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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月13日開催)議事録

日時

平成22年9月13日(月)13時00分から17時30分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、黒田玲子委員、森泉陽子委員、浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健、稲継裕昭、岡本義朗、梶川融、河野正男、河村小百合、木村琢麿、鈴木豊、田渕雪子、山本清の各臨時委員
(総務省)
宮島守男審議官、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(財務省、国土交通省)
(2) 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  時間になりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、先週金曜日に続きまして、今年度の見直し対象となっております43法人のうち、財務省所管1法人及び国土交通省所管9法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 まず、財務省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。国税庁、富屋審議官をはじめ御担当の皆様にお越しいただきました。酒類総合研究所の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて国税庁から御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の都合もございますので、御説明、5分程度でお願いいたします。

【富屋国税庁長官官房審議官】  国税庁長官官房審議官の富屋でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速御説明させていただきます。
 それでは配付されております資料の、まず3ページから5ページまでの整理表におきまして、第2期の中期目標期間中に行いました経費の節減努力等について御説明をさせていただきたいと思います。
 まず3ページの真ん中に、国からの財政支出額の推移という数字がございます。18年度から経年で書かせていただいておりますけれども、このうちの右から2列目の平成22年度を御覧いただきたいと思います。この要求額につきましては、昨年の11月に行われました事業仕分けの評価結果で、「役割を整理した上で民間実施が可能な事業は共同化や業務委託を推進する」といった評価がございました。そういう関係で研究の一層の共同化等を進めまして、それらの削減を見込んで、21年度予算から約7,700万円、7%の削減を行っておりまして10億6,400万円となっています。
 さらに右側の平成23年度、10億2,400万円ということで4,000万円ほど削減をしております。4%程度の規模でございますけれども、実は来年の要求の中には、通常、退職手当というものはかなり変動するのですが、若干その増要因がございまして、それを除きますと約10%、1億円ほどの経費の節減を要求上盛り込んでおりまして、要求段階から削減に取り組んでおるということをまず御説明をさせていただきたいと思います。
 こういった削減をいたしましたのは、シーリングの閣議決定で100分の90ぐらいに削減を行うようにといったことも踏まえたものでございます。
 次に4ページに移っていただきまして、ここでは過去の中期計画の成果目標と結果が並べられております。毎年度の人件費経費の削減努力に加えまして、19年12月には独立行政法人の整理合理化計画、さらに事業仕分けを踏まえました結果、21年度決算額で見ますと、御覧のように17年度予算と比較いたしますと、人件費で11.5%、一般管理費で19.8%、業務経費で9.7%削減ということで、それぞれの目標をかなり達成した形になっております。
 それから5ページを御覧いただきますと、中期目標の達成状況という表がございます。これにつきましては時間の関係で御覧のとおりということで説明は省略させていただきたいと思います。
 続きまして6ページにいっていただきたいと思います。ここで今回の事務事業の見直しについて、具体的な内容を御説明したいと思います。真ん中の欄を御覧いただきたいのですが、私ども第3期中期目標期間につきましては、業務、組織について不断の見直しを以下の方針で行っていきたいと考えております。
 具体的には(1)の分析・鑑定業務でございます。ここは国税庁の行政に不可欠な課税権の行使、課税制度の立案、酒類の安全性の確保のための技術的基盤でございますので、確実に実施をいたします。ただ酒類総研が直接実施する成分分析の中で、特定の成分の分析のうち民間で実施可能なものはできる限り民間事業に委託するという方針でございます。
 次に研究・調査業務でございます。この業務につきましては、(1)の分析・鑑定業務の理論的な裏付けとなる研究、分析手法の開発へと重点化してまいります。したがって、今よりも研究の分野は重点化するつもりでございます。他の民間機関や大学などとの共同研究も引き続き推進してまいります。
 (3)が品質評価業務と講習業務でございます。品質評価業務というのはいわゆる鑑評会でございますけれども、これらにつきましては、民間による単独実施の移行も視野に入れながら民間との共催化を、これまでも少しずつ進めておりますけれども、さらに推進いたしまして、より運営費交付金に頼らない運営に努めたいと思います。また、民間との共催化が困難なものにつきましては、民間のニーズも勘案しまして廃止ということも検討してまいりたいと考えております。
 さらに8ページ、9ページにいっていただきたいと思います。8ページに組織の見直しについての言及がございます。こちら表の左側の(2)の支部・事業所等の見直しという欄でございます。ここでは酒類総研の事務所につきまして、東広島市にございます広島事務所と東京都の北区にございます東京事務所、現在2カ所で事務を実施しておりますけれども、そのうちの東京事務所につきまして、ここをそのまま読ませていただきますと「主に講習業務を取り扱っている東京事務所に関しては、今後、酒類業関係者の真のニーズを踏まえ、その講習業務の見直しを行った上で、東京事務所の在り方を検討する」と記載をさせていただいております。
 また右端の重複排除・事業主体の一元化等というところについても一言だけ言及させていただきます。「国税庁の税務行政に不可欠な分析・鑑定業務、その理論的裏付けとなる研究・調査、分析手法の開発を行っている他の独法等は存在しない」ということを書かせていただいておりますが、これはこれから私どもが重点化していく業務の部分というのは、どうしても酒類総研が実施する必要がある業務であって、他に実施しているものもないということを書かせていただいております。
 さらに駆け足で恐縮ですが、10ページ、11ページに運営の効率化及び自律化の見直しに関する当初案という欄がございます。これにつきましては、それぞれの項目は2ページございますが、それぞれの項目に沿って、効率的・効果的な活用に努めるですとか、引き続き努力を傾注してまいりますとか、そのような記載をしておりますけれども、これまでの努力を引き続き続けるということでございますので、具体的な説明はここでは省略をさせていただきたいと思います。
 それで資料の最初から2ページ目に一度お戻りいただきたいのですが、ここで前回の「勧告の方向性」における主な指摘事項の措置状況ということについて記載をすることになっております。これにつきましてはすべて措置済みでございます。
 私の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それではただ今御説明いただきました酒類総合研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いいたします。いかがでしょうか。

【木村臨時委員】  そもそも論で恐縮ですが、酒類総研の業務のうち分析・鑑定業務という、とりわけ鑑定の方がコアになる業務だと思うのですが、これについて、なぜ酒類総研でなければだめなのかということについてお伺いしたいと思います。恐らく鑑定業務といえども、酒類総研に法令上特別な権限が付与されているわけではないはずですから、言ってみれば訴訟における鑑定などと同じように、だれでもできるというのが理論的な性質なのだろうと思います。そうはいっても租税の公正中立性が求められるという説明はよくわかるのですが、その辺もおそらく最近事情が変わっているはずでして、地方税などであれば、固定資産税の最もコアになる業務であります評価額の決定については、名目的には市町村長の権限になっていますが、実際の作業はほとんど民間に委託しているわけですね。そういうことからしますと、必ずしも酒類総研ですべての鑑定業務をやる必要はなく、最低限、税務官庁が評価の判断をできれば、それで足りるのではないかという考え方もあり得ると思いますがいかがでしょうか。

【富田分科会長】  お願いします。

【富屋国税庁長官官房審議官】  それではお答えいたします。まず分析・鑑定業務、これは酒類総研でやっている業務の中では、国税庁からお願いをしているような課税の前提となるような分析と、研究のために必要になっている分析と両方ございまして、そのうち先ほど御説明をしましたように、国税庁で課税の前提となったり、安全性の確保の前提となるような分析については、引き続き酒類総研で行う必要があると御説明させていただいておりますが、そもそもの今の私どもの行政の体系から申し上げますと、酒税法等の税法を執行する前提として、酒のかなり細かな品目分類がございますので、そういったものを適正に執行し、場合によっては税率が変わってしまうようなものについて、お酒そのものを調べるようなことが必要になる場合がございます。
 そういった税法を適正に執行するために、まず酒類総研以前に、各国税局に鑑定官を全国に60人ほど置いておりまして、通常、既に分析手法が確立しているような、比較的短期間で鑑定できるような分析につきましては、国税庁で所定分析法をつくっておりまして、それに従って鑑定官が処理をします。ただその鑑定官のところで直ちに分析が終わらないような高度な分析については酒類総研で行います。法律上も酒類総研の行う業務というのは高度な分析・鑑定と書いておりまして、国税局と酒類総研ですみ分けをするという形になっています。
 いずれにいたしましても、国税局で比較的軽微な作業、難しいものは酒類総研ということになっておりますが、これら最終的には酒税法に基づく課税処分の前提となるようなものですから、適正・公平に課税を行っていく上で、できるだけ中立性のある自前の組織というものを持って執行していくのがよかろうということで、従来からそういう体制で、そんなに多くない人数の中で何とかやりくりをしてやってきているということでございます。
 先ほど固定資産税の話が出ましたが、例えば国税の中でも相続税で、相続税の路線価ですね、毎年公表しておりますけれども、ああいった作業には民間の鑑定者の方の御意見も伺っております。というのは国税局の職員で、すべて鑑定の職員まで養成をしてすべて自前でやるということはなかなか大変なことですので、そういった体制はとっていませんが、国税の中でも一応資産税と評価に詳しいものがおりまして、協調してやっておるわけですけれども、お酒の場合、具体的な課税処分の前提となるような分析につきましては、やはり自前でやっていけるような体制をとろうとしておりまして、その中の一部が酒類総研の業務として位置付けられているというように御理解をいただきたいと思います。

【富田分科会長】  木村委員、いかがですか。

【木村臨時委員】  一言いいですか。酒税法の執行の一部だという御説明、これはわかるのですが、そう言ってしまうと民間委託というのはほとんどできなくなってしまうはずです。補助的な業務であればどんどん切り出していくというのが最近の流れですから、まさに固定資産税の評価作業なども補助的な業務を切り出しているというわけですから、酒類総研の業務、あるいは国税庁の業務であっても、補助的な業務であれば切り出すことはいくらでも可能だと思います。それから高度なものという御説明。固定資産税の評価とお酒の評価、どちらが高度かというのはなかなか難しいところはあると思いますが、いずれにしても高度なものであってもしっかりとした指揮監督権が行使されていれば、補助的業務はできると思います。もう一言言えば、租税の中立性というのも、課税処分の段階で完全な中立性は確保される必要はないわけであって、不服申立てとか、あるいは訴訟に至るまでの一連のプロセスの中で中立性が確保されればそれでいいという、そういう割り切り方もあるわけでございますので、簡単には説明できないという感じがいたします。

【富田分科会長】  はい。

【森泉委員】  すみません。

【富田分科会長】  どうぞ。

【森泉委員】  今のに関連するのですが、私も木村委員と全く同じ意見でして、固定資産税ができて、なぜこちらはできないかというと、高度な分析ということがあるということですが、その高度の分析とそうじゃない分析というのは毎年どのぐらいの割合であるのでしょうか。それから路線価に関しても、やはりほとんど国税専門官の方などがタッチはしてらっしゃるけれども、ほとんどはやはり民間の鑑定士の方にお任せしていると思うのですが、例えば固定資産税との違いというのは、安全性とかそういう部分でおっしゃっているのでしょうか。どこにあるのでしょうか。

【富田分科会長】  それではお願いいたします。

【富屋国税庁長官官房審議官】  それでは今の委員の、まず後半の御質問にお答えいたしますけれども、先ほど路線価のようなものは、既に実際の土地の評価というものについて、実際鑑定をされる方というのは民間にたくさんいらっしゃって、そういった知見を使いながら、しかしいったん決めたものを具体的に課税処分でどうするかというのは個々の税務職員が当然対応をして、相続税、例えば計算の間違いとかがあれば修正を求めたりするのは税務職員の仕事で、その部分について一々そういった民間の方に何かをゆだねているというやり方では多分ないと思います。
 お酒について今、分析で申し上げているうちの私どもでやらざるを得ないという部分は、酒税法ないし安全性ということで、人の口に入るものですから安全性確保のために、私ども酒の所管省庁として分析をしなければいけないという部分で、そこは私どもの課税処分等の前提となるものでございますので、自らやるべきものだろうと考えているということでございまして、先ほど評価の話とはちょっと違う局面の問題だと思いますし、現実問題として酒の鑑定をどなたかに頼めるようなそういう世界でもございませんので、自前できっちりと、小人数でありますけれども法律を適正に執行できるような体制を組んできているというふうに御理解をいただきたいと思います。

【森泉委員】  すみません。お尋ねしたいのは、毎回高度な分析という手法をお使いにならなければ評価ができないということなので、鑑定を使わなければ評価ができないのでしょうか。

【福田国税庁課税部鑑定企画官】  高度な分析についてちょっと御説明させていただきたいと思います。高度な分析と申し上げているのは、例えばビールとか発泡酒などの麦芽の比率とか、あとカビ毒や残留農薬、発がん物質、このようなものの分析を言っておりまして、国税庁でも年間相当数のお酒のアルコール度を分析しておりますが、その国税庁で実施できない、先ほど言いました麦芽比率とか残留農薬とか、そういったものが高度な分析ということで分析しております。

【森泉委員】  すなわち酒類総研では麦芽の比率とかカビとか残留農薬は、酒類総研でしかできないと、そういうことですか。

【福田国税庁課税部鑑定企画官】  酒類総研以外でも農薬とか分析しているところはありますが、酒類総研ではそういった酒税に関する知識とか分析に関する知識、そういった経験と豊富な知識がございますので、的確に分析できるということでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがですか。

【阿曽沼臨時委員】  木村委員について的確に明確にお答えいただきたいのですが、この鑑定について木村委員がおっしゃったように、独法である酒類総研が唯一無二の組織として国税庁から委託を受けるという関係を見直して、それも含めて固定資産税のように民間に委託をするということを検討することができるのかできないのか。検討の余地があるのかないのかということをお答えください。

【富屋国税庁長官官房審議官】  私ども、今その検討は考えておりません。といいますのもそこは国税庁の行政のまさに密接不可分な一部であると考えているからです。もとの経緯論から申し上げますと、酒類総研が独法化する前も高度な分析のところは独法ではない研究所、それ以外の比較的高度でないものは各国税局というすみ分けをしておりました。独法化したときにその業務を独法の業務として引き継がせながら、しかし国税庁から必要があれば要請ができるというような独法法上特殊な規定も置いて、そこは必要に応じて独法に対して必要な要請をしてきっちりとやらせる、私ども国税庁がやらなければいけない仕事の一部を分担させているというものでございます。何か民間に切り出して、民間を使っていくという部分ではない仕事だと、それは民間ができてもできなくても私どもの方でちゃんとやれないといけない仕事だと思っています。

【阿曽沼臨時委員】  それは、一部を独法に切り分けてやらせることの必要性というのは今後どういうふうにお考えですか。

【富屋国税庁長官官房審議官】  そこはもともと独法で切り出すという議論をして、切り出したときに、先ほど申し上げましたが独法法上その部分については国税庁から要請できるという特殊な規定も置いており、現状それでうまく回っておりますので、直ちにその関係について見直す等の問題意識は、十分持っておりませんけれども、繰り返しになりますが、国税庁の課税処分等の作業の中の一連の密接不可分の部分の業務であるということだけは御理解をいただきたいと思います。

【阿曽沼臨時委員】  あともう一つ、高度な分析という点ですが、私も二、三年ほど前に広島を見学させていただいて、十分に御説明を受けたのですが、何を持って高度な分析であるか全く理解できませんでした。科学的に考えても何が高度なのかよく分からない。私が理解したのは、高額な機械があるというだけであって、高度な分析ということがやっぱり理解ができませんでした。この点を客観的かつ合理的に御説明をいただきたいと思います。科学的にご説明下さいという意味です。

【富屋国税庁長官官房審議官】  科学的に御説明する前に、法律上高度なと書いたのは、国税庁のやっている鑑定の中で、高度なものだけは独法に切り出そうという考え方でございまして、通常、なぜそもそも研究所にだけそういった機能を与えていたかといえば、まさに先生おっしゃったように比較的高額な機械を1カ所に置いておいたら効率的だろうと、各国税局12ございますが、そこで難しいものは広島に送った方がいいだろうということでそこに機能を集中させていったわけです。それが国税庁の時代は高度も高度でないも法律で書いていなかったのですが、分けるときに独法の業務として書く場合に、高度なと書かないと説明がつかなくて、簡単な業務まで酒類総研でやらせる必要ないだろうと、あえて高度に限定したというのが高度の由来でございます。
 したがって、技術的に見て科学的に見て非常に高度で、民間ができるできないではなくて、国税の組織の中で難しいものはそこでやらせる、簡単なものまでは酒類総研でやらせないという意味合いの方が強うございます。技術的な部分についてもっと説明が必要であれば説明させていただきますが、民間で絶対できないことを酒類総研でやっているということではなくて、やれないこともやっていますが、民間でやれることも私どもが頼んでやっていただいている場合があるというふうに御理解いただいた方がいいと思います。

【阿曽沼臨時委員】  今までの長い独法の評価委員会との議論の中で、高度な技術、高度な分析を有しているということが唯一無二の組織の必要性だと言うような御説明をずっと続けられてきたことが、大きな誤解を生んできたとすれば、今おっしゃったように、もう少し具体的に組織の在り方も含めて、もう少し具体的に御説明いただく方がいいのではないかと思います。

【富屋国税庁長官官房審議官】  今、私が申し上げた点でまだ説明がし足りない部分があるとすれば、高度なというものの説明について十分説明をできていなかったのではないかということですか。

【阿曽沼臨時委員】  そうですね。高度という点の説明が科学的に高度であるという御説明に終始されてきた。だから独法の酒類総研でしか分析や鑑定ができないのだと説明されました。そして知見があって経験があるから自分達以外は出来ないというお話だったので、そんなことはないでしょうと我々が申し上げてきました。

【富屋国税庁長官官房審議官】  その説明と整合的に御説明するとすれば、「すれば」という言い方で申し訳ありませんが、結局酒税法という、通常そういうものがなければ、しなくてもいいものに当てはめてどう分類していくかと、こういうものはビールだ、こういうものは発泡酒だ、こういうものは第三のビールであるという、普通民間でお酒を単に研究するだけでは必要とならないようなものを分析するために、税法の知識、それに係る様々な技術的知見というものを持ってきっちりと研究ができるのは、酒類総研だけだろうというような御説明をしてきたのではないかと思います。その限りにおいては、同じようなことをきっちり民間でやると言えばできないとも思えない部分もありますが、やはり技術的には酒類総研に酒税関係の分析をするための十分な知見と能力が備わっていて、それは他のなかなか代替ができない部分があると、少なくともすべて代替できるようなものではないということは技術レベルでもある程度言えるということで、そのような御説明をさせていただいてきたのではないかと思います。

【富田分科会長】  どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  委員側と国税庁の御説明がかみ合わないのは、やはり1つあるのは、御説明の中で酒類総研と国税庁がそもそも分けるべきだという議論から発しているような気がします。先ほどからお話を伺っていると、国税庁と密接不可分の業務をやらせているからというところですが、そこを伺っていると、もう独立行政法人としての酒類総合研究所があるから高度なというものの概念を持ち出してきてここをやってもらっているのだと。高度でないから国税庁がやっていると、そういう意味に聞こえます。
 ただ、先ほどから委員の側が言っていますように、高度なというところに非常に疑問があるとすると、もう一度ちょっと考えていただきたいのは、国税庁との違いは何ですか。国税庁が存在をしていて、実施庁で存在をしていて、なおかつそこに独立行政法人の酒類総合研究所があって、それからいろんな行政の、いわゆるいろんな意味の縮減をしていかなければならない中で、なぜ酒類総合研究所がある意味でアンタッチャブルな存在として存在しなきゃいけないのか。
 その中で分析・鑑定と研究・調査と品質評価、講習などを見ていますと、恐らくこの分析・鑑定という業務が根幹たる業務だと思います。ここがぐらぐらし出すと、後の業務というのはいかようにもできるのではないのかと我々は思っていますので、なぜその鑑定という業務が国税庁ではなくて民間ではなくて酒類総合研究所がやるのか。そこの御説明をいただかないと、これずっと平行線だと思います。よろしくお願いします。

【富屋国税庁長官官房審議官】  そこは経緯論も含めて御理解いただかなければならないと思います。そもそも国税庁は酒税の適正・公正な賦課・徴収という仕事とともに、酒類業の健全な発達という2つの任務を設置法上有しております。国税庁自身も国税局を通じて様々なそういった行政ニーズに対応しておりますが、その中で酒類総合研究所、もともとは国の組織だったのを独法に切り出しましたけれども、やはりその国税庁がもともと持っていた機能の一部を切り出しておりまして、分析・鑑定については先ほど申し上げたとおりでございますが、それ以外に様々な目的での研究があり、講習や品質評価をやってきました。講習や品質評価はどちらかといえば酒類業の健全な発達という部分でございまして、研究には分析・鑑定のために行っている研究と、それ以外の酒類業の健全な発達のために行っている研究がございます。
 国税庁の両方の任務の一部を酒類総研という形で切り出したわけですが、その業務について改めて10年たって見てみますと、分析・鑑定業務についてはやはり国税庁の行政に非常に近い部分で、密接不可分と申し上げましたが、そこはなかなか外せるものではございません。他方、講習や品質評価や鑑評会については、やはり酒類業の振興ということでこれは民間で実施してもよいのではないかという議論もかなりございますので、見直しをしていって、最終的には民間の主体に実施をしていただくように、徐々に酒類総研ないし国税庁の業務から切り出していこうかなという頭の整理をし、研究については、分析・鑑定業務という国税庁の行政の根幹にかかわる部分については、ぜひとも重点化してやっていただきたいと思いますが、それ以外の部分については共同研究等で、少し国自身ないしは国の出資した独法が自らやるという部分を減らしていくというような頭の整理をしていきたいということでございます。その中で国税庁と先ほどの関係で申し上げますと、非常に重要な課税に係るような部分についてはぜひ酒類総研の業務を引き続き酒類総研で行わせていただきたいという頭の整理をさせていただいたということであります。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。御質問、御意見。どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  ちょっと今の部分で確認をさせていただきますと、分析・鑑定という業務については酒類総研がやるべきだ。これは国税庁とは違った第三者が中立的に行うべきだ。ここが根幹であると。それ以外の業務については、一部研究・調査については、分析・鑑定に資する部分については検討の余地があるかもしれないが、それ以外の部分の研究・調査、品質評価、講習については民間の可能性を探って、民間の可能性がなければ廃止の方向で検討していくと、そういう整理ですか。

【富屋国税庁長官官房審議官】  すみません、分析・鑑定の部分がちょっと今、違うように聞こえたのですけれども、私、分析・鑑定のうちでも課税等に直接かかわるような分析・鑑定は民間にゆだねていくというつもりはございません。むしろ、最初の方に申し上げましたが、酒類総研の中で自分でいろいろ研究もしているものですから、研究のときに必要となるような分析・鑑定の中で、自分でやるより民間でやった方が能力も高いし安いというような特殊な分析については、民間の方に移していくことは、今も工夫しておりますし、今後もやっていくということでございます。研究については先ほどおっしゃったことで、ほぼ同じ方向だと思います。

【富田分科会長】  阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  今の議論をずっと続けていくと幾らやっても時間が足りないので、ほかの件に移らせていただきます。今後、民間に任せるべきだとか廃止すべしという方向で考えざるを得ないと考えるのが鑑評会だろうと思います。私しが、皆さんの説明の中で大変気になりましたのが、人件費を含まない経費と収入を比較した場合、新酒鑑評会では収支相償になっているという説明です。その感覚ですね。人件費を含まない収支相償などということが、組織の運営マネジメント上あり得るのかという事が委員全体の感覚でありますが、この点についてはどう御説明されますか。

【富屋国税庁長官官房審議官】  これもまさにそう御指摘をいただきますと、私もそこだけで、収支相償ですべて説明つくとは思いませんけれども、申し訳ありませんがもともと国でやっておりましたときは、ほとんど国丸抱えだったものを、独法化しましてから、自己収入を少しでも上げなければいけないと、ないし共催化をして少しでも、相手方は日本酒造組合中央会でございますが、負担していただかなければならないということで、徐々に共催化をし、負担を民間側にもお願いをして、かつその出品料というか実際に鑑評会に提出していただく酒屋からもたくさんお金を今までよりいただくようにして、徐々にやってきてようやくそこまでなりました。この努力は一応お認めくださいという趣旨でございます。鑑評会に行って鑑評をする実際の鑑定官とか酒類総研の職員の人件費すべてまでを計算しますと、収支相償になっていません。そこを例えば民間ですべて実施をしてくださいと言って、その人件費まですべて民間に負担していただくことになりますと、かなり持ち出しになるものですから、そこをではどうやって民間の方に持っていくか、それは費用負担の在り方であり、やり方の問題、規模の問題もあり、様々なことを整理していかないと完全に民間実施に移行するというところに参りません。一応私どももそういうものも視野に入れて今後検討していきますけれども、まさにおっしゃったように、まだそこまでの収支相償しかできていないということは、いきなり民間には行けないような難しい問題があるという認識を持っているということだけ御理解いただきたいと思います。

【阿曽沼臨時委員】  許認可権限者である国税庁が民間企業に対して鑑評会をやるからお金を出してくれということ自体問題であると思いますが、それでもなおかつ22年度鑑評会が開催できないということは、ニーズがないしシーズもないということだと思いますから、すぐに、直ちにやめるべきであると思います。もし、どうしても民間の協力で開催が必要であれば、むしろ民間が自主的におやりになることを支援されるというふうに考え方を180度変えていくべきと考えます。鑑評会があること自体に意味がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【富屋国税庁長官官房審議官】  鑑評会について様々な御意見があると思います。今、先生がおっしゃったような意見があることも承知しておりますが、一方で100年ぐらい続いて非常に伝統のある鑑評会でございまして、これを励みにして出品をして、毎年毎年のお酒の品質向上に努力している酒屋、杜氏が現実におりますし、そういったものをぜひ続けてほしいという立場の方もいらっしゃいます。私どもとしてはどういうやり方でやっていくにせよ、こういった仕組みができるだけ酒類関係者のニーズをうまく反映した形で、しかも、私ども酒類業の健全な発達という行政目的も持っておりますので、私ども行政のニーズに合う形で、できるだけうまく見直しをして、できれば残していきたいのですけれども。いきなり先生のような形でおっしゃると、うまくやれないということになるかなということで、年々関係者と協議をしながら一歩一歩努力をしているという実情にあるということを御理解いただければ幸いでございます。

【富田分科会長】  大体よろしいですかな。今日はもう……。

【阿曽沼臨時委員】  最後に1つ森泉委員からご諮問があります。

【富田分科会長】  じゃあ、森泉委員。これで最後にいたします。

【森泉委員】  そうですか。わかりました。研究・調査に関してお聞きしたいのですが、共同研究、民間との共同研究を推進していらっしゃるということですが、これは将来的にはさっきの高度の鑑定の中も含めて、民間の方になるべく技術を移したいという思いでやってらっしゃるのか、あるいは逆で、民間から各種民間の高度な技術を取り入れたいという思いでやってらっしゃるのかというのをちょっとお聞きしたいのと、あとどのように今までの調査や研究というのは、具体的に鑑定以外のことには役立っているのでしょうか。そもそもその課税に関する点はあるのですが、国民の健全な、酒類業の健全な発展というふうにおっしゃっていますが、なぜ酒だけなのかというのは、もう当初計画させていただいたときから非常に私は難しい印象を持っているのですね。別に幼稚産業でもないのだから、そこの根本的な部分というのは、課税を抜くとどういうところにそもそもあるのかというのがちょっと分からないのですが、研究に関して先ほどの点をお聞きしたいと思います。

【富田分科会長】  簡潔にお願いします。

【福田国税庁課税部鑑定企画官】  分析・鑑定につきましては、先ほどから御説明させていただいているように、酒類総合研究所がやらなければいけないと考えております。それから研究・調査の中におきまして、いろいろありますが、その研究・調査の中で共同研究をした方がよりいいもの、そういったものにつきましては共同研究を進めているわけでございます。例えば共同研究の中には醸造酒の、お酒の中の原料の判別の研究等を他の大学と共同してやっているものもございます。

【富屋国税庁長官官房審議官】  なぜお酒だけなのかという御質問、なかなか難しいのですが、要はなぜお酒だけに税金がかかっているのだろうとお考えいただくと、やはり普通の食べ物とは違いまして、致酔性の飲料で、課税が適当だと思う人が多い特殊な物品であるということに尽きるかと思います。そしてお酒というのは、原料から見れば農産物からつくりますから農水省に近いところもございますが、でき上がったアルコールは工業用アルコールと何の区別もないような経産省に近い物品になる部分もございますし、また未成年飲酒はまずいという意味では警察庁とか、さらには健康関係で厚労省とか様々な役所にかかわる物品でございまして、現状、というか長い歴史的な経緯かもしれませんが、財政物資だということで財務省国税庁が所管をして、様々な役所と必要な調整はするという非常に特殊な物品としてこれまで取り扱ってきたというふうに御理解をいただければと思います。

【富田分科会長】  今日のところは時間の都合もございますので、酒類総合研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 また本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員もおられるかもしれません。その場合には後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 国税庁の皆様方には御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。


(国税庁 退席)


【富田分科会長】  続きまして国土交通省所管9法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。国土交通省毛利審議官をはじめ御担当の皆様にお越しいただきました。
 それでは交通安全環境研究所、自動車検査、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所、電子航法研究所、海技教育機構、航海訓練所、航空大学校及び海上災害防止センターの9法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、国土交通省から、時間の都合もございますので1法人5分程度で御説明をいただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。まず、交通安全環境研究所及び自動車検査について、毛利審議官から御説明をお願いいたします。

【毛利大臣官房政策評価審議官】  国土交通省でございます。委員の先生方には大変お世話になっております。貴重なお時間でございますから、また時間も押しておりますので簡潔に、まず私の方から全体概要をお話させていただきたいと思います。御承知のとおり国交省におきましては20の独立行政法人を所管しておりますが、今お話がございましたように、このうち11の法人が今年度で中期目標期間の終了を迎えます。この11法人について見直し当初案を提出しましたが、本日はそのうちの9法人、説明順で交通安全環境研究所から海上災害防止センターまで9法人、順次御説明をさせていただきたいと存じます。残る土木研究所と建築研究所につきましては、改めまして21日にお時間を頂戴しております。
 本日の9法人につきましては、中期目標期間におきまして、様々な効率化に向けた取組を行いながら、これまで着実に業務を実施してきております。また毎年国交省の独立行政法人評価委員会による評価もいただいているところでございます。今回の見直し当初案の提出に際しましては、昨年12月に閣議決定されました独立行政法人の抜本的見直しについてでありますとか、今年の4月の行政刷新会議によります事業仕分け第2弾の評価結果なども踏まえまして、組織、業務全般にわたる検討を行っております。もちろん、今後政府全体としての動きがある場合には、これを踏まえて見直し内容に変更があるということも御承知おき、お含みおきいただきたいと存じます。
 それでは以下、法人の概要と具体的な見直し案につきまして、担当局から順次御説明をさせていただきたいと存じます。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  自動車交通局でございます。
 最初に交通安全環境研究所、それから自動車検査独立行政法人について、見直し当初案の概要について、内容一覧表がございますが、これに即しまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず交通安全環境研究所の業務見直しに関して、事業の重点化、透明性の確保。研究業務につきまして、自動車の審査、検査に活用する安全・環境基準の策定、基準案の策定、あるいは施策立案のための試験研究など、大学や民間の主体ではできない国の施策に直結したものに限定をしているところでございます。次期計画におきましても、これを確実に担保し、さらなる重点化を推進するということでございます。
 また、基準策定、審査業務等の国際調和の一層の推進といたしまして、国際社会で自動車の安全・安心、あるいはそのメーカーが活動しやすい環境をつくるということで国際調和活動の一層の推進を図るとしております。すみません、資料の2−1の1ページに即して今御説明をさせていただいております。また鉄道につきましても、国際規格への適合性評価等に関しての検討を進めるとしております。
 また審査業務につきまして、審査業務、審査項目が増加、あるいは高度化・複雑化をしておりますので、技術スタッフの更なる能力向上、管理体制の強化、施設整備等を進めるとしております。
 リコール技術検証業務につきましては、新技術等の不具合対応がございますが、加えましてユーザー目線に立った業務の実施等ということが求められております。所要の見直しを行います。
 それからアセスメントに関しましては、自動車事故対策機構の事業仕分けにおいて、このアセスメント事業というものを当研究所など他の法人への移管ということで決定をしております。これを踏まえまして、所定の検討を進めます。
 また2番目の組織の見直しに関する具体的措置でございますけれども、事業実施主体の見直しにつきましては、基準案の策定、施策立案のための研究という業務につきましては、唯一の独立行政法人でございます。また、大学や民間の主体ではできない施策に直結したものに確実に限定をして、事業を実施していくと。また自動車の型式審査につきましては、これは中立の立場から厳格な審査が求められておりまして、民間主体にゆだねることは難しい業務でございます。
 また重複の排除・事業主体の一元化につきましては、事前評価、あるいはその結果を公表することによりまして、重複を確実に排除していく。またその一方で、客員研究員等の受け入れ、又は共同研究を引き続き積極的に行うこととしております。
 それからリコールに関しましては、先ほどのような業務見直しに伴いまして、業務実施体制の段階的な整備を進めることとしております。
 アセスメントにつきましても事業の移管に伴う所要の検討を進めることとしております。
 また独立行政法人の抜本的見直し及びその事業仕分けへの対応につきまして、今後予定される抜本的見直し等を踏まえまして、事業、組織の在り方について、さらに検討を行うこととしております。
 また3番目の運営効率化、自律化の見直しに係る具体的措置でございますけれども、業務の重点化、透明性の確保ということで、この研究所の特徴でございます基準策定支援研究と行政執行事業、同一組織内で連携する、併存すると。あるべき独立行政法人の1類型としてやっているところでございます。新技術の導入等に伴う業務の高度化・複雑化に対して少数精鋭で効率的に対応していく。またそのミッションを徹底するために、業務方針の明確化、所内評価、進捗管理等々、あるいは事前・事後評価と、あるいは結果発表ということから内部統制と透明性の確保に引き続き努めていきます。
 また保有資産の見直しに関しましては、今後も減損会計の情報なども活用して、そういうものを把握し、保有資産の有効性を検証していくこととしております。
 自己収入の増大につきましては、既に研究法人の中で非常に高い水準に達しているところでございますが、今後とも国からの受託を中心に自己収入の拡大を着実に図っていくこととしております。
 またアウトソーシングの拡大につきましても、今後も他の法人の動向も踏まえつつ、アウトソーシング活用による管理業務の効率化に努めるということになってございます。
 それから引き続きまして、検査法人の方の概要の御説明をさせていただきます。資料2−1の2ページになります。当初案見直しにつきまして、概要でございますが、まず最初の事務及び事業の見直しに係る具体的措置でございますが、戦略化・重点化につきましては、自動車の審査の高度化施設を活用いたしまして、不正受検、不正改造の防止、あるいはリコールにつながる不正の抽出に努めていくということがまずございます。また、自動車に搭載されている自己診断装置、新技術でございますが、これらを活用した審査方法等についても検討をすることとしております。また、普及が予想されます電気自動車・ハイブリッドといった次世代自動車につきまして、審査の在り方を検討することとしております。また、改造自動車の審査体制確立、あるいはユーザー車検の審査の内容の充実、さらに不正改造車の排除ということにつきましては、国交省、警察等の連携、あるいは街頭検査の充実というものを図ってまいります。
 次の事務事業の合理化・適正化でございますけれども、今後予想される業務量の変化につきまして、的確に対応して、要員配置等の見直しを行い、効率的な業務運営を進めることとしております。特に、指定整備率の向上につきまして、業務量の傾向を見ながら、検査コースの削減等を検討するとなっております。また、公開プロセスによります施設整備等の取りまとめ結果への対応でございますけれども、この対応を検討する際に、検査法人の事務所等もあわせて検討することとしております。
 市場化テストにつきましては、中央実習センターの管理・運営について、民間競争入札を実施する。また、検査機器の保守管理業務について、民間競争入札を実施することとしており、24年度以降につきましては、当該民間競争入札の結果検証を踏まえて全国への拡大を検討するというものでございます。
 次に、2の組織の見直しに係る具体的措置でございます。まず、支部・事務所等の見直しですが、中央実習センターは、専門的かつ高度な知見を必要とする教育施設として欠くことができないものでございます。一方で、指定整備率の向上による今後の業務量の傾向を見ながら、検査コースの数につきまして削減等を検討いたします。
 事務事業実施主体の見直しにつきましては、検査法人の業務は法律に基づく安全・環境基準への適合性の審査業務になっておりますが、全国一律に実施する必要があるということです。また、指定整備制度もございますが、民間指定整備工場では取扱いを拒否されることもございますので、改造自動車や特殊な構造の自動車等に対する審査業務を行う必要があり、さらに、重量税等の諸税、あるいは保険料、運転免許等の基礎となります車両の基本諸元等の確定業務を行っていることから、独立行政法人でなければ実施が困難な業務ということで考えております。
 重複排除・事業主体の一元化につきましては、検査法人が法律に基づきまして、1台ごとの自動車について、安全・環境基準への適合性の審査、車両、基本諸元の確定業務を行う唯一の独立行政法人でございまして、重複はないということでございます。
 非公務員化につきましては、既に実施をしたところです。
 それから、主たる事務所の東京都区部外への移転につきましては、独立行政法人の見直しの動きを踏まえつつ検討するとしております。
 3番目の、運営の効率化及び自律化の見直しに係る具体的措置でございますが、保有資産の見直しに関しては、現在、不要資産に該当するものはありませんが、今後必要に応じて適宜見直しを行います。
 自己収入の拡大につきましては、既に自己収入化を図ることにより、運営費交付金を大幅に削減したところでございます。
 管理運営の適正化につきましては、人件費について、国家公務員に準じて人員削減。22年度で17年に比べて5%以上削減というものでございますが、これを達成する見込みでございます。収入支出管理は厳正に行っておりまして、支出先及び使途の把握が確実になされています。予算執行につきましては、契約監視委員会を設置して、契約状況の点検・見直しを行う等の取組を行い、適切な予算執行の確保を図っております。
 事業の審査、評価の見直しにつきましては、独法評価委員会、あるいは契約監視委員会、また監事監査により事業の審査、評価を受けておりまして、当該評価結果についてはホームページで公表することで対外的な透明性を確保し、事業の実施、向上を図っております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それではただ今御説明いただきました交通安全環境研究所及び自動車検査の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

【山本臨時委員】  すみません。

【富田分科会長】  山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  2つ法人合わせて、質問させていただきたいと思いますが、交通安全環境研究所だけの問題ではなくて、国土交通省の研究所にかなり当たる問題ですが、例えば見直しの自己収入の増大のところに、国からの受託を中心に自己収入の増収を図っていかれるということをお書きになっておられますが、そもそもこの研究所も含めて、運営費交付金による研究活動というのと受託に係る研究活動というのを2つ、両建てでされているわけですね。
 去年も確かお聞きしたと思いますが、中長期的な課題については運営費交付金でやったり、あるいは緊急的とかあるいは短期的な課題等については、受託があってなかなか予測できないということではあるのですが、かなり受託の割合が、国からの受託の割合が、今後とも高めるということは、逆に言うと、どんどん定員削減等がかかっている、あるいは圧縮がかかっている中で、果たしてそれをやることが独法の本来業務を推進していく、重点して特化していくということと、私、反することになるのではないかという気がしてならないのですよね。
 したがって、国からの受託について緊急的やむを得ない場合については対応していかなければいけないということは、緊急時においてはわかるのですが、それを中期期間の目標に掲げて、自己収入を図っていくということは、果たして独法の使命からいっていいのかどうかという、素朴な疑問がありまして、そのあたりを人事管理等も絡めて少しお答えいただきたいと思います。
 それでどうしても足りない部分を自己収入で賄っていくということであれば、これはまだ独法の性格とも絡みがあるのですが、むしろ国以外のところから、今、財政難ですから、受託を図っていくという考え方も当然あるのではないかと思いますものですから、そのあたりを少し、交通安全環境研究所についてとりわけ自己収入の増大をお書きになっているものですから、それが1点ですね。
 それともう一点は、先ほどのお話があった自動車検査のところです。これも事前のワーキングでのヒアリングなど、事務的な中でも確認させていただいてはいますが、軽自動車については対象になっていないわけですね。軽自動車の場合は改造の可能性が非常に少ないのだということのお話は聞いておりますが、いま一つ理解ができなくて、改造の有無等だけを根拠として当該普通自動車等に係る自動車の検査業務が独法でないとできないのかということについて、もう一度明確な回答をお願いしたい。それと、本部の移転を検討するということですが、具体的にどれぐらい検討が進んでいるかということです。これについて簡単に2点、御説明をお願いしたいと思います。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  最初に交通研の収入、自己収入と交付金によるものでございます。御指摘のございましたように、交付金によるものは、基礎的というか研究所の基本的なものでありますが、受託のものが必ずしも単発の研究ということではなくて、基準策定であるとか政策決定であるとか、そういったものに密接に結びついたものとして我々は理解しております。
 この研究所の特徴としまして、いわゆる単なる基礎研究ではなくて、基準策定支援研究と大きく言っておりますけれども、自動車の安全基準、環境基準というものの策定に大きく関係のする分野におきまして、基礎的なものも行いつつ、さらに非常に具体的な基準案策定というところに直結するような業務といったようなものをある意味一体的に進めているということがございます。
 ただ、もちろん性格的にはその中の基礎的なものが交付金によっておりますし、一方で具体的な基準案策定にかかわるデータであるとか、案そのものであるとか、そういったものに関しましては、国の業務と国の具体的な動きと密接に関係しており、もちろん緊急的なものもございますが、ある意味計画的に進めているといったところがございまして、何かそこはその事業の中身から来るバランスがとれるということで、決してこの研究所の独法としての使命、進め方と矛盾をするものではないと考えております。
 もちろんその一方で、人員の圧縮等の課題ということ関して、そういう業務の効率性、中身の重点化といったものは別途進めているところでございます。
 それから、検査法人につきまして、軽自動車は対象外ということでございますが、単純に改造があるかないかということではなくて、軽自動車というものが、規格としては名前のとおり重量、あるいは大きさ、あるいはエンジン出力といったところで非常に小さく限定されているものです。そういった中で、製品としても画一的なものでございますし、またその安全対策面からしても比較的安全、対人とかほかの車両に対する加害性というのが低い。大型車などや、トラック、バスなどと比べていけば非常にわかりやすいと思うのですが、そういった側面がある。また、ユーザーの使い方からしても、トラックのようなものであれば、改造といいますか、いろいろ使う、最初の段階からいろんな仮装をしたり、カスタマイズをして車をつくっていくということが一般的でございますし、また乗用車につきましてもいろんな手を加える人も一部にはいるという状況がございます。軽自動車につきましては、これは比較の話になりますが、やはり日常の足とかそういった使い方になってまいりますので、改造車がないわけではございませんが、そういう車としての差がある中で、結果的にその改造があるなしもございますし、また改造にかかわる検査の重み、内容の高度性、高度であるかどうか、そういったものが関わってきますので、軽自動車に関しては軽自動車検査協会というところで検査ができるけれども、それ以外は独法の高度な技術能力というものが必要になってくるということでございます。
  本部の移転につきましては、書いてあるとおりでございますけれども、独法見直しの結論にかかわってくるようなところがございますので、現在のところは今後検討していくということでございます。

【山本臨時委員】  あまり時間がないから反論はしませんが、受託を増やすということは、結局、国交省の財源がそれだけこの当該独法に行くということですから、ほかの要するに政策経費に回せなくなるわけですね。だからそういうことが果たして主務大臣が定めるような見直しの内容としていいのかどうかというのが気になるところですが、議論しても始まりませんので、ほかのまた質問……。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。

【鈴木臨時委員】  まず交通安全環境研究所の方についてお聞きしたいと思いますが、先ほど自動車アセスメントの件について出ておりましたけれども、これは今、現実には財団法人日本自動車研究所で実施しているということで、民間も実施できるということですので、独法で実施する必要性はないのではないかと私どもは思っているわけですが、仮に本業務を交通研で実施するという場合、現在の体制でこれはできるのかどうかということでありますし、当然それはかえってコスト増になるのではないかということでありますので、それについてのお考えをお聞きしたいと思います。
 それから、見直しの当初案において、この自動車審査体制を強化するということで、今後どのような体制で業務を実施していくのか、あるいは設備ですね。これまた増強とか設備等があるのでしょうから、その具体的な内容をお聞きしたいというのが2つです。
 それから、自動車検査独立行政法人についてですけれども、中央実習センターがございますが、先ほど来話がありますけれども、賃料コストがここではかからないですから、そこに移転するということの可能性はどうなのかということについてお聞きしたいと思います。お願いいたします。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  まず自動車アセスメントでございますけれども、日本自動車研究所でという御指摘でしたが、現在アセスメントは独立行政法人自動車事故対策機構というところで実施をしております。衝突試験という具体的な部分に関して、日本自動車研究所の施設を使っているようでございますけれども、実施主体はあくまで独法でございます。これは自動車の性能を客観的に比較して、ユーザーに情報を与えるという、いわばメーカーの影響を排除して中立厳正に行う必要がございますから、現在こういうやり方でやっていることです。ただ、効率的な実施ということから、交通研の方を含めて他法人への移管ということで御指摘がございましたので、検討しているところです。ですからまだ検討の最中でございますが、ただ交通研には、1つはこういう衝突安全性とか基準にかかわる政策、あるいは基準案の策定にかかわる研究部門がございますし、またその認証試験をやっている審査部門がございますから、そういったものの能力を活用すれば効率的な運営もできるのではないかという面があると理解をしております。

【河村臨時委員】  すみません。今の点では仮に、まだ未決定とのことですけれども、アセスメントの業務がこの交通安全環境研究所に移管するという場合、特に例えば組織部門、人員を大きく増やすとかそういう必要はなく受けとめられると、そういう理解でよろしいですか。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  まだ検討中ではございますけれども、もちろん、何も体制を整えずに現在の体制のみでできるということではありませんけれども、当然今の研究所が持っている能力等を活用しながら、必要最小限な手当てをするということで考えるべきことかと思います。
 審査体制の強化ということでございますけれども、これは、まず必要性として自動車の新技術、電気自動車だとか電子化だとかそういう新技術が出てきて、これにまずは対応しなければいけないというニーズのサイドからまず書いてございますけれども、当然それに即して必要最小限な範囲で全体的な業務効率化ということも十分配慮をしながら施設整備を考えると、そういう意味で必要性に関して今後の課題として指摘をしているところでございます。
 最後に、検査法人の本部でございます。八王子に実習センターがあるものですから、そちらへの移転という御指摘ですけれども、実習センターは性格的に、特に外と連絡を密にとる必要もないのですが、本部というのは、やはり関係機関等々、あるいは全国機関と密に連絡をとりながらやるということもございますので、現在では交通の便の悪い八王子への移転ということは考えてございません。

【鈴木臨時委員】  時間がありませんので御指摘だけですが、最初の質問については、このアセスメントについてはやはりトータルコストが縮減できなければ意味がないわけですので、そういう判断をなさっているようであれば、トータルコストがこれだけ要るということを示していただかなければなりませんし、先ほどのもう一つ自動車審査体制の強化についても、これも自動車検査独立法人などといろんな連携を図るということもあると思いますので、そういうことも具体的に検討すべきではないかと私どもは思っております。

【富田分科会長】  どうぞ、河村委員。

【河村臨時委員】  すみません。独法評価分科会に官房政策評価審議官と総務課長がおいでになるうちにちょっとほかの法人も含めてお尋ねしたいというふうに思います。交通安全環境研究所につきまして、去年の夏までの時点では4研究所の統合というような、そういう選択肢もあったものが、その話は政権交代の影響もあって1回なしということにはなっているとは思うのですが、引き続きやはりこの交通安全環境研究所とそれから電子航法研究所であるとか、同じ敷地におありになると思うのですが、そういった中で仮に、例えば所管の、国土交通省の中でも局はお違いになると思うのですが、やはり同じ敷地の中にあって、国土交通省所管の研究所ということであって、独法としては別々のまま行くということ、それはそれでもいいのですけれども、であれば、さらなる効率化を図ろうということを考えるのであれば、例えば間接部門の業務を一体的に実施するとか、そういった形でのコスト削減ということはできるのではないのかなと思いますが。
 ちなみに先日、横須賀の港湾空港研究所の方、見学に行かせていただいたのですが、そのときにも国土交通省本省の方の国総研との業務の進め方をお伺いしたときに、国の方の国総研とそれから航空研との間でも、やはり1本で外部に委託するような業務で、1本で委託できるようなものは1本で委託して、そしてコストは当然本省の分と、それから独法の分と、案分で負担するような形でそれぞれコスト節減ができるように工夫されているということを伺いましたので、同じようなことがこの4独法についてもすることができるのではないのかなと思いますが、そのあたりを御省としてどのようにお考えかお教えいただければと思います。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  それにつきましては、審議官からお願いします。

【毛利大臣官房政策評価審議官】  個別の統合という話については、いろいろ経緯もありましたものですから、ここではちょっと御説明は省略をさせていただきたいと思うのですが、今、後半御指摘のありました、例えば敷地を同じくするような、あるいは近接するもの。国交省20の独法の中でも試験研究系の法人の中にも幾つかございます。あるいは国総研といった国の機関、試験研究機関と近い敷地内で運用しているものもないわけではございません。
 そういう中でおっしゃったようなコスト削減に向けての工夫というのは、一般論として非常に重要だと思っておりますけれども、やはりそもそも例えば今日のテーマではございませんけれども、筑波にある21日のテーマの土研や建研、あるいは国総研、筑波の中にあって、13年の省庁統合のときにいったんそういうように形で整理をしました。約9年たって、どういう形がこれからいいのかって、これから見直しは当然あり得ると思いますけれども、現段階では具体的にはそういう形のものは考えておりません。
 コストを削減する上で、おっしゃったような間接部門の共通化とか、委託の共通化とか、そういうものは、やはり長期的な課題として検討はしていく必要はあると思いますが、やはり独法それぞれの独立性、あるいはそれによって立つそもそも目的の違いなどがありますので、直ちにはなかなか難しんじゃないかと思っているのですが、貴重な御指摘でございますので、よくよく私どもでも考えていきたいと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、鈴木委員。

【鈴木臨時委員】  それではさらに追加で御質問いたしますが、交通安全についてですけれども、自動車のリコール制度の見直しで、やはり技術検証について適切かつ効果的に行うように指摘されているということだと思いますけれども、国交省本省と交通研、あるいは車検はこういう役割分担については、今後どのように変化していくといいますか、お考えになっているのかをお聞きしたいということが1つでございます。
 それから車検法人の方ですけれども、私どもの方は、継続検査については民間指定整備工場に可能な限り任せて、指定整備技術の向上ということをもっと進めるべきではないかということなのですが、見直し当初案は指定整備率の向上について言及しておりませんので、これをやはりきっちりと示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  まず交通研の中のリコール検証業務につきまして、国のリコール業務との分担関係でございますけれども、基本的にリコールの業務、リコール届け出、あるいはリコール勧告等に関する業務は、法律で定められておりまして、基本的に国の業務であると認識しております。ただしその中で、リコール届け出の内容等の技術的な検証に関しまして、独立行政法人が行えると判断しております。国から独法の方に依頼をすることができるという法律の仕組みになっておりますので、役割分担としては明確になっていると思います。そういう検証業務ということで従来からやっておりましたし、ここで言っております業務の見直し等に関しましてもその範囲内でございます。
 それから検査法人の指定整備技術向上の話でございますが、指定整備率というもの、つまり指定整備工場が、数が増える等によって能力が向上して指定整備率が向上していくという話でございまして、これに関しましては国の施策として、国として指定整備率向上を図っていくという国の施策となってございます。独法につきましては、その中で指定整備率向上に対応して、今後の業務量の傾向を見ながら、必要な体制を組んでいくと、そういう立場でございます。前提としては、指定整備率が向上するからコース数の削減等を図っていくということで、この中でも説明をしているところでございます。

【鈴木臨時委員】  前半の方は、私どもも効率的に対応するためには、国土交通省交通研、あるいは検査法人、一体的に行うべきではないかと考えておりますので、その方向で検討していただければいいと思いますが、その2つ目は、当初案で指定整備率の向上についてきっちりと、目標等を示していただくべきではないかと思っていますので、御検討お願いしたいと思います。

【富田分科会長】  どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  1つだけ確認させていただきたいのですが、交通安全環境研究所は温室効果ガスの低減対策とか、もしくはエネルギー効率化向上という非常に重要なテーマに取り組んでいるとお伺いしていますけれど、このテーマで国立環境研究所との共同研究はやっていらっしゃいますか。もしやっていらっしゃるのであればどんな取組をされているのかご説明頂き、もしやってらっしゃらないのでしたら、何故やっておられないのか、必要性がないとお考えなのかも含めお教え下さい。また今後、国立環境研究所などとこのCO2の削減等々について連携を深めていくことのお考えがあるのかどうかも端的にお答えいただければと思います。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  具体的に何かあるかどうかというところは今ちょっと把握できていませんが、基本的にはある可能性がございます。片や環境の非常に、環境被害であるとか、排出ガスが人体にどんな被害を及ぼすかとか、そういう非常に基本的なところを環境研究所はやられていまして……。

【阿曽沼臨時委員】  国立研究所は国際的な基準を提言する、非常に重要な役割を担っていると思いますけれども。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  すみません。国環研の方が基本的なところをやっておりまして、それで交通研が車両側、車両対策の方、排出ガス対策、あるいは測定方法といったところをやっております。その分野の違いがございますが、当然接点のところではいろんな協力関係をとりながらやっていると、そういう関係でございます。

【阿曽沼臨時委員】  やっていらっしゃるのですか、もしくは今後やっていこうと思っていらっしゃるですか、どちらでしょうか?

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  共同研究の契約という具体的なものが今あるかどうかに関して、すみません、今ちょっと即答できません。

【阿曽沼臨時委員】  わかりました。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  基本的にはやっているということでございます。

【富田分科会長】  よろしいですかな。じゃあ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  私、簡単な質問ですので、後で資料でも結構です。多くの独法に質問しているのですが、特に交通安全環境研究所の方の平成21年度の財務諸表を見ますと、運営費交付金17億。運営費交付金債務残高3億。17億のうちに3億使い残しがされているというふうに見受けられます。この理由を、資料でもいいですから教えてください。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  すみません。その点後ほど資料で御説明します。

【富田分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  交通研とそれから車検独法と1つずつ追加で質問させていただきます。交通安全環境研究所の方ですが、鉄道システムの国際標準化の推進ということを今回掲げていらっしゃいますが、このあたり、何か成長戦略等との関係がおありになるのか少し具体的にお教えいただければと思います。
 もう一つは車検独法の方ですけれども、先ほど鈴木委員からも指摘がありましたが、事務事業の合理化・適正化のところに、「今後の業務量の変化を的確に把握した上で」と書いてらっしゃいますが、このあたり、持ち込まれる業務の量を把握するというような感じで、極めて受け身的に受けとめてらっしゃるかなあという気がするのですが、実は夏場にやっていただいたワーキングのヒアリングのときにも申し上げましたが、業務量の変化というのが果たして、継続検査とか独法に持ち込まれる分だけという感じで見ていて果たしていいのかどうか。やはり車検独法としてやっていらっしゃるお仕事、国土交通省としてやっていらっしゃるお仕事の目的というのが、やはりきちんとした車が世の中に走ってもらうようにして事故を減らすということだと思います。例えば、必要な業務量の変化というのを地域ごとに、例えば車両の不具合で起こっている事故の件数がどうなっているかということを把握して、例えば街頭検査の必要性がどの地域は高いとか、どの地域はそれほどでもないとか、そういったあたりも把握してやっていった方がいいのではないでしょうかというようなことを、実はワーキングのときにも申し上げているのですが、何かその点について御検討されたかどうか、こちらをお尋ねできればと思います。

【川口鉄道局技術企画課長補佐】  鉄道局技術企画でございます。最初の鉄道システムの国際標準化について回答申し上げたいと思います。こちらにつきましては委員御指摘のとおり、6月に閣議決定されました政府の新成長戦略の中でも、日本として強みのある分野について国際標準化を進めてグローバルスタンダード化を目指すといったことをはっきり掲げております。交通研につきましても、今までの鉄道関係のいろんな安全性評価ですとか、開発の成果を生かして、例えばIEC、ISOとかいった、そういった国際会議の方に人が出ていって、日本の鉄道システムの実情を踏まえた形で、国際規格が反映されるような形で人を出したり審議に協力していくと。先ほどの新成長戦略の決定も踏まえて、こういった取組を今後強化していきたいと考えております。

【河村臨時委員】  すみません。今の点というのは、今まではあまりやってらっしゃらなかった分について今後重点的にという理解でよろしいですか。

【川口鉄道局技術企画課長補佐】  今までも取り組んでいたのですが、より重点的に、積極的に取り組んでいこうという趣旨でございます。

【和迩自動車交通局技術安全部技術企画課長】  検査業務の積極的な、かつ合理的な展開ということにつきまして、御指摘のとおりでございます。ここに書かれているのは、どちらかというとコースの削減の見直しとか、そういった量の方に捕らわれている部分もございますが、中身としては、安全確保ということでは、例えば御指摘の街頭検査みたいなものを今より効果的・効率的に地域の事情に合わせて実施していくということは非常に重要だと考えておりまして、街頭検査そのものの目標もこれまでも置いておりますし、地域的にも取組を計画的に進めてございますが、より確実に実施していく必要があると思っております。

【河村臨時委員】  これまでにも進めていらっしゃるということであれば、その街頭検査の目標とか地域ごととかで目標などを置いてらっしゃるのであれば、また実績もおありになるようであれば、後日資料の形で結構ですので頂戴できればありがたいと思います。

【富田分科会長】  それでは最後の質問。樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  アセスメントについてですが、アセスメントというのは安全な車かどうかを評価するというものだと思うのですね。今のところで評価されているのは、何かぶつけて安全かどうか。中にいる人がどうか。ぶつかった人がどうかというようなことだと思うのですが、本当に安全だというのはぶつからない車、事故を起こさない車が安全だと思っております。もちろんぶつけた結果どうなるかということも非常に重要だと思いますけれども、今後やはりぶつからない車とか、例えば事故を起こさない車。そういうようなものが、どんなものがあってどういう評価をされているのか。私もユーザーですけれども、ぶつからない車が一番いいわけですよね。そういう評価、アセスメント。例えばもう酒飲んだら動かないとかね。居眠りしていてもとまっちゃうとか警告が出るとかですね。そういうようなものをやっていただかないと、単にぶつけたらどうなるかというだけでは不足じゃないかと思うので。そういう観点から今後アセスメントの評価をしていただきたい、取り組んでいただきたいし、そのためにどこの独法が一番いいのかという観点でもやっていただいたら大変いいのかなと思います。以上であります。

【富田分科会長】  それでは、今日は時間の都合もありますので、交通安全環境研究所及び自動車検査につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また本日は、時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、本日の宿題とともに後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 御陪席いただきました方々には御退席いただきまして結構でございます。


(陪席者 入替え)


【富田分科会長】  続きまして海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所について御説明をお願いいたします。
 それで、全体の時間の関係もありますので、3つの独立行政法人につきまして、合わせて15分程度で御説明をお願いいたします。では、毛利審議官。

【大脇港湾局技術監理室長】  港湾局でございます。独立行政法人の港湾空港技術研究所に関連いたしまして、御説明をさせていただきたいと思います。お手元に資料をお配りいただいているかと思います。まず1枚紙で整理をさせていただいております。次に本編の6ページをお開きいただきたいと存じます。法人名は、先ほど申し上げました港湾空港技術研究所でございます。事業及び事業名としまして、左肩に小さく書いてございますけれども、大きく3つ事業に取り組んでおります。1つは安心して暮らせる国土の形成に資する研究。もう一つは快適な国土の形成に資する研究。3つ目は活力ある社会・経済の実現に資する研究ということでございます。
 この事業に対しまして、この事務及び事業の見直しに係る具体的措置ということでございますけれども、1つは研究業務。今ほど申しました研究業務に関しまして、重点化に引き続き取り組むということで、23年度を初年度とします中期目標、中期計画の検討を進める中で、社会行政ニーズに対応した研究に重点化を図っていきたいということでございます。もう一点は、海外の研究機関、あるいは研究者との交流、技術協力、あるいは災害時の派遣等、国際活動の充実を図っていきたいということでございます。
 それから2番目の組織の見直しに係る具体的措置というところでございますけれども、少し字が小さく見づらいのですが、1つは事務事業の実施主体の見直しという観点でございますが、基本的に民間では実施されない、あるいはなじまない、あるいは期待がされない研究というところを重点的に行うということでございまして、今ほども申しました研究業務の重点化に取り組んでまいりたいということでございます。
 それから重複の排除・事業主体の一元化ということでございますけれども、この研究所につきましては、研究の事前、それから中間、それから事後の3段階に分かれまして、それぞれ外部有識者も含む評価委員会を開催するなどしまして、その必要性の評価に取り組んいること、あるいは評価結果をホームページで公表するなどして、この他の独法との重複を排除するように努めてまいっております。
 それから右肩の3番目でございますけれども、運営の効率化及び自律化の見直しに係る具体的措置ということでございますが、保有資産の見直し、必要最小限の実験施設、あるいは建物の保有ということに引き続き取り組むということでございます。
 また、随意契約の見直し、この関係法人はございません。
 自己収入の拡大につきましても共同研究、受託研究の確保ということ、それから知的財産の活用等につきまして引き続き取り組むということにしてございます。
 管理運営の適正化でございますけれども、一般管理費、業務経費、人件費の抑制など中期目標の達成に向けて着実な取組を行うこととしております。
 それから事業の審査、評価の見直しでございますけれども、対外的な透明性を確保しながら事業の実効性が上がるよう審査、評価に引き続き取り組む。
 それから業務のアウトソーシングでございますが、旅費事務等のアウトソーシングというのが可能かと存じますので、こういったものの検討を進めるということにしてございます。
 53ページをお開きいただきたいと思います。申し訳ございません、この53ページ、一部、数字がミスプリントで、間違った数字が入ってまして、事務局の方が別途配っていただいているかと思いますけれども、少し赤字で、平成18年度と22年度の一部の数字が重なってございますので、赤字で訂正をしてございます。修正版をお配りさせていただいているかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。この概要でございますけれども、役員数4名。今年の22年1月1日現在でございますけれども役員数4名、うち常勤3名、非常勤1名。職員数は常勤101名、非常勤16名という体制で取り組んでございます。年度の事業の予算でございますけれども、一般会計から15億1,700万、うち運営費交付金13億8,500万、それから支出予算額の推移というところに27億6,100万と記入してございます。多くの研究費を受託事業で取り組んでいるという状況でございます。
 それから53ページ、54ページのところ、詳細は省略させていただきますけれども、中期目標で設定をした幾つかの指標をターゲットにしまして、質の高い、あるいは対外的にも広範な普及がなされるような措置という観点での各目標を設定し、適切に、着実にこなしてきていると言えるかと存じます。それ以降の部分につきましては、先ほど1枚紙で御説明を申し上げておりますので、省略をさせていただきます。
 以上で御説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  続けて海上技術安全研究所、お願いします。

【吉田海事局総務課技術企画官】   海上技術安全研究所の説明をさせていただきます。国土交通省海事局でございます。資料の2−2−(1)という、こういう紙があると思いますけれども、こちらでまず簡単に海上技術安全研究所の概要を説明させていただきます。海上技術安全研究所は、主に船舶の安全環境に関する、基準に関する研究を行っているところでございまして、もともとは国立の研究所でございました。平成13年に独立行政法人化されたところでございます。
 海研、海上技術安全研究所の役割でございますけれども、御承知のとおり日本の貿易量の99.7%は海上輸送でございます。この海上輸送の安全の確保と環境の保全のために、合理的な基準の策定や事故原因の究明、再発防止などを行政として行うためには、技術が非常に重要な手段であると考えております。また、船で、わりと特殊性ですけれども、船舶の基準は国連の専門機関であります国際海事機関、IMOというところで一元的に定められておりまして、このIMOへの提案の際にも各国を説得するために高い技術が必要であると考えております。この研究所はこれらの技術的基盤を受け持っているところでございます。
 予算につきましては収入約39億円、そのうち国費といたしましては、運営費交付金29億円、それから施設整備費として3億5,000万円、22年度はいただいております。支出につきましては、23億円と人件費の占める割合が非常に多くございますが、これは大規模施設を保有し、自ら研究をするという特質から来ていると考えております。
 役員数、運営費交付金の推移については、表の右側のとおりでございます。
 1枚めくっていただきまして、最近の主な研究成果でございますが、まず安全につきましては、シミュレータを用いまして、海難事故の再現等の技術開発を行いまして、事故究明、再発防止について研究を続けております。それからその右側でございますが、大型化したコンテナ船に発生した船体亀裂の原因を究明する計算法を開発いたしまして、これを国際海事機関に提案しているところでございます。ここには書いてございませんが、最近ホルムズ海峡で発生いたしましたタンカーの損傷事故についても、レーダーの解析や衝撃力について等も行ってもらっております。
 それから下側ですが、環境につきましては国際航海を行う船舶からのCO2の排出量をここの研究所で算定し、国際海事機関に報告をいたしまして、これが合意された数値となってございますので、これを基に排出量削減の議論が始まっているところでございます。また窒素酸化物につきましても、この研究所での成果を提出した資料をベースに80%削減というかなり厳しいルールがございますが、これについて国際的に合意に達したところでございます。
 それから1枚めくっていただきまして、今回、国土交通省の行政事業レビューにおきまして、紙の右下でございますけれども、レビューを受けまして、民間や大学との役割分担を明確にした上で、事業の重複の排除等を行い、自己収入の拡大を図るべきであるという御指摘を受けました。これに対応いたすために産学官の有識者による委員会を設置いたしまして、御検討していただきました。研究につきましては1件1件御検討していただいた結果、材料開発に係る研究等を取りやめるなど、来年度の予算要求に反映をさせていただいてございます。海技研の概略の説明は以上でございます。
 それでは資料の2−1に基づきまして、見直し当初案の御説明をさせていただきます。39ページからでございます。

【富田分科会長】  全体をね、15分でお願いしているのだけれども、もうちょっと要領よく何か。同じような説明を聞いているから何かよくわからなくなってしまう。

【吉田海事局総務課技術企画官】  わかりました。

【富田分科会長】  統合してもいいのではないかと思いますけれども。

【吉田海事局総務課技術企画官】  40ページに中期目標の達成状況というのがございます。では簡単に。おおむね数値目標その他について達成できる状況でございます。特に物品調達につきましては、国の基準では100万円未満のものについては随契が認められておりますけれども、これにつきましてそれ以下のもの、原則30万円以上のものにつきましては簡易入札制度を導入するなどをいたしまして、経費の削減に努めているところでございます。
 それから42ページに参りますが、組織の見直しでございます。組織の見直しにつきましては、現在政府で研究開発独立行政法人の在り方について御検討いただいているところでございまして、この御検討結果を通じまして、検討をさせていただきたいと考えております。それから事業の重点化・効率化でございますが、先ほど申し上げました新設した委員会におきまして、1件1件研究を調査していただきまして、材料に関する研究を取りやめにしたところでございます。
 それから国際活動の一層化、より一層の活性化ということでございますが、従来より研究員が国際連合の専門機関でありますIMOに参加しておりまして、各種議長なども務めておりますけれども、今後ともこの活動を積極的に続けていきたいと考えております。
 それから自己収入の拡大でございますが、知財の専門家を活用いたしまして、知的財産の拡充を図っているところでございますけれども、今後ともこれに努めていきたいと思っております。平成23年度につきましては、前年度の自己収入の1割アップを前提に予算を要求させていただきました。
 それから45ページでございます。組織の見直しに係る具体的措置でございますが、支所として東京事務所や海外事務所、研修施設は持ってございません。1カ所大阪に支所がございますが、大阪といいますか西日本地区は中手造船業や舶用機器メーカーが密集しているところでございまして、こちらの行政ニーズをくみ上げるという観点からも必要であると考えております。管理業務につきましては極限まで抑えておりまして、現在常勤の研究者5名、管理者はゼロでございます。
 それから同じページの事業主体の見直し及び重複の排除でございますが、先ほど申し上げましたように、委員会によってチェックをしていただきました。引き続き来年度以降も毎年重複のチェックをお願いするところでございます。
 それから47ページでございますが、非公務員化については平成18年に措置済みでございます。
 48ページ、保有資産の見直しですけれども、研究所は大型の施設を保有しております。400メートルの水槽とかですが、これらは国際基準の裏づけとなる精度の高いデータを得るために必要なものでございまして、また稼働率も非常に高いということで引き続き活用を図ってまいりたいと思っております。利益剰余金や積立金はほとんどございません。福利厚生施設は持ってございません。
 自己収入の拡大につきましては、先ほど申し上げましたとおり、知的財産の拡充を図るとともに、プログラムの開発、販売等に努めたいと思っております。
 管理運営の適正化、50ページでございますが、業務実績や能力評価を考慮した人事管理を現在行っております。これを引き続き行うなど、これまでの努力を続けまして、コスト削減を図りたいと考えております。
 それから同じく50ページですが、事業の評価の見直しでございますが、現在所内及び外部の有識者によりまして、研究課題の事前・事後評価を実施しておりますが、今後もこれを続けてまいります。また今回新設されました委員会で、研究の民間大学との重複のチェックもお願いしておりますが、これも引き続き続けてまいりたいと思っております。
 アウトソーシングにつきましては、検討を実施して効果が認められるものについてはアウトソーシングしておりますが、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【加藤航空局管制保安部管制技術課長】  続きまして、電子航法研究所の方の説明をさせていただきます。サマリーが8ページにございまして、資料の方は64ページからでございます。電子航法研究所でございます。私、国土交通省航空局でございます。電子航法研究所でございますけれども、昭和42年に設立されまして、13年4月に独立行政法人化、18年4月に非公務員化をしております。役職員数は、役員が非常勤を含めまして4名、64ページでございますけれども、常勤職員が60人でございます。
 その後、65、66は飛ばさせていただきまして67ページの方で事務事業の見直しに係る当初案について御説明いたします。4点ほどございまして、1点目が自己収入の拡大。これはいろんな取組、研究発表会のほか出前講座とかいろんな講演会を拡充いたしまして、民間等からの受託、あるいは特許権情報のデータベース化、あるいはTLOの活用などによりまして知的財産収入の拡大、競争的資金の積極導入を行いまして自己収入の拡大を図るということでございます。
 2番目が研究開発の戦略的かつ重点的な実施でございまして、当然のことですけれども、今後とも民間の主体にゆだねた場合には、実施されないおそれがあるものに限定すると。さらに特に航空の場合、羽田、成田等のこういう首都圏空港の機能強化といったものに研究を重点化いたしまして、さらに、あるいは安全性の確保といったものに重点化していくということで考えてございます。さらに、研究所として研究長期ビジョンというものを策定いたしまして、一層戦略的な研究開発を実施しております。
 次に外部との連携強化でございますけれども、やはり研究所が持たない、そういう基盤的技術という活用する機会がどんどん増えておりまして、こういうものを外部の大学、民間等との交流、あるいは共同研究を行いまして、連携強化を図って研究の質を高めるということでございます。
 国際活動の推進でございます。こちらの方は、我が国独自の技術を国際標準時に反映するということを積極的に行っております。さらに、特にアジア地区との研究交流、あるいは技術交流というものを深めていきたいと。これやはり航空管制におきましてはアジアが隣接国になりまして、アジアと日本と整合のとれたシステムのレベルを高めていく必要性があるということで、アジアについて特に重点的に研究交流を行っていきたいと考えております。
 次に69ページに参ります。組織の見直しに関する案でございます。支部・事業等の見直しでございますけれども、当研究所は、どうしても研究とあわせまして飛行実験というものが必要になってございます。そのために岩沼分室というものを持っておりますけれども、この分室はやはり不可欠でございまして、今後とも分室を拠点として効率的あるいは効果的な実験を実施していきたいと考えております。
 事務事業実施主体の見直しでございます。先ほど申しましたように、民間にゆだねた場合には、実施されないおそれのあるものに限定するということを考えております。
 重複排除・事業主体の一元化でございます。特に重複排除につきましては、外部評価をはじめとした研究開発の事前評価というものを厳格に行っていくと。さらにその結果につきましては外部に公表して、外部検証を可能とするということによりまして重複排除していきたいと考えております。さらに重点化につきましては、先ほど申しましたような航空の重点的な分野について研究を進めていくということでございます。さらに外部との交流、共同研究も先ほど同様でございます。
 次に71ページは、先ほど申しましたように、非公務員化を18年から図っております。
 次、72ページでございますけれども、保有資産の見直しでございますが、現在保有資産は日々の研究に使っておりまして、適切に今後とも管理していく必要があるということです。さらに保有する資産につきましては、毎年利用状況を調査いたしまして、必要性を検証しております。
 関係法人はございません。
 自己収入の拡大でございますけれども、先ほど申しましたように、いろんな取組によりまして受託、あるいは知的財産収入、競争的資金の拡大を図っていくということでございます。
 次に73ページでございます。管理運営の適正化でございますけれども、予算執行管理につきましては、経費削減目標を着実に達成すると。さらに役員が4半期ごとに研究進捗状況を点検・指示するということによりまして、執行管理を図っていくと。さらに人材育成につきましては、人材育成に関する方針というのを策定いたしまして、これに基づきまして効果的な人材育成、あるいは能力発揮環境の形成を図っていくと。外部人材につきましては、これも具体的に目標を設定しまして、外部、大学とか民間等から客員研究員とか任期付研究員等の受け入れ等を積極的に進めていくということを考えてございます。
 事業の審査、評価の見直しでございますけれども、研究開発の厳格な実施、先ほど申したとおりでございます。内部統制に関しましては、従来、内部のコンプライアンス体制というものを重視してまいりましたけれども、内部監査規程というものを策定いたしまして、課題抽出から改善までのPDCAサイクルというものを構築して、今後実施していくと、強化していくということも考えてございます。
 アウトソーシングにつきましては、これは既にできるものはほとんどアウトソーシングしておりますけれども、今後さらに研究員でしか実施できない業務の切り分けというものを行ってまいりまして、アウトソーシングの徹底を図ってもらいたいと考えております。
 あとの74ページに関しましては、ここに書いてございますとおりでございます。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。御説明いただいているのですが、事務局、総務省のですね。きっちりと5分で御説明いただくということだったら事前にちゃんとそのように連絡をとっていただかないと、どんどん予定の時間が遅れてしまっていて、進行上問題があるので、どちらがどうのといっているのではないのですが、当方の事務局がしっかりやってください。
 それでは、ただ今御説明いただきました3法人、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いします。山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  効率的に議事を進めたいと思いますので、3法人共通にお聞きしたいと思うのですが、今、政府の方で検討なされております研究開発独立行政法人に対する3法人のスタンスがどうであるのかということが1点ですね。
 それと国際標準等に対して積極的に参画をされているという、あるいは参画しようとされているのですが、現状までに独法で提案されたものが、国際基準になったものが、成功しているものがあるのかないのかということですね。事実関係の確認をさせていただきたいと思います。
 それで、あと個別的なことで言えば、海上技術安全研究所につきましては、何か検討委員会を設置されていろいろな長期的な見直しも検討されているということですが、具体的にどういうような見直しを23年度予算に反映されるということでありますから、もう検討結果が出たと思うのですが、それについてお伺いしたいということですね。
 港湾空港技術研究所につきましては、私ちょっと所用で視察に行けなかったのですが、国総研とのすみ分け議論というのは、ほかの、今度21日の土木研究所、建築研究所にもありますが、やはりいろいろ説明伺っているのですが、なかなかもう一つわかりにくいので具体的な事例でこういうふうに切り分けして今後は望む予定だという、次の中期目標期間に係る課題について具体的に御説明をお願いしたいと思います。
 電子航法研究所については、岩沼分室は飛行実験をするのでこれは必要だということですが、例えばその飛行実験等は、国土交通省でもいろいろ飛行機は保有されているわけですから、これが委託とかいう方式では本当にできないのかどうかという理由をもう少し具体的に御説明を伺えればと思います。
 3法人、それぞれ簡潔にお願いいたします。

【吉田海事局総務課技術企画官】  海上技術安全研究所でございます。私ども、交通安全研究所も含めまして、4法人は自民党政権下で整理合理化計画に基づいて統合されるということが決まってございました。しかしながら現政権下において、平成21年12月15日でございますけれども、この計画が凍結されまして、現在、統合に関しては作業を中断している状況でございます。
 それから御指摘の研究開発法人の在り方でございますが、現在文部科学省で津村政務官を中心に、新しい研究独立行政法人の在り方について検討中であると聞いてございますけれども、その形がどのようなものであるか、まだ私どもは知らされておりません。したがいまして、この検討結果の内容を御連絡いただいた後、私どもが、私どもの研究所、みんな行政密着型の研究所でございまして、いわゆるノーベル賞を目指す研究所ではございませんので、この文科省の検討が果たして適用されるのかも含め、考えさせていただきたいと考えております。
 それから国際基準への検討ということでございますが、海上技術安全研究所はもともとIMO対応がメーンの仕事でございます。先ほど申し上げましたけれども、昨今の例で申し上げますと、CO2の排出削減の枠組みということで、そもそもどれぐらい船がCO2排出しているのかという数字を算定して国際機関に提案し、認められました。具体的に申し上げますと8億7,000万トンでございます。全世界の3%、ドイツ1カ国分に相当するものですが。

【山本臨時委員】  それは実際の排出量であって、基準値ではないのではないですか。基準そのものとなっているということですか。今のお話は。ちょっと違うような気もしますけれども、まあいいです。

【吉田海事局総務課技術企画官】  それから先ほど申し上げましたが、NOxの排出基準を80%下げるということにつきまして、海上技術安全研究所の研究成果が大きな役割を果たしました。また、船を解体する作業について、砂浜に船をどんとぶつけて、バラバラと解体するような作業は、環境に非常に問題があったわけでございましたけれども、これは我が国の提案で安全な解体の仕方につくるガイドラインを策定いたしまして、これが条約になっております。香港条約と言われているものでございます。その他の細かいものを含めると多くございます。

【山本臨時委員】  後で事務局を通じて、そのリストを出してください。

【吉田海事局総務課技術企画官】  はい。資料を御提出させていただきます。
 それから23年度の予算への反映ということだったかと思いますが、金額で申し上げますと、39ページに22年度の要求額と23年度の要求額とございますが、国費でいきますと、22年度29億円の運営費交付金、3億5,000万の施設整備補助金でございますけれども、運営費交付金が28億強、施設整備費については要求を取り下げさせていただいております。以上でございます。

【大脇港湾局技術監理室長】  港湾局でございます。港湾空港技術研究所に関しまして、お尋ねの点3点かと思いますが、回答申し上げます。1点目の研究開発法人の関係でございます。今ほども御説明ありましたけれども、港湾空港技術研究所につきしては、港湾あるいは空港に関するそういった分野の国の行政課題に沿った、実用化に至ることを意図した研究業務が遂行できるようにということに重点を置いてございます。したがいまして、今後その制度がどのようになるかというのが明らかになる過程で適切に対応していきたいと考えているところが率直なところでございます。ただ、懸念の点としましては、先ほども申し上げました、御説明ありましたけれども、いわゆるサイエンス系の研究所というのとは若干やっぱり異なるのかなと思うところがあります。これが懸念というところでございます。
 次に2点目、国際標準に関してでございます。独立行政法人になってからということで厳密にどこということではございませんけれども、港湾の分野におきましては、PIANC通常呼んでおります国際航路会議というのがございます。ここが、例えば航路でありますとか、いろんな港湾の構造物に関する事実上の国際的な標準、あるいは基準と言ってもよろしいかと思いますけれども、こういったもののところへの貢献というのが1つございます。
 具体的に申し上げますと、船が岸壁に、接岸というふうに申しておりますけれども、岸壁に着くときに、ゴムのクッション材、防舷材というように呼んでおりますけれども、我々呼んでおりますけれども、この防舷材などの国際的な取扱い、こういったものをこのPIANCという国際航路協会で決めようじゃないかというようなことに積極的に貢献をしてまいった経緯がございます。
 それ以外にもISOという観点では、従来から波浪の分野で、波でございますけれども、海の波の関係の研究をやってきております。また沿岸部での、特に地震、港湾構造物、地震に非常に弱くございますけれども、地震度に関してそれぞれ波の関係のISOの企画、あるいは地震度、地盤地震度に関するISOの国際標準がございますが、これに関して、これも土木学会という学会と連携しながら積極的に取り組んだという経緯がございます。こういった形で国際標準というのができたという事例がございます。
 3点目、この独法の港湾空港技術研究所と国総研、いわゆる国総研とのすみ分けという御質問でございましたけれども、いろんな、平たく言えばこの港湾空港技術研究所の方では、どちらかというと基礎的な研究をやっている。それから国総研の方ではそれを具体的にいろんな事業に適用する際の設計基準、こういったものに反映するといった面での研究と言えるかと思います。
 具体的にというお話がございましたけれども、いろんなものございますが、例えば1つ、例えば環境の面でございますと、港湾空港技術研究所におきまして、それぞれの海域でのいろんな波の条件、あるいは底質、海底の土の状況でありますとか生物の状況、あるいは有害物質による生態系への影響、こういったことの非常に基礎的な研究を行っているわけでございますけれども、そういった研究を踏まえ、今度は、例えば国総研の方では、これを具体的な、例えば人工干潟の配置計画みたいなものをどういうふうに考えていったらいいかと、こういった計画を具体的な事業という形で現実につくる際の配置計画、あるいはどういった基準を持ってつくればいいかと、こういったところの研究をしている。1例でございますけれども、そういった形ですみ分けをして取り組んでいるという状況でございます。以上です。

【富田分科会長】  じゃあ航空局。

【加藤航空局管制保安部管制技術課長】  電子航法研究所でございますけれども、やはり3点今、御質問いただきまして、まず1点目が独法見直しの件でございますが、これやはり政府の現在行っております見直しについては、十分これを踏まえつつ検討していきたいと考えております。それと研究独法の話でございますけれども、先ほどから何度も出ておりますが、やはり研究独法制度というのは、中身は詳細にはわかっていないということと、やはりこの先端科学技術分野あるいは国家的な大規模プロジェクトというものを主体にした制度設計と聞いておりまして、こういうもとで電子航法研究所のような航空管制業に用いるシステムや方式の開発といったような行政課題の解決を目的とする研究が円滑に行えるかということも検討課題として挙げられるのではないかと思っています。この辺は様子を見て検討してもらいたいと考えております。
 2番目の国際基準における成果でございますけれども、電子航法研究所は、もともと航空のシステムというのは国際基準に基づいたシステムでございまして、電子研はICAO、国際民間航空機関に相当、常時研究成果を発表し、成果を国際基準に生かしております。最近におきましてもかなり件数がございまして、ICAO、国際民間航空機関につきましては、航空機の空対空監視の要件だとか、あるいは航空機衝突防止装置の機能性能に関する標準、その他もろもろの標準に電子航法研究所の研究成果というものを生かすとともに、さらに我が国の独自の、独特の航空環境がございます。非常に山がちで、しかも関東地区に交通が集中していると。そういうような環境についても、国際標準の方にそのような我が国の環境が生かされるような基準にしてもらうということで、そういう貢献をしております。要するにICAO以外にも米国の航空電波技術委員会、RTCAといっていますけれども、こちらの方にも航空機内の携帯電子機器の使用の可否に関する検討だとかについてこういう標準化、あるいは基準の作成に生かされております。
 3番目でございますけれども、岩沼の委託につきましてですが、岩沼の分室につきましては、やはり、実際業務といたしましては飛行実験のための研究の支援業務というのを行っております。具体的には管制機関との調整、あるいは実験用航空機の整備・管理、実験用航空機の改造作業の対応、無線局管理等々行っております。非常に、この研究の中身について十分な知識がないと、こういう調整というのはできないというものでございます。さらに相手方につきましても、仙台の空港事務所、国でございますけれども、こちらの方の管制当局、あるいは電波の管理を行っております東北総合通信局でございまして、あと航空機につきましても航空機整備事業者との調整になります。非常に専門的な調整でございますので、やはりこれを専門に扱えるような能力を持った人間が必要であると。
 それと飛行実験以外にも、ここの岩沼にはいろんな実験施設が置いてございまして、実験施設のデータとりというのも常時行っております。これにつきましては、電波法に基づきます無線従事者資格というのが必要になってまいりまして、こういうものも必要であるということで、なかなか委託するにしてもそういうことはまだ相手もいないということと、さらに、このような本来この研究を行う当事者がこういう調整を行うべきものということでございますので、なかなかこれを委託するということは難しいと考えております。
 ただし、岩沼分室も前は非常に多くの人間がおりましたけれども、実験業務をまとめて行うとかそういう効率化を図っておりまして、現在は1名というような職員数で一応対応しているというようなふうに、非常に効率化を図っているという状況でございます。以上です。

【富田分科会長】  では、河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  今の山本主査からの最初の質問に関連して、その研究開発独立行政法人の在り方の政府レベルでの検討について、それぞれお考えを伺ったのですが、実際の見直し当初案の中にこの点について言及されたのは海上技術安全研究所だけでした。これは何か、この点については意味がおありになるのですか。どの研究所も、政府レベルで研究されている研究開発独法の方とはまたちょっと別の、いずれも行政課題の解決型の独法でということで伺いましたけれども、この点について言及されたのが海上技術安全研だけだったということで、何かここで意味が、そこが何か近いというような意味がおありになるのかどうかちょっとそこをお伺いできれば。

【吉田海事局総務課技術企画官】  海上技術安全研究所でございます。このたびの資料を作成するに当たりまして、各研究所、調整をしておりませんでした。したがいまして、私どもは私どもとして、文科省でそういう動きもあり、現在凍結ということもあり、なかなか最近私どもがこうだと言ってはいけない風潮がございますので、その旨を正直に書かせていただいた次第でございます。

【河村臨時委員】  続けてよろしいですか。

【富田分科会長】  はい。

【河村臨時委員】  すみません。ちょっとその横並びでいろいろお尋ねして恐縮ですが、港湾空港技術研究所のところで、アウトソーシングのところで、旅費事務等のアウトソーシングに向けて検討を行われると書いていらして、こういったことを進められればぜひ結構なことではないかと思うのですが、これもちょっと横並びでお尋ねして恐縮ですが、では港湾研の方では、今後検討なさるということであるならば、よその研究所はどうなのかなということを見ますと、例えば海上技術安全研究所などは業務のアウトソーシングは、この業務が何を意味しているかちょっとわかりませんが、既に最大限アウトソーシングを活用とお書きになっていらっしゃるのですが、例えば、今、出てきたような例えば旅費の関係であるとか、そういったところはもう既に使っておられるのかどうか、それから今後検討されるおつもりがあるのかどうか、海上研とそれから電子航法研についてお尋ねできればと思います。

【吉田海事局総務課技術企画官】  アウトソーシングについてお答え申し上げます。現在アウトソーシングしておりますのは冷凍装置の夜間の保守業務と守衛業務、それから清掃業務、それから模型船の製作、それから特許の登録、あるいは電子顕微鏡の保守等でございます。それから旅費と給与計算につきましては検討いたしましたが、私ども人数的に220名前後でございまして、なかなかこれ微妙なところでございます。職員、事務職員が例えば2人程度でやっているわけですけれども、専任でやっているわけではございませんので、いろいろ複数の仕事を同時にやってございます。そうしますとそのアウトソーシングをするにしても、そのアウトソーシング会社の監督としてやっぱり1名はどうしても要るわけでございまして、金額計算をした結果、現状職員でやった方が安いという結果でございました。以上です。

【加藤航空局管制保安部管制技術課長】  電子航法研究所でございます。現在アウトソーシングは、極力できるものはすべてやっておるわけでございます。具体的には実験用航空機の整備・運航の委託、施設の清掃、公用車の運転業務等でございます。旅費給与につきましては、一応内部で検討をしたわけでございますけれども、やはり非常に電子研というのは人数も少ない、トータルで64名、役職員入れまして、そういうところでございまして、やはり内部でやった方が効率が高い、あるいはコストが安いということで、これは検討いたしました結果、内部でやっているということでございます。ただ、今後アウトソーシングにつきましては、継続的にできるものはすると、コストを考えながらやっていくということでございますので、今後とも検討を進めていきたいと考えてございます。

【富田分科会長】  どうぞ、鈴木委員。

【鈴木臨時委員】  それではちょっと二、三、御質問したいと思いますが、海上技術安全研究所について大阪支所の話は先ほどありましたけれども、以前からそういう話をしていますが、非常に小さな組織で、この必要性について御説明いただいておりますけれども、私どもとしては、この中小の船舶業界全体で行えないのか、あるいは受益者負担ができないのか、あるいは大阪には大阪府立産業技術総合研究所ですか、こういうものもありますので、こういうものと含めて総合的に費用対効果を踏まえて見直してはどうかと考えておりますが、再度いかがでしょうか。
 2つ目は港湾空港技術研究所、これ見せていただきましたけれども、海藻の生態とか、シギ・チドリの生態、これを研究しているものだと思いますけれども、これが港空研で必要なものなのかどうか。先ほどいろいろな今後の社会、行政ニーズの把握を行って重点化を図るということかと思いますけれども、どういう関係があるのか、これについて2つ目お聞きしたいということと、それからこの電子航法研究所、これは先ほど来少し話もありますけれども、昨年度の見直し当初案が、4法人統合前提にして連携を図るということでしたが、今回の見直し当初案にはこのような連携について記述が見当たらないと思いますが、これについてはどのように考えているのか、この3点についてお聞きしたいと思います。

【吉田海事局総務課技術企画官】  海上技術安全研究所でございます。大阪支所につきましては、従来から御指摘を受けているところでございますが、西日本は、再度繰り返しになりますけれども非常に中小の舶用機器メーカーが多いところでございます。また中手の造船所、小手の造船所がございます。大阪支所は造船技術をくみ上げるという観点で、ある意味駆け込み寺のようなところになってございまして、そういう意味で行政的なアンテナを張るという観点からも必要ではないかと考えております。経費につきましては非常に削減をしておりまして、先ほど申し上げましたけれども所員5名で、管理者ゼロということで行っておりますので、それからいろんな基準に対して測定等も行わなければならないわけですけれども、船舶、わりと特殊な測定をしなければなりません。これらについてのお手伝いも、これは受託という形でやらせていただいておりますけれども、こういう観点でも依然として中小企業支援の観点から必要ではないかと考えております。

【大脇港湾局技術監理室長】  港湾空港技術研究所に関連しまして、お答えをさせていただきます。今ほどの御質問ですけれども、環境の生態系に関する研究、どういう必要性かという御質問かと理解しております。冒頭申し上げましたように、この研究所につきましては、1つは快適な国土の形成に資する研究というくくりの中で、閉鎖性海域における水質・底質の改善、あるいは沿岸生態系の保全・回復に関する研究、こういったものを大きなテーマとして取り組んでいるところでございます。こういった研究につきましては、じゃあ行政的にどのように必要になるのかという観点でございますけれども、この近くでは東京湾、あるいは伊勢湾、あるいは大阪湾、瀬戸内海、非常に半島に囲まれた閉鎖した水域というのがございます。一方で河川等からのいろんな水の流入、あるいはいろんな環境的には汚染物質も入りますし、栄養価になるようなものも海域の中に流れ込むという環境にございます。
 そこで、私ども港湾を整備するに当たりまして、港湾計画というものを策定するようにしております。具体的には各地方公共団体が港湾の管理者ということで、港湾管理者が主体になって港湾の計画、今後どういう計画を、例えば具体的に言いますとこの海域をこんな形で埋め立てをして、ここにこういう施設をつくる、こういった計画を具体的に立てるわけでございますけれども、そのとき、その事業を実施する際におきましては、当然環境影響評価といった手続もございますし、それ以前にも、その計画を立てる際にもこの海域に与える水質、あるいは生態系への影響というのを最小限に食いとめると、あるいは環境の改善を行うといったこともこの計画の中で検討をする必要がございます。
 こういった中で、先ほど申し上げましたように閉鎖性水域、あるいは生態系の基礎的な研究、これらを踏まえて具体的に港の計画にそれを落とし込む場合にどのような考え方で持っていけばいいかというようなことで、一連の事業実施まで含めた流れでとらえておりまして、その一番根幹になる、もとになる基礎的な研究を行うという意味で非常に重要な分野であると思っております。

【加藤航空局管制保安部管制技術課長】  電子航法研究所でございます。今ほど御指摘ございました連携の話でございますけれども、昨年12月に独法の整理合理化計画の凍結というのが示されましたが、昨年度の見直しはその前でございましたので、整理合理化計画に沿って4研究所の統合計画というのを検討しておりまして、それに沿った見直し方針というのも書いておったわけでございます。これは電子研だけじゃなくてほかの研究所も同様に書いてあったと思います。今回、計画が凍結されまして、4研究所の統合ということ自体も凍結中ということでございます。したがいまして、昨年の表現の4研究所の連携という言葉はあえてその辺からは割愛させていただいております。

【鈴木臨時委員】  今御説明、3人からいただきましたけれども、前の2つは以前から聞いている内容でありますけれども、まず大阪支所については、やはりそういうことであれば、先ほどちらっと言いましたけれども、費用対効果をきちっと示して、これで必要だというような、そういう数量的な、わかるような説明をしていただく必要があろうと思います。
 それから2つ目は、これは当然そういうことが基礎的に必要だということですけれども、現地でお聞きしましたが、やはりこれは民間とか大学等、ほかの研究所でも行われている部分があるけれども、それでは連携がどうかということでしたが、連携については進んでいないようでございましたので、その点については検討していただく必要があろうと思います。
 3点目の方は、これはやはり統合だけではなくて、先ほど来ずっとお話が出ていますように連携は当然できるものはすべきだと思いますので、中立性等あるかもしれませんけれども、それの、基本的には前向きに進めていただきたいと思います。以上です。

【富田分科会長】  ほかにいかがですか。河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  すみません。港湾空港技術研究所について、国総研との役割分担のところでもう少し更にお尋ねしたいと思います。旧建設省系ということで、建築研について、建研について、今年の事業仕分けのときに、国総研との役割分担のところで基準作成関連とそれ以外の研究というふうに整理をして抜本的に見直すという指摘がなされていると思います。これについては、ほかの研究所はちょっとまた話が別だと思うのですが、これは、港湾空港研究所についても通じるところがあるのではないのかなと思いますが、そういったあたり、役割分担についてどのように今後整理していかれるというふうにお考えかをお尋ねできればと思います。

【大脇港湾局技術監理室長】  すみません。確認でございますけれども、建築研究所との関係ということでございますか。

【河村臨時委員】  いえ、何かそれを何か広げて適用するという考え方にはならないのでしょうか。建築研究所について国総研との関係を指摘されたことというのは、それを広げて関連するような、国土交通省の研究所についても適用するということには全くこれはならないのでしょか。仕分けのときで建研について聞かれてきたらもう建研どまりなのでしょうか。同じようなやっぱり基準云々というところが港湾空港研究所とそれから同じ横須賀におありになる国総研についてはやっぱり関係するところがおありになるかなと思ってお尋ねするのですが、そういう考え方、同じような考え方で役割の整理というのを今後されることはないですか。

【大脇港湾局技術監理室長】  すみません。先ほど山本先生からの御質問にお答えしたかと思いますけれども、国総研の一部が久里浜にございます。それから独法の港湾空港技術研究所というのも同じ久里浜にございます。これは、もともと旧運輸省に港湾技術研究所というものでございましたが、これが今まさに先生おっしゃるような技術基準、特に基準関係を取り扱う研究を主体にしたものが平成13年に国総研の方に移っておりまして、これが筑波にございます国総研と一緒にという形で分かれてございます。したがいまして、港湾空港の分野というくくりを考えますと、その中で基準関係をやっている国総研側と基礎的な研究をしている港湾空港技術研究所という役割分担になってございますが、そういうお答えでよろしいでしょうか。

【河村臨時委員】  要するにこれからどうのということではなくて、もう既にそういう役割分担になっているということでしょうか。

【大脇港湾局技術監理室長】  既にそういう形に、基本的になっているということでございます。

【河村臨時委員】  わかりました。

【富田分科会長】  今の電子研じゃなかったですか。お尋ね。

【河村臨時委員】  港空研で。

【富田分科会長】  港空研。

【河村臨時委員】  電子研はちょっと違うかなと思いました。

【富田分科会長】  港空研。

【河村臨時委員】  はい。

【富田分科会長】  阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  私は、別のワーキングなので、今までに皆さん方の具体的かつ詳しい説明を聞いていませんので、本日のご説明を聞いて率直に感じたことだけ端的に御質問させていただきたいと思います。先ほど港湾空港技術研のご説明の中で、国総研とのすみ分けという点の種々御説明をされました。基本的には基礎的研究があって、干潟の研究等のような実地の研究があって、そこですみ分けをしているという説明でしたが、本来すみ分けする必要があるのでしょうか。基礎研究というのは、すべての分野で現場100回といいますか、現場に根ざした基礎研究が重要であるとも言われています。本当に必要性があり出口のある基礎研究はできないという意見も強くありますから、その意味からすると、すみ分けをすることが必然なのですかと問いたい訳です。必然でなければ一緒になってもいいのではないですかと感じます。その点についてはいかがでしょうか。

【大脇港湾局技術監理室長】  今ほども申し上げましたように、もともと一緒だったわけです。したがいまして、先生の御質問に対して、じゃあ一緒にできないのかという御質問であれば、もともと一緒にやっておりましたので可能でございます。ただ、この平成13年に研究所独法とそうでない国総研に分かれた時点におきまして、この国総研の方ではむしろ政策課題に直結するテーマ、その企画立案に資するところというのを担当するということで分けたわけでございます。したがいまして、今ほど、結果として、今ほど申し上げましたように、基礎的な研究は独法の方、基準関係に関するようなもの、あるいは政策課題により近いものというものについては国総研というところで研究を担当しているということに今なっているということでございます。

【阿曽沼臨時委員】  理解としては、制度なり政策によって分けられたけれども、実際のところ、研究の成果を上げて、国民に、国策に資するためには、別に国総研と一体であっても構わないという御判断だと理解をしてよろしいわけですね。

【大脇港湾局技術監理室長】  それも可能ではございます。

【阿曽沼臨時委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは時間の都合もありますので、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。御陪席の方々は御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。


(陪席者 入替え)


【富田分科会長】  それではここで、10分ほど休憩をとります。15時40分に再開いたします。


( 休  憩 )


【富田分科会長】  それでは再開したいと思います。海技教育機構及び航海訓練所について御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、合わせて10分程度で御説明をお願いいたします。

【尾形海事局海技課長】  国土交通省海事局海技課長でございます。2独法につきまして御説明申し上げます。お手元の資料の2−1の通し番号で4ページ、5ページのところに2つの独立行政法人についての概要をそれぞれまとめさせていただいております。この航海訓練所と海技教育機構という独立行政法人でございますが、御存じの方には誠に蛇足だろうとは思いますが、資料の2−2−(3)の絵にありますような関係で、一体として連続して船員を養成しているということでございます。海技教育機構の方は商船系大学や商船系高等専門学校と並びまして、いろいろなステージにある若者を教育しまして、有資格の船員を養成するということであります。
 国際条約、STCW条約という条約で、そういう資格を持った船員については、一定の乗船履歴を求めるという内容になっていることから、船に実際に乗せて訓練させなければならないということがございまして、その船に乗せて訓練する部分をアウトソーシングし、航海訓練所に乗船訓練委託しているということでございます。
 理論を中心とした座学の各船員教育機関、そのうちに独立行政法人海技教育機構が持っている各学校があるわけでございまして、それと実地訓練ということで、乗船実習を航海訓練所が行っている。言わば航海訓練所というのは船貸し屋に教官をつけて、訓練という仕事をやっており、訓練生を受託する関係でございます。それが全体像でございます。そういうこと基本に、頭に入れていただいた上で、4ページ、5ページに戻らせていただきます。
 まず航海訓練所でありますけれども、先ほど申しましたように訓練実習を行っているということでございます。幾つかの項目について見直しを図りたいと思ってございます。組織運営の効率化、特に5隻の練習船で行っているわけでございますが、このうち、老朽化した大成丸、非常にお金のかかる船でございますので、これを小型化して効率化する、これを中心に組織運営体制を効率化したいと思っております。既に大成丸の合理化については、閣議決定等でも決まっていることでございまして、来年度の予算要求をさせていただいているものでございます。小型化を図りますので、そこで若干の効率化効果が出るということでございます。
 それから人材の活用として、特に内航船社のニーズやノウハウにこたえるということをやっていきたい、あるいは商船の教員の採用ルートをいろんなところに拡大する、チャンネルを広げるということを考えております。これにより、内航船社のニーズによりこたえられる組織にするということでございます。
 それから航海訓練の実施ということでありますが、これは不断に、この条約や業界ニーズに対応して内容を見直していく。特に内航船員の養成に重点をこれからは置いて、効果的・効率的な養成方法というというのを考えていく必要がある。先ほどの練習船を新しく建造するというのも、この内航船員向けの練習船というところを特色としております。
 内部統制・ガバナンス、既に内部評価委員会に外部の方に参加していただいておりますが、さらに強化するということでございます。
 それから自己収入の拡大です。先ほどアウトソーシングで訓練を受託すると申しましたが、その受託するに当たってお金をもらっております。その受託費を引き上げていくということを考えております。その他もろもろ自己収入の拡大を図っていくということでございます。
 以上が基本的に航海訓練所の今後の見直しという方向でございます。
 次に海技教育機構でございまして、これは学校でございます。2つの独法を統合したものでございまして、海技大学校と旧海員学校というものを統合したものですが、2つの独法の性格がかなり異なっております。海技大学校というのは実務者、既にもう就職して世に出ている船員のスキルアップを主としてやっているところ。旧海員学校は若い、中学を卒業した人とか高校を卒業した人たちを一人前の船員として育てていくという仕事でございます。次、見ていただきたいのですが。
 組織運営の効率化というところは、既に児島分校が廃止されていますので、その清算事務を進めていますが、具体的には児島清算室の廃止ということであります。
 それから、これは航海訓練所とも共通でありますが、内航海運会社のニーズにこたえるべく人事交流を拡大していくということであります。
 それから業務運営の効率化。いろいろ学校経営しておりますので、IT化等により効率化を図ってまいります。
 それから海技教育の実施というところですが、海技教育機構のうち旧海員学校、つまり新人養成の部分が380名の養成定員について、今の中期計画で350名にするというお約束になっておりまして、来年度にはそれが達成されます。これについて、海運業界からは反転して拡大してほしいという要請がございます。、そういった要請も踏まえ、この需要に即応した適切な規模とするかということが検討課題になっております。そういった状況の下、対応が可能となるような体制は維持していきたいと、こう思っております。その他の内容についてもさらに充実を図っていくということであります。ここで初めて出てくるのですが、海技大学校と、先ほど申しましたスキルアップの再教育機関、こちらにつきまして、業界のニーズにきめ細かくこたえられるように、不断に努力をしていくということでございます。
 内部統制・ガバナンスについては航海訓練所と同様でございます。
 次に自己収入の拡大でありますけれども、これは授業料を生徒からいただいております。これを段階的に引き上げていくということでございます。それから社会人の再教育の部分も料金をいただいておりますが、これも適切な水準への引き上げを目指していくということでございます。そういったことを通じて、少しでも自己収入を増やしていくということで、両独法とも不断に教育内容の見直しを行い、効率化を図り、自己収入を上げていくと、こういう内容でございます。
 前回の勧告の方向性での指摘事項への対応を簡単に御説明申し上げます。10ページの一番下、航海訓練所、まず非公務員化でございますが、これは平成18年度から非公務員化しております。
 それから整理合理化でございますけれども、まず練習船を1隻減らしているということで、それに伴う要員の整理を行っているということでございます。これが非常に大きなポイントであります。
 それから次のページですが、海技教育機構、航海訓練所と同じでありますが、平成18年度から非公務員化。
 それから2法人の事務事業の一体的実施、これは先ほど申しました旧海員学校と海技大学校の統合ということでございまして、本部を1つにして、さらにその本部機能を強化したという内容が書いてございます。
 それから海技大学校の再教育事業の入学定員等についてのスリム化についてでございますが、それぞれ定員を減ずる、あるいはコースを1つ廃止するというようなことでスリム化を図っております。
 それから、これは先ほど380名を350名という話を申し上げましたが、当時の経済事情、社会事情を背景に、やや過剰ではないかという御指摘がありまして、こういった見直しを図ったわけでございますが、具体的には平成18年に司ちゅう・事務科を廃止、それから宮古にある海上技術学校を専修科に移行。海上技術短期大学校への改組。それから養成定員の380名から350名への縮小。いずれもこの計画期間内に図られるという内容になっております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただきました航海訓練所及び海技教育機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いいたします。山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  海上技術短期大学校、海上技術学校について、船員教育訓練機関としていろいろ頑張っておられるということは承知していますが、それを踏まえた上で考えてみますと、座学と乗船実習は別々の方が効率的だというお話も前回、承ったのですが、いわゆる商船系大学等もありますから、所管以外についても公正な処理をしなければならないという理屈もあるとは思いますが、例えば農水省の水産大学校等は自前で座学と乗船実習を一体的になされているわけですね。そうすると、一方においてはそういう形態もあるわけですから、必ずしも座学と乗船実習のそれぞれの事業について、本当に現在の形態がいいのかどうかということは、少し検討の余地があると思うのですね。決してそれは統合してお金を減らせということだけではなくて、むしろそこで浮いた資源をもっと、場合によっては海上技術学校のさらなる充実に投入するということも可能になるものと思うものですから。旧海員学校と海技大学校を海技教育機構としていったん統合した。従来のように座学と乗船実習は、この分離形態はもう見直さないということについて、果たしてそれでいいのかどうかということについて、もう一度確認をさせていただきたい。

【尾形海事局海技課長】  お答え申し上げてよろしいですか。

【富田分科会長】  はい。

【尾形海事局海技課長】  今の点につきましては、前回、海技大学校と旧海員学校を統合したときの関係法案の国会審議等で議論になったと記憶しております。不断に我々も今のような御指摘に対して、常にどういう組織形態がいいかということを考えてきてまいっているところでございまして、そういう検討も踏まえて、やはり現状の方が、我々としては効率的・合理的ではないかと思っているということですが。
 具体的にどういうことでそう申し上げるかといいますと、普通、統合すると言えば、統合のメリットとしてあり得るのは無駄を省くということだろうと思うのですが、この両方の独法については、船員教育という意味でくくられてしまいますと、かなり実態が正確に把握できないと我々思っているのですが、かなり異なるものをやっている。それぞれ異なることをやっている。施設も教官もそれぞれ独自にあって、特に人的資源についてはそれぞれかなり専門性のあるノウハウを身につけてきていると、こう思っています。
 例えばこの海技教育機構でありますけれども、これは基本的に学校でありまして、理論を勉強するわけですね。航海学であるとか、あるいは海上関係法規、それから舶用機関学とか、こういった専門的なことを学ぶわけです。それから更に旧海員学校の海上技術学校というところでは、普通の英語とか数学とか国語とかも学ぶと。で、この人たちについては、就職ということがあるわけですから、学校の先生がそういうことをやっているように、就職支援とか進路指導とかっていうことがあるわけでありまして、全寮制ということもあり生活指導がまた密接不可分になっておりまして、そういったことをトータルにやっている。理論とそういう生活指導とか進路指導といった本当にいわゆる教育を行っている。
 一方でこの航海訓練所は何をやっているかといいますと、基本的に非常にお金のかかる船というのを一括して運航することによって15の学校のニーズにこたえるということで、先ほど申しました、基本的に船舶運航会社の側面が1つあるわけです。オペレーターとしていかに適切に効率よく配乗するかというまずノウハウを1つ持っていると同時に、そこに教官を乗せて実地訓練をさせると。先ほど理論をやるのが海技教育機構と申しましたけれども、こちらは実践ということになっておりまして、理論はある意味で科目ごとの深掘りですが、こちらはそういう深掘りではなくて、一通りゼネラルにいろんなことを学んだ人たちが、航海系は航海系、機関系は機関系とあるわけですけれども、そういう一定のゼネラルなノウハウを身につけた人たちが、海技免状という免状をそれぞれ持って、一人前の海の男に育てるという、そういう現場のゼネラリストを中心にした組織であります。
 ですから、それぞれ育っているノウハウというのは、理論のノウハウ、こちらは現場のノウハウということで、なかなかこう相互に行ったり来たりするような内容のものではないので、それを統括する総務においていろんな労務管理を行っていくわけですけれども、そのノウハウもかなり異なっている。言ってみればこういうのを統合するというのは、何といいましょうか、ガバナンスが難しいといいますか、例えば省庁統合などでもあまりにも大きくなり過ぎると分離するなどといった議論も出てきたりするような役所もあるわけでございまして、我々としては、これはかなり違うものを結びつけることになるのではないかと。考えてみれば、もともと1つの学校で大きな船を持って運航するというのが難しいので、歴史的に見ればむしろ経済合理性の観点からアウトソーシングして、1つのところで一括して船を持つというふうになったわけでありまして、今の形が合理的ではないのかと。
 特に、商船大学とか商船高等専門学校とかといった海技教育機構に属さない学校の生徒も含めて適切に中立公正に配乗させるということが、ある意味で今の形が非常にうまい形で機能していると。こういう第三者的なところがやるからうまくいくという面もございまして、今の形の方がいいのではないかというのが私どものこれまでの検討の結論だということであります。

【山本臨時委員】  お話は承っておきます。もう一点確認ですが、タンカーシミュレータとかあるいは機関シミュレータを、海技教育機構の方でお持ちですよね。これはすべての学校に備えつけてあるのでしょうか。また、どのようにお使いになっているのでしょうか。具体的に視察等をしていないものですから教えていただけないでしょうか。

【金田海事局海技課船員教育室長】  シミュレータ、何種類かありますけれども、タンカーシミュレータというのは、海技大学校に備えつけてありまして、これは当然ながら今の船員の再教育でございます。航海訓練所は基本的な航海について実地訓練しますけれども、実際に荷物を扱っている、その荷物が油といったようなのは一般の船社に勤めている船員がここへ来て、例えば条約対応ですとか、あるいは新しいタイプのタンカーの荷役のやり方ですとか、そういったものをここで実際に訓練をするということでございます。ほかに操船シミュレータですとか、機関室シミュレータですとか、そういうものがございますけれども、そこは海技大学校でかなりレベルの高いこともやりますし、本当の基本的なところは海上技術学校等にも簡単なシミュレータを置いておりますというところでございます。

【山本臨時委員】  7校にすべてにあるわけですか。

【金田海事局海技課船員教育室長】  タンカーシミュレータは海技大学校だけでございます。

【山本臨時委員】  機関シミュレータは、7校すべてにあるわけですね。

【金田海事局海技課船員教育室長】  (旧海員学校の)シミュレータと申しましても、パソコンベースのシミュレータというのと、いろんなレベルがございます。海技大学校に置いてあるのは、実際に、例えば機関室を模倣した、そこは機関室だというもので、本格的なものがあるということです。

【山本臨時委員】 旧海員学校の7校パソコンシミュレータは、あるということですね。

【尾形海事局海技課長】  海技大学校にあるものと同じ意味で言われれば、ないということになります。

【山本臨時委員】  「海上技術学校へ機関シミュレータを整備」と見直し当初案にお書きになっていますよね。教育をシミュレータ機能を活用したものへと大転換していけば、飛行機の操縦のように、そこでかなりの部分がそこで代替できるという考え方もあるのではないかと、そういうことも検討された上で、座学と実習は異なっており、船員の養成のためには当然2つの機能が必要だと考えたうえで、シミュレータ機能にどういうものを将来的に期待されているのかということを確認のためにお聞きしたものです。

【富田分科会長】  梶川委員、どうぞ。

【梶川臨時委員】  すみません。個別で今の御組織だけのテーマではないのですが、長いことこの議論見直しをお聞きしていて、組織が合わさるというテーマのときには、必ずどの省庁のどの御説明者も、それぞれがやられている事業が、一般的に見ると類似性を持っているように国民的には見えるけれども、違いがあるのだという御説明に終始される。確かにどんな事業も細分化されれば必ず違いはあると思うのですが、違いがあるから統合されるメリットがないというのは、皆様方はそれぞれ本当にそう、真摯に思われているのはわかるのですが。
 逆にデメリットが、絶対に統合された場合に出ると。先ほど巨大組織の例をひかれましたけれども、多分今ここで話題になっている2つの組織は、そこでいう巨大組織のガバナンスが狂うほどの大きさとは思えない。組織というのは常に生き物で、流動的により効率性を持って再編したり、もしかしたら分割したりってあるのですが、何かそこの御説明が、現状がもう最適なのだという御説明に何か終始されるような気がして、これがもう最高の均衡点で前にも後ろにも一歩も進まないというふうに聞こえてしまいます。何かその本気でそれを検討された結果、もうこういうデメリットでどうしても解決できないというようなことは、まず御検討されたのでしょうか。
 本当に御検討された結果、デメリットがただの足し算以上に3倍も4倍も出てきてしまうというお話があったのでしょうか。先ほど組織が巨大化してガバナンスが云々で云われたが、でもそれは逆に共通部門が統合化されてメリットがありますよという程度の、わりと一般的な議論じゃないかと思うのですか。何かいつまでもこういう話が続き続けるというのは、両者ともに本気で真摯にそこの最高の効率性というものを忌憚なく検討したという感触を他に説明し切れていないのではないかなという気がします。だれが聞いても、いや、これだけメリットがあって、デメリットがあって、もうどうにもならないというような話が本当にあるのかどうかについて、お聞きできればと思うのですけれども。

【富田分科会長】  お願いします。

【尾形海事局海技課長】  淡々とお話ししたので、いかにもさらっとやったようなふうに受け取られてしまったのかもしれません。統合については、真剣に検討したということであります。そもそも、このもともと3つの独立行政法人だったところを2つにしたわけでございまして、何でも反対ということではなく、3つの法人を2つの法人にするということをやってきた経緯もあった上で、やはり航海訓練所は別であろうという判断をしているということであります。
 海技大学校はもともと再教育機関で、旧海員学校の新人養成の機関とはやっていることも対象者も違うし、集めてきている人材もかなり違っているのですが、それでもまだ理論の勉強であるという意味ではくくれるものですから一緒にしたのです。けれども航海訓練所は、先ほど申しましたように、まず基本的に巨大な船舶運航管理会社であると、こういうふうに我々は思っております。そういったところに、先ほども言ったような非常に特殊性を持った現場のスペシャリスト、ゼネラリストといいますか、海技免状という国際的に認められた免状ですけれども、そういう免状を持った人間を乗せて、たたき上げるというようなことをやっているわけでございまして、やはりこれはかなりそのマネジメントも含めて、学校の先生を相手にした組織の中に放り込むことは異質であろうと。異質なものを統合するというのは、異文化交流という面がないとは申しませんけれども、やはりいろいろな摩擦が生じる部分もございます。それから、いろんな難しい課題を抱えた組織を1つのところで統括するということは、別のエネルギーが要ると。本来専門性に沿ってそれぞれ特化した教育内容あるいは実地訓練の内容というのをブラッシュアップすべき機関であるものが、そういう別のところでエネルギーを使ってしまうというのは、やはり我々としては限られた人的資源の有効活用という観点からむしろマイナスと、こう思っているわけでございます。
 それと、先ほどさらっと説明いたしましたけれども、特に航海訓練所は、いろんな学校の訓練生を公平中立に配乗させるという業務をやっているわけで、第三者性を持たせるということは非常に大きなポイントだろうと考えています。一緒にしてしまう、特にいびつな形で海技教育機構だけと一緒になるということは、言ってみればほかの学校との関係がややこしくなると思っていますし、もともとこのアウトソーシングという中で、商売相手であるわけです。海技教育機構と航海訓練所は。商売相手を一緒にしてしまうということは、競争という意味でも好ましくないと思っていますし、こういったことを検討した上で、真摯に今の形の方がいいと思っているところでございます。

【富田分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  今の件は政独委の独法分科会でもいろんな意見があると思いますが、私は個人的には課長の御説明をいろいろ伺っていて、それは理解できる部分も十分あると思っています。
 ちょっと観点を変えさせていただきまして、海技教育機構の養成定員のところを少し詳しくお伺いさせていただければと思います。養成定員、もともと380だったところを350にしてという中で、でもさらに今後を見通すと、業界からのいろんな要請もあってということを先ほどお話しされたのですが、そのあたり具体的にはどのような形で業界からのニーズに対応していかれるおつもりなのかということをもう少し細かくお尋ねできればと思います。これは定員をまた引き上げるという形でしょうか。それとも何か別の工夫をなさるということでしょうか。

【金田海事局海技課船員教育室長】  具体的には、(養成定員を)いつでも引き上げることができるような体制をとっておきたいということでございます。現在の5年間計画の中で、380名から350名にしております。これは5年前の当時の就職状況について、海への就職が非常に悪かった。海関係の教育機関への進学も含めて270名前後であったと。その計画が決まった翌年の平成18年ぐらいから、急に就職率がどんと上がりまして、18年以降、同じ計算でいくと320名前後と。50名ははね上がっている状況でございます。就職自体も、求人自体も非常な数です。前年の2倍、3倍といった数。ときには1,000名を超えるといったようなことにもなりました。ただし中期計画がございますので、350名にしておりますけれども、正直申せば、もとのレベルぐらいまでには戻しておきたい。
 その前提となりますのは、5年後、10年後に内航船員が不足をするという試算をしております。5年後に約2,000名、10年後に約5,000名不足をする。その中で、内航業界が即戦力を持った人間を採っていかないと自分たちが危うくなるという危機意識がございます。ここ2年間ぐらいで、例えばリーマンショックというのがございましたけれども、一時的に求人が減ったということはございますが、これも17年度ぐらいと比較しますと、それでも求人数はるかに高い状況になっております。就職人数は減っていない。むしろ増えているという状況です。したがって中期計画に沿って一時的に定員を落としたものの、業界の要望を踏まえますと、すぐにでも取り戻したい。少なくとも5年間硬直した計画でやるというのは業界のニーズに合わないだろう。したがって落とすことも上げることももちろんございますけれども、今の現状では上げていきたいということでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

【河村臨時委員】  では今の点、要するに次期の中期計画の期間中で、定員を380にも上げることができるように。すぐに上げるということではなく、場合によってはそういう判断をなされることもあるようにするということですか。

【金田海事局海技課船員教育室長】  そのとおりでございます。

【河村臨時委員】  その場合に例えば教官の定員とか、それから学校の設備面というのは、それはどのように対応なさいますか。

【金田海事局海技課船員教育室長】  380名から350人に定員を来年度落としますけれども、教官等についてすぐさま整理をしたり、校舎を1つ減らしたりということは考えておりません。したがって今の体制で、人はそのままにして、いつでも対応ができる状況にしていく。人も校舎も施設もということでございます。

【富田分科会長】  鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  3つ、4つ質問したいと思います。まず海技教育機構で、先ほど来お話がありますが、海技教育機構とこの航海訓練所の話ですけれども、当初案で、補足説明で、先ほども説明にありましたけれども、教官に必要な資質が異なっているというようなお話があったと思いますが、実際にはいろいろな人事交流を行っているわけですよね。したがってそこのところから考えると、そうまあ、部分的にはあるかもしれませんけれども、質は変わりがないのではないかと思いますがどうでしょうかということが1つと、それからこの児島分校について、これ、国の財産であれば早期に処分することが必要であろうと思いますが、これは時期をどのようにお考えになっているのかを、2つ目お聞きしたいと思います。
 それから航海訓練所については、組織の在り方について全般を見直すという平成18年度の考え方があったと思いますが、その後どのような検討を行っているのか。そして、この見直し当初案で練習船艦隊を整備して、要員の縮減等を進めるとしていますが、どの程度要員の縮減になるとお考えかお聞きしたいと思います。

【富田分科会長】  お願いいたします。

【尾形海事局海技課長】  まず人事交流を両機関の間で行っているということでありますけれども、これはそれぞれ、ある意味で研修的な趣旨がございます。どういうことかと申しますと、お互いに相手のニーズを正確に理解してくるというのがまず1番のポイントだろうと思っております。それとやはり異質なもの同士であるから関係ないということではなくて、省庁間でも人事交流をやっておりますけれども、違っているからこそ人事交流をやるというのも一部では必要だということだと思います。そういういろいろな総合的な観点から行っているものでありますので、逆に言えば規模も非常に限られたものになっていると、こう思っております。同じ性格の仕事だから交流できるという趣旨であればもっと大規模に行うものだと思いますが、今言ったような趣旨でありますので、限られたものになっているということであります。
 それから児島分校の処分時期でありますけれども、これは教育室長から答えていただくことにして、あと要員縮減効果の方でありますが、これは今、大成丸というかなり大きな練習船を運用しております。これ、約6,000トン弱なのですが。これを今度小型化するというのが1つであります。半分ぐらいの大きさの船にしようと思っております。小さい船でないと、やはり狭水道は通れない。そういう狭水道を通るような訓練をしないと内航船員は養成できないと、こういう思想でそうするわけですが、当然小さい船にしますので、乗せる運航要員もそれに応じて縮減できると、主としてこういうことであります。
 残りの点については室長から御説明申し上げます。

【金田海事局海技課船員教育室長】  児島分校の処分の件でございますが、独立行政法人通則法が改正されまして、不要財産等を国に返したり、それを売り払ってそのお金を返すということができるようになったところです。ただし、これの実際の手続を決めるところの政令等がまだできておりません。財務省とももう既にお話をしておりまして、その手続政令等が決まれば、そこで一気に方針を決めて、可及的速やかに処分をするという手はずになっておるところでございます。

【鈴木臨時委員】  最初の、教官の人事交流ですか。研修を行うということで、そういうことが行われれば、部分的ではなくてそれを拡大していけばいいのではないかなというふうにも思います。したがって、どのような教育機関であっても全く異質なものが1つなっていることは普通にあり得るわけですし、先ほど商売相手という言葉が出ましたけれども、私どもからすると奇異に感じます。そうではなく、やはり一体として行うものは行うと考えるべきではないかと思います。
 2つ目の児島分校の件ですか。これについては、そういうことであればできるだけ早く進めていくべきだと思います。
 それから、要員の縮減ということで、大成丸のお話が出ましたけれども、この大成丸はどうでしょう。耐用年数というのがあるのかもしれませんが、これ以上延長するということはできないのですか。

【尾形海事局海技課長】  大成丸を延命することができないかということでありますが、技術的に言えば可能です。十分可能ですが、コスト面からむしろマイナスだという判断をしています。大成丸は非常に燃費が悪い船だとお考えいただきたい。タービン船というふうに書かれていると思いますが、これ、軍艦に載せているエンジンです。要するに出力は大きい燃料を食うものでありまして、普通の商船はディーゼルエンジン、ずっと効率がいいわけです。そういう意味でも、これ、毎年1億ぐらい余計に金を食うものだということでありまして、当然延命すればその年数だけ燃費を余計に食うと。さらに、これまでも大規模修繕を何度かやっているのですが、1番のポイントは、非常に大きなボイラーを積んでいる船なのです。タービンというのは要するにボイラーがありまして、ボイラーというのは事故が起きると大変な犠牲が出る。それを継ぎはぎで今、補修しているのですが、継ぎはぎするだけで億の金がかかるようなものでありまして、これも継ぎはぎすると30年もつというような継ぎはぎではないものですから、技術的になかなか難しいものですから、もうリプレースした方が早いぐらいになる。延命するとかえって金がかかりますので、代船をつくった方がトータルとして安くなるというのが私ども省としての判断でございます。
 それから、人事交流はあくまでも別々の専門性を持った人間同士、それぞれどういうことをやっているかというのを見に行くというのが今の実態であります。これに全部つぎ込んでしまうと本業がおろそかになってしまうと思っています。航海訓練所の教官は一通りのことはできますけれども、航海学の専門の知識を教えるだけのノウハウはありません。逆に、航海学の専門の教授は、練習船に乗り、ビシバシと教育するというようなことはできない。そういうような関係でありますので、ただそれぞれが何をどういう教育をやっているかというのは連続する課程ではありますから、お互い学ぶことは意義があろうと、こういう趣旨で研修と申した次第であります。

【鈴木臨時委員】  これ議論していてもあれですけれども、何も同じ人が両方やりなさいということじゃないですから、組織として一体として行うことが可能かどうかという判断の話だと思います。
 それから先ほど、大成丸のリプレースに関する資料がございましたら、事務局を通じて提出をお願いしたいと思います。

【富田分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  海技教育機構の方は内航のための船員の養成ということで、それから航海訓練所の方は海技教育機構の実習の方も受けられるでしょうけれども、商船系の大学であるとか、商船系高専からの委託も受けられて、これは外航の方にも乗られる船員の養成もなさるわけですよね。それで自己収入の拡大ということを今回の見直し当初案でいろいろ御苦労されていると思いますけれども、それとその中に含まれるかわかりませんが、それぞれ卒業生が海運会社に就職していくわけで、それで、それは外航で船を出しているような大きな会社と、それから内航を担っている会社で当然規模なり体力なりとは違うと思いますが、そういう卒業生を受け入れる会社からの受益者負担等について、今まで何か検討をされているか、それから今後検討なさる御予定がおありでしたら御説明をお願いできればと思います。

【尾形海事局海技課長】  受益者負担ということは非常に重要なことだと思っております。とはいうものの現在、受益者負担ということでお金をいただいているのは外航船社だけであります。結論からいってしまうと、内航船社からお金をいただく、負担をいただくということについては今後の積極的な検討課題だと思っています。今までのところ、内航船社は中小で経営が厳しいものですから、お願いはしているのですが、ない袖は振れないと、こう言われてしまうようなことが多く、むしろ国で責任持ってやっていただきたいというような、むしろそういう形で切り返されるということが多かったわけですが、これは今後もやっていきたいと思っています。
 なお、外航船社で既に一部、これは昨年度からですかね、21年度から一部負担をお願いする仕組みをとっております。具体的には、トン数標準税制という外航海運会社の優遇税制の措置がございまして、この適用を受けたいという会社については、それとセットで日本人船員の養成確保というものの責務を負っていただくというスキームでございます。その責務の、日本人船員育成の責務の果たし方ですけれども、1つは航海訓練所ではなくて自社の船に乗せて養成してもらうというやり方もありますし、そういう適切な船がないということであれば、1人当たり262,000円をいただくというようなことをやっている。これは優遇税制とセットの措置なので、その優遇税制の適用を受けている会社からいただいているということで、昨年度から導入した新たなスキームということになります。
 それから、海事教育機構と航海訓練所が商売関係であるというのがすぐに皆さんに御理解いただけなかったのはあれですが、言ってみればこれ、航海訓練所は各学校からお金をいただいているわけです。委託して、それを受けて生徒を乗せて船を動かしているわけですから、お金がかかる部分の一部をこれらの学校からいただくということで、自己収入の増加という文脈で少しずつそれ上げていくということですが、それは結構この各学校とは厳しい交渉をして毎年少しずつですけれども上げていると。そういう意味で商売関係だというのは、そういうふうなことも1つ頭に入れていただければと思っています。

【河村臨時委員】  すみません。

【富田分科会長】  はい。

【河村臨時委員】  今、御説明いただいた船会社からの受益者負担のことですが、外航について既に導入されたと。極めて透明な仕組みを導入されたと思いますが、これは要するに航海訓練所について導入されているということでよろしいわけですよね。

【尾形海事局海技課長】  はい。航海訓練所についての負担です。ちなみに海技教育機構については、海技大学校という既に社会に出ている船員になった人たちのスキルアップの学校がありまして、こちらも船社からの要請で人を受け入れているわけですが、当然そこで授業料をいただいておりますので、船社側の負担も若干入っているだろうと思っております。

【河村臨時委員】  わかりました。その航海訓練所の方については、外航船社の外形標準課税とセットでという制度を導入されたということですが、例えば大手の船会社に就職していかれるのかなと思いますが、実際に昨年度から導入されて、卒業生が就職された会社の中で、もうじゃあ皆さんこの制度をお使いになられて、もれなく受益者負担という形で負担をされたということで、負担をしている会社としていない会社があったとかそういうことはなかったという理解でよろしいでしょうか。

【尾形海事局海技課長】  はい。間違いなく自分の船に乗せて養成するか、あるいは乗せられないのであればお金を払っていただくということでございます。

【河村臨時委員】  わかりました。ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  私、このワーキンググループに参加しているわけではないので、いろいろな御説明を受けていない中でこういうのは僭越ですけれども、一番最初冒頭の議論ですが、思いますには独立行政法人を統合するかどうかという議論は必ずよく出てきまして、今まで統合する方向の中で幾つか独立行政法人に変わっていったと思うのですが、我々が担当しいている独立行政法人を見ても、果たしてそれがよかったのかというと必ずしもそうではない独立行政法人もやはりあると思っています。今回、細かいことはよく私、存じ上げていませんが、確かに聞いていますと座学と乗船実習は違うなと思ってみたりしますが、当初梶川委員がおっしゃったように、どういう検討をされているのが本当にいいのかっていうのを、やはり議論の俎上に乗せるというのは非常に重要なことかなと思っています。その上で、軽々しく一体的運用という結論になったりならなかったりするのはやっぱりそれはよくないのではないかと思います。そのときに、確かに一体的運用というイメージが、議論がよく出てきていますが、一体的運用とさっき言われた商売相手かどうかというという議論については、やはりメリット、デメリットということではないでしょうけれども、やはりいろいろな対策を考えていく中で、基本的にその辺の議論を、かみ合わせた形で議論をしていかないといけないのかなという気持ちが1つあります。
 それから評価委員会の立場で、そういうことが果たしてできるのかどうかというのは、やはり国土交通省の政策としてどうするかという議論だと思いますので、その辺はやはり、今までの政策を真摯に見ていただいて、果たしてどうなのかと。軽々しく数合わせの議論から一体的運用がいいということは、私はないのではないかなと思っております。

【富田分科会長】  ありがとうございます。どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  航海訓練所が共同利用機関であるという位置付けが非常に強調されていましたが、多額の資金投入をして、個々に大きな資産を抱えなければならないものを共同利用型で運用するということはいいと思います。そこで質問ですが、商船大学や商船高専と海技教育機構の各学校は利用環境においては、そのステークホルダーは全部一緒でイコールフィッティングできているというふうに理解をしてよろしいですか。また、有料であると。

【尾形海事局海技課長】  すべて一緒です。また、全員有料でお金をもらっています。

【阿曽沼臨時委員】  あと一点、教育の仕組みについてですけが、船の運行というのは基本的にはチーム力で運航するものですよね。いろんな職種が1つのチームになって、ある意味全体主義的に運行をしていかなければいけない訳ですね。そうすると、その教育において、商船大学校系だとか海技系だとかというのは、訓練におけるそれぞれの職種の定員が重要だと思います。その辺のカリキュラムについては、今抱えている資産で十分にニーズに対応できているのでしょうか。

【尾形海事局海技課長】  商船系大学、商船系高等専門学校は所管外でありますので詳細のことはあれですけれども、少なくとも海技教育機構で考える限り、やはりもうちょっと充実した内容にしたいなという気持ちがございます。特に海技大学校のような組織は、民間でなかなかペイできない部分を全部拾ってきて、ここでやるというふうな期待を関係業界から受けておりますので、いろんなニーズにこたえたいと思っているわけです。先ほど山本主査からのご指摘がありましたタンカーシミュレータの件ですけれども、こういったのも今の時代に即応して、実はダブルハルというシミュレータを入れたいところですがシングルハルのシミュレータしかないとかですね。なかなか正直言って現状でもそれぞれなかなか十分なカリキュラムがつくり切れていないと。それは少ないところから寄せて重点化してプライオリティーを考えてやっていくのだろうと思いますけれども、悩みはかなり持っているという現状でございます。

【阿曽沼臨時委員】  私も外国航路の船に乗ったことがあるのですが、1つの国籍の船員だけではもう運航できない状況になっていますね。多国籍の船員で運用しなければならない現状であるとすると、ここにある学校だけで日本人だけを対象にした内向きの教育をしていて、外航会社、内航会社のニーズに合った船員養成や教育が出来るのか、教育の仕組みは今のままで良いのかということに関してはどうお考えになってらっしゃいますか。

【尾形海事局海技課長】  外航船のお話だと思います。確かに今、日本籍を持っている船は外航海運で100隻ぐらいです。100隻のうち外国人フル配乗という船も相当数ありますし、ほかの船もかなりの部分は外国人が乗っている。フィリピン人の方が多いのですが。外航船に乗られる方々についてはそういう国際的視点を持った教育というのも必要だと思いますし、航海訓練所でもそういう観点から乗船訓練させている面もありますが、そもそもの養成課程である大学の方で十分そこは配慮した課程を設けていると理解しています。

【富田分科会長】  どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  先ほどの追加の件なのですが、平成18年の海技機構法案のときの衆参の質問だと思います。当時の野党だった民主党、それから当時の与党とか公明党、それぞれなぜ航海訓練所を統合しないのかというような趣旨の質問をされていて、それで公明党の問いに対しては政府参考人の方が答弁されていらっしゃるのですが、結果的にそうならなかったという理由をちょっと後で資料として出していただきたいなと思います。

【富田分科会長】  それでは時間の都合もありますので、本日のところは、海技教育機構及び航海訓練所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、御協力引き続きよろしくお願い申し上げます。
 また本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。


(陪席者 入替え)


【富田分科会長】  続きまして、航空大学校の議論に入りたいと思います。では航空大学校について、御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、御説明5分でお願いいたします。

【鏡航空局乗員課長】  それでは航空大学校につきまして、御説明させていただきます。資料2−1の7ページをお開きいただきたいと思いますが、見直し当初案の内容一覧表というものでございます。見直しの方向性の具体的な措置といたしまして、航空大学校はこの4月に事業仕分けを受けたところでございます。その結果、受益者負担を高めて、国費を節減するという評価結果をいただいたわけでございまして、現在航空会社からの負担を求めることとするとともに、学生の授業料についても段階的な引き上げといったことで今、考えているところでございます。
 具体的な方向性、組織の見直しに係る方向性につきましては、同じく事業仕分けにおきまして、国が航空大学校によって操縦士を養成するというその必要性についてはおおむね御理解が得られたものと考えているところでございます。
 さらに運営の効率化等についてでございますけれども、自己収入は今申し上げた通りでございまして、エアラインあるいは学生の負担を少し拡大しようということでございますし、管理運営の適正化につきましても理事会の体制を整備する等、組織管理の強化でありますとか、さらには評価につきましては内部評価委員について外部委員の参画を検討してまいりたいということでまとめさせていただいております。
 続きまして資料2−1の11ページが勧告の方向性における指摘事項の措置状況ということでございまして、非公務員化は平成18年4月に実施済みということでございまして、2番目の職員の削減も含めたスリム化等につきましては、常勤職員数を中期期間中に約10%削減するということになっておりまして、これは22年度中には達成できる状況になってございます。
 それではちょっと細かい資料になりますけれども、99ページを少し具体的に御説明をさせていただきます。真ん中の欄に予算的なことが書いてございますけれども、22年度と23年度の違いでございますが、航空会社から受益者負担として御負担額をいただくということでございまして、その分、国費を節減していくといことでございますが、これは後ほどまた御説明すると思いますけれども、22年度は運営費交付金が26億5,300万でございましたけれども、平成23年度は約1億円減ということで、25億7,000万の要求にさせていただいているということでございます。
 続きまして次の100ページでありますけれども、これは21年度の達成状況ということで、一番上の欄でございますが、着実な実施状況にあるということで御評価をいただいたところでございます。常勤職員数についても10%、12名削減ということにつきましては、21年度は2名の人員削減が行われておりまして、22年度中には全部達成する見込みとなっております。
 2つほど飛ばしまして、一般管理費、業務経費はそれぞれ計画以上の抑制を図っているところでございます。
 さらには下から2つ目ということになりますが、より資質の高い学生に受けていただくということで、2次試験の合格基準を一部緩和する。これは目の機能に関しての若干の緩和でございます。さらには身長の基準も見直しを行っているところでございます。
 101ページでございますが、先ほどの予算ということで、上から3段目ぐらいのところに23年度予算要求額とございます。国からの財政支出額、運営費交付金等としては26億円。ただしその支出予算、いわゆる自己負担、自己収入といたしまして、航空会社の方からのいわゆる利益者負担と授業料の値上げ等によりまして、その分支出額は平成22年度より2億円程度増えまして30億ということになるものでございます。
 事業仕分けの結果ということでありますので、この次の欄に書いてございますが、繰り返しでございますけれども、恐縮ですが、航空会社からの負担と学生についても授業料を段階的に上げていこうということでございます。
 102ページでございますが、航空大学校は宮崎の本校と仙台、帯広の分校と、この3校体制でやっているわけでございますけれども、引き続き72名の養成を行うということで、それぞれ学校において、操縦の技量を与える対象のものが違っておりますので、引き続き3校体制を維持する必要があると考えているところでございます。
 あとは、104ページをお開きいただきたいと思いますが、繰り返しですけれども、自己収入の拡大というところで、これまで、事業仕分け以前からということで、22年度から段階的に、今、国立法科大学院、具体的には80万円程度でありますけれども、上げていくということに取り組んできたところでございます。
 105ページ、次の105ページでございますが、管理運営の適正化ということで、一般管理費、業務経費については計画以上の抑制を図って、人員についても計画どおりの削減を図っております。特に教育を支援する業務、航空機の整備あるいは運航管理という実際に気象情報とかいろんな情報を提供して、運航を管理していくような業務の人たちのものを民間、アウトソーシングをして、人員の削減を行ってきたところでございます。
 おおむね以上でございます。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それではただ今御説明いただきました航空大学校の見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いいたします。山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  受益者負担の問題とも絡みますが、事業仕分け後の話かもしれませんが、国交省の内部において航空大学校の在り方の見直しの検討会議が設けられたと聞いておりますが、それの内容がもし確定していればお教えいただきたい。もう一点、航空大学校に国が関与するというのは、国内航空業界の保護育成ということになるのかということですね。航空大学校の卒業生の多くは国内の航空会社に就職されていると思うのですが、この方たちは別にどこの航空会社に就職されても何ら拘束はないのかということについて確認させてください。もし、就職に拘束がないとすると、何ゆえに莫大な国費を投入して育成する必要があるのかという。もし、国外の航空会社等に100%が就職となれば、これは政策上どのように考えるのかと、その2点をお教えいただければと思います。

【富田分科会長】  お願いします。

【鏡航空局乗員課長】  まず「在り方の検討会」ということでございます。実は、従前から、「在り方検討会」というのがございまして、従来からのこの独法見直しを受けて考えてきたわけでございまして、その後、政権が変わりまして、今年の4月に事業仕分けを受けたわけでございます。事業仕分け後に「在り方検討会」というものを発足させたということではございません。
 先ほど授業料を段階的に上げるというのは、実は「在り方検討会」での御結論を得まして、22年度からやってきているということでございまして、今年の4月の事業仕分けを受けましてからは、専らどのように航空会社から御負担をいただくかということを内部的にいろいろと検討してやってきているところでございます。
 2点目でございますけれども、確かに航空大学校の法律の目的にも航空輸送の安定的な供給を図るために操縦士の技量を教授するというようなことが書いてあるわけですが、基本的には日本の航空会社ということでございまして、今、先生がおっしゃいましたようなことはございません。つまり外国の航空会社に私は就職をしたいということについて、それを禁止するという規定は今はございませんけれども、幸いといいましょうか、実態的にも実際のデータからも、我が国のエアラインですべて就職はかなっているというような状況でございます。
 これはやはり航空大学校の卒業生もすぐエアラインで働けるわけではなくで、航空大学校を卒業する時点では、事業用のライセンスと多発限定というものと、それと計器飛行と、この3点セットができて初めて、いわゆるエアラインのパイロットの卵になれるわけでございまして、それを採用していただいて、その後エアラインはまた実用機課程で、例えばボーイング737とかそういったジェット機で訓練を積み、1年なりそのぐらい経ったら副操縦士に発令をすると。副操縦士で数年、あるいは七、八年ぐらい乗務した後、機長になっていくというようなそういう育て方になっておりまして、外国は必ずしもそうではないかもしれませんけれども、我が国ではそのようになっていると。外国のエアラインはむしろ即戦力を欲したがるということでありますので、そこは若干違うかなと思っています。
 あと、なぜ国費を投入するかということにつきましては、事業仕分けのときでももちろん議論になったところでございます。基本的に昭和20年代後半に設立されたときからのことでございますけれども、日本人のパイロットを自ら養成していくということは大きな問題であるわけですが、そういうことで基本的には航空大学校が養成してきたと。ただそれだけでは、特に需要拡大期には大手の航空会社ではとても足りないということなので、自社養成もされてきたというようなことでございまして、ただ自社養成はそういう意味ではいろいろと、景気の動向でありますとか、会社の経営状況、そういったものに左右されて、結構フラクチュエートをしていくというものでございます。航空大学校の卒業生は幸い、各年代、各年齢層に合わせて大体平均的な基礎需要として、各航空会社の採用人数の約4割ぐらいの卒業生を採用していただいているというのが実態でございます。

【富田分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  すみません。先ほど御説明いただいた、事業仕分けの結果を受け、航大の教育訓練業務により受益を受けている航空会社、民間エアラインからの負担を求めることとするとともにという、その部分についてお伺いしたいと思います。
 これまでにも事実上の受益者負担というか一部の会社だったのかもしれませんけれども、社団法人の航空機操縦士養成振興協会に会員になっている民間エアライン、これ全部ではないと思いますが、会費を拠出してという事実上の受益者負担があったかと思います。要するにその振興協会が宮崎の航大にある設備、飛行機とかそういう整備を負担するのでしょうか。これと今回の受益を求めるというときのその関係、これは何かそのまま続けてそれをなさるのか、別の仕組みをお考えになるのか、そのあたりを少し細かくお教えいただければと思います。

【鏡航空局乗員課長】  確かに一部航空会社ということで、JALもANAも含まれていたわけですけれども、そういう社団法人を結成していただいて、それでいわゆる現物提供みたいな感じで訓練機の提供をしていただいたというのは事実でございます。
 実際の採用実績は、必ずしもJAL、ANAだけではございません。幅広くJAL、ANA以外の、いわゆる中小規模の航空会社もございますし、さらに新規の航空会社といったところも航空大学校の卒業生を採用しているということでございます。そういった方々は、今のところはそのスキームの外であったということでございます。事業仕分けではそういったものをいわゆる公平に、エアラインは航空大学校の卒業生を採用して、操縦士として採用するということはそれなりに受益をするのだから、公平に幅広く取るというような感じであろうということで我々は認識しておりまして、そういう新たなスキームとして、航空大学校の卒業生の採用実績のある会社に一定のルールで幅広く御負担をいただこうと思っているところでございます。
 そういう意味では、従来のスキームは、この我々の考え方がお認めいただければということですけれども、廃止になろうかと思います。

【富田分科会長】  はい。

【河村臨時委員】  その一定のルールというのは具体的にもう少しお伺いできますか。

【鏡航空局乗員課長】  エアラインの航空大学校の採用の実績と、あとはその会社の経営規模、具体的には操縦士の数といったものを、そういった2つの要素で一定の算定ルールを考えているところでございます。

【河村臨時委員】  それは具体的にはいつおわかりになるのでしょうか。それは次の中期目標の期間中に導入されるのか。いつから導入なさるのでしょうか。

【鏡航空局乗員課長】  もちろん今23年度要求の段階では既にその要求をしておりまして。まだ予算が決まっておりません。要求の、1つの考え方としては採用実績と会社の操縦士の数で考えようということで御負担をいただこうと思っております。

【河村臨時委員】  続けてお尋ねしますけれども、そうすると、先ほどの振興協会の方は廃止になる方向ということでしたが、これは、当然予算に関係するのでいろいろ財務省の調整とかいろいろおありになるとは思うのですが、当然民間エアラインの理解を得ることも必要だと思いますが、そういったあたりのお話し合いというのはもう済まされているのでしょうか。

【鏡航空局乗員課長】  事業仕分けを受けまして、いわゆる対象としようとしている航空会社には何度かはお話しているところでございます。

【河村臨時委員】  対象とする航空会社というのはエアライン全部ということでよろしいですか。前の振興協会のときには、エアーニッポン、全日本空輸、日本空港貨物、日本航空インターナショナル、日本トランスオーシャン航空、以上で間違いございませんか。

【鏡航空局乗員課長】  はい。従来はその5社でございましたけれども。採用実績のございます会社、十数社になりますけれども、それすべて御説明をしてきているところでございます。

【河村臨時委員】  そうですか。やはり負担増を求めるということは、やはり公平にというふうにしないとやはりそれは当然民間の側からするとのめないことではないかと思いますので、ぜひ粛々と進めていただければと思います。
 あともう一つ気になるのは、JALがああいう経営状態になって、でもそのような会社に対しても基本的にこのルールにのっとって御負担をいただくと、そういうふうに考えておられますか。

【鏡航空局乗員課長】  会社を継続して運営される以上は、すべて公平に御負担いただくべきものということで、御理解が得られるように、これからも鋭意御説明を続けたいと思っております。

【富田分科会長】  鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  私ども民間の航空会社へのヒアリングに行かせていただきましたけれども、民間の操縦士の養成ということについては、航空大学校も民間の操縦士養成施設も同質という印象がある。質が違うということはないでしょうけれども、これ、カリキュラムが決まっているからですね。ということからすると、どちらででも教育できると。もちろん機長になるという段階は違うでしょうけれど。そういう状況の中で2つ、これからの航空需要についてどうお考えになっていて、民間操縦士養成施設への支援を、どういうような形で考えていらっしゃるのか。まだ考えておられる具体的内容はについてお聞きしたいのですが。

【鏡航空局乗員課長】  まず民間の、どういうところで養成をしているかということにつきましては、JAL、ANAといった大きなところは自社で養成施設を持っておりまして、訓練自体は外国でやっておりますけれども、そういったところがやってございました。先ほども申し上げましたけれども、それも必ずしも毎年一定数を固定的に養成するというものではございませんで、彼らの経営状況に応じて非常に弾力的に運用してきているというのが現状でございます。
 それと、最近でございますけれども、私立の大学校で操縦士の養成も始められたところでございます。平成18年度から東海大学に操縦士養成コースができまして、平成21年度、昨年度末に第1期卒業生が出たわけでございます。三十数名の卒業生が出たというふうに承知しておりますけれども、そのうち20名強が航空会社に入ったというような状況でございます。ただ、東海大学の学生数も必ずしも定員を常に満たしているわけではございませんで、少し定員割れも起こしているような状況でございます。
 同じように、平成20年度からでございますけれども、桜美林大学がやはり操縦士養成コースを開設したところでございます。20年度からですので、今、卒業生は来年度末に卒業するということでございます。こちらについては、開設以降定員割れを起こしているという状況でございます。
 あと法政大学、熊本の崇城大学がそれぞれ操縦士養成コースを20年度から開始いたしましたけれども、法政大学につきましては、学部教育は自家用のライセンスだけで即エアラインの採用候補生にはなり得ないものでございます。崇城大学も事業用ではありますけれども、単発までしか取らないということで、先ほどの多発、あるいは計器といったものを取るにはさらに卒業後自分で取っていかなければいけないというようなことで、特に崇城大学は定員数に満たない状況にございます。
 いずれにしましても私立の大学でそういう養成も始まっておりますが、まだ緒についたばかりだということであります。航空大学校はそもそもいろんなシラバスの相談でありますとか、教材の相談でありますとか、もちろん視察の受け入れ等もやってきております。決してこういった私立の大学と対立的関係にあるわけではなくて、そういう民間での養成機関について、いろんな技術供与等も行っていくということが必要だろうというふうなことで考えているところでございます。

【鈴木臨時委員】  見直し当初案では、民間操縦士養成機関への支援については記載がされていませんので、そういうことも含めて、もし質的にある程度同じであるということであれば、民間の会社の方は、もっと支援のやり方によってこの航空大学校の在り方も変わってくるのではないかということで、やはり見直し案に反映していただきたいと思います。
 それから先ほど来出ている受益者負担を高めるということが考えられているということですけれども、これはどの程度の国費の節減が可能なのか、シミュレーションというのは出ておられるのでしょうか。

【鏡航空局乗員課長】  今、財務省に要求をさせていただいていますのは平成23年度の分ということで、エアラインの方には3億円程度の御負担をいただくことを考えているところでございます。先ほどいわゆる航空機操縦士振興協会の方が機材の提供をしてくれていたということですけれども、それを今度この3億円の中で、航空大学校がそういう自分で契約をして、具体的にはリース契約や整備を行うということであります。3億円がもろに運営費交付金の減になるわけではないということで、具体的には国費の節減に寄与するのは約1億円程度だというふうな仕組みになっています。

【鈴木臨時委員】  それではまたそれは事務局から資料等、お願いしたいと思います。

【阿曽沼臨時委員】  よろしいですか。

【富田分科会長】  はい。どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  航空大学校の授業料ですが、私立大学の10分の1ぐらいですよね。例えば、自治医科大学や防衛医科大学といった大学では、就業についてのデューティーがあって、そのデューティーをもし卒業生が守らない場合は、全額授業料を返すというやり方をしていらっしゃいますが、航空大学校についてはその点はいかがですか。

【鏡航空局乗員課長】  今のところそういう意味では、例えば防衛医科大学校は、我々の調べでは約5,000万円ぐらい1人当たり国費がかかっているというふうなことで、それがルールとして一定の期間は防衛省直轄の仕事といいましょうか、そういうところをしなければいけないという縛りがかかっているわけですけれども、今のところ航空大学校の卒業生にはそこはかかっておりません。

【阿曽沼臨時委員】  航空大学校ができたときのニーズというのは、ナショナルフラッグが安定的に国際的にも運行を継続させる意味で、パイロットの養成というのは非常に重要だった訳ですが、現状で、私立の大学でも養成機関があり、しかもその民間の大学が健全経営にあえいでいる状況で、授業料の差がこれだけあれば、民間が定員を満たすのはそもそも難しいだろうと思います。民間の大学以外でも航空会社の自社養成もありますから。今年は、例えば全日空でもJALでも自社養成の人間がパイロットに成れないぐらい、就職に大変な時期でありますよね。それから東海大学等の私立大学でも就職率が低くなるかもしれませんね。民間航空会社の試験では、例えば一般的に問題ないとされている斜視が0.1度くらいであっても、全部落としている状況もあると聞いています。需給のバランスが崩れてきているわけですね。なおかつ航空会社が自社養成をやり、民間である私立大学が教育を充実させようとしているときに、航空大学校のやり方は民業圧迫というか、民間のパイロット養成の意欲を削いでいってしまうのではないですか。航空大学校がどんどん強くなってバランスを悪くするのではないかという観点での議論もあろうかと思いますが、いかがでしょうか。

【鏡航空局乗員課長】  そういう意味ではエアラインのいわゆる操縦士がどうなるかということは、実はなかなかそういう需要を見通すことは難しいというところでございますが、基本的にエアラインの機材計画等は5年、10年という長いスパンで立てるものではございません。わりと3年とかですね、というようなものが結構多うございます。そういう中で我々、何か道を考えていかなければいけないわけですけれども、今、委員がおっしゃったように非常に苦しい状況の中でございますので、改めて今回航空会社の方にもヒアリングをかけたところでございます。
 JALグループは今こういう状況ですので、採用の具体的なところは出せないということでありますけれども、ANAグループ、あるいは新規系のところも含めまして、大体トータルいたしますと200名を超えるような数字になってございます。それで、基本的には、今まで、先ほど40%ぐらい航空大学校の卒業生だと申しましたけれども、そういう意味では72名というのはほぼこれからも必要だろうし、私立の大学の方も、ちょっと今、今年はあまりにもちょっと数字がよくないですけれども、やはり団塊の世代の退職というのもございますし、成田、羽田の発着能力の増強もございますし、機材の小型化、多頻度運航化といったこともございますので、即戦力を雇うという意味では、例えば外国人を入れるとか、それができるかもしれませんが、やはり副操縦士を養成するにはかなり時間もかかるということでありますので、確実に民業を圧迫していないということは必ずしも申し上げられないわけですけれども、少なくともエアラインの採用の考え方的には、200名程度が必要になってきているという状況でございます。

【阿曽沼臨時委員】  むしろ民間がこうやって頑張っていく中で、安定供給をしなければならない、もしかすると二律背反的な問題なのかもしれません。例えば奨学金制度を創設し充実していくとか、意欲のある私立大学に対する運営費用の補助というような政策転換をして、バランスをとっていくことが重要であると思います。定員が70だからということでずっとやっていて、授業料が15万2,000円だからいいというような考え方だけで、本当にこのまま継続していいのかということも含めて、抜本的に検討される時期なのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【鏡航空局乗員課長】  私立の大学は、そういう意味ではまだ東海大学が今年初めてであります。まだまだ少し動向を見守っていく必要があるのではないかと思っております。やはり安定的な乗員のソースとなるというのは、航空会社にとりましても航空大学の卒業生、あるいは自社養成できる経営規模のある大きな会社は自社養成もやっていく。さらには私立の大学も、例えば東海大学は全日空が応援しておりますので、そういったこととかも含めて私立大学というのも1つのソースとしてお考えになっているわけでございますので、そういった多様なソースから採用をしていくというのも航空会社のポリシーであろうと思っております。決して航空大学校が私立の大学等を排除的にするのではなくて、先ほども御説明させていただきましたが、一緒に協力をしてやってきているという状況でございます。

【阿曽沼臨時委員】  海外の航空会社への就職というのは市民権の問題もあって、なかなか狭き門ですけれども、例えば東海大学、桜美林大学などは、20カ月近い海外での教育が設定されていますね。教育も100%英語で、国際人としての素養を身につける上でも教育として在り方としては今後の姿なのではないかと感じました。そう考えると、航空大学校の様に日本にある訓練施設だけでの教育で良いのでしょうか。国際性を考えた場合にどうなのかというようなことも疑問があるのですが、その点はいかがですか。

【鏡航空局乗員課長】  操縦士は、決してアメリカの操縦能力が高くて、日本の我が国の国内でやっている操縦能力が低いという、委員もそのつもりでおっしゃっているつもりはないと思いますけれども、我が国が操縦士を養成する能力は、国として持っていくことも非常に重要ではないかと思っております。個々人の考え方として、確かに外国でやってみたいと。例えば東海大学の卒業生がそのまま、ユナイテッドとか何かに。それは決して東海大学の方も禁じることはないのではないかと思っておるところでございます。

【富田分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは時間の都合もありますので、航空大学校につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じ、照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 御説明ありがとうございました。


(陪席者 入替え)


【富田分科会長】  次に海上災害防止センターであります。早速ですが、海上災害防止センターについて御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、御説明、5分程度でお願いいたします。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  海上保安庁環境防災課長の河村でございます。よろしくお願いいたします。海上災害防止センターについての御説明ですが、ほかの法人と少し異なっておりまして、今、非常に特殊な状況に置かれております。センターも今日ヒアリングがあったほかの法人と同様、来年の3月で中期目標期間が終了するということでありまして、次の5年間なりの独法としての目標を定めていくという手続が必要になるわけですが、センターの場合、現行の、現在の中期目標期間内に民間法人化するという予定でここまで参りました。それが実は政府全体の方針で今、ストップがかかっておりまして、現在に至っているというところでございます。資料でいいますと、お手元の1枚紙の資料2−2−(4)別添という縦長のものを用意させていただいておりますので、少しそのあたりから御説明いたします。
 『事業仕分け結果に対する今後の取組方針について』という紙でございます。センターについては前回の中期目標期間が終了、満了する際、つまり平成19年度になるのですが、このときに独法改革の動きがありました。それでこのときに、まさにこの政独委での勧告の方向性、それからその後、政府としての閣議決定された整理合理化計画の中で民間法人化を打ち出されておりまして、下線部にあるとおり「以下の3点の枠組みを維持した上で、独立行政法人の業務としては廃止し、法令に基づき特定の業務を行うものとして国により指定された公益法人の業務として実施する方向で検討する」と、そしてこれを「次期中期目標期間中に、必要な措置を講ずる」となっております。この中期目標期間ですが、この独法整理合理化計画についての措置期限が平成22年度末となっていたことがありまして、このときに、今のセンターは3年間、20年度からの3年間という、中期目標期間としては少し中途半端な期間を設定しております。これは現在の中期目標になっておりまして、この中で3年間で民営化を目指すこととされたということであります。
 その方針で事務的には作業を進めておりましたが、昨年の12月25日、下線部ありますが、「独立行政法人の抜本的に見直しについて」という閣議決定によりまして、独法全体の抜本的な見直しを進めることの関係上、既往の整理合理化計画については凍結するという決断が下されまして、作業がストップしたところでございます。
 その後、今年の4月に刷新会議の事業仕分けで、この海防センターは、事業仕分けで法人全体が取り上げられまして、結論として資料にありますように、事業については社会的な役割も大きいし、現状維持ということであったのですが、事業主体については改めて公益法人などの民間主体とされたと、こういうことでございます。
 この結論を受けまして、今後の取組方針としては、私ども民間法人化を進めていくということでありまして、事業仕分けの評価結果に従い、油防除等の確実な実施のために必要な枠組みは維持した上で実施主体を公益法人などの民間主体とする、法律改正が必要ですので関連法案を早期に国会に提出する、法人の移行に合わせて必要な予算措置を行う、という方針で今後臨むことにしております。
 ただ、途中凍結を挟んだものですから、当初予定していた平成22年度末、現行の中期目標期間内での民間法人化というのが現実的に困難な状況になっております。その状態でこのまま放置すると中期目標期間が到来してしまうということでありまして、一方で、現時点で、私どもできるだけ早く民間法人化ということを考えておりますが、法案提出が必要になるということもありまして、移行のスケジュールが今の時点で確定できない状況にあります。今後、内容についての議論と日程を整理した上で、方針としては新たな中期目標期間をスタートさせて、その中で民間法人化を進めていくか、あるいはもう一つの選択肢としては、現行の中期目標期間を延長するという、中期目標の変更の手続ですけれども、これによって、どうも過去こういったやり方で民間法人化したこともあるようなのですが、そういったやり方で対応するか方針を決めていきたいということですが、申し訳ございませんが今の時点で方針が定まっておりませんので、今日は新たな中期目標期間に入るということを前提に、ほかの法人と同様にフォーマットに沿って提出しておりますので、簡単に御説明していきたいと思います。
 資料2−1ですと通し番号107ページからがセンターのものですが、今申し上げましたように、3年間の中期目標期間のまだ2年少し経過したところでありますし、この先の方向も民間法人化ということが主眼になりますので、このフォーマットについてもそういう形になっております。
 沿革は資料にありますとおり、認可法人からスタートし、独法になり、今、民間主体などへの移行を検討中ということであります。特徴的なこととして、中ほど、国からの財政支出額の推移とありますが、この法人については、運営費交付金から施設整備費等補助金のたぐいも含めて、一切独法化以来、国費が出ておりません。国の関与としては、財産的基礎としての出資金を、これは民間との共同での出資という形になりますが、3.27億ほど入っておりますけれども、運営費交付金のようなものは入ってないということであります。一番下、中期目標の達成状況のところは、業務運営の効率化に関する指標だけ取り上げておりますけれども、法人の方にも頑張っていただいておりまして、一般管理費については、中期目標期間の最終年度比で3年間で9%の削減を目標にしていたところ、今、2年目で11.9%の削減まで至っております。人件費についても17年度比で5%の削減目標のところ、2年目の21年度で10.3%の削減。事業費については3%のうち1%まで削減というところまで来ております。
 109ページ以降は、見直しの具体的措置でありますが、今申し上げましたように、そもそもこの法人につきましては事業全体について民間法人化ということで、先ほども御説明しましたけれども、民間法人化、民間主体とすべく関連法案の早期国会提出、必要な予算措置を検討中ということを掲げさせていただいております。
 ここから4ページほど、事業ごとに掲載しておりますので、4枚になりますが、同じことを記載しておりますので省略いたします。
 113ページから、個別項目でありますが、支部・事業所等の見直しにつきましては、横断的な見直しで指摘のありました東京事務所、海外事務所、それから内部向けの研修施設等を保有しておりませんので、空欄になっております。実施主体の見直しは今、御説明したとおりでございます。
 重複排除・事業主体の一元化は、主に研究開発関係の事業での重複の議論が横断的見直しであったものと承知しておりますが、センターについてはそうしたものがありませんで、空欄にしております。事業仕分けでも事業規模については現状維持とされております。
 次の114ページは、非公務員化は省略いたしまして、115ページの保有資産の見直しについては、不要資産について国庫返納するというのが横断的見直しの指示でございましたが、先ほど申し上げましたように、そもそもこの法人、国出資を除けば、基本的に現在のセンターの資産はすべて民間からの寄附や、あるいは今までの自己収入を基にした内部留保により調達したものでありまして、なかなか国庫納付にはそぐわないという事情でございます。それから、実際持っております保有資産も、現に業務のために使っておりますような資産、それからその更新もこの法人の場合内部留保でやらなければいけませんので、その更新のための資金でありますので、これがなければ事業自体が続けられないということで、ここでいう返納すべき保有資産のところは空欄になっております。
 その次の関係法人との取引関係の見直しについては、関係法人が存在いたしません。
 自己収入の拡大については、自己収入の拡大による国費の縮減ということが目標でありましたけれども、そもそも今、国費をいただいておりませんので、空欄にしてあります。逆に自己収入だけでやっておりますので、自己収入だけで安定経営できるように、ずっと年々努力しているところであります。
 それから、116ページの管理運営の適正化とその次の事業の審査、評価の見直しは、ガバナンスの強化として横断的見直しにあった事項でありますけれども、センターはもともと官民の共同出資でありまして、かつ通常の運営費はむしろ民の方に負っておりますので、出えん者でもあり利用料などの形での負担者でもある民の方がむしろ厳しい目でいろいろ管理運営をチェックする仕組みができております。備考のところにありますけれども、各事業ごとに専門委員会というものができておりまして、毎年度の利用料の設定について、あるいはその前提となっている投資計画や管理運営についてチェックするという仕組みができております。ガバナンスという意味ではこれが機能しておりますので、その充実を図ってきているということでありますので、空欄にしてあります。
 それから業務のアウトソーシングは非常に小さい法人でありますので、多くの部分をアウトソーシングしておりまして、事業仕分けの際もこんなにアウトソーシングして大丈夫なのかとちょっと御指摘もあったぐらいでありまして、積極的に今、既にやっておりますので空欄とさせていただいております。
 以上、私からの説明は以上にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それではただ今御説明いただきました海上災害防止センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いします。山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  民間からのお金が入っているからかえってガバナンスはうまくいっているというお話ですけれども、逆に言えば独法化されて、今度また民間法人に変わるということですから、確かに国費の投入はないのですが、独法化でやはり見ていますと、かなり業務費等々の圧縮がかかっているわけですから、そういう別の、こういう評価委員会等も含めた民間からの取引ベースの圧力以外のガバナンスが消えないような仕組みの法案づくりということになっているのでしょうか。そのあたりを確認させていただきたいと思います。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  今、比較的いい状態で動いていると思いますが、おっしゃるように民間法人化でいい方に行ければいいのですが、そうでないような、ガバナンスがどこかに行ってしまうような形ではいけないと思っておりまして、そこは制度化するときに考えていこうと思っています。今の段階で具体的にどうするというところが、まだ申し上げられませんが、いろいろ一般的な財団法人のガバナンスのルールもありますし、それからまた加えてどういうものが必要なのかということについて、今後考えていくことになろうかと思っております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。河村委員。

【河村臨時委員】  見直しの当初案で「法人の移行に合わせて必要な予算措置」というふうに書いていらっしゃいますが、これは具体的にどういうことでしょうか。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  これは一番最初に資料2−2−(4)別添で御説明していましたけれども、これの中でいいますと、もとの整理合理化計画と、前回の政独委の勧告の方向性の「以下の3点の枠組みを維持した上で」のこの次の「(3)防災基金への国の関与」というのがあります。現在、財産的基礎として、防災基金に対して国が3.27億円出資しておりますが、この財産的基礎は、法人形態のいかんを問わず何らかの形で必要だと思っているので、今は官民共同で出資しておりますけれども、同様に国が関与していくことが必要だと考えていますが、ただ、独法から民間法人ということになりますと、出資という形は恐らくとれないであろうと。恐らく出資金についてはいったん国に戻して、別の、例えば補助金のような形で基金に出すような、制度設計はこれからですが、そういうような予算措置が必要なのではないかと思っておりまして、そのことが移行に合わせて必要な予算措置を行うということであります。むしろ、出資がそのまま移行できるような形であれば要らないのですが、可能性として予算措置が必要になる可能性が高いということでございます。

【富田分科会長】  鈴木委員、お願いします。

【鈴木臨時委員】  今のお話だと、防災基金自体は国庫に返納するということは、まだ分からないと、こういう意味ですか。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  防災基金ですが、防災基金の構成は今申し上げた国が3.27億、それから民間出資が1.59億ほどございます。それから、出資ではなくて、出えん、一種の寄附金のようなものですけれども、その形で民間から出していただいているのが6.53億円ございます。このうち今申し上げましたのは、多分国の出資の部分については、そのままの形で移行はできないので、1回お返しした上で予算措置をとるかとらないかという判断になると、こういうことでございます。

【鈴木臨時委員】  そうすると国庫にいったんは返納するという形ですか。そうではなく、返納という意味ではないという意味ですか。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  返納ですね。そういう手法だとすれば返納というか払い戻しといいますか。出資ですので。

【鈴木臨時委員】  わかりました。それからこの107ページに、予算との関連かもしれませんが、支出予算額が23年度に少し通常より増え方が多いのですが、これはどういう理由でしょうか。先ほどのお話と関連するのでしょうか。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  23年度、これは支出予算額です。

【鈴木臨時委員】  32億円となっていますよね。

【河村臨時委員】  30億8,000万円から32億円。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  23年度はまだ来年度の話ですので、中期目標もないので、オーソライズされたものがあるわけではないのですが、この法人の場合概算要求もしませんので、運営費交付金がないものですから、今年度の事業見通しを基に法人の方で算定したものということでございます。

【鈴木臨時委員】  それはいずれまたお聞きすることにいたします。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。河村委員。

【河村臨時委員】  今後の進め方について、先ほど次期の中期目標期間中で民間法人化するか、さもなくば今の中期目標期間を延長するか、両方選択肢があり得るというお話だったのですが、どちらにするかというのは今後政府の方でお決めになるということでしょうか。

【河村海上保安庁警備救難部環境防災課長】  そうです。これは国土交通大臣なり国土交通省の評価委員会と御相談して。恐らく事前にいろいろ御相談すると思いますが、いろんなところに、決めていくべきことだと思っております。

【富田分科会長】  大体よろしいでしょうか。
 それでは時間の都合もありますので、海上災害防止センターにつきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力をいただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、御協力、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 また本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがあるかもしれませんので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 国土交通省の皆様方には御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。


(国土交通省 退席)


【富田分科会長】  以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に事務局より報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  本日は長時間どうもありがとうございました。明日は14日火曜日でありますが、10時から16時45分の間、弘済会館というところで、4階の萩の間で行う予定であります。最寄り駅でありますが、麹町駅又は四ツ谷駅になります。内容としましては総務省と農水省からのヒアリングになります。どうかよろしくお願いします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会、独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。


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