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第55回政策評価・独立行政法人評価委員会(5月31日 独立行政法人評価分科会との合同開催)議事録

日時

平成22年5月31日(月)13時30分から15時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)
岡素之委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、金本良嗣政策評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理(※)、黒田玲子委員(※)、森泉陽子委員、縣公一郎(※)、浅羽隆史、荒張健(※)、岡本義朗(※)、梶川融(※)、加藤浩徳、河野正男、河村小百合、木村琢磨(※)、黒田壽二(※)、木佳子の各臨時委員
(※)を付した委員については、審議の一部に参画していない。
(総務省)
田中順一行政評価局長、新井英男官房審議官、江澤岸生官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、城代充郎政策評価審議室長、細川則明調査官、平野誠調査官

議題

(1)独立行政評価分科会
  (ア) 役員の退職金に係る業績勘案率(案)について≪非公開≫
  (イ)「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正
  (ウ)「平成21年度業務実績評価の具体的取組について」の策定

(2)政策評価・独立行政法人評価委員会
  (ア)「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正
  (イ)報告事項

配布資料


会議経過

(1)独立行政法人評価分科会

【富田分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、まず「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」について御審議をいただくこととしております。
 次に、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案及び「平成21年度業務実績評価の具体的取組について」の策定につきまして御審議をいただくこととしております。
 その後、政策評価・独立行政法人評価委員会を開催いたしまして、岡委員長の下、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案を議題として御審議いただく予定としております。
 なお、既に事務局から連絡がありましたとおり、5月1日付で「政策評価・独立行政法人評価委員会議事規則」が改正され、政策評価・独立行政法人評価委員会は原則公開とされたところです。これを受けて、「政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会の運営について」を改正しましたので、今回の会議から、資料4として配付しております改正後の「政策評価・独立行政法人評価委員会議事規則」及び「政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会の運営について」に則りまして運営することとしたいと存じます。
 本日、最初の議題であります「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」の審議につきましては、非公開とさせていただきます。この審議終了後に5分間の休憩をとりますので、その際に傍聴希望者の方の入室を行い、その後の会議につきましては公開となりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず、「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。

【細川調査官】  それでは、御説明させていただきます。
 まず、資料でございますが、議事次第の後、「業績勘案率資料」「資料1−1」と右肩に付されたものがございます。「各府省独立行政法人評価委員会の業績勘案率(案)について(総括表)」という資料が1つございます。
 それから、左の方に書類の束があると思いますが、積んであるものでございますが、備付資料というものがございます。こちらの方には、当分科会で御決定いただきました業績勘案率に関する方針、あるいは昨年3月に御決定いただきました、その補足説明とか、それから業績勘案率の基本的なチェックの手順。これについてとじ込んでおりますので、そちらも必要に応じて御参照いただければと思います。
 それでは、まず資料1―1、総括表を御覧いただきたいと思います。本日、御審議、御決定いただきたい案件でございますが、総括表の1ページ目から3ページ目までございまして、全体で8府省23法人の33名ということになっております。
 各省の評価委員会から通知いただきました業績勘案率の数値でございますが、表の右側にございますが、1.0が29人ということになっておりまして、あと0.9が3人。それから今回、1.2という方がお1人いらっしゃいます。
 具体的には、0.9でございますが、1ページ目の上から4番目でございます。国際交流基金の理事お1人。それから、その2つ下、日本万国博覧会記念機構の理事お1人。それから、3ページ目の一番最後でございますが、国立環境研究所の理事長、これが3人目ですが、0.9。以上のお三方。
 それから、1.2でございますが、2ページ目の上から2番目を御覧いただきたいと思います。国立病院機構の理事お1人が1.2という数値で通知を受けております。
 この数字に対する政独委としての意見の案でございますけれども、各担当のワーキンググループの方で厳格に御審議いただきまして、その結果、いずれの案件につきましても意見はなしという案とさせていただいております。
 資料の4ページを御覧いただきたいのですが、この4ページ以降に各府省ごとの審議対象案件と、それに対する政独委の意見案を付けさせていただきまして、5ページの方には、府省の方の算定方法の考え方の概略を付けております。6ページ以降、それぞれ順に各省のこういうものが続いております。
 それで、資料1−1にお戻りいただきたいと思います。いずれも意見なしという案でございますが、その理由について御説明させていただきますと、まず1.0の案件でございますが、対象の役員の在任期間の法人の業績、それから担当業務の実績、あるいは特別に業績勘案率を加算すべきような、そういう取組の有無。それから不祥事等、逆に減算すべきような要因の有無。これらについて厳しく精査いたしましたところ、特段加算または減算すべきような状況にはないということでございました。
 それから、0.9の案件3人について御説明させていただきます。
 まず、国際交流基金の理事(総務、米州地域担当)ですが、この方の0.9という数値について御説明申し上げます。この国際交流基金では、当該理事の在任期間に、社団法人日米平和・文化交流協会の日米間の有識者の交流事業というものに400万円助成しておりますが、これにつきまして会計検査院の検査によりまして、400万円全額が不当であるという指摘がございました。
 その理由でございますが、基金が助成金の額を確定した根拠として、協会から提出された報告書・領収書の写しによっているのですが、実は、同じ日付で、金額と参加者数が異なる領収書が2つあったということでございます。どちらが正しいのかということにつきまして、具体に参加人数は、参加者はかくかくしかじかでございましたという、それを証明する証左がないということでございまして、400万円の支出が不当と指摘されたものでございます。
 今回0.9という率を妥当とする理由でございますけれども、当初12名参加ということでございましたが、そのとおりに交流事業が実施されているかということが疑わしいにもかかわらず、基金の方ではきちんと領収書の原本等を確認するというような厳格な事実確認、審査を行うことなく、助成金の額を確定したということでございまして、その結果、会計検査院から指摘され、かつ助成金の交付決定の取り消し、それから返還を求めるというような事態をその後招いたということでございます。この当該理事がまさしく担当する日米センターの業務であることから、担当理事として職責に係る減産要因というふうに判断したものでございます。
 なお、もう1人、国際交流基金では、今回、役員退職金の業績勘案率の検討案件として提出されておりますが、その理事の方は経理の担当ということでございますので、念のため経理の担当の職責に係る業績勘案率の反映ということではどうかという検討もさせていただいております。
 助成金の額の確定、交付の決裁は、経理部会計課も合議先となっておりますが、いずれにしましても、助成金の金額の確定、交付に関する一切の手続は日米センターが行うものであって、経理部の会計課では、決裁書類に不備がないか漏れがないかと、内容の記載が正しいかと、合議はないかというチェックをするということでございまして、領収書の写しが2通りあったというようなことは承知しておりませんでしたから、経理部会計課の審査では、疑義を差し挟むということは困難ではなかったかと判断し、経理担当の理事については業績勘案率への影響はないというふうに判断しております。
 続いて日本万国博覧会記念機構の理事の業績勘案率でございます。
 御案内のとおり、平成19年5月に痛ましい死傷事故が万博記念公園内の遊園地で発生しております。これは、事故の重大性ということはもとよりでございますが、それによりまして、遊園地の入園者数が激減し、その後、遊園地は閉園に追い込まれたと。あと、その遊園地の運営委託先であったエキスポランドが倒産いたしまして、納付金収入なども途絶えたという状況でございまして、法人の業務運営、業績に極めて重大な影響を与えたということでございます。
 この件につきましては、昨年1度、死傷事故当時の理事1人、総務部担当でございましたが、この方につきましては業績勘案率を御審議いただきまして、この死傷事故とその後の事故による法人の業務運営、業績への影響を勘案しまして、0.9ということで決定されたという経緯がございます。今回この対象の理事は事業部の担当理事ということでございまして、同様の考え方に基づけば、0.9という業績勘案率は妥当であろうということでございます。
 続きまして、国立環境研究所の理事長の業績勘案率でございますが、この理事長の4年間の在任期間に、沖縄と山梨、2カ所の観測施設で5件の自然公園法違反というのが発生しております。これは、法令遵守に係る問題ですので、理事長としての職責に係る減産要因ではないかということでございます。
 検討の経緯を申し上げますと、もともと環境省の独立行政法人評価委員会の方では1.0という数字で上がってきておりましたが、担当ワーキンググループでは、この自然公園法違反というのは厳格にきちんと検討すべき案件だろうということでございまして、事実確認等を事務局で行い、その結果、3月に改めてワーキンググループに御報告させていただいたところ、5件の自然公園法違反によりまして4通の厳重注意文書がこの理事長に関係機関から発出されているということは、まさしく業績勘案率を検討すべき上で重大な事柄であろうということ。
 それから、法人の業務運営の基本として極めて重要である法令遵守ということの徹底に向けた理事長としての取組が不十分であったと考えられること。
 さらに、平成17年に沖縄の辺戸岬の観測ステーションで自然公園法違反が判明し、理事長にあて注意文書が発出されているということがあったにもかかわらず、翌平成18年に、同じ観測ステーションで事案が再発したこと。自然公園法違反が再発したということでございますので、再発防止対策も不十分であったであろうということでございます。
 以上のことを勘案しまして、ワーキンググループでは再考を求めるという事務連絡を環境省の評価委員会の方に発出いたしました。その結果、環境省の独立行政法人評価委員会の方で再検討いたしまして、0.9という数字で今回通知があったということでございます。
 なお、自然公園法違反の概要としては、いずれも許可を得た範囲を逸脱した工事をするとか、許可を得ずして工事に着手した、あるいは、そもそも許可申請を行わなかったという案件内容となっております。
 以上が、0.9の案件3件でございます。
 続きまして、1.2の案件、それから数値そのものは1.0で意見はないのですが、法人の業務運営について一言付言させていただきたいという内容のものがございますので、それにつきまして、平野の方から御説明させていただきます。

【平野調査官】  それでは、国立病院機構の理事1名の業績勘案率について御説明させていただきます。
 当該理事の在任期間は、平成16年4月から平成21年8月で、この間、機構の資金調達、施設設備を担当しておりました。
 厚生労働省評価委員会からは、当該理事の業績勘案率について、1.2と通知されてきました。第5ワーキンググループでは、業績勘案率に係る基本的なチェックの手順、フローチャートに基づき検討していただきました。ここでは特に加算要因について御説明させていただきます。
 この理事の在任期間中の法人業績が、退職手当を加算するほど、極めて好調かどうかにつきましてですけれども、まず、経営面においては、経常収支に係る収支相償の5期連続達成に加え、平成20年度において、これまでの実績を大きく上回る純利益を計上していること、また、医療面においても、質の高い医療の提供などを着実に実施していること、それから、中期目標期間全般について、医療・経営の両面において、中期計画を上回る成果を上げており、評定もすべてA以上で、中期計画を大幅に上回るというS評定が3割強ございます。
 5期連続収支プラスということで、平成16年度の経常収支が2億円だったのが、平成20年度は392億円になっているとか、赤字病院も当初76病院が41病院になっている。目的積立金も77億円計上されているという事実がございます。
 このようなことを総合いたしまして、第5ワーキンググループでは、法人の業績は退職手当を加算支給するほど極めて好調と判断できるのではないかということになっております。
 次に、役員個人の業績、いわゆる役員が職責の範囲内で自らの活動により貢献した業績ということでございますけれども、これにつきましても、病院建築仕様書等を策定し、これを基に病院建築を進め、病院建築コストを国時代の約半分に抑制したこととか、大型医療機器の共同入札を実施していることによって、例えば平成21年度のCTを共同入札した場合、市場価格の約半分で購入したとか、固定負債の削減、平成16年度期首7,441億円あったものを平成20年度末5,971億円ということで、個人業績につきましても、第5ワーキンググループでは、法人の業績、特に経営面に多大な貢献があり、加算要因が認められると判断できるのではないかということになりました。
 さらに、この役員の職責に係る事項について、減算要因についても検討していただきましたけれども、特に業績の著しい悪化、業務の不適切処理などの減算要因は認められませんでした。
法人業績及び個人業績における加算の程度でございますけれども、平成20年11月に国立病院の労務担当の理事について、従前、法人業績について0.1加算、個人業績において0.1加算していることも踏まえ、今回の理事につきましても、加算の程度は法人業績0.1、個人業績が0.1で、業績加算率1.2でいいのではないかということになりました。これは、厚生労働省評価委員会から通知された1.2と同じですので、第5ワーキンググループとしては意見なしということになっております。
 続きまして、17ページの高齢・障害者雇用支援機構の役員でございますけれども、この役員の在任期間は、平成20年8月から平成21年9月の約1年間で、厚生労働省評価委員会からは、1.0ということで通知されてきております。担当としては、給付金の支給とか、事業主への雇用の支援とか、あとは普及啓発などを担当しております。
 この法人につきましては、雇用安定事業関係業務とか、障害者雇用納付金業務に係る委託契約について、競争性のない入札になっていることが新聞報道で指摘、批判されたところでございます。記事では、問題となった委託契約は、従前から機構は、地方における給付金業務などを各都道府県の雇用開発協会と随意契約によってきましたが、平成19年の中期目標期間終了時の「勧告の方向性」とか、「整理合理化計画」において、随意契約から競争性のある契約にすべきとの指摘を受けて、競争性のある契約形態へと移行することになっております。
 法人としては、平成22年度から企画競争によるべく準備を進めてきており、平成21年度に募集公告をしたところですが、その際に、これまで随意契約した都道府県の雇用開発協会等に役職員の人件費の見積もりを事前に連絡していたこととか、企画競争と言いつつ、応募要件に3年の実績など、これまで随意契約としていた都道府県の雇用開発協会等に有利な条件となっており、制限的な競争条件であること等が問題となりました。こういうことがあって、最終的には長妻大臣の指示により、すべて一般競争入札とすることになったということでございます。
 こういうこともあったのですけれども、法人業績としては、中期目標・中期計画に沿って競争性のある契約形態への移行の取組を進めていたものであり、目標・計画に照らして法人の業績を判断すれば、減算ありとまでは言えないという判断になりました。
 また、個人業績につきましても、対象役員の任期中、業績の著しい悪化、業務の不適正処理などの減算要因は認められない。さらに、法人の業務委託の問題に関しては、然るべき者が責任を負うべきとの認識で、ワーキンググループでは一致し、当該理事につきましては、個人業績についても契約担当ではないことから減算なしということになりました。
 しかしながら、業務全般を統括する理事長、それから契約担当の理事の勘案率の審議の際には、業務委託契約の件も含め、慎重に審議することが必要と考えているということを厚生労働省ににじみ出すため、この点をちょっと意見に付記しておくということにワーキンググループで意見が一致しまして、下にありますように、「なお」書きで、「高齢・障害者雇用支援機構については、都道府県の雇用開発協会等への業務委託に関し、競争性の確保が不十分である等、厳しい批判がされたことは記憶に新しいところであり、法人の取組が不適切かつ不十分ではないかとの疑問はあるが、今回通知のあった理事は当該委託契約の直接の責任者ではないことから、意見はないことを付言する」という案になっております。
 事務局からの説明は以上のとおりです。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  はい、ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの御説明につきまして御意見、御質問がございましたら、どなたからでも御発言願います。いかがでしょうか。どうぞ、縣委員。

【縣臨時委員】  内容的なことではないのですが、過去、この件はずっと議論されて、公表の形式等決まっていると思うのですが、ワーキンググループでも申し上げたことです。最終的に「意見はない」という通知をするわけですが、相当突っ込んで考慮をして、特に今回紹介のあったところで言いますと、何回もそういうことがありましたけれども、府省の評価委員会から出てきた案に対して、正式に審議する前に意見を述べて、変更してもらったりしています。ですから、相当考慮を繰り返した結果として最終的に意見がないような形になっているわけですが、今回この会議自体が公表されるということで、関心も高まると思うので、この表記自体よろしいのかどうかという、結果的には意見はないのですが、それまでに相当な考慮をした結果こうなっているのだということは言わなくてもよろしいことなのでしょうか。それが非常に気になって居ります。

【富田分科会長】  私がお答えさせていただきますと、大体いつもあらゆることについて真剣な検討をしてきたわけでありますので、今回もそれとたがわず、ある意味、粛々とルールに則ってやってきたことなので、とりわけ、特に申すことでもないだろうというふうに思いますし、また、先ほど「なお」書きとして、高齢・障害者雇用支援機構につきましては、「なお」書きで指摘させていただいたということで、私はそれでいいのではないかなと。いつも、これまでも、今回もワーキンググループで、それぞれ真剣に議論を重ねてきたということであろうと思いますけれども。これは委員長の名前で出ますものですから、委員長、何かありませんか。

【岡委員長】  縣臨時委員のワーキンググループでいろいろなことを検討したということを外部に対して説明していくことが必要ではないかというご意見であると理解致しましたがそれで宜しいでしょうか。

【縣臨時委員】  といいますか、内容的にということではなくて、「意見なし」という表現は、どう受け取られるかということにかかわると思います。それだけです。ですから、決して提案があったから、それをそのまま受けたのだということではないということ自体を強調した方がいいのではないかと、そういうことだけです。

【岡委員長】  そうですか。いろいろやってきたということを詳しく説明するという ことではないということですね。

【縣臨時委員】  ええ。それで「意見なし」が、結局そういうことの結末だと受け取ってもらえるのであればそれで結構なのですが。

【岡委員長】  まあ、そういう意味ですと、私も富田先生と同じ意見ですね。結論は「意見なし」ということであれば、それだけでもいいのではないかというふうに思います。ただ、そこに到達するまでに、これだけのいろいろなことがあったのだということを何らかの形で報告したいというような部分があるのであれば、もう少し努力が必要だと思うのですが、そういうことではなく結論を簡潔に述べるということは1つのやり方ではないかと私も思います。そういう意味では、富田先生と同じ意見です。

【富田分科会長】  ほかにいかがでございましょうか。大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、各府省の独立行政法人評価委員会から通知された「役員の退職金に係る業績勘案率(案)」についてお諮りいたします。
 案のとおりでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  はい。それでは、本件につきましての分科会の回答につきましては、案のとおりとさせていただきます。
 それで、本日の会議の冒頭でも申し上げましたけれども、これ以降、会議は公開となります。再開は14時10分よりとさせていただければと思います。

(休  憩)
(傍聴希望者入室)

【富田分科会長】  それでは、再開予定の時間となりましたので、再開させていただきます。
 「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案及び「平成21年度業務実績評価の具体的取組について」の策定について事務局から説明をいただきます。

【平池評価監視官】  それでは、「独立行政法人の業務実績に関する評価の視点」、それと「平成21年度業務実績評価の具体的取組について」、2つ合わせて私の方から御説明いたします。
 資料2−1は、背景や概要についてまとめた資料でございますので、これに沿って説明させていただきます。
 今回、評価の視点、それから具体的取組を改正する背景でございますが、まず今年の2月に独立行政法人通則法の一部改正法案を政府として提出しており、この中で、不要財産の国庫納付の義務付けを規定しております。この法案につきましては、5月21日に既に成立しております。こういうものを踏まえて、不要財産をしっかりと見る必要があるのではないかという点がございます。
 それから、3月でございますが、「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」、これは樫谷代理が座長を務めまして、その研究メンバーに分科会から梶川先生、鈴木先生も参加しておられまして、その議論の結果、報告書の発表を3月にしております。これは内部統制をマネジメント改革の重要なツールと位置づけた上で、その概念整理や具体的取組を提示したものでございます。
 その後、4月には「業績評価等プログラム」、これは業績評価全体としてのものでございますが、独立行政法人につきましては、「保有資産の見直し」と「内部統制の充実強化」、これを年度評価の重要視点とする旨を言及しております。
 5月に取りまとめた「原口ビジョン」で「埋もれている資産の活用の方策」として「保有資産の見直し」を年度評価で厳格にチェックすべきだということを掲載しております。
 このような動き、経緯からいたしまして、「保有資産」、それから「内部統制」、この2つに係る項目を本年度実施する年度評価の重点項目に位置付ける必要があるのではないか。これを受けまして、必要な視点・留意点を整備するため、当面の「評価の視点」、それから本年度の「具体的取組」を改正する必要があるのではないかということでございます。以上が背景でございます。
 内容につきましては、資料2−1の2ページをお開きください。「2 主な視点・留意点」というところでございます。まず(1)番、「保有資産」でございます。保有資産につきましては、その資料の左側の大きな箱に、「保有の必要性・規模の適切性」と記載しております。
 まず保有資産につきましては、そもそもこういう保有資産が要るのかどうか、それから、規模が適切かどうか。こういうところをまず見る必要があるのではないかということで、それぞれ実物資産、金融資産、知的財産につきまして視点を記載しております。
 まず実物資産につきましては、まさに任務遂行上要るのか、有効なのかどうか。それから事業内容に照らした規模の適切性、大き過ぎやしないか、こんなに立派な物が要るのかどうか、そういうような視点でございます。それから、現在地に立地する必要性、これは本当に東京に事務所を構える必要があるのかどうかとか、あと、これは資産ということではないかもしれませんが、賃貸で東京の事務所を借りている場合も、本当に東京に賃貸する必要があるのかどうか、こういうものも含めて見るということでございます。そのほか、資産の利用度、本当にちゃんと利用されているかどうか、それから経済合理性、本当に独立行政法人で持った方がいいのか、別に他の人が、例えば民間でやった方が経済合理的にいいのではないかと、そういうような視点でございます。
 それから、金融資産でございます。まず事業用資産、これは個別法に基づいてやるべしというふうに法律で規定されている事業についての資産、例えば、基金でありますとか積立金でありますとか、そういうものでございます。これにつきましても、任務遂行上本当に有用なのか、事業内容に照らして、例えば基金が大き過ぎるかどうか、そういう視点で見る必要があるのではないかということでございます。
 それから、現金・預金とか、有価証券。こういうものについても、法人の持っている負債でありますとか、それから年間の資金繰り、こういうものを考慮した上で、本当にこれだけたくさん持っている必要があるのかどうか、こういうようなものを見ていくということでございます。
 それから、事業以外での貸付金でございます。これにつきましても、当該貸付の必要性、本当にこういうものが必要なのかどうか、こういう点から見ていく必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、知的財産につきましては、法人が、例えば特許権を持ってはいるのですが、特に誰にも利用させていないというような事例等もあるようでございます。こういうものにつきましては、例えば、もっと他の人にも利用許可を与えて、もっと利用料を取るべきではないかとか、あと経済合理性と書いておりますが、特許権などは、持っているだけで維持経費がかかるということでございます。そういう意味では、本当に維持経費がかかることを考慮した上で持っている必要があるのかどうかという点でございます。
 このような視点で評価した上で、保有が不要だということになれば、資料2−1の2ページ上に記載している矢印のところに「不要」というところがございますが、不要ということであれば、まず処分とか、他の有効活用の適切性について考えるべきではないか。例えば、実物資産について、有効活用の可能性や効果的な処分について検討しているかどうか、金融資産について、資産の売却とか国庫納付等の取組をきちんとやっているかどうか、知的財産につきまして、特許権の整理の取組とかをやっているかどうか、こういうような視点から見ていく必要があるのではないかということでございます。
 それから、要るか要らないかで、必要だといった場合、例えば必要だと判断された場合にも、「管理・運用の適切性」と言っておりますが、きちんと管理されているのかどうか。例えば実物資産については、管理業務の効率化、管理だけで多大なコストがかかっているのではないか、そういう視点でありますとか、利用拡大等による自己収入、もっと自己収入を取ってもいいのではないかというような視点、それから、金融資産につきましては、運用方針の明確化でありますとか運用体制が確立されているかどうか、貸付審査がきちんとされているかどうか、回収率が向上されているかどうか、こういうような視点から見る必要があるのではないか。知的財産につきましては、そもそも出願や活用に関する方針の策定や体制の整備、こういうものがきちんとなっているかどうか、こういう視点から見ていく必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、(2)番の「内部統制」については、昨年度末、今年の3月に研究会の報告書が出ておりますので、まさにその研究会の報告書に沿って見ていく必要があるということでございますが、昨年度の業務実績を、昨年度末の報告書に沿ってすべて100点がとれているかどうかということになると、ちょっと法人にとっても厳しい面もあるので、平成21年度実績評価につきましては、内部統制を確立するに当たって、まさに基礎的な部分、そういうところに絞って評価していくべきではないかと考えまして、例えば、左側の箱に記載しておりますが、法人の長のマネジメント、まさにトップマネジメントを発揮するための環境整備ができているかどうか、それから、今後の内部統制の充実・強化に向けた計画が策定されているかどうか、また、法人によっては先進的な取組もやっているところもありますので、まさにこれは、そういう推奨的なものがあれば、またそういうところもきちんと見てあげる必要があるのではないかという点でございます。
 それから、右側の箱に移りまして、監事によるモニタリング、例えば、法人の長とは独立した立場からのモニタリングができているかどうか、改善点等の関係役員への報告ができているかどうか、こういうような点を本年度は重点的に見ていく必要があるのではないかということでございます。
 保有資産と内部統制につきましては以上でございますが、もう1つ、資料2−1の3ページ目を御覧ください。本年4月に、独立行政法人を対象にした事業仕分けが実施されております。この事業仕分けを踏まえて、総理から、5月21日の閣僚懇談会で、独立行政法人の見直しを各省に求める発言をしております。その発言を踏まえて、以下の2点に留意するべきではないかと。
 1点目は、事業仕分けの結果、縮減とか廃止とか、いろいろ指摘されておりますが、こういう結果を踏まえて業務の見直し等に踏み込んだ評価をしているのかどうか。
それから、2番目に、横断的な見直しの方針に沿った事業の見直し等に踏み込んで評価しているかどうか。
 この横断的な見直しの方針ということでございますが、皆様のお手元に資料3−1「今回の事業仕分けについて」というもので、その16ページに、行政刷新会議が5月18日に決定いたしました「独立行政法人が行う事業の横断的見直しについて」というものがございます。事業仕分けはピックアップした法人ですが、今後、各省は、ピックアップしていない法人も含めて、もっと横断的な視点で見るべきだということで、その横断的視点が並べられております。1番目に、まさに「保有資産の抜本的見直し」ということが掲げられておりまして、不要資産の国庫返納でありますとか、(2)に「事務所等の見直し」とか、17ページには、「施設と事業規模との再整理」ということが言われているほか、保有資産以外にも、2番目に、「事業実施の主体・手法等に関する見直し」で、(1)で「事業実施主体の見直し」や「(2)重複排除・事業主体の一元化等」「(3)取り関係の見直し」「(4)自己収入の拡大」、こういうようなことが挙げられているほか、18ページには、「組織管理(ガバナンス)の強化」ということで、「管理運営の適正化」や「事業の審査、評価」と、こういうような視点が横ぐしの視点として刷新会議で決定されたところでございます。まさにこういうものもできているかどうかということを評価の視点として取り入れるべきではないかということで記載しております。
 また、資料2−1の3ページ目に戻りますが、事業仕分けの対応という枠までは法人に共通事項ということで記載しておりますが、その下に、「その他」として、個別事項につきまして記載しております。内容といたしましては、昨年度に引き続き厳格に評価していきましょうという点。それから、共通的事項のうち、ただいま説明した重点項目以外につきましては、昨年度評価意見のフォロー、例えば契約関係でありますとか、福利厚生関係でありますとか、昨年しっかり見ていただいたところでございますが、2次評価意見として指摘していただいたものを中心に、どのように取り組まれているかという視点から見ていった方がよろしいのではないか、ということでございます。
 以上のほか、資料2−2というものを用意してございます。分科会の委員の方々には、水曜日にメール等でお配りしておりましたが、そこからちょっと変わっている点がございますので、その点だけ補足的に御説明させていただきます。
 1ページ目は変わっておりません。2ページ目の右側、青色を付した方の欄の一番下に、「3保有資産の管理・運用等について」という欄がございます。その次のページ、3ページ目でございますが、そこの2−3−1として、保有資産に関する柱書きのようなところの次の段落の、「また」というところで、「財源調達の際の実質的なコストを勘案し」云々という件を新たに追加させていただいております。趣旨は、資産を取得するにはコストがかかりますので、そういったことを評価の際にも考慮した方がいいのではないかという、政務官の御指摘もありまして、詳細に記載しているところでございます。
 それから、同じページの右側の欄の真ん中辺りに、「(金融資産)」とございます。その金融資産2ポツ目で、「事業用資産以外も含め、保有する現金・預金、有価証券等の資産について」といった記載がございます。本文の3行は、変更はございません。皆様に御覧いただいたときは、この3行の次に、「国債」について特出しのような形で2行ほど記載しておりました。しかし、委員の皆様から、国債の保有を特出しすると、かえって国債はまずくて他の有価証券だったらいいのかというような議論を起こすのではないか、そもそも特出ししなくても2ポツで読めるのではないかという御意見等も賜りまして、国債の特出しの部分は削除したところでございます。
 私の説明からは以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局からの説明がございました両案につきまして、御審議をいただきたいと思います。どなたからでも御発言願います。いかがでしょうか。

【金本委員】  では、御質問よろしいでしょうか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ、金本委員。

【金本委員】  単に言葉遣いがよく理解できないというところです。内部統制で、「法人の長のマネジメント」のところで、「トップマネジメントを発揮するための環境整備」とあって、これは何を意味しているのかと、私はちょっとよく分からないのですね。意図していることが何かというのをもう少し説明していただきたいという感じがするのですが。

【富田分科会長】  それでは、樫谷委員より内部統制研究会の報告書に従って、この内部統制の最初の項目について説明していただきます。

【樫谷分科会長代理】  内部統制というのは、もともと、これは岡委員長の所属される会社である住友商事さんから内部統制についての、民間の非常に優れた内部統制についてヒアリングさせていただきました。そこで私は感銘を受けまして、独立行政法人にも、そのままというわけにはいかないけれども、内部統制を導入しなければいけないのではないかというように強く感じたわけであります。
 その中で、内部統制というと、どちらかというと、コンプライアンスだとか財務情報の問題、これがどうしても注目を浴びてしまうのですけれども、住友商事さんを見ていましても、もちろんそれは当然重要視されているわけですけれども、やはり資源の有効あるいは効率的な活用と、こういうところが一番の重要なところになっております。それを推し進めるのは、やはりトップの意欲というのでしょうか、意思ということだというふうに伺っております。特に住友商事さんにおかれましては、岡委員長が社長の時に、あるいはその前からですかね、内部統制を強力に推し進めようというようなことで旗を振っていらっしゃって、5年も6年もかけてようやく実現をしてきたということらしいです。
 独立行政法人におきましても、法律的には独立行政法人の長が全権を持っている形にはなっているのですけれども、果たして今、独立行政法人は、本当にそうなっているのかどうなのか。これは府省との関係だとか、あるいは他の理事との関係とか、あるいは特別いろいろな区分、経理もございますし、その関係で見て、あるいはその関連会社、関連法人を含みましても、本当にトップが全権を振るえるような形になっているのかどうなのかというようなことを疑問に感じましたので、特にそういう意味では、トップが本当にトップマネジメントを発揮するための環境整備というのは非常に大事だろうということで、整っているかどうかについて、特にここでチェックをしようということだというように理解しておりますが。

【平野調査官】  分科会長、よろしいでしょうか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【平野調査官】  若干、どういう環境を想定しているかということについて、事務局からさらに追加で御説明させていただきます。
 まず、法人の長がマネジメントを発揮できる環境ということで、独立行政法人におかれましては、一応例えば理事長ファンドとか、予算を法人の長が弾力的に配分できるとか、人事とか、あとは法人の理事とか、他の役員がそういう法人の長のマネジメントを補佐する企画部門とか、それから役員会でそういう補佐する体制が整っているかとか、法人の長に的確にそういう情報などが伝達、入るようなものになっているかどうか、そういうところがちょっと具体的なチェックポイントになるかと思います。
 以上です。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。樫谷委員。

【樫谷分科会長代理】  今の平野調査官のお話なのですが、そういう本当にトップマネジメント、理事長ファンドとか、いろいろあるのですけれども、あまり、ほんのわずかな、全体から言うとわずかなところがトップマネジメントを発揮できるという形になっておりますが、本当は全部がトップマネジメントを発揮しなければいけないわけですよね。そういう環境になっているのかどうなのか。もちろん理事長ファンドも含めて、どういう体制になっているのかをチェックしようということだというふうに私は理解しております。

【富田分科会長】  この点に関して、金本委員。

【金本委員】  いや、法人の長が勝手にやることができるようにしろというふうに聞こえてしまうのですが、何かもうちょっと言い方がないかなという感じがしていて、グッドマネジメントにならなければいけないはずなので、そういったことを何も言わずに、とりあえずトップの裁量権がたくさんあればいいという感じに見えてしまうという感じがございますが。

【富田分科会長】  ここのところは、独立行政法人なので、これは当然のことながら、その中期目標、中期計画、そして年度目標を達成するためにトップマネジメントを発揮するということで、ちょっとその大前提が抜けてしまっているということですね。ここだけ見ると、ちょっと……。

【樫谷分科会長代理】  確かに。

【富田分科会長】  そういう何か企業のようになってしまうので、まさにその政策の実施を効率的に行うという、この独立行政法人の大前提の中における、こういう記述だということで私は理解しているのですけれども。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。すみません。独立行政法人における内部統制の定義のところを見ていただいたら分かりますけれども、これは中期目標・計画の達成を意識しながら、基本的には法人の使命というのですか、ミッションを達成するというところにありますので、決してそれから逸脱するようなトップの裁量があるということは考えておりません。あくまでもミッションの達成というところのためのトップマネジメントの発揮ということによる環境の整備ということであります。

【平野調査官】  補足させていただきますけれども、この基になっているのは、一応3月に樫谷先生の方でまとめていただいた内部統制の報告でございますけれども、そこで独立行政法人の内部統制の定義につきまして、「独立行政法人における内部統制とは、中期目標に基づき、法令等を遵守しつつ業務を行い、独立行政法人のミッションを有効かつ効率的に果たすため、法人の長が法人の組織内に整備・運用する仕組みである」という、そういう前提の下で評価の視点があって、それで具体的にどう見るかというところで、この法人の長のトップマネジメントというところが出ております。

【富田分科会長】  金本委員。

【金本委員】  いや、そんなにどうこうと言うつもりはないのですが、何となく「マネジメントを発揮する」という言葉遣い、ちょっとあまり聞かない言葉遣いで、何を意味しているかよく分からないのが最初の私の御質問で、それに対してあまり答えがないなというのが、普通はマネジメントのリーダーシップを発揮するみたいなことを言ったりするのですけれども、そういう言い方をしたくない理由があるのかというような……。

【富田分科会長】  これは要約なのですが、これの評価の視点の方は、どういう文章になっていますかね。ちょっと読みましょう。

【平池評価監視官】  先ほどちょっと補足説明に使った資料2−2の5ページの左側の白い欄の下の方に、ですが、「内部統制」ということで、○で内部統制の定義に関連して「業務の有効性・効率性、法令等の遵守、資産の保全、財務報告等の信頼性に係る取組について評価が行われているか」という、まずこの大前提となる部分がございまして、その「評価の視点」の大前提の下に、右側の青い欄の「具体的取組」のところで、ここで例えば、今御議論になっております「法人の長がマネジメントを発揮できる環境は整備されているか」、「法人のミッションを役職員に対し、具体的に周知徹底しているか」と記載しており、まさにこの青い部分の記述を要約して、資料2−1の説明資料に記載したのであれですけれども、「評価の視点」の方には、そもそも内部統制の定義から規定されているところでございます。

【富田分科会長】  はい。いかがでございますか。

【樫谷分科会長代理】  トップがリーダーシップをもってマネジメントを発揮するためのということですかね。そういうことですね。

【平池評価監視官】  分科会長、ちょっとよろしいでしょうか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【平池評価監視官】  まさに要約版の方が、舌足らずではありますが、本当に決定すべきなのはこちらの評価の視点、具体的取組の本文の方でございますので、ちょっとこれでちゃんと正確な理解が伝わるように、要約版の方は修正して、また今後説明する時は、そのようにしたいと思います。

【富田分科会長】  はい。黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  この資料2−2にも、「法人の長がマネジメントを発揮できる環境は整備されているか」と、同じ文章が入っています。マネジメントは発揮しないのじゃないかな。リーダーシップは発揮するけど。日本語の問題だと思いますが。

【樫谷分科会長代理】  だから、リーダーシップをもって……。

【黒田(玲)委員】  そう。「マネジメントにおいてリーダーシップを発揮できるか」とか……。

【平池評価監視官】  まあ、そういうことです。

【黒田(玲)委員】  そういうことを言いたいのですよね。それに引っかかっているのかなと思ったのですが。

【岡本臨時委員】  すみません。今、日本語の問題になっているのですか。

【黒田(玲)委員】  実際は違う?……

【富田分科会長】  だから、日本語の問題なのか、あるいは……。

【黒田(玲)委員】  内容の問題なのか?

【富田分科会長】  独立行政法人の長の及ぶべき裁量ということについての解釈なのかというのも大分違ってくる内容だと思うのです。ここのところは、だから、多分要約を「法人の長がマネジメントを発揮するための」とか、こちらの具体的取組と同じ文章にした方がよいのじゃないかと思うのですけどね。「トップマネジメント」とするものだから、ちょっとトップマネジメントとは何かということだと思うのですけど。

【岡本臨時委員】  ちょっと関連するかもしれないので、よろしいですか。

【富田分科会長】  岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  よろしいですか。今の金本先生の御質問と若干関連するかもしれないのですけれども、ちょっと気になっている点がありまして、先ほどの要約版とおっしゃった中で、今回の主な視点というのは、保有資産と内部統制、それ以外に事業仕分けの対応というのがあって、その事業仕分けの対応の中に横断的な見直しの方針に沿った事業の見直し等に踏み込んで評価をしているかというところがございますよね。
 それで、その横断的な見直しというのが、先ほど御説明のあった、資料3−1の3月11日の事業仕分け関係の資料の一番最後の方のページに書いてある幾つかの項目で、それが保有資産と事業主体の手法に関する見直しと、もう1個、経営管理、組織管理の強化というのがあるのですね。それが今の点と関連すると思うのですけれども、法人経営の全般にわたる管理運営の適正化というのは、見直しを行うという項目があって、じゃあ、具体的に何なんですかねということなのです。それが今、トップマネジメントにもひょっとしたら関係するかもしれないし、トップマネジメントでない内部管理運営にも関係するかもしれないのですが、どういうことをここで具体的に言おうとされているかというのが、この視点の方に、どこに入っているのかなと思ってさっきから見ていると、よく分からないのですね。それは反映されていらっしゃるのか、あるいはこれは大きな課題なので、今後こういうことを詰めていかなければいけないという問題提起を先ほど説明されたのか、要するに今年の評価においてどうされようとしているのかということなのです。

【富田分科会長】  はい。重要な指摘だと思います。まず事務局からお願いします。

【平池評価監視官】  まず、資料2−2でいけば、1ページ目の下の方に、「第2 各法人に共通する個別的な視点」ということで、「政府方針等について」という欄がございまして、要は政府方針に沿って評価すべきだということで、1枚めくっていただきまして、2ページ目の2−1−2の「次のアプローチに特に留意する」というところの2ポツ目で、先ほどの資料3−1の説明のときにありました「独立行政法人が行う事業の横断的見直しについて(平成22年5月18日行政刷新会議)」ということを明示させていただいております。その上で、先ほどの横断的見直しの中の、1つはこういう資産の見直しがあって、2番目に事業実施の主体手法に関する見通しがありまして、3番目に組織管理にガバナンスの強化というところがあります。その組織管理についてどうなのかという、どういうスタンスなのかという御質問でいらっしゃいますか。

【岡本臨時委員】  政府方針に従わなければいけないというのは、そのとおりなのですが、じゃあ政府方針に従っているのは、どう判断していくかというときに、先ほどのトップマネジメント、ガバナンスの言葉の定義といいますか、何が含まれるかということがないと、この独立行政法人が政府方針に従ったかどうかというのは判断できないじゃないのですかという質問なのです。
 ということは、ここで言っている管理運営の適正化というのは、どういうことを指して管理運営の適正を果たしているのか果たしていないのか。ひいて言えば、政府方針に合っているのか、合っていないのかというのを評価委員はどういうふうにしたら判断できるのだろうかということになってくると、そこはちょっと難しいかなというのは素朴に思うのですね。
 そうなってくると、むしろやらなければいけないのは、ここで言っている横断的見直しで指摘されている3番目の項目における管理運営の適正化というのは、どのように独立行政法人に対象に展開していかなければいけないかという議論をまずしなければいけないのであって、各委員が、これは管理運営の適正に合っているのか合っていないのかを主観的に判断する裁量の余地が広がってしまうと、結構混乱が出るのではないかなという気がしなくもないという、そういう懸念と質問、すべて気持ちが入っているのですけれども、そのあたり、どうでしょうか。

【樫谷分科会長代理】  ちょっとよろしいですか。内部統制というのは、内部統制の報告書にも書いてありますように、内部統制というように言っておりますけれども、実際は経営管理そのものであるというふうに、あの中では言っております。したがって、経営管理そのものなので、当然ここで言う資料3−1の最後のページの「3.ガバナンスの強化」、つまり(1)の「管理運営の適正化」あるいは「事業の審査、評価」、これはモニタリングのところで入っております。
 この経営管理の適正化の中に、これは基本的に第三者が、「これが適正化だ」というのはなかなか言えないと思います。基本的には、独立行政法人の中で内部統制、つまりいかに事業を有効かつ効率的に、あるいはコンプライアンスを回りながらやっていくかということを念頭に置いて、どうやってやっていくかということをまず表明して、中期目標・計画で表明していただくと。そこがやれているかどうか、それが、そのレベルでいいのかどうかというのはまず審査する必要があるかもわかりませんが、中期目標・計画の段階でですね、それが実行されているかどうかということを事後的にチェックするというような意味で考えております。

【富田分科会長】  岡本委員。

【岡本臨時委員】  はい、わかりました。

【梶川臨時委員】  すみません。

【富田分科会長】  どうぞ、梶川委員。

【梶川臨時委員】  ちょっと些細な確認なのですが、先ほどちょっと御議論があった「マネジメントを発揮できる」という、これはマネジメントという外来語の誤解に伴う文章的なニュアンスという部分もちょっとおありになったのかなと。最初に発言された金本先生の御発言の中に、その部分を一部含むのかどうかというのは、私はちょっとマネジメントを発揮するものなのか、「マネジメントをする」とか、「マネジメントを行う」とか、目的語になる外来語なのかどうかというのがちょっと、動名詞になる外来語――動名詞というのか、何て言うのだったかな、「マネジメント能力を発揮できる」とか、「マネジメントの資質を発揮できる」とか、それともマネジメントって、そのまま「発揮できる」でもいいのですかね。ちょっとこれ、すみません。単純に国語的というか、そういう観点で、ちょっと今こんがらがっちゃったものですから。

【富田分科会長】  まあ、普通「発揮する」と言ったら、やはり何か力、能力とかで使いますけど……。

【梶川臨時委員】  目的語になるので……。これは、日本語にすると、経営管理――でも、経営管理だと「発揮できる」とはあまり言いませんよね。報告書の本文ではどうなってましたですかね。

【富田分科会長】  報告書で、こういう記述になっているのですか。
ここのところは報告書に則って修文する必要があろうと思いますね。

【平野調査官】  報告書で、「マネジメントを発揮する」という明確な明示的な記述はございません。どちらかというと、「リーダーシップを発揮する」というのは明示的な記載がございますので、委員さんの方々がよろしければ、「リーダーシップを発揮する」という形に修正してはいかがかと思います。

【富田分科会長】  いや、金本委員の御指摘は、非常に大事な点を……。

【金本委員】  すみません。単に日本語の理解の問題だけです。

【富田分科会長】  はい。では、そのようにここの箇所は。縣委員、どうぞ。

【縣臨時委員】  プリミティブで恐縮なのですが、今回この事業仕分けという作業が行われて、この作業が独立行政法人通則法上どう位置付けられるかということを教えていただきたいのです。別のコンテクストで、分科会長がいみじくもおっしゃったように、各独立行政法人というのは、中期目標、中期計画の体系が主務大臣と各省の評価委員会との間の協議を基本として決められて、それで動くわけですね。その中に事業は規定されていて、今度別のところから事業仕分けが行われて、廃止ということすら言われているということはどういうふうに位置づけるのか。
 それから、今回も評価の視点については、政独委自身はそれなりのものを持っているわけですが、そこから別の視点も加わってくる。今の議論を伺っていて、この場がもしかしたら、それを、政府方針と政独委が馴化する場なのかということは今分かりましたが、その辺で政独委は本当にどう解釈して、この進行がなされるのかというのをちょっと教えていただきたい。

【富田分科会長】  私としては、先にこれは視点と、それから具体的取組の案について御審議いただきたいと思ったのですけれども、今若干関係するので、ちょっと簡単に私から今の点申しさせていただきますと、この事業仕分けでは、独立行政法人そのものについての在り方論というよりも、独立行政法人に行っていただいている事務事業、これを対象に仕分けしているわけでして、ですから、通則法がどうのこうのとか、そういう議論よりも前に、この事業についての無駄があるのかどうかとか、目的に照らして、その手段が適切かどうかとか、そういうふうな観点の事業の仕分けをやっているということなので、独立行政法人だからという視点があまり多くの議論が割かれたということはないというふうに考えております。
 したがって、通則法がどうのこうのというような原点に立ち返っての議論というのはないので、改めて議論そのものを通則法の観点よりもう1回見直してみると。そこでまた通則法の在り方等も相互にフィードバックし合いながら検討していくというプロセスがあってもいいのかなというふうに思います。

【縣臨時委員】  では、それはいつなされるのですか。例えば、具体的に年度内に事業廃止を言われたら、それは当該……。
(事務局挙手)

【富田分科会長】  では、どうぞ事務局から。

【横山評価監視官】  実は、御指摘の点に関して、今回の独立行政法人通則法の改正の際、かなり国会で審議されました。この点については相当答弁の積み重ねがあり、原口総務大臣、枝野行政刷新担当大臣が答弁しています。5月20日の参議院の総務委員会で、今後どういうスケジュールで独立行政法人の抜本見直しをやっていくのかという質問がありまして、それについて、枝野行政刷新担当大臣は、夏から秋ぐらいまでの間に改革の方向性を示すと答弁しています。さらに、現政権が与えられている4年の任期の間に抜本的な改革を国会にお願いすると答弁しています。
 さらに、先ほど平池からも資料2−1の3ページに関して説明がありましたが、今後の事業仕分けの結果がどのように反映されるかということについて、総理が、5月21日の閣僚懇談会で総理発言として方針を示しています。具体的には、事業仕分けの評価結果を踏まえ、各省大臣において、独法の業務の見直し等に取り組み、今年度の予算の執行と来年度の概算要求に反映するという方針が示されています。
 それから、独立行政法人制度をめぐる様々な問題点については、枝野行政刷新担当大臣が中心となって、原口総務大臣と一体となって改革に取り組んでいくという方針が示されています。
 さらに、この事業仕分けと政独委の関係でありますが、これも国会で質問が出て、答弁がなされています。4月8日の衆議院本会議で、枝野行政刷新担当大臣は、独法評価も事業仕分けも両立し得ると答弁しています。また、原口総務大臣は、例えば、事業仕分けはエポックメイキングな政治主導の政策であって、独法評価、政独委は、恒常的にやっていくべき取組であると答弁しています。また、枝野行政刷新担当大臣は、こういった独立行政法人の事業仕分けを来年、再来年、またやるということはないと、答弁をしています。そういった意味で、こうした独法評価、政独委の取組は必要ではないかと考えられます。
 なお、こうした改革の方向性が出ますと、その後に制度の検討ということになりますが、これについては、具体的に誰が、どのように行うかについては、まだ見えていない状況であります。

【縣臨時委員】  今の話で、個々の事業の扱いについて、大臣の裁量であるとされたのは、通則法に合っていることだと思います。そこで象徴的に大臣がというのは、つまり各省委員会も入って、中期目標、中期計画の体系の見直しという形で織り込んでいくというのは通則法上正しいと思います。
 それから、今後、政独委の活動との関係で言えば、以前は有識者会議からいろいろな方針というのが出てきて、私の記憶であれば、それがかなり早い時期に政独委で協議されて、そこで体系化されてきたと思います。今回、事業仕分けは、ずっとここで議論にならなかったので、私は非常に気になっていたのですが、先ほど申したように、例えばこういう見直しの方針ということが出てきて、ここで具体的に如何に政独委の方の評価の視点という形で溶け込ませるかということで議論すれば、親和性があるというふうに理解いたします。

【富田分科会長】  はい。それでは、ちょっと議論を元に戻しまして、この「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」及び「平成21年度業務実績評価の具体的取組について(案)」についてお諮りしたいと思います。
 先ほど具体的取組につきましては、文言の修正。5ページのところで、「法人の長がマネジメントにリーダーシップを発揮できる」等々、あと――そこだけでよろしいのかな。

【樫谷分科会長代理】  そうです。

【富田分科会長】  というふうな文言の修正をさせていただくということでお諮りしたいと思います。
 それでは、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案につきましては、本案どおり決定し、この後の委員会で御審議いただくこととさせていただいてよろしいでしょうか。また、「平成21年度の業務実績評価の具体的な取組について(案)」は、先ほど申しました5ページにおけます所要の修正をするということで、当分科会として、この本案のとおりにするということにしてよろしいでしょうか。よろしゅうございますですか。
(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  それでは、そのようにさせていただきます。
 なお、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案が政策評価・独立行政法人評価委員会で決定され、各府省独立行政法人評価委員会に通知する扱いとされましたら、「平成21年度業務実績評価の具体的な取組について」も各府省独立行政法人評価委員会に通知し、参考にしていただきたいと考えております。その通知など、事後の処理につきましては、私に御一任いただければと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  はい、ありがとうございます。そのように処理させていただきます。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了といたします。引き続き政策評価・独立行政法人評価委員会が開催されますので、岡委員長、よろしくお願いいたします。

(2)政策評価・独立行政法人評価委員会

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、これより第55回政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
 本日の委員会では、「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案について御審議いただくことになっております。今直前まで行われておりました分科会で説明・審議が行われたところでございますので、説明・審議を省略いたしまして、この委員会としての議決に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)

【岡委員長】  よろしいですか。それではお諮りいたします。「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」の改正案につきましては、独立行政法人評価分科会において決定された案のとおり、決定することについて、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしいでしょうか。それでは、本件につきましては、案のとおり委員会の決定といたします。
 なお、本件は、当委員会の重要な取組方針ですので、各府省の独立行政法人評価委員会に通知し参考にしていただきたいと考えておりますが、その通知など、事後の事務的な処理につきましては、私と富田分科会長で相談の上、対応させていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  よろしいでしょうか。それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 それでは、最後に事務局からの報告事項がございますので、よろしくお願いいたします。

【横山評価監視官】  今後のスケジュールについて口頭で説明させていただきます。
 今年の中期目標期間終了時の見直しの対象となる法人でありますが、全部で43法人あります。この43法人のうち、事業仕分けの対象になった法人というのが16ほどあり、事業仕分け第2弾の対象にならなかった法人が27であります。
 それで、6月以降、各ワーキンググループで、法人の論点の整理をしていただきまして、それから現地視察を行っていただきたいと考えております。
 独立行政法人分科会の今後の動きでありますが、昨年と同じようなスケジュールで開催していただけたらと考えております。
 7月末に、各ワーキンググループの検討状況について御報告をいただきたいと思っております。
 それから、8月末に中期目標期間終了時の見直しの対象となる法人については、見直し当初案が出てきます。見直し当初案について9月の初めにヒアリングを行っていただきたいと考えております。
 それから、昨年は11月18日に勧告の方向性と業績評価意見の中間取りまとめをしていただきましたが、今年はもう少し早く、10月の下旬ぐらいにこうした中間取りまとめを行っていただけないかと考えております。そして、12月の上旬ぐらいまでに、勧告の方向性と業績評価意見を取りまとめていただけたらと考えております。
 今後のスケジュールについては以上であります。

【岡委員長】  以上ですか。
 ただいまの事務局からの説明、連絡事項につきまして、御質問などございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会を終了いたします。
 本日は、御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。

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