがこの6年間で2.1倍に増加しているということでございます。
     次に、被害者の一時保護でございますが、一時保護を委託契約している施設数の指標で見ますと、この4年間でこれも2.1倍に増えているということでございます。
     それから3番目に、被害者の公営住宅への優先入居制度等の導入状況ということでございますが、これは平成16年度から実施可能になっておりまして、優先入居の実施事業主体数で見ますと、16年度以降3か年で1.8倍に増加しているということでございます。
     それから4番目に、被害者に係る住民基本台帳の閲覧等の制限は、我々が調査しました27市のすべてで実施されておりました。
     それから保護命令制度でございます。被害者が困ったときに裁判所に訴えて、加害者からの暴力の防止を図るための措置で、具体的に申し上げれば接近禁止命令、それから住居からの退去命令を出していただくといった保護命令制度が法で予定されており、すべての地方裁判所でそういった制度が設けられて、受け付ける体制が整備されているということでございます。
     このように、法施行以降着実にDV被害者の保護なり暴力の防止のための体制整備が進んでいると言っていいのではないかと考えております。
     2番目でございます。法が制定されて以降、通報、相談、保護、自立支援、保護命令の件数が増加していると書いてございます。具体的に私どもが細かい施策レベルで統計をいろいろ見てみましたところ、1)の通報、支援センターの通報と警察への通報と2種類ございますが、いずれもこの5年間で1.5倍前後、2倍弱増えているということでございます。
     それから、相談も同様でございますが、支援センターと警察への相談を、警察の場合は認知件数という言葉を使っているようでございますが、それにつきましても、この5年間で1.5倍ないし1.7倍といった伸びを示しているということでございます。
     それから保護でございますが、婦人相談所に一時保護された被害者の数で見ますと、この4年間で1.1倍に増えております。また、母子生活支援施設または婦人保護施設、分かりやすく申し上げれば母子寮などでございますが、そういったところに入所されているDVの被害者の数の合計で見ますと、14年度からの4年間で1.1倍に増えているということでございます。
     それから、被害者に係る住民基本台帳の閲覧等の制限の状況でございますが、申請件数という指標で見ますと、16年度以降2年間で2.1倍に増えているということでございます。それから、裁判所が出しました保護命令の発令件数につきましても、この5年間で1.9倍程度に増えているということでございます。
     こういった体制が整備され、それを利活用される数が増えているということについてどのように評価、分析していくべきであろうかという参考にするために、国、地方公共団体と民間団体の実務、行政の第一線で働いている方々を中心にアンケートを行いました。その結果、相談件数でありますとか一時保護件数が増えている理由について、配偶者からの暴力に関する認知度・理解度が上昇し、これまで潜在していた被害が顕在化するケースが増えていると見るべきであろうという回答割合が多くございました。
     このほか、私どもが政策評価を行う上で研究会というものを立ち上げておりまして、大学の先生でありますとか行政で働いていらっしゃる方々、それから民間で活動していらっしゃる方々にお集まりいただいて、いろいろ御助言をいただくスキームを用意させていただいております。
     その研究会でも体制の整備ともろもろの相談件数等が増えている状況をどう見るのかということについて御審議賜りましたところ、このアンケート結果と同じように、法が制定されてそれが国民の中で理解されるようになった。配偶者からの暴力は犯罪なのだという認識、理解が深まることによって、従前潜在化していたものが顕在化してきたと見るべきなのであろうという御意見を賜っております。
     2ページでございますが、こういったことから私どもといたしましては、法の制定による一定の効果が発現しているとみられると考えております。しかしながら、それぞれの施策レベルで少し詳細に見てみますと、さらにこの法のスキームを充実させていくためにさまざまな課題があると考えております。それがII2の1以降でございます。
     通報につきましては、支援センターでありますとか警察において通報を受け付ける体制の整備が進んでおりまして、通報制度の周知・広報等も実施されております。また、通報件数は、先ほども御説明申し上げましたとおり法制定後約1.5倍に増加するなど、一定の効果が発現していると見られますけれども、次のような課題があると思っております。
     1の(1)でございますが、私どもが実地で調べました結果、通報件数の的確な把握という点で不十分な点があったということでございます。通報件数について内閣府に報告するスキームがありますが、幾つかの県におきましては、通報すべき案件を相談のほうに分類しているという実務上の問題が生じているというのがございました。アンケート結果などを見ましても、現行の通報の仕組みや運営は、被害者の早期発見のための取組としてはまだまだ十分ではないという回答が多数を占めております。
     相談につきましても同様でございますが、課題のほうだけ簡単に御説明申し上げますと、「相談件数の的確な把握」という2の(1)の1)でございますが、支援センターからの相談統計の報告を内閣府に提出するスキームの中で、幾つかの県においては、支援センターが受け付けた相談件数だけではなくてそれ以外のものも合わせて報告している。都道府県によって取扱いがばらばらだということでございます。
     それ以外にも、国は支援センターや警察等以外の公的機関の相談件数を把握しておりませんが、市町村に寄せられる相談というのも多々ございます。それから、男女共同参画センターというところに寄せられる相談も多々あるようでございます。幾つかの都道府県におきましては、それらも把握して都道府県の中のDV統計をとっているところもあるのに比べて、内閣府はそこまで手が広がっていない状況をどう考えるのかという課題があろうかと思っております。
     それから2)でございますが、電話相談の受付時間ということで、地方公共団体によってかなり格差があるということでございまして、一番進んでいるところは24時間受け付けする体制をとっているところがあるのに比べて、受付終了時間が16時半から18時程度にとどまっているところもあり、開きがあるということでございます。アンケート結果を見ましても、いつでも相談を受けられるようにすることに対するリクエストが高いという状況がうかがわれました。
     それから保護でございます。3ページに移らせていただきますが、今の一時保護という保護の仕組みを見ますと、実地調査結果の1)、「一時保護機能の市町村への付与」というところでございますが、法律上被害者の一時保護というのは、都道府県が設置する婦人相談所が行うことになっております。言葉をかえて言えば業務独占であり、婦人相談所以外はやってはいけないというスキームになっているわけでございます。
     しかしながら、市町村が自ら被害者の一時保護を行うニーズも高くなっておりますし、まさに住民が身近なところで保護を受ける体制というのも充実していくことが望ましいと考えるわけですけれども、それが現時点では容易にできる環境にはなっておりません。市町村が自ら被害者の一時保護を行うためには、都道府県との協議により条例に基づいて自ら婦人相談所を設置するということが必要とされております。
     ところが、その実績は現時点全くありません。市町村にその辺の事情を我々がいろいろ伺ったところ、市町村が自ら一時保護機能を保有するために、現行の婦人相談所を設置する仕組みというものは現実的ではないということです。それから、2)の一時保護手続でございますが、被害者が容易に申請を受けていただける環境という視点から見ましたときに、一時保護の申請につきまして原則福祉事務所を経由しなければいけないと言っているところがある一方で、そこを原則としていないところがあります。政府の方針としては、あまり原則とすべきでないという方針が打ち出されているようですが、現場では取扱いが必ずしも一致していないということでございます。中には婦人相談所に相談に来ているにもかかわらず、福祉事務所を経由していないとして、改めてそちらに行ってから来てくださいというやり方をやっている例もあったということでございます。
     それから、4番目の自立支援でございますが、就業の支援について、最近、19年9月に厚生労働省は、公共職業安定所でDV被害者に対する支援措置というものを講じたようでございます。具体的には、公共職業訓練の受講あっせんなどを受けられるようにするということでございますが、その制度を周知する活動が十分ではございません。市町村との連携も不十分となっているということでございます。
     職業安定所の就業支援を受けるためには、市町村からのDV被害者であるという証明書が要るというスキームになっているようでございまして、その制度をよく承知していない市町村があったり、市町村との制度発足後の連携という意味で、制度をうまく展開していくためにどのようにやっていくかという打合せも十分なされていない状況も見られたということでございます。
     それから4ページでございます。公営住宅への入居に関する制度も用意されておるようでございます。被害者が困っていらっしゃるときに、公営住宅に優先的に入居できるような制度ということで、多くの都道府県、市町村で導入しております。しかしながら、いろいろな事情もあろうかと思いますが、まだまだそれができていないところもございますし、優先入居制度による入居率という点で見てみますと、私どもが調べた範囲では13%程度ということで、優先入居といってもなかなか入りづらい環境にあるという現実のようでございます。
     他方、いろいろな工夫をされているところもあるようでございまして、被害者などを対象とした専用の住宅などを確保して登録順に入居を認めている、優先入居の代表的な仕組みが抽選率の倍率を上げるということでございますが、それにとどまらずこういった制度を設けている、進んでいる県と言ってよろしいかと思いますが、そういったところもあるという実態が分かってまいりました。
     アンケート結果でも一つ気になった点がございまして、被害者の23%が公営住宅の優先入居制度を知らなかった、制度の周知という意味でまだまだ改善する余地があると感じております。
     それから、(3)の「子どもの就学」でございます。こちらにつきましては文部科学省が、DV被害者のお子さんが学校を変わるときに、手続的なもの等を被害者の立場に立って容易にできるようにするという方向で動いているようでございますけれども、私どもが調べたところ、配偶者からの暴力を理由とする区域外就学の際にいろいろな添付書類が必要となっています。どんな書類が必要なのかという点についてみますと、地方公共団体でいろいろばらばらだという実態が出てまいりましたし、被害者の子どもの情報が加害者に漏れることを防ぐために指導要録に転学先の情報を記載しない、記載事項も市町村によってやり方がばらばらだという実態が浮かび上がってまいりました。
     それから、(4)の「住民基本台帳の閲覧等の制限」でございますが、1)で書かせていただきましたのは、住民基本台帳の閲覧制限の申請がありましたときに、申請者がほんとうにDV被害者なのかどうかを証明する行為が必要だということで、それを立証するための照会先として、警察のみならず支援センターでありますとか裁判所の保護命令などいろいろやり方があって、市町村が工夫するというのが原則になっているわけでございますが、事実上運用の問題としまして警察に限定して、何でもかんでも警察に相談、証明を求めるのはいかがなものかというのが県警本部のほうから聞こえております。もう少し柔軟に市町村の責任で判断してほしいというリクエストのようでございます。
     それから2)でございますが、選挙人名簿の抄本の閲覧制限。住民基本台帳の閲覧の制限のみならず、選挙人名簿の抄本の閲覧というところからも加害者が被害者の住所情報を把握することが可能なようでございます。そちらも、当然のことながら閲覧を制限するという制度は既に導入されておるわけでございますが、現場を見ますと、まだまだ住民基本台帳担当部局と選挙管理委員会との連携、連絡が不十分などのために、選挙人名簿の抄本の閲覧制限をやっていないところも幾つか見られたということでございます。
     それから、3)の「住民基本台帳からの情報に基づき事務処理している部局との連携」というところは、推奨的な事例ということで御紹介申し上げたいと思いますが、住民基本台帳の閲覧制限の対象とした被害者につきましては、国民年金などの関係部局にも速やかに連絡し、被害者情報の厳重な管理、市役所内の連携が十分図られている例、それから二つ目の、関係部局が共同利用する住民記録検索システムの画面上に住民基本台帳の閲覧制限の対象となっている被害者ですということがわかるフラグを設定して、関係部局が一目でそこの重要性を認識できるようにしているところもあったということでございます。
     最後のページでございますが、関係機関の連携という点について、当然のことながら、都道府県が中心となって作っております関係機関連絡協議会への積極的な参加ということも一つの重要な事柄だと思いますが、それにつきましていろいろ見てみますと、例えば法務局の例で申しますと、法務局自身できるだけすべて参加するようにという本省からの指導方針は出ておるわけですが、私どもが調べた範囲では、27都道府県のうち三つの法務局におきましては、都道府県との調整が不調などのために協議会に参加していないという実態が出ております。これにつきましては、今後法務局のみならず、職業安定所等の参加状況など幅広くもう少し調査を深めていきたいと思っております。
     それから2)でございますが、これは推奨できるであろうと考えている事例の御紹介であります。被害者の自立支援の手続の一元化ということでございまして、国自身もできるだけ被害者負担の軽減の観点から手続の一元化を図りましょうという旗を振っておるわけでございますが、その方針を踏まえて進んでいるところとして、被害者からの相談対応マニュアルや関係部局共通の相談シートなどを作成して、被害者の負担軽減と二次的被害の防止を図っているところも幾つか見られました。よくこの分野で評判になっているのは、佐賀県、鳥取県あたりがワンストップサービスの代表選手と言われているようでございますが、そういったところを確認できたということでございます。
     このような形で私どもは、通報制度、相談制度、保護制度、自立支援制度といったところを中心に、今後法の制定によりどのような効果が上がっているかさらに分析してまいりたいと思っておりますし、DV行政の中心の一つが都道府県、市町村でございますので、都道府県ごとにそれを分析したときにどのような状況になっているのかというあたりも見た上でさらに効果を分析し、かつさらなる改善を図るための課題を整理してまいりたいと思っております。説明は以上であります。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして御質問とか御意見があればお願いいたします。
    【高木臨時委員】  評価項目のところを拝見しますと、有効性ということになっているのですけれども、当初評価対象として設定したときにこういうことだったのだろうと改めて思うのですが、振り返ってみると、有効性という視点だけというのは必ずしも適切ではなかったのではないかと思うところです。
     どういうことかといいますと、これは議員立法でできたという状況の中にあって、現状がよくとらえられていない中で政策の遂行が必要となったという状況だったわけですが、一般にということも言えますし、特に今申し上げた議員立法のときに言えるかと思いますが、仮説を持ってそれを検証するような形で政策遂行がされていかないと、経済性、効率性といいますか、効率的に政策が遂行できるかどうか何とも言えないわけです。
     これは、全体を見ていますと、こういう状況じゃないかというそれなりの想定は置いているのですが、どうも定性的なところでその辺の想定を置くところにとどまっていて、定量的な意味での仮説というものをあまり設けて遂行されていなかったのではないかと思うところです。その結果、果たしてこの政策遂行が効率的になされたと言えるのかどうかということなども、当初から問うような視点が望ましかったのかなと改めて、自身の反省も含めて思うところであります。
     あと、ここで全体的なまとめ方をどう予定されているのかなというところがいま一つ見えないのですけれども、一定の効果の発現と言っておられるのですが、全体を見ていますと惨たんたる状況ではないかというのが個人的な印象で、一定の効果といってもほんのわずかの効果ということであって、政策の遂行として、反省を含めて十分な検討がさらに行われて遂行されているわけではないという印象を持ってしまうものですので、どんなまとめ方を予定されるのかなとお伺いする次第です。
    【松本評価監視官】 最初にお尋ねがありました効率性の観点、有効性のみならずという観点につきましては、当初の評価設計のときにも重要な問題だという御示唆もいただいておりまして、私どももトライする、チャレンジするという意味では、全体予算がどれくらい投入されておって、投入された費用に見合った効果が出ているのかという視点を持って勉強してまいりました。
     それを具体にどう指標化、定量化してできるのかということについていろいろ調べてみたのですけれども、DVの政策効果、予算との関係というものが手法的にはまだ参考になるものがなくて、我々もそこはまだ勉強にとどまっているということで、今回お示しできていないということであります。引き続きその視点での検討はしてまいりたいと思っております。
     それから、全体をどう取りまとめていくのかということでございますが、本日の皆様方からの御意見、御助言を踏まえながら考えてまいりたいということになるわけでございますが、一つの視点としましては、今もともと定量的な指標なり仮説のもとにこの政策が展開されているのかということが重要な視点と承りましたので、その意味では、各省がどのような政策目標を立てて、自らどのような政策評価をやっているのかというあたりも分析しながら見てまいりたいと。仮にそこが不十分なのであれば、しっかり各省自ら評価もしてくださいという言い方をしてまいりたいと思っております。
    【金本分科会長】  よろしゅうございますか。
    【高木臨時委員】  はい。
    【金本分科会長】  そのほか何かございますか。田中委員、どうぞ。
    【田中臨時委員】  今のお話にも重なるのですけれども、全体的にイメージとして効果が上がっているという説得力があまりないような気がするのです。その説得力については、例えば体制整備例と通報の相談件数であるとか認知件数がそれぞれ上がっていると言っているところがあると思うのですが、実際に相談窓口が増えて件数が増えるというのは、同じ比率で増えているというだけにすぎないように思うのです。ひょっとしたら、もっと相談窓口を増やせばどんどん相談件数も増えてくるのかもしれないという潜在的な状況をよく把握できていないように思うのです。その辺が何らかの形でうまく評価できると、これからどうしていったらいいのかということにつながると思います。意見です。
    【松本評価監視官】  貴重な御助言ありがとうございます。私どもはそのような問題意識を少し持っておりまして、例えば支援センターの数は20年4月に180であると整理しておりますが、これを都道府県別に見ますと、一番多いのは北海道の18でございます。それに対して、都道府県内に1しかないところもございます。その違いが相談件数などに反映していないだろうかという分析も別途今やっておりまして、必ずしも明確な因果関係とまではいかないというのが現時点の感じではございますが、そういった先生の御示唆も踏まえて、可能な限り分析に努力してまいりたいと思います。
    【金本分科会長】  はい。
    【森泉委員】  1点だけ確認しておきたいと思います。1ページの2で、通報から保護命令の件数が増加しているということの例として1.6倍であるとか2倍であると書いてあるのですが、その中でちょっと気になったのが、保護が4年間で1.1倍に増加ということになっているわけです。年間で1.1倍に増えたのが効果と言えるかどうか私はよく分からないのですが、今後の課題というところにはかなり的確にいろいろなことが書かれていると思います。
     このばらつきですが、1.1倍というのは増加したのか一定なのかよく分からないというところがあると思うのですが、増加件数のばらつきを次のページの枠の下の4番、「このようなことから」の次のところで「一定の効果が発現している」という、この一定の効果というところにそういうことが含まれていると理解してよろしいでしょうか。
    【松本評価監視官】  結論はそういうことですと申し上げたいと思うのですが、1.1倍の話につきましては、二つ私どもも今検討しております。一つは、おっしゃるように、ほかが2倍なり1.5倍なりどちらかというと伸びが目立つのに対して、ここはあまり伸びていないという見方もできるだろうという御指摘と、単純に倍数を比較できるのかという議論もあろうかと思っております。その辺もいろいろ勉強したいと思っております。
     それと、1点だけ私どもも、研究会の方々にどうしてここはほかの指標に比べて伸び率が低いのでしょうかということについて参考意見をいただいたものを御紹介したいと思いますが、これはむしろ喜ばしいことと考えていいのではないかというのが研究会の先生方のお考えでありまして、まさに制度の理解が進んで、施設に保護していただくという究極の手段を講じなくても、DV被害の予兆なり前兆がある段階から、被害者の方がある意味言葉を選ばずに言えば賢くなって、アパートを借りる資金準備を始めたとか、まさにDV被害者としてとるべき措置を理解して手立てを打つようになった。公的な施設に一時的に保護していただくところまで行かなくてもいいような状況が出てきたという見方もできるのではないかという御意見も賜っておりまして、引き続きこの辺の指標をどう見るのかという話につきましては関係者の方々から広く御意見を聞きながら、また、各省ともよく議論しながら整理してまいりたいと思います。
    【金本分科会長】  藤井委員。
    【藤井委員】  3点ほど質問と気がついた点を話させていただきます。一つは資料の1、2ページのところで、通報件数や相談件数の的確な把握を挙げておられまして、いずれも課題のところ等を見ますと、内閣府に報告するように依頼されているようなのですが、それが実施された結果、資料1−2にありますような全体の集計につながっておられるのでしょうか。サンプル的に調査した結果のみ分かっているということですと、なかなか全体像が把握できませんし、先ほど県別の動向のお話がございましたが、全体が分かるのであればもう少し統計的な整理ができると全体状況が分かりやすいのではないかという感じがいたしました。
     2点目は、先ほど幾つか県の名前を挙げられましてこういう取組の例もあるということでしたが、4ページで多少先ほど御紹介がありましたが、この分野の施策におけるベストプラクティスを紹介され、こういう方向はどうかというような御示唆をされるようなまとめ方を考えておられるのでしょうか。
     3点目は最初の件とも重なるのですが、定量的に把握するためには、例えばサンプルのベースが一緒であるとか幾つかの条件がそろっていないと経年比較などは難しいと思います。内閣府がもともとそういうことで体制を整備されているけれども必ずしも十分でない、ということなのかどうかという点です。アンケート調査はそれなりに大変興味深い点があるのですが、最初のほうの資料1−2の統計的な部分が、どうもサンプルが少なさそうなところとそうではないところとか、全体像が見えにくいところがありましたので、もし幾つか教えていただけることがありましたら、お願いいたします。

    【松本評価監視官】  お答えいたします。資料1−2の説明なり作成の仕方が理解しがたかったのだということでおわび申し上げたいと思いますが、資料1−2に掲げさせていただきました資料は、内閣府もしくは警察庁などがマクロ、全国のデータを集計した結果でございまして、御指摘のとおりこの裏には都道府県別のデータがあるということでございます。
     私どもは、うちの出先機関を使ってそのデータ以外に実地調査を47都道府県中27都道府県でやりましたので、そのデータを補足的に使っている、もしくは内閣府などが持っていないミクロのデータ分析についてはそれを使っていると御理解いただきたいと思っております。したがいまして、通報の件数というものにつきましても、あまり多くないような印象があるかもしれませんが、これは全国、マクロの数字として内閣府がつかんでいる数字でございます。
     それから、2番目のまとめの仕方ということで、ベストプラクティスを紹介するような形かという御照会でありましたが、それも当然やりたいと思っておりますが、それ以外にも、これまで各府省が都道府県、市町村に対して方針を示しておられるわけでありまして、その方針が現場に徹底していないという課題がある部分につきましては、その方針の徹底をさらに進めていただきたいという両方の手だてを講じていきたいと考えております。
    【藤井委員】  そうしますと、内閣府が一応マクロで把握されているということになっているにもかかわらず、2ページ目に相談件数の的確な把握というのがさらに出てくるのは、実施のプロセスが必ずしも都道府県によって一定していないので的確にとらえられていないという御印象をお持ちだということでしょうか。
    【松本評価監視官】  おっしゃるとおりです。
    【金本分科会長】  永瀬先生。
    【永瀬臨時委員】  御報告どうもありがとうございました。調整が難しいので必ずしもうまくいっていない事例等を伺い、そういう調査がなされて、状況が明らかになりよかったと思います。「配偶者からの暴力の防止等に関するアンケート調査結果〈概要〉」という参考資料3の6ページを拝見いたしますと、これは被害者からのアンケートなのですが、相談に一番行くのは警察であり、半数を超えていて6割弱となっています。支援センター等が多いわけではないため、やはり一番設置数が多い警察にまず行くと想像されます。しかし対応に満足しているかどうかというところを見ますと、最もよく行く警察での満足は、法務局に次いで低いものとなっています。
     だから、一番よく使われる機関の満足度が低いということについてはどのようなことなのか教えていただきたいということが1点目です。次に現行の国、地方公共団体の取組について、その仕組みや運営は被害の拡大の防止や被害者の自立の促進のために十分だと思いますか、不十分だと思いますかという質問への回答ですが、国、地方公共団体の実務者に聞いたものですと、就労の促進や住宅の確保については課題を感じている方たちが6割以上でありますので、そこは多くが問題を抱えていると認識している。しかしそれ以外については国・地方公共団体の実務者は大体半数ぐらいがうまくいっていると回答しています。ところが民間団体の実務者の回答を見ると、かなり国・地方自治体の実務者と認識の乖離が大きく、民間のほうでは全般に不十分だと言っています。
     先ほどのこの評価は、利用者である被害者からの評価であり、また民間団体からの評価は、国や地方公共団体の外側の支援団体からの評価や視点ということになります。国・地方自治体の政策の自己評価の際には、外がどう見ているかということをよく検討することが重要ですが、この辺の認識の乖離の原因はどのようなものと思われていらっしゃいますでしょうか。

    【松本評価監視官】  率直に申し上げれば、私どもはアンケート結果が取りまとまってこれをどう見るかという検討は、これから本格的にいろいろな先生方の御意見を伺いながらまとめていきたいと思っておりますが、あまり予断を持ってこう見るべきだということを言うことは現時点で考えておりませんで、まさに行政をつかさどる者として、アンケート結果を十分踏まえて今後の政策の参考にしていただきたいというのが基本にあろうかと思っています。
     最初に御指摘いただいた警察の問題ですが、たしか先週の月曜日だったと思うのですが、NHKあたりも先生と同じような問題意識を持っておられて、最も身近なところで相談先として頼られているのに満足度が必ずしも高くない。この辺をどう考えるべきでしょうかということで警察庁のほうにも意見を聞かれたようです。
     仄聞するところによれば、警察庁としては改善すべき点があれば今後改善してまいりたいという答えをしたようでございますけれども、やはり警察もこのアンケート結果については神経をとがらせておりまして、まだまだ警察の取組が十分評価されていないというのは今後課題として受けとめて、評価されるような取組に努めていかなければいけないと考えているというニュアンスを聞いておりますので、最終的な取りまとめに当たりましては、こういった私どもがやったアンケート結果も十分踏まえて、今後の政策を進めていただきたいという言い方で、いろいろ課題の中で使えそうなところは使っていくということで考えていきたいと思っております。
    【永瀬臨時委員】  先ほど、支援センターは増えてはいるがそう簡単には増えないだろうということをおっしゃっていましたので、そうなると一番身近な警察などでの相談の満足をあげるための改善はとても重要な課題かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
    【金本分科会長】  そのほかに何かございますか。谷藤委員、どうぞ。
    【谷藤臨時委員】  御説明にありましたように、関係省庁が7省庁に及んでいるというなら、各省庁はどのような政策評価自体をやっているのかでしょうか。その中で、定性的ないわゆる効果発現の手法以外の、定量的なアプローチで政策評価をやっている事例があるのでしょうか。もしそういうものがあるのなら、最終的な報告の中にそれを組み込んでいくことも考えられるのではないか。
     もう一つは、都道府県、市町村でかなりばらつきがあるということが説明されましたが、それは制度システムの問題なのか、つまり、制度運用や手続がかなり未整備なところが問題なのか。それとは別に、制度の理解が各都道府県でばらばらであることに問題があるのか。ここまで分析した段階で、どのような感想を持っているのか。最終的な取りまとめとしては、どちらの視点で報告書を作っていくのか。この二つについて御意見を伺いたい。

    【松本評価監視官】  第1点目でございますが、各省も一定程度はDV政策に関して評価をやっているようでございます。評価書というのは散見されます。ただ、内容を見ますと、まさに定量的な目標を立てがたい、立てていないわけでありまして、私の記憶によれば、シンポジウムを開いて何人集めましょう、何人集まったから効果が上がった程度の評価しかやっていない省庁もあるようでございます。これからその辺は、先ほども申し上げましたとおり本日の御意見も踏まえまして、各省がDV政策をどのように評価しているのか、自己点検が十分行われているのかという目線も、私どもは評価の一項目に位置付けて分析してまいりたいと思います。あまりやっていないというのが率直な感じであります。
     それから2点目でございますが、都道府県のばらつきについて制度システムの問題なのか、それとも運用手続面なのかというお尋ねですが、まだ結論は出しておりませんが、両方あるという感じがしておりまして、例えば制度システム面の問題という例を挙げさせていただければ、この資料の中にも記述いたしましたが、一時保護機能が婦人相談所の業務独占で市町村は今事実上やれない状況にございます。これは制度システムとしての欠陥はないのだろうかというあたりは、視点としては持っております。
     それ以外に、幾つか挙げました統計上の未整備の問題でありますとか、ルールがしかれたばかりでまだ周知が図られていないという事例もございましたので、そういったものは手続、運用面の問題だと思っておりますので、国は単純に方針を示すだけではなくて、現場に趣旨、目的がきちんと浸透するように徹底していくというあたりも進めてほしいという両面でいくのかなと思っております。
    【金本分科会長】  そのほかよろしゅうございますか。
    【永瀬臨時委員】  被害者からの目線というのが大事だと思うのですけれども、民間委託のようなものは制度としてあるのでしょうか。
    【松本評価監視官】  一時保護の委託というお話をちょっとさせていただきましたが、婦人相談所のキャパシティーがオーバーフローしたときには、民間シェルターのようなところに委託して、そちらに一時保護をやっていただき、そのときに国費も半分お出しするとか、そういった制度は用意されております。
     それから、いろいろなところで相談を受けていただいたり、福祉事務所と連携して自立のための支援をしていくといったところに果たす役割も法律上きちんと位置付いております。もともとDV政策というのは法律ができる以前から民間主導型で進んできており、行政は後追い型と言われておりますので、そこの重要性を関係者は十分理解しておるようでございまして、関係連絡協議会にも必ず入っておりますし、制度としても用意されております。民間の方にお尋ねすると、課題は財政的な裏付けでして、なかなか国も自治体も出してくれない。その辺が一番のお悩みと伺っております。
    【永瀬臨時委員】  民間にもう少しお金をつけるほうが効率的ではないかと思います。行政では調整がかなり大変そうだという印象を今回の報告から受けました。また今回の報告から受けた印象ですが、行政側は被害者目線で対策をとっているというよりは、通常業務目線の中に対策を小さく入れているとの印象を持ちました。そういうことを考えると、むしろ民間に財政をシフトするというのも一つの考え方としてあり得ると思いましたので、質問させていただきました。
    【松本評価監視官】  お金をどう配分するかというのは、政策評価結果からなかなかきれいに導き出しづらいものですから、いろいろな方がいろいろなところで政策提言としてお出しいただく上での参考素材を私どもは提供できればいいかなと考えております。
    【永瀬臨時委員】  また相談件数が増えている要因の解釈ですが、私は非正規雇用の拡大により雇用の不安定化が起こっていること、それから、若い世代では「できちゃった婚」が増えていて、若い世代での壊れやすい婚姻が増えているということもあると思います。特に10代後半から20代前半までにそういう婚姻が大変増えておりますけれども、そういった経済情勢の変化、あるいは結婚の在り方の変化がございます。つまり、若い低学歴層での離婚が大変増えているという事実がございますが、そういったこととの関連は御覧になっていないのでしょうか。
    【松本評価監視官】 その視点も持っております。一つは、都道府県格差がどうして出るのかというあたりをどんな指標で分析したらいいのかという点です。そのときに、先生がおっしゃられましたように経済情勢、よく生活保護のときも、経済が悪化すると増えるということが言われております、また、失業率、それから離婚率との関係がどうなっているのだというのは、いろいろなアプローチの仕方があろうかと思っているのですが、これまで私どもが実務的にいろいろシミュレーションしてみますと、きれいにはなかなか出てこなくて、現在検討中です。因果関係というのは必ずしも明確にはならなかったけれども、このような傾向はあるくらいは言えるかなという意味でトライしているということでございますので、今の御意見も参考もさせていただきながら、これも可能な範囲で努力してまいりたいと思います。
    【金本分科会長】  高橋委員どうぞ。
    【高橋臨時委員】  今の件に関連してございます。一つ目は御質問なのですが、配偶者からの暴力の防止。私はきちんとこの法律を勉強してこなかったものですからお伺いしたいのですが、配偶者は法的な配偶者ということに限定して、この政策評価もそこに限定しているのかどうかをまず教えていただきたいと思います。
    【松本評価監視官】  内縁関係も含むと言われております。
    【高橋臨時委員】  私もこの件でいろいろ民間の支援団体の方とかにお話を伺っているのですが、今、いわゆる内縁関係におけるDVも問題になっているようです。また、この法律が出た後IT化が進んで出会い系サイトなどが発達したことによって、婚姻関係ではないのですが同棲している若い人たちの間での女性に対する暴力が非常に増えているが、それに対しての政策的な対策がとられていない。これは何とかならないでしょうかということをよく言われます。アンケート調査とか政策評価の中でそういう問題というのは浮かび上がらなかったのでしょうか。
    【松本評価監視官】  その御指摘はいろいろなところで聞かせていただいておりまして、この法律自体昨年改正されておるのですけれども、一つの論点になったようです。法の対象をどこまで広げるのか。恋人間の被害をこの法律の中に取り込めないかという検討もされたと聞いておるのですが、見送られたと聞いております。そこの視点につきましては、今回は法改正時にある程度の検討がなされましたので、この評価の対象からは外したということであります。今後の重要な課題の一つということでは関係府省も十分認識しておりますので、今後ともその辺をどこまで広げられるのか、重要な課題としてこれから取り組んでいただけるものと思っております。
    【金本分科会長】  よろしゅうございますか。時間も大分過ぎておりますので、この件についてはこれまでにさせていただきたいと思いますが、こういう政策評価の取りまとめはなかなか難しいところでありますが、いろいろ御意見をいただきましたので、これからも御検討をお願いしたいと思います。
     次に、「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」について、まず事務局から御説明をお願いいたします。
    【安原評価監視官】  担当の安原でございます。どうぞよろしくお願いします。
    資料を3点御用意しております。1点は資料2−1ということで、1枚で俯瞰できる評価チャートでございます。それから資料2−2としまして、方向性の概要ということで御用意しております。今日はこれを中心に御説明させていただきます。それから資料2−3というのが関係資料でございます。
     それでは、資料2−1の全体を俯瞰できる紙で御説明させていただきます。今回の政策群の評価でございますけれども、最終目標は観光立国の実現ということでございます。具体的には、国際相互理解の促進、経済効果の発現、今地方で非常に注目しておりますけれども、地域の活性化の材料ということで行っております。なお、10月1日には国土交通省の外局として観光庁が設置されると聞いております。
     政策群の目標でございますが、平成15年の500万人の外国人の旅行者の倍増ということで、22年までに1,000万人を達成するということであります。それから、金額的には本年から観光旅行消費額の増大ということで、22年までに30兆円にするということでございます。30兆円と申しましても、日本国内での旅行と外国人の方を合わせてでございますので、直近のデータでは23兆5,000億円ということで、日本人の方が22兆円強、外国人の方が1兆4,000億円ということで、外国人に着目しますと6%程度ということでございます。
     それ以下の施策の具体的なものをこれから御説明しますが、資料2−3、資料編の1枚おめくりいただきますと、上の2表を見ていただきますと、今回の政策群の予算の関係でございます。関係する省といたしましては6省、国土交通省、総務省、法務省、外務省、農林水産省、経済産業省ということでございますが、主は国土交通省でございます。大体9割方が国土交通省の予算でございます。19年度の予算額が45億円で、本年の当初予算も大体46億円ぐらいと聞いております。
     それから、具体的な施策、事業でございますけれども、事業の分類としましては「日本ブランド」の海外への発信というものと、魅力ある観光地づくりということであります。予算的に一番大きいのは、「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」という、端的に言えば外国人の誘致事業でございます。これが大体75%ぐらいで、事業にしましても金目にいたしましても国土交通省が主でありますし、VJCというものが主体をなしているということであります。それ以外の省でいきますと、法務省の出入国の関係が次に来る事業でございます。
     最初の1枚紙にお戻りいただきますと、政策群の柱といたしましては、今御説明いたしましたような国内環境の整備ということがまず1つ。それからもう一つの大きな柱といたしましては、外国人の訪日促進ということでございます。これを支えます施策としましては、観光案内所の充実強化、外国語による案内表示、通訳案内士の利用拡大、旅行費用の低廉化で呼び水にしようということでございます。それから情報発信(宣伝)・誘客、査証免除・発給要件の緩和、法務省の出入国手続の円滑化・厳格化ということでございます。
     次の資料2−2の御説明をさせていただきたいと思います。まず政策目標は、先ほど御説明いたしました22年度までに1,000万人にする、それから観光旅行消費額を22年度までに30兆円にするという政策目標が立てられているわけでございます。
     まず、1,000万人の達成状況はどうかということで、真ん中に表を入れておりますが、20年度上期で大体434万人になります。このまま大体6%平均で伸びていきますと1,000万人は達成できるのではないかと言われております。
     今回御説明します原因の分析欄というところは、今日の時点では熟度がまだまだでございますが、今日時点で御説明できる限りのことは御説明させていただきたいと思います。なお、今回の調査に当たりまして現地調査と意識調査は、主立った関係する宿泊事業者、交通事業者、観光事業者を悉皆で、郵送でアンケートをとりました。全都道府県、全市町村が千数百あるわけでございますけれども、これにつきましても郵送で全数調査をいたしました。今この2本の柱で検証していこうということにしております。
     原因の分析でありますけれども、1,000万人につきましては、やはりアジアの国々の経済発展が一番大きな原因ということで出ております。VJCをはじめとした国、地方公共団体の施策の効果もあったのではないかと、意識調査の結果が出ております。
     国内観光旅行消費額の目標でございます。トータルの国内旅行消費額が上段でございます。真ん中の黄色の欄に書いておりますのが、推計法が2段になっておりますけれども、新推計法というところを見ていただきますと、平成18年で大体1兆3,640億円ということで、5.8%となっております。この推計は、まず国内観光旅行消費額につきましては、旅行・観光消費動向調査というのを国土交通省のほうで行っておりまして、全国15,000人ぐらいを対象に旅行消費額を推計し、産業連関表を用いて効果を推計しているようでございます。
     それから、外国の方が落としていくお金でございますけれども、これにつきましては、財務省、日本銀行の国際収支統計の中から旅行サービスの推計値を用いていましたが、若干重複計上されていたということで、2年ほど前に推計法精度向上ということで、旧推計法、新推計法というのを書いておりますが、いずれにしましても、外国人の旅行に関しての金額はやはり着実に増えてきているということであります。
     人数が増えてきておりますので、必然的にお金も落としていかれる額が上がっているわけでございますが、今回いろいろ私どものほうで意識調査なり関連する統計の分析を整理しますと、やはり訪日の旅行客の方が増大しております。特に中国、韓国、香港あたりの東アジアの方が伸びているわけでございますが、ショッピングを目的として旅行にいらっしゃることが非常に増えているということでございます。
     なお、アメリカ、イギリスにつきましては、従来ショッピングも相当あったようでございますけれども、最近は、こちらの国々の方はむしろ温泉でありますとかリラクゼーションに特化していらっしゃるということが数字の上で表れております。いずれにしましても、30兆円に対してシェアは数%でございますので、寄与度から考えますとやはり30兆円の達成は難しいのかなと考えております。
     それから、今度はそれを支える具体的な施策の話に移らせていただきます。まず、国内環境の整備でございます。総論的に申し上げますとJNTO、国際観光振興機構のほうが整理された統計に基づいて、訪日外国人旅行者の9割以上が日本旅行には満足されている。
     9割という数字は結構世の中に出回っておりますけれども、ただ、この内容を見させていただきますと、国・地域別に見ますと、訪日旅行者数の増加が著しい韓国、台湾、中国では、大変満足しているというところになりますと2割程度にとどまる。一方、欧米諸国のほうで見ますとなかなかこの率が高いということで、欧米に比べますと東アジアは大体3分の1ぐらいになっておるということであります。
     それからリピーターになっていただかないとなかなか数は増えないわけでありますが、再度訪日したいというのは9割を超えて横ばいで推移しておりますが、国別に見ますと、欧米諸国はまた来たいということでありますけれども、韓国、台湾あたりになりますと2割程度減少して3割、4割のようでございます。
     原因の分析でありますけれども、以下個別に御説明させていただきますが、観光事業者、地方公共団体で意識調査をいたしますと、やはり快適な観光環境ということとしては、全体として立ち遅れており、特にアジア諸国からの旅行向けの対応が遅れております。
     具体的な例で申し上げますと、宿泊業で申し上げれば、約半数で外国語接遇が可能というお答えでありましたが、やはり言葉となりますと専ら英語が中心でありまして、中国語、韓国語になると1割程度のようでございます。それから、地方公共団体が抱えます受け入れ促進のための課題ということになりますと、これもやっぱり言葉に絡んでおりまして、多言語で案内標識の充実をしてほしいというのが7割以上でございました。
     もう一枚おめくりいただきたいと思います。これを支えます個別の施策でございますけれども、まず観光案内所の充実強化という観点で見ますと、真ん中の把握結果の欄で御覧いただきたいと思いますが、ビジット・ジャパン案内所というのはいわゆる官製モデル案内所でございますので、ここでやるというのは当然でありますけれども、地方公共団体あたりがつくっております案内所では、やはり外国語接遇は2割以下のようでございます。これは、案内所そのものが外国人の方がいらっしゃるところ、それからいらっしゃらないところもあるわけでございますが、外国人対応の意識が希薄ということが意識調査の中で出てきております。
     ちなみに、平成15年4月と申し上げますのは、先ほどのビジット・ジャパン・キャンペーンが始まった時期でございますけれども、これ以降に相当お客さんが増えている地方公共団体であっても、外国語接遇を行っていないとか、今後行う予定もないというギャップが若干見られるということでございます。
     それから、外国語による案内表示でございます。これにつきましては、国際観光ホテル整備法というのがございます。ここで登録ホテルとか旅館が位置づけられるということ。これは、そもそも外国の方にたくさん来ていただこうということでできた法律でありますけれども、今回いろいろ意識調査で調べてみましても、登録されているホテル、旅館でありましても、外国語案内表示でありますとか情報提供は6割弱にとどまっているという結果になっております。
     この原因はいろいろあるわけでございますけれども、登録ホテル、旅館であるにもかかわらず外国人対応への意識が希薄なところが多いということと、この法律の中で、国土交通大臣は一定条件を満たす社団法人からの申請に基づいて登録ホテル等の社員等に対する指導、研修を実施する法人を指定、いわゆる指定法人になりますが、この制度を平成4年に設けておりますけれども、なかなか指定される法人がないということで、法律の仕組みとしてはつくっておりますが、10年以上たっておりますけれどももくろみどおりにこういうものには乗っかってきていないというのが1つ言えるかと思います。
     それから、3番目としまして、通訳案内士というのがございます。通訳案内士というのはあまりなじみがないかと思いますけれども、通訳案内士法という法律がございまして、資格試験に合格されますと独占的にお仕事として観光の案内を通訳するという資格制度でございます。
     今回通訳案内士の実態を調査いたしましたら、試験制度の見直しによりまして国土交通省としても通訳案内士の数を増やしておりますけれども、まだまだ韓国語でありますとか中国語の通訳案内士の利用は、来られる外国人観光客の方の伸びほどには拡大していないということであります。
     その下に細かい数字を書いておりますのは、要するに旅行のお客さんが国別に増えているにもかかわらず、この分野の語学の通訳案内士の方の登録がそんなに増えていない、ないしは同じぐらいというギャップを示したものでございます。これを見ますと、英語につきましては大体同じような伸び率でありますけれども、言葉によりましてはその辺のギャップがあるということが出ております。
     この原因でありますけれども、通訳案内士は今大体1万2,000人全国で登録されております。このうち大体4分の1の方に国土交通省が実態調査をして回答をいただいているようでありますが、それで見ますと、通訳案内士のうち就業している方は大体26%であります。稼働を促すための検索システムでありますけれども、通訳案内士の主要団体がこれを請け負ってやっているのですが、ここに登録されている方も全体の1%弱ということで、なかなかシステム、仕組みに乗っかってきていない。
     御参考でございますけれども、実態調査で明らかになりましたのは、通訳案内士の方の約半分が検索システムへの登録を希望しているわけでありますが、団体ごとの壁があるようでございまして希望どおり登録できておりません。それから、仕事としてはなかなか年収が低いわけでございますので、専業とならないという実態が出てきております。
     それから、低廉化の話でございます。これは、JRを中心に割引運賃でありますとか共通乗車券というものが発売されておりますが、これが普及してくれば大分魅力のあるものだと思いますが、今この制度にのっとった外国人の方の制度としましては、平成15年度以降5件ほど届け出をされております。5件というのは少ないように思いますが、営業距離で見ますと大体80%を超えておりますので、このあたりは民間の努力でありましょうけれども、大分普及しているという感じがいたします。
     それから、原因の分析のところに「日本の『物価が高い』というイメージは減少傾向にある」と書いておりますのは、従来日本は非常に物価が高いということで、日本に旅行に来られるときの障害になっていたのではないかと思われますが、いろいろな意識調査を見ますと、最近のヨーロッパのユーロ高、円安ということもございますし、こういう地道な低廉努力もございますので、やはり徐々に日本の物価が高いというイメージは減ってきているということが見られました。
     それから、大きな柱の2つ目でございますが、外国人の訪日促進ということで、先ほどお話しいたしました政策群の予算の大体七、八割を占めておりますVJCというものであります。
     VJCというのは促進していただくということですから、相手国のツーリストを日本に呼んだり、いろいろなキャンペーンをやるということでありますけれども、まず外国人の訪日旅行への関心は向上しているのかどうか、それから訪日の動機は多様化しているかどうかという観点で見ましたところ、把握結果のところを御覧いただきたいと思いますが、我が国を代表する観光情報サイトであります日本政府観光局、略称でこう言うようになっていますけれども、要は国際観光振興機構のことでございますが、ここのウェブサイトへのアクセスが非常に増えております。19年度は約5,000万件ということでありますけれども、15年度に比べると3倍に増えたようであります。インターネットはこの間3割程度しか増えておりませんので、相当な関心事。特にお隣の中国あたりからのアクセスが多いと聞いております。
     それから、訪日動機の選択総数は、要は日本にいらっしゃるときの動機としてどういうことに御関心があるかというJNTOの意識調査で得られた結果でありますけれども、最大300ポイントの持ち点を満点としますと、それで幾らどう推移しているかという表でございます。まず、伝統文化/歴史的施設、日本の食事、都市の魅力/現代性といった動機がやや減ってはきております。そのかわり、先ほど御説明しましたけれども、ショッピングが増えてきております。ここにつきまして、原因でございますけれども、訪日外国人旅行者1人が選択する動機が減ってきており、また、日本を旅行する動機として特定の目的、ショッピング等を追求する意識が高まっているということだと思います。
     外国人の方の内訳を分析してみますと、若干傾向として顕著なものがあらわれております。まず、訪日の旅行者の増加ということでございますが、やはり韓国等を中心としました東アジアの国への依存が大きいということでございます。制度のところにも書いておりますけれども、12カ国をVJCの重点にしておるわけでございますが、重点国間でもいらっしゃる国の差が開いてきているということであります。
     そうは申しましても、韓国、台湾といっても日本同様国内の人口が伸び悩んでおりますし、出国率も頭打ちになっておりますので、今後これらの国の寄与というのは今までどおりにはいかないのではないかと考えられております。
     原因の分析でありますけれども、東アジア諸国の経済発展による海外旅行者数の増大に加えて、国や地方公共団体等が東アジア諸国に対して数多くの誘客事業を実施しておりますので、当然東アジア諸国からの訪日旅行数というのは増大しております。一方、欧米諸国に対しましては、VJCの重点対象としているわけでございますけれども、相対的に誘客事業の実施数は少のうございます。欧米諸国を見ますと、やはりアジアの中では中国、タイあたりへいらっしゃっている方が増大しているという傾向が出てきております。
     訪日促進の大きな柱の中の細目でありますけれども、まず1点目としまして、外国人への情報発信(宣伝)・誘客の現状でございます。ここの今回把握した結果でございますけれども、アジア市場につきましては、VJC事業を契機として伸び率が大きくなっております。一方、欧州、北米、豪州市場はアジア市場ほど伸びていないということでございます。
     それから、VJC事業は必ずしも効率的ではないということで、今回調べました。VJC事業評価を関係する機関でされておられますけれども、この中でも、メニューの複合化でありますとか都道府県を超えて広域連携するということが求められるわけでありますが、複合化率というのも逆に下がってきております。それから事業単価も、箇所数を稼ぐということがあるのでしょうけれども、だんだん下がってきておるようでございます。それから、VJC事業は当然マーケティング戦略というのが重要になるわけでありますけれども、マーケティング戦略を立てるまでにはなっていないということであります。
     以上、そういうことがございまして、その原因でありますが、VJC事業は相対的にアジアに基軸を置いておるということで、地方公共団体もその傾向で取り組んでいるということであります。VJCを地方連携事業として導入しておるわけでありますが、これまで外国人の方が全然いらっしゃっていないような地方公共団体でも宣伝・誘客事業を盛んに展開しておりまして、国としての明確な戦略、戦略といっても間口が広いわけでありますが、対象国・地域別、国内地方別、事業別の目標をどうするのかという戦略がないままに進められているということであります。
     それから、VJC事業を評価する仕組みというのはそれなりに構築されております。その中で、評価が低い事業でありながら問題点でありますとか課題を分析していないものが散見されております。それから、連携先であります都道府県とは評価のための意見聴取でありますとかフィードバックをしていくべきだろうと思いますけれども、これもなかなか進められていないということであります。
     それから、実地調査をいたしました結果におきましても、情報発信・誘客事業を実施している公共団体のほとんどが評価の実施は効果があると認識しておるわけでありますけれども、実施しているところは2割に満たないということでございました。
      あとは、査証、それから出入国の話でありますけれども、査証免除につきましても拡大していっております。これは着実に進展している。それから、出入国の円滑化の話につきましても、成田あたりの大きい空港ではそれぞれ努力されておりますけれども、指紋の個別認証の話が付加されたりでなかなか思いどおりには時間短縮になっていないようでございます。
     概略は以上のとおりでございます。
    【金本分科会長】  委員の方々の御質問等をお願いします。藤井委員、どうぞ。
    【藤井委員】  予算額等も拝見しますと、やはり評価の中心はVJCのところであります。最後にあったお話をもっと最初から重点を置いて分析されてもいいのではないかという印象を受けました。
     それから、政策群による取り組みというところで、行政の総合性発揮と民間活力の活用ということがございまして、民間活力の活用というのがこの分野で重要だと思うのですが、その辺の視点がお話を伺った感じではあまり出てこなかったのですが、民間活力をこう活用している、あるいは行政がこう総合性を発揮されているというあたりについて少し評価していただけたらいいのではないかと思いました。
     3点目でございますけれども、VJCのマーケティングにも関係しますが、登録業者だから英語案内があるとかないとかということだけではなくて、それが実際に旅行者の増につながっているのかどうかというところがないと、最終的にはあまり効果がないと思いますので、そのあたりがもし分かるようでしたらまとめのときに取り組んでいただけたらという、以上、印象と意見でございます。

    【安原評価監視官】  御指摘を踏まえて進めたいと思います。
    【金本分科会長】  そのほか。田中委員、どうぞ。
    【田中臨時委員】  今のお話と一緒に、VJCの事業評価ということが大事だと思うのですけれども、何が一番観光客の増大に影響していたのかというのを浮かび上がらせる必要があるのだろうと思うのですが、1つは、例えば羽田空港が直行便を持ってきたということの効果は確かにあるのだと思うのです。それから、これから先国際化して直行便をどこの国にどう飛ばしていくのかといったことも、こういった観光戦略には直結していることだと思うのです。そういったところは、表に出なくてもいいけれどもある程度分析する必要があるのだろうと思います。
     それから、個々の国がどこに行っているかということはとても大事なマーケティングの調査だと思うので、それは多分いろいろなところでやっているので、ぜひ検証していただきたいと思うのですが、香港の人がよく北海道に行くというのです。ほとんどの人が行く。それは、北海道でやっているドラマをみんな見て行くのだという。要するに、フィルムの影響はすごく大きいので、そういったことは国としてもちゃんと評価をとらえて支援する必要があるのではないかなと思います。
     以上です。
    【安原評価監視官】  一部は既に情報、データとしては整理しておりますけれども、そこは踏まえまして進めたいと思います。
    【高木臨時委員】  よろしいですか。
    【金本分科会長】  はい。
    【高木臨時委員】  手短に申し上げます。改めて数字を見てびっくりしたのですけれども、結局8割がアジアのほうで、今現在2割強が欧米だということ。そういう構成の中で、じゃあ適当な対応がとられているかという評価、分析をしていただく必要があるのではないかというのが1点です。
     あと、5ページのところで訪日動機が書かれていますけれども、これも1つの観光モデルと分けられますので、そのモデルごとに適切な対応がとられているのかどうかというところも分析、評価していただきたいと思います。
     あと、疑問ですが、再訪日を強く希望するかどうかというところで、7割とか2割という差になっているというところを取り上げられているのですが、全体を見ますと、一応満足している、また訪日したいという割合はアジアのほうでも9割になっていますので、そんなにだめだという話ではないのではないかと思います。いただいた資料を見ていると、アジアに対する対応がだめだという感じを受けてしまうのですが、ここで書かれているほどだめではないのではないかという話が1つです。
     それからもう一つ、中国との間のこちらから行く人数と中国からこちらに来る人数の話が書かれていましたけれども、中国の場合には非常に入国制限されているというところが背景にあると言えるので、ここの取り上げ方だけですと誤解を招くようなことになってしまうのではないかと思います。
     以上です。
    【金本分科会長】  よろしいですか。東アジアから来る方々は、その昔日本人が団体旅行で評判が悪かったのと同じような傾向があって、団体旅行で来ておられるわけですよね。それは別に悪いことでもないし、そういう人たちがリピート客になるかというと必ずしもそうではないのですが、そういった現状をちゃんと踏まえていろいろな分析をしていただかないと、2割とか何とかというので単純なことを言われると困るかなという気がいたします。全体に観光庁がやっていればいいような話かなというので、行政評価らしいものはどうすればいいのかなというところが課題となると思います。
     そのほか。高橋委員、どうぞ。
    【高橋臨時委員】  資料2−1のところに、情報発信(宣伝)・誘客に関して一定の効果を発現とございます。ただし、事業の単発小規模化による非効率な状況も散見と書いてあるのですが、私はこれに対して本当かなと思っております。コンテンツ・日本ブランド専門調査会のほうでも議論しているのですけれども、VJCの計画に関しては今批判の意見が非常に多くなっていまして、広域連携もそうですし、各府省の連携状態も非常に悪いということで、今そこのところをアクションプランに向けていろいろお願いしているところなのですが、ここでこう書かれてしまいますと、相当現実と違うという思いがしております。
     資料のほうで、「政策群予算の府省別・事業分類別推移」、資料2−3の2枚目ですけれども、そこのところで、国土交通省が「日本ブランド」の海外への発信で75%使っているのですが、その費用対効果についてもっと細かく分析していただく必要があると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

    【金本分科会長】  そのほかございませんでしょうか。なかなか容易でない評価だと思いますが、よろしくお願いいたします。それでは、この辺でこの2つの件については終わりにさせていただきます。
     あとは、次回以降の日程について事務局からお願いいたします。
    【松林政策評価官】  それでは御説明いたします。お手元に今後のスケジュール案として日程変更と書いたA4の1枚紙をお配りしているかと思います。11月7日に諮問会議の直前の政独委を置かせていただいておりましたが、御案内のとおりの政治情勢を踏まえますと、改めて11月下旬を中心に再度日程を調整させていただければと思っております。
     その関係で、分科会、ワーキンググループ等を後ろ倒しにさせていただいております。11月7日に政独委を予定しておりましたが、これを分科会ということで重要対象分野の審議に変えさせていただければと思っております。10月30日の分科会はそのまま重要対象分野ということで置かせていただいております。11月7日を分科会にしました関係上、10月9日の分科会のほうが重要対象分野と内容点検ということで予定しておりましたが、これを内容点検と、あと9月30日に公表を予定しております予算等への反映状況について御報告したいと考えております。それから、10月7日にワーキンググループを予定させていただいておりましたけれども、これを13日の週に改めて御都合をお伺いして調整させていただければと思います。
     以上でございます。
    【金本分科会長】  よろしゅうございますか。
     それでは、これをもちまして本日の政策評価分科会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。