総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 > 会議資料 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月16日開催)議事録

政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月16日開催)議事録

日時

平成22年9月16日(木)13時15分から16時30分まで

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(委員)
樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子委員、浅羽隆史、阿曽沼元博、荒張健、岡本義朗、河野正男、河村小百合、木村琢麿の各臨時委員
(総務省)
宮島守男審議官、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(経済産業省、環境省、財務省)
(2) 報告事項

配布資料

会議経過

【樫谷分科会長代理】  それでは時間となりましたので、ただ今から、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、昨日に引き続きまして、今年度の見直し対象となっております43法人のうち、経済産業省所管4法人、環境省所管1法人、及び財務省所管1法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 まず、経済産業省所管4法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。
 経済産業省井内審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただきました。
 それでは、経済産業研究所、工業所有権情報・研修館、製品評価技術基盤機構、及び日本貿易振興機構の4法人の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、経済産業省から1法人5分程度で御説明いただきまして、その後質疑応答を行いたいと思います。
 まず、経済産業研究所につきまして、井内審議官から御説明をお願いしたいと思うのですが、全体の時間の関係もありますので5分という時間を厳守いただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

【井内審議官】  経済産業政策局審議官の井内でございます。よろしくお願いいたします。
 お時間が限られておりますので、お手元の資料のうち、資料1−2−(1)があると思いますので、それを御覧いただきたいと思いますが、その資料に入ります前に、一言だけ概況を御説明申し上げますと、経済産業研究所は、御案内のとおり経済産業政策の立案に寄与するということを目的といたしまして、平成13年に創設いたしました。学術的な観点から、中立的かつ客観的な研究を行うとともに、経済産業省のニーズに合致する研究を推進するということで、私ども経産省と密接な連携を図ってきているところでございます。
 その中で、またRIETI方式とも呼ばれておりますけれども、独自の研究推進体制を採用しておりまして、常勤の研究員以外に多数の非常勤研究員、あるいは行政官、産業界の実務家などをコーディネートいたしまして、産学官の英知を結集したプラットフォームとしての役割を担っていると思っております。
 現在の第2期におきましては、研究の質におきましても、量におきましても、第1期にまさる成果を上げていると思っておりますし、学術の研究と政策立案の結節点として役割を果たしてきていると、私どもとしては認識をしているところでございます。
 では、資料に沿いまして御説明申し上げますが、一番上のところでございます。
 経産研究所を巡ります最近の状況ということでございますけれども、第3期におきましては、こういった2期の実績を土台としながら、政策研究所としての地位を発展させていきたいと思っておりますが、最近の状況ということで、まず「国際的評価向上の必要性」ということについて様々な御指摘をいただいております。現政権におきます新成長戦略におきましても、アジアワイドで優れた成長をしていこうということがうたわれておりますので、特にアジアを中心として、RIETIがその評価を国際的にも高めていくことが求められているという認識をしております。
 また、真ん中でございますけれども、「経産省との更なる連携協力」ということでございまして、経済産業政策の立案に寄与するという法律上の目的がございますので、経産省の政策課題を摘出いたしまして、政策のバックボーンとなるような理論的・実証的研究の強化が求められるというふうに認識しております。
 それから右側でございますけれども、「研究成果の戦略的な情報発信」ということもよく言われております。レベルの高い研究をいろいろやっているわけでございますけれども、政策提言の機能でございますとか、情報発信の機能というものが必ずしも十分ではないという御指摘をいただいておりますので、この辺の問題意識でございます。
 ということで、業務全体の見直しをどうするかというのが真ん中の段でございますけれども、やはり「国際的評価の向上」ということをいろいろ指摘いただいておりますが、それを実現するためには、左側にございますような「研究成果の質の向上」と、右側にございますような「戦略的な広報・政策提言」といったものを、車の両輪として進めていく必要があると思っております。
 左側の研究成果の質の向上でございますけれども、このRIETIにおきます研究成果の質といたしましては、いわゆるアカデミックな意味での研究レベルの高さというものも必要でございますし、あるいは経済産業政策への反映という効果の面もあると思います。
 左側の「他機関等との連携拡大・強化」というところがございますけれども、やはり研究のレベルを上げていくためには、他の研究機関との連携によりまして研究の内容を深化させていくことが有効ではないかと思っておりまして、とりわけ海外の研究機関との連携を強化したいということを思っておりますし、それによりまして、国際水準による研究の推進が可能になるのではないかと思っております。
 それから、右側でございますけれども、政策当局との連携強化ということでございまして、経済産業政策への反映につきましては、第2期と同様に、METIとして必要と考える研究分野を設定していくこととしたいと思っております。具体的には、そこにございますような4つの考え方、政策的含意の強い研究の重点的実施でございますとか、そういった4つの考え方に沿いまして、成長戦略を理論面で支える研究でございますとか、あるいはRIETIの強みを生かした特色ある研究を推進していきたいと思っております。
 下段のピンクの囲いのところでございますけれども、「研究の質を担保」するということでございまして、第2期におきまして蓄積をしてまいりました企業の生産性に関するデータベースだとか、そういった様々なデータベースがございます。こういった整備は継続していくことが必要だと考えております。また、省内における中期目標の見直しの過程で、大学あるいは産業界など、第三者の目によるチェック体制を導入する必要性があるのではないかという指摘をいただいておりまして、外部の専門家委員会を設置いたしまして、研究の進捗状況、あるいは政策への貢献度等を途中の段階で検証することによって、質の向上を担保していきたいと考えているところでございます。
 それから、右側の「戦略的な広報・政策提言」という部分でございますけれども、まず政策提言でございますけれども、研究成果におきます政策的な含意といいますか、それを大胆に述べるような、ノンテクニカルサマリーと呼んでおりますけれども、そういったものの作成など、取組を強化していきたいと思っております。それによりまして政策形成に一層貢献したいと思っております。また、政策当局との連携につきましては、先ほど述べましたとおりでございます。
 広報でございますけれども、産業界はもとより、国民一般からもやはり幅広く研究成果を認知していただく必要がございますので、そのための取組を進めたいと思っておりまして、そこに幾つか項目を挙げてございますけれども、具体的なアイデアを今後考えていきたいと思っているところでございます。また、内外の研究機関とも連携して、シンポジウムなどをやっていきたいと思っております。
 以上のような、研究の成果の質の向上と、戦略的な広報・政策提言といったものが相互に好循環を生むことによりまして、国際的な評価の向上が実現できるのではないかと考えているところでございます。
 最後に、「効果的・効率的な業務・組織運営」というところでございますけれども、このような業務の内容の見直しを行いながらも、運営といたしましては、より効果的・効率的にやっていかなければいけなということでございます。
 「評価方法」でございますけれども、まず継続的なフォローというものも重要でございますので、そういったものを可能とするために、評価手法の大半は継続いたしますけれども、今申し上げました様々な御指摘、国際的評価の向上でございますとか、戦略的な広報、そういった御指摘をいただいておりますので、その見直しの方向性を踏まえて、新しい観点による評価の指標、あるいは評価手法について検討が必要かなと思っているところでございます。
 「財政基盤」につきましては、産業政策立案への寄与ということでございますが、そういった意味で交付金を主な財源とすることは適切だと考えておりますけれども、やはり効率化のための不断の努力は必要だと思っております。外部からの受託でございますとか、あるいは競争的資金を取りにいく、そういったことによります自己収入というものは、ある意味でその研究所の競争力の高さを示すということにもなりますので、拡大を図ることが必要だと思っておりますが、その際、それを追求するあまり、本来の経済産業政策への貢献という目的から外れることがないように、留意が必要かと思っておりますが、拡大を図っていくことは必要だろうと思っております。
 以上、非常に雑駁でございますけれども、御説明させていただきます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました経済産業研究所の見直し当初案につきまして、御質問などがございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
 岡本委員。

【岡本臨時委員】  ありがとうございました。
 よく霞が関に対する批判的な見解として、縦割りというのが従来からずっと言われてきておると思います。10年前の省庁再編のときに、通商産業省が経済産業省に再編といいましょうか、なったときに、経産省の設置法の中に経済構造改革の推進という項目が、今もたしかあると思うんですが、それを受けての研究機関と。そういう意味では、今、審議官からご説明いただいたように、戦略的に経済産業政策に資するということが大きな目的になっていると思います。
 私は非常に期待している部分があって、いわゆる縦割りというものをいい意味で打破していくためには、あるいは経済産業省も含めて、こういうところが活発に展開をしていくべきなんだろうなというふうに私自身は思っています。意見が異なる委員もおると思うのですけれども、そのときに、経済産業政策というのは何を意味しているんだと。私なんかは、おそらくオール霞が関というか、オール日本の一歩先、あるいは半歩先かもしれない、あるいは2歩先かもしれない、その政策課題を、多分こういう研究機関が前もって政策当局に提言をしていくというような動きが非常に活発になされることによって、ある意味で縦割り的な霞が関に対する批判を払拭してくれるのではと、大きな期待を持っているわけですね。
 そういう観点から見ると、1つお聞きしたいのは、いろいろな今日の御説明の中でも、政策当局との関係の部分、例えば一番右の升の中に、「積極的な働きかけ」というのを今後やっていかれると言われていますけれども、具体的にどういうふうにやっていかれるということなのかというのをまずお聞きしたいということと、「成果を踏まえたメリハリを付ける」というふうなことを書かれていらして、このメリハリというのはどういうふうに付けられていかれるのかというのをお聞きしたいということと、それから、経済産業省の姿勢とも関係すると思うんですけれども、経済産業省はいい意味で、あまり、今の経済産業政策はこれだからここを所管するという意味合いではなくて、もう少し広くいろいろな諸課題を、むしろ前もって、こういう研究所の成果を踏まえて政策課題として取り上げていくべきと思うんですが、そういう方向性の中で、どういう方向性が今具体的に、この研究所の提言から経済産業省は考えておられるのかということ。最後に、内閣府の研究所との役割分担なのか、あるいは、ある意味で競争的にいい関係で発展していくのか。
 その辺の御説明を、ちょっと長くなりましたが、お願いしたいと思います。

【井内審議官】  ありがとうございます。
 経済産業政策というのは非常に幅広い面がございまして、何を目的とするかといいますと、これはいろいろな意見があると思いますけれども、やはり日本の国富をいかに拡大させていくかというか、持続的に発展させていくかということが最終的な目的だろうと思っておりますけれども、それに関しましては、単純にそれぞれ個別の産業の政策ではもちろんなくて、例えば社会保障との関係でございますとか、雇用・労働政策との関係でございますとか、あるいは外交政策の関係でございますとか、様々なフロントがございます。それに対しまして、RIETIと経産省がいろいろ議論しながら、次の政策というのを打ち出していくというのが、まず全体的な認識でございます。
 そういった中で、どういう積極的な働きかけをするかということでございますけれども、これはそもそも今やっている内容につきまして、私もよくBBLとか、そういったものに参加しておりますけれども、様々な関係者の方が、外部からまず参加されているのは間違いありません。そういう中で、いろいろな問題意識の共有でございますとか、意見の戦わし方というのはやっておりますし、研究会なんかにつきましても、いろいろな関係分野の方、必ずしも普段から経済産業省と直接お付き合いをしている方ではないような方々もたくさん参加して、研究会に参加しておりますので、そういったものを通じて新しい知の融合のようなものが出てきていると思っております。
 それをどうやって積極的な働きかけにしていくか、これは非常に難しいところはございますけれども、まず一般的に関係者に対して広く、研究成果、あるいは先ほど申し上げたノンテクニカルサマリーのようなものを発信していくということがあろうと思います。それからRIETIで、あくまでも学術的なベースに基づいて研究しておりますので、そういったものを発信していくし、政策当局間で話すときにも、こういう研究成果や、こういうリサーチの結果が出ているということは、議論の材料に十分なると思っております。
 2点目のメリハリでございますけれども、これはこれからまた考えていかなければいけませんけれども、やはり第2期と第3期におきまして日本全体が置かれている状況というのも、新興国の成長なんかももちろんございますけれども、様々に変わっている面がございますので、それを踏まえて重点化をしていく。そのときには、やはり私どもの方では産業構造ビジョンというのを作り、政府では新成長戦略というのを作りまして、これは相当幅広く、今後5年、10年を見据えた政策の洗い出しをしてございますので、それを踏まえて第3期の分野というのはこれから考えていくというふうに思っております。
 ただし、先ほどまさにおっしゃいましたように、あまり限定的に考えずに、次の時代の政策を考えるというのも、これは経済産業省のミッションでもあり、RIETIに求めるミッションでもございます。むしろRIETIで、そういった意味で、10年以降、成長戦略の視野の外の、その先のものも含めて、例えば世界の産業構造、国際的な産業構造がどういうふうに変わってきているのかとか、あるいは社会構造はどうなっているのかとか、そういうところも含めてかなり先駆的な研究テーマというのも是非取り上げてもらいたいと思いますし、そのときにはこういう開かれたフィールドというか、フォーラムというか、そういったものが役立つのではないかと思っているところでございます。
 それから、内閣府さんとの関係でございますけれども、あくまでも、向こうは向こうでもう非常に立派な研究をされていると思いますし、いろいろな統計関係でもございますし、マクロのいろいろな経済データでございますとか、様々なデータを駆使してやっておられると思いますけれども、私どもは、そういった全日本的といいますか、オールジャパン的なそういうデータとも連携しながら、やはり経済産業政策という、より具体化したそれぞれの政策分野に密接に関係するような研究というものをRIETIに期待しているということでございます。ただ、もちろん相互に連携することは当然でございますし、これまでもしてきているというふうに理解しております。

【岡本臨時委員】  ありがとうございました。今の点に関して、私もまさしくそういう方向性を是非推進していただきたいと。
 若干、非常に細かい点で、関係者の方にするとちょっと、何を言っているんだという質問をさせていただきたいと思うんですが、RIETIの研究プロジェクトをずっと我々の方で、どれほど中身を知っているかというふうに逆に言われるかもしれませんが、先ほど審議官が、特定産業を振興するようなものではないんだというようなことを言われたと思います。私もそういう方向性だと思うんですが、そういうふうに見てまいりますと、美容産業とか水産業に研究テーマを絞ったようなプロジェクトがあるようにも見受けられますので、それはどういう意味で、今おっしゃった方向性の中で位置付けられていらっしゃるのか。
 それと、できれば、今民主党政権になって、成長戦略というのが出てまいりましたけれども、やはりこういう機関は次の次、あるいは次の次の次ぐらいの成長戦略というようなものを活発に提言をしていく。そのときに、やはり大学等々の、いわゆるアカデミズムの世界とどのように協力を、先ほどおっしゃった研究者として協力されている方はいっぱいいらっしゃると思いますが、組織として、いわゆる大学、あるいはそれに所属するような研究所とどのように具体的な連携の絵を描いていらっしゃるのか、併せて御説明いただけますでしょうか。

【井内審議官】  すみません、ちょっと誤解を与えたかと思いますが、特定の産業にかかわる政策をやらないということではなくて、もちろん様々な、その産業特有のことは当然分析したり、そういうことはするわけでございますけれども、それだけでなく、幅広く横断的な産業政策であるとか、あるいは産業構造政策であるとか、あるいは他省庁がメーンで所管していることについても、その観点から我々はいろいろとディスカッションをしているという趣旨でございます。
 他方で、水産業とか、あと何を……。

【柏原調査官】  美容産業。

【井内審議官】  そういった、これから非常にいろいろな国際的な場面、通商政策との関係でございますとか、あるいはこれから国内外で、国内の市場、あるいは海外に対する輸出競争力とか、そういった観点で伸ばしていくべきところ、もう一度掘り下げるべきところについては、もちろん個別の産業の議論というのも、政策論というのももちろんやると考えております。
 それから、次の次の時代のことを考えると、もうおっしゃるとおりでございまして、そのためには、確かに政策面で我々もなるべく次の時代を考えようとはしておりますけれども、さらに大学の知恵と、あるいはその研究成果と連携していくというのは非常に重要でございますので、そこは個別にも様々やっておりますし、私も実は自分の関係する分野ではRIETIの研究会に参加したりしておりますけれども、そういったところではいろいろ幅広い、学者の先生方も入っていただいて、議論をしていただいているところでございます。
 補足、何かあれば。

【柏原調査官】  御質問のあった美容産業と水産業の研究のことでございます……。

【岡本臨時委員】  それはあくまでも例で、それにこだわっているわけではございません。

【柏原調査官】  すみません。いずれも、その産業について深く研究するというよりは、美容の場合にはサービス産業全体の生産性の向上に関する研究の中で、データのアベイラビリティーの観点から、その産業を1つ例示するのが適切だったということでございますし、水産業の件も、例えば環境、温暖化の世界で今、二酸化炭素の排出量取引というものを日本も導入したらどうかという議論がございますけれども、そういうMETIとしての政策に直接つながるような意味で、漁業のところで、水産業、水産資源の管理というものが国際的にどういうフレームワークでなされているのかと。そういう参考としてのいろいろな知見を得るために実施しているということでございます。

【岡本臨時委員】  大学組織の位置付けというのはいかがでしょう、大学との関係というのは。

【柏原調査官】  大学との関係では、今もファカルティーフェローというので……。

【岡本臨時委員】  個人的にはいろいろ、もう協力されていらっしゃると思いますけれども、組織的に大学というのがあって、なおかつ、そしてこういう研究所があると。この研究所の位置付けというのは、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。

【柏原調査官】  やはり大学との関係では、そういう個人的な人的資源を活用させていただくという意味では連携をしてきているわけですけれども、RIETIというのはやはり、この資料にも書いてございますように、研究の本当の立ち上げの段階、どういう研究をやるのかというところから、それがどういう政策的インプリケーションを持っていて、どういう政策提言につなげていくのかというところまで、全部を一気通貫で、行政官とキャッチボールをしながら一緒に研究していくというやり方をしていますので、全く純粋なアカデミズムという形での、例えば大学に委託をしてお願いするというような形とはまた違った研究プロセスの形態をとるという形で活用しているところでございます。

【岡本臨時委員】  ちょっともう1点だけよろしいですか。
 最後の質問に関しましては、RIETIにいろいろな研究の成果が、各研究者を大学から集めてこられて、出てくると思うんですが、組織にどのように蓄積を。その研究成果なり、あるいは研究のやり方、ノウハウというのがあるのかもしれませんが、そういうものが組織にどのように残っていくのかと。それが大学で積み上げられた研究とどのように、おそらく同じことをやっているんだったら、プロジェクトで経済産業省が研究者を集めてきて、研究してもらえばいいのかもしれませんが、経済産業研究所にどのように成果が組織として残っていくかというところが、私自身の関心だったということでございます。

【井内審議官】  そこはやはり、例えば役所でありましたら、御案内のとおり2年とか3年で交代したりして、なかなかそういうノウハウが引き継がれないということがあるわけでございますけれども、RIETIの場合には、任期付きの研究者であっても数年間ずっといるということもありますし、仮にその方々が外に出られても、いろいろなフェローのような形の関係というのは続いておりますので、そういう知のネットワーク全体としてはノウハウがずっと続いていると思っております。それからもちろん事務局にも、そういった研究会のノウハウは続くことになっていると思っておりますけれども。

【岡本臨時委員】  ありがとうございました。

【柏谷分科会長代理】  どうぞ。

【森泉委員】  御説明ありがとうございました。
 一、二点ほどお聞きいたします。テーマに関して、確か前にも、ワーキングのときにお聞きしたと思いますが、再度お聞きいたします。経済産業政策ということをさっきおっしゃっていましたが、そちらの方にやはり考慮したほうに少しウエートを置かれたほうがいいのではないかという気がいたしました。それから、全般的に、研究の分担をしていらっしゃる外部の先生方にも、政策インプリケーションにウエートを置いていただきたいと思います。基礎的な研究も多々あるように見受けられますので、それはそれで結構ですが、政策的なインプリケーションは置き去りにされる傾向があります。従いまして、特に今回以降はこの点を、研究を進めることを強調していただきたいです。
 次に、研究プロジェクトの遅れが非常に気になります。これはどういう原因か分かりませんけれども、やはり運営費交付金をいただいて研究しているわけですから、研究者の方の認識が少し甘いのではないかという気が強くいたします。要するに締め切りが守れないという感覚だと思います。各先生方にとって、大学が本務であって、RIETIで研究をするというのは、どうしてもアルバイト感覚で行っているので、締め切りにも甘くなってしまうということがあるのではないかと思います。
 他の理系の研究独法などの様子を聞いていますと、これほど遅れていくということはないということです。主務省の経産省からの御説明だと、データの収集とか仮説の検証に想定以上の時間を要したということがありますが、これはそもそもが甘い、計画が甘いわけです。これは初めから、研究者ならばある程度分かっていますし、特に理系の場合は検証に時間がかかるということはもっとあり得るわけですね、実験などをやるわけですから。でもそれなりにきちんと期間内にまとめていかざるを得ないということの立場を理解していると思います。ですから、そこが問題ではないかというふうに思います。
 それはマネジメントの点でもあるのですが。それで次の質問に関連するのですが、他の理系の研究独法に比べて常勤のスタッフが少ない。いろいろな研究独法がありますけれども、外部の先生方を集めてくること自体はよいと思います。ただそれだけに頼っていると、このような好ましくない状況が生じてくる。本務がありますから、中途半端な仕事の仕方になってしまう。例えば、理研にしても産総研にしても、任期制である若い人たちをたくさんとる。そこの中で切磋琢磨して、次のキャリアへと発展していく。それに比べて、ここは非常に若い人が少ない。
 要するに組織の人員の構成を少しお考えいただきたい。ここの研究所にはそもそも専属、専任の研究員をもう少し置く。任期制でよいですから。ポスドクはいっぱい優秀な方もいますし、そうでなくても研究員を、他の研究独法と同じぐらいの割合というか、そういうふうな組織として変えていかれたほうがよいのではないでしょうか。研究プロジェクトの遅れがここまで起こっているような状況を見ますと、人的な構成を少しお考えいただいたほうがいいのではないかという気がします。非常勤の方が多過ぎるというようなことが原因で、ほかのことも起きているのではないかという気がいたしました。
 以上です。

【樫谷分科会長代理】  では、どうぞ。何点か。

【井内審議官】  いろいろ御指摘いただきましてありがとうございます。
 まず、経済産業政策にウエートを置いたほうがいいのではないかという点につきましては、おっしゃるとおりでございますが、ただ他方で、経済産業政策のフィールドが非常に広がっているといいますか、今回も産業構造ビジョンということで全部洗い直しをいたしますと、やはり今の日本の経済が抱えている構造問題というのが非常に、これまで各省庁がやってきたいろいろなものに絡んでくるということで、外縁が非常に広がり、あるいは深くなっているというのがございますので、もちろん、そのようないただいた御指摘を踏まえつつも、やはり視野の広さといいますか、把握するフィールドの広さというものは確保していきたいなと思っております。
 それから、分担している先生方にもっと、特にそういう政策との連携というものにインプリケーションを置くべきだと、これはおっしゃるとおりでございますので、これからいろいろ研究評価の中間評価的なこともやってまいりますので、そういうときの視点に是非入れたいと思っております。
 それからプロジェクトの遅れのお話でございますが、これにつきましても、もう少し中間的なチェックというものを厳しくしていくというのが重要だと思いますので、その中でもやっていきたいと思います。実は私も産総研にいたことがございまして、そういう理系の研究機関の状況というのもよく分かっております。したがいまして、RIETIの場合どうすればいいかというのは私も考えていきたいと思っておりますけれども、他方で非常勤という形でも、一種の外部に大きなネットワークを持っていることの強みというのもございますので、それとのバランスというものも必要だと思いますし、残念ながらなかなか常勤の研究員をたくさん抱えるだけの予算といいますか、そういう財政的な裏づけもございませんので、なかなか、私どもとしてももう少し拡充したいという思いがありながらも、難しい面はございますが、御指摘を踏まえながら、少しでもできることがないかというのを考えていきたいと思っております。

【樫谷分科会長代理】  まだ全部回答されていない。それでよろしいですか、森泉委員。

【森泉委員】  若手という話はここに入っていますし、要するに外部委託みたいな状況では、研究所としての基盤というか、将来性はちょっと不安です。

【井内審議官】  外部に委託しているという考え方ではなくて……。

【森泉委員】  そうですが、他の研究独法から見ると、テーマを決めて外部委託に近いような状況が現状ですね、運営方法としては。ですからもう少し常勤の人を増やした方がよいと思います。予算の問題もありますけれども、そういう運営の方向がベターだと私は思います。ただ、確かにお金の問題というのはございますね。

【井内審議官】  おっしゃるところは私も非常によく分かる気がいたしますが、まさにそういうキャパシティーといいますか、財政的な問題・制約もありまして、なかなかそういうふうには一気にはいかないんですが、ただ少しでも効率化をしながら、そういった余地を増やしていきたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  では、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  すみません、あまり変な質問をするなということなのでしょうか、声がつぶれちゃいまして。お聞き苦しくて大変申しわけございませんがお許し下さい。
 簡単にお答をいただきたいと思いますが、産業政策、産業のイノベーションを図っていく上で政策というのは大変重要で、しかも経産省は多岐に部局が分かれていて、大変テーマが多いだろうと思います。そういう中で、この様な少ない人数で、いくら的を絞っていくとしても、本当に政策立案に資する研究をしていくというのは事実上難しいだろうと思うんですね。
 間違っているかもしれませんが、私が考える産業政策は、3点あると思っています。今後日本が相当量の資源を投入して、どの領域の産業をイノベーションしていくべきなのかを考えることと、最盛期を過ぎたけれども我国とって重要だと考えられる産業をどうやって再生していくのか。そして、中小企業の振興策です。中小企業の中には新しい産業創出を担うベンチャーもありますし、非常に高度かつ重要な部品を作っているような中小企業がありますから、非常に幅広く一くくりで論じられないと思いますが、中小企業の活性化をどうしていくかの3点だと思います。
 重点産業のイノベーション、最盛期を過ぎた産業の再生、そして中小企業の活性化、こういった大きなテーマが経済産業省にはあるだろうと思います。しかし、この資料を見せていただく限り、それにフィットしたような研究があまり見当たらないというと感じますが、この辺については、どんなお考えで今後やられるのでしょうか。
 それからもう1点ですが、各部局の中で、ブレーンストーミングをし、中間報告会をやって、ディスカッションペーパーで検討会をしますとご説明がありました。政策立案ということになれば、各局が抱えている課題、特に喫緊の課題というよりも中長期にわたる課題だと思いますので、その課題の中でプライオリティーを考えながら、本当に研究すべきテーマが選ばれているのかどうかについて疑問を感じます。今までやってこられた研究の歴史を見たり、その内容を見ると、どうも何となく首をかしげたくなるようなテーマが散見されます。政策立案に必要とゆよりも、とりあえずこれをやってみようとか、そういった苦し紛れのテーマ選定があるのではないかと思ってしまいます。
 最後に、例えば政策立案に資するということであれば、それはそれで問題も抱えていますが厚生科研と同様の予算措置をするのが良いのではないでしょうか。厚生科研は2年とか3年とかの期間で、若手研究者の研究促進から、政策立案に重要なものや、将来の政策にとって資する研究などを、相当な金額を投入してやっています。
 RIETIの組織で常勤、もしくは非常勤という形態で人を抱えて研究をやるよりも、森泉先生とは少し違った観点ですが、厚生科研のようにきちんと研究班にデューティーを与えて期限を守って研究をやらせ、そしてその成果を広く広めていく仕組みを構築し、そのノウハウを蓄積していくなど、全く違った新たな発想で考えるべきなのではないかと考えます。これらの点についての考え方をお教え下さい。
 簡潔にお答え下さい。もしすべて答えられなかったら、後で文章でいただいても結構です。

【井内審議官】  おっしゃった最初の、産業政策の中でも特に重要な点でございます。そこは私も全く、先生おっしゃった点は非常に重要だと思っておりまして、現在、産業構造ビジョンでも、あるいは新成長戦略でも、まさにおっしゃった、これからどの産業を重点化していくのか。それだけには限らないのですけれども、重点化する、あるいは産業再生や、事業再生をどうするか、中小企業をいかに活性化するか、その3点はまさに大きな課題になっております。
 第3期におきましては、そういった、まさに政府全体の方針が決まりましたので、それに資する、さらに、ただその次の時代には何が起こるかということも予測するという意味で、それには必ずしも縛られませんけれども、でもそういった新成長戦略の大きな柱立てを踏まえたテーマ設定というのは、これからもRIETIには是非考えてもらいたいと思っております。
 それから2点目の、各部局との連携の話でございますけれども、申しわけありません。首をかしげるテーマがあるということで、大変申しわけないと思いますけれども、そこは、実は私も、さっき申し上げましたように研究会に入ったりしておりますけれども、そういった意味では非常に時宜を得た企業会計関係のテーマにおいて、次の時代の情報開示というのはどうあるべきかとか、そういうかなり先駆的な議論をしようとしておりますので、そこは我々から見て、そんなに不自然なテーマばかりではないなというふうに思っております。ただ、おっしゃるとおり、関連部局との意識のすり合わせがやはり十分できていないと、そういう御指摘も受けるものと思いますので、そこは活発化させていきたいと思います。
 厚生科研について、何かありますか。

【井内審議官】  すみません、私もいろいろ御指摘いただいていることは認識しておりますけれども、ただ、確かにいろいろな研究のやり方、先ほどもいただきましたガバナンス的なことも含めて、いろいろなやり方がもちろんあると思いますが、もちろんデメリットもあると思うのですけれども、今のやり方については比較的、全体としてのパフォーマンスはそれなりに上がっているのではないかというのが私どもの見方でございますので、もし更に改善すべき点があれば、またいろいろと御指摘いただきながら改善していきたいと思っております。
 申しわけありません。よろしくお願いします。

【柏原調査官】  先生の御指摘全般、3点とも、結局どういうテーマ設定をして、本当に政策とのリンケージを持ったテーマ設定がなされているのかどうかということに全部、収れんしていくのだと理解した上で補足をしたいのですけれども、先ほど委託と同じようなことではないかという御指摘もあったのですが、第2期におきまして、4つのドメインというものを広く設定をしているところでございますし、その4つのドメインの中で具体的にどういうプロジェクトを立ち上げるかというときには、私どもの経済産業省の方から担当部局が参加をする形で、そのテーマ設定をしていくというやり方をとっています。基盤政策領域の代表者という呼び方をしておりますけれども、産業政策の部局や、あるいは中小企業政策のところもそうですし、あと通商政策もそうなのですが、それぞれの部局に比較的、マクロの調査をやっているような部署がございますので、そういうところが経産省側の窓口という形で参画をする形をとっております。
 また、RIETI側の内部の統制の在り方としましても、1つ1つの研究プロジェクトの中身や、そもそも立ち上げるかどうかというところの判断につきましても、意思決定をしているのは所長ということで、別に学者が勝手なことをやっているということではございませんし、所長が立ち上げるかどうかを判断する、あるいは最後のDPというものを承認するかどうかというときのメルクマールの中に、政策的インプリケーションがきちんと含まれているかどうかとか、それが経済産業省の政策立案にどう貢献するのかという視点も持って、第2期は、第1期以上にそこを注力しながらやってきているということがございますので、そこがまだ不十分ではないかということだと思いますけれども、第3期にそこを更に強化していくようにやっていきたいと思っております。

【樫谷分科会長代理】  阿曽沼委員、よろしいですか。

【阿曽沼臨時委員】  はい。

【樫谷分科会長代理】  それでは、ほかに何か御意見、御質問ありますでしょうか。
 岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  この質問はあまり大きな話ではないので、ちょっと1点、保有資産の件で気になる点がございます。
 事務局の方で調べていただいた資料によると、今、大同生命ビルに分室を持っていらっしゃると。この分室と同等機能を持って、なおかつ経済的に、安いところを探して公募されたということを伺っています。
 そもそも分室というのは必要なのでしょうか。どういう目的でこの分室があるのでしょう。

【柏原調査官】  そもそもRIETIの本部は経済産業省の別館の一部を借りてやっているという形でございますけれども、単純に、そこからはみ出る研究員のブースとか、会議室のスペースとか、あるいは研究支援のためのスタッフの机というものが、経産省として無償で貸与できるスペースでは、足りないものですから、そこからはみ出たものを分室という形で……。

【岡本臨時委員】  単純に収容できないという。

【柏原調査官】  はい、そういうことでございます。
 ただ現在も、第2期においてやっております第4のドメインのところで、経済産業政策史の編さんという事業が1つ、プロジェクトとして立っておりますけれども、これが一応第2期において終了する予定だというようなこともございますので、来年度以降、より面積も縮小する方向で見直した上で、より効率化できないかということで、今回公募を実施しました。来年度やろうと思うと、半年前までに通告しないといけないものですから、このタイミングでやらせていただいているということでございます。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。
 では、森泉委員。

【森泉委員】  組織のことですが、国際・広報グループを設置するというお話ですが、これは人員が増加になるのでしょうか。それから、従来も多分おやりになっていたと思うのですが、なぜ今までの方法ではなく、この1つのセッションを設けるのでしょうか。

【井内審議官】  これまでも、もちろん国際的な連携でございますとか、あるいは情報発信ということでやってきたわけでございますけれども、いわば研究グループの中で、研究もいろいろ進めながら、片手間というとちょっと語弊がありますけれども、これについても必要だということでやっていたわけでございますけれども、この一連の皆様からいただいている評価の中での御指摘とかも踏まえますと、やはり国際的な発信であるとか、あるいは海外機関との連携による国際的な評価の向上ということを全部、御指摘いただきましたものですから、むしろやはりそれをミッションとするためのそういう人員をきちんと充てたほうがより効果的にいくのではないかということで、あえて設けたということでございます。
 人員的には事務局の中で配置を少し変えまして、特定のミッションを与えたということでございます。

【森泉委員】  人員は増えない。

【井内審議官】  増えていません。

【樫谷分科会長代理】  ほかにございませんでしょうか。
 私から、いつもこれは岡本委員が御質問されることで、当初整理案というのがありますね。当初整理表というのがそちらの手元にありますか。資料1−1の何枚かめくった後、当初整理表というのがありまして、「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しの当初案整理表」というところなんですが、そこの例の、数字が書いてあるわけですね。財政支出等も書いてあるわけですが、運営費交付金の債務残高が、21年度、今年の3月末で4億3,100万円あります。年間の行政実施コストが14億4,000万円と、これ3割ぐらいなんですね。これは累計ですけれども、3割ぐらいな数字が残っている。未執行で残っているということだと思うんですけれども、これは非常に効率的にやっていただいたのか。
 つまり、先ほどの御説明は、これは森泉委員からも阿曽沼委員からもあったんですが、予算がないからできないというようなお話だったんですが、一年間の予算の3割も余っていると、3年間、4年間でではありますかね。どういう理由で余っているのか。どうなのでしょう。
 全体が遅れているというのであれば、遅れているというお話もあったのでね、そうなのかも……。

【柏原調査官】  これは先ほど、まさに森泉委員から御指摘あったとおりでございまして、幾つかの要因がございますけれども、1つの大きな要因としては研究のプロジェクトの進捗状況の遅れというのがございます。他にも、昨年度は政権交代がありまして、独法の仕分けの議論などもございました中で、独法の方でそこは抑制的なプロジェクトの運用を行ったというような事情もございますし、あと過去にさかのぼれば、20年度あたりというのは、むしろ予算が足りないという状況に陥りそうになったこともございまして、その翌年度はその反動で控えたというようなこともございまして、ちょっとなかなかそこがうまく通年で回っていないようなところもあって、今回、外部専門家委員会というものを第3期においては立ち上げて、中間でもきちんと検証していこうということでやりたいと思っておりますけれども、そういう事情があるところでございます。

【樫谷分科会長代理】  はい。
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もございますので、経済産業研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業に関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問などができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会をしたり、必要に応じましてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 説明の皆様方には御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

【井内審議官】  ありがとうございました。よろしくお願いします。

【樫谷分科会長代理】  次に、工業所有権情報・研修館について、特許庁熊谷部長から、全体に遅れておりまして申し訳ございません、5分程度で説明をお願いしたいと思います。

【熊谷部長】  特許庁総務部長の熊谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、工業所有権情報・研修館、いわゆるINPITの見直し当初案について、簡単に御説明を申し上げます。時間の関係がございますので、お手元の資料1−2−(2)の1枚紙で御説明をしたいと思います。
 工業所有権情報・研修館、INPITにつきましては、この資料の上の二、三行目に書いておりますけれども、平成13年4月の法人以降以来、過去2度にわたる業務移管を経て、産業財産権制度を支える情報提供と人材育成を担う機関として、各種事業を実施しております。
 元々特許庁が行ってまいりました業務のうち、特許庁は審査・審判にリソースを集中する一方で、INPITの方は、審査・審判に不可欠な基盤的業務を行うという、こうした切り分けの考え方のもとで、独法の柔軟性、あるいは機動性を生かしながら業務の効率化とユーザーサービスの向上に努めてきたところでございます。
 知財政策の今後の方向性、その下に書かせていただきましたけれども、知財政策、大変大きく環境変化しておりまして、課題1にありますように、オープンイノベーションが進展する中で、いかに特許の活用を円滑化していくか。あるいは、課題2にありますように、国際的な制度調和、あるいは審査の国際分業をどうしていくか。あるいは、右にあります課題3、イノベーションのすそ野を広げるという意味で、中小企業あるいは大学をいかに巻き込んでいくかといったような課題がありまして、それぞれの課題に応じてINPITとしてもその業務を見直していく必要があると考えております。
 今後取り組むべき業務、組織の見直しの方向といたしましては、下に箱を大きく3つ掲げさせていただきましたけれども、サービスの向上と業務の効率化、それから知財を支える人的基盤の強化、独立行政法人の改革の取組と、3つの柱を掲げておりますが、具体的には、その箱の左上でございますけれども、「基盤的な業務の着実な遂行とサービスの向上」ということで、御案内のように、パリ条約で求められております中央資料館としての機能提供を行うことがINPITには求められておりますし、また出願に対する相談、審査・審判に対する必要な資料の整備、それから特許情報の提供、特許庁職員に対する研修の実施など、特許行政の実施に不可欠な業務の実施、あるいはサービスの向上に努めておるところでございます。
 また、その下でございますが、業務の効率化という意味では、事業者間での特許の橋渡しをする「特許流通促進事業」というのを10年間、2期にわたってやってまいったんですが、今回の事業見直しに伴いまして、一定の成果を上げたということで、22年度をもちまして廃止することといたしております。
 また、現在開発を進めております特許庁の新業務システム、この稼働に伴いまして、現在行っております特許電子図書館事業を含めました幾つかの情報関連業務の廃止が見込まれておりまして、新システムが稼働します平成27年1月には、システム関連で合計11名の人員の削減を予定いたしております。
 また、新たなニーズの対応ということでは、知財戦略をプロデュースするような高度な専門人材を、大学ですとか、あるいは研究コンソーシアムに派遣する事業、あるいはINPITならではの人材育成ということでは、民間企業に対する研修を充実したり、あるいは日中、日韓の人材育成機関との連携などにも力を入れていきたいと考えております。
 また、一番右になりますけれども、独法改革の取組といたしましては、管理運営の適正化、あるいは入札改革を含めた取引関係の見直し、それから自己収入の拡大ということにも引き続き取り組んでまいります。
 いずれにしましても、このINPITは、元々特許庁でやっておりました業務を切り出したという関係で、大変特許庁の業務と密接不可分の関係にございますけれども、やはり独法にしたということを踏まえまして、その強みである業務の効率化、あるいは機動性、柔軟性を生かしながら、今後とも組織・業務の効率化・適正化に努めていきたいと思っております。
 以上、簡単でございますけれども、見直しの方向を御説明させていただきました。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました工業所有権情報・研修館の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 岡本委員。

【岡本臨時委員】  どうもありがとうございました。
 今部長から御説明いただいた中で、若干私にとって気になる御発言があったのは、元々特許庁の中にあった部局だということだと思います。今さらこんなことを言うのもあれなんですが、10年前に独立行政法人化したときには、当初の御説明にあったとおり、特許庁、本庁はいわゆる審判等々に特化をして、情報とかインフラ的なところを切り出されたというふうに思います。
 確かにそういう方向で議論が進んだと思っておりますが、10年たって、果たしてそういう特許審査のやり方が効率的なのかどうかというのは、やはり当初の改革の方向性は、もう一度真摯に見直して、どのようなお考えなんでしょうかというのが第1点目です。
 そのときに、関連法人がいろいろ、この独法にもございますよね。いわゆる特許審査にかかわる、もう少し広い意味のいろいろな団体を含めて、どういうやり方が本当に効果的な特許審査、効率的な特許審査になるのかということの、ちょっと大きな話で大変恐縮なんですけれども、その辺をちょっと部長の方から是非御披露いただければなと、まずは思いました。

【熊谷部長】  委員御指摘のとおり、元々今回の見直しは、まさに審査・審判という、権利付与をする根幹の部分を特許庁の本体に残して、例えば出願に対する情報提供ですとか、あるいは人材育成等々、あるいは情報のいろいろな翻訳とか、そういう周辺業務のところ、出願するに当たって、審査・審判をするに当たっての不可欠なインフラ的な周辺業務を外に切り出したということで、例えば人材育成ですと、どうしてもなかなか年度に限られた、機動的にいろいろな研修をやらなければいけないというときにも、やはり独法にすると機動的、あるいは柔軟的に、コースメニューを変えられるとか、そういうこともありますので、そういう意味では、権利付与のところはどうしても本体に残す必要がありますけれども、周辺業務についてはINPITに出したほうがやはり機動的にいろいろなことができたのかなという評価はしております。
 ただその後、INPITの中で何を更に外に出すかという、今後の考え方なんですけれども、それはINPITでやっております出願に対する相談ですとか、あるいは人材育成というのはかなりソフト的な部分、フェース・トゥー・フェースのソフト的な部分については、やはりINPIT自らがやる必要があると思いますが、例えば翻訳ですとか、あるいは機器の開発、システム開発等、そういう外にアウトソースできるものはなるべく外に出していくと。そんな考え方で切り分けて、例えばJapioへ外に出したり、あるいは一般競争入札で翻訳を一部外に出すとか、そんなことを工夫しながらやっているというのが現状でございまして、トータルとしてはうまく独法の機能を使いながら、業務が展開できているのではないかなと思っております。

【岡本臨時委員】  すごいきれいに切ってしまったと思うのですけれども、INPITがそもそもやる役割って何だろうといつも思うわけです。確かに特許庁、本庁の方で審査・審判をやられる、これはおっしゃるとおりで、ここに公権力というものが当然かかわってくるわけですから、これを独立行政法人化することはちょっと難しいという、従来の御主張は分かる部分がある。それで独立行政法人になじむ業務を外に出した、それが今のINPITになっていると。
 ところがINPITから、まさしく部長さんがおっしゃったように、いろいろな業務がまた出ている。それを受けている実際の、民間事業者も含めていろいろあると。そうすると、INPITが世の中に存在していないといけない理由は果たして何なんだろうかというふうによく思い至るわけです。最終的にINPITでなければできない価値というものは、どういうものがあるんでしょうかと。
 端的に言ってしまうと、特許庁からいろいろなところに直接発注すれば終わるような業務なのか、そうでないのかというのがいつも我々は分からなくなる。実際に、今年は参りませんでしたけれども、数年前、特許庁を御視察させていただきますと、まさしく前を知らないものですから、独立行政法人化されてどのように中の運営が変わっているかが目には見えないのですけれども、特許庁とINPITは同じビルにいらっしゃる。独立行政法人なんかがなくてもうまく運営できるじゃないかと思えてしようがない部分もあるんですね。
 そうすると、その両方向から、INPITというのはどういうふうな役割を担っているのかということを、もう少し具体的に分かりやすく説明していただくと非常にありがたいと思います。

【熊谷部長】  INPITから外に出している業務、例えば今Japioに出している業務に翻訳という業務がありまして、これは30万件の欧米の明細書を和訳したり、あるいは逆のことをしたりという、その膨大な翻訳作業をINPITでやるかどうかと。それは当然翻訳の専門の方々を用意している団体でやるほうが効率的だろうということで、INPITから外に出していると。
 片や特許庁からINPITに出している事業の中で、先ほどのちょっと繰り返しになりますけれども、審査官のノウハウを民間に研修をするといった、権利付与ではないけれども、やはり民間の知財のレベルを上げるために、審査のマニュアル、あるいは審査基準等の研修を行ったりする業務はかなり専門性もありますので、かつ、そのコースというのはやはり民間に提供するサービスということで、権利付与に直接かかわらないけれども、片や世の中に対するサービスという意味では重要な機能を果たしている部分についてはINPITの方で提供するというような、研修とか相談業務とかいうところは、やはり特許庁でやるよりは、外に出した、サービスを提供する機関として特化しているINPITでやったほうが効率的であろうと。繰り返しになって恐縮ですけれども、基本的な考え方はそういうことでございます。

【岡本臨時委員】  どうもありがとうございます。では、とりあえず私は。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。
 木村委員。

【木村臨時委員】  今例に出た研修なんかですけれども、やりようによっては、例えば弁理士会に任せてしまって、弁理士会が、場合によっては特許庁の方を招いて研修をするとか、やりようは幾らでもあると思うんですが、それをなぜINPITが担っていなければいけないのかというのが、ついでの質問でございます。
 それからもう1つの質問は、同じ研修の関係で、受講者の数が減少している講座がかなりあるようなんですが、1講座当たりの最適の人数とか、そういうものは把握して、検討されておられるのかどうか、教えていただければ幸いです。

【広実課長】  最初の御質問ですが、元々INPITでやっております研修というのは、審査官、審判官向けの研修というものを中核的にやってきております。ただ、そのノウハウを生かして、民間企業の知財部の方々、あるいは弁理士さん等々に対しても、このノウハウを生かしたプログラムを提供しているということでございまして、もちろん弁理士会でも自らの、弁理士の研修ということはやっておるのですが、やはり審査官、審判官に対する人材育成というのは、本来的には公的な部門でやるべきではないかと考えておる次第でございます。
 研修それぞれのプログラムについて、人数の出入り等々について御質問がありまして、適正な人数、あるいはプログラムというのはどういったものかと。これはもちろん、知財をめぐる状況もこの10年で大きく変化していまして、昔であれば権利の保護強化、あるいは民間でも一番問題になったのは、特許で保護すべきか、ノウハウで保護すべきか、あるいはそれをどう先使用権として担保していくか、こういったところが重点になっていましたし、今はむしろオープンイノベーションで、活用の問題、こういったところがニーズとして強くなる、あるいは中国等での侵害の事件、こういったところに対するニーズも強くなるということで、ニーズ変化に対応しながら、本当にニーズの強いプログラムを柔軟にやはりつくっていかないといけないと思っております。
 今年なんかも実は審査の一部を、データベース検索の部分について民間に外注をしておるわけですが、その外注をもっと増やせないか。今8機関がやっておるんですが、新規参入をもっと増やせないか、こういった点を勘案して、こういった方々向けの研修を新たに作るべきではないか、こういった議論をやっておるところでございます。

【樫谷分科会長代理】  阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  声が出にくいので、変な声ですみません。お許し下さい。
 実はワーキングの中で委員の方々とお話をすると、いみじくも熊谷総務部長がおっしゃったように、独法が出来た時に周辺業務を切り分け、そして10年たって振り返って、INPITの事務・事業の効率化とか合理化の成果を考えていくと、そもそも本当にこれらの業務をこの独法で、この組織でやる意味があるのかという点に、どうしても行き着いてしまいます。
 我々委員は、独法の成り立ちのそもそも論を議論することは主な仕事ではないと言いつつも、本当にこの組織を良くしていき、組織の効率化を考えていくと、今ここであれをこうしろ、これをこうしろといって、1つ1つの業務を切り出して、例えばアウトソーシングをもっと進めろ等といったところで、本当にこの組織が良くなっていくのかどうかということを非常に悩みます。
 なおかつ、財団法人の日本特許情報機構があり、発明協会があり、また、研修に関しては、中小企業大学校があったり、中小企業基盤整備機構があったり、関連の法人がいっぱいある現状で、スーパーバイザー役としてのINPITが果たして本当に機能するのかどうか非常に疑問です。むしろ特許庁が、もう一度この関連法人等を含めた組織の在り方を抜本的に見直しをすべき時期が来ているのではないかという思いが、委員全員にあります。
 ですから、これ以上、あれをこうしろ、ああしろといって皆さんの意見をお聞きしても、何となくむなしいなということでございまして、むしろ抜本的な見直しをする必要があるのではないかと思います。その点はいかがでしょうか。

【熊谷部長】  この10年間のいろいろな経緯の中でINPITが生まれて、それで今に至っているということを踏まえつつ、例えば、先ほどちょっと触れましたけれども、今特許庁ではシステムの情報化、最適化のプログラムを開発しておりまして、それが導入された暁には、相当程度INPITが今提供している、例えば特許電子図書館というのがなくなり、それを委託しているJapioの業務もなくなりという形で、かなり私どもの業務を直すことによって、その波及効果としてのINPITの業務、更には外郭団体の業務もまた整理され、効率化されてくるという大きな一連の流れがありますので、そういういろいろなサービスの向上とともに周辺業務が変わってくるということを十分踏まえながら、団体の在り方というのは常に見直していかなければいけないと思っておりまして、そういう意味では、委員御指摘のとおり不断に見直していくということですが、今やっております、当面のINPITがやっている業務については、いずれも特許行政を展開する上で不可欠な業務ばかりでございまして、そういう意味で、なくしていい業務ということは、誰かがやらなければいけない業務という点では間違いないところなものですから、その切り方をどうするかということは見極めながら、足元を固めながらやっていかざるを得ないのではないのかなというのが率直な感想でございます。

【阿曽沼臨時委員】  ありがとうございました。特許電子図書館だとか電子出願ソフトウエア等々が廃止されていく。それから研修についても、今までの状況からすれば、むしろもっと違った方法がいいのではないかとどうしても指摘をしたくなる。なおかつ翻訳についても、INPITを通さなくても特許庁が直接外部へ発注ができるわけですから、そうやって考えていくと、部分的見直しではなくて、抜本的な見直しを含めて御検討いただく必要がやはりあるのではないかなと思っています。

【広実課長】  ちょっと補足させていただきたいんですが、そういう意味で大きな視点からの見直しというのは、この春以降、経済産業省全体で、3役の御主導で始まっていまして、先ほど出てきましたINPITに関連する法人というのは、今大幅に変革しています。発明協会というお言葉が出たのですが、発明協会向けの特許流通事業、20億円ぐらいあったのが、もう今年で廃止されますし、発明協会自体も、今まで47都道府県に支部があったんですが、それを分離して、思い切ったスリム化が今後進んでいきます。それからJapio、日本特許情報機構についても、先ほど言及されました30万件の翻訳業務は、これも省内のレビューで決まったんですが、大幅に分割発注をいたしまして、そこへ新規参入者を入れていくと。そのために柔軟な入札改革をINPIT自身がやっていく、こういう方向で既に動いている部分というのもございます。

【樫谷分科会長代理】  それでは河野委員。
 これで最後にしたいと思います。

【河野臨時委員】  特許保有コストに絡んで質問させてもらいたいと思います。
 経産省担当のワーキングではないので、若干ピント外れの質問になるかもしれません。ある独法を調査しておりますと、特許権に伴う収入が200万円で、保有コストが700万円というようなケースがありました。これから申し上げることは、独法自体の知的財産権というか、特許権の管理の問題かもしれません。もし個別の独法の判断で、あるいはこれはもう企業にも言えるのかもしれないが、保有コストがかかるからということで特許を放棄するというようなことがあれば、ある意味では宝の山が放棄されるというようなことになるのではないかと思います。一方、国としては知的財産立国というようなことで、特許等を取ることを推進しているということがあります。
 このINPITでは、特許の流通といいますか、使用の促進ということを掲げておられます。多分宝の山の利用の促進というようなことが大事なこととして挙げられていると思いますが、こういう状況といいますか、必ずしもうまくいっていないのではないかというふうに思います。1枚紙の方に、INPITについてのミッションというようなことで政策が掲げられておりますが、具体的に、使用の促進という業務ですか、こういうことの展開についてどういうふうに考えておられますか。案があればお聞かせ願えればと思います。

【熊谷部長】  ちょっと冒頭の説明で若干させていただきましたけれども、特許流通促進事業というのを過去10年間やってまいりまして、今回これを、10年間で、一定の成果が上がったということで廃止をいたしました。ただ、廃止した背景、成果が上がったというまさにその10年の間に、使われていない特許の橋渡しをすることをずっと専門アドバイザーがやっておりまして、それによって1万3,000件の眠っていた特許が使われるようになったということもありますし、これの専門家育成ということで、100名はそういう流通を担うような人材が育成されたということで、今回は、一定の役割、事業の役割を果たしただろうということでクロージングするのですが、更にそれを進めて今取り組もうとしているのは、例えば大学ですとか、あるいは研究コンソーシアムに直接行って、単なる事業者対事業者との特許のやり取りではなくて、まさに知財戦略をどうしたらいいか。つまりプロデューサーを、高度な人材をそのコンソーシアムに入れて知財戦略を立てるとか、そういう高度なサービスをINPITを通じてやっていこうという形で、リニューアルを今考えておりまして、そういう意味では、これまでINPITがやってまいりました流通業務を更にバージョンアップした形で、特許の流通、言われたような重要な知的財産を眠らせたままにしないという意味での事業は、引き続きやっていきたいなというふうに思っております。

【岡本臨時委員】  よろしいですか。

【樫谷分科会長代理】  はい。ちょっと時間ですので、すみません、簡単に。

【岡本臨時委員】  ごめんなさい。もうこれは簡単な質問です。
 多くの法人に質問させていただいているんですが、INPITも、やはり運営費交付金債務残高が多いのではないかと。平成21年度交付金が132億4,900万円に対して、59億6,200万円の運営費交付金債務残高だと。18年度を見ますと9億9,700万円の交付金債務残高なんですね。交付金はそんなに変わっていない。どうして急激にこれだけ残高が増えているのかということと、22年度の業務に影響は出なかったんでしょうかという質問をさせていただいて。

【井上室長】  今の御質問でございますが、確かに交付金の債務残高、21年度末現在で59億円ということになってございます。この大半は競争的調達による節減効果でありますとか、事業の効率化・見直しといった節減効果、それから若干特許出願の件数が減少したといったこともございまして、翻訳事業等で少し、当初見込んだ金額より少ない金額で事業を執行できているといったことがございまして、そういったもろもろのいろいろな効果が蓄積された結果、この金額になっております。
 ただ予算の方は、こういったことを反映しまして、22年度予算では交付金を少し減らしていますし、さらに23年度要求につきましては、今回の資料にも出ているかと思いましたけれども、103億円ということで、かなり大胆な金額削減、交付金要求を行っているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  それでは、時間の都合もありますので、工業所有権・情報研修館につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問などができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会をしたり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 説明者の皆様方は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。
 それでは次に、製品評価技術基盤機構につきまして、中西課長及び山下課長から御説明を、時間の関係もございますので、5分程度でお願いしたいと思います。
 説明のほど、よろしくお願いしたいと思います。すみません、5分程度で、時間厳守でお願いしたいと思います。

【山下課長】  知的基盤課長をしております山下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 製品評価技術基盤機構、NITEと呼んでございますけれども、こちらについての説明をさせていただきます。資料については、概要のポンチ絵がお手元に配付されていると存じますので、こちらを中心に説明をさせていただきたく存じます。
 このNITEでございますけれども、沿革を申し上げますと、元々通商産業省の一部、施設等機関でございました通商産業検査所というものを前身としております。製品安全に関係する法律、計量法、工業標準化法、化学物質審査規制法、こういった法律の執行業務、あるいはその支援業務というものを中核として、着実に業務を行ってございますけれども、平成13年から独立行政法人という形で、独法という仕組みを最大限に活用いたしまして、社会的な要請、あるいは行政ニーズに柔軟に対応いたしまして、国民の安全安心の確保に貢献をしてきたところでございます。
 最近の状況につきましては、概要紙のポンチ絵の一番上のところに簡単に書いてございますけれども、重大製品事故の発生等によりまして、国民の安全安心に対する関心というのが高まってございます。また、輸入品、あるいは新しい化学物質、こういったものが用いられることにより、社会的なリスクというものも増大をしてきております。こうした中で、NITEはこれまでの化学、生物、機械、電気などの分野におきます技術力、あるいはノウハウ、科学的知見の蓄積といったものを活用いたしまして、また公正で中立な機関という立場に基づきまして、さらに一層国民の安全安心の確保というものに的確に応えていくということが求められているところでございます。
 こうしたことから、暮らしの安全レベルを向上する、それから製品などの信頼性、あるいは安全性の確保を支える社会的な基盤というものを整備する、それから国際的な枠組みの中で技術的な支援、協力を行っていくということが、NITEに期待されている役割になっておるところでございます。
 このような観点から、NITEの行う業務につきまして、今後について4つの方向性ということで見直すこととしてございます。第1は、新たな社会的な要請に対応していく。第2は、NITEの中核的な業務であります法執行業務、あるいはその支援業務というものを的確にやっていく。3番目は技術的な基盤を強化していく。そして第4に、事業実施主体について見直しをやっていくという、この4つの方向性で今後業務を進めていくことと考えておりまして、分野別にどのような展開になるのかということについては、幾つかの例を書かせていただいてございますけれども、詳しくは本文(資料1−2−(3)(別添))の方を、6ページ以下に掲げてございますので、後ほどお目通しいただけましたらと思います。
 また、組織・業務運営の見直しということでございますけれども、これまで頂戴しております勧告の方向性、こういった指摘も踏まえまして、これまでについては業務の廃止、あるいは外部委託の促進、あるいは支所の業務の見直しというものをやってきたわけでございますけれども、今後につきましても、さらに、概要紙の一番下のところに書いてございますような各種の見直しをやってまいりたいと思っております。
 特に、内部統制の充実・強化という点につきましては、おかげさまで政独委の業務実績評価におきます意見、昨年12月に頂戴しておりますけれども、この中では取組が顕著な事例ということで評価をいただいておりまして、大変私ども励みになるところでございますけれども、引き続き、こうしたことについては強化をしてまいりたいと思っておるところでございます。
 また、契約の適正化ということでは、随意契約の見直しを鋭意やってございまして、かなりの効果も出てきておりますので、これも引き続きやってまいりたい。また、こうした中で人材というのも育てていかなければならないものですから、こうしたものについても戦略的に進めていくということ。あるいは、右側の方に掲げてございますけれども、広報・情報提供の促進、あるいは機動的な内部組織の構築、保有資産の見直し、あるいは自己収入の増加、こういったものについても鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 以上、簡単でございますけれども、概要でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました製品評価技術基盤機構の見直し当初案につきまして、御質問などがございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 森泉委員、お願いします。

【森泉委員】  御説明ありがとうございました。
 私はNITEを随分前に見学させていただきましたけれども、一定の役割は当然ございます。それはよく分かっておりますが、中身を見て驚いたのは、業務内容が幅広い。業務内容というか、研究というか、それが非常に幅広い。そもそもの出自を考えますと、こんなに手広くやれるものなのかなという懸念があります。結局幅広く、しかし、薄くなるのではないかと。産総研のやっているようなこととも重なっていたりするわけですね。今日御説明いただいたところで、業務の見直しということがございましたけれども、果たしてこれだけで十分であるのかどうかということは、私は非常に疑問に思っております。中核的な業務だけで十分ではないかという気がするのです。
 3番目の技術基盤の強化というところですが、従来はNITEはそもそも得意としていなかった部分も多々見受けられるということです。例えば、微生物のゲノム解析であるとか、それから寄託業務については、産総研もやっているわけですから、そことの整合性はどうなのかということが1点です。
 それからもう1つは、NITEの中心的な業務のところだと思うのですが、これはもう技術的に確かにしっかりしたものを持っていらっしゃるのですが、消費者庁等の連携がどこまで進んでいるかということです。
 その2点、お聞きしたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  よろしくお願いします。

【山下課長】  ありがとうございます。
 まず第1点目の業務でございますけれども、NITEができましたのが平成13年でございますが、それより前は施設等機関、当時の名前は「製品評価技術センター」という名前でございましたけれども、この時点で既に大きな4分野、これは製品安全、化学、バイオ等の、こういう業務を既に担ってございました。ゲノム解析については平成5年に、当時は非常に高額でございましたけれども、繊維の関係でございましたが抗菌の関係の解析をする必要がございましたので、高額なゲノム解析の施設なども、当時国ぐらいしか買えなかったものですから、導入をいたしまして、進めてきているところでございます。
 また、研究開発との関係については、基本的にはNITEは研究開発を行っている組織ではございませんものですから、むしろこれらの経済産業省から請け負っている業務をしっかりやっていくということに力点を置いてやっております。
 産総研との関係で、寄託業務について御意見がございましたので、若干細かくなりますが申し上げますと、特許法に基づきまして、微生物を用いた特許を出願する場合には、その微生物を寄託する、預けるということが特許法上、またブダペスト条約上必要とされてございまして、どの機関に預けるかということにつきましては、特許庁長官が指定をするということになってございます。特許庁長官からは、複数の機関を指定することについては、最終的なセキュリティーの確保ということと、それから競争的な条件を確保するという観点から、複数の機関が望ましいのではないかということで2機関指定をいただいているところでございます。したがいまして、業務の内容は確かに同じなんでございますが、これは複数指定というところからくるものでございます。
 また、最後の消費者庁との連携についてどうかという御指摘がございましたけれども、これは、昨年消費者庁ができまして、消費生活用製品安全法を含めて改正をしております。消費者庁が全体の司令塔となり、消費者庁から経済産業省を通じてNITEに対し、事故の原因分析を行うよう通知がなされる、そういう法律の構造に変わってきてございます。そういう意味では、今後も我々が、消費者庁を司令塔という形として、どのような連携がとれるのかというのを考えていきたいと思っております。
 これは事業仕分けの方になりますけれども、消費者庁と国民生活センターの役割分担というものを明確にしなさいと。その上で、関係の省庁、独法との連携というのを検討しなさいという御指摘をいただいております。現在消費者庁の中で、国民生活センターとの役割分担を検討している最中というふうに聞いております。したがいまして、私ども、どのような連携、協力というのができるのかという具体的な検討を、消費者庁の方で国民生活センターとの役割分担の検討が終わりましたら、速やかに協力関係の検討というのに入っていきたいと思っております。
 以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  森泉委員、どうぞ。

【森泉委員】  先ほどのゲノムのことですが、研究を基盤としていないとおっしゃっていました。評価ということだと思うのですが、例えば理研などで研究を盛んにやっていますね。研究をしているわけですから、そこでは評価ということもできるのではないでしょうか。要するに、元来得意だった分野かどうかちょっと分からないのですが、ほかに同じような独法で得意にしているならば、そこにお任せするということもあるのではないでしょうか。
 これから、国民生活のリスク、あるいは安全な生活ということを考えると、もうきりなく幅広くなっていってしまうと思います。リスクはあらゆるところにありますから、それこそ食品、環境、全部。そうすると、もうNITEはきりなく対象を広げていくということになります。その辺については、今後はどのようにお考えでしょうか。

【山下課長】  ありがとうございます。
 まず第1点の理研との関係でございます。私、実は先週理研の、つくばにございますBRCといいますが、バイオリソースセンターというのが理研にございまして、こちらの方を拝見させていただく機会がございました。
 こちらで理研が中心的にやっておりますのは、実験用のマウス、ネズミ、あるいは植物のシロイヌナズナというものがございますが、これを中心に彼らは研究をやっております。実際に新たな可能性のあるものを、遺伝子の改変などをしまして、新しいマウスなどを作り出しているわけですけれども、これを研究開発をやっている部門と共同して作りまして、新しくでき上がったものをBRCの方で保管をして、各地の研究者から要望があれば、それを提供するという業務をやっていらっしゃいます。
 NITEについては、中心的に持っておりますのは、マウスや植物は持っておりませんで、微生物を持ってございます。研究開発との関係では、NITEは研究開発をやっておりませんけれども、今のNITEでやっておりますのは、BRCをもちまして、微生物の株を、産業界から要請があった場合に提供する業務をやってございます。そのときに、これは特許の寄託のときも同じでございますけれども、自分たちの持っている菌が安全なものなのかどうか、時々コンタミネーションという、ほかのもの、危ないものが入ったりということもあるものですから、それがないかどうかとか、あるいは、どういった利用に供することが産業界の利用としてできるのかというようなものを、遺伝子解析をすることによって付加価値をつけることができます。 こうした付加価値をつけて、産業界において、効果的あるいは効率的な利用というのができるようにして提供する。こういう基盤のところを担っておるものですから、そういう意味で、研究開発はもちろんやってございませんけれども、むしろ基盤のところをしっかり支える、これをNITEの役割分担としてやっておりまして、引き続きこれは重要な任務だろうと思ってございます。
 それから2番目のリスクについては、確かにおっしゃるとおり、様々リスクというものが増えてございます。製品に関係するリスクもございますし、新しい化学物質から生まれるリスクもございます。あるいはもっと広く環境、あるいは地球環境というところにもどのように使われるかというのは、おっしゃるとおりだと思います。
 そういう中で我々、すべてをできないというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、今後の日本を支える、あるいは経済を支えていく新成長戦略というものを出してございますので、そういう中で戦略的にどういう分野をしっかりやっていかなければならないのかと。国民の安全安心ということも一番でございますけれども、そういうものを勘案して戦略的に選んでいく、今後としてはそういうものが出てくるだろうと思いますし、また食品の関係で、他の独立行政法人、あるいは国の機関等々と連携をしていくというようなこともあると思います。これは既に部分的にやっているところもありますけれども、そうした連携というのを強めて、今後とも、世の中全体として見たときに効率的・効果的となるような業務運営をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。

【荒張臨時委員】  では、ちょっと私は財務的な側面から御質問させていただきます。
 財務諸表を拝見したときに、21年度で総支出が84億円の事業規模に対して、受託を除く自己収入が20億円程度あるということで、これがその前年度だと16億円少々となっておりますので、 非常に結構な勢いで自己収入が増えていて、多分NITEさんの方で、自己収入の獲得ということに対して非常に積極的に取り組まれているのかなと思っておるのですけれども、実際独法になってどのぐらい効果が出ているのか、また、その増加というのが、国の時代の研究機関から独法になったことによって、どういったことで、そのよないいインパクトが出たのかというところを、御説明いただきたいのが1点と、それから、全体の4分の1に至る自己収入を獲得していく中で、講習関係業務収入というのが圧倒的に多いので、この内容をちょっと教えていただきたいのが2点目。
 3点目に、独法の1つの趣旨として、釈迦に説法かもしれませんけれども、民間手法を取り入れてコスト削減していきましょうということだと思うので、特に、これはいろいろな方法があると思うのですが、直接的な受益者負担というものを求めて、更なる収入の獲得の余地というのがどういった部分にあるとお考えなのか。まだ実際に手についていなくても、可能性としてどんなことが考えられるのか、是非お考えがあればお教えいただきたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  すみません、短めに。

【山下課長】  ありがとうございます。
 最初の2点いただきましたが、実はいずれも同じことをお答えすることになろうかと思いますが、自己収入の最も大きなポーションを占めておりますのは、講習に関するものの収入でございます。これは電気についての電気工事士、それからガスの関係でございますけれども、ガス工事の監督者、これらについては法律上講習を受けるということが義務づけをされてございます。この講習を受ける方から費用を徴収させていただいて、この費用ですべての講習に係るもの、あるいは人件費、光熱費等すべてを賄うという形になっておるものでございます。
 それから、毎年毎年の収入でございますけれども、これは10億円を超える年も実はあるのでございますけれども、特に電気関係については、5年を周期としまして、2年ぐらい非常に大きな収入がある年がありますが、2年ほど赤字になる年というのがございます。これは受講生の数に5年ごとの周期がありまして、多い年、少ない年というのがあるものですから、少ない年というのは実は赤字になってございます。こうしたものを全体プールする中で、5年間として見れば、ある程度ならされていくというような形で運営をしているものでございます。
 今後について、これをどうするのかということについては、実は私ども省内仕分けというふうに呼んでございますけれども、今年春の時点で、元々この業務については公益法人改革の関係で、途中からNITEが請け負うことになった業務でございますけれども、より効率的な形を検討するということから、検討を行い、NITEの業務としては廃止をするということを今考えてございまして、そういう意味では、この受講料をベースとした収入の拡大については、今後についてはそれは考えておらないところでございます。
 以上でございます。

【荒張臨時委員】  というと、むしろ法律に義務づけられたものであって、しかも期間変動があって、たまたまちょっと増えたところを私が見ただけだということがまず1点なのですね。
 しかもそれはもうやめられるということなのですか。そうすると、では後は研究的なものが残っていくようなイメージになるということなのですか。

【山下課長】  おっしゃるとおりでございまして、実はこれから23年度、24年度が赤字になる年になってまいります。したがいまして、今委員の御覧になっていらっしゃるのは、収入がむしろ立っている時期のものです。

【荒張臨時委員】  なるほど、よく分かりました。ありがとうございました。

【岡本臨時委員】  このNITEのような組織というのは、非常に私は難しいかなというふうに個人的には思っておりまして、いろいろな法律があって、法律というか法令を根拠にしてやるべきものが決まっていて、それを実際にやられている業務が多くあるというイメージを持っています。
 そうするとそこで、抽象論を言ってもしようがないので、今NITEさんがやっていらっしゃる個々のこの業務というのは、相互に何か共通項目みたいなものがおありになるのでしょうか、その御説明を伺いたい。というのは、NITEが独立行政法人のような形態をとるのが果たしていいのかどうかというのは、よく考えてみると分からない部分があって、独立行政法人のイメージからいうと、理事長という人がおられて、法人の長が自分の裁量で、ある意味で非常に効果的な、あるいは効率的な業務体制が自分たちの裁量でできるというのが、ある意味の理想型のような独立行政法人のように思うわけですね。
 ところが、NITEさんの場合はいろいろな法令がそこに、縦割りに入ってきていて、非常にマネジメント的に難しい制約がかかっているのではないのかなと。そうすると簡単に、独法でどのぐらい効果が上がりましたといっても、手足が縛られているんですよというようなのがマネージメントの面からあるのではないかなと。そうすると、果たして独立行政法人でいいのかどうかというのは、私は個人的にいろいろ思うところがあって、ちょっとその辺の抽象的なことも含めて御説明いただければありがたいと思います。

【山下課長】  ありがとうございます。
 NITEにつきましては、これまで省内の評価委員会の御評価についてもそうなんですけれども、独立行政法人としての仕組みを最大限に使ってきたというふうに評価をいただいています。また、これは我々もそう思っております。具体的に申し上げますと、例えば製品の事故原因分析につきましては、パロマの事件などがございましたものですから、消費生活用製品安全法というものを改正いたしまして、すべての事故の通知をNITEが受けて、原因究明をするということをやってございます。これは、3年前は7,000件以上にわたる通知がございまして、非常に多くの、それまで4,000件前後、あるいはもっと前でいくと3,000件ぐらいのときもありましたので、非常に急増したわけでございます。
 そうした中で、バイオテクノロジーですとか化学とか他の分野から、急速に増加した事故通知に基づく事故原因分析のために、人を集中させていくというようなことを実はやって対応してございます。30名から40名前後の人間を一気に集めて対応するというようなこともやってございます。その後徐々に平準化していく中で、また戻していったわけでございますけれども、そういう人材の選択と集中というのが可能だということ。
 また、技術力という観点から申し上げますと、製品事故については様々なものが原因で起こる事故がございます。例えば、机の上に敷いてあるマットで手がかぶれるというような方がいらっしゃったのですけれども、これについて何が原因だったのかというのを探っていきますと、実は化学的な作用で反応していたというようなことが分かったりとか、そういうものがあるものですから、我々人材と技術を1つの組織として持っていることによって、いち早く原因究明ができていたということがあると思っておりまして、こうしたことから、独立行政法人ならではのリソースを集中的に選択して配分をしていくということができてきたのだと思っております。
 委員御指摘のように、これはトップにかなりのマネジメント能力が要求されることは確かでございまして、まさにマネジメント能力をいかんなく発揮いただいたと思っております。NITEは国民の安全安心を確保するという、すべての分野に共通するミッションというのを立てまして、今後10年間のビジョンというのを既に作成をしてございます。こうした共通した、国民の安全安心の確保というミッションを掲げることによって、4分野にまたがるマネジメントを進めていくことができる、そういう体制を敷いてございます。

【岡本臨時委員】  ということは、十分NITEは独立行政法人としてやれる、やるべき法人だということですね。

【山下課長】  はい、私どもそのように考えてございます。やはり経済産業省、通商産業省時代にはできなかったことができているというふうに考えてございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございます。
 時間がありますので。
 どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  すみません、声があまりよく出ないままで失礼いたします。
 ワーキングでの議論の中で、NITEと産総研の統合ついての御質問をさせていただいた中で、統合ができない、難しいという回答でした。その理由の1つとしては、産総研の様に民間資金が入る組織と一緒になると利益相反が起こるという点。第2に、両者を具体的にマネジメントすることは極めて困難であるという点。そして第3に、立ち入り検査の問題があるので、法律に基づく法執行をする上で、公務員としてやっていかなければいけないという点。以上の3点で統合が困難であると回答いただきました。
 まず、両者を一体的にマネジメントすることは極めて困難だという点に関しては、私は全くそう思いません。今までのお話の中でもNITEご自身も大変業務が多岐にわたっていますし、確かに産総研も多岐にわたっていますが、そんな事を言えば、経済産業省さんなんかはもっと多岐にわたっているわけですね。それでもキチンとマネジメントされています。1つの組織としてマネジメントしているわけです。そういう人材が日本にいないというならば、その理由は納得がいきますが、1つの組織としてマネジメントするのは極めて困難で、その結果として国民の安心と安全を損なう事態を招きかねないとおっしゃる。ためにする理由であって、これは理由としては全く納得がいきません。
 それからもう1つは、非公務員化が出来ないという問題です。立入検査に関しては、NITEが担当しているものはこういう内容であると規定されていますと資料に説明があります。この中で薬事法に規定する医薬品は除外しているとなっています。薬事法に規定する医薬品の安心安全の問題は独立行政法人のPMDAがやっていますね。これは非公務員型でやっています。それから、もう1つ私が事例として示しました、産業安全研究所(産安研)と産業医学総合研究所(産医研)が18年4月に統合をいたしましたが、このときに産安研は公務員型、産医研は非公務員型でした。このときも産安研が非公務員型では立入検査ができないということで論陣を張られました。しかし結局非公務員でもできますという結論になって、一緒になりました。
 これらとの整合性という点について、合理的かつ客観的に御説明いただきたい。

【山下課長】  ありがとうございます。
 まず産総研との関係で、マネジメントの点、御指摘いただきましたけれども、産総研については、今ノーベル賞クラスの研究者というのを集めて、非常に短い期間の間に研究開発の目標を達成するということで集中的にやっています。一方でNITEについては、短期間というよりはむしろ長期間、例えば微生物の提供というものについては、微生物を変わらない姿で、品質を安定させて30年、50年の間提供していくという業務をやらなければならない。

【阿曽沼臨時委員】  すみません、その説明は、例えば経済産業省の1つ1つの局が、やっぱり全部役割が違うから、全部別個の省にしなきゃいけないんだという論理と全く同じに聞こえるので、説得力がありません。そういうことを前提に我々は聞きますので、それでもお話になるのであれば、どうぞお話になってください。

【樫谷分科会長代理】  簡潔に。

【山下課長】  はい。どの組織でどの目標を掲げて、どのようなマネジメントをするか、それに伴うメリット、デメリットを勘案する必要があると思っております。私どもとしては、メリットよりもデメリットの方が大きいというふうに評価をしているものですから、一緒にすることについては私どもとしてはむしろ不適切と考えております。
 次に、立入検査と独立行政法人の観点について御指摘をいただいております。独立行政法人の通則法というのがございまして、ここでは、いわゆる公務員型については、特定独立行政法人という形で定義をされております。この特定独立行政法人の定義は、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの、その他独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものということで定義をされております。
 この中で、この定義との関係で申し上げれば、立入検査ということをするかしないかということで、特定独立行政法人となっているか否かというものでは、今申し上げた定義からは異なっております。私どもは、この業務の停滞というものが国民生活等に著しい障害を与えるのかどうかということ、あるいはその他の業務の性質がどういうものかという観点から考えておりまして、業務の遅滞というものが許されない業務がある。例えば化学兵器については、国際機関から通告を受けますと48時間以内に対応するというのが必要でございますけれども、こうした中で遅滞をすることはできないわけでございます。また製品安全についても、事故が発生し、消防・警察がこれから入りますというときに、来てくださいと言われれば行かないというわけにはいかないというわけでございまして、こういう遅滞が許されないというものがございます。
 それから、中立性、あるいは公平性というものが要求をされてございまして、これらについては、私どもとしては法律的に担保をしておくということが必要だろうと思っております。
 御指摘いただいています医薬品の関係、それから労働安全の関係でございますけれども、まず医薬品の関係については、委員御指摘のように、薬事法の業務を医薬品医療機器総合機構というものが担っております。薬事法については、消費生活用製品安全法の適用の除外項目になってございます。これはなぜかと申しますと、委員の皆様方御案内のように、医薬品や、あるいは医療機器というのは国民の生命に非常に重要な役割を持っておりますので、その安全性については厳しい審査がされてございます。つまり事前に審査を行って、許認可にかからしめるという厳しい規制がかかっております。
 この事前の許認可に先立って立入検査を行い、審査を行っているのがこの機構でございまして、事故などが発生したときに緊急に対応しなければならないという業務は、私どもが厚労省の方に確認をいたしましたところ、国や都道府県がむしろやっていますということでございまして、この独立行政法人についてはむしろ事前規制をしっかりやっていただくということが主たる業務なのだろうと思っております。
 それから、労働安全についても事例としていただきました。こちらについても、立入検査を業務としては担っておりますけれども、これは労働災害が起こった場合の調査でございまして、地方、都道府県の労働局、あるいは労働基準監督署が基本的には対応をしております。年間で2,500件程度の労働災害に対する対応をしておりまして、ファーストアクションのところは都道府県の労働基準局などがやっておりまして、独法であります労働安全衛生総合研究所については、年間19件の調査をやっております。これは大規模なものでありますとか、仕組みが非常に複雑なのではないかということでやっておるものでございまして、そういう意味では、迅速な対応というものが消費生活用製品の事故について求められておりますNITEとは、役割が違うものと思っております。

【阿曽沼臨時委員】  違うのですね。

【山下課長】  はい。いずれにしましても、立入検査がメルクマールではないだろうと考えてございます。

【阿曽沼臨時委員】  お聞きはしました。
 あと最後に1つ、ワーキングからのご質問の中で、バイオ分野に関するご解答で、膨大な費用がかかるから困難という点について具体的に計算式を出していただきました。通常このご解答ですと、例えば資金がなくて、銀行からお金を借りてこれをやらなきゃいけないということで、この説明をされても、どこも貸してくれないでしょう。理由になっていません。この点に関してはまた再度細かく御説明をいただきたいと思います。非公務員型の問題に関しても、もう少し具体的に協議なり、話を深めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【樫谷分科会長代理】  時間でございますので、一応これで。また後で御回答いただきたいと。
 時間の都合もございますので、申し訳ありませんが、製品評価技術基盤機構につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問などができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会をしたり、必要に応じましてワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 説明の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 それでは次に、日本貿易振興機構について、田中課長から御説明をお願いしたいと思います。
 全体の時間の関係もありますので、全体ちょっと遅れておりまして、5分を厳守ということで説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

【田中課長】  それでは御説明をいたします。経済産業省通商政策課長の田中でございます。
 お手元の資料の中では、資料1−2−(4)というものをお開きいただければと存じます。こちらに沿いまして、ジェトロの中期目標期間終了時におけます組織、業務全般の見直しに関する当初案を御説明させていただきたいと存じます。
 ジェトロにつきまして現状に関する基本認識といたしましては、日本経済を取り巻く現状ということで、大変な厳しい状況があるという訳ですけれども、こういう中で日本企業の海外展開、及び対日投資促進の重要性ということが一層高まっているということが、まず出発点でございます。
 その上で、日本企業・経済の国際化を支える基礎的なインフラとして、日本企業の国際展開を支援することなどによりまして、地域経済の再生、日本経済の再活性化に貢献をするということがジェトロの果たすべき最も基本的な役割だというふうに、整理をさせていただいております。
 その上で、業務全般の見直しということで、大きく3つの固まりで整理をさせていただいておりますけれども、1つ目が中小企業を中心とする海外展開支援ということでございます。こちらにつきましては、東アジアを始めといたします新興市場ですとか、あるいは欧米等の先進国市場を想定しながら海外展開を支援していくということでございまして、その対象については広く中小企業産品、農林水産品・食品、それから最近大変注目の高いコンテンツ系のもの、環境・省エネ機器、医療・介護機器など、幅広く海外市場開拓を支援していくということが大きな柱かと思っております。
 それに加えてインフラ・プラントビジネスに対する支援ということも当然ございますし、海外への進出、出て行くことへの支援、それから在外に既に出ている方の企業への支援、知的財産権の保護といったようなところが大きなポイントになろうかと思います。
 それから、対日投資促進、こちらにつきましては、雇用を生む、そういった効果をねらいまして、とりわけアジアにおける拠点を日本にどれだけ引きつけるかということが大きな国策にもなっておりますので、そういった面への貢献。更には内需拡大につながるということをねらった経済波及効果が高い案件に重点化・効率化をしていくということを、対日投資促進の1つの大きなポイントにしていきたいということでございます。
 そういう中で、対日投資ビジネスサポートセンター、こちらは現在ワンストップサービス機能を有している訳ですけれども、こういった機能をまた向上させるといったようなことも併せて、しっかりその中で進めていくということでございます。
 3つ目が、東アジア経済圏形成など通商政策への貢献ということでございまして、こちらの方は、EPAなどの通商貿易政策を国としても進めている訳でございますけれども、それを含め東アジアの経済統合に資する研究など、こういった面での、とりわけアジア経済研究所を抱えておりますので、こちらの地域研究、開発研究についての長年の蓄積と人的なリソースというものを最大限生かしながら、かつ、本部が行っている、もっとビジネスに近い海外調査と一体になった形で国際ビジネスの展開につなげていくということが、もう1つこの調査研究における大きな柱であるというふうに考えております。
 こういう中で、ERIA、これは東アジア・ASEAN経済研究センターでございますけれども、こういった国際機関への研究面での支援もやることによって、日本の国境を越えた、そういった調査研究活動への協力ということも併せて行っていくと。それによって日本全体として、オールジャパンとして世界経済に伸びていく日本の経済産業の力をしっかり支えていきたいということでございます。
 最後、効果的・効率的な業務・組織運営、こちらにつきましては、累次いろいろな取組もしてきておるわけでございますけれども、今後とも引き続き、専門性を生かせる事業に重点化をしていく。それから単に点で終わらずに、面で支援をしていく、あるいは人件費改革、費用対効果、民間の活用、随意契約の見直しといったようなことをしっかりやっていく。あと資産の有効活用、こちらの方もいろいろな売却等も進めておりますけれども、それから財務基盤の維持・充実と、自己収入拡大にも取り組んでまいりますし、情報公開ということも当然でございます。
 それを踏まえながら、柔軟かつ機動的な組織運営ということを旨といたしまして、本部、それから国内外体制というのを、全体としてきっちりコストを抑えながら、しかし実際に国としても、あるいは国全体として動くときに動けるような、役に立つような形でのネットワークをしっかり維持していくということを果たして参りたいというのが、大きく当初案の考え方とさせていただいております。
 説明は以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました日本貿易振興機構の見直し当初案につきまして、御質問などがございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思います。
 岡本委員、どうぞ。

【岡本臨時委員】  ありがとうございました。
 私は、ジェトロの活動というのは非常に重要だと思っています。今、課長から御説明いただきましたように、非常にいろいろな項目としてなくてはならないものだと思うのですが、今後の方針ということに関して実は違和感を持っていまして、対日投資促進も重要だし、東アジアも重要だし、中小企業も重要だと思うのですが、果たしてジェトロという組織がやるべきことの一番はこういうことなのだろうかという気が正直します。
 例えば、日本はやはり貿易立国ですから、ちょっと言葉はあれですが、諸外国にサービス、製品を売って、あるいは対外投資をやって日本というのは今後も生きていくのだろうなと。そういう観点から見ると、ジェトロというのは中小企業に特化したような海外展開の支援ではないだろうし、東アジアに特化したような通商政策でもないだろうし、対日投資を促進するだけではなくて、むしろこれから日本の製品、サービスをどういうふうに海外に展開するかというところに力を入れなければいけないのではないかなと、そういうふうに思うのですね。
 従来、過去においていろいろなジェトロに対する、あるいは通商政策に対する批判があったのでしょうけれども、多分環境も変わってきて、むしろ私たちが、例えば途上国なんかにいると中国の圧倒的な存在を感じる。あるいはミッションとして、いろいろな官民一体のミッションが出て来たとすると、やはりジェトロさんが、いわゆる先兵というか、いろいろな基盤的なところを、貿易立国という観点から情報を集めて、それをいかにオールジャパンで生かしていくかという活動を積極的に展開されるべきではないのかなと。
 そうなってくると、ここの掲げているような業務全般の見直しの方向性ではないのではないのかなという気がしてならないのですね。中小企業だったら中小機構がありますから、中小機構にやってもらえばいいのではないかなと思いますし、東アジアというのであればいろいろな研究、例えば、今は一緒になっていますが、アジ研さんというものをむしろ研究所として独立をさせて、もっといい、自由なやり方ができるような在り方もあるのではないかなと思えて仕方がないのですが、すみません、ちょっと自分の意見ばかり言って大変恐縮なんですが、今のような意見を聞かれて、政策当局としてどのようにお感じになられますでしょうか。

【田中課長】  御質問ありがとうございます。
 まず、政策のプライオリティーの立て方についてでございますけれども、当然ですけれども、私ども政府の一翼を担うものとして、現政権がどういう方向で経済政策を考えているかということを意識しながらこれをまとめている訳ですけれども。

【岡本臨時委員】  そういうことをお聞きしている訳ではないのですけどね。それはもう政治主導だからということだと思うのですけれども。

【田中課長】  すみません。例えば9月10日に、私ども一番直近の課題として、経済対策の取りまとめをしております。中小企業の海外展開支援ということがその中の1つの大きな柱になっておりますけれども、ジェトロと中小機構が一体となって、中小企業を支援していくということが実はその中の柱として、これは閣議で決まっている訳でございます。ですから、そういったところに政府としても非常に重点を置きながら、かつ、スピード感を持って取り組めということで、今政策が進んでいるという中でのこういう整理であるということを、まず冒頭申し上げておきたいと思います。
 今、岡本先生からいただいたいろいろな御指摘は、私もそれぞれ非常に重要な御指摘だと思っておりまして、必ずしも否定されているということではないと思うのですけれども、一方、例えば対日投資促進につきましても、9月10日の経済対策にリファーさせていただきますが、国内投資活性化という議論の中で、やはり外から投資を呼び込むという議論についても、そのコンテクストでまた更にいろいろなことを進めてくれという流れになっておりまして、まさにこういったところが政府全体としての大きな課題になっていて、それにジェトロも含めて、当省も当然ですけれども、協力をしながら進めていくというのが、今の大きな流れになっている訳でございます。
 それから、東アジアの研究のところについては、まさにアジ研との統合によるシナジーも生かして、もちろんアジ研が従来持っていた良さ、強みというのはそれぞれ維持をしながら、しかしそれが、ややもするとビジネスみたいなものから全く切り離されたものにならないようにするためにも、ジェトロの中で、人的な意味でも相互交流をしたり、それから実際に出てくる成果についても、ビジネスへのアドバイスなどにもうまく使えるようにつなげていくということでございますので、むしろ問題意識としては、先生がおっしゃったような方向により進めていくためにも、今の体制をしっかり生かしていかなければいけないというふうに思って取組をさせていただいているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  いかがですか。

【岡本臨時委員】  ちょっと私が出過ぎた発言をしたので、かちんとこられたのかなと思いましたが、すみません、課長のお立場ではやはり閣議決定を中心とした政策の中での展開をしなければいけないのは、私も重々分かっていますので。ただ、本当にジェトロというものを生かしていくのは、私なんかはむしろ、政務三役などにあるべき論というのを現場から発言していただく方がいいのではないのかなと思って、私の意見を申し上げただけで、それがちょっとあまり違うというのであれば、それは致し方がないのかな、残念だなというふうに思っていたということであります。

【樫谷分科会長代理】  はい。

【岡本臨時委員】  すみませんでした。

【樫谷分科会長代理】  阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  すみません、声が出にくく、変な声ですがお許しください。
 対日投資の促進という点ですが、基本的に制度と税制の問題を解決しない限り、対日投資なんてどんどん増えてなんかいきませんよね。その様な状況の中で、対日投資促進という国の方針があるときに、対日投資を促進するためのアクションプランが幾つかあるとすると、一体ジェトロはどの部分を担っていくのですか。そういったことについて少し具体的にお聞きしたいと思います。

【田中課長】  ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりでございます。対日投資を進める、これはほかの国とある意味で競い合って、投資を引きつける上で、まず何よりも国全体の政策の方向性、今まさに先生も言われましたような税制の問題、規制の問題、そういったものを大きく変えていく。それによって外資をもっと導き入れていくということが目標になるのは、もとより当然でございます。
 先ほどちょっと触れました国内投資活性化の、これは政府としてプログラムをまた10月、11月と作っていく。それから、ちょっとこの中にも出てくるアジア拠点化、これについては、当省の中でもそれにフォーカスをした政策、取組というのを、予算とか税のプロセスで今まさに検討中でございまして、そういった大きな政策の枠組みは政府の方で、その上で、特に日本という存在、ロケーション情報をいろいろな企業に、意思決定においてちゃんと判断材料に入れてもらうというところが、まさにジェトロの持っているネットワークであったり、あるいは海外事務所がこれまで構築をしてきた相手国政府との関係、あるいは相手の主立った経済団体との関係、あるいは日本とビジネス経験があるようないろいろな企業との関係、そういったところを最大限に使って、そういった情報、メッセージを発していく。
 私どもは、政府がそういった政策を打ち出した暁には、そういった形に乗るような、単に政府が言っただけでは進みませんので、そういった情報が浸透していき、それが個々の民間ビジネスの動きにも影響を与えていくようにしていくところが、まさにジェトロの最大の役割だと思っておりますので、そういう意味では、政府と一体になって、ますます官民一体でやっていくことが必要だという思いでやっております。そういう中で、特に今申し上げているところがジェトロの大きな役割だと思っております。

【阿曽沼臨時委員】  今のお話を少しまとめると、ジェトロは情報収集と分析、そしてそれに基づく提言をされる組織なのかなと思いますが、それにしては実際の活動力はすごく弱く感じてしまいます。それから、やはり人的ネットワーク、例えば政府関係者だとか投資家、それから現地企業を含めた人的ネットワークを形成することが重要な役割だと思います。必要な人がどこにいるということを教えるとか、お見合いをアレンジメントするとか、スーパーバイザーとしての役割というところが見えにくいですね。
 なおかつ、中小企業基盤整備機構と協力してやるのであるならば、一体何を分担してやっていくのでしょうか。スーパーバイザーとしての仕事は人に依存することが多いので、組織依存よりも人への依存ということが重要ですね。そして時代とともに変えていかなければいけないのではないですか。スーパーバイザー役というのがジェトロの役割なのでしょうか。

【田中課長】  スーパーバイズという点、御指摘ございました。実は、さっき中小機構と協力するという話の中で、まさにその議論も政府内で検討しておるものですから、ちょっとその状況を御報告しますと、当然ですけれども、こういった企業の活動を促している、例えば金融とかも当然絡んでまいります。それから地方自治体も当然ございます。こういったそれぞれが、もちろん対日投資促進とか、あるいは対外進出についていろいろな役割を果たしている訳ですけれども、まずそういった機関の間でしっかり情報共有をする。その上で、まさに先生おっしゃったように、単に役割を分担することが重要なのではなくて、それをどう総合化していって、実際に、企業を起点にするとそこからビジネスにつなげていくのかという、一気通貫につなげていくというところが重要だという問題意識が強くなってきておりまして、ただジェトロが全部カバーできる訳ではありません。
 例えば、中小企業の問題を一つ例に取れば、当然ですけれども、企業自身がある程度生産ラインを改造するとか、いろいろな製品が海外に売れるように改造しなければいけない、そういう中小企業へのいわゆる製造工程に係る支援みたいなことがあります。こういうことは、実は中小機構にものすごく強みがあるものですから、そこは中小機構でやってもらいながら、しかし製品の売り込みとか、実際に向こうのマーケットにつなげていく、それを流通ルートに乗せていく、ここはジェトロに強みがある。
 そこを、ややもするとばらばらになりがちだったところを一緒にするということで、これはもう政務三役もヘッドになった形で、一体的な体制の構築というのをまさに今ちょっと検討しておりまして、そこを通じて全体をスーパーバイズしていく。その中で、今、先生が言われた分析とか提言的な、やはり知識があって初めて言えることというのは当然ありますので、そこのところはジェトロとしても相当の役割を果たしていくことになっていくと思っています。もちろん役所がそっちの方向に誘導していくのは当たり前でございますけれども、とりあえずそんなふうに思っております。

【阿曽沼臨時委員】  そういう意味からすると、産総研との連携、それから地域の産業局との連携、更には地域にある中小企業の発掘や、その指導ということが重要ですね。多くの組織と連携した総合戦略が必要ですね。田中課長がよどみなくいろいろなことをきちんと整理されて説明をされていますが、むしろ主務省が相当なスーパーバイザー役をやらなければいけないと思います。所轄のジェトロだけではなくて、それ以外の独法との連携戦略などの、主務省がスーパーバイザー役をきちんとしない限り、提言をして、立派に閣議決定されたといっても、結局は死屍累々で、一体投資したお金はどこへ行ったのだろうというようなことを二度と繰り返しのないように是非していただきたいと思います。岡本委員がおっしゃったように、ジェトロの役割というものは時とともに変わっていくのだろうと思いますから、それをアグレッシブに検討していただきたいと思います。
 ややもすると多くの国民は、海外展示をやっているのがジェトロですねと、何かあると美味しいところを教えてくれますねみたいな、そういった評価だけではやはり寂しいと思います。

【樫谷分科会長代理】  ほかに何か。

【岡本臨時委員】  私がまた言うとかちんとされるかもしれませんが、方向性は、でも私は同じことを言っているつもりであるとは思っているのですけれども、今の話からすると、ジェトロさんがやっていらっしゃる人員というのはそんなに増えませんよね、今いろいろな制約がある中で。他方、課長に御説明いただいたように、いろいろなことをやっていかなければいけないと。
 私、1つ思うのは、ジェトロさんはやはりジェトロさんでしかできない業務に、むしろ特化をしていただきたいなと思う気持ちもあります。例えば、今、阿曽沼先生からもお話がありましたが、民間の調査会社、コンサルティングファーム、あるいは商社等々を含めて、民間でもできるような業務というのをジェトロさんがやっていらっしゃるのではないかな――「な」ですよ、ここは言い切っているわけではありません。例えば、貿易投資相談という表現にまとめてしまうと、そういう気もするし、それから海外のいろいろな調査物、これも、民間の商社あるいは調査会社でもできるのではないか。
 そのようなところに貴重な人材を使うのではなくて、ジェトロさんでしかできないようなところをもっとやって、日本の貿易を支援していただきたいという気持ちが強いのですね。というのが1点です。
 もう1点は、これは先ほどちょっと舌足らずで言ってしまいましたが、アジ研さんはジェトロの中にないといけないのかなと。ジェトロさんとアジ研というのは、ジェトロさんの中にないとできないのでしょうか。むしろアジ研さんが外に出て、組織と組織との連携では十分な連携ができないのかな――これも「な」です。そういうふうな関心を持っていますという意味です。

【田中課長】  まず前半の方でございます。私ども思いは同じでございまして、まさにジェトロでなければできないこと。これはもとより、先ほど御指摘あったように、全体の人数というのは年を追って、縮小こそすれ増えていくということではないと。もちろん質の面とか、そういう面でもちろんいろいろな努力はするにしても、やはり限られたリソースの中でやっていけることが限られている以上、やはりそこは、外から言われようと言われまいと、そういうのに関係なく仕事をフォーカスしていかない限り回っていかないというのが現実だろうと思っております。
 調査のところについては、これも、いわゆる民間のコンサルティング会社などで御提供されているもの、そういうものもいろいろあるのはよく承知をしております。一方で、中小企業を始め、情報に対する対価を払う、まだなかなか余力がないというようなところも、広く、やはり貿易とかそういう活動に目を向けていただくということにもジェトロの非常に大きな役割があるものですから、そういうコンテクストで言うと、ぎりぎりそういうところで私どもはやらせていただいているというふうに思っておりますし、ジェトロがやっていることが、民間の皆さんが、もう放っておいても全然できることを、無理無理仕事を作ってというふうなことには客観的にもなっていないと、私ども感じてはおります。
 それからもう1つ、アジア研究所の問題については、もうアジ研が統合されて何年かたつ訳ですけれども、私どもとしては、とにかく今の組織をどう、最も有効に生かせるかという観点で取組をしておりますので、その意味で分けるということが、もちろん考え方としてない訳ではないのかもしれませんけれども、私どもとしては、先ほどちょっと御説明しましたように、むしろそういった強みを、どうまたビジネスという、ジェトロの本来のドメインとの関係でも強めていくのかというところに、やはり大きく政治の方向も含めて、そういう方向でやっていけということなのかなと思っておるものですから。
 ただ、おそらく先生のメッセージは、そういう中で、ひょっとしてアジ研として何かやるべきことが、あるいはほかでできないことが何か抜けているとか、弱くなっているということがもしあるとすれば、是非そういうところをまた具体的に御指南をいただけると、「そういうファンクションであればどこで」というようなことがあるのかなと思うのですけれども、私どもとりあえず、もう現に組織として動いているものですから、そこをしっかり、単に同居しているだけなんていうことがないように、どう本当の意味で総合的な力を発揮させるかということに、当面やはり力を注いで参りたいとは思っております。

【樫谷分科会長代理】  森泉委員。

【森泉委員】  1点半ぐらいお聞きしたいと思います。
 簡単に御説明いただきたいんですが、やはり貿易政策と密接に結びついて、貿易政策にプラスになるようなことをこちらの組織としては行う必要があるということを考え、なおかつ、アドバイザー的な存在ということも重要ではないかと思うのですが、ここに、ワーキングの時も申し上げたのですけれども、なぜアフリカが入らないのかなということですね。
 今、アフリカは資源をめぐって、中国はかなり積極的に出ているのですが、そういうところをジェトロとしてアドバイザー的に一つ提言するということも必要ではないかと思うのですが、そこら辺のお考えが1つと、それからアジ研が、ちょっと最近あまり表から見えてこない、昔は「アジ研」といって、アジアとかアフリカの研究をやっていたというのが、組織が1つだったものですから分かりやすかったんですけれども、最近ちょっと埋もれてしまっているような気がするのですね。
 統合の効果というのはどの辺にあって、明確にあるのでしょうかというか、という気がしますね。経産省がRIETIというのを持っていますけれども、研究所をもっと持ってもいいというなら、私も岡本委員と同じように、別に統合しなくても良かったのではないかという気がするのですが、それを今更言ってもしようがないということであるならば、まずはどういう効果があったかということをお聞きしたい。

【田中課長】  ありがとうございます。
 まず冒頭の方の御質問、アフリカの位置付けでございます。私ども、ここの紙で申し上げますと新興市場という中には、当然アフリカということも含めて考えておりますし、現実のジェトロの取組においても、アフリカにジェトロは5カ所ほど今は拠点があったりもする訳ですけれども、当然資源という観点、それから将来のマーケットという観点でもアフリカが大きな可能性を秘めていることは、これはもう当然でございますので、そこもしっかりやっているというつもりでおります。
 そういう中で、おそらく御質問の1つの趣旨は、東アジアとかアジアとかそこがすごく強調されているものですから、おそらくそれとの反面でということの御質問かと思うのですけれども、ここのところは決して私どもアフリカを排除するということではない一方で、やはり今、短期的な意味で既にマーケットとして非常に大きく立ち上がっていて、その中でまさに各国との競争が最も熾烈になっている地域というのを、少なくとも第一のフォーカスとして挙げていくということが、組織全体としては、あるいは政策的にも重要だというのが、今現在の経産省としての判断でもあるものですから、表現としてはそうなっておるのですけれども、決してそれがアフリカというものを、何かおよそ無視をするとかいうことではないという点で御理解をいただければということでございます。
 それから、アジア研究所についての御指摘でございます。これも先ほど岡本先生の方からも御指摘があった点にも重なるのかと思っております。埋もれているのではないかということについては、私ども決してそうではないというふうには思っておりますし、当然地域研究とかそういう観点で、アジア研究所にしかいない研究者、それによってマスコミとかいろいろなところでコメントを求められるなんて方も当然おられますし、それから先ほど申し上げたように、いろいろ従来彼らが強みを持っていた地域の研究については、レベルを落とさず継続をしてきているという思いでおります。
 一方で、では統合によって何が得られたかということは、若干先ほどの繰り返しにもなるのですけれども、例えばASEANとかああいった地域で、今後インフラ技術が伸びていくといったようなことを考えるときに、ジェトロはもちろん、もう各国語ができる人材がいるとか、そういうことでいろいろなビジネスのネットワーク作りみたいなことをやってきているのですけれども、例えばこれがアジア研究所の方にまいりますと、ここは、例えば各国ごとのいろいろな市場といいますか、各国をセグメント化して、セグメントごとの経済活動はどうなっているのか、人口はどうなっているのか、そういった情報をデータベース化して持ったりしております。
 そういったデータを、結構またいろいろな分析をしてくれていまして、そういったことを通じて、例えば同じインフラを整備するのでも、こういう形で整備をするとASEAN全体の発展により効果があるというようなことが研究として出てくるというようなことが現実にございます。そういったものを、またジェトロサイドのインフラビジネスへの日本の売り込みとかいう事業とつなげるというようなことが、今、よりやりやすくなっているというようなことがございまして、そういった意味で、単にアジ研の成果、これはもちろん、もとよりアジア研究所というのは私どもの所管でございましたので、広い意味では経済活動につながっている存在ではあったのですけれども、より直截に日本企業の貿易とか投資に結びつく形で、その成果が生かしやすくなっていると。
 それから人材の面でも、例えばアジア研究所のアフリカの専門家の方に、ジェトロのアフリカの事務所の所長をやっていただくというようなことをやっていただいております。そういうことをすることによって、やはり地域に対する理解、思いも、それはやはり非常に深い方が現実の前線に出てこられると。そういったことも、先ほど先生から最初にございましたアフリカへの取組をより強めるなどということにもなっておりまして、そういったことが、やはり統合後できてきているのではないかというふうには思っているところでございます。

【樫谷分科会長代理】  あと1問ぐらいでしたら。よろしくお願いします。

【森泉委員】  今のことで、ちょっとあまり納得できるようには思わなかったのですけれども、所長になったぐらいが効果なのかなという気がしますが、コストとしてはかなり削減されたというふうに理解していいのですか。

【田中課長】  いわゆる管理コストのようなものは当然、これはもう一体になりましたので、もとよりそれによって節減が図られているということでございます。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。何か気持ち悪いところがありましたら言っておかないと。
 最後の1問。では、どうぞ。

【岡本臨時委員】  例えば、イメージですけれども、アジ研さんがジェトロさんの中にあることによって、調査研究とジェトロの業務を一体的推進していこうということで、ちょっと研究者としてはそういうことはできないのかもしれないけれども、プロジェクトに入れ込むとか、これはジェトロとして重要な業務なので是非、そのようなことは今具体的に、理事長の判断でできるのでしょうか。

【田中課長】  すみません、当然これはもうジェトロ一体でございますので、人事的な意味も含めて全くそれは可能でございます。そこに何か壁があるとかいう訳では全くございませんので。

【岡本臨時委員】  分かりました。

【樫谷分科会長代理】  それでは、時間の都合もありますので、日本貿易振興機構については、これでいったん議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めて参りたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で、十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は後日、事務局を通じて照会をしたり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 経産省の皆様方には御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。
 それでは、ここで。ちょっと遅れていますので10分ぐらいということで、50分からスタートでよろしいですかね。3時50分まで。


( 休  憩 )


【樫谷分科会長代理】  それでは再開したいと思います。
 続いて、環境省所管1法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。
 環境省加藤審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、国立環境研究所の見直し当初案につきまして、その主要なポイントにつきまして環境省から御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もありますので、5分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【加藤審議官】  それでは、御説明申し上げます。
 私、環境省の審議官でございます加藤でございます。本日は、私どもの独法の国立環境研究所につきまして、いろいろご審議を賜りたいと思っております。
 お手元に資料2−1と2−2とを配ってございますが、時間の関係もあると承っておりますので、2−2でかいつまんで御説明申し上げます。
 2−2の資料の1ページをお開きいただきまして、まず国立環境研究所の位置付けでございますが、我々の研究機関でございますので、環境政策貢献型の研究機関というふうな位置付けでございます。2ページ上側の青い囲みのところにございますように、基本的な理念というのは、研究の5カ年計画でありますところの環境研究・環境技術開発の推進戦略にのっとって、研究を行っているということでございます。したがいまして、1ページに戻っていただきまして、一番最初の丸でございますが、脱温暖化、循環型社会、自然共生型社会、安全が確保される社会、この4つを柱としてございます。
 冒頭申し上げましたように、環境政策貢献型の研究機関でありますので、その次の丸でございますが、1つには、行政貢献。我が国の環境行政の科学的、技術的基盤を提供する機関としての行政貢献。もう1つ、国際的にも中核的な機関であってほしいという国際貢献と、この2種類の貢献をするということを私ども期待しているということでございます。
 その行政貢献、国際貢献の例といたしまして、一番下の丸でございます主な研究。まず1つ目が、子供の健康と環境に関する全国調査、13歳までの子供の成長をずっと追って、何が子供の成長に影響しているかということで、10万人分の血液を保存して検討すると、これは行政貢献の1つの例だと思っております。
 それから国際貢献といたしまして、アジア太平洋統合評価モデル、AIMと言ってございますが、アジア太平洋諸国の研究機関と一緒に、温室効果ガス排出量の予測とか分析とか対策とか、こういうのがございまして、IPCCなりに貢献しているということでございます。
 それからもう1つの例として、衛星による地球観測ということで、GOSATと呼んでございますが、地球上のCO2を衛星で測って、それぞれの地域でどういう影響が出るのかというのを研究しているということでございます。
 2ページ目でございます。そういうことで、まず、先ほど申し上げました基本方針でありますところの、上の青い箱の推進戦略でございます。この推進戦略につきましては、このたび中環審で御答申をいただき、新しく見直しをされてございます。この赤い部分でございます。22年6月推進戦略見直しとなってございます。
 現在、これを踏まえまして、先ほど申し上げました4つに加えまして、全領域共通、領域横断研究、あるいは技術とかシステムを社会実装しなさいと、こういうことを中環審でいただいてございますので、現在これを踏まえまして、下図の黄色いところでございますが、まさに中期目標・中期計画の見直しの検討を始めているところでございます。第3期中期目標・中期計画ということで、この検討の中で目標とか体制等について検討を始めているということでございます。
 最後のページでございます。今まで研究所の運営等の見直しにどういうことをやってきたのかということでございます。
 上の箱でございますが、見直しを実施した事項でございまして、非公務員化、20年度には東京事務所を廃止してございます。それから研究事業につきましては、外部の専門家を委員とする外部評価委員会というところで審査・評価をいただいているというところでございます。それから、当然これは車両業務のアウトソーシング、それから研究者でありますので、研究だけに没頭しているということが間々あるといけませんものですから、コンプライアンス基本方針というのも策定してございます。
 今後でございますが、随意契約、正直申し上げれば研究機関でございますので、どうしても随契にならざるを得ない部分もございますが、契約監視委員会による御指導を賜りながら、できる限りの改善を図っていきたいと思ってございます。
 2つ目でございますが、自己資金、自己収入の獲得ということで、競争的な外部資金等につきまして、競争的な外部資金の獲得に向けましては、研究所内でいろいろ予備的ヒアリングを行ったりということで、研究所を挙げて研究の発信力の強化、獲得力の強化ということに努めているところでございます。研究者1人当たりでは、独法の中でもトップレベルの資金を獲得しているというところでございまして、今後とも自己資金の獲得に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 以上、大変簡単でございますが、国立環境研究所の概要でございます。
 以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました国立環境研究所の見直し当初案につきまして御質問などがございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 岡本委員。

【岡本臨時委員】  どうもありがとうございました。
 先日つくばの方に訪問させていただき、どうもありがとうございました。そのときにも質問させていただいたんですけれども、やはり国立環境研究所というのは、日本の環境問題について中核的な機関として役割を果たしていくべきと私も思います。
 ただ実際、ではどうなっているかというと、独立行政法人だけに限っても、昨日の農水系の法人において環境問題をやっている法人という説明もございましたし、その前には国交省関係でもあったということで、では国環研さんとどういう関係にあるのですかと、そのときに質問させていただくと、国環研さんは基礎的な研究で、我々はそれを基にして、例えば分野とか事業に沿った形でやっているという形で、すみ分け論をよく言われるんですね。
 果たして環境問題の研究というのは、こういうすみ分け論をやっていていいのかというのが、私は分からないのです。むしろ環境省さんの方が、こういうのは知見をお持ちだと思いますので、私なんかは、室長にも申し上げたんですけれども、国立環境研究所が出しゃばって、あるいは環境省が出しゃばって、もうちょっといろいろな分野を取り込んでいくようなイメージの方が、環境問題のあるべき論に近づくのではないのかなという気が非常にするんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

【加藤審議官】  ありがとうございます。
 確かに環境省、もっと頑張らなきゃいけないということはたくさんあると思います。特に今CO2、これから25%ということをやっていかなければいけません。それで私どもの温暖化基本法というのを出しました。残念ながら廃案になってしまいましたが、またチャレンジしようと思っています。
 そういうことで、例えば温暖化に対しては、我々ロードマップを作って、いつまでにどういうことをして、その結果いつまでに何%削減と、こういうものを示していかなければいけないと思っております。ということで、例えばさっき申し上げましたように、1ページ下の主な研究の「AIM」なんて書いてございますが、これはまさに他機関とのすみ分けということではなくて、それぞれ得意分野があると思います。農水省なら農水省の得意分野があると思いますし、各府省いろいろあると思うんですが、そういうデータをいただいて、それで我々このプログラムで、いつまでに何をしていくかという、まさにシナリオ作りは我々がしていくというつもりで今やっているところでございます。
 生ぬるいというあれもあるかも分かりませんが、一生懸命、特にCO2なんかは頑張っていくつもりでございます。

【岡本臨時委員】  関連でもう1点だけ。
 そのときに、今文部科学省、内閣府でやられている研究開発法人の在り方、ここは、やはり国立環境研究所も一言是非言っていただきたいと思うんですね。やはり環境問題については、非常に重要な横断的な問題、政策的にも、と思いますので、そういう観点から、是非我々に、すごくやられているというようなものを是非見せていただきたいし、そういうチェックを是非我々もしていきたいと思っています。

【樫谷分科会長代理】  そのほかに何かございますか。
 阿曽沼委員、どうぞ。

【阿曽沼臨時委員】  少しそれに関連するところですが、どの省庁で、どの研究所で、どの大学で、どういう人たちが何を研究しているのかという人材のデータベース、もしくはどういう成果を上げていたのかというところについては、一応全部データとして把握していると理解をしていいのですね。
 中核組織と言われましたが、中核という言葉が何を指すかと言えば、我々は中核というからには、そういうことをきちんと把握をしていると思っています。例えば政策立案に死資する研究について、もし我々環境研でできないことであれば、他の組織と連携をしてみようとか、こういう人材を巻き込もうとか、他に類似研究があるなということ等をきちんと把握し行動できる組織と理解するわけです。これが中核的な機関だと思うのですが、それについてお伺いしたいと思います。

【加藤審議官】  さっき申し上げましたように、国際的な分野につきましては、特にAIMということでCO2の分野を挙げましたが、アジア太平洋諸国の研究機関とはかなり、データベースを含めて、リーダーシップをとっていると思っております。
 では国内でどうかと言われると、これからちょっといろいろまた考えていかなければいけないというところはあると思います。これはちょっと考えていきたいと思っております。

【阿曽沼臨時委員】  私は、組織のところのご説明で「中核的な機関」と言い切られるということは、非常に重要なことであると同時に、中核になるということは大変なことだと思います。中核って一体何なのかと、非常に抽象的ですけれども、中核としての機能って何ですかということが客観的に分からないと、一体何をやるところかよく分からなくなってしまうということです。世界における中核機関になるのか、日本における中核機関になるのか、そういうところの機能をきちんと明らかにされることが、これから期待される環境研の、大きな成果に結びつくのではないかなと思います。もし不十分であるとすれば、それらのデータベース化を含めて情報の集約がおできになるといいと思います。是非よろしくお願いします。
 それから、この間見学をさせていただいたときにエコチル調査の話をお伺いしましたが、エコチル調査で皆さん方がお集めになる「臍帯血」は、環境省が主体的に集められ、保存して使うということですね。このことは、長期にわたる環境の影響に関するデータ収集に活用するのだと思います。しかし「臍帯血そのものは、例えば白血病の治療に使われたり、最近では小児脳性麻痺だとか糖尿病だとか治療に有用であると期待されるなど、再生医療分野における役割も非常に期待されているですね。
 私は、880億円も国のお金かけて「臍帯血」に関するデータベースや「臍帯血」そのもののバンクをするのであれば、環境のためだけに、患者さんにインフォームド・コンセントをして当然無料で保管をするということになるわけですが、実はいかがなものかと思います。今後「臍帯血」を医学的にも生かさなければならないと思っている医療者が相当多い中で、厚生労働省もしくは文部科学省等の関連省庁とどういう調整をされて、この研究がスタートされたのか。もしくは、今私が言ったような懸念に対してどう対応するのかについて、お話をお聞きしたいと思います。

【秦室長】  エコチル調査につきましては、調査の設計段階から、厚労省さんや文科省さんとも調整をしながら進めてきております。総合科学技術会議においても、このエコチルというのは非常に重要だという位置付けをいただいておりまして、ただその前提として、やはり環境のことだけに役立てるのではなくて、医療、そういった分野等にも役に立つように、単なる環境関係での資料ということでなくて、いろいろなことに使えるプラットフォームとして、そういう機能をしっかり持ってくれということで、そういう方法論でそもそもスタートしています。
 具体的なデータ等の提供方法につきましては、現在当省の中においても、他省庁と連携をしながら検討中でございます。ですので、方向性としては環境だけでなくて、いろいろなものに役立てていくということを明らかにいたしております。

【阿曽沼臨時委員】  一方で、「臍帯血」に関しては、「臍帯血」バンクや「臍帯血」ネットワークなどがあって、民間が有料でやっているところがあったり、NPOがやっているところもあります。経営が必ずしもうまくいかなくて破綻をしているというところもあって、いろいろ社会問題にもなっています。エコチル調査は基本的に、患者さんからは、無料でこれを採取するわけですよね、バンクそのものはこの研究費で全部やられるわけですね。10万件集める計画ですね。
 そうすると、「臍帯血」バンク等との整合性というのは、どう考えるのですか。

【秦室長】  そういった点もまさに重要な課題だと思っておりまして、そういった面も含めて、データの利用の仕方について検討しているという状況でございます。

【阿曽沼臨時委員】  この調査の運用では、医療機関の倫理委員会が今後絡みますね当然。

【秦室長】  当然ながら個人情報の確保というのが非常に重要になってまいりますので、当然ながらそういったところもしっかり検討していくことになっております。

【阿曽沼臨時委員】  採取する「臍帯血」そのものは、個人情報保護という問題だけでなくて、これらの「臍帯血」の活用環境をどうしていくのかということと、活用範囲をどうしていくのか。それから、これらを本当に環境省の所轄の中でバンク化し情報のデータベース化をすべきなのかどうなのかを含めて、私はもう一度きちんと整理をして、充分議論をされるべきであると思います。これは環境省の環境研が保管をするわけですね。エコチル調査以外の利用目的の要請があった場合に、採取時のインフォームド・コンセントのとの整合性を今後どう取っていくのでしょうか。これは環境の調査だけに使うということで「臍帯血」を妊婦、患者さんからいただくのですか。それとも、それ以外の医療に使うとするのか、使わないということでインフォームド・コンセントされるのですか。

【秦室長】  すみません、ちょっと私も直接の担当ではないので、そこまで詳しい情報が今手元にございませんので、ちょっとそこは調べて回答させていただきたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  では、後で。

【阿曽沼臨時委員】  これは国の再生・細胞医療も含めた非常に重要なテーマであると思いますので、経済産業省、文科省等々と、厚労省も含めて是非御協議いただいて、その結果を御報告いただきたいと思います。せっかくやるものは価値を上げていただきたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  それでは後で提出いただくということで。
 ほかにございますか。
 では、岡本委員。

【岡本臨時委員】  細かい点になりますが、見直しに係る当初案の記述で、ちょっと確認だけさせてください。
 資料2−1の3ページ、一番下の文言で、先ほどのお話になりますが、「国際的にも環境分野における中核的な機関として、その重要な役割を果たしていくべく、その目標・体制等について検討中である」ということを書かれていらっしゃいます。
 これは22年度中に検討が終わるという意味ですよね。

【秦室長】  23年度から次の中期目標・中期計画期間に入りますので、今年度中に。

【岡本臨時委員】  そうですよね。そのときには、先ほど言われた、今はどうなのか分からないという状況にあるんでしょうけれども、研究開発法人の在り方も含めて、ここで検討が終わると。

【秦室長】  研究開発法人全体の流れがちょっとどういうことになっていくのかというのが、まだよく分からない状態ではございますけれども、そういったところの方向性なんかを十分に加味しながら検討してまいりたいと思っております。

【岡本臨時委員】  何も変わらなければ、次の、23年4月から始まる中期目標期間に反映されるということで。分かりました。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。

【岡本臨時委員】  はい。

【樫谷分科会長代理】  それでは阿曽沼委員、その次に河村委員、お願いします。

【阿曽沼臨時委員】  追加で資料をお渡しいただきましてありがとうございます。見学のときに興味深かったのは、霞ヶ浦、摩周湖が30年にわたって環境のモニタリングをずっとされていたと。それで御報告いただいた中では、国内の湖とか沼に対しての対策立案にとってよかったということですが、具体的には、世界的にどう生かされたとか、国内の湖にどう生かされたということを、もう少し分かりやすく具体的に、一、二例お話しいただけないでしょうか。また、このモニタリングはこれからも、また20年、30年続けていくべきものなのか、若しくはもっと違ったところを選定すべきなのか。その辺についてお考えをお聞かせいただけますか。

【秦室長】  ちょっと前半部分につきましては、調べた上で御回答させていただきたいと思います。
 後段の部分につきまして、やはり長期モニタリングというのは長くやってこそ見えてくるものがあるというものでございますし、特に摩周湖などは、昔は透明度40メートル、世界一だったのに、今は20メートルそこそこしかなくて、どんどん低下してきているという状況でもございます。霞ヶ浦も同様に、なかなか対策が効いてこないというような状況にございますので、引き続きモニタリングは続けてまいりたいと考えております。

【樫谷分科会長代理】  では、河村委員。

【河村臨時委員】  最初の方に委員の方々が御質問されたところに関連して、話がちょっと戻ってしまって恐縮なんですが、私自身、政独委、もう7年ぐらいでしょうか、ずっと独法の評価にかかわってきて、各省庁さんの独法さん、研究所さん、たくさんおありになって、行政課題の変遷というものを見ていると、環境省さんだけということではなくて、先ほどお話が出ましたが、ほかの省庁さんの研究所でも、環境の問題のウエートが極めて高くなってきているということを本当に感じます。
 ここに重点領域ということでお書きになっていらっしゃるような、脱温暖化社会であるとか循環型、それから自然共生型社会、安全安心でというようなことは、もちろんこちらの環境研究所さんの目標でもおありでしょうけれども、本当に同じ文言が、先ほど出たような他省庁の、例えば農水省、それから国土交通省の関係の独法さんのところで出てきています。
 そうすると、それほどに環境の問題への対応というのが、国としての政策の中でウエートがこれだけ上がっているのに、大変申しわけないんですが正直申し上げて、今日これをこうやって拝見して、「あれ、環境研究所さん、これだけなのかな」と思いました。やはり先ほどから指摘が出ていますけれども、もちろん研究分野がオーバーラップするから、どっちかをスクラップしようとかいうことではなくて、これほど広い分野の省庁が、そしてその傘下にある独法の研究所が、環境にかかわる、本当に行政課題に直結する研究をし、課題解決に向けてのいろいろな研究なりということを、お仕事をされている中で、それを調整するとかコーディネートするとか、お互いにもっと協力し合ってそれぞれの仕事の質を高めるとか、そういう発想がどうしてここに出てこないのかというか、なさっているのかもしれませんけれども、やはりそれは、新しく中期目標とか中期計画をお立てになる中での1つの柱として位置付けられてもいいぐらいのことなのではないのかなと、これは個人的な意見として申し上げたいと思います。
 もう1つは質問なんですけれども、資料2−2の2ページのところで、黄色い字で「第3期中期目標・中期計画」と書いていらっしゃる中で、研究分野の具体例を3つ挙げてくださっているんですけれども、例えば(2)のところの例で、「気候変動等による生態系への影響の解明・対策等」であるとか、(3)のところ、「要素技術を社会実装するための最適な技術パッケージの研究」と書いていらっしゃいますね。
 私であれば、すみません、御省の環境研究所の方にはちょっとお邪魔はしていないのですが、例えば国土交通省の研究所とかにお邪魔したときに、まさにこういうところの研究をしていらっしゃるというふうに伺っています。そういう各、ほかの省庁の、本当に極めて行政課題に直結した特定の分野の要素技術の社会実装のための、それこそ研究をされていると思うんですが、そういうのが別途ある中で、国立環境研究所の方でこういったエリアの研究をされる意義というか、違いといいますか、意義というのはどこにあるのかどうか。気候変動等による生態系への影響というのも、もちろんほかのところでもやっていらっしゃると思いますし、どういった辺りに違いがあって、どういった辺りに本研究所ではこういった分野に取り組まれる意義があるのか。そういった辺りを御説明いただけるとありがたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  よろしくお願いします。

【秦室長】  例えば、気候変動による生態系への影響の解明・対策と、ここに記載いたしておりますけれども、いろいろな独法さんとかで、例えば海洋環境についてとか、あるいは森林環境についてとか、あるいは農地についてとか、いろいろ生態系への影響というのをお調べになっています。
 私ども環境研では、こういったいろいろなフィールドでの情報を統合していって、原生自然も含めた生態系全体についてどういう影響が出てくるのかというのを統合していくような作業というのをやっていく。あるいは、評価の仕方をできるだけ統一化していくといったような方法論を打ち立てていくと、そういった、いろいろな分野の研究を統合化していくような研究というのを得意としておるところでございます。
 同様に、(3)の要素技術を社会実装するためのパッケージ化というところも、例えば産総研さんとかでいろいろな製品開発等をやっておられます。それで出てきたいい技術を、どのフィールドに、どれだけ、いつまでにつぎ込めばいいのか。複数あるいろいろな技術をどの割合でミックスすればいいのか、そういうパッケージ化を行わないと、なかなか社会に受け入れていただけませんので、そういったパッケージ化といったようなものを念頭に研究をしているというところでございます。
 したがいまして、いろいろな研究所さんの成果を統合化していくという点では、生態系と同様のアプローチをとってございます。

【河村臨時委員】  それで、更にお尋ねできればと思うんですが、今御説明を伺っていると、各分野がいろいろあって、それぞれの専門の研究はそれぞれやって、それを統合なり、生態系全体としてということについてはよく分かるんですが、であるならば、ふだんのお仕事の進め方として、それこそ他分野の研究機関、独法に限らず大学等もおありでしょうし、企業等が研究しておられるところもあると思うのですが、そういうところとの連携であるとか、それぞれの研究成果の活用については、どのようなやり方で進めていらっしゃるかをお尋ねできればと思います。

【秦室長】  研究所、ある程度分野ごとに、ユニットという研究単位を設けておりまして、そのユニットそれぞれ、かなり広範な、学者の中の、研究者の中でのネットワークを持っております。そういった中で、有用な研究と目されるものについてはアプローチをしていくといったような、研究ユニット単位でそういった研究成果を集めていくような体制をとっております。

【河村臨時委員】  その研究ユニットというのは、国立環境研究所として、何かいろいろな分野と連携をするような仕組みをもっていらっしゃるということではなくて、それぞれの研究分野での、研究者同士のネットワークでということでなっているのですか。

【秦室長】  はい、そうでございます。

【河村臨時委員】  そういった辺りを更に、もうちょっとシステマティックに引き出すような枠組みというのを、今後何か検討されてもいいのではないかという気もいたしますが、いかがでしょうか。

【秦室長】  まさに環境研究、もういろいろなところでやられておりますし、いろいろな成果も上がってきておりますので、そういったいろいろな研究成果をシステマティックに集めていくような仕組み、先ほど阿曽沼委員からも人材データバンクといったお話をいただきましたけれども、今日の御意見を是非参考にさせていただいて、よりシステマティックな情報収集ができるような体制を考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。

【樫谷分科会長代理】  では最後にということでよろしいですか、何か。
 岡本委員。

【岡本臨時委員】  それでは、ちょっと視点を変えて、御質問を最後にさせていただきたいと思います。
 重要な研究をなさっていらっしゃるということを前提にして、やはり研究成果を広く国内外に情報発信、ないしは社会貢献的な意味合いで推進をされていくべきだろうと思います。それで訪問させていただいたときも、いろいろツールとして、例えば環境儀でありますとか、「国立環境研究所ニュース」というようなものを出していらっしゃるというふうに伺ったんですけれども、やはり国民にいろいろな環境問題の重要性を訴えることが非常に重要なので、どういう方針で、いわゆる研究成果、あるいは取組内容を国民に提供されていこうとされていらっしゃるのか。
 当然、他方でお金の問題がありますから、潤沢にできるわけではないと思うのですけれども、ツール的にはホームページ等々で公開されていらっしゃるように伺っておりますので、紙媒体、それからそういう電子媒体、いろいろあるかと思います。それから法人内に説明用のパネルが設置されておりましたので、そういうのをどういうふうになさっていらっしゃるのか。基本的には、もっと積極的に、いろいろな意味で可能な限り発信をしていただきたいと、そういう質問であります。

【秦室長】  ありがとうございます。
 私どもこれまで、紙媒体はもとより、環境研のホームページ、ポータルサイトなんかにもかなり利用が多い状態になっておりまして、国民の皆さんから環境情報にアクセスしようとすれば、かなり国環研の果たしている役割というのは大きいのではないかなと思っておりますけれども、やはりこれまで以上に情報発信というのはやっていかなければいけないと思っておりますし、それから、直接的な国民への還元ということのほかに、冒頭申し上げましたように、やはり政策への貢献というのも非常に重要ですので、政策に反映させる。その政策を国民にきちんと御説明をすると、そういうルートでの情報発信というのも併せて強化していかなければならないと思っております。
 ちょっと具体的なやり方等については、引き続き考えてまいりたいと思います。

【樫谷分科会長代理】  では、最後に1つ。

【岡本臨時委員】  そのときに、是非、先ほどの中核的な環境問題の研究機関として、だから国立環境研究所のホームページにアクセスをすれば、例えばいろいろな国内の他の機関における環境問題に対する研究内容もある程度一覧できるとか、あるいは環境政策と環境研究所がどのようにリンクをして、皆さんのためにやっているんだというようなことを国民に分かりやすく説明するですとか、もちろんそれは子供たちへという話もあるかと思いますが。
 それと他方で、だからってお金ばかりかかってもあれなので、その辺は、紙を減らすよさがあるんだったら紙を減らしていくとか、そのような工夫を是非やっていただきと思います。
 難しい注文してすみません。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。

【秦室長】  はい。ありがとうございます。これまでも環境技術とかそういういったことについて情報収集して、ポータルサイトを設けたり、いろいろな努力はしてまいったのでございますけれども、引き続き御指摘の方向を踏まえて考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。

【樫谷分科会長代理】  それでは、時間の都合もありますので、国立環境研究所については、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問などができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることもありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 環境省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

【加藤審議官】  どうもありがとうございました。


(環境省 退席)


【樫谷分科会長代理】  それでは、続きまして、財務省所管1法人につきまして、ヒアリングを行います。
 財務省其田課長をはじめ、御担当の皆様方にお越しいただきました。
 それでは、今年度の見直し対象法人となっております日本万国博覧会記念機構につきまして、財務省から御説明いただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 時間の関係もございますので、5分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【其田課長】  財務省で独立行政法人日本万国博覧会記念機構を担当しております、国有財産業務課長の其田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料3に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 今回、今後「万博機構」というふうに略称させていただきますけれども、万博機構につきましては、独立行政法人通則法29条3項に基づきまして、中期目標を変更いたしますので、その御報告をさせていただきます。
 1ページでございますけれども、こちらでちょっと機構の法人概要について、簡単に御説明をさせていただきます。機構の前身は、大阪で開催されました万国博覧会の成功を記念するために設立されました万博記念協会でありますけれども、平成15年、これを承継し、機構が設立されております。法人の業務は、紙の(2)にございますように、1つが、跡地を活用した公園事業、もう1つが万国博覧会の収支を元に行っております助成事業でございます。
 次に、(4)のところにございますように、大阪府と国との共同出資で、53%が国の出資割合になっております。この経緯をちょっと補足いたしますと、博覧会終了後、地元の意向に沿いまして、国が大阪府から敷地の半分を、当時の時価約83億円で取得をいたしました。先ほど申し上げた前身である記念協会に、これを現物出資したものでございます。
 独立採算で、国からの交付金は受け入れておりません。理事長は民間の御出身の方です。
 2ページ目で中期目標の変更について、御説明をさせていただきます。
 現在の万博機構の中期目標期間は、平成20年度から22年度までという3年間になっております。最大限の5年になっていない事情といたしましては、平成19年の閣議決定で、大阪府との協議が整えば22年度までに廃止、22年度までという年限が示されましたので、これを踏まえたものです。
 その後、御承知のとおり、その下にございますけれども、整理合理化計画が凍結をされまして、今年の4月に事業仕分けがございました。事業仕分けの結果の中身は、公園事業は大阪府に任せる、協議を促進するという結果をいただいております。
 現在、大阪府と府営公園化に向けまして、財産の帰属方法等協議中でございますけれども、現在大阪府においては、公園の南側のゾーンで活性化プランという、一昨年に閉鎖されましたエキスポランドの跡地で行おうとする、集客力のある事業というふうにされておりますけれども、これを検討されておりまして、今後この事業を委託する事業者選定を行っていく予定であると伺っております。その事業の計画でありますとか、収支事業の見通しを踏まえて、また財産の帰属等々についても検討が必要となっております。
 いずれにいたしましても、今後大阪府と国との協議に一定の時間を要することが予想されますので、中期目標を最大5年間の残りの部分、2年間延長することが必要と考えおりまして、作業を進めたいと思っております。
 3ページ目に、目標期間の2年延長に伴う主な変更点を掲げてございますが、1つが、3年間の期間を変更するということ。それから一般管理費の削減、入園者数、入場料等の数値目標については、3年分に定めておりましたものを5年分に、機械的に引き延ばして定めております。
 以上でございます。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 ただ今の御説明につきまして、御質問などがございましたら、どなたからでも御発言いただきたいと思います。
 では、阿曽沼委員。

【阿曽沼臨時委員】  御報告ありがとうございました。
 中期目標変更ということですが、大阪府との協議の方向性について、何か補足的に御説明いただけるものがございましたら、少し御説明いただければと思います。

【其田課長】  今大阪府とは鋭意協議をしておりますけれども、1つは、大阪府の方といたしましては、土地を共有のまま、公園は大阪府に委託をしてもらって、収支、もうけが出た部分を出資割合に応じて納付する方法はどうでしょうかというような御提案をいただいておりますが、国といたしましては、やはり当時税金で買った土地であるということもございますので、財政法の観点から財産権は維持する必要があるということで、どんな方法があるかということで今協議をしております。
 先ほども申し上げましたように、活性化事業の事業計画でありますとか収支、こちらをまず見極めないと、少し具体の協議には入れないというところで、今その収支状況と、これからの検討状況を見極めていきたいと思っております。

【阿曽沼臨時委員】  ありがとうございました。

【樫谷分科会長代理】  あと何かございますか。
 どうぞ、岡本委員。

【岡本臨時委員】  どうもありがとうございました。
 大阪府との協議というのは、いつまでにやらなければいけないというのは決まっているんでしょうか。

【其田課長】  いつまでという年限は示されておりません。ただ協議を促進するという評価結果をいただいておりますので、精力的に協議はやってきておりまして、月に1度は協議をしております。
 それから中期目標のところでも、そういう意味では3年間というのを5年間に延ばすわけですけれども、当該期間内に機構を廃止した場合には、それまでの期間ということで、残りの2年、もしくは機構廃止までの間という形に変更させていただきたいと思っております。

【樫谷分科会長代理】  よろしいですか。
 それでは、時間の都合もございますので、日本万国博覧会記念機構につきましては、ここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様方におかれましては、御多用の中、御協力賜りましてありがとうございました。
 中期目標の案のとおり変更されれば、今年度の見直し対象法人ではなくなりますので、当分科会といたしましては、当面、財務省における手続の進行状況を注視してまいりたいと思います。万が一、中期目標期間が延長されない場合には、見直し対象法人になりますので、その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 財務省の皆様方は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
 それでは、以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に、事務局から報告事項がありますので、御説明をお願いしたいと思います。

【横山評価監視官】  本日も長時間御議論いただき、ありがとうございます。
 次回の独立行政法人評価分科会でありますが、来週の火曜日、3連休明けになりますが、9月21日火曜日13時半から15時です。場所は、本日と同じ法曹会館の高砂の間になります。
 議題としては、国土交通省と文部科学省から、3法人についてヒアリングする予定にしております。3連休明けも、どうかよろしくお願いします。

【樫谷分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は、御多用の中、御出席を賜りましてありがとうございました。


ページトップへ戻る

政策評価・独立行政法人評価委員会
サイドナビここから
サイドナビここまで