総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 > 会議資料 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月14日開催)議事録

政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月14日開催)議事録

日時

平成22年9月14日(火)10時00分から16時45分まで

場所

鉄道弘済会 弘済会館 会議室「萩」(4階)

出席者

(委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、黒田玲子委員、浅羽隆史、荒張健、稲継裕昭、岡本義朗、河野正男、河村小百合、鈴木豊、田渕雪子、山谷清志の各臨時委員
(総務省)
宮島守男審議官、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(総務省、農林水産省)
(2) 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  おはようございます。それでは時間になりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、昨日に引き続きまして、今年度の見直し対象となっております43法人のうち、総務省所管1法人及び農林水産省所管10法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 本日の予定は、委員お手元のタイムスケジュールに従って行いたいと思います。16時45分まで、休憩を2回挟んでヒアリングを行います。
 まず、総務省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。総務省、竹内課長を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 それでは、情報通信研究機構の見直し当初案につきまして、その主要なポイントについて総務省から御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の関係もありますので、御説明は5分程度でお願いいたします。

【竹内課長】  総務省、情報通信国際戦略局の技術政策課長をしております竹内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元に配付されております資料1−2によりまして御説明を申し上げたいと思います。最初に4ページを御覧いただきたいと思います。参考1でございますが、機構の概要をまとめてございます。
 情報通信研究機構は平成16年4月に、当時のCRLとTAOの2機関が統合されて設立された法人でございます。22年度の予算ベースで申しますと、一般会計予算が約315億円、それから財投の特別会計出資が14億円でございます。後ほど御説明申し上げますが、23年度要求におきましては、この財投出資の特別会計については、予算要求をやめることといたしました。職員、役職員についてはここに書いてある規模でございまして、常勤職員は435名でございます。主として、情報通信分野の研究開発を、基礎から応用まで一貫して行う唯一の独立行政法人ということでございます。
 それでは1ページ目にお戻りいただきまして、見直し当初案のポイントについて御説明申し上げます。まず、情報通信をめぐる現状と課題ということでございますが、何といってもICT、情報通信につきましては、あらゆる産業滑動、それから国民生活に今や不可欠なものとなっておりまして、様々な産業分野でイノベーションを起こす、その最もコアになるものでございます。したがって、情報通信分野の研究開発をいかに効率的・効果的に進めていくかということが、我が国の国際競争力の今後の行方を左右するということでございますので、この分野については、基礎的、革新的な技術について、課題を重点化してしっかり進めていくことが必要と認識しております。
 2点目でございますけれども、一方で、我が国の産業力を考えますと、技術は高いけれども、国際競争力は必ずしも高くないという現状がございます。この面を何とかしなければいけないという問題意識を持っております。このため、産学官連携の下で、成果還元意識を徹底する、それから研究開発環境をグローバル化、グローバル環境の下で進めていく、こういうことが必要であると考えておりますし、これに加えまして、やはり事業化、産業化を進めていく上では、ニーズを踏まえた事業振興業務、これも進めていくことが重要と考えております。
 2ページ目でございます。次期中期目標期間に向けまして、機構の必要性と期待される役割をまとめてございます。最初に申しましたようにICT分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関(独法)ということでございますので、やはり産学官連携あるいはグローバル展開のコアとしての役割を期待するということが基本でございます。特に、最近の経済情勢では、民間企業の研究開発投資が著しく減少し、基礎分野の民間参画が非常に落ちてきておりますので、この分野を中心に進めていくことが必要となっております。
 具体的な役割は4点書いてございます。1つは社会的課題にこたえる研究開発ということで、二酸化炭素排出量の削減や、医療、教育の充実、こういった社会課題にこたえる研究を進めるということが1点。
 それから2点目として、やはり新しい産業の種、技術のコアを作っていく、イノベーションを作っていくということで、従来のネットワークの限界を超えるような、新しい原理に基づく技術を確立することが求められております。
 3点目として、公正中立な立場で、知的共通基盤を作って提供していくということで、周波数標準や、日本標準時の通報、あるいは電波の人体への影響モデル、あるいは言語の翻訳用辞書データベースの作成・提供など、こういったものを着実に実施することが求められております。
 4点目として、産学連携やグローバル展開、ここでのコアの役割を果たしていくということが、様々な研究分野について求められていると認識しております。
 最後に3枚目でございます。組織・業務見直しの基本方針として3点まとめております。業務の重点化につきましては、やはりNICTの強みを生かすことで、社会課題の解決やイノベーションに貢献できる、こういったテーマにしっかり重点化をして進めていくことが必要と考えております。研究支援・事業振興業務につきましては、一部、役割を終えたものについてはしっかりと廃止をということはやっておりますが、国の政策目的達成に必要なものに限定をして、次期計画期間中は実施するということでございます。
 体制見直しにつきましては、技術的親和性の高さを重視した研究開発体制に見直すとともに、分野横断的な、成果創出を可能とするような体制を構築するということでございます。このほか、情報通信基盤のグランドデザインを提供するとか、知的財産や知的共通基盤を産学官で有効活用できるような体制とするといった見直しを進める必要があると考えております。
 3点目として、効率的・効果的な組織運営でございますが、地方拠点・海外拠点につきましては、効果的な地域連携や機動的な国際連携に必要な機能に重点化をするということ、それから3点目にございますが、随意契約等の見直し計画に基づきまして、競争性のない随契や、一者応札・応募に関する点検・検証を継続的に行って、一層の適正化を図るということでございます。これにつきましては、本年の4月に具体的な行動計画をつくり、本年度の契約から実施をしているところでございます。
 下から2番目でございますが、業務を中止することとしたようなものにつきましては、保有資産の評価をしっかりと行って、不要資産の国庫返納を着実に進めていくということが必要と考えております。また、コンプライアンス意識の醸成等にも取り組み、内部統制の強化を図る、こういったことを、引き続きしっかりと進めていく必要があると、このように考えております。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 ただ今御説明いただきました情報通信研究機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  それでは御質問したいと思います。要点をまとめていただいてありがとうございました。
 まず1つですけれども、今御説明いただいたところでありますけれども、最終的に、基礎から応用まで一貫した総合的視点で研究を行っているということなのですけれども、ということは、最終的には民間企業で実用化されるということが重要であり、とにかく成果が大事ではないかと思います。今までの中でも、成果重視ということで御説明いただいたのですが、もう少し具体的に、例えば、資料1−2の2ページなどでも説明していただいたのですけれども、抽象的で、少しわかりにくいところがありますので、具体的に、このNICTの研究が、今どのような成果を意識してやっているのかということを、具体的に御説明いただけたらというのがまず1つ。
 それから、先ほど御説明がありましたように、日本もなかなか厳しいということの中で、やはり日本の技術力・経済力の強化というのが極めて大事だと思いますが、その中で、世界と比べて、一体どういう位置づけで、どういうことを意識して研究しているんだというようなことも含めて御説明いただけたらと思います。

【竹内課長】  時間の関係で、最初、あまり細かく御説明できなかったのですが、例えば、今御指摘いただきました2ページ目、1、2、3、4とございますが、例えば1のところを例にして申し上げますと、社会的課題、特に我が国が世界公約としておりますような、2020年時点でのCO2排出量の大幅な削減、こういったものを実現する上では、やはり情報通信の利活用を進めるということで、例えば人や物の移動をすることなく、テレビ会議や在宅勤務をすることでCO2の排出量の削減を進める、といったことでございますとか、あるいは医療の分野でいいますと、遠隔医療を実現することで、様々な方の、医療を受ける環境を劇的に緩和し、コストを下げる、こういったものを実現していく上で、CO2排出量を削減する、様々な利活用を進めるために、やはり必要となる情報通信ネットワーク技術の低コスト化の技術でございますとか高性能化の技術、こういったものをしっかりと確立をしていくというのが1つ。
 それから、情報通信システムを、今の省エネレベルの機器をそのまま高性能化いたしますと、CO2排出量はむしろ増加をいたしますので、高性能化する際に、CO2排出量を、従来に比べて劇的な減少が見込まれるような原理のシステムを可能な限り導入して、可能とするような、そういう方式を実現しようということで、例えばネットワークの分野で言いますと、今、光ファイバー、光通信というのがかなり大規模に導入されておりますが、実際にネットワークの中を見ますと、長距離に信号を送るところは光ファイバーで送られておりますが、つなぎかえをする、信号を読みとって制御をするというところは、実は電気に変換をしてやっておりますので、そういった電気に変換をして、変換した後、また光に戻すということで、一カ所で2回、そういう変換処理をしていまして、そこで膨大なエネルギーロス、性能低下が起きておりますので、こういったものをすべて光でやることによって、性能向上とCO2排出量の劇的な削減を両立できる。こういうふうなものを、できる限り、中期目標・中期計画として具体化して達成をしていこうと。
 あるいは医療や教育の分野につきましては、これはNICTだけでということではございませんが、総務本省も一緒になりまして、文部科学省や厚生労働省などと一緒になって、学会レベルの協力というものもございますが、本省レベルで、共同実証実験を行いながら、導入に向けていろいろなガイドラインを策定したりでございますが、導入の際の共通のマニュアルのようなものをつくって、できる限り現場に、具体的に導入を促進する、そういう取組を進めているわけでございます。導入する際に、今の技術レベルではやはり使えないということがございますので、そういった技術開発や、実証実験を機構として必要な部分をやっていただくと。もちろん、実用に近い部分になりますと、これは民間の参画がどんどん増えてまいりますので、すべてを国費でということではございませんで、実用に近い部分については、民間応分負担のもとでやっていくというのが基本でございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございます。今の御説明、素人なりにもそのとおりだと思うのですけれども、ただ、具体的に成果となると、特に厳しい時代の中で、スピードを上げていかなければいけないと、少なくともそのターゲットを、いつまでにどうするんだということを、やはり目標なり計画に掲げていただかないといけないのですけれども、見る限りは、具体性のある目標期間、ターゲット、それがあまり書かれていないと思うのですけれども、その辺はどういうふうに理解したらよろしいのか、また、NICTの内部で、そういう具体的なターゲット、期間も含めて、どう考えられているのか、お聞かせいただければと思います。

【竹内課長】  これはもちろん、研究分野、今、重点化して進めております3つの技術領域、ネットワークとユニバーサルコミュニケーションと安全・安心ICT。それぞれ、ものによって5年後のターゲットになっていたり、10年後になっていたりいたします。現在、本年度を最終年度とする中期目標・中期計画の中でも、可能な限り定量化して、何年までに、どのレベルを達成するというのは、現在も規定して、その目標を達成すべく、理事長のリーダーシップの下で進めていただいております。
 それぞれ、次期目標計画期間中におきましても、可能な限り定量的に、いつまでに何を達成するということは、私どもとしても、これは、来年2月に策定する次期中期目標の中で、必要なことはきちんと規定していきたいと思っております。例えば、先ほどのCO2排出量の削減ということで言いますと、エンド・エンドの光、電気に変換しないでというようなことにつきましては、我が国の公約は2020年時点で25%ということもございますので、2020年までに実用化をする。そこに必要な基盤技術については、2015年の時点で基本的な技術について確立をする。もちろんその後、標準化でございますが、最適化、低コスト化のための活動というのはその後も何年か続きますけれども、一応、5年間で基礎技術を確立して、さらに次の5年で実用に持っていくと、こういうようなロードマップを、それぞれ、しっかりとつくりながら、それを中期目標に落としていくという作業を、これから2月までの間に進めていきたいと思っております。

【樫谷分科会長代理】  前に、1番でなければいけないとか、2番でもいいのではないかという議論がどこかで出たと思うのですけれども、特に国際競争力の確保ということになりますと、やはり、基本的にはこういうものはトップでないといけないと、私は個人的にはそう思っているのですけれども、諸外国と見て、競争スピードあるいはターゲット、現在の技術力、その辺はどのように考えたらよろしいのでしょうか。

【竹内課長】  これも、3技術領域それぞれ見ていきますと、当然、すべての分野で世界一ということは当然ございません。ただ、先ほど申しました光通信の技術につきましては、これは自信を持って世界のトップだと言い切ることができるかと思います。ただ、それを産業に応用して国際展開をしていく、産業界の国際展開力というところにつきましては、これは残念ながら、例えば今の情報通信システムのコアになっておりますサーバーとか、ルーターとか、電気を使ってやっているものにつきましては、御案内のように、米国のシスコとかジュニパーが世界を席巻していると。ですから私どもとしては、これが今後、光に代替わりをしていくときに、日本の高い技術ポテンシャルをコアにして、場合によっては、産業レベルでは海外とのコラボ、メーカーの、海外との合従連衡の中で、南米でございますとか、北米でございますとか、それぞれ、地域のセグメントごとに必要な戦略の下で展開をしっかり進められる、そういう産業をどう展開するかということを見て、必要な実証実験とか標準化を進めるということを、今の研究開発段階からしっかり考えていくということが第一だろうと思っております。
 それ以外の分野でも、NICTあるいは日本の産業界が、世界のトップグループにいるという技術はたくさんございますので、そういった分野については、その技術の強みを産業力にしっかりとつなげていくという活動をしていきたいと思います。
 ただ、1点だけ申し上げたいのは、この情報通信の分野というのは、競争という面と協調という面がございます。やはり、つながらないと実用にならないという意味で、標準化をして、例えば日米欧で、それぞれの研究グループがいい技術を持っていたときに、標準化をするというところで、ある程度手を握りあって、パテントプールをしながらつなげていくというような流れもございますので、1つのところが全部を席巻するというモデルもなくはないのですが、やはり、しっかりとした強みを持っていることで、プールの中に入っていくという、そういうアプローチが重要かと考えております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 では、お先に黒田委員どうぞ。その後、河野委員。

【黒田(玲)委員】  私、専門ではないので全くわからないのですが、今のお話を聞いていたときに、オプティカルファイバー、光通信は慶應大学の先生がすごくトップを走っていると思っていたのですが、そうでもないのですか。大学との関係とかいうのは全然ないのでしょうか。

【竹内課長】  ございます。例えばこのネットワーク分野、光通信を含めて、ネットワーク技術の研究開発ということで言いますと、例えば大学の研究機関同士がテストベッド、試験網で広くつながれて、例えばインターネットというのはそういう研究者のネットワークから出発をし、90年代に実用化がされて、今はいろいろな分野で使われておりますが、慶應大学はインターネットのいろいろな、セキュリティをどうするかとか、アドレス管理をどうするかとか、そういったところで、湘南キャンパスのチームが中心に、かなり世界的にもいろいろな貢献をされてきているということだろうと思います。
 ただ、私が申しましたのは、こういう電気ベースのルーターとかサーバーで、インターネットをできるだけいろいろな分野に使えるように、それはもう、大学の方……。

【黒田(玲)委員】  応用ではなくて、例えば小池先生とかがやっているのは関係ないのかなと思ったのですが、もっと基礎。

【竹内課長】  基礎も、やはりメーカーと大学で、それぞれいいものを持っているところはたくさんございます。ただ、1つのところで、これはシステムとして組み上げますので、実際にオール光、エンド・エンドのシステムをつくっていくというコアの部分の技術の蓄積ですとか、特許の取得というのは、基本的にはNICTが中心に、共同研究あるいは委託先ということで、いろいろな大学やメーカーが入っていると。

【黒田(玲)委員】  そのハブとなっているというふうに理解してよろしいですか。

【竹内課長】  はい。100程度の機関が一緒に入ってやっております。

【黒田(玲)委員】  やはり、国際標準を取るとか、そういうのはここじゃないとできないのかなと、本省と一緒になって。

【竹内課長】  いえ、産業界とNICTが一緒になってやっているということです。

【黒田(玲)委員】  わかりました。

【富田分科会長】  河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  資金のことにかかわって、3つぐらい質問させてもらいます。
 新世代ネットワーク技術の研究開発については、事業仕分けで事業規模の縮減ということが言われていますが、これについて、貴所の当初見直し案では、特定の課題に対して横断的な取組を行うプロジェクト制の導入など、研究開発業務の効率性を高めるというようなことで、この縮減に対応するということであります。そもそも、当初の、計画を立てた段階の資金計画がずさんというか、少し緩い計画であったのではないかと思われますが、この点についていかがかということと、さらに、ほかの計画についても同様な疑問が起こるわけですが、この点についても、どうお考えかということであります。
 それから、民間基盤技術研究促進業務とか、あるいは情報通信ベンチャーへの出資にかかわって繰越欠損金が出ておりますが、前者については、21年度で590億ぐらいですか、後者については20億円台が出ております。前者については、収益納付がないと欠損が出る、それから後者については配当がないと欠損が出るという仕組みですが、この収益納付、あるいは配当金の状況、それから繰越欠損金をどうやって埋めていくのかということについて、どういうふうにお考えか、御説明いただければと思います。

【竹内課長】  まず、1点目のお尋ねの新世代ネットワークについてでございますが、ここは、実は私ども、前回の仕分け第2弾の中で、様々な御説明を申し上げましたが、少し、議論がかみ合ってなかった面も、私どもの説明の仕方もあったかなと、そこは正直申し上げて、そのように感じる面がございます。
 実は、この新世代ネットワークというのは、私ども2つの意味で使っておりまして、1つは、いわゆる新世代ネットワーク技術領域、要するに3つの技術領域に重点化をして、NICTは研究開発をやりますということで、技術領域としての新世代ネットワークということを1つ位置付けております。そういう意味で、その中には無線でございますとか、様々な技術分野が入っておりまして、そういったものをすべて含めまして200億強、22年度ベースでございますという説明を申し上げまして、そういった技術領域の研究については、おおむね、過去、年間200億程度でございましたので、過去10年で2,000億、実用まで今後10年を見通しているということで、今後2,000億と、だから、何か延べ単で200億掛ける年数というようなことで、ガバナンスの効かない、あるいは年度資金計画がずさんなのではないかというような議論になっていたかと思います。技術領域としての新世代ネットワークということで見ると、予算はそういうことになるわけでございますが、一方で、オール光、先ほど申しました、光ですべて、ネットワーク全体を組み上げる、そしてその中で、新しい機能で動くような新世代ネットワークシステムというものを作っていこうという、新世代ネットワーク技術プロジェクトというようなものにつきましては、もちろんこの技術領域の中のコアをなすものでございますが、実は、それは技術領域の中の一部でございまして、その一部のネットワークシステムを作っていくプロジェクトという話と領域という話が、少し混同されたまま議論がされ、長期資金計画みたいなところについてはあまり具体的な議論が深まらず終わってしまったというのが、私どもとしては、今思うと、少し反省をするところでございます。
 そういう意味で、では、23年度はどうなっているかということで申しますと、この新世代ネットワークの技術領域ということで、ふわっとした話をしていたわけですけれども、今度は新世代ネットワークの基盤研究ということで、関連技術を明確化いたしまして、この分野につきましては、前回の仕分けの結果もございましたので、23年度要求・要望を加えても、一応縮減をするという形で整理をさせていただいております。他の技術領域、技術分野につきましても、それぞれ、その中できちんと資金計画を立てながら、目標達成年度に向けて取り組んでいくというようなことで、今後しっかりと、中期目標の策定においてマネジメントを進めていきたいと思っております。
 2点目のお尋ねの、民間基盤とベンチャー出資の件でございますが、これはもう、先生御案内のように、もともとこのスキームから来るところのタイムラグによるものがどうしても……、もともとこういうスキームで実施している事業でございますので、どうしても研究開発成果が実用化され、収益が上がってくるのに、3年、5年では短いということもあり、10年から15年にわたって売り上げの一部を回収していくという性格上、現時点では大きな繰越欠損金が立ってしまっているということは、私どもも十分認識をしております。
 では、どうするのかということで申し上げますと、1つは、この繰越欠損金をこれ以上増やさないということで、先ほど申し上げましたように、新たな要求はしないということにいたしております。ですから、22年度までは財投出資、予算としてございましたが、23年度以降は、これが増えていくことはないと、出血はこれ以上増えないということがまず第1点でございます。その上で、売上金の回収をいかにしっかりとやっていくのかということは、今後しっかりと、これまでの課題なども十分認識した上で、これはしっかりとやっていきたいと思っています。

【河野臨時委員】  後者の部分ですが、収益とか配当の回収をしっかりやるということですが、見通しはどうなのでしょうか、配当は全く入ってないというふうに、当方の資料ではありますが、収益の方も1億3,000万ぐらいのような状況です。見通しがどうなっているのかということをお聞きしたい。
 それからもう一つは、新世代ネットワークについては、お聞きしていると、システム系と技術系とが一体となって予算要求しているようですが、事業仕分けによって、新たに技術について精査した結果、再度予算を決めたというようなことでありますと、当初予算については、かなり粗い決め方をしていたのではないかと思われますが、この点について、もう一度御説明いただければと思います。

【竹内課長】  まず、新世代ネットワークにつきましては、これは実は欧米も同じでございますが、要素技術をしっかりと研究するというアプローチと、もう一つはそこで生み出された要素技術をシステムとして、ネットワーク全体として組み上げるときに、やはり、組み上げるときには、それぞれの最適化でございますとか、研究室レベルでは想定し得ないような、いろいろな外乱ですとか、ユーザー側の使い方によって生じる設計の柔軟性みたいなものをしっかり組み上げる必要がありますので、そういったものを検証する、いわゆるテストベッド、大規模な試験網といったものを作って、そういった機能を検証していくというアプローチ、これは米国の科学財団がやっているものもそうでございますし、ヨーロッパのフレームワーク・プログラムの中で行う新世代ネットワークの研究開発につきましても、ほぼ同じアプローチをとっております。
 そういう意味で、例えばオール光のような要素技術の研究を行いながら、同じ段階で、要素技術でできてきたものをテストベッドの中に組み込んで、ネットワーク上で検証していくと。ですから、システム化のアプローチと要素技術のアプローチを同時並行でやっていくというのは、これはむしろ、求められるアプローチだろうと思っております。ですから、むしろそういった御指摘に対しては、そういうアプローチをきちんとした目標年限の中で、ロードマップの中にきちんと位置付けて、具体的に、年度計画の中にどう落としてやっていくのか、ですから、漫然と要素技術を5年間、毎年、テストベッド5年間、延べ単ということではなく、初年度には何をやり、その成果を2年目にどう反映をし、3年目にはその取捨選択をどうして、そして5年目にどういう成果を出す、そういう具体的なPDCAサイクルをどう回すかというところのマネジメントをきっちり、5年のサイクルの中で作っていくのか、こういうことが、むしろ運用面で必要なのではないかと考えております。
 それから、最初の御質問の民間基盤の売上納付でございますけれども……。

【河野臨時委員】  資金計画をしっかりやるということですが、売上納付とか配当金等は、ほとんどまだ、初期の段階で入ってないということですので、だから将来的にどうかということが気になります。

【竹内課長】  単年度の売上納付ベースでいっても、まだ、単年度で1億以上の売り上げということにはなっておりませんので、ここをどのように改善をしていくのか、どう見込まれるのかということをしっかり見ていくということだろうと思います。

【河野臨時委員】  しっかりやっていただきたいと思います。

【竹内課長】  はい。

【富田分科会長】  田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  自己収入の拡大の観点で確認をさせていただきたいのですけれども、先ほど、非常に高い、国際的にもトップの技術をお持ちだというお話がありましたが、まず、知的財産に関して主務省としてどういう方針を持たれているのか、というのをお聞きしたいというのと、後で、資料でいいのですけれども、特許保有コストがそれぞれどのくらいかかっているのか。要するに、収入に見合った保有コストでなければ、持っているべきか否かという観点で検討が必要になってくると思うのです。21年度、特許収入として、2,800万円ある。計画に対しても、実施化率は8.7%ということで目標を達成されているということなのですが、その収入がコストに見合った額なのか。もし見合っただけの収入がなかった場合、保有コストが非常に高かった場合、主務省として保有する特許を見直すおつもりがあるのかどうか、コメントをいただければと思います。

【竹内課長】  大変、重要かつ難しい御質問をちょうだいいたしました。1つは、特許の実施許諾を求めてくる者が、必ずしも産業界だけではないということをまず申し上げておきたいと思います。実際に研究をしている研究パートナーとまではいかないような他の研究機関が、こういった研究成果の実施許諾を求めてくるようなケースもございまして、必ずしも特許収入が期待できないような者が開示請求をしてきたりというケースも多々ございますので、そういった場合については、必ずしも特許料収入にはつながってこないというのが1点でございます。
 それから、現在の維持コストが幾らかかっているかというのは、今手元にございませんので、後ほどということにさせていただきたいと思いますが、収支で見ると、おそらくプラスにはなっていないのではないかと思います。ただ、ここはやはり、今、知財本部とか、いろいろなところでも議論されておりますが、従来の知財の管理の仕方、特許の仕組み自身が、こういう分野、特に情報通信のような、広く使われていく必要があるようなもの、要するに物の作り方というものではなくて、広く、いろいろな分野で使われる必要がある場合に、知財の管理の仕方、権利の持たせ方というのも、今後、いろいろ議論がされていくと思われますので、そういった中で議論されていくのがいいのではないかなと。
 ただ、今の仕組みのもとでは、ある程度致し方ない面もあるかと思っておりますので、そういった中で、できるだけ効率化は考えていきたいと。

【田渕臨時委員】  要するに収入に直結しない研究パートナーの方からの御利用もあるということだったので、その観点についても、どのくらいの方が収入に直結しない御利用をされたのかといった観点も、一緒に資料でお示しいただければと思います。よろしくお願いします。

【竹内課長】  わかりました。後ほど御準備させていただきます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 樫谷委員。最後の質問で、具体的なことをお願いします。

【樫谷分科会長代理】  NICTの方は競争的資金の配分をしておるわけですけれども、本省でも似たようなものをやっているわけですが、これはむしろ一本化できないかと思うのですけれども、一本化できない障害があればお答えいただきたいと思います。

【竹内課長】  ここは、例えばNICTで行っておりますチャレンジド向けの研究開発助成でございますとか、こういったものは法律に基づいて、特定分野の、かなり明確な領域の技術に対する助成を行っているものでございます。したがいまして、総務本省で行っております、特に分野の規定のない研究開発につきましては、NICTで実施しているようなものについては、重複は排除した上でやっているというのが現在の運用でございます。こういったものを、一体的に運用できないかということにつきましては、もちろん予算、組織、定員といったものが確保されれば、当然できないものではないと考えております。
 ただ、現実にそういったものが、例えば総務本省でやるとなったときに、必要な組織、定員を確保できるのかどうかというようなこともございますし、実際に今、NICTではこういった分野、先ほども申しましたが、医療とか教育とか、そういったものにつながるような研究も行っておりますので、そういったものとのシナジーということも考えて、NICTで実施することについては一定の合理性はあると私どもとしては考えております。ただ、必ず一本化できないのかと、どちらかで原理的にやれない理由はあるのかと言われれば、それはございません。ただ、どちらでやるにしても一定の合理性はあると、そして重複排除や、情報共有ということについては引き続きしっかりやっていきたいと、このように考えております。

【富田分科会長】  それでは、本日は時間の都合もありますので、情報通信研究機構につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力賜り、ありがとうございました。

【竹内課長】  どうもありがとうございました。

【富田分科会長】  当分科会といたしましては、今日の議論なども踏まえながら、今後の主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き、御協力よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません、その場合は後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 総務省の皆様方には御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【竹内課長】  ありがとうございました。


(総務省 退席)


【富田分科会長】  続いて、農林水産省所管10法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。農林水産省、三浦審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただきました。
 それでは、農林水産消費安全技術センター、種苗管理センター、家畜改良センター、農業・食料産業技術総合研究機構、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、国際農林水産業研究センター、森林総合研究所、水産総合研究センター及び水産大学校の10法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、農林水産省から御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 まず、農林水産消費安全技術センターについて、三浦審議官から御説明をお願いいたします。申しわけございませんが、全体の時間の関係もありますので、御説明は5分でお願いいたします。

【三浦審議官】  おはようございます。御紹介いただきました消費・安全局担当審議官でございます。それでは御説明申し上げます。
 資料2−1、まず、1ページ目、大変細かい字で恐縮でございます。この法人につきましては、今年度、22年度が中期計画の最終年度ということになっておりますが、それに伴いまして、今までの状況を踏まえ、また、行政事業レビュー等を踏まえて、今後の見直しの方向性というものをそこにまとめております。農薬関係では、業務の効率化として、テストガイドラインという指針を示して、新しい項目が加わっても業務が煩雑にならないようにすると。
 飼料、飼料添加物関係事業。2段目でございますが、行政事業レビューで、国とセンターとの役割分担について見直しを図れということがございましたので、様々な調査、事業について、これを、従来国でやっていたものをセンターに移管すると、それに伴って経費の増えることがないように、運営費交付金にめり込ませる形でやっていただくというようなことを考えております。
 3段目の、肥料及び土壌改良資材関係ということでございますが、これは、肥料の中でも、最近では汚泥を使った肥料などがございますが、そういう、有害物質を含むおそれの高い肥料などを中心として重点化していくということでございまして、第2パラグラフにございますように、重金属の関係の管理手引書、これらがちゃんとできるかどうかということについて、今まで国でやっていたものについて、センターに移管すると。それによって経費が増えないように、これも運営費交付金の中にめり込ませるというようなことでございます。
 最後、食品等関係事業というところでございますけれども、これは最近、大変関心の高い分野でございまして、消費者の方々からのいろいろな御意見を踏まえて、特に、最近の違反傾向などを踏まえて重点的に行っていきたいというものでございます。
 なお、右側の2つ目の欄、2番と書いてあるところでございますが、この法人につきましては、1番目のポツにございますように、従前、大阪と岡山にありました事務所を、21年4月1日に神戸に統合するということを行いました。また、21年度末に、小樽の事務所を廃止しまして、それを札幌に移すということをやりました。この小樽の事務所につきましては、もともと港湾関係の合同庁舎に入っていたものでございますが、その庁舎が廃止になるということに伴いまして、言い方はいろいろあると思うのですが、やむを得ず札幌に移すことになったということでございます。
 そのほか、この資料の中で、若干、まことに恐縮ですが修正を要するものがございます。7ページ目でございます。4番目の枠、事務及び事業にかかる23年度予算要求額というのがございますが、その中の括弧書きの中、対22年度当初予算増減額となっていますが、これ、9,000万円増えたように見えますが、△でございます。9,000万円減らしたということでございます。同様に支出予算額についても減らしております。
 以下、9ページにも同じ記載のところがございますが、これも△を入れていただければと思います。11ページにも同じものがございますが、△でございます。13ページも△、つまり、予算額については23年度予算要求については減額要求しているということでございます。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 ただ今御説明いただきました、農林水産消費安全技術センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  それでは私のほうから。先ほど御説明いただきましたように、検査などを行っていらっしゃって、各センターがあって、そういう検査体制を整えていらっしゃると思うのですけれども、食品監視業務だとか、登録認定機関調査業務だとか、立ち入り検査などを行っていらっしゃる話がありますけれども、それぞれの、各センターごとの件数から見て、職員一人当たりの処理件数とか、というのは、職員配分の合理性、この辺について検証されたことはありますでしょうか。

【三浦審議官】  これについては、業務について、正直申し上げて増えているという状況でございます。それをどうやって抑えるかということが重要でございまして、今回の法人化などに伴って、いわゆる事務系の職員については縮減しておりますが、技術系については維持するという形で、増加する案件に対して何とか対応しているというのが現状でございまして、そういう意味では、各センターとも手一杯で事業をしているというのが現状でございます。

【樫谷分科会長代理】  一生懸命頑張っていらっしゃると、こういうふうに思うのですけれども、それにしてもいろいろな問題が出ると、そういう意味では、理論値というのをどの程度とお考えになっているか、そういうことをお考えになったことはありますか。

【三浦審議官】  業務については、どんどん効率化していくということで見てはおりますけれども、正直申し上げて、これだけの検査をやっている類似の施設があるわけではございませんので、そういう意味で、これだけやれば、ほぼいいのではないかという数字があるわけではないと。むしろどうやって、相対的に、前年度より効率化していくかというのが全般的な考え方とお考えいただければと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  大臣官房審議官が来ておられるので、少し大きな質問をさせてもらいます。先ほど分科会長のほうから、農林水産省関係の多くの独法の見直しについてお話がありましたが、私ども、独法についていろいろ検討させていただいたのですが、相互の関係というのがなかなかわかりにくいところがあります。こちらでも図示してみたりしているのですが、基礎から応用までの研究と実用化研究、あるいは種苗とか家畜改良とか、水産とか林業という固有の分野の独法があり、これらはそれぞれ孤立しています。個別の独法以外のところの関係というのは、本省の方ではどういうふうに整理されているのか。話せば長くなるかもしれませんが、簡単に御説明いただければ。

【三浦審議官】  独法の中にも、御案内のとおり幾つかの種類がございます。今言われたような研究開発を目的とする、いわゆる研究開発独法というものについては、まさに基礎・応用、そういう分野の中で、例えば大学とのすみ分けですとか、そういうのが一般的にあるのだろうと思います。この法人については、研究開発の独法というよりも、むしろ、例えば食品の安全についての取り締まりですとか、あるいは監視だとか、そういう公権力を背景にして検査を行うというような性格のものでございます。研究開発の要素が全くないわけではありませんけれども、どちらかというと、これも例えていいのかどうかわかりませんが、警察でいう科捜研というようなイメージの法人と考えていただければと思います。

【河野臨時委員】  この独法に限ればそういうことですが、ほかの独法も含めて、農業関係の独法について、後ほど、どういうふうな関係にあるのかというようなことを、書類でお答えいただければと思います。
 ほかに、少し小さい質問というとおかしいのですが、させてもらいたいと思います。先ほど御説明にありました農業関係、飼料添加物関係、それから肥料土壌関係で、新たな審査項目とか検査項目が、国からセンターの方に移管されておりますが、先ほどのお答えの中で、結構仕事量が増えているということであります。そうすると、センター側では、業務の質といいますか、そういう問題とか、あるいは審査期間、業務期間が延長されるというような問題が起こらないのか、その辺についてどういうふうにお考えなのか、場合によっては、他のセンターと役割分担とか、あるいは国から人員の移管とか、そういうことをお考えなのかどうか、その辺についてお伺いしたい。

【三浦審議官】  今日は、お時間がございませんので、十分説明を申し上げませんでしたが、1枚目の紙の、先ほど、神戸センターに統合したなどとお話しした下のところを見ていただきますと、どういうふうな形で業務を変えてきたのかということが、それぞれの分野ごとに書いてございます。
 農薬については、ガイドラインというものを明確にして、いわば、やみくもに検査するというのではなくて、ガイドラインに従って検査を行っていく。それから飼料については、安全性についての検査分析というものに絞っていく。それから肥料については品質管理という観点からのガイドラインというものを作り、そのものを検証し、普及させていく。あるいは食品表示については、最近は内容物と表示との齟齬といいましょうか、違うものがあるというものがございますので、そういうところに重点化していくというようなことで、確実に業務が増えてはいるわけですが、いわば、無駄打ちのない仕事を、こういう形で外に示すことによって、業者の人たちが的確に事業ができると、こういう形でやっていくことを考えてきたということでございます。

【河野臨時委員】  今までやっていた仕事の一部を、マニュアルを作って効率的にやるけれども、一部はカットするというようなこともやりながらということですか。

【三浦審議官】  これは業者に示して、それでやってくださいと。そのかわり、それに虚偽のことが書いてあれば、結果が示されていれば、これは論外だというような形であろうと思います。

【河野臨時委員】  省かれたことについては、特段問題がないというか、ある意味では今まで無駄なことをしていたという話になりませんか、そういうことでもないですか。

【三浦審議官】  そうは申し上げても、実際には幾つか案件がございまして、やはり当然、緩めてしまえばそれでいいというものではなくて、ちゃんと見ていますよと、しかし、一般的にはここを重点的にやってくださいということになっているということでございます。

【姫田課長】  例えば肥料で言いますと、あまねく検査をやっていたのを、汚泥肥料の中でも、例えば市町村とかが事業実施主体になっているもの、これはかなり信用性が高いだろうということで、実際の検査件数を減らしたり、あるいは市町村のデータ、向こうが自分たちで検査することのデータを信頼してやっていくと。そうではなくて、民間業者の人たちのところは重点的にやっていくとか、そういうことで、より効率性を上げて、検査そのものの精度を上げていこうというようなことをやっているところでございます。

【河野臨時委員】  従来の人員の枠の中で、きちんとやるということですね、わかりました。

【富田分科会長】  岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  私、農林水産省担当のワーキングに属していませんので、場違いな質問かもしれませんが、資料2−1の2ページ、3ページに、私の問題意識にまさしく該当するような数字がありますので、あえて質問をさせていただきたいと思います。
 問題意識は、どういうふうに適切な管理をされていらっしゃるのかということであります。数字だけを申しますと、平成21年度運営費交付金75億4,400万。その年の交付金債務残高が15億2,300万。75億の予算が入っておりながら15億使い残しているという結果になっていると思います。この15億の数字が、平成18年度は5億だったわけですね、運営費交付金はむしろ減っています。平成22年度は中期目標の最後の年度ですから、おそらくこの22年度の15億というのは、22年度中に処理をしなければ国庫納付か、あるいは処理をされたのかということなのですが、数字だけの推移を見ますと、おそらく22年度に使われると、業務がすごく集中するようなイメージを持ってしまうのですね。この15億、なぜ使い残されたのか、21年度に使い残された原因を知りたいのと、どのように業務管理をなさっていらっしゃるのか。
 独立行政法人は、中期目標期間に適切に、裁量を持たせて法人側に業務をしていただくということですので、昔のように単年度主義ではありませんから、その中で責任を持ってやっていただくということになっていると思いますので、22年度、どのように業務をなされたのか、その辺が、非常に関心事項というか、問題ではないかなと思っておりますので、その辺、もし資料等でありましたらそれでも結構でございますので、納得のいくような説明をいただきたいと思います。

【三浦審議官】  独法になって、運営費交付金が縮減していくという状況が見込まれていますので、それぞれの法人について、どこの法人でもという、一般論で恐縮ですけれども、どこまで縮減できるか、どこまで節約できるかというのが大きなテーマになっていることは間違いないと思います。そういう中で、当初、独法として開始された時期からさらに進んできているという中で、効率化が進んできているということもあり得ると思います。

【姫田課長】  1つは、これは人件費の中での退職金の予想が、額が低かったということで残ったもの、あともう一つは、いわゆる効率化を図ることで、あえて、効率化の結果として余らせたものでございます。最終的には、今回の事業期間が終わりますと、全額国庫納付ということにしているところでございます。

【岡本臨時委員】  今の御説明は多くの法人からお聞きする説明なのですが、退職金、要するに退職される方が少なかったから余ったと、それはあるかもしれません。それは、今後は適切に見積もっていただきたい。それから、縮減をされてきた、これは結構なことですので、どんどん縮減をしていただく、それはいいのですけれども、例えば、業務をしなかった、できなかったから後に回しているということはありませんか。

【姫田課長】  後ろを見ていただいたらわかるように、実際には分析件数も、当初の中期計画よりも全部上回っておりますので、減らしてやったということよりは、効率化してやったということでございます。
 例えば、5ページの上から4行目を見ていただくと、分析点数について、一人当たりの分析点数、486.9%増加させたということで、もともとは5%増加させるというようなことだったんですけれども、機械化とか人員の効率的配置というようなことで効率化をしているということでございますので、減らしたということは全くございません。

【三浦審議官】  それと、検査に使う機器も、これは高額な機器が多いわけでございますが、それの更新についても、耐用年数を過ぎても、メンテナンスをよくしてなるべく使っていこうというようなことで、経費全体としては、キャピタルコストについてもなるべく圧縮するというようなやり方でやっているということでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  行政刷新会議による事業仕分け、この評価結果への対応について確認をさせていただきたいのですけれども、商品テスト事業に関して、このセンターと、製品評価技術基盤機構に加え、民間検査機関と有機的なつながりをつくり、効果的かつ迅速に商品テストに結びつける体制を早急に整えるべきという評価結果が出されていると思うのですけれども、これに対して現状の取組がどうなっているのか、その取組を主務省として十分と考えていらっしゃるのかどうか、その辺りをお聞かせいただけますでしょうか。

【姫田課長】  まず、商品テストをやっているのは国民生活センターでございます。それで、この評価を受けたのは、消費者庁と国民生活センターの仕分けについてやれということ、彼らがNITEとFAMICの方との連携を図るということなので、今現在、国民生活センターの方、あるいは消費者庁の方で、全体の計画を立てておられると聞いております。もちろんNITE、あるいは私どもも、彼らからの連携ということがあれば、対応してまいりたいと考えているところでございます。
 ただ、FAMICの場合、先ほど申し上げたように検査機関でございまして、商品テストをやるということについては、事業内容にも入っておりませんので、そこの仕分けをどうこうとか、一緒になって連携するということはあり得ないと考えております。

【田渕臨時委員】  要するに役割分担を明確にして、FAMICで実施すべきところは実施していくということでしょうか。

【姫田課長】  はい。

【田渕臨時委員】  わかりました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  センターの業務、評価、監視の業務なのですけれども、専門的知見が必要とされる検査に重点化していくということなのですけれども、例えば、都道府県においてそのようなことができないのかどうか。例えば、埼玉県では不正表示とか偽装表示が相次いだため、食品の安全とか表示に関する消費者の関心が高まったことから、いろいろな対応をしているということなのですけれども、これと、何も国でやらなくても、各都道府県でできる部分があると思いますが、その辺の分担というか、役割、あるいは指導というのをされているのでしょうか。

【光吉課長】  表示の監視の取り締まりの関係だと思います。まず、公権力の行使、その主体としては国が基本的にやるというスキーム、法律上書いた後で、都道府県につきましても、例えば店舗ですとか、事業所ですとか、そういったところが1つの県の中だけにあるというような場合には、都道府県の方で取締まり自身を担当するということがございます。そういう国と県との整理が、法律、政令に基づきあった上で、それで、ここのFAMIC自身につきましては、国と併せて、あるいは国に指示を受けて実際に立入検査をするという業務もございますけれども、この資料の中でお示ししておりますのは、例えば6,000件以上の実際の分析検査、公権力の行使自身の裏付けとして出てくる検査の部分でございますので、国と県との公権力の行使としてのデマケの部分と、少し違う部分があろうかとは思いますけれども、実際に県から、専門的な、秘密にもかかわる話ですので、依頼を受けてFAMICがお手伝いをしていると、そういうケースもあると承知しています。

【姫田課長】  FAMICの検査はDNA検査とか、それから微量元素の検査とかをやっております。これはもともとFAMICが独自に開発した検査手法でございまして、これを都道府県のレベルでやるかというと、実験施設の規模とか、それから技術的な問題、そういう面で、なかなか難しいと考えております。

【富田分科会長】  河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  資料2−1の1ページの2、組織の見直しにかかる具体的な措置というところで、大阪事務所、岡山事務所を廃止、神戸センターに統合。それから小樽事務所を廃止して札幌センターで実施ということで、支部事務所の統合等が進められているわけですが、門司と福岡センターの関係ですけれども、当方で調べた資料によりますと、福岡センターはかなり広い建物面積、実験棟面積等があります。人員も門司よりも少ないようでありますが、これにつきましての統合というようなお考えはありませんでしょうか。

【三浦審議官】  私どももそれについては検討しているのですが、現実問題としまして、2つのセンターを1カ所に置くほどの面積がないというのが現実でございます。そうすると、ほかの場所を借りなければいけないということになって、今、現実には無償で国の施設を借りている、あるいは自分の施設を持っているというところを、もし、そういうことになると、お金を出して借りなければいけない、あるいは買わなければいけないということになる。実際、事務所といっても実験室でございますので、そのためには大幅な改修が必要だとか、そういうことも出てきて、コスト的には、正直言って見合わないのではないかということでございますけれども、検討はしているところでございます。

【河野臨時委員】  御検討を進めていただきたいと思います。

【富田分科会長】  大体、よろしいでしょうか。
 それでは時間の都合もございますので、農林水産消費安全技術センターにつきましては、ここでいったん、議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません、その場合は後日、事務局を通じまして照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 御説明いただきました皆様には、御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。

【三浦審議官】  ありがとうございました。


(説明者 入替え)


【富田分科会長】  次に、種苗管理センターについて、雨宮審議官から御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もございますので、御説明は5分程度でお願いいたします。

【雨宮審議官】  農林水産省生産局の雨宮でございます。よろしくお願いいたします。
 早速でございますけれども、資料2−2、1ページに見直しの考え方の全体概要を載せてございます。細かい字で恐縮でございますが、この資料に基づいて説明させていただいてよろしゅうございましょうか。
 まず、一番左側の事務事業の見直しにかかる具体的措置でございます。種苗管理センター、栽培試験、種苗検査、ばれいしょの原原種生産などを行っておりますけれども、まず、栽培試験につきましては、第2期の、今の中期計画の中で、大幅な集約化や合理化を行ってまいりました。次の中期計画の中では、この3月に新たな農林水産知的財産戦略というものを作って、農林水産分野での知財の活用というものを積極的に図って、農業分野を活性化していこうとうたっておりますけれども、この戦略に沿いまして、審査の国際標準化、あるいは迅速化に資する海外の機関との試験結果の相互使用、あるいは試験結果の報告期間をさらに短縮していきたいと考えているところでございます。また、育成者権の侵害防止のため、DNA分析による品種類似性試験の対象作物を増やしてまいりたいと思っているところでございます。さらに、侵害防止には海外における品種保護制度が整備をされておりませんと、日本の種苗も出て行けませんので、そういう意味で、東アジアにおける協力活動を強化してまいりたいと考えているところでございます。
 次に2段目、種苗の検査でございます。現在の中期計画の中で集約を進めてきておりますけれども、次期の中期計画の中でも実験室における検査、これを、施設整備を図りながら、3カ所から1カ所に集約をして、業務の効率化を図っていきたいと考えているところでございます。
 次に原原種の生産でございます。今期の中期計画の中では、業務の実施場所を8カ所から7カ所に集約化をする。あるいは、試験管などを使いましたミニチューバーによりまして、施設栽培によりまして生産の高度化・効率化を図るということを行ってまいりました。次期の目標におきましては、さらに生産体系の高度化を進めて、供給期間の短縮というものを図ってまいりたいと思っているところでございます。
 次に、真ん中の欄の組織の見直しにかかる具体的措置でございます。独法の整理合理化計画の中では、生物資源研究所、あるいは農業環境研究所との統合という案が示されておりましたけれども、凍結をされております。研究独法側のほうでも、研究機関の在り方ということで検討がなされております。そういう検討状況を踏まえながら、種苗センターとしての趣旨、知財保護の効果的な推進という観点から、組織形態については引き続き検討してまいりたいと思っているところでございます。
 右側の3番、運営の効率化・自律化というところでございます。保有資産につきましては当然のことでございますけれども、内部監査を利用しまして、毎年度資産の利用率、あるいは将来の使用見込みというものをきちっと精査をして、そして必要性について分析を行ってまいりたいと思っているところでございます。八ヶ岳農場からばれいしょの原原種生産業務を移管しておりますけれども、不要となった施設については返納等を進めてまいりたいと思っております。
 随意契約の見直しにつきましては、一般競争入札の形式に大幅に改善をしてまいりましたけれども、現在、3件ほど随意契約が残っております。例えば電気の契約とか電力の契約というようなものもございますが、そういうものの中でも、さらに競争入札が使えるものはないかということを検討してまいりたいと思っているところでございます。
 自己収入の拡大につきましては、検査業務の一環として、民間の業者の方が、国内で公の利用に供するなどのために、国内あるいは海外に輸出する場合、公の検査が必要になる場合がございます。そういう場合に、依頼検査ということで検定を行っております。こういうものについての手数料、受益者に対して適正な負担になっているのかということについて点検をして、必要に応じて見直していきたいと思っているところでございます。
 管理運営の適正化でございます。まだ、リスク管理委員会が設置をされておりませんので、これを設置しまして、リスク管理に努めてまいりたいと思っております。それから一般職員につきまして、新たな人事評価の制度を導入いたしまして、業務実績に応じた報酬への反映などを行ってまいりたいと思っているところでございます。
 また、役職員の給与につきましては、国家公務員の給与に準じた改正を踏まえまして、総人件費の削減に努めてまいりたいというところでございます。給与水準につきましては、国家公務員給与に準拠をして適正化をするということでございます。
 事業の審査、評価の見直しでございますけれども、引き続き、独法の評価委員会の方に事後評価をいただきまして、業務の適正化を図ってまいりたいと思っております。調査研究業務につきましては、外部有識者を入れた調査研究評価委員会に事後評価をしていただいております。次年度に反映をさせていきたいと思っております。
 業務のアウトソーシングにつきまして、補助管理などを行う技術専門職員がおります。こういう方々に、より高度な業務の方に移行していただくことに伴って、簡易な補助管理のようなものを非常勤のオペレーター、あるいは外部委託ということで、アウトソーシングを引き続き進めてまいりたいと思っております。あとは給与振り込みを2口座から1口座にする。海外出張旅費につきましては、国の規定に準じた規定ということでございます。
 それから25ページでございますけれども、前回の勧告、指摘事項に対しての措置状況でございます。今期の中期計画の中で、非公務員化、あるいは茶樹の原種生産の廃止、あるいは栽培業務の集約化というようなことを、勧告に沿って実施をしてきたところでございます。
 私の方からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました種苗管理センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  御説明ありがとうございました。御説明いただいた1ページ目のところの、農作物の種苗の検査の集約化に関して質問をさせていただきます。3カ所から1カ所に集約化ということで動いていらっしゃるということなのですけれども、まず、具体的にどういう形で動いているのかと、動いたことによってどう変わるのか、どういうメリットがあるのかというところを御説明いただけますでしょうか。

【下村知的財産課長】  資料2−2の28ページをごらんいただきたいと思います。
 現在、3,000点ほど種苗を収集いたしまして、その発芽率がどうだとか、あるいは農薬の使用回数等々を検査することにしておりますが、現在、本所、それから北海道中央農場、そして西日本の3カ所で実施しております。これを、今後本所1カ所に集約化することによって、人員、設備の面で効率化を図ってまいりたいと、このことによって維持管理コストの削減、それから人員の削減等々が期待できると考えております。

【田渕臨時委員】  ありがとうございます。
 維持管理コストに関しては、実際のデータとして検討されたと思うので、一緒になることによって、設備あるいは人員に関してどれくらい削減できるというのをデータで示していただけますでしょうか。今でなくて結構でございます、後ほどいただければと思います。
 今、3カ所が1カ所に集約されることによって非常に効果があるという御説明があったかと思うのですけれども、今回の集約化の対象になっている業務だけではなくて、ほかの農場を含めて、もう一度全体を見直す必要があるのではないでしょうか。3カ所を1カ所にしただけで、非常に効果があるという御説明でしたので、ほかに関しても御検討する方向で今進められているのかどうか、いかがでしょうか。

【下村知的財産課長】  御指摘いただいた業務運営の効率化という面では、これまでも検討してまいりましたし、今後もやる必要があると考えております。
 ただ、第2期計画におきましては、例えば栽培試験でありますと、それまで9カ所でやっておりましたのを、4カ所まで削減いたしましたし、種苗検査につきましても、4カ所を3カ所にしたと、そして、ばれいしょにつきましても9カ所を8カ所にということで、できる限りの効率化、第2期で目一杯のところまで、これはほかの法人と比べても、かなり踏み込んだ見直しをしたと考えておりまして、現時点で、この部分が、先ほどの種苗検査のように、明確に、この部分がこうできるというところまではございませんが、さらに引き続いて、見直しの余地がないかというのは検討してまいりたいと考えております。

【田渕臨時委員】  ありがとうございます。
 これ、ITの進展ですとか、いろいろな面で、また新たに、もう一度見直してみるとできる部分というのもあると思うのです。これまでの検討の中ではできなかったかもしれないけれども、もう一度見直してみると、さらに効率化を図れる部分というものは出てくるかもしれませんので、引き続き御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  ただ今の説明では、集約化は、今までやってきて、ぎりぎりということでありましたけれども、例えば、八ヶ岳と嬬恋農場につきましては、かなり気候条件等が似ており、これについては統合といいますか、例えば嬬恋側に統合するというようなことは御検討されたのでしょうか。あるいは、その上でだめだというのなら、その理由はどういうところにあるかというのが1つです。
 それからもう1つは、調査業務について、これはワーキングでも聞いたのですが、再度お聞きしたいと思います。調査研究については、調査役が1名専属でおられて、あと10名が兼業でされているとあります。通常、研究というのは絶えず自己の研究課題を考えていることによって進捗するのだろうと思いますが、一方で、事務といいますか、業務を抱えながらの研究というと、私の経験では研究が中断されるようにも思えます。そうすると、そういう状況であれば、研究をやっているということが業務によって阻害されるのであれば、2つ方法があるかと思います。1つは、やはり研究専任のスタッフを抱えるということ、あるいはもう一つは、中途半端な形で研究をやられる、私、ワーキングでは片手間でやっているのではないかというようなことを申し上げたのですが、そうであるならば、そういう研究業務をやめるというようなことも選択肢にあるのではないかと思いますが、この辺はどういうふうにお考えでしょうかということであります。
 それからもう一つは集約化に関係しているのですが、ばれいしょの原原種関連です。原種等の栽培をされているわけですが、これを8カ所から7カ所に減らしたというお話でありました。資料を見ますと、ばれいしょの配布数量が減ってきているということがあろうかと思いますが、こういうことを考慮しますと、やはりまだ集約化の余地があるのではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

【下村知的財産課長】  それでは3点御質問があったかと思います。お答えさせていただきます。
 まず、嬬恋農場と八ヶ岳ということで、これは中央高地にございまして、非常に立地条件が似ているのではないかということでございますが、実は、これは場所が山の南面と北面で分かれておりまして、具体的に申しますと、嬬恋農場というのは、浅間山の北東面に位置しておりまして、非常に冷涼であるということで、ここはばれいしょの原原種生産をやっておるのですけれども、日照時間が非常に短いということで、いろいろな作物の栽培試験をやるには不適当であると。
 対して八ヶ岳、こちらのほうは八ヶ岳の南面にありまして、日照時間、嬬恋と比べますと、大体1.5倍ぐらいの日照時間がございまして、やはりここでは、夏期の冷涼な気候を活用して、寒冷地向けの作物を中心とした栽培試験ということで、近くなのですけれども、気候条件、実は大分違っておりまして、そこは目的に応じて使い分けているということでございます。
 それから次に調査研究、専属が1名ということで、不十分ではないかという御指摘で、実は我々も、限られた人員の中でやっておりまして、そこは非常につらいところではございますが、この本センターの試験研究というのは、新しい品種を開発するとかいうような、全く新しいことをやるわけではございませんで、あくまでも、種苗を生産するに当たってのウイルスの感染とか、いろいろな病原菌に感染していないかとか、こういったものを発見する手法を開発するとか、まさに日々の業務の中で、付随的に開発、研究できるような部分がかなり多くございますので、人的制約のある中で、そこは何とかこなしていけるのではないかと考えております。
 それから、ばれいしょの生産でございますけれども、ばれいしょの供給につきましては、ばれいしょの生産、原原種の需要は、平成13年の独法化以降、全体で14%、需要量は減っております。これに対して、関係人員は30%削減しておりますし、農場も1つ廃止しているということで、これはほぼ、これに見合った形でやっております。現在、ばれいしょを生産しておるところは、我々は5輪作という形で回しておりますので、一部を縮小するというようなことは難しいですし、今の状況で、需要に見合った形になっていると認識しております。
 以上でございます。

【河野臨時委員】  組織の統合、あるいは農場の統合等について、今後とも御検討を進めていただきたいと思います。

【富田分科会長】  樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  それでは、品種の権利侵害の抑制に対なのですけれども、品種保護Gメンということをやっていらっしゃるわけですが、非常に重要なのは国内での権利侵害もあるでしょうけれども、外国からの権利侵害というのも多いと思われます。そうすると、我が国全体の中で、農水省、あるいはこのセンター、品種保護Gメン、それぞれの役割が大事だと思うのですけれども、明確にした上で対応しなければいけないと思うのですが、その点、農水省はどういうふうに考えていらっしゃるのかというのがまず1点。
 それから、検査手数料でありますが、検査手数料について、適正な負担になっているかどうかということなのですけれども、今、検査項目によりまして2,600円から1万8,000円ということになっておりますけれども、受益者の適正な負担というのはどういうふうにお考えになっているのかというのが2点目。
 それから3点目が、余剰原原種とか規格外の販売を実施して自己収入を図ろうと、こういうふうにされているわけですけれども、20年度、21年度も、やはり13%程度にとどまっておりますので、これの販売促進というのでしょうか、それに対してどのような具体策をお考えになっているのかということ。それから、13%は販売されたのですけれども、それ以外のものはどのような処置をされたのか、それについてお聞きしたいと思います。
 以上であります。

【下村知的財産課長】  まず、品種保護Gメンの関係でございます。資料2−2の27ページをごらんいただければと思います。ここに書いてございますように、海外からの品種、日本で育種された品種が海外に持ち出されて日本に戻ってくるというようなことが多々言われております。かつてはイチゴ、それからいぐさなどでもございました。こういったものについては、まず、一義的には税関において禁制品ということで差し止めがされますが、その際に、品種、DNA検査などで特定する際には、私ども農林水産省のほうに要請がございまして、そこで協力するということもございます。
 それから、これはあくまでも権利法でございますので、権利者がどのように判断するかということで、それに対するサポーターとして、この品種保護Gメンがございまして、まず、無料で相談活動をしておりまして、これは年間100件以上の無料相談がございますし、さらに、これは今後、裁判になるということになりますと、証拠を押さえなければいけない。例えば、侵害されたものが証拠として保全されなければいけないわけですけれども、これは、当事者では証拠保存能力がございませんので、これはセンターに寄託されるというような形で、センターで預かるというようなこと。それから、本当にそれが自分の品種であるかどうかというような品種類似性試験というようなものもいたしておりまして、こういったことを通じて、我々、国内外との品種の育成者権の侵害に対するサポートというものに努めておるところでございます。
 それから、検査手数料につきましては、先ほど委員からお話がございましたように2,600円から、高いものですと1万8,000円ということでございますが、これは、一番安いのは発芽試験とか、こういった手間のかからないようなもの。それからウイルス性の病気、これですと非常に検査のコストもかかりますし、技術的にも高度だということで、1万8,000円ということで、これにつきましては、検査の中身に応じた形で料金を設定しているという考え方で臨んでおります。
 それから、原原種の余剰分、規格外分、種芋として販売した以外のものにつきましては、でん粉原料用ということで販売をいたしております。
 以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  先ほど御説明いただきました権利侵害なのですけれども、今お聞きすると、税関頼みであるということになっていると思うのですが、税関の方は、そういう情報を正しく把握できているのでしょうか。気が付いたものはやるでしょうけれども、東南アジアが中心なのかもわかりませんが、そういう動きだとか情報とかというのは、税関に正しく入っているのかどうなのか、それをお聞きしたいのですけれども。

【下村知的財産課長】  これにつきましては、例えばいぐさの例で申しますと、権利が侵害されているということに気づいた育成者が、税関にそういった情報提供をすると、それに基づいて、これは平成15年に実際に差し押さえて、これは罰金までいっております。あと、税関で幾ら入れようとしても、正しく判断できなければ、それは権利侵害ができるかどうかということはわかりませんので、これは私ども農林水産省の事業といたしまして、特に権利侵害が起こり得るような品目、先ほど申し上げたイチゴだとか、そういった、約8品目については、これはだれが使っても、DNA検査で簡単に判別できるような、こういった妥当性試験というような事業をやっておりまして、今年度中にそれなりのものを作って、そうしますと、わざわざ専門のところまで持って来なくても、税関レベルでも簡単にできるようなものにすると。こういったことで、我々としては海外から権利侵害品種が入らないような体制づくりという対応に取り組んでおるところでございます。

【樫谷分科会長代理】  それからもう一つ、すいません。今の、それで十分と考えてよろしいのですかね、それがまず1つ。
 あと、2,600円から1万8,000円でいろいろな要素を考えているということなのですが、検査コストとの関係はどのように整理されているのか、いかがでしょうか。

【富田分科会長】  時間もあれなので、後で御返答いただけますか。

【雨宮審議官】  はい。

【富田分科会長】  大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本日の時間の都合もありますので、種苗管理センターにつきましては、ここでいったん、議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力賜り、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません、その場合は、後日事務局を通じて照会したり、また必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 御説明いただきました皆様方には、御退席いただきまして結構でございます。

【雨宮審議官】  ありがとうございました。


(説明者 入替え)


【富田分科会長】  次に、家畜改良センターについて御説明をお願いいたします。家畜改良センターについて、佐藤部長から御説明をお願いいたします。恐れ入りますが、時間の関係もありますので、5分でお願い申し上げます。

【佐藤部長】  農林水産省の畜産部長でございます。資料2−3の16ページをごらんいただきたいと思います。家畜改良センターの見直しの方向でございます。新しい家畜改良増殖目標に従いまして、以下の見直しを行うということでございます。
 まず、組織体制でございますが、本省管理部門の統合・再編ということで、1部3課、そして10牧場1支場ございますが、これにつきましては9課削減ということにしているところでございます。
 それともう一つ、下の方にございますが、自己収入の拡大でございます。これにつきましては、22年度予算6億7,000万でございますが、23年度は自己収入の拡大を図るということから、7億3,000万ということで、今後とも自己収入の拡大を図っていくつもりでございます。また、不要資産の国庫返納ということで、一番下でございますが、この目標期間終了後、7,400万を、現金部分を国庫に返納したいと考えているところでございます。
 続きまして、17ページをごらんいただきたいと思います。家畜改良につきましては、家畜改良増殖法に基づきまして、今年度、新しい家畜改良の視点に立ちまして、改良の方向を変えることにしております。これに伴いまして、やはり合理化できる部門が出てきておりますので、そうした合理化を行っていくということでございます。
 2つ目の、左側の方にございますが、家畜の改良の方向性ということでございます。乳牛は、乳量重視の家畜改良をやってきたわけでございますが、今後、そういったものは民間に任せまして、できるだけ持続性ができる、そうした多様な形質重視の改良に向かっていくということでございまして、それに伴いまして、民間から牛を導入したり、後代検定といったことをやめますものですから、約5,000万円の削減ができることと相なったところでございます。
 また、肉用牛につきましては霜降り重視を改良いたしまして、できるだけ粗飼料、いわゆる草を食べる、そういった重視の改良に転換するということで、えさ代が約1,000万ほど削減できると、こういったような努力をしていくといったことが大きな点でございます。
 あと、一番下にございますが、種畜検査ということで、種牛あるいは種豚の精液というものは全国に流通しておりますものですから、家畜改良センターが毎年1回種畜検査を実施いたしまして、等級をつけて生産者の方の利便に資するということにしておるわけでございますが、この検査につきまして、都道府県の意見を聞きながら、合意できるものから都道府県に移管していきたいと考えているところでございます。
 最後でございますが、18ページでございます。以上、今私が申し上げましたようなこと、そういったものを踏まえまして、来年の運営費交付金につきましては、18ページの一番上でございますが、全体で2億2,500万円ほど削減いたしまして、要求していきたいと考えているところでございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました家畜改良センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  御説明いただきまして、ありがとうございました。今の御説明で大体説明していただいた部分もあるのですけれども、都道府県と民間との役割を明確にすると、こういうふうに書いてあったり、あるいは連携強化をすると書いてあるのですけれども、具体的にどういうことをするのかということがまず1つ。
 それから、事業規模も縮減すると書いてあるのですが、その事業規模縮減というのはどういうことなのか、これももう少し具体的に、人員削減も含めて御説明いただけたらということ。
 それから3つ目といたしましては、口蹄疫とか、鳥インフルエンザの発生などの緊急事態に即座に対応とありますけれども、具体的にどのような対応とか、実施体制の見直しについてもどうなのかということ。
 それから、職員の技術能力のさらなる向上と書いてあるのですけれども、具体的に技術能力の向上というのはどういうことなのか、どのように向上しようとしているのか、この4点について、質問であります。

【佐藤部長】  まず、事業規模の縮減からお話し申し上げますと、事業規模の縮小につきましては、先ほど申し上げた18ページをごらんいただきたいのですが、運営費交付金を2億2,500万円ほど削るわけでございますが、その中で特に、先ほど私申し上げました家畜改良の事業費、えさ代の節約でありますとか、民間からの候補種雄牛の導入をやめるといったようなこと、そういうものをもろもろ入れまして、事業費につきましては6,800万円ほどの軽減を図ることとしております。それと、先ほど申し上げましたように、都道府県との間の話がうまくいきますならば、検査業務、こういったものも撤退できると考えているところでございます。
 それと、口蹄疫の関係を踏まえまして、今日、センターの関係者も来ておりますが、この口蹄疫、3カ月間に殺処分、あるいは埋却処分をしたのでございますが、15万人ほどの延べ人数でやったわけでございますが、常時、家畜改良センターからいろいろと人を出してもらいまして、殺処分、あるいは保定要員といったようなことで働いてもらいまして、非常に、こういった手なれたことができるのは、やはりこの日本国では、家畜改良センターの職員以外、なかなか見当たらなくなってくるというような状況になっておりまして、こうした緊急事態への対応について、常に名簿や何かをそろえまして、いつでも発動できると、こういったことを今考えているところでございます。
 あとのところは、振興課長から答えさせます。

【大野課長】  畜産振興課長の大野でございます。今、樫谷先生からお話しございました中の1つ目の連携のところでございます。
 連携のところにつきましては、この前の仕分けの結果を踏まえまして、私ども、例えば乳牛ですと、後代検定の部分はもう民間にゆだねると、それから議論がございました種豚の供給についても、実際に農家まで出している部分もあったのですけれども、家畜改良センターとしては、都道府県、あるいは民間の種畜を作っておられるブリーダーの方への供給に限定していくと、こういうふうなことを考えておりまして、撤退する中で、混乱を生じないように、都道府県あるいは民間の事業者の方と連携を十分強化していきたいということと、あわせまして、新しいDNA解析とか、そういったものを遺伝的な評価に入れていく。また、今求められている粗飼料の利用性ですとか、それからこの前お話がございましたけれども、「さし」ばかりではなくておいしい牛肉をつくる、そういったものの評価の方法、こういったものについては、都道府県、それから民間の事業者の方々と、どういう方向で進めていくかというのを十分に連携して進めていきたいと思っております。
 それから技術向上につきましては、従来から、特に技術専門職員の資格取得、これは今、人工授精でも技術専門職の方の半分が取得していますし、また、家畜受精卵移植といったような高度な技術の資格についても、技術専門職の方の4分の1が既に取得しているということでございますが、さらに推し進めて、技術の習得に努めさせたいと、こういうふうに考えております。

【富田分科会長】  樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  それに関連して、例えば、口蹄疫で相当御活躍されたということは、この前お聞きしたのですけれども、例えばそういうときに、本来の業務との関係ですね、当然そこに人をとられますから、本来の業務が遅れるということだと思うんですけれども、その関係はどういうふうに、今、遅れたものが多分あると思うのですが、それに対する対応というのは、どのようにお考えになっているのでしょうか。

【大野課長】  これはもう、まさしくやりくりしてということになると思います。実は、私自身も19日ほど宮崎へ行っておりました。課長が19日不在にして、世の中が回るのかという話がございますけれども、それはうちのスタッフが協力して、その穴を埋めてくれた、残業も発生しますけれども、やはり家畜改良センターについても、そういった緊急支援部隊を、口蹄疫といったような突発的な疾病のときに送り込む、そのときは、今の現有勢力でカバーしていく、そういうことしかないと思っております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  御説明ありがとうございます。
 飼料作物種苗の関係で確認をさせていただきたいのですけれども、食料・農業・農村基本計画ですか、こちらの中で、国内自給率向上、目標を掲げてらっしゃると思うのです。この中で、飼料作物の一次増殖に関しては家畜改良センターで実施されていると。ただ、二次増殖は海外に頼っているというのが現状かと思いますが、海外に頼るということは、海外の事情によって増殖がなされない場合も考えられると思うのですけれども、そのあたり、農水省としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこをまず、1点確認させてください。

【大野課長】  種子につきましては、今、田渕委員御指摘のとおり、まさに一次増殖は家畜改良センターで行って、二次増殖を海外でやるということですが、私ども、この種を増やすときに、我が国の気候条件からいって、どうしても増やしにくいところがあるということで、一次増殖を家畜改良センターでやって、乾燥して、種の取りやすい、そういった二次増殖、農家の方々にお渡しする種を増殖する部分は海外でやらせていただいているということなのですけれども、今のところ、種子を増殖する海外の農家の方々と契約を結んで、これがほかに回ることのないようにしているということで担保しておりますし、また、今はカナダ、アメリカに増殖地を頼っていますけれども、今後、東欧とか、そういうところに多元化していきたいということで、とにかく種子が一番大事ですので、その安定供給には、従来にも増して、ソースの多元化とか、そういうところで担保をしていきたいと思っております。
 また、私も今、飼料用イネの増産に、自給率向上のために取り組んでおりますけれども、こういった後発といいますか、日本の風土で種を増やせるようなイネといったものについては、家畜改良センターの方で、可能な限り二次増殖というところまで手がけていって、自給率の向上のために貢献させたいと、こういうふうに考えております。

【田渕臨時委員】  ありがとうございます。
 ということは、二次増殖を国内で実施しようという研究をされているということでよろしいのでしょうか。

【大野課長】  特に飼料用イネについては、家畜改良センターが二次増殖で大きな役割を果たしてくると思います。

【田渕臨時委員】  もう1点、その観点の飼料作物の原種の譲渡については、国内では社団法人が一手に引き受けていると思うのですけれども、この辺に関して、競争性のある手続等々が本来は必要なのではないかと思うのですが、そのあたり、いかがでしょうか。

【大野課長】  御指摘のとおり、今、日本草地畜産種子協会が一手に引き受けている。これは民間の種苗業者の方々からの注文を取りまとめるような形で、その公益法人が家畜改良センターに増殖を依頼しているというような形なのですが、ここのところは御指摘のとおり、もっと競争性のある形にできないかということを、民間の種苗業者の方々の意向なんかもお伺いしながら、今はやはり、1つにまとめるので便利だ、それから海外の増殖者の方々とバーゲニングパワーを持てるというようなところに着目して、今のシステムになっておりますけれども、もう少し競争性のあるやり方、家畜改良センターに種苗の増殖を頼みたい、依頼したいという方々が自由に申請できるような、そういうふうにしたいと思います。

【田渕臨時委員】  申請もそうなのですが、コストも安く対応いただきたいと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  すいません、全体に関係することなので、農水省に聞きたいのですが、要するに、食品、国民のたんぱく質を確保するということがテーマになっていると思うのです。そうすると、「肉」といえば牛もあり、豚もあり、鶏もあり、そのほかに馬とか、そういうようなものもあるかもわかりません。そうすると、牛がいいのか、豚がいいのか、効率はどちらがいいのかということについて、全体の日本の食料は豚を中心にいくのか、牛でいくのか、鶏でいくのか、その割合をどうするのかという全体の話、全体を御検討されたのでしょうか。かつ、その中で家畜改良センターは、どういうふうな役割を占めているのか。どうしても、牛が中心のような気がしましたので、豚も非常に効率がいい、早く太って早く処理ができる、国民からも、非常に安いという観点もあるのですけれども、その辺をトータルすると、効率性だけから見ると豚だと思うのですけれども、その辺が、牛に特化しているわけではないのですけれども、中心になっているというのはどういうことなのかについて御質問したいと思います。

【佐藤部長】  樫谷先生の今の御質問、非常に奥の深い質問でございまして、牛、豚、鶏につきまして、食料自給率ということで、今年の3月に一定の目標数量といいますか、目指す数量というものを出させていただいております。その中で、先生おっしゃいますように、確かに豚、あるいはブロイラーにつきましては、これは肥育期間が3カ月とか6カ月ということで、非常に短こうございますので、効率性の面では非常に優れているということがありますが、1つ、大きな問題といたしましては、私どもやはり、日本の国土に立脚した場合、今申し上げました豚、あるいは鶏につきましては、いわゆる配合飼料、トウモロコシを主体としたものがメーンとなっておりますものですから、先ほど話がありましたように、えさの転換といったものを、今、大きく切りかえようということで、この点について考えてございます。
 それとやはり、消費者のニーズというものは多様化しておりまして、先生、毎日どのようなものを召し上がっているかわかりませんが、やはり、ハレの日や何かのときには、国産の牛肉といったような需要もございます。牛肉につきましては、これは粗飼料と申しますか、日本でやっております草地、草を食べると。配合飼料も若干消費いたしますが、そうした農地、あるいは草地、あるいは自然環境に立脚したという意味合いでいきますと、やはり牛に勝るものはないと考えておりまして、農林水産省といたしましては、やはり、この3つか4つの種類のものにつきまして、それぞれのよさを生かしながら、消費者の皆さんに供給していこうというふうなことで、今は考えているところでございます。
 答えになっているかわかりませんが、以上でございます。

【富田分科会長】  河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  今、牛と豚と鶏という、ミックスの最適値というような議論がありましたけれども、馬について、これは現地視察に行ったときも聞いたのですが、ばんえい競馬が漸次廃れてきているとのことです。それを目指して育成していた人たちの目標、もし、それが完全に廃れると目標がなくなるわけですが、その場合でも、肉として供給が可能だというお話がありました。
 牛の例を見ていますと、随分牛については、消費者に合うようないろいろな研究をされていますが、競走馬として育てている、あるいは農耕馬か、育てている馬がそのまま肉食用といいますか、そういうのに切りかえられるのかどうか、その点についてお聞きしたいというのが1点。
 それからもう一つ、アウトソーシングでありますが、資料2−3の1ページでは特にアウトソーシングについては書いてありませんが、これはみんなやり遂げたということなのか、家畜の管理等で、まだまだ単純な作業で、アウトソーシングということは考えられないのかということであります。
 その2点についてお願いします。

【大野課長】  今年は農林水産省全体で、食料・農業・農村基本計画の5年に1回の見直しというのに合わせまして、家畜改良増殖目標というのも、5年に1回見直させていただきました。その中で牛、豚、馬と、あとめん山羊とあるのですけれども、馬の改良増殖目標を話し合う議論の中で、専門家の方に集まっていただきまして、強い競走馬、ばんえい競馬用の競走馬をつくるために改良する、これはガタイがでかく、こういった改良の方向と食肉用の方向、これが合致しているということで、競走用の改良を進めていけば、食肉用にも適用できるということで、改良増殖目標を定めさせていただいた経緯がございまして、今の河野先生からの御質問からいけば、競走用のものをねらっていけば、同時に食肉用としても改良が進むと、こういうふうに私どもは考えております。
 それからアウトソーシングは、もちろんこれで終わりということではございませんで、これからも、効率化の中で人員が削減されていく、そういった中で、この前は研修所をやりましたけれども、飼料生産の部分とか、そういうところでアウトソーシングできるものは、やはりアウトソーシングしていきたいと考えております。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  これは家畜改良センターじゃなくて、農水全体にかかわることかもしれないので、おいでになっているのでお聞きしたいのですけれども、例えば、口蹄疫のことで大変御尽力いただいたということで、本当に大変だったと思いますけれども、広がった後の対応ではなくて、あそこまで広がらないようにする、あるいはそういうものにかからないような家畜とか、そういうことの改良というのをやるのは一体、ここではないのか、あるいはどこでやるのかと。後始末をやってくださって、本当に大変だし、嫌な作業だったと思うけれども、ものすごい壮大なロスですよね、何十万頭って、ああいうことにならないようにするにはどうするかというようなことを考えたり、そんな研究をしたりするのはどこなのかということを教えていただきたいと思います。

【佐藤部長】  今の黒田先生のお話、まず、口蹄疫なりインフルエンザなり、我々の畜産というのは疾病との戦いだと思っております。この疾病につきましては消費・安全局という、まさにそれを専門にやる組織をつくりまして、今対応しているわけでございますが、その中で、今回の口蹄疫でございますが、やはり、非常に伝播性が強くて、道での消毒でありますとか、そういったメーン・メーンでの消毒といったものが、必ずしも十分ではなかったのではないかというような御指摘もございますので、まず、基礎的なものをしっかり取り組んでいくということが1つであります。
 それともう一つは、あまりにも、29万頭近い、ワクチンも入れまして殺処分したものでございますから、当初、なかなか埋める場所がなかったと。特にこの川南町といいますか、宮崎県のあの地帯では、農地はあるわけでございますが、穴を掘りますと地下水が出てきて、その地下水について、周辺の住民の方から、飲用水や何かが汚染されるので反対があったというようなことで遅れたことがございますので、やはり、転ばぬ先ということで、今私ども、畜産農家の皆さんには、埋却場所みたいなものは、常日ごろから確保しておくようにというようなことで、そうした訓練といいますか、そうしたことを今やっておりまして、今度、24日に机上訓練みたいなことも、今後やっていくというふうに考えているところでございます。
 それと、片方で、そうしたものに対する対応として、将来的には家畜改良の面で、耐病性といいますか耐菌性とか、そういったものは非常に重要だと思っております。ただ、今現在は、先ほど申し上げましたような脂肪交雑からの転換とか、いろいろなことをやっていきたいと思いますが、やはりこの組織があれば、家畜改良センターという素材があれば、先生おっしゃっていただいたようなことについても、我々、中長期的には考えていかなければいけないというふうには思っております。今日、そういう意味では新しい御提言ということで受けとめさせていただきまして、どのようなことが工夫できるか、また考えていきたいと思っております。

【黒田(玲)委員】  わかりました。埋める場所を用意せよというのは非常に後ろ向きのお話で、やはり、ここまで広がらないようにするのはどうするかということと、耐病性のものを作るには、ここでできなかったら、農水省にはほかにもいろいろな研究所もあるので、そことどう連携していくか、あるいは大学とどう連携していくかというような、そういう先を見た予防という研究をぜひ進めていただくと、ますますセンターの価値が上がるのかなと思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  では田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  今、黒田委員が御指摘の点、私も同感でございます。より一層、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 保有資産の見直しについて確認をさせていただきたいのですけれども、まず、資料2−3の12ページで、実物資産について検討中とありますが、これは具体的に何を指していらっしゃるのか、教えていただけますか。

【大野課長】  これは、具体的には土地でございます。これから、来年度から始まる5年間の中期目標計画を立ててまいります。そういった中で、業務内容が決まっていく中で、もう一度、現在保有している土地を始めとする資産を見直して、不要なものがないかというのを確定していきたいと、こういうふうに考えております。

【田渕臨時委員】  この辺の土地を見直す必要があるのではないかというところは、把握していらっしゃらないということでしょうか。

【大野課長】  いえ、現在も飛び地になっているようなところがございまして、そういうものについては、中期目標を見直していく中で、候補といいますか、私ども、頭に思い描いております土地はございます。

【田渕臨時委員】  私共としては、手元の資料の中にある、ジャパンケネルクラブに貸し付けている土地について、この貸し付けがほんとうに妥当なのかどうか、また、社団法人家畜改良事業団の関係についても、今は無償で貸し付けていらっしゃると思うのですが、こちらは有償化を検討すべきではないか、という問題意識を持っているのですけれども、そちらについてはいかがでしょうか。

【大野課長】  実は、家畜改良事業団に貸している土地というのは、この前の9月10日がちょうど9周年でございましたけれども、BSEが発生したときに、個体識別システムというものを急遽構築しなければならないというときに、従来から家畜改良事業団が個体識別のパイロット事業をやっていたものですから、一致協力して、できるだけ速やかにトレーサビリティのシステムを入れようということで、家畜改良事業団を白河の本所の土地の中に呼び寄せて、それでやっているという経緯がございます。今、28年度まで無償の契約が継続しておりますけれども、これは、田渕委員の御指摘を踏まえて、どういう形にしたらいいのかというのは、考えさせていただきたいと思います。

【田渕臨時委員】  ジャパンケネルクラブについてはいかがですか。

【大野課長】  ケネルクラブについては、こういうことを言うとあほかと言われそうなのですけれども、「犬は最古の家畜」でございまして、実は私どもの畜産振興課も犬を担当しておりまして、ジャパンケネルクラブとか、コリー協会とかシェパード協会とかがあるのですけれども、やはりこういった、家畜としての犬が、救難犬、これは阪神・淡路大震災のときに、こういうものがもっと必要だということで、そのトレーニングのための土地、場所を家畜改良センター内に設けたわけですけれども、私どもとしては引き続き、救難犬・救助犬というものの重要性を考えて、これは有償で貸し付けておりますので、引き続き貸し付けをさせていただきたいと、こういうふうに思っています。

【田渕臨時委員】  それが本当に妥当なのかどうかについても、もう少し御検討いただいて、貸し付けに関しても、どういう形での貸し付けが一番いいのかどうか、その辺をもう一度見直していただければと思います。よろしくお願いします。

【富田分科会長】  それでは、時間の都合もありますので、家畜改良センターにつきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力賜りまして、ありがとうございます。
 当分科会といたしましては、本日の議論も踏まえながら、主要な事務事業の見直しにつきまして、今後、審議をさらに深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の都合で質問できなかった委員もおられると思います。その場合は後日、事務局を通じまして照会したり、また必要に応じて、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

【佐藤部長】  どうもありがとうございました。

【富田分科会長】  それでは、ここで1時間ほど休憩をとりまして、13時より再開いたします。


( 休  憩 )


【富田分科会長】  それでは、再開したいと思います。
 森林総合研究所について、林野庁、津元部長から御説明をお願いいたします。時間の都合もございますので、御説明は5分程度でお願いします。

【津元部長】  わかりました。林野庁の森林整備部長、津元でございます。
 私から、資料2−4の1ページをお開きいただきたいと思いますけれども、簡単に御説明をしたいと思います。
 私どもの管轄の森林総合研究所でございますけれども、森林・林業の研究部門についてでございます。今後の事業ということにつきましては、今現在、林野庁では、森林・林業再生プランという10年後の自給率50%を目指して各般の施策を展開するということをしておりますけれども、そういったもの、また、地球温暖化対策、生物多様性国家戦略、こういったようなことから、森林・林業分野で総合的な唯一の研究機関である森林総研において、国家的な課題に応じた重点的な戦略を持って実施をしていきたい。また、温暖化、違法伐採等についての国際的な研究というものも目指していきたいと考えております。
 2つ目の水源林造成事業でございますけれども、この事業は、奥地水源林の森林造成を行う事業でございますが、平成20年度に、新規契約につきましては、広葉樹などの現地植生を生かすといったような新しい方策を出しております。これについての継続をしていく。また、既契約分につきましても、長伐期化・複層林化といったような水源林にふさわしい契約変更等についての事業を推進していきたいと考えております。
 特定中山間保全整備事業でございますけれども、この事業は、中山間地域の農地、森林の一体的な整備でありますけれども、25年度までの事業完了ということで、これは計画的にいわゆる縮小といいますか、廃止に向けての事業展開をしていきます。ただ、負担金、また償還業務というものについては、着実に実施をしていくと考えてございます。幹線林道につきましても、債権債務の管理というものがございますけれども、これも速やかに地方公共団体への移管というものを行っていきたいと考えております。
 2の組織見直しのところでございますけれども、研究部門につきましては、現在、試験林というものが93カ所ぐらい設置しておりましたものを、22年度末に3割減、61カ所まで落とします。ポツの2番目でございますが、高地価地域、これは東京と京都でございますが、3カ所に実験林がありますけれども、この見直し、具体的には売り払いとか国への返納、こういうものを検討しております。
 森林農地部門につきましては、特定中山間事業の完了ということに伴いまして、組織の縮小をする。また、賃借料の軽減ということで、関東整備局または本部につきましての移転を検討しております。
 事業実施の見直しにつきましては、研究部門についての研究を、重点化を図る。推進拠点等の見直しということで、重点的な研究というものにシフトしていくということを細かく見直しをしていきたい。また、森林・林業再生プランといったことに基づいた研究領域、具体的にいいますと、川上から川下といいますか、木材がきちんと流れるような、いろいろなシステムについて連携を深めていきたいと考えております。研究支援につきましても、引き続き効率化の検討をしていく。また、研究部門全体につきましては、内閣府、文科省の方で研究しております研究機能の検討チーム、こういったような動向等も踏まえる、そういうものを見ていく必要があると考えております。
 森林農地部門につきましては、法律が定めるまでの経過期間ということでございますけれども、水源林造成事業につきましては、国有林野事業を一般会計部門と独立行政法人にして、その独立行政法人との統合を目指すということでございましたけれども、昨年12月の閣議決定で、それは凍結をするということにされました。伴いまして、水源林造成につきましても、当分の間は、森林総合研究所で実施するということにしております。また、その他の事業につきましては、25年度までに事業完了いたします。
 3番目の効率化の点につきましては、保有資産の見直し、金融資産、積立金などのこういったものについての見直しにつきましては、必要な額を次期中期計画に繰り越しますけれども、残額はすべて国庫に返納する。実物資産につきましては、事務事業の見直しと連動して検討しますけれども、例えば、先ほど申しました実験林等については、売り払い等を含めた検討ということでございます。
 随契につきましても、これは国並びに、既に徹底的な見直しをして、競争性のない随意契約等については見直しを図っております。
 自己収入につきましても、外部資金の導入だとか、出版物、こういったことで自己収入の確保に努めるとともに、水源林造成部門につきましては、木がだんだん大きくなっていきますので、間伐木、こういうものの売り払いということもできるようになってきました。これの販売収入に力を入れていきたいと考えています。
 管理関係につきましては、理事長、今、外部から東京大学の植物学を専攻された鈴木理事長ということで、トップマネジメント、強力に事業を推進してございます。また、評価につきましても、評価会議、こういったようなことでPDCAサイクルに基づいてやっております。給与についても、国家公務員準拠。先ほど言いましたような、森林・林業再生プランにつきましては、特に行政部局との連携を一層強化しております。
 審査につきましても、外部評価、研究評議会等を活用して業務の改善をしておりますし、給与口座の見直し、また、海外出張の見直しについても、国と同様に、適切な見直しを図っております。
 一番最後の13ページにちょっとございますけれども、前回の勧告の方向性に基づきました各項目につきましては、いずれも措置済み等ということで対応しております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました森林総合研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  御説明ありがとうございます。研究独法ということで、資料2−4の1ページの最初に、研究部門について、見直しの方向性が書かれていますが、ある意味では格調高いのですが、ちょっと抽象的なので、少しこの中身について確認をさせていただきたいと思っています。
 1つは、国家的な課題に対応したということですが、当研究所が対応する国家的な課題というのは、具体的にはどういうことを指しているのか。
 2番目ですが、成果の社会還元ということですが、これまでどういうような成果があり、どういう形で社会還元したのか。それから、これからの話であろうかと思いますが、ここに書かれている、これからどういうような成果を期待し、どういうような形で社会還元をしていくのかということであります。
 3番目が、温暖化防止ということがあります。違法伐採対策となると、環境問題とは若干違うかもしれませんが、温暖化防止対策について、森林研究所の研究成果に期待するところは大きいかと思います。温暖化対策については、温暖化効果ガスの吸収源対策、発生源対策、そういうことをやったにもかかわらず、温暖化の被害が出るということで、被害の防止対策といいますか、そういうのがあろうかと思います、当研究所で、多分、吸収源対策を中心に研究が進むのだろうと思います。こういうことの研究は、多分、国立環境研究所でも行われていて、これが今、申し上げた発生源対策から被害の予想、それから、それを防ぐための研究まで含めてやっているのではないかと想像されますが、当研究所では国立環境研究所とどういうような連携をやっているのか、あるいは今後やっていくのかというようなことについて、御説明いただければと思います。
 4つ目ですが、ここの最後に、国際的に高く位置づけられる研究所ということですが、これはどういうことなのか、研究所の方の論文が、海外の機関誌等に掲載される数が多いとか、どういう形でこういうものを評価するといいますか、高い位置付けを決めるのか、こういうことについて御説明いただければと思います。

【富田分科会長】  お願いします。

【津元部長】  何点かございましたけれども、まず、国家的な課題等についての研究ということは、具体的には、参考資料として2−4別添がございますけれども、4ページから開いていただければと思いますけれども、森林・林業のいろいろな国家的な課題というものは幾つかございますけれども、やはり森林・林業の再生を支える低コスト作業システム、要するに、コストの削減を図って、先ほど言いました自給率50%を目指した、こういったものの基本的な技術開発をいろいろしていくということが、まず1点ございます。
 次のページに、木材利用ということで、木材分野につきましては、やはり木を使ってもらう、使いやすくする、このようなことについては、いろいろなニーズもございますし、具体的に地域材の合板開発とか、また、木材というものを活用した新素材、こういったところについても大変関心が高く、研究を進めているところでございます。
 次の6ページでございますけれども、地球温暖化対策に向けた研究ということ、これは森林総研の今、結構、中心的な大きな課題になってございます。国家森林資源データベースということで、我が国の森林の状態をすべてデータベース化していって、その状況を分析していくということだとか、それから、特にIPCC、国際的な締約国会議等がございますけれども、研究者の立場から必ず複数参加をしていただいて、いろいろな知見について披露していただいているところもございます。特に炭素量の把握だとか、こういったものについては、森林総研の方で研究、開発をして、それを具体的にフィードバックしているところでございます。それから、森林吸収量の将来予測というようなことも、大変大きな話なので、温暖化シナリオといったようなことを含めた数値モデル、こういうこともやってございます。
 7ページ、これは森林全体にかかわる部分のことでございますけれども、やっぱり生物多様性というものはあらゆるところにありますが、森林分野というのは非常に種の数が多い、ウエートも大きいということで、こういった森林の中におけるいろいろな植物の動態とか、こういうものの研究を深めておりますし、これが具体的に、現在、例えば小笠原の世界遺産登録というものも推薦しておりますけれども、そこの外来種対策等につきましては、森林総研の研究者が中心となって、どのような樹木をどのような順番で退治していくかということを具体に活動して、その成果を出していただいております。
 山地災害、山が崩れるということにつきましては、私どもの所管としてやっている部分がございまして、山地崩壊のメカニズムを具体的に検討して、研究している。2年前に起きました岩手・宮城の地震につきましての対応ということも、こういったメカニズムがわかる中で、具体的な山に戻す事業、こういうものについての提案をしていただいております。
 林木育種、花粉症とかございますけれども、花粉の少ないスギを開発いたしまして普及しているというようなことで、こういったことを中心に、今、研究分野は重点化といいますか、国家的な課題に基づいてやってございます。
 また、温暖化防止につきまして、やはり森林分野ということで、主には吸収源対策ということでございます。特に、森林につきましては、吸収能力があるということを評価して、現在の京都議定書でも6.0%に3.8%、また、次期の計画、次期に向けましては25%という数字の中で、森林の吸収源ということも非常に重要であるということで、国際交渉等を行っておりますけれども、これに対応した研究というものがございます。
 もう一つ、REDDという、熱帯林の森林減少、なくなることによる温暖化ということが、地球の温暖化の25%のウエートがあるということで言われていますけれども、REDDにつきましても、例えばリモートセンシング、衛星で森林状態を把握するという技術は、特に森林総研で非常に技術が高いということがございまして、このような技術をベースに、国際的にもこれは非常に注目をされて、せんだってもREDD推進センターというものを森林総研の中に立ち上げまして、いろいろな機関の人と連携をとりながら、商社の人、民間人も含めて、こういった対策に向けて具体的な活動をしております。
 あと、国立環境研究所の関係につきましては、特に大きな環境問題、温暖化についても全体のグローバルな問題というものは、そちらでとらえていますけれども、いわゆる森林分野、森林吸収能力、具体的な森林の減少状況、こういったような森林分野につきましては、森林総研の研究者がその部分を担ってやっています。ただ、いずれにしても、関連がありますので、お互いに独立ということではなくて、研究成果を披露しながら連携をとって進めております。

【富田分科会長】  河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  今の国立環境研との関係ですが、これについては定期的というか、何か会合とか、あるいは、ほかの農林関係の独法も含めて、国立環境研との接触というようなことをやっているのかというのが1つ。
 もう一つは、成果還元ということでありますが、林業の再生ということも重要な課題ということで、先ほど別添資料2−4ですか、2つぐらい挙げていますが、これについて、やはり林業が再生されているという認識がないのですけれども、ずっと研究されてはいるかと思いますが、林野庁も含めて重要な責任があると思いますが、この辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。

【津元部長】  後の方の質問からお答えします。林業の再生というものは、私どもが今、取り組んでいる最重要課題でございます。河野委員がおっしゃるように、現状において、林業が本当に再生できているのかといいますと、やはり木材の価格が、例えば10年前の山場の価格が3分の1以下に下がっているとか、木材需要についてもなかなか増えていかないだとか、非常に隘路がありまして、私ども大変、今、努力しているところですけれども、確実に言えるのは、今、戦後植えた木材が、特に人工林というものがちょうど40年とか50年経って、使えるようになってきました。これをいかに使っていこうかということが大きな課題になっています。
 具体的には、例えば九州とか東北の一部では、そういったものを低コスト化、高性能の林業機械を入れて、ここに書いてありますが、路網といったような、道を山にきちんと入れていってコストを下げる。そして、安定的に大量に木材を供給していく。そして、製材の分野も大規模化して、外材よりも国産材のほうが使い勝手がいい、外材に頼らなくてもいいという地域がぼちぼち出てきました。これをもっと進めて、これが全国的にも当たり前になっていくようなこと。
 さらには、林業全体のコストダウンを図るためには、今ある山の木を伐ってコストダウンするだけではなくて、また植えるという、植えて育てるという行為まで含めた全体のコストダウンをしなくてはいけないということで、伐った山を育てる、植える、その植えるときから、ここにコンテナ苗というようなことがございますけれども、従来あまり考えもしなかったような機械で山に苗木を植えていくような研究、具体的には一昨年ぐらいから現地で、特に九州あたりで実行しておりますけれども、こういうものをやっていきたいと思っています。
 ただ、林業というものは成果が出るのが非常に息が長いので、1年2年ですぐ成果が出るかというと難しいのですけれども、現在、私ども、森林・林業再生プラン、10年後の自給率50%を超えるということを目標に、10年間のスパンを考えながら、今、具体的な取組を行政も考えますし、研究分野にも、それに沿った研究支援ということで進めることを期待しているということでございます。

【丸山企画官】  あと、国立環境研究所との連携についてお答えします。環境問題、生態系の研究とかで、かなりオーバーラップしているものがございまして、1990年ごろから、1対1で直接というわけじゃないのですけれども、いろいろなプロジェクトで、例えば熱帯林の環境、生態系の解明、さらに熱帯林の荒廃した生態系の修復、そういったプロジェクトを共同で推進しておりまして、さらに今では、温暖化に対するいろいろな生態系の脆弱性の評価、こういうプロジェクトでも環境研と一体になって、それぞれの得意の分野で成果を出していって、例えば白神山地のブナの生態、適地が減ってくるという研究も、環境研と森林総研で、共同で行った研究の成果でございます。
 あと、定期的に会合というのも、個別に1対1ではやってございませんが、例えば国家的に温暖化適応の方向性とか、地球温暖化の観測とか、森林炭素モニタリングとか、いろいろな枠組みの委員会、検討が進められているのですけれども、そこに森林総研、環境研の研究者が参画いたしまして、データの提供とか、方向性について議論を行っているところでございます。

【河野臨時委員】  環境問題は多様な対応、特に温暖化対策は必要かと思いますので、ぜひ多くの独法とも連携をとりながらやっていただきたいと思います。
 それから、林業の再生でありますが、機械化ということでありますけれども、中小のオーナーもかなり多いかと思いますが、そういう中小のオーナーの森林も含めて、うまく再生できるような方向で、林業の再生を進めていただきたいと思います。
 以上です。

【富田分科会長】  それでは、岡本委員、黒田委員。

【岡本臨時委員】  1点だけです。私、農林水産省の所管の法人の担当ではないので、ちょっと場違いな質問かもしれない。今の国立環境研究所との関係、国環研のほうはちょっと担当するものですから。
 それで、今、部長から御説明いただいたいろいろな資料を見せていただきますと、確かに存在意義は私はあると思っているのですが、ただ1点、重複がいいのか競合がいいのかよくわかりませんが、国立環境研究所のお話として必ず出てくるのが、農林水産省系の森林総合研究所と、もう一つ研究所があります、そこは非常によく共同でやっていらっしゃると。共同でやっていらっしゃるという意味がよくわからないのですね。いわゆる研究者の方々は、この2つの研究所がある、例えば国立環境研究所と森林総合研究所がやっている環境計画が2つあることによって、わざわざ共同しなきゃいけないのではないかという意識を持たれるのではないかなと思うんですよ。いわゆる大学の先生を中心に専門の方々は、研究コミュニティーがあって、そこで環境問題の研究をやっていらっしゃる。だから、行政側が幾つもある、そういうふうに思われるのではないかなと。国立環境研究所の説明を聞いてもそういうふうに思えたのですが、林野庁としては、もう少し国民といいますか、全霞が関、全役所的に考えて、重要な環境問題の所管、研究の在り方というのは、もう少し省庁横断的に考えるべきではないのか。特に、先ほど部長がおっしゃったすみ分け論があるのであれば、もう少し違ったすみ分け、研究と実際の実務に応用するようなところのすみ分けの違いがあるのではないかとは個人的には思いますので、もしよろしければ見解をいただきたいと思います。

【丸山企画官】  すみ分けと言われると、私、非常に答えには悩むところがあるのですが、やはりベースにしている研究というのが、我々、森林生態系というものを対象に、それの中の1つとして、森林生態系を取り巻く環境というものを取り扱ってございます。その中で、我々が進めている研究と、もう一つは、おそらく農業環境研究所だと思うのですが、こちらは農業生態系を取り巻く環境で、国立環境研究所は、そういうのを取っ払った全地球的なものも含めた、本当の純粋に環境問題を取り扱っているものでございまして、それぞれ母体になっている学会なんかも違いますから、こういうところで、我々、研究者としては分担して得意分野を持って研究を進めているとぐらいしか、ちょっと私の立場でお答えしにくいのです。

【岡本臨時委員】  純粋環境問題というのは、またあるのかどうかという感じなのですけれども、今の部分で。

【津元部長】  岡本委員の御意見等については、やはり、研究の分野の役割を一体どのように将来的に構築していくのかといった、そういう問題というのがあると思っています。
 ただ、森林総研や環境研や、それぞれ今まで背負ってきたいろいろな研究成果や歴史というものもありますし、新たなそういった横ぐし的な、こういったテーマにどう対応していくのかということについては、やはりいろいろなことを検討していく必要があると思っています。
 ただ、現状で言いますと、やはり、それぞれの研究者というものが、例えば森林なら森林総研、国環研なら国環研の得意な分野というものをお互いに披露する中で、一番、さらによりよい研究というものをお互いが調整していくことが、現状においては能率がいいのではないのかなと思っています。

【岡本臨時委員】  要望だけ伝えて、よろしいでしょうか。

【富田分科会長】  はい。

【岡本臨時委員】  1点、これは要望ですが、先ほど御説明にありましたけれども、今、研究所の見直しを文科省、内閣府でやられていますが、その席上で、ぜひとも環境問題については、省庁のあれを超えた形で、今、部長がおっしゃったような形で、それぞれの知見が本当に生かせる研究の在り方というのは、ぜひ推進をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  ちょっと重なってしまうかもしれないのですけれども、国際農林水産業研究センターでも、例えばタイでの熱帯モンスーンの植林、人工林というような研究をやっていますので、やはり環境研だけじゃなくて農水の中でも同じようなことをやっているので、ぜひそういうところは一緒にやって、1プラス1が3になるような感じでやれないか、あるいは、整理するとか何かないのかなという気がします。
 もう1点は、全くの素人で、実は筑波も見学させていただいたのですが、いろいろ植林を機械化するとか何かというのはすごくいいなと思ったのですけれども、考えてみると、本当は自然林が一番増えてくるのがいいのではないかと、「手をかけてお金をかけなきゃ植林ってできないのですか」という質問をしたと思ったら、「いや、必ずしもそうではない」という話であって、こうやって植林をすると、非常に労働力も少なくて、すごくいいなという、そういう狭いことで一瞬すごいなと思ったのだけれども、考えてみたら、やっぱり自然林というものを増やす方が本当の国の政策なのではないのかなと思ったという素人の素朴な質問です。
 もう1点は、研究者の年齢がどんどん高くなってきているというようなことがちょっと指摘されていて、新しい人がなかなかとれないので高くなっていくというのがあるのですけれども、研究を活性化するというときに、これはどこの独法にも当てはまる大変難しい問題だということはよくわかっているのですけれども、森林総合研究所としては、そういうことをどういうふうにしてやっていこうとお考えになっているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

【丸山企画官】  まずJIRCASとの重複からお答えします。JIRCASは前身が熱帯農業研究センターと申しまして、当時、これができる前は、林業も農業もそれぞれ個別の研究機関で熱帯における研究も行っていたのですが、一体的に効率よく推進するという目的で、熱帯林業研究センターというのを作りまして、それぞれ林業部門、農業部門の国際部門を切り分けて、ここに結集してやってきました。それから、当時は熱帯だけだったのですけれども、熱帯だけじゃなく、発展途上国、具体的にはアジア地域ですけれども、そこも対象に含めるということで、今のJIRCASになってございます。
 それで、JIRCASにも林業部門がございまして、熱帯における林業の研究をやっているのですが、実はここの人間、ほとんどが森林総研から出向しておりまして、実際にJIRCASが現場で行う研究に対して、短期派遣という形で、森林総研が研究者をそこに派遣してやっています。森林総研自体で熱帯における林業の研究というのは、今、実はやってございません。一体的にJIRCASに寄せ集めまして、JIRCAS自体はもともとの人がそれほどいないものですから、適宜、森林総研からそこに人を派遣する形で、例えば熱帯における荒廃林の回復などの研究は進めているところでございます。
 あと、自然林に関して、私の方から。確かに天然更新でできれば一番安上がりでよろしいのですが、我々が最も必要とする、例えば構造材のスギとかヒノキは、実は森林総研でも、一時、昔、何とか天然更新ができないかという研究を進めたことがございましたが、いろいろな条件が重なりまして、実際に伐って、その後天然で生えてくるのを期待してやるよりも、集約的にある程度の面積を伐った後に植林して育てた方が、コスト的にも、成長の面からでも有利だというのがわかってきまして、天然更新というのは、自然林というのは一部除いて、今のような森林整備の形態になってきたという歴史もございます。
 あと、活性化のほうについては……。

【出江課長】  あと、研究者の年齢が上がってくるという部分でございますけれども、これは全体の人件費の抑制等の中で、いろいろ工夫しながらやっているところでございますが、1つ、今、任期つきの研究員の採用というものを認めていただいておりまして、その部分を活用しながら、若い研究者を充実していくというようなことも取り組んでいるところでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょう。

【黒田(玲)委員】  任期つきだと今の若者には魅力がなくて、あまりいい人が来ないというジレンマもあるような気がしますので、うまく交流するというようなことも考えないと、若い人は不満で、任期つきで3年だ何だ、年とった人はパーマネントを持ってというのも、何となく研究環境があまりよくなくなってきて、本当に自分は日本の林業をよくするのだと燃えた人に、こういうところに入って、日本を背負うぐらいのつもりの人に来てもらいたいのですね。でも、今の若者は安定志向なので、なかなか任期つきというと来ないので、そこも考えどころで、任期つきで来たけれども、すごく優秀な人は登用する制度とか、そういうこともぜひお考えいただきたいと思います。

【津元部長】  若手の研究者の確保は、私どもも優秀な人を確保したいし、それだけ魅力のある研究機関でありたいのですけれども、今、いろいろな制約もございまして、なかなかうまくいかないところもございますけれども、御意見を参考に、そういった若手職員の確保や活性化については検討していきたいと思っています。

【黒田(玲)委員】  以上です。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。樫谷委員、田渕委員。

【樫谷分科会長代理】  水源林造成事業についてお聞きしたいと思います。これは御存じの多額の借入金で事業を実施しておって、その売却益で償還していくと、こういう発想ですが、先ほども御説明ありましたように、木材の価格は10分の1というか、9分の1に下がってきているということなのですが、特に、最近も植林していると思うのですけれども、その収支計画というのは個別にしているのかどうなのかというのがまず1つ、過去のものは別として、今後のものはどう考えているのかというのが1つ。
 それから、収支の試算をしていただいたものを事務局経由で入手したのですけれども、これを見ますと、収入がどんどん増えてきている。22年度では2億5,200万、ただし平成40年度では22億円ですか、79年度では448億円かな、というように、どんどん収入のほうは増えてきているわけですね。ところが、諸経費がずっと減ってきているのですね。私は会計士ですので、会計士的な感覚では、売り上げが増えれば、それ以上に経費は増えませんが、ある程度経費は増えていくだろうと、こういうように見方をするのですが、一体これはどういうことを意味しているのか。その説明を、つまり、ピークのときの売り上げのときには、ほとんど経費がかからないという状況になっているのですね。おそらく収穫をしていくので、売り上げが上がって経費はかからないということだと思うのですけれども、当然、また植える作業が出てきますよね。今度植林していかなきゃいけないわけですよね。その辺、どういうようなビジネスモデルで、採算をはじいていらっしゃるのか、その御説明をお願いしたい。それが2点目。
 あと、これは難しい話なのかわかりませんが、水源林造成事業などについて、当分の間、本法人で実施を継続すると書いてあるのですが、やはり早目に、当分の間というのはいつまでなのか、どういうふうにこれは将来考えていらっしゃるのか、これについての御質問であります。

【津元部長】  後段の方、当分の間の考え方について、ちょっと御説明いたします。これは先ほど申しましたように、もともと前政権のときといいますか、国有林野事業の特別会計を、一般会計と独立行政法人というのに分けるということになっておりまして、それを22年度末までに結論を出すということが、政権が代わった影響かどうかわかりませんけれども、凍結をされました。森林総研の独立行政法人、水源林造成事業については、国有林の独法と統合するということでございました。国有林の方の独法が凍結ということになったということに伴いまして、正直言って、水源林造成事業の行き先がなくなったということでございます。
 今後どうするかということにつきましては、私ども、政務三役の方に状況等を御相談申し上げておりますけれども、やはり国有林野事業の将来的な問題がどうなるのか。それから、一般的に検討されておりますけれども、独立行政法人、研究法人、こういったような在り方がどうなっていくのか、こういうことを見定めながら検討させていただくべき事案ではないのかなと考えております。
 この場で、いつまでにどうするということがちょっと申し上げられないことにつきまして、御了承いただきたいと思いますけれども、我々も今の形が、やはり、言い方が悪いのですが、ちょっと仮置き的な位置付けになっているということは十分承知をしながら、将来の見定めができるときについては、それなりの決断をしなければならないということを考えてございます。
 それから、森林総研の行っている水源造成事業の収入のピークといいますか、契約をしていまして、例えばずっと投資していますが、最後は伐る、木材を伐って、その収入を分け合うという制度ですので、最後に経費がかからなくても収入が出てくるといったような構図の契約という形態になっているので、経費がかからないけれども、結果的に収入は増える。それは、今までずっと造林とか、そういったことで、それまでに何十年も経費をかけてきたといった計算というようになるわけでございます。
 それから、伐った後は、基本的には再造林、次の造林につきましては、再契約はせずに、その所有者が責任を持って次の木を、山を作っていくということになっていますので、森林総研というのは、非常に条件の悪い山を共同でといいますか、分収契約で山を整備しながら、1回山を作って、次の回転をするときには、民間の方、その森林所有者の責任において、また木を植えていただく、山にしていただくということになります。

【肥後課長】  今の部長の説明と重なりますけれども、収支につきましても、最初の20年間でかなり経費がかかりますし、植えた時期がかなりだんごの状態になっていますので、それをこれからなだらかにして、50年の契約を80年とかと延ばしていきまして、収入支出の山をなだらかにしていきます。その後の契約の切れた部分は、今の説明のように所有者の責任でやっていただくということになりますので、最初に一番お金のかかる時期が、かなりピークを過ぎる段階に来ています。これからは管理の部分を中心に、なるべくお金のかからない形で進めていけると思っておりまして、収支の前提、今、非常に材価は厳しいですけれども、50年を80年にしていくことによって、途中の間伐収入を確保するということと、主伐時の木の大きさが非常に大きくなります。それに質がよくなりますので、価値も上がるということと、私どもの試算では、十分その中で回していけるという判断をしているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  ちょっとよろしいですか。

【富田分科会長】  はい。

【樫谷分科会長代理】  また、今のに関連するのですけれども、大体、販売価格というのですか、売却価格というのは、将来、どのように見積もっていらっしゃるのか。それから、伐採のコストというのはかかりますよね。このコストはどこでどう見ているのか、その2点について。

【肥後課長】  期待値もできませんので、現在の販売の価格と、現在のかかっている経費というものを基本にしてございます。

【樫谷分科会長代理】  これだと79年度、業務収益が448億4,100万、業務経費が1億1,300万となっているのですが、この1億1,300万の中で、伐採も含めてできるものなのかどうなのか、ちょっと信じられない。450億の販売に対して、1億1,300万の経費というのが、伐採も含めてあればですね。

【肥後課長】  実際に収入の上がる、主伐という全部伐ってしまう、契約の満了のときには、立木販売という形で、立木の状態で買ってくださいということで、公告をして買っていただきますので、買った方が経費も入れて、伐採をして、そこで収益の上がったものを返していただいて、それを分収するという形になってございますので、水源林造成事業としての支出という部分は、そちらにございます数字で済むという形でございます。

【樫谷分科会長代理】  ちなみに、販売価格というのは幾らに見ているのですか。これは、2009年度は2,548円なのですが、これで見ているということですか。

【肥後課長】  今、そちらに、お手元にございます数値のもとになっているデータを、手元に持ち合わせておりません。申しわけございません。

【富田分科会長】  田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  最後になるかと思うのですけれども、支部・事業所等の見直しについてです。森林農地部門で、1ページの真ん中にありますように、見直しとして、関東整備局と旧緑資源の森林農地整備センター本部事務所、私も緑資源だったときにうかがったことがあるのですが川崎にありますよね、こちらの移転を検討されているということですけれども、やはり移転は早急に検討すべきだろうと思います。具体的に、現在の検討の状況ですね、どこに移転先を見ているのか、まだ結論が出ていないのであればいつごろまでに移転先を決めようとされているのか、こちらについては後ほどで結構でございますので、資料で御提供ください。
 あと、もう1点、地方にある、ほかの現場組織についても、森林総研が保有している施設のほうに集約化等々、見直しの必要があるかと思うのですが、その点に関しての見解だけ、今、教えていただけますか。

【肥後課長】  御指摘のとおり、最初のほうにつきましては、資料を後ほど提出させていただきます。
 それから、森林総研、本所の関係でございます施設の統合につきましても、検討はしてございます。ただ、事業の性格上、それぞれの事業地のあるところに、それぞれの必要なものを置いておりますので、その中でも重なっている、これだけ交通の進んだ時代ですので、そういうことができるところにきちんと整理ができないかという視点で、今、整理を行っております。

【田渕臨時委員】  整理されている資料があれば、御提供いただければと思います。
 以上です。

【肥後課長】  はい。可能な範囲で検討させていただきます。

【富田分科会長】  それでは、時間の都合もありますので、森林総合研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日は、時間の関係で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがございますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。もちろん、今日の樫谷委員、そして田渕委員の宿題もお返事いただきたいと思います。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。説明いただきました皆様方は、御退席いただきまして結構でございます。

【津元部長】  どうもありがとうございました。


(説明者 入替え)


【富田分科会長】  それでは、農業・食品産業技術総合研究機構について、藤本研究総務官より御説明をお願いいたします。

【藤本研究総務官】  技術会議事務局の研究総務官をしております藤本でございます。今日は、今から農研機構をやらせていただきますけれども、その後3つ団体が続いております。4つ分ありますので、よろしくお願いいたします。
 資料2−5の表紙をめくっていただきましたところに、いわゆる事務事業の見直しにかかるところ、組織見直しにかかるところ、運営の効率化及び自律化の見直しにかかる具体的措置とございますので、この資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
 農研機構でございますけれども、これは私ども、農業関係の技術開発をしております研究法人の中に、4つございますけれども、その中で、いわゆる応用分野の技術開発をしている独立行政法人でございます。かなり大所帯でございまして、ここに裏表になってございまして、一番最初の農業技術研究業務、基礎的研究業務、民間研究促進業務、特例業務、農業機械化促進業務と書いてございますとおり、かなり業務がいっぱい集まっている法人でございます。そういう意味では、ほかの法人に比べますとかなり大きくなっております。
 まず、農業技術研究業務、農研業務と呼んでおりますが、この農研業務からお話をさせていただきます。
 これは、今年の3月に食料・農業・農村基本計画が新しくなりまして、それに基づきまして、農林水産研究基本計画のほうも新しくなりました。したがいまして、次の中期計画を立てるに当たりましては、この新しい研究基本計画に基づいて仕事をしていただくという予定にしてございまして、これに重点化するという予定でございます。
 この団体の中で、仕分けの対象になったものがございます。まず、課題でございます。廃止と書いてあるところでございますが、課題でございますが、農業・農村の多面的機能関係の研究を始め、いわゆる社系と言われております研究をやっていたところがございます。これにつきましては、平成22年度限りで廃止すると、仕分けどおりの結果をそのままやらせていただくということにしたいと思っております。
 もう一つ、仕分けの対象になりましたのが農業者大学校でございます。これは23年度の入学生の募集は行わないということにしておりまして、24年度以降の農業経営者育成教育の在り方につきましては、農者大の関係者等の意見も聴取しつつ検討を行うということに、現時点ではさせていただいております。ここで書いてありますように、仕分けでは、事業の廃止時期については在学生に配慮というふうにされております。
 このような形で、研究を進めておりますけれども、応用している、応用研究をしている団体として実用化がうまくいっていない、つまり、イノベーションにつながっていない、世の中で使われていないという批判があることについては、私ども十分承知をしておりますので、研究テーマの選定に当たっては、より政策部局との連携を強化する、そういうことを現在のところ、検討中でございます。
 基礎的研究業務でございますが、これについても出口のイメージをはっきりさせるということを強めてまいりたいと考えております。
 さらに、このページの一番下の段でございますが、UR対策研究開発事業というのをやっておりました。平成7年から11年でございます。この研究成果を広く一般に広めるという事業をまだやっていたのでございますけれども、かなり内容が古くさくなってきたということもございますので、これにつきましてはやめまして、一番右の段、運営の効率化のところ、上から2つ目に書いてございますが、2億円を返納することを検討しているというようなことを考えております。
 先に事務事業のほうを説明してしまいますので、次のページにまいりますが、民間研究促進業務につきましても、これは財投から出資を受けて、それを研究開発に使うというやり方でございますが、もっと出口に近いところの業務をやっております。これについては、ちゃんと使っていただいて、売り上げを納付していただくという制度でございますけれども、これもちゃんと納付していただけるように、出口を追跡していくというようなやり方をしたいと考えております。
 それから、特例業務。これは昔、研究法人に出資、融資をしていた事業でございますが、それの後始末をしていると言ったら何でございますけれども、この事業につきましても、少し前倒しができるかどうかということを検討したいと考えております。
 機械化促進業務につきましても、安全基準等の見直しによる機械の安全性の向上、検査鑑定業務の効率化といった意味で、業務の効率化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、組織の見直しでございますけれども、また前の1ページに戻っていただきますが、小規模拠点が28ございます。そのうち6拠点について、地元関係者とただ今調整を行いつつ、組織見直しの実施計画の詳細を検討するということにしているところでございます。ここで書いてあれでございますが、第3期にはやめたいというところを書きたいなと思っているところでございます。
 事業実施主体の見直しについては、現行の組織形態を維持するということで、今、考えているところでございます。先ほどから申し上げていますとおり、この法人は、応用段階の研究をやっているところでございますので、ほかの研究団体と少し性格が違うということから、現行の組織形態を維持したいというふうに、今のところ、ここには書かせていただきました。
 運営の効率化のところでございます。先ほど申し上げましたとおり、UR対策の関係で2億円を返納することを検討してございます。それから、小規模拠点の見直しに合わせまして、不要資産の返却については検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、研究をやっているときに、競争性のない契約というのが出てまいります。ここの法人が中核機関となって、いろいろなところに研究を委託する、いわゆる再委託でございますけれども、こういった競争性のない随意契約につきましても、現在、その契約のやり方を見直すことによって、随意契約を減らす。それから、研究以外の随意契約についても見直しをすることによって、その数を減らすということをしているところでございます。
 この欄の一番最後のところでございますけれども、事業の審査、評価につきましては、もちろん、研究水準の国際的評価を検討するとともに、評価結果をより適切に業務運営に反映させる。これは先ほど申し上げました行政部局の要請を研究テーマに反映させるということと相まりまして、的確に世の中にイノベーションとして使っていただくということを考えているということでございます。
 大変、はしょりましたけれども、次に、資料2−5の18ページでございます。前回の勧告の方向性における主な指摘事項と措置状況でございます。これにつきましては、いわゆる小規模な拠点の研究組織の見直しについて、現在、対応中ということにさせていただいておりますが、それ以外の御指摘につきましては、粛々と措置させていただいたと考えているところでございます。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました農業・食品産業技術総合研究機構の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  御説明ありがとうございました。 まず、農業者大学校の点で確認をさせていただきたいのですけれども、平成17年に旧農業者大学校廃止で、農研機構に統合されて実施されているが、それ以降も定員割れが続いているということで、23年度に関しては募集を行わないという形になっている。ただ、24年度以降、農業経営者育成教育の在り方について検討を行うということになっているようですが、具体的な現在の検討状況はどうなっているのかということをお聞かせいただけますでしょうか。ここに関しては、政務官等々との話とか、議論の内容等々が報道されてはおりますけれども、現在での主務省としてのお考えを聞かせていただけますか。

【角谷課長】  農業者大学校でございますけれども、仕分けの段階で廃止ということで評価結果を受けまして、その後、省内、農業者大学校の関係者の方々ともいろいろな意見交換をしてきたということで、8月末の段階で、まずは23年度の募集については停止しましょうと。入学が、次の募集があるのかどうかということを、いろいろと御検討されている方もいらっしゃいますので、まずそこははっきりとさせていただくということでやったわけでございます。
 現状、引き続き、中で、それにかわるものがどういうものが必要なのかということを含めて議論している段階ということでございまして、いずれ、そういうものもはっきりとさせていかなきゃいけないのかなということでございます。

【田渕臨時委員】  ありがとうございます。要するに、定員割れということは、ニーズが本当にあるのかどうかという観点だろうと思うんですね。まず、そのニーズを的確に把握された上で、農業者大学校ありきではなくて、ゼロベースで、本当に必要であれば、どういう機能の機関が必要なのかどうか。その観点で検討されるべきなのではないかと思いますので、農業者大学校ありきではなくて、本来本当に必要なものは何なのかといった観点で御検討いただければと思います。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょう。黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  御説明ありがとうございました。ちょっと研究関係のことで教えていただきたいというか、意見があるのですが、今、大学関係でも出口に近いような研究というのを結構やっているところもあるし、民間はもっとそうだと思うのですけれども、課題設定において、他の独法とか、都道府県とか、大学とか、民間企業とか、いろいろな役割分担があって、共同でとか委託とか言っているけれども、独自に発揮できる、発揮しなければいけないという研究はどういうことをお考えになっているのかということと、それに関連して、第2弾の事業仕分けで廃止になったものというのがあるわけです。
 これは直接に農研機構ではなくて、ほかの独法に関係したことですけれども、わりと関係していることで、新しい研究成果というのがどんどん出てきています。例えば、環境研に関係していると思うけれども、カドミウムの汚染の水の話とか、あるいはクロマグロの近畿大の話、完全養殖とか、それと類似したようなことが農研機構の研究でもどんどん出てくると思うのですけれども、そういう次期の中期目標期間中でも、一度設定して実施している研究課題について、例えば緊急性とか、必要性とか、状況が変わったとか、そういうことから、廃止とか方向転換を考えるような、そういう見直しを考えているのか、それとも、そういうシステムはあるのかというふうなことを、ちょっと評価等も含めて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤本研究総務官】  御指摘どうもありがとうございます。
 農研機構のみならず、うちの研究独法のいわゆる課題の立て方でございますけれども、今年、中期目標が終わりまして、来年、中期計画を作る年に当たるわけでございますが、その前年、つまり今年の3月に、私どもは研究基本計画というのを立てさせていただきました。これが実は、省の農業・農村基本計画と連動すると言ったら何ですけれども、5年に1度という形で立てることになっております。この省の農業・農村基本計画を技術面から支えるという意味で、研究基本計画を立てさせていただき、その研究基本計画の中では、5年先にはこういうことをやりましょうね、10年先にはこういうふうにしていきましょうというような、いろいろな分野について載せてございます。これは農研機構だけでなく、農業分野の全体について書かせていただきました。これは、実は独法だけでなく、いわゆる大学だとか、農業の場合、民間は非常に少ないのでございますけれども、そういったことも含めて、今の研究トレンドはどうなっているかということを踏まえて書かせていただきました。
 この中で、特に、例えば農研機構であれば、これに応じた品種であるとか、そういったものについては農研機構が得意な分野でありますけれども、そういったものについては、こういう品種を作りましょう、米についてはこうしましょう、これは例えばえさ米であれば、次は1トンとれるようなえさ米にしましょうねというような、具体的な数値目標も含めて、我々は独法に提示をさせていただいているというつもりでおります。それを踏まえて、独法の方で、それを自分の課題にしていくということが次のステップになろうかと思います。
 ただ、このときに、やはり、今の現場のニーズをちゃんと踏まえているのか、特に農研機構は、出口をやはり近いところ、農家に近いところをやっておりますので、ちゃんと行政ニーズや農家のニーズを踏まえているのかということについて、今年はゼロベースで全体の課題を見させていただく。そうでないと、先ほどちょっと仕分けの話をいたしましたけれども、こういうことをやっていて本当にいいのですか、税金使っていいのですかというような御指摘を受けるということもございましたので、私ども、それをちゃんと認識した上で課題を立てさせていただきたいと考えているところでございます。
 役割分担というのは、民間の方々というのは、食品業界とか、そういうところは別として、農家の方々と、この技術を使う方々は農家でございますので、技術開発力という点では、やはり独法と、基礎的なものをやっている大学、基礎と応用のちょうど真ん中辺でありますけれども、うちの環研、生資研といったところのステージに応じた役割分担をさせていただいていると認識しております。
 以上でございます。

【黒田(玲)委員】  後半の方の質問にお答えいただきたかったんですけれども、大学もわりと今、出口に近いのもやっているんですけれども、研究ってすごい勢いで、クォンタム・ジャンプして進むこともあるので、5年とか10年、立てたものが、例えばいろいろな新しい技術が出てきたときに、もう立ててしまったのだからとやらないで、見直しをするというようなことがあるのですか、それについては、そういうシステムはどうですかというのが2番目の質問だったので、それについてお答えいただきたい。

【藤本研究総務官】  研究基本計画についてでございますけれども、5年後の計画を立ててございますが、それぞれの例えば組織体制だとか、技術の進歩だとか、いろいろなことがございまして、前回のときは見直しをしております。そういう形で、毎年毎年見直しということでもないのですけれども、適宜適切に私どもとしては見直しをさせていただいているという認識でございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  民間研究推進業務について、幾つか質問させていただきます。
 この業務は、実用化段階の試験研究について民間企業等を対象とした提案・公募によって実施するものというふうに理解しています。実用段階の試験研究ということであれば、民間の金融機関からの資金提供ということもあり得るのではないかと思うのですが、この民間の融資と独法の融資といいますか、この民間研究促進業務との違いはどういうところにあるのかということが1点であります。
 それから、この業務には売上納付ということが行われなければ繰越欠損が出るという仕組みになっているかと思います。この売上納付を、先ほどは回収するということで追跡調査等を実施するということでありますが、現実にはどういう状況にあるのか。それから、繰越欠損について現在、21年度で18億ぐらいあるようですが、正確には18億8,000万ですか、これの解消についてどういうふうにお考えなのか、御説明いただければと思います。

【酒井課長】  お答え申し上げます。まず、民間の融資との関係でございますけれども、御承知のとおり、農林水産分野の研究というものについては、大きなリスクがあるというふうに、基本的に認識をしております。1つの理由としては、制御が難しい、屋外の環境において使用される技術が主たる対象であるということでございます。2つ目が、医薬や情報通信機器のようにハイリターンというのがなかなか期待しにくい分野であるということ。それと、農林水産食品関係企業については、先ほど藤本が申しましたように、あまり数が多くない上に中小企業が多いということで、技術開発の費用負担に耐えられない事業者が多い、裏返して言えば耐えられる事業者が少ないということですね。そういった状況かございますので、それを応援するための事業というふうに位置づけてございます。
 2点目の、売上納付の状況でございますが、この事業は18年度からスタートしておりまして、5年間を1つのタームにしておりますので、結果がこれから出るという段階でございます。一部22年度に売上納付ができそうな研究もあるようでございますので、それに期待したいというふうに思っております。

【河野臨時委員】  今、民間の融資と異なるということで御説明がありました。中小企業が対象で、ハイリターンが期待できないということでありますが、そうすると、かなり融資の焦げつきというか、リスクというのが考えられますが、ローリターンで、さらに中小企業というお話ですから、この辺はどういうふうにお考えなのですか。

【酒井課長】  御指摘のとおりだと思います。したがいまして、事業執行に当たりましては厳重な審査をしておりまして、将来、製品がどれぐらい市場で評価されて売れるかというところも見込んで考えております。それが重要な審査の対象となっておりまして、そういうものを選んでいくということで、売上納付がきっちり行われるように監視をしているということでございます。

【河野臨時委員】  融資の趣旨が、そういう中小企業を育成するということにもあろうかと思いますが、リスクもよくお考えの上、この事業の推進というものを考えてもらいたいと。

【酒井課長】  ありがとうございます。

【富田分科会長】  1点、今ので確認ですけれども、今、融資とおっしゃったのですが、これは出資じゃないの?

【酒井課長】  すいません、融資との比較ということで申し上げたのであって、この事業は融資事業には含まれません。

【富田分科会長】  出資だよね。

【酒井課長】  ええ。

【藤本研究総務官】  財投を、ここに出資をいただいて、ここから企業に委託という形でお金を、研究開発を応援するという形になっております。

【富田分科会長】  委託というのは補助金を渡すということですか。

【藤本研究総務官】  補助とは違いますけれども……。

【富田分科会長】  出資じゃないわけ?

【藤本研究総務官】  出資は、財務省からここの生研機構に対して出資という形になっています。

【富田分科会長】  この独法はどういう経済行為をなさっているのですか。

【藤本研究総務官】  研究開発を委託するという業務をしております。

【富田分科会長】  補助金を交付して、見返りに何か委託研究成果をもらっていると。国民が委託研究成果をもらっていると。

【藤本研究総務官】  補助金の場合には、相手方にやったことがいいことなので、そちらに反対給付なしでお金をあげますよというのが補助金でございますけれども、委託の場合には、この生研センター自身がこれをやるべきというふうに考えて、本来、自らやるべきであるけれども、そこの企業にお願いをして、技術開発をしてもらうという性格の差はございます。だた、委託にしろ補助にしろ、相手方に技術開発をお願いするというものは同じでございます。補助の場合には、例えば2分の1でも3分の1でも10分の10でもそうなのですけれども……。

【富田分科会長】  つまり、国民は出資してるんですよ、この独法に。その独法から、出資は当然リターンを期待してのことなのですね。もちろん、リスクもあるかもわからない。どういうリスクとリターンの構造になっているかというか、経済行為として国から出資を受けていながら、ここで委託といいながらも、お金が消えてしまっているような気がするのだけれども、それはどうなのですか。

【酒井課長】  先ほどの繰り返しになりますけれども、この研究の委託をするに当たっては……。

【富田分科会長】  だから、委託というのは国民にどういうリターンをもたらすのですか。

【酒井課長】  売上納付という形で返ってくる分と、研究開発の成果で、新しい製品が世の中に出て利便性が高まったり、生産性が高まって食品が安く手に入ったりと、そういった効果がございます。

【藤本研究総務官】  直截的にリターンが何かというふうに問われれば、この企業がこの技術開発をすることによって大変もうかった場合には、委託金を超えて売上納付をしていただくという形で、我々に対しては、一応大きなリターンが手に入ることになっております。

【富田分科会長】  今のは、だから、事前に出資を受けたものを委託するに際して、その相手方企業に大きなリターンがあった場合には、大きな売上納付をいだたくということを契約しているということですね。

【藤本研究総務官】  そのとおりです。

【富田分科会長】  そのお金をちゃんと国民に返すことまでプログラムしていますか。つまり、国から出資を受けているということは、国民にリターンを返さなきゃならない。つまり、補助金の場合だと渡し切りだから、広く、便益は薄く国民に行き渡るのだけれども、これは出資を受けているわけでしょう。

【酒井課長】  事業が終了いたしましたら、財投の方に返納をするというルールになってございます。

【富田分科会長】  出資金を国民に返納する。

【酒井課長】  そういうことです。

【富田分科会長】  そうじゃなきゃおかしいよね。
 どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  私の方から2点御質問したいと思います。
 小規模の研究拠点、6拠点については見直しをすると、こういう御説明なのですが、具体的にまだ決まってはいないのですか。どういうスケジュールになっているのかということと、それから、廃止したときのコストというのはどの程度削減されると見積もっていらっしゃるのかということ。これがまず1点。
 それから、8月にいろいろ視察をさせていただきまして、農研機構だけではなくて、研究を所管している農水省も見させていただきました。それぞれすみ分けしながら分担して連携されているというのはお聞きしていてよくわかったんですが、むしろ、全部とは言いませんが、ある程度統合したほうが、かえって、単にコストが削減されるというだけではなくて、むしろ、成果も上がりやすいのではないかなと、こういう印象を持ったんですね。それについて、どういうふうに御検討された上で難しいという御判断をされるのか、むしろ、私の言うように統合した方が成果が上がると、もちろんコストも削減されるでしょうからね、同じ成果であればコスト削減されたほうがいいし、同じコストであれば成果がより上がったほうがいいわけですよね。その成果という観点から見たら、むしろ統合した方がいいのかなと。ただ、すごく大きな組織になるということではあるのですが、これはマネジメントの話ですから、大きいからといってだめだということではないと思うのですね。その辺についてどのように御検討されているのか、お考えなのか、この2点であります。

【藤本研究総務官】  6拠点の見直しについてでございますけれども、現在、独法の方ではこういう計画で行きたいというところまでは決めているところでございます。やはり、こういう拠点を廃止するということになりますと、その地域の方々とのいろいろ調整ということもございますので、私どもが今考えているスケジュールとしては、次期期間中には、晴れて御報告ができるような形にさせていただければと思っております。
 そのときに、売れるところ、売れないところ、いろいろございます。また、圃場だけは残さなければならないところというのもございます。そういった1つ1つについて、どのくらいお金がかかるのか、また、逆にどのくらいもうかるのかということも含めまして、今検討させていただいているところでございますので、直ちに今、どれぐらいのコスト削減かということについて申し上げることは御勘弁をいただきたいというふうに思います。
 それから、研究独法との統合についてでございます。これは次の環研、生資研のときに少しお話をさせていただこうかと思いましたけれども、これは整理合理化のときに、種苗管理センターと、それから生資研、それから環研、この3つが一緒になるということで進めさせていただいたわけでございますけれども、昨年から凍結という形でとまっております。そのときの理屈としては、生資研と環研というのは非常に基礎的な分野で、違う分野をやっていると。種苗センターは、生資研と同じようにジーンバンクという形でよく似た仕事をしているということで、コラボレーション効果があるのではないかという形で、3独法の統合を検討させていただくという格好にしたのでございますけれども、この農研機構、ここは先ほどから御説明をさせていただいておりますように、少し応用分野を担当しているということで、少しステージが違うのではないかというふうに考えているところでございます。
 ただ、圃場がすごく近くにあって、同じように使えるのではないかとか、それから、雇用の問題がどうかというような話であるとか、いろんなメリットが考えられないわけではございません。それはもうおっしゃられるとおり、統合にあたっては、いろんなところのメリット、デメリットを考えなければならないということは十分認識しているつもりでございます。ただ、今の段階では応用分野をつかさどるこの団体と、それから、基礎分野を行っている法人では、その研究のマネジメントのやり方が若干違うのではないだろうかというふうに思っております。ただ、いずれにいたしましても、そういう御指摘が多方面からございますので、私どもとしては、これから真摯に検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  今の統合の話なのですが、御説明いただいたようなところで、基礎と応用だからなかなか、もちろん、若干違うという意味ではそうかもわかりませんが、前回の種苗管理センターは確かにね、本当に実施の部門をやっているので研究開発と少し違うかなというイメージは持ったのですが、むしろ農研機構の方は、そのほかの生物資源と、あとは環境研ですか、これなんかと一緒になっても、むしろなったほうが、今も連携がかなりあるようですし、場所的にもすぐ近くにあるようなので、むしろ、研究の成果がさらに上がるのではないかなという印象を持ったので、応用基礎という分類もあると思いますが、応用基礎も一緒にやっていくというところもたくさんありますので、ぜひそういった観点から、真剣に御検討いただけたらというふうに思います。

【富田分科会長】  それでは、田渕委員、どうぞ。
 これでこの機構は最後にいたします。

【田渕臨時委員】  今の統合のお話についてまずコメントさせていただきたいのですが、基礎的な部分と応用部分、一貫して実施したほうが、より相乗効果がある部分もかなりあると思うのですね。民間ではそういう形で実際にやっていますし、マネジメントのやり方といってもそう変わるものではないはずなので、統合についてぜひ検討を前向きにしていただければと思います。
 あともう1点、支部、事業所等の見直しに関して、東京事務所と東京リエゾンオフィス、同じビルに2つ事務所が入っているというのは御承知だと思うのですが、本当に事務所として必要だと感じていらっしゃるのか、どういうところに必要性を感じているのか。後ほどでよいので資料で御提供をいただければと思います。
 以上です。

【藤本研究総務官】  後ほどでいいですか。

【富田分科会長】  では、後ほどいただけますでしょうか。

【藤本研究総務官】  はい。

【富田分科会長】  それでは、時間の都合もありますので、農業食品産業技術総合研究機構につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。当分科会といたしますは、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議をより深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、また、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力賜り、ありがとうございました。
 それでは、説明が終わられた方々には御退席いただきまして結構でございます。


(陪席者 入替え)


 次に、農業生物資源研究所であります。
 それでは、農業生物資源研究所につきまして、事務局の上では藤本研究総務官から伺うことになっております。

【藤本研究総務官】  続きまして、生物資源研の説明をさせていただきます。
 生物資源研につきましては、ただ今の農研機構でも非常にお話が出ておりましたので、皆さん、少し御理解いただいているかと思いますけれども、また資料2−6の1枚目で御説明をさせていただきます。
 この生物資源研というところは、主に、いわゆる農業利用をするような生物のゲノム研究センターというふうに、一口で申し上げることができるのではないかと考えているところでございます。これは農林水産省のいわゆる政策を実現するための独法でございますので、農業上、非常に有効な作物、特にイネとカイコを主に取り扱っておったりするわけでございます。また、豚についても取り扱ってございますけれども、こうした農業上非常に有効なもののゲノム研究を行っているというところでございまして、先ほどの農研機構に比べますと、いわゆるシーズオリエンテッドな研究を進めているところでございます。
 実は、具体的な措置のところの業務の重点化のところにつきまして、書いてございますとおり、特にゲノムの研究という形で、いわゆるゲノム研究センターという形で機能してございます。また、この法人は、いわゆるジーンバンクとして機能してございまして、いろんなところから生物資源、いわゆる遺伝資源を集めてきて、ここで置いている。また、必要なところに対してそれを配布するという業務を行っているところでございます。
 組織の見直しのところでございますけれども、これは同じように地域の拠点がございまして、1カ所、岡谷につきましては平成22年度末に廃止をするということにしてございます。そのほかに、常陸大宮と北杜という2つ、持ってございますけれども、この必要性につきましては、引き続き必要性について精査をさせていただくということにしてございます。
 それから、先ほど出てまいりました、いわゆる独法の統合問題でございますけれども、今、種苗センターとこの生物資源研究所、それから次に説明いたします農業環境技術研究所の独法の統合は凍結をされております。これが、今後どのような形で凍結が解かれるのか、また、解かれないのか、さらには、強化法の関係で、今、文部科学省の方でいわゆる研究開発独法の在り方について研究をされているというところがございます。この検討方向についても、少し、我々としてはそれを見させていただいて、この独法の在り方について、少し検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 運営の効率化及び自律化の見直しに係る具体的措置でございますけれども、これは先ほど農研機構のときに御説明をさせていただきました。例えば随意契約の適正化であるとか、いわゆる行政政策部局との連携強化であるとか、そういったことについては4独法共通のものでございますので、この独法についても同じように措置をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
 それからもう1つ、最後のページに前回の勧告の方向性における主な指摘事項、10ページでございます。これについては松本・岡谷のところでございまして、片方のところで対応中ということで(2)にさせていただいておりますけれども、前回御指摘のあったことについては、粛々と、この法人につきましても進めさせていただいているということでございます。
 大変簡単ではございますけれども、以上で説明させていただきます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました農業生物資源研究所の見直し当初案につきまして御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  御説明ありがとうございました。ちょっと研究のことで教えていただきたいのですけれども、ゲノムセンターとしての位置付けであって、それを強化するということなんですけれども、ほかの生物のゲノムデータというのを集めているところもあるわけでして、当然、農水ではないですけれども、それとの関係、統合すべきではないのかということが1点です。
 それから2点目は、農業上有用な動植物のゲノム研究及び遺伝資源というところで、遺伝子組み換えカイコが入っていて、それは私が総合科学技術会議で委員をやっていたときにも教えていただいて、やっぱりわからなかったんですが、当時はインテリューケンシックスか何かをつくっていて、何でカイコでやらなくちゃいけないのかというのが、何遍聞いてもよくわからなくて、動物のは糖鎖のことで、大腸菌ではできないと思うものの、カイコって1回ごとに殺さなきゃいけないし、繁殖率は悪いし、なぜカイコじゃなきゃいけないのかって、何回か教えていただこうとしてもよくわからなかったんですけれども、それから採算が非常に悪い、非常にコストが高いということで、今、遺伝子組み換えカイコ研究センターになっているので、きっとすごいメリットがあって進めていらっしゃるのだろうなと思うんですけれども、その辺、もう一遍、私の悪い頭が納得いくように教えていただけたらありがたいという、その2点です。データの統合も、ほかにもう大きなデータベースセンターがありますので、それとの統合の話と、なぜカイコなのと。

【藤本研究総務官】  御指摘ありがとうございます。いわゆる生物資源研は、私、説明のときに申し上げましたけれども、農作物のゲノム研究としては、私ども、世界的な中核的研究機関であろうというふうに考えております。例えば、今回小麦について世界的なコンソーシアムを組んでそのゲノム配列を解くというようなことも始まっているわけでございますけれども、その一部を生資研で担当させていただくというようなことをやっております。
 私ども、この生資研が農作物のゲノム研究のセンターとしてやっているということは、いわゆるゲノム配列の解析というだけではなくて、農業生産にかかわる収量性だとか、病害虫の体制だとか、そういった農業生産上、非常に特徴のある、そういったゲノム情報を見つけるところに、ある程度主眼を置いた研究を進めていると。こういうことから、いわゆる農業生産のゲノム研究センターというふうに申し上げたということでございます。
 全くの基礎研究分野で、例えば植物の場合、シロイヌナズナという植物があるわけでありますけれども、こういったおよそ生物学の真理の探究というような目的のゲノム研究とは少し、それを農業展開するまでにはかなりの距離があるのではないかというふうに考えているところでございまして、私ども、いわゆる農林水産省の政策を実現する、そういう独立行政法人として研究をするということから、こういう農作物を対象とする研究が必要なのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、カイコでございますけれども、昔はカイコを昆虫工場として、カイコの中の糸を作るところがありますけれども、そこにものをためて、そのためたものを取り出すというようなことが考えられていた時代がございます。その後、カイコ自身の遺伝子組み換えということが可能になって、カイコというのは当然糸を吐くという生物でございますので、その糸を吐く、糸を使うということがカイコを使う上ではかなり重要になってくるということを我々は思っております。
 例えば、人間と非常に親和性のある糸を吐かせるということが遺伝子組み換えでは可能になってきております。こういった、医療分野にカイコの吐く糸を使う、それから、もともと絹として使っているわけでございますが、その絹の手触りを非常によくする、つまり、非常に細い糸を吐かせて、なおかつ強度は変わらない、そういった、光沢だとか手触りだとか、こういったものが非常にいい糸だとか、カイコが糸を吐く、その糸を使うというプロセスをうまく使った遺伝子組み換え、これを、私どもとしては、今、生物資源研でやっていただいているという認識でございます。

【富田分科会長】  どうですか、黒田委員。

【黒田(玲)委員】  わかりました。私が聞いたときは医薬品をつくると、昆虫工場で医薬品をつくるという話だったのですが、糸を意図としたということですねという、ちょっとダジャレを言ってたんです。

【藤本研究総務官】  やっぱり、昔は遺伝子組組み換えした微生物をおなかの中に入れて増やすとか、そういうことを考えてたんですけれども、今はカイコ自身を遺伝子組み替えして、遺伝子組み換えをした糸を吐かせるというような、血管を作るみたいなことをさせていただいているということです。

【富田分科会長】  岡本委員、お願いします。

【岡本臨時委員】  今の関連なのですけれども、私、理化学研究所の評価委員をやっているのですけれども、正式名称はうっかりして忘れてしまいましたけど、理化学研には植物センターというのがございますね。そこで積極的な研究をやっていらっしゃるという説明を受けていたわけです。それで、実用にも応用したいと。今日御説明いただいた内容とほぼオーバーラップするように、私は素人ですが聞こえるのですね。そことの関係が今どうなっているのでしょうか。競合関係にいらっしゃるのか、それから協調関係でいらっしゃるのか、あるいは全く接触はないのか。

【藤本研究総務官】  先ほど、私が御説明申し上げたのは、当然ながら理研を念頭に置いて御説明を申し上げたのでございますけれども、私どもとしては、別にけんかをしているわけではないというふうに思いますけれども……。

【岡本臨時委員】  そういう質問ではなくて、もう少しうまい、ひょっとしたら2つ存在していることが意味のあることなのかもしれません。ただ、今日の御説明は、理化学研究所の方に聞いても、おそらく同じような説明を、彼らも基礎から始めて実用にしていきたいと。まして、今の理事長はそういう方向を明確に出されていますのでね。そうなってくると、こちらにいらっしゃる研究者の方々のやっている内容と、もう少し、私はどちらに統合とか、そういうことを言っているわけではなくて、せっかくまた今度文科省の、研究所の見直しの、法人の在り方の見直しがあるので、そこを含めて、農林水産省の中での統廃合をどうするという話ではなくて、いわゆる、こういうふうに非常に重要な研究分野を、日本でどういう体制で臨むかという観点から、ぜひ、研究所、あるいは研究の在り方というのを検討していただきたいと、そういう趣旨でございますので、回答を求めているというわけではなくて要望だということでお願いいたします。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 なかなか、基礎研究という方向になれば、農業生産のためといっても、当然、結合生産でほかの目的のためにも使われることになるので、重要な指摘かと思います。
 ほかにいかがでしょうか。はい、まず河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  資料2−6の1ページに、支部・事業所等の見直し、それから、実務不採算についての見直しということが出ております。そこの中で、岡谷は22年度をもって廃止ということではありますが、常陸大宮と北杜については精査するということでありますが、例えば精査がどういうような内容で検討されているのか。私どもは、ジーンバンク北杜については本部の方へ移せるのではないかというふうな考えもしておりますが、その点についていかがかということが1点であります。
 それから、もう1点は常陸大宮の放射線育種場でありますが、これについてはどういうふうにお考えなのか、場合によっては廃止というようなことも考えられるのではないかと思っておりますが、この点について。それと連動して、寄宿舎があそこに設置されておりますが、その利用率等についていかがでしょうか。利用が低ければ、これについても廃止の検討も含めて、精査の中で検討していただければと思うのですが、いかがでしょうか。

【藤本研究総務官】  まず、後の御質問でございました放射線育種でございます。これについては、私どもとしては現在のところ、生物資源研が、放射線が遺伝子を改変する仕組みに関する基礎的な研究を行うということによって、突然変異体の効率的な作出ができるのではないかというようなことであるとか、育種素材開発に向けた、短期間での効率的な新規有用形質の農林生物を作るとか、そういう放射線育種という点で、これだけの弱い、強烈な放射線をどんと当てるのではなくて、長い間、長期間かけて当てるというような施設がほかにないことから、私どもは、この放射線育種について、まだなおかつ使えるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。効率的に使えという御指摘は当然のことでございますので、その辺の使い方については、少し精査をさせていただこうというふうに考えているところでございます。
 それから、北杜のほうでございますけれども、こちらのほうはカイコのジーンバンクということで、その機能を特化する方向で検討してはどうかというふうに考えているところでございます。ここで何かをするということよりも、我々としてはこれをジーンバンクということで使いたいということを考えているところでございます。

【河野臨時委員】  この北杜をジーンバンクとして特化するということと、それを本部の方へ移してやるということとは別のように思いますが、北杜のというところに特化することのメリットというのはどういうところにあるんでしょうか。
 それから、放射線育種というところですが、これはここしかないということですが、例えば理研の放射線の施設というようなことの利用可能性というのは全くないということなのでしょうか。

【藤本研究総務官】  多分、いわゆるガンマフィールドの施設というのは、多分、本邦1つしかないのではないかと、ここしかないのではないかというふうに考えておりまして、その辺、もし私が間違っていたらあれなんですけれども、非常に長期間にわたって弱い放射線を当てられてできるというのはここというふうに聞いているんですけれども、そこはもし認識が違っておりましたら御指摘ください。
 それから、北杜の方でございますけれども、確かにカイコを飼う技術について、どこで保存するのがいいかということがあるんですけれども、私どもとしては、カイコが、できれば空気のきれいなところで飼ってやらないと、その形質がうまく保存できないということもございますので、今のところ、北杜というところが空気がきれいでといったらあれなのでございますけれども、従来からの経緯もございまして、カイコを飼うのにいいところではないだろうかというふうに思っているということでございます。

【河野臨時委員】  空気のきれい、汚いというのも判断がしにくいところですね。わかりました。

【富田分科会長】  では樫谷委員、そして田渕委員。

【樫谷分科会長代理】  関連法人に関する質問なのですが、農林水産先端技術産業振興センターという長い名前の社団法人がありますが、ここは生物研との発注割合が、総事業収入に占める割合が63%だと聞いております。かつ、随意契約であると。ここは正味財産が17億、18億弱たまっているということなのです。また、補助金も出ると。
 そうすると、こことの契約の見直しの問題だとか、あるいはここでたまっている資金、例えば一般会計においては正味財産2億7,000万と、これに対する資産としては、共同研究等実施準備引当資産というのが1.5億円、1億5,000万ほど有していると聞いておりますけれども、これに対する資金の還流とか、そういうことをお考えになっているのかどうなのか、それについて御質問なのですが。

【藤本研究総務官】  私がここで即座にお答えするというのが適切かどうかという問題をはらんでおりますので、なかなか難しいのでございますけれども、まずSTAFF、今御指摘の農林水産先端技術産業振興センターでございます。我々、略語でSTAFFと呼んでおりますが、このSTAFFと生資研との業務の関係については、実は、今私どものほうでも少し見直しをしているところでございます。
 と申しますのは、先ほどゲノム研究センターとしての生資研というふうに申し上げましたけれども、従来のゲノム研究の在り方と、現在のゲノム研究の在り方というのが大分変わってきております。これはシーケンサーの能力の差であるとか、そういったことも含めまして、かなり変わってきております。したがいまして、その研究の在り方、いわゆる頭脳が生資研で、手足がSTAFF研というような在り方が本当にいいのかどうかということについて、委託関係の業務、それから先ほど御指摘がございました随契の在り方ということも含めまして、私どもは、今両者にその検討を進めさせているという段階でございます。
 それから、STAFF研の場合、多分お金をたくさん持っているということではなくて、つくばにございますSTAFFの研究所としての建物と、それから中のシーケンサー、こういったものが財産として計上されているということでございますので、私はお金がざくざく埋まっているという感じではないという認識をしてございます。

【富田分科会長】  田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  私からは、自己収入の増大、拡大の観点から確認をさせていただきたいのですが、見直しの案では、展示会等への出展、シンポジウムの開催といった取り組みを強化という案が掲載されている。こちらではかなり特許をお持ちだと思うのですが、特許収入が昨年度ですと171万円、特許を維持しているコストが742万6,000円となっている。要するに利用されていない特許自体を保有する意味がどこにあるのか、このまま保有し続ける方針でいらっしゃるのか、主務省として、知的財産に対する方針について、費用対効果の観点も含めて御回答いただけますでしょうか。

【藤本研究総務官】  ここの法人は、いわゆるゲノムをやっておりますので、特許はそれなりにたくさん持っているというふうに認識しております。だた、それが実態的にまだ作物になっていないということから、特許収入という点で考えますと、その収入にまでつながっていないというのは御指摘のとおりかと思います。
 ただ、ここで作られている、いわゆるゲノム関係の特許、これはマーカーであったり、それから遺伝子の特定であったりということでございますが、これは、我が省としては、当然、どれが大切でどれが大切じゃないかということについては、当然、法人に精査をさせるということは当然のことでございますけれども、特にイネの場合について申し上げれば、このイネの知的財産をよその国に取られるというわけには、なかなかまいらないのではないだろうかというふうに、これは結構強い意思を持っているところでございます。そういった意味で、確かに耳の痛い御指摘でございます。稼ぐよりも余計に管理費を払っているのではないかという話はございますけれども、私どもとしては、大切かどうかということをもう一度精査の上で、やはり守るべきものは守るという、そういう強い意思で、この特許については臨んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

【田渕臨時委員】  その方針は了解するのですけれども、もう一度そういう形で見直して、本当に必要なもの、本当に国費を投入して保有する必要があるもの、その必要性、しっかり確認をしていただいて、もし可能であれば、検討の資料等々いただければ、よりわかりやすくなると思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  では、最後の。

【岡本臨時委員】  簡単な質問です。

【富田分科会長】  はい。

【岡本臨時委員】  御法人だけではないのですけれども、運営費交付金の金額に比べて、当該年度の交付金債務残高が1割を超えていると。平成21年度になりますと、72億に対して8億7,900万。1割を超えるというのは、やっぱりこれは多いのではないかなとどうしても思うわけですね。農林水産省系の法人、共通に多いのです。総括官、非常に歯切れよく御回答いただいていますので、この程度の残高があるのは、どういう理由からなのでしょうか。1つ考えられるのは、退職の見込みが違ったということ。それから、縮減に努めてきたこと、いろいろ説明受けています。それから、もう1つ考えられるのは、業務のやり残しがあったのではないかなといろいろ考えられるのですけれども、当初の交付金72億に対して、1割以上の残高が残っているというのはどういう理由からでしょうか。
 これが22年度に繰り越されているわけですから22年度の業務に影響を与えていると思うのですね。それは粛々といいましょうか、予定どおりこなせたのでしょうか。その後に御回答をお願いできませんでしょうか。

【藤本研究総務官】  私どもとしては、法人の評価とか、そういった機会を通じて、法人がちゃんとやっているかどうかという評価をしているつもりでございます。確かに御指摘のようなことはございますけれども、業務がうまくいっていないというふうな認識にはございません。
 何といいますか、ちょっと正直なところがあって、1年使い残すと、次の年には使わないというようなものがかなり積み重なってきたというところは、5年間分完全に積み重なってきたという話がございますし、それから、生資研、環研はこれ1つしかないので、そこでの余剰なのでございますけれども、農研機構は特定業務、特例業務は別として、研究所がそれぞれのところで使っている費用が、最後、うまく融通し合えなかったというところはあるかもしれません。そこは、御指摘については十分考えられなければならんということだろうというふうに思っております。

【岡本臨時委員】  わかりました。では、追加的に質問させていただきます。

【富田分科会長】  はい。
 それでは、農業生物資源研究所につきましては、いったん議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆さんに置かれましては、御多用の中御協力賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、お願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、再度ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
 陪席者の皆様方は御退席をいただきまして結構でございます。


(陪席者 入替え)


 続きまして、農業環境技術研究所について、再び藤本研究総務官から御説明をお願いいたします。

【藤本研究総務官】  次に、環研に参ります。大分説明するほうも疲れてまいりまして、申しわけございません。
 環研でございますけれども、環研は支店がございません。これはつくば1店だけでございまして、そういう意味では、支部・事業所等の見直しのない、一番シンプルな形の研究所でございます。
 これも先ほど申し上げました生物資源研と同様、私ども、農林水産行政の中ではかなり基礎的な分野、こういった分野を担当していただいている研究独法でございます。これはいわゆる農業生産の対象となる生育環境についての基礎的な研究を行う研究所でございます。したがいまして、私どもといたしましては、地球温暖化が農業生産に及ぼす影響の評価でありますとか、生物多様性と農業生産との関係に関する研究、また、化学物質による、これは農作物の汚染リスク、こういったものを低減するような研究に、その研究勢力を特化させるという形で進めたいというふうに考えております。
 ちなみに、この環研というところは、今ほど地球温暖化が叫ばれていない時代、20年ぐらい前でしょうか、私が係長のころから、水田から発生するメタンを計測するという事業をやっていた研究所でございます。IPCCから、IPCCがノーベル平和賞をもらったときに、どうも協力してくれてありがとうという、直接この団体がノーベル賞をもらったわけではありませんけれども、どうも御協力ありがとうございましたということも言われたというぐらいの研究をしているところではございます。
 組織の見直しについてでございますけれども、これも先ほど申し上げましたとおり、この研究所は支店がございませんので、本所だけでございます。したがいまして、ここで書かせていただいたのは、種苗センターと生資研との統合だけでございますけれども、私どもとしては、基礎的分野をやっている2独法に、種苗管理センターという形で、いったんは決断しているところでございますけれども、これについてどういう回答の方式があるのか、また、先ほど来御指摘をいただいている農林水産省の政策実現のためにどういう研究独法の在り方がいいのかということについては、今後とも検討の対象となるというふうに認識しているところでございます。
 なお、運営の効率化及び自律化の見直しに係る具体的事項、これは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、いわゆる随契の排除でありますとか、それから政策部局の評価を的確に反映させるといった形で、基礎分野ではありますけれども、農林水産省の政策意図を体現すべく、その運営には努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、最後の10ページでございます。農環研の前回の勧告における主な指摘事項の措置状況でございますけれども、これも粛々とやらせていただいているということで、大変短い説明で、だんだん短くなっているのでございますけれども、こういうことでございます。
 よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました農業環境技術研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  この法人は基礎的な研究の分野を担当されているということなのですが、何月でしたっけ、視察に、つくばですよね、お邪魔したときに、基礎的過ぎるのでよくわからないのかもわかりませんが、研究成果と社会貢献との関係がよくわからない。すばらしい研究をされたという話は、先ほど御説明を受けて、そうなのかなとも思ったりしたのですが、どうも好きな研究を好きなようにやっているというイメージを視察に行ったときに受けてしまったのですが、基礎的研究だから説明しにくいというのもあるかもわかりませんが、社会貢献とか他の研究分野へのフィードバックとか、そういうことについて非常にわかりにくいのです。ぜひ、これについてもう少しわかりやすい御説明をしていただかないと、もしこれが本当に大事な研究であるならば、必要でないというような誤解を与える可能性がありますので、ぜひそれは、今この厳しい財政事情の中で、そういうものにお金をつぎ込んでいくわけですから、やはり研究成果との関係をもう少し明確に説明をしていただく必要があるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【藤本研究総務官】  御指摘どうもありがとうございます。
 先ほど申し上げましたとおり、この農業環境技術研究所の、最近では、最も大きな成果といたしましては、いわゆる農業分野の地球温暖化緩和策への貢献であろうかというふうに思っております。実は、水田というところは水を張りますので、土壌中にある有機物がメタンの形で還元されて出てまいります。このメタンというのは、普通の二酸化炭素に比べますと、その温暖化効果は二十数倍というようなスコアになっております。ですから、この農業を行う上での、農業が原因となっている、農業が犯人となっている、温暖化効果ガスの出し手としては、これは水を張る水田というのが、メタンの排出源というふうになっております。また、同じように畑では窒素肥料をやるわけですけれども、これは畑では、この窒素肥料が一酸化二窒素という形で、これはメタンよりもっと大きな温暖化係数を持っているグリーンハウスガス、温室効果ガスでございます。
 こういったものを、見えないガスの発生量、これを、環研では全国いろんなところの水田でこれをはかるようなことを行いまして、実際に、IPCCから提示された数字が、明確な数字は覚えておりませんけれども、水田に対してこんな大きな数字をかけようとしてきたというときに環研が、そんなには出ていないのだと、日本の水田はその半分ぐらいだという数字を、自分の環研のデータとともに突きつけをいたしまして、IPCCのデータを修正させたというような経過を持っている研究所でございます。そういう意味では、ほかの産業にとってそれがいいことかどうかというのはわかりませんけれども、農業にとっては、我々が排出している二酸化炭素の量は、実態の倍の量の義務をかけられそうであったところ、この環研の成果によって正しい姿に戻していただいたというようなこともございまして、私どもとしては、その成果に大変感謝をしているというところでございます。
 また、日本の米の場合カドミウムが、これは鉱山が多いということから、カドミを非常に吸うところがございます。特に秋田県、富山県といったところではカドミの含有量が高いというようなことがございます。これは、従来、米の食品衛生法上のカドミの濃度は、1ppmまでは一応、米ということでありましたけれども、近年、CODEXの基準等も改まりましたので、0.4ppmまで米で、0.4ppm以上は食べ物じゃないというふうに変わってまいりました。こういったところで、0.4のカドミを制御するというのは極めて難しゅうございます。1以上ですと、新しい土を持ってきてどんと埋めるしかないのですけれども、0.4というのはちょうど自然レベルのところで出てくることがございます。こういったカドミのコントロール、こういった技術もこの環研で作っていただいているというところでございまして、確かにおっしゃられるように地味な成果でございますけれども、私ども、農業を安全に行う、それから、国益としての、農業の国益を守るという点で、非常に大きな成果を果たしている研究所ではないかというふうに認識しております。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  大変力強い、ありがとうございます。
 ただ、私、研究者なので、すぐ余計なことを言いたくなってしまうと、申しわけない、例えばカドミウムの話は、化学洗浄をやっていらっしゃるのは、それ自体が環境にいいかどうかわからないのですけれども、例えば最近の新しい研究だと、遺伝子開発なんだと思うのですけれども、根にカドミウムを吸着して蓄積する、そういうものがもうできているわけで、そうすると、それを植えれば、食べるお米にはカドミは行かない。だけど、根に捕獲してくれるので、それを生やしておいて、根だけ別にすれば、こういう化学薬品を使った処理はいらないというような研究成果が報告されています。
 というように、先ほどお話しした研究計画を立てたけれどというのは、研究というのは日進月歩していてすごく変わっているし、本当にアンテナを張っていないと、ずっと、走り出しちゃうとなかなかとまらないのだけれども、そういう新しい研究がどんどん進んでいる。
 それから、肥料を加えると土壌が劣化する、そのとおりなのですね。今、世界の植物はどういう方向に研究が進んでいるかというと、根をよくして、根の水及び肥料の吸収率をよくする作物を開発しているのが世界の新しい傾向なのですね。そうすると、少ししか吸収しないと、たくさん肥料をやって土壌を悪くしているということなのだけど、そうではなくて、植物の方をいろいろ、別に遺伝子改変じゃなくてかまわないわけで、交配していってもいいのだけど、根をしっかり生やしてたくさん吸収するということになると、少ない肥料、少ない水で作物ができるというふうに、多分、世界の研究、世界全部じゃないですけど、進んでいるということで、私は最近、ワールド・フード・コングレスというところで、フード・サイエンス・テクノロジーというところで講演しなきゃいけなかったので一生懸命勉強したという付け焼き刃の成果だということもあるのですけど、でも、アンテナを張っているとなるほどなと思う研究があるので、先ほど申し上げたのも、研究計画、中期目標を立てたけれど、やっぱりいつもアンテナを張っていて、そういう新しいものができて、よりいいものがあったら、評価をして変えるとか、そちらを一緒にやっていくとか、そういうこともぜひお考えいただきたいなと。
 もう、カドミはすごいだろうと、確かにそうだし、政策レベルで1ppmじゃなくて0.4ppmになったというのもよくわかっていて、1食べても大丈夫だろうとは思うのだけど、そういうふうに標準が決まってしまうと、それに従わざるを得ないのだけれど、そのときのやり方として、今のこれをずっとやっていていいのかというようなことも、常に最先端の研究と、世界の研究の最先端の情報を見ながら進めていっていただくと、さらに力がこもった、私が日本の農業の環境も考えてやっているのだというあれになるかなと思うので、余計なことで、失礼しました。

【藤本研究総務官】  どうも御指摘ありがとうございます。
 今のファイトレメデーションと、それからいわゆる塩化二鉄のカドミ洗浄の話でございますけれども、確かに、根にカドミを吸う、吸わないの遺伝子はどこにあるというのは、最近、別のところで見つかったということは認識しておりますけれども、実は、ここの研究所でファイトレメデーションと、それから塩化二鉄洗浄法は、両方とも進めてきているという経過がございます。実際に、塩化二鉄のほうは、10アール当たりの工法が300万ぐらいかかるということもございまして、ファイトレメデーションの方が安いだろうということはございます。ただ、一気に洗浄してしまうにはどっちがいいか。要するに、時間をかけてやるのはどっちがいいか。それは、その地域によったり、それからそういう場所と、農家の希望とか、そういうのもございますので、私どもとしては、今御指摘されたような技術があるということも認識しておりますし、それから、この研究所として塩化二鉄だけではなくてファイトレメデーションも従来からやっていて、そういう蓄積もあるのだということは御理解をいただきたいというふうに思っております。
 それから、肥料の件でございますけれども、私、何でこの辺詳しいかというと、私、土壌保全班長というのをやっておりまして、実はここ、行政の専門でやらせていただいたのであれなのですけれども、日本の場合には、特にリン酸という世界で非常に足らない資源をどうするかという問題がございます。日本には火山灰がいっぱいあって、火山灰というのはリン酸がきかない土壌ということがございます。ですから、農家がたくさんリン酸を入れているというようなところがございます。この土壌中に入ってきかなくなってしまったリン酸を、植物にどううまく使わせるかというようなことも、実は我が方の研究所の重要な課題になっております。これは先ほど申し上げました農研センターでも、実際、両方でやっているということがございまして、正直申し上げまして、統合問題の件がございますので、どっちでやっているということは申し上げませんけれども、非常に重要な研究をやらせていただいているということを御認識いただければというふうに思っております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、農業環境技術研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。また同じことを繰り返しますが、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用な中御協力賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 陪席していただけました皆様方には、御退席をいただいて結構でございますが、藤本研究総務官におかれましては、引き続き、国際農林水産業研究センターについて、御説明をお願いいたします。


(陪席者 入替え)


【藤本研究総務官】  続きまして、JIRCASの説明をさせていただきます。 JIRCASでございますけれども、この研究法人は、熱帯及び亜熱帯に属する地域、その他いわゆるアジア・アフリカを中心とする、開発途上にある海外の地域における農林水産業の技術上の試験及び研究を行っている法人でございます。これ、単純な技術協力をしているというわけではなくて、技術開発、研究開発をしているというところが、この研究法人たるゆえんであろうかというふうに思っております。
 資料2−8の1ページでございますが、事務事業の見直しに係る具体措置というふうにいたしまして、これはほかの研究独法と同じでございますけれども、研究基本計画に即して、また、政策部局からの要請を踏まえて、その研究課題について設定をするというふうにしていきたいわけでございますけれども、具体的には、国際的な技術開発ニーズを踏まえつつ、国際的な食料需給の安定及び枠の食料安定供給に資する研究を強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 これは組織の見直しに関する具体的な措置といたしましては、沖縄県の石垣に研究拠点を持ってございます。私どもとしては、この熱帯及び亜熱帯に属する地域の研究という意味で、この支分局は非常に大切な支部であるというふうに認識してございますが、その必要性について、業務の在り方ともに、私どもとしては引き続き精査をしていくというふうに考えているところでございます。
 続きまして、運営の効率化のところにつきましては、先ほどの3独法と同じように、この法人につきましても、いわゆる随意契約の排除、並びに、これも政策部局の評価を的確に反映させるということを通じて、政策部局の要請を踏まえた研究を進めていくようにというふうに考えているところでございます。
 それから、この団体の前回の御指摘でございますが、10ページでございます。これにつきましては、粛々と措置をさせていただいたということでございます。4法人目になってまいりますと、もうほとんど説明することもなくなってまいりまして、大変申しわけないのでございますけれども、簡単でございますが、説明は以上でございます。

【富田分科会長】  御説明ありがとうございました。
 国際農林水産業研究センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。
 樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  このJIRCASというのですか、これにつきましても視察をさせていただきまして、理事長ともいろんなお話をさせていただいたんですが、これにつきましても、ほかの研究法人と、国際版なのか国内版かの違いはありますけれども、それは1つの法人であったほうが、実際、相当の交流をされていて、ここの法人、人数がそれほど多くないということもあって、非常に人的にも支援を受けていると、こういう話なのですね。そうすると、わざわざ国際的なものを1つまとめてつくる意味というのが、どの程度あるのか。あったほうがより効率的で有効なのか、そうじゃなくて、むしろ一体化したほうが、よりいろんな多様な連携ができるので、より有効かつ効率的なのかということが、多分問題になると思うのですが、それにつきましてはどのようなお考えをお持ちなのか。
 それから、ちなみにこのJIRCASというのは、あまり知名度が、国際的にやっているので、国内ではあまり知名度がないというのもわかるのですけれども、実は理事長にお話を聞いたら、実は理事長になる前はわからなかったということをおっしゃっていたぐらいな、地味と言えば地味、こつこつやっていると言えばこつこつ、それは評価できるかもわかりませんが、そういう観点から見て、本当に単独で国際的な、一々くくらなきゃいけないのか、ほかで国際的なものを1つにくくっているというのを見たことがないので、それについて研究法人でないので、それとの関連もありますので、ぜひ御意見をお聞かせいただけたらと思います。

【藤本研究総務官】  いわゆる研究法人をどういう形で置いておくかということであろうかと思います。非常にこの団体、今御指摘ございましたとおり人数も少ない、それから、熱研と呼んでいる時代のほうが、我々にとっては有名だったかもしれないのですけれども、名前が長くなってから、私もJIRCASという名前以外は覚えられなくて申しわけないのでありますけれども、理事長が知らないというのは、ちょっと、えっという感じがするのでございますが、実は、この国際協力をしながら、いわゆる共同研究という形で国際研究を進めていくというような組織としては、フランスに国際農業開発研究センターというものがございます。これを別にまねして、これがあるからこれでいいのだということではないのですけれども、まず、今このJIRCASが行っている開発途上国との共同研究、特にここが今力を入れておりますのは、DREBという遺伝子、つまり、乾燥したときに、水がなくても生育していける植物というのはちょっと言い過ぎでありますけれども、そういうストレス、水ストレスであるとか、いわゆる周りの環境ストレスに強い遺伝子というのがございまして、それをアフリカ・アジアの国々の作物に導入するというようなことをやっているわけでございます。
 こういった共同研究をするという意味で、こういう今のような組織がよいのか、それとも、ある意味でやはり応用的な研究をされているところであります。東南アジアなら東南アジア、アフリカならアフリカというところで応用的な研究をしながら、相手国の農業技術力を上げていくというようなことをやっているというような、そういうことでもございます。
 それから、私どもは性格が違うというふうに感じているところでございますけれども、いろんな、多方面からは、技術協力をやっているところと一緒にやったほうがいいのではないかという御指摘をいただいているところもございます。私どもとしては、現状、ここでは先ほどの3法人の行く末というのもございますので、現状維持というふうに書かせていただいてはおるのでございますけれども、各方面からの御意見、いろいろといただいておりますので、どういう形がよろしいのか、それとも今の形で、小なりといえども、こういう形で独立しておくのがいいのかということについては、私ども、年末にかけて真摯に検討させていただければというふうに考えているところでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 はい、黒田委員。

【黒田(玲)委員】  2つ教えていただきたいのですけれども、石垣島にセンターがあるというお話だったので、この間見学させていただいたのですけれども、今、直接東南アジアのほうに行っていろいろやっているので、沖縄、熱帯だったからあるという歴史的なものがあるのかもしれないけど、何で今沖縄で研究をして、どんな研究をしていて、そこじゃなきゃできないのかということを、もし、わりと技術協力みたいなものをやるのであって、別に沖縄で一遍やってみて、熱帯に近いからといってやってみて、東南アジアにやるということでは、おそらく今、研究はそういうふうにやらないのではないのかなと思うんですが、私、間違っているかもしれません、その辺のプロセスを教えていただきたいということが1点。
 2点目は、こういう技術協力というと、やっぱりODAとか、そういうことが非常に強く関連してくると思うのですが、それとの連携なんか、一言も上がってこなかったんだけども、どうなっているのでしょうか。その2つを教えていただきたいと思いました。よろしくお願いします。

【藤本研究総務官】  石垣でございますけれども、いわゆる熱研として、昔からJIRCASでこういう研究をしていたというところはございますけれども、実際に日本の中の地域を、あそこを使って、いわゆる珊瑚礁の上の土壌を使って農業技術を開発するという意味では、いろいろと御指摘をいただいている施設もあるようでございますけれども、あそこでの研究施設というのが、いわゆる島しょ部での、珊瑚礁の上にある水をどういうふうにして使うかというような地域での農業研究というのは、実はあそこでしかできないので、私どもとしてはあの施設の重要性というふうに認識をしているところでございます。
 実際に東南アジアでやるものをあそこでやってから持っていくということをやっているわけではないのですけれども、あそこにあります施設で、いわゆる亜熱帯型の農業の中で、なおかつ、沖縄の珊瑚礁の上の土壌ということを考えますと、実は、ほかの研究センターに、御指摘としては、ほかの研究所と統合するほうが有効ではないかというようなことも御指摘の1つであろうかというふうに思いますけれども、そこの、どこと一緒にしてあの研究施設を使うのがいいのかということについては別途検討するといたしまして、あそこの珊瑚礁の上に乗っている農業研究施設というのが、我が国の農業技術にとって重要な位置付けがあるということは御理解をいただければというふうに思っております。
 それから、ODAとの関係でございます。それは先ほどちょっと、ちらっと私のほうから先走って申し上げましたけれども、そういう技術協力をやっている法人と一体とするのがいいのか、それとも、私どもとして応用的な研究をやっているところと協力しながらやるのがいいのか、はたまた、今のように小なりといえども独立してアジア・アフリカの技術協力という形で、技術協力といいますか技術開発をすると、いわゆる研究開発をするという点を強調してやるのがいいのか、特に相手国政府だけでなくて、IRRIでありますとか、そういった国際的な研究機関との共同研究ということもございます。こういった、各方面からの御指摘と、それから今の研究の在り方ということを少し総合的に検討させていただけないだろうかというのが、現時点での我が方の意思でございます。

【黒田(玲)委員】  わかりました。現在はODAと何か技術協力関係等、実際のプロジェクトが走っているということがあったら、後で結構ですので教えていただきたいと思います。

【藤本研究総務官】  はい。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 河野委員。

【河野臨時委員】  資料2−8の1ページですが、業務の重点化というところに国際的な技術開発ニーズを踏まえてということでありますが、ここが国際的な農業関係の課題を研究するということで、こういう書き方になっていると思いますが、このニーズはどうやってつかむのか。
 それから、このJIRCASの資料を見ますと、地域がアジア・アフリカ、南米も書いてありますが、この地域をどういうふうな形で限定するというのか、どういうふうな地域割りで研究を進めるのか。
 それから、国際的機関とどういうような共同作業が行われているのか、行われていないのか。あるいは役割分担、そういうことがあるのか、ないのか。
 それから、課題設定に絡めて、我が国の農業との関係などはどの程度見ているのか、見ていないのか。そういうことについて御説明いただければ。

【富田分科会長】  お願いします。

【鈴木課長】  十分にお答えできるかどうかわかりませんが、ニーズはどうやってという話でございますけれども、基本的に熱帯地域、もしくは亜熱帯地域における農業についての研究を行うということでございますので、長年にわたる研究の蓄積が、実は熱研の時代から始まりまして、あるわけでございます。そういったパートナーになる研究機関との話し合いの結果を踏まえて、研究ニーズを特定した上で、お互いできることを話し合って、共同研究、お互いにメリットとなるような形で展開していくというのが理念でございます。相手方のあることでございますので、その相手方の意見を尊重しながら進めていくとのが原則でございます。
 地域的な分布でございますけれども、歴史的に見れば、東南アジアが多くございましたけれども、だんだん国際協力の広がりを踏まえまして、南米地域ですとか、最近ではアフリカにも手を広げているという状況でございます。ただ、人的にはかなり制約がございますので、限られた制約の中で、政府としてのプライオリティーを踏まえつつ、地域的なニーズについても対応しているというのが現状でございます。
 国際機関でございますけれども、特に国際農業研究グループと、CGIARと申しておりますけれども、そういった研究グループが国際的にございまして、JIRCASはここの、フォーカルポイントといっておりますけれども、日本の研究機関の窓口になるような役割を果たしております。その意味で、国際機関との共同作業というのが日常的に行われておりますし、実際にJIRCASを通じて日本の研究機関が国際農業研究機関と協力し合うと、お互いを結びつけるような役割というのを、このJIRCASが結節点になって担っているということがございます。
 我が国の農業との関係ということでございますけれども、特に沖縄、九州のあたりの気候に関しましては、亜熱帯の気候がかなり、気候的にも近くございますので、そういった地域に役立つ研究についてもJIRCASの方で行っております。また、特に近隣国、例えばベトナムから来る越境性の病害虫についての研究等は、国内における果樹の防除とか、そういったことを念頭に行われておりまして、国内の農業に資するような研究を、ただ単に国際貢献ではなくて、国内の農業に資するような研究を重点項目としてやっていただいているという状況でございます。

【河野臨時委員】  ありがとうございます。今のお答えで1つ質問があるのですが、結局、課題研究に当たって国際的なパートナーと協力による、課題の設定というのが一番大事だろうと思いますが、これはパートナーとどういうような形で話し合いがあって、ここは日本でやってくれとかいうか、そういう話し合いのもとで決まるということなのですか。パートナーというのはどれぐらいの数があるのでしょうか。

【鈴木課長】  MOUを110件、いろんな国の機関と結んでいるということでございます。かなり手広くいろんな機関と話をしているということで御理解いただければと思います。

【河野臨時委員】  すいません。一堂に会してということでありませんから、それぞれいろんな機関に行って、それで抽出してきて、最終的にはどこで決めるのですか。

【鈴木課長】  最後の最後は、結局JIRCASとして対応できる分野、それから予算の制約等を踏まえた上で検討しなければなりませんので、JIRCASの中で戦略的な委員会を設けまして、事業の見直しについて検討しているという状況でございます。そういったことを通じて、それぞれのJIRCASの役割というのを見きわめつつ、できる範囲で役割を見定めていくということをしているというふうに理解しております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  これも担当ではないので場違いな質問かもしれませんけど、今のお話って、これはJICAの農業版と考えればいいのですか、性格は。JICAの農業版に研究機能がついてると。

【鈴木課長】  JICAが基本的に行いますのは、途上国のキャパシティービルディングですとか、もしくは技術的な問題についてのアドバイスということだと思いますけれども、実際問題としては、途上国の農業についてまだわかっていないこと、これから研究しなければならないということが結構ございまして、それについての知識、知見というのを補うための機関が必要だということかと思います。

【岡本臨時委員】  そうすると、JICAのいわゆるODAのような要請主義ではなくて、こちらの方から働きかけて必要な農業開発を提案している、イメージですか。

【鈴木課長】  いや、というか、例えば途上国の現場に応じた技術として、何が適用可能なのかということについて既にわかっている場合にはそれについて要望が来て、それに対して日本として対応できるかどうかということを検討するということになると思うのですけれども、そもそも途上国の現場で何が必要とされていて、どういう技術が提供可能なのかということについて、十分な知見がまだないのですね。それについての研究をするために、例えば国際農業研究についての努力がいろんな形でなされているわけですけれども、その一端をJIRCASが担っているということでございます。
 ですから、JIRCASも含めた国際農業研究の場で明らかになったことが、さまざまな形で途上国の技術協力にも役立っていくということかと思っております。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【岡本臨時委員】  そうすると、ちょっと大きな話になって恐縮なのですが、我が国のいわゆる外交政策というか、そういう部分で、特に農業部分に関しては、必ずこのセンターを通じて、農水省なんかに情報が入ってくるということでしょうか。イメージは、どれほどここのセンター、あるいは農水省が一生懸命やられても、結局我が方は、途上国にある意味で技術供与をしているわけですから、我が国の国民に何かメリットが、これをこういう場で言うのはあれかもしれないですが、返ってこないといけないと。そうすると、全体の外交政策の中で、農業分野ってどれほど位置付けられていて、このセンターが存在することで、どれほど我が国全体にとってのメリットがあるのだろうかという観点があるのかなと思っています。そうすると、このセンターがなくなると、いわゆる今までやってこられた農業の部分の、いわゆるODAというのはなかなかうまくいかないと言い切ってよろしいのでしょうか。

【鈴木課長】  ODAとの絡みでこのセンターが存在するというわけでは必ずしもないと思います。ただ、このセンターが存在して、途上国の農業研究について従事していることで、我が国の食料安全保障にかかわるような途上国の食料問題、それについての解決の道というのが発見できればということかと思っております。

【岡本臨時委員】  わかりました。ありがとうございます。
 そうすると、いわゆるJICAの専門家派遣みたいなところで、いわゆるODAのコンサルタントが派遣されますよね。そのようなところにここの職員の方が出るということはあまりないのですね。

【鈴木課長】  職員の交流というのはありますし、事務方でも人の交流がございます。また、実際にJICAの専門家と形で出ていく研究者の方もいらっしゃいますけれども、JIRCASの職務として、組織的にJICAに人を出すことを任務としているということではございません。

【岡本臨時委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  よろしいでしょうか。
 それでは、国際農林水産業研究センターについては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様、とりわけ藤本研究総務官には、長い間御説明賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務事業の見直しに関する審議をより一層深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、また必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【藤本研究総務官】  どうもありがとうございました。大変失礼を申し上げまして、大変申しわけございません。長時間どうもありがとうございました。

【富田分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ここで15分程度休憩をとりまして、再開予定は15時45分です。


( 休  憩 )


【富田分科会長】  それでは、再開いたしたいと思います。
 水産総合研究センターについて、水産庁成子部長から御説明をお願いいたします。全体の時間の関係もありますので、御説明、5分程度でお願いいたします。

【成子部長】  水産庁の成子でございます。それでは、簡単に御説明を差し上げたいと存じます。
 もう既に見直しの当初案、それから参考にお配りをさせていただいております概要等については、お目通しされているということだと思っておりますが、あえて再度申し上げたいことだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 水研センターの見直しの方向性のところに、研究開発事項を重点化というのがございますけれども、これだけではよくわかりませんので、少し御説明をさせていただきます。
 御案内のように、国連海洋法条約によりまして、排他的経済水域におけます海洋水産資源の管轄権というのは沿岸国にございます。ただ一方で、その管理も沿岸国がしないといけないということになってございます。
 これは、サケ・マスに関します溯河性魚類についても同じでございます。こういった関係から、関係諸外国におきましても、こういった水産の管理、研究機関と申しますのは、国の機関、あるいは水産総合研究センターのような独立行政法人のような国が関与するところで調査研究が実施されているというのが、他の諸外国においても同一の傾向でございます。
 それから、その他の公海を含む種々の魚種でございますけれども、御案内のとおり、大西洋のクロマグロで昨年、非常にマスコミをにぎわせましたけれども、国際資源を行う条約は多数締結されておりまして、我が国も積極的に参画をし、資源管理のリーダーシップをとっているところでございます。ただ、これには、国際資源に関しますいろいろな知見が当然必要になってまいりますので、こういった資源の状況を把握することも極めて重要ということと思っております。
 他方、最近、テレビ、マスコミ等で多く水産関係の記事が取り上げられておりますけれども、トピック的な問題が多々ございます。いい話題からいきますと、ウナギやクロマグロの完全養殖に向けた動きでございますとか、悪いお話ですと、昨年に起こりました大型クラゲ、これが日本沿岸に大量に襲来いたしました。今年は八代海で極めて大規模な赤潮が発生しております。これによりまして、スーパーの総菜のブリが高騰しているということがございました。また、記憶に新しいところでございますけれども、漁船が相次いで海難事故で沈没した、こういった課題もございます。
 こういった継続的な課題とトピック的な課題、こういったものにそれぞれ対応していく必要があろうと思っております。資源状態を把握する継続的な課題につきましては、地球温暖化ですとか生物多様性、こういった観点からも今後継続する必要があるわけでございます。
 他方、トピック的な課題に関しましては、主要な海区ごとに水産研究所が配置をされておりますけれども、こういった海区をまたがって広く連携をしていく、こういったことが求められているところでございます。また、栽培漁業センターというものもございますけれども、海区の水産研究所とこういった栽培漁業センターのようなところが連携をいたしまして、しっかりと調査をしていくということも必要になってまいります。
 そういった組織の柔軟な運営体制でございますとか、あるいはより海区をまたがりました効果的な調査を実施していく、こういうことが今後の検討の重要な課題だろうと思っておりまして、私ども、こういった点につきまして、今後検討を続けていきたいと思っております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  御説明、ありがとうございました。
 それでは、水産総合研究センターの見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。河野委員、お願いします。

【河野臨時委員】  サケ・マスのふ化放流事業についてお伺いします。8月でしたか、十勝の事業所に視察に行ってまいりまして、どういうことをやっているかということを説明いただきました。ありがとうございました。
 このサケ・マスのふ化事業というのは、個体維持のためにやっているということでありました。サケ・マス自体が北海道でとれ、ほかのところでも遡上するというのはありますが、基本的には漁獲高としては北海道限定版ということであります。そこで第1番目の質問は、このサケ・マスのふ化放流事業については、水研センターでやらなければならないのか。北海道の道庁ですが、こういう事業をできないのかということが第1番目の質問であります。
 それから、2番目ですが、これもワーキングのヒアリングのときに質問したと思います。北海道で幾つかのサケ・マスに関するエリア、オホーツク海、根室海峡、太平洋よりの西と東と日本海と、こういう幾つかエリアがあるようでありますが、この十勝と帯広は同じエリアでありまして、十勝の場合は、人員が2人ぐらいであります。帯広等と合併ができないかという質問をしたところ、帯広は技術普及、モニタリング調査、中核的施設で、十勝はサケの養殖で、仕事が違うという回答を頂いたのですが、再度質問したいと思います。例えば十勝を同じ漁種の同じエリアということで帯広の側に統合ができないのか。同じようなことは、当方の事務で調べたところ、渡島と八雲ですか、これについても同様の関係にあるように見えますが、これについての統合というのか合併というのか、施設の合併ということはできないのかという質問でございます。
 以上です。

【成子部長】  それでは、お答えさせていただきます。
 まず、道庁のふ化場のほうに持っていけないかというお話でございますけれども、私ども水研センターがやっておりますのは、個体群の維持を目的としましたことでございまして、道庁でしていただいているのは、資源の増大ということを目的としたふ化放流ということでございます。
 私ども、やはり主要河川の個体群の遺伝的な系群というものをしっかりと残していかないといけないという観点で、この部分は水研センターでやらせていただくという区分けをさせていただいております。
 道庁は、やはり北海道の道の漁業者の方々の漁獲量をアップするために、それだけ資源量をアップするために目的として積極的な放流をされているというところでの違いがあるのではないかと思っているところでございます。
 あと、2つ目の御質問でございますけれども、それぞれの事業所の統合の話でございますけれども、先ほどおっしゃられましたように、帯広では、民間の方々への技術普及を中心にやらせていただいておりますが、十勝では、今申し上げましたような個体維持のための施設を持ってやっているということでございます。
 今後はどういう形でやっていけばより効率が図られるかということで、そういった意味での検討はさらに進めていきたいと思っております。

【河野臨時委員】  今のお答えで、追加的な質問ですが、独法が個体維持で、道庁が資源増大ということでありますが、民間業者も資源増大といいますか、やっていると思います。道庁も公の組織であれば、今は道庁は資源増大でやっていますが、個体維持ということで仕事をするといいますか、公の組織でありますから、そういうことを担うという役割をお願いするということは難しいのでしょうか。

【成子部長】  今道庁でやっていただいておりますのは、来遊予測、北海道周辺にサケ・マスが今年どれぐらい戻ってくるだろうかという来遊予測というのを逆に水研センターから道庁に移管をしてございます。道庁では、そちらのほうを中心にやっていただいている。それは、漁業者の方々の網を入れるタイミングですとか、やはり予測に基づきまして、必要な来年の稚魚を生産するための卵を確保しないといけないものですから、そういった予測を漁業者に直結する部分でございますので、道庁にお願いしているということでございまして、そういうところでの役割分担というのはできているかなと思っております。

【河野臨時委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  田渕委員、どうぞ。

【田渕臨時委員】  今、さけますセンターのお話だったのですけれども、栽培漁業センターについても10カ所、あると思うのですね。これらについて、それぞれの箇所の設置の必要性について、今でなくても結構でございますので、後ほど、なぜ10カ所が必要なのかというものの説明の資料をいただきたいというのが1点。もう1点、都道府県のこうした栽培漁業センター、たしか62カ所設置されていると認識しているのですけれども、都道府県におけるセンターの設置目的というものも、おそらく把握をされていらっしゃると思うのですね。そうでないと、ナショナルセンターとしての差別化はできませんので。都道府県がどういう目的で62カ所に栽培漁業センターを設置しているのかという資料も併せて御提供いただきたい。その中で、ナショナルセンターとして、どういう位置付けで役割分担をされているのかということを御説明いただきたいということでございます。
 今の点は後で資料をいただければいいのですけれども、現行の中期目標期間中に6つの栽培漁業センターを水産研究所の下部組織にされる、とある。そのメリットについて、どのようなものを想定していらっしゃるのか。今申し上げた、必要性を求めた残りの10カ所についても下部組織に一緒に統合することはできないのかどうか。そのあたり、今コメントいただけますでしょうか。

【成子部長】  後ほど詳しい資料は御提出させていただくとしまして、栽培漁業センターの設置の必要性でございますけれども、都道府県のセンターとの役割分担というのを作っておりまして、私どもはやはり種苗生産の基礎的な技術開発、こちらを中心にさせていただくということを目的としております。ここで種苗生産の技術が確立いたしましたならば、各県のセンターに種苗生産をお任せして、各県で種苗の放流をしていただく。こういう大きな区分けがございます。
 先ほどおっしゃられましたように、海区水研のもとに栽培漁業センターを置かせていただいたわけでございますが、これの一番大きなメリットと申しますのは、やはり魚というのは広く移動いたします。したがいまして、魚の資源状況、放流効果、こういったものを追いかけていこうといたしますと、栽培センター事業のメンバーではとてもそういったことができませんので、海区水産研究所の資源部の協力を得て、放流効果でありますとか、放流をどこでやれば一番効果的であるか、そういったことの調査研究をしていただけるということで、栽培漁業をより積極的に展開していく上では、やはり海区水研と一緒になっていくのがより有機的、効果的な連携かなと思っております。

【田渕臨時委員】  コスト的にはメリットがありましたか。

【成子部長】  コスト的なことでございますけれども、今申し上げましたように、より効果的な放流をどうすればいいかということについて、今連携中でございますので、そういう意味でのコスト的な計算というのはまだ十分できておりません。

【田渕臨時委員】  10カ所についてはいかがですか。

【成子部長】  10カ所の部分につきましては、今それぞれ必要性等々を検討しているところでございます。それぞれの10カ所につきましても、特定の魚種について種苗生産の可能性等々、調査研究しているところでございますので、したがいまして、そういったものについて、海区水研と連携していくことが重要であるとしますと、やはりそういった傘下に入っていく必要があろうと思っております。

【田渕臨時委員】  必要性の資料に併せて、どういう検討をされて、今後どういう方向を見られているのかといった部分も御提示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  基本的なことがわかっていないので教えていただきたいのですけれども、栽培漁業と養殖というのは、栽培漁業の方はもう放流をするのですか。

【成子部長】  放流でございます。

【黒田(玲)委員】  放流なのですね。そうすると、ここでクロマグロの話が出ているけれども、最近、すごく話題になっている、前からずっと話題になっていたのですけれども、商業化ということで近畿大学が完全養殖ということで豊田通商と商業化ベースに乗せるという話が出てきていると、この栽培漁業センターでのクロマグロのプロジェクトはもういいかなということになるのですか。その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

【成子部長】  決して近畿大学さんを悪く言うつもりは全くないのですけれども、実はクロマグロの卵をとるというのは非常に難しゅうございまして、近畿大学さんでもされておられますのは、海上に大きないけすをつくりまして、そこで親魚を飼いまして、産卵活動が始まりますと、研究者の皆さんがすべていけすに行きまして、金魚すくいのごとく、産卵された卵をとって、それを飼って種苗を作るという状況でございます。
 したがいまして、昨年は非常にふ化率がよくて、3万尾程度のものが作れたと、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、実は国内で必要なクロマグロの、現在養殖が行われておりますが、種苗数といいますのは、おそらく途中で死ぬ量も含めますと、100万尾程度はどうしても必要だろうと思っておりまして、そういう意味では、完全に養殖の方々の需要にお答えできるだけのものはまだ作れていないというのが実態だろうと思っています。
 それと、先ほど申し上げましたように、海面いけすでどうしても採卵をするといいますと、自然の海況条件に左右されまして、自由にコントロールできて採卵ができるということではございませんものですから、自然環境に毎年大きく左右される、こういったデメリットがございます。こういった点をやはりこれから改善していく必要があろうと思っておりまして、まだまだ改善すべき点があろうと思っております。

【黒田(玲)委員】  その改善するのは近畿大学がするのね。こちらが一緒にやるとか、そういうことですか。あるいは、こちらも粛々と栽培漁業の方をもっとよくしようとなされているのですか。

【成子部長】  はい。やはりこちらの方はその基礎的な部分、特に人工的に産卵をさせるにはどうすればいいかとか、そういった部分についてはやはりこちらがやるべきではないかと思っております。この部分につきましては、実は近畿大学さんとも情報交換をさせていただいておりまして、やはり近畿大学さんの方からも、そういった基礎的な部分についてはしっかりと国のほうでもやってほしいと言っていただいているところでございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  私の方は、調査船についてお聞きしたいと思っております。現在、9隻の調査船を保有していらっしゃるのですけれども、これは都道府県でも漁業調査船というのをやっているわけですか。調査をやっているわけですか。まず、都道府県での漁業調査と、独立行政法人がやっている調査の中身の違いと、簡単に、素人で言えば、地方でやっているのであれば、そこについでに目的が違うのであれば、違うものを一緒にやってもらうということができないかとか、あるいは用船ができないかとか、そんな単純な疑問があるのですが、それについてはどういうことなのかということであります。あるいはまた、都道府県の漁業調査船で調査をまとめられていると思うのですけれども、水産センターでの活用状況、どのように活用されているのかということであります。それについての御説明をお願いしたいと思います。

【成子部長】  都道府県の水産試験場との連携は60年以上を経ております。これはやはり我が国周辺の資源状況ですとか、その年々の漁況情報、それから海況情報、こういったものをやはり共有していかないといけないと。お互いに調査をして情報を共有しようということで、連携でやらせていただいております。
 ただ、各県のほうは、やはり各県の地先沖を中心とした調査ということでございます。そういったことを中心に各県で調査をしていただいております。先ほど申し上げましたように、魚はその自県沖だけでとどまるものではございませんので、広く回遊をいたしますものですから、広く回遊していくその横の調査、こういったものを水産研究センターでやらせていただいているというところでございます。大きく分けますとそういう区分けでやらせていただいております。
 先ほど申し上げましたように、資源の評価を行います際には、水産試験場、それから水研センターでお互いに担当者が集まりまして協議し合いながら、そういった分析をしているという状況でございます。

【富田分科会長】  どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  今のお話の中で、そうすると、それぞれ魚が移動します。各県でそれぞれ目的の調査をやりますと。これ、つなげると全体がわかるという単純なものではないということですね。また別の全体を見るような仕組みがないと調査ができないと、こういうふうな説明だということですか。

【成子部長】  はい、おっしゃるとおりでございます。

【樫谷分科会長代理】  それからあと、調査船9船の稼働率ですね。つまり、そんなに稼働していなければ、用船ということもできるかもわかりませんので、むしろそちらの方がトータルコストは安いかもわかりませんので。9隻の稼働率はどの程度なのか。それは後で結構でございますので、御提出いただけたらと、こういうことでございます。
 以上です。

【成子部長】  後ほど稼働率は提出させていただきますけれども、今おっしゃられました用船での活用ができないかということでございますけれども、例えば今年発生いたしました八代海の赤潮なんかがございますけれども、なかなか八代海のようなところで調査ができる船がないものですから、私どもはそういう意味では、地元の漁船を用船させていただいて、それで研究者が乗り込んで調査をするといったことも今考えているところでございます。今後、漁船の用船というのも選択肢に入ってくるものと考えております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  水産総合研究センターは、農水省、農水関係の今回見直しの10の独法の中では、どちらかというと森林総合研究所みたいな感じがします。というのは、ほかのところは皆くっついているというか、相互に関係がある。森林総合研究所の場合、温暖化の問題とか、林業の再生ということが当初見直し案のところにありますが、水産センターの場合、国民に安定した魚を供給するというか、そういう研究が使命の中にあると思います。安定したという場合に、これから多分、漁業に就労している人の老齢化とか、あるいは就業者の減少という傾向が見られるようですが、これに伴う減少分を輸入だけでカバーするということでなくて、日本の漁業の今の老齢化とか就業者の減少をリカバーするにはどうすればいいかという社会学的研究課題ということになるのですか、こういうことについては何か取り上げてやっておられるのでしょうか。

【成子部長】  実際にそういう社会学的な研究というのは行わせていただいておりますけれども、ただその一方で、実際に老齢化が進んでおりますので、老齢化した漁業者の皆さんでも操業が継続できるような、そういう効率化の機材の開発でありますとか、あるいは養殖の仕方でありますとか、そういったことについても研究をさせていただいているところでございまして、先生御指摘のようなことについて、今後も対応していきたいと思っております。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、水産総合研究センターについては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。御説明をいただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りましてありがとうございます。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、主要な事務・事業の見直しに関する審議を今後さらに深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は質問できなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願い申し上げます。御説明、ありがとうございました。


(陪席者 入替え)


 引き続きまして、水産庁成子部長より、水産大学校について御説明をお願いいたします。同じく、御説明、5分程度でお願いいたします。

【成子部長】  水産大学校につきましては、事業仕分け第2弾で取り上げられまして、他の法人との統合を検討、事業規模についても検討という結論が出されたところでございます。この他の法人というのは、事業仕分けの席上出ましたのが、東京海洋大学ということでございました。この東京海洋大の前身は東京水産大ということでのイメージで御議論をいただいた次第でございます。これについての検討状況について、まず御報告をさせていただきたいと存じます。
 海洋大との協議につきましては、水産大学校の理事長とともに私が海洋大に出向きまして、海洋大の学長さんと過去4度ばかりにわたりまして協議をさせていただいております。
 その中の経過報告でございますけれども、まず海洋大におかれましては、既に鹿児島、長崎両水産学部を有する大学と専攻科の希望者の受け入れをされているということでございます。両大学から10名ずつの専攻科の希望者の受け入れ枠を設けていると、こういうことでございました。
 ただ、やはり各大学ともに目指すところがいろいろございますものですから、カリキュラム等の統一に非常に苦労されているということでございました。その結果、専攻科に必要な座学の大部分を東京海洋大で受けていただくということになりまして、したがいまして、まず生徒さんはカリキュラムを集中的にやらないといけませんので、カリキュラム的な無理があるということと、経済的な負担というのが非常に伴うということをおっしゃられておりました。やはりなれ親しんだ土地から東京に出てきて住まないといけないということでございますので、この専攻科の1年間、わざわざお金を出さないといけないということで、非常に経済的な負担が大きいということが大きな課題となっているという御指摘がございました。
 一方で、水産系の大学でこういった専攻科を設ける必要性ということについての意見交換をさせていただいております。その中で出ておりますのは、やはり一般の商船とは異なる動きを水産系の専攻科では求められるということでございました。具体的に申し上げますと、商船の場合は、目的地に向かって荷を安全に運べばいいわけでございますが、水産系の専攻科の場合は、例えば定点の調査を行う場合には、その定点にとどまらないといけません。したがいまして、潮の流れですとか風の流れ、そういったものをすべて読まないといけないわけでございまして、そういった意味で、すべて船の動かし方というものが一般の商船系と違う。したがって、やはり水産系の教育機関の養成はどうしても必要だと、こういうことが協議の中で話題として出てきているところでございます。
 また、海洋大の今後の専攻科の方向性でございますが、お聞きしましたところ、専攻科終了後も就職するのではなくて、再び大学院に戻っていただいて博士課程をとってもらうということで、高度な船舶を熟知した研究者、あるいは調査会社の幹部を育てる、こういう方向に自分たちは持っていきたいのだということをおっしゃられておりました。
 それに対しまして、水産大学校の場合は、平成22年で申し上げさせていただきますと、全国47都道府県から生徒さんがお集まりになっておられます。また、就職に関しましても、地方の中小企業を含めた全国の水産関連会社に就職をしていただいております。そういった意味で、即戦力の人材育成ということを目指しておりますので、そういった意味での方向性の違いというのがかなり明らかになったかなと思っているところでございます。
 今後、さらにまたこうしました両大学の検討、協議を進めまして、見直しの方向性に生かしてまいりたいと思っております。
 なお、今考えております見直しの1つといたしまして申し上げさせていただきますと、現在、水産大学校の専攻科は、航海士25名、機関士25名の計50名でございますが、今非常に需要が高いのは、機関に対する需要が高くなってきております。航海士の方も当然高いわけでございますが、機関の方に対しまして非常に強いということもございまして、こういう25人対25人という決まった数字ではなくて、その時々の需要に合わせた専攻科の配置がえというものも今後視野に入れていきたい、見直しの対象に入れていきたいと思っております。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、御説明いただきました水産大学校の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。河野委員。

【河野臨時委員】  ただ今の事業仕分けの専攻科の縮減についてのお話でいきますと、一般の商船大学の卒業生といいますか、そちらの方とは能力が違うというのですか、例として定点にとどまるといいますか、そういう技術が必要だということでしょうか。それから、海洋大の場合には、専攻科から博士課程ですか、ちょっとわかりにくいのですが、この水産大学校の専攻科は修士を出てですか。

【成子部長】  4年制でございます。

【河野臨時委員】  ですよね。そうすると、学部の専攻科と大学院の専攻科の違いを混同しているのではないかと。

【成子部長】  失礼しました。説明が中途半端で申しわけございませんでした。海洋大学で目指されていますのは、四年制の大学の学部を卒業されて、専攻科1年を経験されます。これで資格を得るわけでございますけれども、そのまま就職するのではなくて、専攻科を修了した後、再び大学院に入学していただいて、博士課程を目指すと。そういう方向性を目指されているということです。

【河野臨時委員】  それで、専攻科といっても内容が違うということと、結局は、航海士25名、機関士25名、これらの枠を融通無碍に使えば、50名は維持できるということで、結局縮減というか、そういうことはできないというお話にうかがえたのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
 事業仕分けへの対応ということから見れば、それに対する答えとしては非常に強い反対みたいなふうに理解できますが、その辺はいかがでしょうか。

【成子部長】  専攻科の縮減について検討せよという御指示をいただいたわけでございますが、昨今の専攻科に対します求人の状況を御説明させていただきますと、先ほど申し上げましたように、定員は50名ということでございますけれども、これに対しまして90社ばかりから求人がございます。
 したがいまして、非常に水産大学校の専攻科に対する需要が強いということでございまして、そういう意味では、今のところ縮減をする必要はないのではないかと思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、その時々の需要動向にあわせまして、その適正規模を見ていくということにさせていただきたいと思っております。

【富田分科会長】  今の御説明ですと、これは事業仕分けのときも同じ説明であれば、こういう事業仕分けの判定にはならなかったのではないかと思いますが、にもかかわらず、縮減というお話になっていると思われますが、事業仕分けのときとデータはどう違うんでしょうか。同じなのですか。

【成子部長】  事業仕分けのときも同じように申し上げさせていただきました。

【河野臨時委員】  とすると、事業仕分けで判定された専攻科の必要性ということについて、事業仕分けの委員の方々は、この水産大学校の専攻科について、需要があるにもかかわらず、縮減するということになりますが、これは組織上、どこかにそういう問題が、つまり、専攻科として置くことが必ずしも必要ではないという理由から言われたのではないかと思われますが。

【成子部長】  これは、資料編の方につけさせていただいているわけでございますが、15ページを見ていただきますと、事業仕分けの結果を書かせていただいております。ここにございますように、他の法人で実施5名、当該法人が実施5名で、他の法人で実施の5名の中には、縮減3名、現状維持2名。当該法人が実施のところで、縮減が2名、現状維持が3名ということでございまして、これを縦と横で両方で検討せよという方向だったものですから、こういうような他の法人で実施を検討、それから縮減を検討という結果になったと理解をしております。

【河野臨時委員】  見直し当初案では22年度中に結論を出すという予定ですが、もう既に今のような結論をお持ちになっているということですか。

【成子部長】  当然、この結果については、私ども、省の政務三役にお諮りをいたしました。大臣からは、こういう形で意見が分かれたということは、逆に言えば、水産大学校の存在意義が認められたということにつながるのではないか。したがって、求人倍率もそれだけ高いのであれば、現在の規模を維持せよということで御指示をいただいた次第でございます。

【河野臨時委員】  結局、根拠は、卒業生の需要が多いということですか。たまたまとおっしゃいました。今度、減るとまた問題が起こるということですね。これは右上がりに増えていれば私も納得するのですが、右上がりでない、つまり、絶えずでこぼこがあって下がるという傾向があるのではないでしょうか。そういうことはないのですか。

【成子部長】  その点については、実は船舶関係者の年次を見てまいりますと、非常に高齢化が進んでおります。これは実は、水産関係だけではなくて、一般商船も含めて高齢化が進んでいるという状況でございまして、とにかく日本人の幹部船員を早急に育てないといけないというのが実情でございます。なおかつ、専攻科への求人状況を見てまいりますと、ここ七、八年の状況からいきますと、でこぼこではなくて、常にずっと右肩上がりで求人が増えてきているという状況でございます。
 以上を踏まえまして、やはり現在の規模は当面は維持する必要があるという結論でございます。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。

【河野臨時委員】  右肩上がりにもかかわらず、専攻科についての縮減ということが求められたという根拠が、資料2−10の下、15ページ、この見方がちょっと分かりにくいのですが、これは他の大学との関係ではなくて、この水産大学校の中での縮減の話ですよね。

【成子部長】  はい。

【河野臨時委員】  一応説明を承ったということにします。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。樫谷委員、どうぞ。

【樫谷分科会長代理】  それでは、質問なのですが、大学校でどういう人材を養成しているのかというところに関係するのですが、学校と専攻科というのがあるわけですよね。専攻科の方で船舶運航課程があって、そこで資格が取れるということですね。そうすると、大学の方は、水産流通経営学科とか海洋生産管理学科とか海洋機械工学科とか食品科学科とか生物生産学科というのがあるわけですが、この中で船舶というのですか、純粋に船でいわゆる漁民になるというのはどのコースになるのでしょうか。

【成子部長】  考えられますのは、海洋生産管理学科、海洋機械工学科のあたりかなと思っております。あと、養殖関係ですと、生物生産学科といったものも含まれると思われます。

【樫谷分科会長代理】  そうすると、不足している人というのは船舶関係と聞いておるのですけれども、これはどうなのでしょうか。海洋生産管理学科と海洋機械工学科の方が専攻科に主に行かれると、こういうふうに考えて……。

【成子部長】  そうでございます。

【樫谷分科会長代理】  そうすると、ほかのところについては、これは定員と比べて若干定員を下回ったりするところもあるようなのですが、やっぱり大事なのは、今言った3つの、海洋生産と海洋機械と生物生産、これが本来の、何が本来かわかりませんが、純粋の漁業に関係する部分であると。そうなると、むしろここにもうちょっと力を入れていたらいいのかなと。水産流通経営学科とか食品科学科というのは、何か大学でもあるような気がするのですけれども、この必要性についてどう考えていらっしゃるのか。

【成子部長】  やはり水産の世界で非常に特徴的だと思いますのは、漁業現場だけで水産全体は語れないということだろうと思っております。やはり流通の末端で、実際に魚を売っていただく方々もしっかりとした、例えば資源管理に関する意識を持っていただきませんと、とにかく売れるものが手当できればいいということでは、我が国の水産というのは右肩下りになってしまうということだろうと思っておりまして、やはりそういう観点から、水産流通経営学科ですとか食品科学科、流通確保の分野でございますけれども、こういったところでも常に資源管理等々に関する意識を持っていただくということでの教育ができるという意味におきましては、この水産大学校は非常にそういう意味での教育を重視しているというところでございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございます。私もそのとおりだと思いまして、販売が極めて大事なのだけれども、今の現状を見ると、極めて漁業者が不利な販売体系になっていて、ほとんど販売業者というか、スーパーとかそういうところに価格の支配力があって、非常に被害を受けている。被害を受けているという表現がいいかどうかわかりませんが、コストさえ吸収できないような状況になっているということなのですが、そういうところから見ると、水産流通経営学科というのは大事だと思うのですけれども、むしろこういう人に活躍していただけるような仕組みも含めて、何か農水省、水産庁ですか、手当をしないと、やればやるほど漁民の方が厳しいと。えさは上がる、燃料は上がる、こういう状況になっていて、かつ売るのは安いという現状になっていると思うので、むしろビジネスモデルも含めて、全体のビジネスモデルを含めてお考えになった上で、どういう教育をするのが必要なのかということをぜひお考えいただけたらと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

【成子部長】  御指摘いただきましたように、非常に重要だと思っておりますので、現在、水産大学校でされております現場研修の中に、この水産流通の場合は、実際に販売現場に出向きまして、そこで実習をするというカリキュラムを組まれております。そういったところで実際にお客様と接しながら、なおかつ資源管理も重視していくという精神を養っていくことが非常に重要だと思っておりますので、さらにそういったところを強化してまいりたいと思っております。

【富田分科会長】  河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  また専攻科のお話ですが、専攻科の入学生についてお尋ねします。先ほどは卒業生に対する需要者数が増えているということですが、これは後ほど資料をいただきたいと思います。平成18年からの卒業生の需要者数についていただきたいと思います。
 平成18年が定員70で、そのとき38名の現員でありましたが、それ以前がわかりませんが、多分低かったために定員50名に減らしたのだろうと思います。その後、まだ37、53、58ということで、21年から定員をオーバーしていますが、この定員をオーバーといいますか、ここに応募してくる方々については、きちんと入学試験といいますか、そういうものを課して入れているのでしょうか。あるいは、例えば本科からの卒業生はある意味では自動的に上がるという形になっているのか、その点について。

【成子部長】  前段の部分の定員の削減につきましては、おっしゃられるとおりでございまして、非常に当時、専攻科の希望者が少なかったものでございますので、70から50に削減したという経緯がございます。
 現在の状況でございますけれども、まず、先ほど申し上げました2学科に入られた方が専攻科に進まれるわけでございますけれども、その中でまず2年間を通じまして、そういった生徒の勉強状況といいますか、水産に対する熱心さ、こういったものを各先生方が評価をさせていただいております。いよいよ3年、4年の専門学に入っていきます際に、そのときにほぼ専攻科に、この子であれば大丈夫だということで絞り込みを行いまして、最終的な定員に達するように調整を行うということでございます。
 やはり現在の両学科に希望される方の中には、専攻科に進まれたいという希望者がかなりおられるということでございまして、そういった中での絞り込みを行っているということでございます。

【河野臨時委員】  両学科というのは本科からですか。

【成子部長】  失礼しました。

【河野臨時委員】  船舶運航と機関学科ですが、ここは下の学部といいますか、本科の学生の3年生、4年生の段階で先生がきちんと判断して入れているというか。

【成子部長】  はい。

【河野臨時委員】  資料によりますと、平成20、21年の間にギャップがあるというのは、不況のために専攻科に来ているということはないのですか。1年伸ばして大学院に行くというのもありますから。

【成子部長】  実は、専攻科に進まずに4年生で就職されている生徒さんの状況でございますけれども、もうほとんどが就職をされておられますので、したがいまして、今先生おっしゃられるような、留年で専攻科に進んでいるというのはほとんどないと理解しております。

【河野臨時委員】  いろいろお聞きして、事業仕分けの結果がどうだったのかという気もしますが……。

【富田分科会長】  重要な御指摘です。ほかにいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 今の点、これからもまだまだいろいろ国民的な関心も高いと思いますので、十分なる御検討をよろしくお願いいたします。
 それでは、今日は水産大学校についてはここでいったん議論を打ち切らさせていただきます。本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜り、大変ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。また、事情があり出席できなかった委員もおります。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
 以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に、事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。

【横山評価監視官】  本日も長時間、ヒアリングをしていただき、本当にありがとうございます。明日水曜日は、10時半から13時、中央合同庁舎第2号館8階の第1特別会議室で、文部科学省と厚生労働省、防衛省からヒアリングをする予定になっております。明日もどうかよろしくお願いします。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多用の中、長い時間、御出席を賜りましてありがとうございました。


ページトップへ戻る

政策評価・独立行政法人評価委員会
サイドナビここから
サイドナビここまで