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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月21日開催)議事録

日時

平成22年9月21日(火)13時30分から15時00分まで

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(委員)
富田俊基独立行政法人評価分科会長、黒田玲子委員、縣公一郎、浅羽隆史、梅里良正、岡本義朗、河野正男、河村小百合、鈴木豊、田渕雪子、玉井克哉、野口貴公美、山本清の各臨時委員
(総務省)
宮島守男審議官、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

(1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(国土交通省、文部科学省)
(2) 報告事項

配布資料

会議経過

【富田分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただ今から政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、先週に引き続きまして、今年度見直し対象となっております43法人のうち、国土交通省所管2法人及び文部科学省所管1法人の見直し当初案に対するヒアリングを行います。
 まず、国土交通省所管2法人見直し当初案につきましてヒアリングを行います。国土交通省毛利審議官をはじめ御担当の皆様にお越しいただきました。それでは、土木研究所及び建築研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、国土交通省から御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。全体の時間の都合もございますので、御説明は2法人合わせて10分程度でお願いいたします。

【川中評価官】  国土交通省政策評価官の川中でございます。本来政策評価審議官の毛利が出席すべきところ、新大臣の交代行事などがありまして、急遽欠席となったことをお詫び申し上げます。
 本日は、先週13日の説明に引き続きまして、土木研究所と建築研究所の2法人について御説明させていただきます。今般の見直し当初案の提出に際しましては、昨年12月に閣議決定されました独立行政法人の抜本的見直しについてなども踏まえまして、組織、業務の全般にわたる検討を行っております。なお、今後政府全体としての動きがある場合には、これを踏まえて見直し内容に変更があり得るものであることを御承知おきください。
 では、以下、法人の概要及び具体的な見直し内容につきまして、担当課長から御説明申し上げます。

【横山課長】  担当しております技術調査課長の横山と申します。座って御説明させていただきます。
 お手元の資料1−1というものが見直し当初案をつづった少し厚い資料でございますけれども、大部でありますし、時間の関係もありますので、要約した資料をそれ以外に資料1−2−(1)、(2)というカラーの資料がそれぞれ2枚紙ものがございますので、そちらを中心に御説明させていただきたいと思います。
 まず、土木研究所の方から先に御説明いたします。土研、建研とも23年度から次の中期計画に向けて、今見直しの検討をしているところでございます。まず、土研の方でございますが、2−(1)の方でありますけれども、行っております事業につきましては、一言で申し上げますと、河川、道路等の国土の整備、管理に必要な公物を対象にして、公物管理の技術基準に反映させるような研究技術開発を行っているものでございます。
 大きな1番、事務、事業の見直しに係る具体的な措置のところでございますけれども、3点挙げております。(1)が一番大きな柱でございますけれども、研究開発の課題というのを、国が実施する行政施策の立案、技術基準の策定に反映するための研究を中心に行っているわけでございますが、それにより重点化をしていきたいということで、その下でございますが、研究予算を重点プロジェクト研究により重点的に充当する。あるいは、研究の課題数についても、今までも重点化を図ってきておりますけれども、更に重点化を図っていきたいというのが大きな1番目でございます。
 それから、下の(2)でございますけれども、日本のいろいろな土木の技術については、世界各国で活用できるものがございます。例えば、ここに少し絵を書いてございますけれども、人工衛星の情報を活用した雨量、洪水の予測という技術は、アジアをはじめとした世界各国でも使っていただける、国際的にも通用する、国際展開できるための技術であるということでございますので、日本の、特に安全・安心等の技術をアジアをはじめとした各国に展開するための研究活動を強化するということを今回目標としていきたいということでございます。
 それからもう1点、(3)でありますけれども、特に社会資本の整備を戦後進めてきた結果、多くの社会資本のストックができておりますけれども、新設だけではなくて、これからは特に維持管理に力点を置いていく必要があるだろうということで、維持管理のための講習会等の実施と特に国、自治体の職員を対象にした講習会あるいは講師の派遣といったような技術の取組を強化していきたいというのが3本の柱として今考えているところでございます。
 それから、大きな2番。組織の見直しの関係でございます。(1)にありますように、土研につきましても、東京事務所あるいは海外の事務所というような支部、事業所は設置いたしておりません。
 それから(2)の事業主体の見直しの関係でございますけれども、cに書いておりますのは、先ほど冒頭に少し御説明がありましたように、独立行政法人そのものの見直しにつきましては、独法全体の見直しの議論あるいは政府で行われている研究系独法の在り方に関する検討を通じて適切に対応していきたいということでございます。
 その上のbにつきましては、研究課題の選定に当たりまして、今までから土木研究所がやる必要性があるかどうかという評価はきちんとして、要は、国がやるべきものなのか、独法がやるべきものなのか、あるいは民間がやるべきものなのかという判断基準をしっかりとして研究してきておりますけれども、そういう評価の項目というものを今までは明確に切り分けておりませんでしたので、今回そういうものを実施要領の中ではっきりと切り分けた評価項目を設けて明記をして、そして、評価書の方にもはっきり書いて公表するということで、その辺の透明性を高めていきたいというふうに思っております。
 それから、重複の排除、事業主体の一元化でございますけれども、これについては他の独法との重複はないというふうに考えております。2ページにまいりまして、ただし、ほかの独立行政法人あるいは民間の機関と連携していくというのが非常に有効な場合はあると思っておりまして、下の方に2つぐらい(1)、(2)と例がございますけれども、理化学研究所あるいは民間企業との共同研究の例を書いてございますけれども、ほかの機関との適切な役割分担の下で、ほかの機関の能力を活用する、あるいは共同事業として研究開発を効率的、効果的に進めていくということは今後とも力を入れてまいりたいというふうに考えております。非公務員化については、ここに書いてあるとおり、18年4月に措置済みでございます。
 それから、大きな3番の運営の効率化、技術化の見直しに関するものでございますけれども、(1)の保有資産につきましては3つございまして、別海実験場、湧別実験場、これらにつきましては、今年の研究成果を取りまとめた上で廃止に向けていきたいと思っております。また、一部廃止を行った朝霧の施設については、それぞれ計画に沿って、国庫の返納等による処分を行ってまいりたいと思います。また、22年度中に施設の整備計画を策定していって、整備の更新、廃止等を進めていきたいと考えております。
 さらに、(2)の随意契約等の取引関係の見直しでございますけれども、22年6月に見直し計画を策定しております。特に土研の場合は入札参加資格のさらなる緩和についても検討してきたところでございまして、これらに基づいて今後対応していまいりたいと思います。
 また、(3)の自己収入の拡大、(6)の業務のアウトソーシングにつきましても引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、建築研究所の方でございます。資料2−1−(2)を御覧いただきたいと思います。建築研究所につきましては、大きな仕事としては2つの仕事をしておりまして、建築あるいは都市計画に関する技術を対象にして、これらを国の技術基準に反映させる。そして、そういうものが民間の企業の、あるいは建築物の技術開発、設計施工の現場に活用されるような技術を開発していくという仕事をしております。
 それといたしまして、(1)の研究開発の重点化ということで、土研と同じような考え方でございますが、(3)のところに書いてございますように重点的研究課題というものを設けておりますけれども、更にそれを絞り込んで重点化していくというふうにしてまいりたいと思います。それからもう1つ大きな仕事といたしまして、その下の(2)のところでございますけれども、地震工学に関する研修ということで、開発途上国の技術者の養成のための、日本は地震国でありますので、そういう研修を従来から行っております。これにつきましても、最新の知見を入れてカリキュラムを見直していく。例えば長周期の地震動あるいは津波の観測システム、いろいろな技術ができておりますので、そういうものを入れたカリキュラムの見直しを図っていって、充実を図っていきたいと思っております。
 大きな2番の組織の見直し関係でございます。(1)は同じでございます。(2)のところ、bのところ、dのところ書いてございますけれども、これは先ほど土研で御説明したとおりでございまして、評価書の中に項目をはっきり入れていく、あるいは全体の独法の見直しの中で議論していきたいということでございます。
 次のページ、2ページ目を御覧いただきたいと思います。(3)の重複の排除、事業主体一元化のところの(c)でございますけれども、これも土研のところで御説明いたしましたように、ここの場合は森林総合研究所あるいは民間の研究機関との共同研究と書いてありますけれども、いずれもそういう関係機関の力を活用、共同で適切な役割分担の下で研究を進めてまいりたいと思います。
 それから、大きな3番。運営の効率化、自律化の見直しに関する措置でございます。(1)の保有資産につきましては、建研の場合も屋外の火災実験場の施設がございますが、これは廃止済みでございます。また、施設の整備計画は22年度中に土研と同様に策定して進めてまいりたいと思っております。
 (2)の随意契約の関係。これも6月に同じく見直し計画を策定しておりますが、建研の場合は、10月から特にホームページを利用しまして、発注する業務の細かい内容が分かるような仕様書ですとか説明書というものもホームページで業者の方がすぐに見られるような形にするということで、なるべく参加していただけるような努力をするということで改善していきたいと思っています。
 (3)の自己収入の拡大。(6)のアウトソーシングは引き続き進めていきたいと考えております。特に自己収入の拡大については、(3)の2つ目の黒ポツでございますけれども、外部の機関による施設の利用ということで、建研の実験をする期間はだめでございますが、空いている時間はなるべくいろいろな方に使っていただけるようにということで、そういうPRをする。あるいは施設の利用料、料金も改定して、値上げするものは値上げしてというようなことで、収入の拡大を図っていきたいということでございます。
 以上、概略でございますけれども、両研究所の見直しの概要でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明ございました土木研究所及び建築研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  3点ばかりお尋ねしたいと思うのですが、両研究所とも同じことなのですが、国総研との機能分担については、かねがね聞いておるところによりますと、国総研では基準の設計等に係る研究ということで、基礎的なことについてそれぞれの独立行政法人の研究所が分担なさっているということを聞いておるのですが、機能分担をされて以降、従前に比べると、具体的にどういった点が機能分担によって従前より改善されたかどうかということを、もし具体的な事例がありましたらお教えいただきたいと思うのです。
 というのは、形式的に見ると、独法化されていますから、役員の方等々の数も増えておるものですから、具体的にどういった機能分担することによって、特化することによってよい点があったかということです。
 それと同時に、私はちょっと時間があって行けなかったのですが、施設等の配置等を見ておりますと、国総研と土木研究所、建築研究所もそうなのですが、同じ敷地内でかなり込み入った施設の分担になっておるのですが、それはそれでいいと思うのですが、問題は、独法になると大体火災保険といいますか、損害保険等によく入るのですけれども、国大法人もそうなのですけれども、それに入っているかどうかということと、入っているとすると、ただ、国の機関の場合はもともとそれに入る必要はないわけですので、非常に隣接して同じような境界のきわどいところで、片方がもし入っておられて、片方が入っていないということはどういう具体的なメリットがあるのかどうかということがよく理解できないので、その辺の事実関係を御説明いただきたいという点が2点目であります。
 それと、成長戦略等でいろいろ先ほどお話があったような、洪水等の衛星を利用したようなシステム等についての海外展開を図っていかれる。これは非常にいいと思いますし、あるいはそれを成長戦略として1つの輸出貢献等にも生かしていくというのはいいと思いますけれども、それを具体的にそれぞれの、土木研究所なり建築研究所においてどういうふうに進めていかれる予定なのか。それはむしろ民間の方に移転した方がいいのではないかという意見も当然あり得るわけでございまして、どういった内容について海外展開等について特化していかれるのかということにつきましてお教えいただきたいと思います。

【富田分科会長】  はい、お願いします。

【横山課長】  まず1点目でございます。国総研との機能分担、そしてそれがうまく機能して、改善といいますか、今までうまくいっている事例があればということでございます。まず、2つの国総研と土研、もともとは国の機関として一緒だったのですが、13年に機能を分けようということで、国に残すべきものと、国ではなくていいけれども、独法という形にしようというもので分けたものでございます。
 一言で言いますと、国総研は政策の企画立案、技術基準の原案の作成に関するものをやるし、土研なり建研はそういうもののベースになるようなメカニズムの解明等をやるということになりますが、具体的な例で申し上げますと、国総研の場合でありますけれども、河川の堤防というものがありまして、土でできているものなのですけれども、そういうものが壊れる事例というのが、今年も水害があってそういう例がございますけれども、土研の方はメカニズムの解明ということで、実際に日本中の数多くの堤防の点検結果を分析してどういう強度だとか材料でできているか。あるいは浸透して堤防が壊れるときのメカニズムの解明ということをやろう。国総研の方はそういうデータを受けて、実際に基準化するときの、どういう設計の基準にすればいいのか、あるいは管理ができるのか。それからモニタリングということで、実際に堤防を日々管理していくときにどういう数値が必要なのかという技術基準に直結するところをやるというようなことをやっています。
 結果、きちんとお互いにやるものをはっきり意識しながらできるということで、連携しながらやるということは、それぞれ研究者としてもテーマを発揮してできるということで、効果が出ているのではないかと思います。

【山本臨時委員】  いや、ですから、従前に比べて具体的によくなったかどうかということをお聞かせいただきたいのですが。今何とか分担してうまくされているというのは分かるのですが、従前の方針に比べて、今回こういうことをやっているのでよりよくなっているかどうかということの確認がしたかったというのが質問の趣旨なのです。

【横山課長】  今までは両方の部分を旧の土木研究所がやっていたわけでありますけれども、旧のときが悪かったということはないかもわかりませんけれども、今回機能分担することによって、それぞれの研究の目的意識というか、発揮できたということは効率性につながっているのではないかというふうに考えております。

【橋本課長】  建築研究所の方で申し上げますと、例えば独法化して、年度予算の縛りあるいは人事の研究者の採用について任期付採用等ができる。例えばこれは小さい例でございますけれども、当然建築物のいろいろな外装材とか、そういうものについて、長期の暴露試験を、例えば5年、10年やるということがあったときに、そういう実験が、少なくとも年度予算に縛られずにできるようになったということは、ある意味でやりやすくはなったと思います。
 それから、任期付採用の研究員もおりまして、これは政策テーマ、例えば長期優良住宅のようなテーマが政策課題としてにわかに挙がってきて、実際に法律ができて、基準をつくる基本的なデータを全部建研に用意してもらいましたけれども、そういうときに、残念ながら研究所の職員の中で専門分野外に当たるような人がいたときに任期付採用したという事例は確かあったというふうに記憶しております。
 そういう意味では、もともと国総研と建研は一体のものでございましたから、絶対に1つにできないのかという議論はいろいろと御議論あろうと思いますけれども、独法なりに少し自由に動けるようになったということで、少し研究が進むのではないかと思っております。
 それから、一番最後の成長戦略が出た結果としてどういうふうに進むかということでございますけれども、これについては、例えば、たまたま中期計画の見直しの時期になっておりまして、やはり今まで16課題を2期でやっておりましたけれども、第3期については成長戦略を見ながら、例えば10課題に再整理して、特に重点を置いて取り組むものを課題として取り上げる。具体的には、22年度においては、研究課題の中で既にあったものから成長戦略を見ながら2つほど落としました。先ほどの説明書にはありましたけれども、800万円研究費を削減して、これを例えばそれ以外の緊急性のある成長戦略に沿ったような研究費に充てるというようなことで、そういう研究計画の見直しについても独法になったことで随時フレキシブルに対応しているという状況でございます。

【溝口調整官】  2つ目の火災保険の御質問でございますけれども、独立行政法人の場合については、土木研究所、それから建築研究所ともに火災保険に入っております。国の国総研と敷地が隣接している場合もあるわけですが、その辺の施設の管理区分というのは明確にお互いの間で定めております。国総研については国の施設ですから、そういったことが起きたときにも国の方の予算として、何かあった場合の対応が可能と思われますが、独立行政法人の場合はそこで予算が独立しておりますので、そういった火災保険の内容というものも結果的に必要になってくるという考え方でございます。

【山本臨時委員】  いや、ですから、それは、形式論から言うとそういう処理でもいいと思うのですけれども、そこをもう少し政策的に――政策的にと言うとこの委員会の趣旨を超えるかもしれませんが、独法の管理としては、例えばすべて建物の所有は国総研で、そこから借りるとか、そうすれば、その施設の管理責任自身は国総研に行くわけですね。
 ただ、自前の施設整備の財源がまたなくなるのではないかという議論はいろいろあると思うのですけれども、ちょっとその辺を考え方、問題意識としては持っていたものですから、ではとりあえず、私の意見は意見としてそういう現状を知りたかったということですので。承知いたしました。何か返答があればお願いします。

【溝口調整官】  独立行政法人が専ら使うものについては土木研究所なり研究所が施設を管理しています。それはふだんから使っている。そういったところについては、その管理についての責任をしっかり果たしていくという観点から必要ではないかということで考えています。

【山本臨時委員】  それは保有原則で行かれるということですね。

【溝口調整官】  実際にその物についても研究等のために必要な施設であるという考え方です。

【山本臨時委員】  わかりました。それは1つの考え方としては理解はできますけれども。

【富田分科会長】  よろしいですか。では、鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  他の独法とか、機関と重複はないというふうな文章が書いてあったのですが、その方向として。例えば、御回答いただいている土研の方で、雪崩・地すべりセンターと、それから防災科学技術研究所の雪氷防災研究センターですか、ここで行われた共同の連携した研究のお話をいただいているのですけれども、それと同時に建研の方は防災科学技術研究所と建築研究所の地震による地震時挙動の解明というのでしょうか、こういうことをここで連携して行われているということですけれども、例えばこの2つの例で、どちらがどちらという連携の、時間がありませんから、これが確か文章で書いてあるのですけれども、見ていると分からないので、どこから区分けになっているのか、そこをもう少し御説明いただきたいと思うのですが。

【富田分科会長】  お願いします。

【横山課長】  土木研究所と防災科研の関係でございますけれども、防災科研は地震や火山や土砂災害、それから雪氷災害、いろいろな自然災害を対象にして、基礎的、基盤的な研究をしておられる。ですから、例えば地震で言いますと、地震の発生メカニズムがどうだとか、観測とか……。

【鈴木臨時委員】  御回答いただいた資料がわかりやすいのですが。 例えば、長野県山ノ内町志賀高原で行われたという、事務局を通じて前にいただいている資料かもしれませんけれども。

【横山課長】  ああ、そうですか。今日の資料ではないですか。

【鈴木臨時委員】  今日の資料ではないです。

【横山課長】  わかりました。では、雪崩の話ですればよろしいでしょうか。
 防災科研は一緒に役割分担して研究しているのですけれども、防災科研の方は雪崩の発生のメカニズムです。どういうメカニズムで発生するのか。ここを中心に研究されている。一方で、土研の方は、雪崩を防ぐための防護する施設をどうやって現地につくればうまく雪崩がとまるあるいは被害が減少できるかということであります。
 ですから、お互いの持っている、目指しているところは少し違うといいますか、それぞれあるのですけれども、先ほど申し上げましたように、それぞれの持っている知見を集めることによって、共同で研究といいますか、やることによっていい研究ができる。ですから、ダブりはないというか、その2つは違うので、ダブっているわけではありませんけれども、その2つの知見を合わせることによって、我々がやりたいと思っている雪崩の施設をどうやれば現地でうまくやれるのかという、その研究の前提となる現象とかそういうところについては防災科研のデータが非常に役立つということで、一緒に協力し合いましょうという考え方なのでございます。

【鈴木臨時委員】  そうすると、建研と防災科研の震動実験ですか、これは例えばどういうこと。

【橋本課長】  震動実験に関して申し上げますと、防災科研の視点は地震によって構造物の被害がどのように出るか。これを高精度に予測するための技術的開発の基礎データをとるということでございまして、一方、建研の方は、特に建築基準法の構造基準を念頭に置いて、地震時の建築物の挙動や変形の把握、解析を行うということなのですけれども、要は、非常に乱暴に申し上げますと、防災科研はいかに壊れるかに関心があって、建研はいかに壊れないかに関心がある。要は、お互いに見ているところが全く違うのだと思います。同じ研究者で同時にやるということはなかなかなくて、やはりいかに壊れるか、その予測を中心に念頭に置いている防災科研といかに壊れない基準にするかという建築研究所というのは、やはり基本的に同じ振動台に乗っている建築物を見ても、視点は全く違うのだと思っています。

【鈴木臨時委員】  どこで区分けをされるのかちょっとわかりませんけれども、例えば前の方の話ですと、確かに基準をつくるためにおやりになる。だけれども、そのためには当然その前の段階の雪崩の発生のメカニズムとか、それが分かっていないとできないわけですから、そこのところが、とりあえず別々でやっていたにしてもダブるところというのはあるのではないかと一般的に何となく思うのです。全然ないとおっしゃるのだけれども、そこが本当に切れているのかどうかです。
 それから、建築の方の地震に関連しても、全くそこが切れるのではなくて、それを想定して全く別々のものではありませんからというふうに普通には思える。
 ということになると、多分基礎的なものとか、技術的なことは正確にはわかりませんけれども、やはりダブるようなものがあるのではないかとすると、先ほどちょっと主査の方からも話がありましたけれども、そういう部分をどちらかに片寄せするということによって、より効率的になっていくのではないのか。別に研究すること自体が悪いと言っているわけではないです。2つあることがどうだということを言っているわけではないです。
 だけれども、こういう研究の中身を見ていくと、当然ダブっているものがあるだろう。そうなったときは、民間であれば、より効率的な方に片一方は動かしてコストを下げようと考えるわけです。だから、そういうことというのは全然お考えにならないのでしょうかということと、そういう業務の分析とか作業の進め方とかそういうことについてはどういうふうにお考えなのでしょうかということなのです。

【横山課長】  今のダブるようなものがあるのではないかというお話でございますけれども、雪崩のことで言いますと、確かに雪崩の発生のメカニズムということを防災科研が中心にやられるとしても、そのことを土研の技術者が全くメカニズムのことが分からなくていいのかと言われると、そんなことはないと思います。当然どういうメカニズムなのかということが分からないと、防護する施設をどうつくればいいのかということは出てきませんので、そういうことについての知識といいますか、技術的な知識はないといけないという意味ではおっしゃるとおりだと思っています。
 ただ、そういうメカニズムの解明に向けた研究、新しい研究をするのは、防災科研が中心でやっていただいて、その得られた知見というものを教えていただいて、なるほどこういうメカニズムだということが分かれば、その分かったメカニズムに対応できるような施設をどうつくるのがいいのか、可能性がどうつくれるのかということを研究することが土研の仕事なので、知見の受け渡しという意味ではダブりはあると思います。共有している技術的な知見があるというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、その知見を得るための研究といいますか、取組というのは、メカニズムの方については防災科研が中心でやっていただいて、土研はその知見データをいただいた上で、次の我々がやる防護の方を考えていくという役割分担なので、知見についてはダブりはありますけれども、役割としてはなるべく同じことをやらないようにしているという意味でございます。

【鈴木臨時委員】  はい。

【富田分科会長】  今のね。2つの独立行政法人で意見交換をしたりとか、定例会合やるとかというのはどういうふうにやっておられるのですか。

【橋本課長】  建築研究所で申し上げますと、特に地震に関する被害については、共同研究。

【富田分科会長】  防災科学技術研究所。

【橋本課長】  防災研との間で共同研究はやっております。ちなみに、鈴木委員のお話に戻って申し上げます。例えば、実際に大地震が、例えば新潟の地震、中越地震などのときに、防災科研の人間と建研の人間が現地に行っております。ただ、見ているのは、例えば防災科研の人間は震源がどこで、当該土地はどういう地層にあって、地震波がどういうふうに伝わって、結果として、例えばこの土地について何ガルぐらいの震動がどれぐらいの形で起きた。そういうときに、例えば基準法で、平成56年基準、新耐震以前の建物は、例えば何割ぐらい倒れているけれども、新耐震以降はどれぐらいだとか、そういうものをなるべく震源と地層との関係でわかりやすく予測しやすくするということに観点を持って調査する。
 ところが、建築研究所の人間は、例えば、当該土地についてどういう地震が何ガルで起きたときに……。

【富田分科会長】  いや、だから、それはいいのだけれども、それぞれ独法になってもう10年も経つわけでしょう。私が聞いたのは、具体的に定期的な会合を持っているか。つまり知見を生かすというふうにおっしゃったのだけれども、主務省は違っても同じ国の同じ政府の中にあって、定期的な会合とか、何かそういうもので具体的な話をしてもらわないと、知見を生かしているのだと言われたって、それはそうだろうよといいますか、分からないね。

【溝口調整官】  定期的な会合という形ではないですけれども、例えば土木研究所の方の雪崩の関係で申し上げますと、年に数回ぐらいそういう打ち合わせ。それは一緒にシンポジウムをやったりとか、こういう研究のときに打ち合わせをするというもの。これはテーマによって、関係の深いものについてはより頻度も多くなりますし、そうではないものについては、年に若干の回数とか、そういったことでありますけれども、そういったテーマに応じてやるということで、定期的な会合という形では今のところ行っておりません。

【富田分科会長】  途中ですみません。

【鈴木臨時委員】  お話は確かに分かる。ですが、その具体的なところが、これ以上は今日は時間がありませんので。そこで、先ほどの2つのケースについて、具体的に分かるような、例えば作業計画はこう立てて、作業日程はこうだとか、工程表です。その分がどちらがどういう内容でどういう形でやっているのだというようなものは当然あると思うので、それを今度事務局からお願いしたいと思いますので、それを出していただいてと思います。

【富田分科会長】  どうぞ、河村委員。

【河村臨時委員】  すみません、では、ちょっと別の論点でお尋ねさせていただきたいと思います。組織の見直しのところで、支部、事務所等は設置しておられないということなのですが、これは別の観点だと思いますが、北海道開発局からの業務移管の関係がおありになって、寒地技術推進室というものを設置されていらっしゃると承知しております。これは、北海道の中に4カ所おありにあるというふうに伺っていまして、札幌、函館、旭川、釧路でお間違いございませんでしょうか。これをなぜ4カ所つくる必要があるのかというか、北海道に1カ所あれば足りるということにはならないのかといったあたりをまずお伺いできればと思います。

【原調整官】  今、お話があったとおり、平成18年の閣議決定に基づきまして、北海道開発局で行っていた技術開発関連業務を寒地土木研究所に移管するということで、平成20年度に人員を含めて寒地土木研究所に移管したところでございまして、その際、移管した業務を含めて、北海道の特殊な気象条件、寒いですとか雪が降るですとか、凍結融解とか、それに伴う泥炭性軟弱地盤といった土木技術上の課題を解決するための調査ですとか、試験、研究、開発あるいは指導普及といったものを一体的に寒地土木研究所に移管して実施していこうということで、平成20年からそういう体制になっておりますけれども、今お話のあったとおり、平成20年の4月の時点で、その移管した人数の中で支所を4カ所設置してございます。今おっしゃったとおり、札幌、函館、旭川、釧路ということで、4カ所に設置してございます。
 この支所の仕事でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、北海道開発局の行っていた技術開発関連業務ということで、地域とあるいは現場と密接に連携しながら実施している業務というものを引き続き現地で実施していく必要性があるということで支所を設置しておりまして、具体的には各研究プロジェクトを実施するに当たって必要な現地の業務ということで、現地調査を立案するための現地踏査でありますとか、現地での資料収集、分析あるいは実際の現地調査ですとか、研究ですとか、あるいは現地の関係機関との調整といったことで、北海道開発局の各開発建設部で実施していた業務を現地で機動的かつ効率的に実施する必要性から支所を設置してございます。 ただ、各開発建設部といいましても、開発建設部は10個ございますけれども、その10の開発建設部に対して、先ほど申し上げました4つの都市に集約しまして支所を設置しているというところでございます。

【富田分科会長】  河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  開発建設部というのは北海道の中に10カ所あるということですか。

【原調整官】  そうです。

【河村臨時委員】  その中で4カ所。それでもやはりどうしてこの4カ所必要なのかというところがなかなか理解しにくいのですが、いろいろな合理化等を土木研究所として進めていられていることは先ほどの御説明で分かりましたけれども、やはり何もしないでいいということにはならないのではないか。やはり見直しをお考えいただくとすれば、このあたり御検討の必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【原調整官】  各開発建設部が今10あるというふうに申しましたけれども、現地に密着して各開発建設部がこれまで現場の事業にあわせて実施していた技術開発関連業務というものを、今度は寒地土木研究所に移管することで事業実施にあわせるというより、今度は研究とあわせて一体的にやるということで移管をしているわけですけれども、実際にやっていた仕事というのが現場に密着している仕事で、現地にフィールドを抱えている仕事だということです。
 ですから、先ほど言いましたように、現地での調査でありますとか、現地での関係機関との調整でありますとか、実際の調査です。本当に現地のそばで一緒にやっていかなければいけない業務について支所が今担ってやっているということでございまして、先ほど札幌1カ所でもというふうにお話がございましたけれども、札幌にそのメンバーを全部集めてしまいますと、今度は札幌から現地のフィールド、現場に何度も足を運ばなければいけないということで、どちらが効率的かという議論なのだろうというふうに思っています。
 実際には10の現場に張りついていた開発建設部の業務を引き受けているということでございますので、どうしても現地性といいますか、現地にいて機動的、効率的に動くべきだろうという考え方で今支所を設置して2年ちょっと経っているという状況でございます。

【河村臨時委員】  いろいろ伺わせていただくと、ただ、でも、全国の中での北海道だけというか、当然北海道開発局からの移管の経緯とかということが当然おありだとは思うのですけれども、やはり時間がいろいろ経過していることもありますので、何らかの合理化ということはやはり引き続き御検討いただければというふうに思います。
 ちょっと別の質問を続けてさせていただきたいのですけれども、最初に御説明が課長からありましたときに、土木研究所、それから建築研究所ともに、平成22年度中に施設整備計画を策定なさるということを伺ったのですけれども、このあたりをもう少しかみ砕いて御説明いただければと思います。
 それで、どういう観点でお尋ねしたいかと申しますと、つくばの方に、先ほどから話が出ています土研、それから建築研究所、これは私も前回の見直しのときはちょっと見学にお邪魔もさせていただいたのですが、建築研究所、それから本省の方の国総研の方と一緒におありになるということで、先ほど当然国の部分と独法の部分というものは会計上なり、きちんと切り分けなければいけない部分があるのもよく分かるのですけれども、ただ、さはさりながらやはり合理的に、効率的にやれる部分があるのであればやった方がいいのではないかという気もいたしまして、そういう意味で、土木研究所、建設研究所それぞれに施設整備計画というものを策定されるときに何か今申し上げたような少し大きな視野というもののお考えがあるのかどうか。それとも全く個別のものなのかどうかということです。そういう観点でお尋ねできればと思います。
 あわせて、(4)のところで、管理運営の適正化ということを両法人について御指摘くださっているのですけれども、これはもう少し踏み込んで、やはり同じ敷地の中にあるのであれば、当然ながら経済的な費用の負担がどこかということはきっちりしなければいけませんけれども、同じ国総研でも、この前横須賀の方におありになる港湾空港研究所などにお伺いしたときには、それなりに契約を1本にして、あと費用は案分になさるとか、そういうふうに工夫もされているというふうに伺いましたので、何かできる範囲でそういったことをなさっているところがあるかどうかとか、それから今後お進めになる御計画があるかどうか、そういったあたりをお伺いできればと思います。

【溝口調整官】  最初、施設整備計画の話でございますけれども、例えば研究施設について重複がないかどうかというものをチェックした上での整備。それから、他の研究機関がどういう施設を持っていて、その現状を踏まえて処分できるものがあるのかどうかといったものについては施設整備計画をまとめる中で考えてまいりたいということでございます。

【横山課長】  若干補足しますと、土研、建研になってからもう10年経っていますので、相当大型の実験施設も持っておりますけれども、かなり老朽化しているものもありますし、それから利用状況を見てみると、過去は非常によく使っていたけれども、最近ではあまり使われないものもあるし、逆に足りないようなものもあるかもしれないということで、新たに新設する必要があるのかどうかとか、あるいは更新ということで、古くなっているので修繕したりとか、完全に新しくするとか、そういう必要があるのかとか、あるいは機能が実験施設の機能として必要性が下がっていれば、もし2台あるとすれば1台でもできるのではないかとか、そういうことをよく見ていきたい。
 そのためには、今後5年間でやる計画が技術基準に結びつくようなものをやると申し上げましたが、それを更に重点化していく中で、限られた予算の中でどの辺に力を入れていくのが一番いいのかというのを研究テーマの方だけではなくて、ロジの方の予算についても、予算というか整備計画も一緒に考えていきたいというのが基本的な我々も思っていることでございます。それを22年度中にしっかりとやりたいということでございます。
 もう1点の方ですね。

【溝口調整官】  情報化、電子化の推進による効率化の具体的な内容という御質問でよろしかったでしょうか。

【河村臨時委員】  今の御説明も、ですから、施設整備計画というのはあまり横断的な視野というよりは各法人として、独法移行後10年経ったところでの施設の更新とかそういうことに重点を置いてやられるということですか。同じ敷地の中に国総研と土木研と建研が入っていらっしゃって、そういうところでもう少し、当然守らなければいけない線引きはあるとは思うのですけれども、例えば外に発注するような管理業務とかの面でもう少し効率的になさるようなお考えとかはないですかという御質問でございます。

【橋本課長】  施設につきましては、10年間の間にある程度役割分担、やはりそれぞれ研究によって使う施設が違いますので、そこは相当程度は整理してきていると思います。ただ、今さっき申し上げましたように、老朽化しているもので、更新をするかしないかの判断をしなければいけないものもありますので、そういうものも今後の業務計画とあわせてより効率的になるようには見直すことにしておりますが、更に加えて言いますと、建研の研究で直ちには使わないけれども、外部から、例えば民間の方が使いたいとおっしゃるようなものについては、料金を適正に設定して、より収入が上がるように、そういう意味で、貸し出しと言いましたけれども、施設の貸与なりも建築研究所の中では現在、既にこれは取り組んでおりまして、22年度から更に収入を上げるように、今後努力していきたいと思っております。

【河村臨時委員】  そうすると、大変基本的な質問で恐縮なのですが、例えば建築研のなさるお仕事で、国総研と共通でお使いになって研究なさるような施設とかがおありなるわけでは全然ない。わりときれいに白黒が、実験のための施設とかも別になっているということですか。

【橋本課長】  建築研究所でいいますと、特に建築基準の基準策定がどちらかというとデスクワークって変でございますけれども、基本的には建研が持っている基礎的なデータなり、いろいろな測定の方法などを見ながら、具体的な告示に入れる基準値を定めたり、実験方法を定めたりでございます。研究施設を多用するということは建築研究所に関してはあまりございません。
 むしろ実験施設のほとんどは建築研究所の方で使って、基礎的なデータなりいろいろなノウハウを開発しているということでございます。そこはあまり重複があって、同じ施設を持っているということはございません。

【河村臨時委員】  ちょっと具体的に申し上げると、例えば、横須賀にお邪魔したときなどというのは、施設の警備の業務などというのは1本で発注されていると伺ったのです。だから、そういうところで何本も、それぞれ独法だから国だからということで分けてやらなくても一緒にやって、それできちんとコストは当然案分されると伺いましたけれども、そういう管理業務の面での合理化という、そういう部分の余地はないのでしょうか。

【横山課長】  すみません。施設は敷地が隣接しておりますので、おっしゃるように、例えば土研で申し上げますと、研究施設の保守とか実験施設のクレーンとかがありますが、そういうものの点検とか、構内の敷地の維持、例えば除草するとか、剪定とか、そういうような業務については国総研と協定して、費用分担して、区域などを決めて一緒にやっている。あるいは清掃とか庁舎管理業務について、これは土研の場合も建研、国総研と共同でやっているというものがございます。
 ただ、その辺も今見直しをしておりますけれども、かなりのところは一緒にやっているものもあるのですけれども、先ほど御指摘がありました港空研でやっているものというのも参考にしながら、更にこういうところができないかというものがあるようでしたら、そういうことはしてきたいと思っています。現在でもそういう取組はしているけれども、更にこれもできるじゃないかというところがあれば、その辺をちょっと検討していきたいというふうに考えております。

【溝口調整官】  国総研と建研、それから国総研と土研でありますけれども、土木関係、それから建築関係は場所が離れております。それで、建築の関係でいきますと、国総研と建築研究所がすぐに隣接しているという関係で一緒にそういったものの契約というのがしやすいところがございます。そういったことで、土研と建研というのは、場所が完全に離れておりますので、なかなかそういうところが少し難しい環境にあるということがございます。

【富田分科会長】  ほかに。鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】  建研の共同研究について2つお聞きしたいと思うのですが、共同研究は基準作成関連研究とはどういうふうな関係になるのかということが1つと、それから特許の取得については共同研究ということのようなのですが、これについてはどういう理由からか、どういう内容かということです。

【橋本課長】  共同研究という独立した研究があるわけではなくて、研究課題が確か48課題あったと思いますけれども、その中で、まず国総研あるいは先ほどの防災科研あるいは民間と共同のテーマで研究を48の建研の研究テーマの中でやっておるということでございます。したがって、基本的には共同研究といえどもすべて基準作成に結びつくものだけで、それ以外の共同研究ための独立した研究というものはございません。

【鈴木臨時委員】  18年から20年まで特許のほとんどが共同研究というような形になっていると思うのですが、これはどういう共同研究の内容なのか。

【橋本課長】  申し訳ございません。ただ今資料が手元にございません。後ほど事務局を通じて提出させていただきます。申し訳ございません。

【鈴木臨時委員】  そういたしますと、前半の方はないとおっしゃっているわけだから、ないならばそれでいいのですけれども、本来は基準関連に特化すべきだということになっているので、私もそれは必要ないのではないかということで、これはまた事務局からお問い合わせさせていただきたいと思いますが。
 それから特許については、これは共同研究ということで、もし特定の企業等との関係ということになると、普通民間だと利益提供はどうするのだと課税の問題まで起きるような内容なのです。ですからそのあたりがどうなっているかの、知的財産権の出願、活用、管理です。こういうことについてちょっと具体的な内容をいずれお聞きしたいと思います。

【橋本課長】  具体的な内容とともに知的財産関係の管理の規程等についても一緒に御提出いたします。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょう。梅里委員、そして黒田委員の順番でお願いします。

【梅里臨時委員】  先ほどの研究の重複について、ちょっとまだよく分からないものですから、すみません。土木研究所の方では、先ほど雪崩の発生メカニズム等は防災研だというお話があったのですけれども、ということは、発生メカニズムについては全く研究されていないという理解でよろしいのですか。あるいは雪崩等の発生の検知に関しても研究はされていないという理解でよろしゅうございますか。

【横山課長】  検知の研究はしております。どうやったら検知できるかというのはしております。先ほどのダブりをなくすというのは、なるべく同じことをやるのは非効率的なので避けるということでありますけれども、やはりメカニズムそのものについて何も土木研究所の職員、技術者が知らないとつなぎようがありませんので、そこについては当然基礎的な知識は持つべきでありますし、それを持つために必要な勉強はするというのはありますけれども、メカニズムをより詳細に調べるとか、そういう解明を更に進めるということについては防災科研の力を活用といいますか、借りて一緒にやっていこうということでございます。

【梅里臨時委員】  ということは、具体的に例えば雪崩の防護施設のハードの設計とかそういうことを行う場合に、防災科研の方のメカニズムの研究者とが一緒にプロジェクトに参加しているとか、その方を定期的に呼んでハードの設計に生かすとかというようなことはされているわけでしょうか。

【横山課長】  共同研究という名前はつけていないようなのですけれども、まさにおっしゃったような一緒に研究活動の……。

【梅里臨時委員】  プロジェクトに入っておられるということですか。

【横山課長】  打ち合わせをするとか、それから現地の調査も共同でするというようなことをしておるということでございますので、実質的にはまさに一緒に研究しているというふうに考えていただければ結構かと思います。

【縣臨時委員】  こちらにこういう一覧の両研究所の課題をいただいているのですけれども、今特段詳細に説明していただく必要はありませんが、専門外の者から見れば、例えば、土木研究所の場合には、大地震に備えるための云々とか、大地震による土砂災害に対する云々というものがあります。これは例示ではなくて、悉皆的にどの課題で防災科研とどのような共通性があるかということを、ちょっと申し訳ないのですけれども、文章でお知らせいただけないでしょうか。土木研の場合だと積雪等に関係すると思いますし、建築の場合には防災都市づくりとか耐震化。
 それで、まずそういうふうに項目をいただきたいのと、それから、恐縮でございますけれども、例えば、土木研ですと、常勤職員が480名いらして、非常勤職員が114名いらっしゃる。それから、建築研は常勤が87名で非常勤が17名いらっしゃる。例えば、重複はないというお話ですが、防災科研とかかわる分野をなさっている方がどれぐらいいらっしゃるか。それにかかわる予算として、もし分明されるようであれば、どれぐらいそういう関連の予算を両研究所としてはお使いになっていらっしゃるかというようなことを、今ではなくて結構ですので、教えていただければと思います。

【横山課長】  後日資料を整理して出したいと思いますけれども、ちょっと確認させていただきたいと存じますが、今おっしゃったのは、例えば土研なら土研でいろいろな研究をしているだろうけれども、その中で防災科研と一緒にやっている研究のテーマなり、課題がこういうものとこういうものがありますということと、それの中で土研はこの部分をやっています、防災科研はこういうことをやっていますというような区分けをしたような一覧が分かるようなものと、それからそれに関連する人員とか予算が、どこまで切り分けられるか分からないけれども、そういうものを分けられる範囲で、そういうものを示した資料といいますか、一覧のようなものをつくって提出しなさいということでよろしいでしょうか。

【縣臨時委員】  ええ。

【横山課長】  それを土研だけではなくて、建研ももし防災科研と同じような関係のものがあればということでございますね。

【縣臨時委員】  両方。そうですね。直感的には暗示されたとおり土木研の方が多いように思いますけれども、専門外の者から見れば、建築研もあるのではないかと思います。

【横山課長】  はい、分かりました。

【富田分科会長】  黒田委員、どうぞ。

【黒田(玲)委員】  すみません。私は国土交通省の担当ではないので、ちょっとずれたことを御質問させていただいているかもしれませんけれども、日本の優れた科学技術が日本国民だけではなくて、アジアの人の安心・安全に貢献するってすばらしいことだと思うのです。土木研のなのですけれども、このIFASの活動はユネスコのカテゴリー2ステーションのICHARMと全く同じことなのですか。土木研にお世話になっているということは伺っているのですが、そうすると、その予算というのはユネスコから全く来ないで、土木研の方の予算で出しているのでしょうか。今日ちょっとお見せいただいた書類を見ると、ICHARMと同じものと思って、ちょっとお伺いしたのですけれども、その辺教えていただけますか。

【溝口調整官】  ICHARMというのは、土木研究所の中の組織でございます。土木研究所のICHARMでございます。

【黒田(玲)委員】  名前としてはユネスコの看板を掲げているけれども、予算すべてが土木研究所から来ているというふうに理解してよろしいでしょうか。

【溝口調整官】  ICHARMの予算につきましては、土木研究所の予算が主体でございますけれども、外部的資金ということで、例えば、アジア開発銀行と協定を結んで、そういったところから外部資金としていただいている部分が若干ございます。

【黒田(玲)委員】  ユネスコからは全くないのですか。名前だけですか。

【溝口調整官】  ユネスコからはありません。

【黒田(玲)委員】  なるほど。だからカテゴリー2なのですね。

【溝口調整官】  そうです。

【黒田(玲)委員】  カテゴリー1はサポートが来るけれども、カテゴリー2はシンボルマークをつけていいという。

【溝口調整官】  そのようでございます。

【黒田(玲)委員】  そういうことなのですね。

【溝口調整官】  カテゴリー2というのはそういうことでございます。

【黒田(玲)委員】  ありがとうございました。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、梅里委員。

【梅里臨時委員】  建築研究所の方の今日いただいた資料の1ページ目の(1)の(3)のところで、研究開発課題の例ということで、エコだとかCO2の収支だとか太陽光発電とか、こういったようなものの研究課題が例として、1枚物の資料ですけれども、書かれている。これというのは、例えば民間の企業が今しのぎを削って研究をしているのではないかと思うのですけれども、独法がなぜこれをやらなければいけないのかという点と、それから、これの研究の成果というものをどういうふうに使われる予定なのかということを教えていただければと思いますけれども。

【橋本課長】  確かに省エネルギーあるいは省エネルギーの住宅については、ハウスメーカーがしのぎを削ってやっておりますが、実はこのLCCM自体が既に建築研究所のプロジェクトとして実現しているのは在来木造の大工、工務店が建てる家で高知県の梼原市に建てた実験棟、国の別途の、本省の方の補助金で建てたものがございまして、要は、大工、工務店の世界というのは、こういうLCCMとかということには全く縁がないのですけれども、日本の住宅の3割4割は木造戸建て住宅で、大工、工務店が施工者という人たちがなおかつLCCMに取り組めるように建築研究所の方でそういう技術を開発して普及しようと思ってやっております。
 そういう意味では、ハウスメーカーは独自にやられて、それぞれ商品化されますけれども、中小の事業者でもきちんと施工できるようなLCCMなり省エネ住宅の開発というものをここでは挙げております。

【富田分科会長】  よろしいですか。

【梅里臨時委員】  よく分からない。中小の企業はこういう技術を開発する力がなくて、大手は自分たちでできるという。

【橋本課長】  そうです。大手は自分で現にやって。

【梅里臨時委員】  中小の企業を支援するために国が税を使って開発し、それを供与する。では、これは大手企業には供与しないわけですね。

【橋本課長】  そうです。少なくとも在来工法ですので、大手企業の工法とは違いますので、お使いになることは自由ですけれども、基本的には大手はあまり参考にならないと思います。

【梅里臨時委員】  国の立場、独法の立場としては、それはどういう考え方になるのですか。中小企業の育成とか、そういう意味になるのですか。

【橋本課長】  中小企業の育成の視点もありますし、そもそも国全体として政府が示している2020年までにCO225%削減という大きな環境政策目標に合致するための技術開発ということ。なおかつこれは、いずれは建築基準法で義務化するということを明言しておりますので、いずれは建築基準法の規制する基準そのものになると思っております。

【富田分科会長】  河村委員。

【河村臨時委員】  あと1点。事業仕分けでの指摘に関連して確認お願いしたいのですが、建築研究所が今年の4月の事業仕分けで基準作成関連とそれ以外の研究に整理しつつ、旧建設省系の他の研究所とあわせてその在り方を抜本的に見直すという指摘がされたのではないかと思うのですが、その基準作成関連とそれ以外の研究といったあたりは今日はいろいろと本当に細かく御説明いただいたのですけれども、その後段部分の旧建設省系の他の研究所とあわせてその在り方を抜本的に見直すということの指摘については何か検討はされたのか。どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、そのあたりをお教えいただければと思います。

【横山課長】  冒頭の説明でも少しだけ触れましたが、説明した資料の建研の方の1ページ目の一番下でございますけれども、独法に関しましては、いわゆる仕分けの中で、仕分けを受けた独法だけではなくて、すべての独法を対象とした全体の見直しの議論というのをするという方針が担当大臣から出されております。
 また、政府で、別の場でございますけれども、研究関係の独法だけを対象にした在り方をどうするのかという議論も関係する省庁の副大臣、政務官で議論が進められているところでございますので、こういう議論を我々としては、政府の中での議論でございますので、そういうものをよく踏まえながら考えていくという方針でございまして、こことここだけどうするかということではなくて、全体の議論の中でどういう枠組みをしていくのかという議論をよく踏まえていくといいますか、見て対応を考えていきたいということでございます。

【富田分科会長】  大体よろしゅうございますか。では、河野委員。最後です。

【河野臨時委員】  今日のヒアリング資料の14ページと27ページ、土木研とそれから建築研について、自己収入の拡大ということで、知的財産権の活用ということがありますが、過去3年ぐらいの特許権の保有コストと、それから、特許権に伴う自己収入の金額がどのぐらいか、今すぐにお答えになれなければ後でペーパーでもよろしいのですが、お知らせ願えればと思います。

【横山課長】  後で提出させていただきます。

【富田分科会長】  お願いします。
 それでは、時間の都合もありますので、土木研究所及び建築研究所についてはここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後主要な事務、事業についてその見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、御協力引き続きよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、何とぞよろしくお願いいたします。
 国土交通省の皆様方、大変ありがとうございました。


(国土交通省 退席)


【富田分科会長】  では、引き続きまして、文部科学省所管1法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行います。
 文部科学省、加藤審議官をはじめ、御担当の皆様方にお越しいただきました。
 それでは、防災科学技術研究所の見直し当初案の主要なポイントにつきまして、文部科学省から御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。時間の関係もございますので、御説明は5分程度でお願いいたします。

【加藤審議官】  文部科学省の加藤でございます。よろしくお願い申し上げます。座って失礼します。
 資料2−2で御説明したいと思います。防災科学技術研究所の概要ということで準備した資料でございますが、最初のページ、1ページでございますけれども、これにつきましては、防災科学技術研究所の概要、特徴をポイントを絞って御説明したものでございます。左手にございますように、上の方から御説明いたしますと、地震、火山、気象、雪氷等の自然災害を幅広く理学、工学、社会科学の研究能力を総合して、幅広い防災に関する研究を行う研究所であるということが1点。
 それから2点目でございますが、大学と広く連携いたしまして、基礎研究から社会に実装するまでの研究を目指した幅広い研究を実施するということでございまして、実際に成果の出たものを後ほど御説明いたします。
 それから3点目でございますが、大規模な共同利用施設、これは大規模な実験施設でございますけれども、これを自ら持ちまして研究するほか、他の機関との共同研究などを通じまして、広くこういう設備を提供いたしまして、我が国全体の防災に関する研究能力の向上を図るというものでございます。
 4点目でございますけれども、災害対策基本法でございますが、指定公共機関に基づきまして、発生時にこういった任務を負っているという公的な任務を持ってございます。
 右手にございますのが現在の組織でございまして、総勢194名の組織でございます。
 1枚おめくりいただきまして2ページでございますが、第2期中期目標期間における成果ということで取りまとめたものでございますが、防災科学技術研究所の性格と第2期中期計画中に得られました成果の概要でございます。下の方にございますように、防災科学技術研究所は自然災害の発生メカニズム、構造物の破壊メカニズム、それから社会防災システムの研究という幅広い研究を、その下にございます大学と連携をとりながら、基礎研究を取り込みつつ、広い研究を行ってございます。
 そうしまして、この研究の得られた成果につきましては上の方にございますように、それぞれ行政目的に応じた研究所がございますけれども、そちらの成果を活用いたしまして、それぞれの行政目的に結果的に反映されるという形になってございます。一例を申し上げますと、例えば一番上の方の左端でございますけれども、地震調査研究推進本部におきましては、30年間の強い地震の確率を地図の上に示した全国地震予測地図をつくるとか、それから2番目にございます気象庁が平成19年10月から運用を開始してございます緊急地震速報がございますけれども、これにつきましてはシステムを基本的なところは防災科学技術研究所がつくりまして、防災科学技術研究所の現在持っています地震観測網も活用しながら現在この緊急地震速報を運用している形になってございます。
 3番目の国土交通省に関しましても、現在ゲリラ豪雨というものが非常に話題になってございますけれども、このゲリラ豪雨を高精度に予測するというレーダを防災科学技術研究所で開発いたしまして、現在国交省ではそのレーダをこの一、二年で二十数機設置するという形で社会実装までつながった研究をしてございます。
 その他、消防庁でも、長周期地震動が超高層ビルに、非常に室内に危険性をもたらすということを防災科学技術研究所の方で研究発表いたしまして、その成果を踏まえまして、消防法の昨年の改正に取り入れられるという結果等々ございまして、実社会に適用できるような研究成果を出しているという形になってございます。
 次の3ページでございますけれども、3ページ、4ページが今回の防災科学技術研究所の見直しの当初案でございます。まず3ページの最初でございますけれども、事務、事業の見直しの研究機能の強化ということでございますが、これにつきましては、現在防災科学技術研究所では地震や火山や、いろいろな災害の種類ごとに研究領域を定めておりましたけれども、それを政策課題に対応する形で観測予測研究、それから減災という研究、社会科学も含めた社会防災という3つの研究領域に大くくりいたしまして、効率的に連携しながら研究を強化するという形にすることを考えてございます。
 それから2つ目の一定程度の成果が出た事業の見直しにつきましては、先ほど述べましたような降雨観測レーダ、これはMPレーダと申してございますけれども、ゲリラ豪雨を高精度に観測することができるレーダでございますが、これにつきましては、現在国交省の方で実用化のために配備してございますので、現在の研究開発は終了いたしまして、今後は豪雨が発生する、雨が降り始める前の早い段階から観測できるような研究に新しく着手するということを考えてございます。
 その下の赤外線火山観測技術につきましては、火山の表面温度や有毒ガスの分布を航空機ではかるものでございますけれども、これにつきましても一定程度のレベルの研究成果が得られましたので、いったんこの研究は終了いたしまして、今後は更に実用的になりますように、機動性を高めた形での小型の飛行機に搭載可能な機器を開発するということを考えてございます。
 それから研究の効率化でございますが、E−ディフェンスと申しまして、大きな震動施設を現在持ってございますけれども、この保守点検業務の効率化、あるいはその研究を効率的に行うことで節減を図ってまいりたいと思ってございます。
 4ページでございますが、2番目の組織の見直しでございます。これにつきましては、支部、事業所の見直しにつきまして、神戸市に現在地震防災フロンティア研究センターというものがございますが、これを廃止いたしまして、合理化、効率化を図るということを考えてございます。
 それから、管理運営の強化につきましては、より政策課題に対応した現場の意見を取り入れた研究計画をつくるために、研究者及び事務職員で構成する経営企画室を新しく設置するということを考えてございます。
 それから3点目の国際協力機能の強化ということに関しましては、現在防災に関しましては世界的な課題になってございますけれども、現在大学等が個々に行っているという状況でございまして、それを防災研究の中の日本のハブ機能を持つことによって、我が国全体の戦略的な国際協力を可能にするべく考えてございます。
 それから3番目の運営の効率化、自律化の見直しにつきましては、一般競争等の新規参入の促進、職員の給与水準の適正化を引き続き行いますし、それから、地震観測、火山観測の業務を統合化することによって経費を節減するということを考えてございます。
 最後の外部利用の拡大につきましても、大型の実験施設につきまして、余剰のスペースや相乗りという形で大学等の利用を更に進めて、利用者の拡大を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 以上が概要でございまして、その次の参考資料でございますが、これはゲリラ豪雨を観測するMPレーダというものの新聞記事。最後のページが、火山を観測するARTSという観測技術の成果の事例でございます。
 説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただ今御説明いただきました防災科学技術研究所の見直し当初案につきまして、御質問などございましたらどなたからでもお願いいたします。はい、梅里委員、どうぞ。

【梅里臨時委員】  防災関係については、まずは発生のメカニズム、どういうときにどこに起こるのかというようなことと、それからできるだけ早くそれを予測して、避難時間を確保したり、被害を少しでも少なくするという予測の問題と、それから、実際に起こったときに、やはり被害を少なくするためのハード的なものとか防護のための、大きく分けるとこの3つに分けられるのかというように資料を見せていただいて思っているのですけれども、最後のハード的な対応、実際に起こったときにということになると、土木研究所や建築研究所等とだんだん類似した領域になってくるのかというように感じているのですけれども、その辺は防災科学技術研究所の方でもE−ディフェンスなどを持っているわけですから、むしろそちらの方をかなりやっておられるのかという気がしているのですけれども、どのように切り分けを考えておられるのでしょうか。

【富田分科会長】  お願いします。

【加藤審議官】  御指摘のございましたE−ディフェンスは大型の震動実験装置でございまして、日本で一番大きな装置でございます。かついろいろな地震動を模擬できる施設でございまして、御指摘のような他の研究所にも同様の施設はございますけれども、先ほど御説明しましたように、防災科学技術研究所は基礎的な研究を大学等と連携しまして、幅広い形でやってございまして、ある程度行政目的に応じた研究と似た部分がございますけれども、それ以外の研究も幅広く行ってございますので、そういった面で御指摘のような点だけでなく、幅広い分野の行政分野に使えるような研究を進めていきたいという形で考えてございます。

【梅里臨時委員】  よろしいですか。

【富田分科会長】  はい、どうぞ。

【梅里臨時委員】  先ほど建築研究所の方からの資料で、先ほどちょっと説明のあった長周期の地震に関する民間との安全性に関する共同研究というようなものが今年度のプロジェクトとして挙がっているのですが、こういうのは今のE−ディフェンスとか、そちらの防災科学技術研究所というのは全く関与されていないのですか。

【鈴木課長】  必要な部分については一緒に行うのもありますけれども、施設貸与もございまして、それはおそらく施設貸与型で借りられる形で実施されるのではないかというふうに思います。長周期の関係は、2ページにもありましたように、防災科学技術研究所の方ではこれまでにも室内の変容等を、そういう関係では、消防庁とか厚労省などにデータを提供して、一緒に中をどういうふうにしていったらいいのかというような研究もしていまして、そういう点で、先ほど審議官から御説明いたしましたように幅は広い。

【梅里臨時委員】  そちらの防災パンフの方の研究所の中で、先ほど3つに分類した原因分析と発生の予測とそれから起こったときの対応というように考えたときに、起こったときの対応というのは土木から建築からかなり幅広くなってまいりますね。それぞれの技術があるしということになると、防災科学技術研究所の方ですべて網羅するのは非常に難しいところがあるのかというように感じているのですが、そこを切り分けて、例えば発生メカニズムと、それから予測を重点特化して防災科学技術研究所の方で取り組むというような考え方というのはないのでしょうか。

【鈴木課長】  ありがとうございます。そこの減災のところですけれども、文部科学省の方で大きな施設を、重ならないようにということで整備して、それを使った研究も文科省もやるし、共同研究や施設貸与の形で関係のところも使えるという形で提供するということにしておりまして、現在そういう点では、国交省の方もですし、いろいろなところと連携した取組をしていまして、今の形が1つの効率的な取組の形であると考えておりまして、我々としては今の防災科学技術研究所の方でE−ディフェンスを持ちまして、いろいろなところと連携をして研究を進めていく方が効率的だというふうに考えています。

【梅里臨時委員】  E−ディフェンスのメンテナンスは大分お金がかかっているようなので、共同して維持するとか、もっと利用率を上げていくとかということを考える必要があるのではないかと思います。
 それから、すみません、もう1つ。原因発生分析の方なのですけれども、防災科学技術研究所で地殻の活動の評価とか予測研究といったものを挙げられているというふうに資料でいただいているのですけれども、産総研の方でも地質活断層情報の収集とか、そういう地形、地質学的な研究を行っておりますし、これは研究まで行かないのかと思いますが、国土地理院の方でGPSによる陸域地殻変動監視というようなことをやっているのですが、地殻の変動とか、そういったものに関して、それらの情報を統合的にというような形はどうなっているのですか。ばらばらにやっているのでしょうか。

【鈴木課長】  国土地理院の方はGPSを使って、地面がどれぐらい動いているかというのを見ています。それから、活断層の方は地質的に産総研が、御指摘のとおりなのですが、地震に関しましては、政府の特別の機関として地震調査研究推進本部というものが置かれておりまして、こちらの方で調査研究を一元的にデータも収集して評価したりとか、どんな研究が必要かという基本的な政策の方を決めて公表しております。
 それに従いまして、関係の機関が連携して取り組んでいるということになります。防災科学技術研究所は地震計を全国に設置いたしまして、地震波を使った解析をすることにより地震の発生を予測することを目指したメカニズム解明に関する研究をしております。

【梅里臨時委員】  予測の方はまたお尋ねしようと思っていたのですけれども。

【鈴木課長】  すみません。

【梅里臨時委員】  では、予測の方に行きますけれども、予測の方は、海底に関しては海洋研究開発機構ですか。こちらの海底地震に関する地震観測。それから気象庁も地震の観測、国立大学法人、それから民間のゼネコンも自分たちでつくった建物には地震計をつけていると思うのですけれども、こういう情報がみんなばらばらにとられているように感じているのですけれども、それをやはり一元統合的に活用するようなことに関してのお考えはいかがなのでしょうか。

【鈴木課長】  民間のビルについているものについてはちょっと別ですけれども、気象庁、防災科学技術研究所、それから海洋研究開発機構というようなところが取得した地震波等のデータは一元的に集約しまして、防災科学技術研究所から全国の大学の研究者とか、そういう方に、皆さんにオープンに提供して研究を進めていただけるようにしております。

【梅里臨時委員】  先ほどの地殻変動の話とか今の地震のデータだとか、この辺については防災科学技術研究所の方で、すべてほかの機関が行っているあるいは取得しているデータについても把握して、活用できる体制にあるというふうに理解してよろしいですか。

【鈴木課長】  はい。

【富田分科会長】  縣委員、どうぞ。

【縣臨時委員】  今梅里委員は貴研究所の研究内容を網羅的にお話しなられたのですが、私は土木研と建築研だけに限ってお教えいただきたいのです。前回地震研究等を5つの分野に分けた他の機関との関係という表をいただきました。これについて細かいデータをいただきたいのですが、まず、地震研究に土木研ないし建築研との関連が記述されていないのですが、専門外から見るとそうではなく何か関係があるのではないかということを教えていただきたい。今日ではなくて結構です。
 加えて、土砂、風水害等、後半の3つについては、国土交通省の両研究所の関係が出ているのですが、そこにおいて貴研究所がその分野でどれぐらいの予算を関連した部分として使っておられるか。それから、そこにどれだけの人員がかかわっていらっしゃるか。194名とおっしゃいましたね。それから非常勤の方もいらっしゃると思いますから、大変恐縮ですけれども、そういう数字を出していただけないかと思います。
 それから、実はこの前ワーキンググループで検討したときに、この表の中で、大変恐縮ですが、国立大学法人との関係についての記述が非常にずさんであるという感想を皆が抱きました。というのは、京都大学や東京大学の研究所ともっと細かく、どういう連関を持っておられるか。特に審議官はこの表の中でベースに大学の基礎研究があると書いておられるわけですから、特に両大学に限ってどういう連関をお持ちでいらっしゃるかということについて細かくお教えいただきたいと思います。
 それから、少し細かいことを3つぐらい伺います。地震、火山、風水害、雪氷という研究領域を1つにまとめられるということのようですが、それによって組織体制はどういう形になるのかということ。その場合に人員の配置や効率化ということはどういう方針をお持ちかということでございます。
 それから、神戸の地震防災フロンティア研究センターを廃止されるということですが、これはある程度対社会的にシンボリックな意味をお持ちで設置されたと思うのですが、それを廃止される理由は何か。それによって間接部門の効率化というものはどういう見通しでいらっしゃるかということです。
 最後は、もう1つ、土木研の方に戻りますが、土木研には雪崩・地すべり研究センターというものがあるということですが、防災科学技術研究所にも雪氷関係のセンターがございますね。ここの2つの役割の違いというのはどのように認識されているか。それから、貴研究所として長岡と新庄に2つお持ちであるということの意味はどういうことか。
 たくさん申しましたけれども、現時点で可能な限りお答えいただいて、難しければ書面でお願いいたします。

【富田分科会長】  はい。

【鈴木課長】  すみません。基本的には書面でお出しさせていただきたいと思います。2つ3つだけ。神戸のフロンティア研究センターを閉めるのについては、当然ながら、まず、借料として部屋の借料等は金額的には減るということは1,000万円程度というふうに試算しておりますけれども、人員とかについては、現段階では持ち合わせておりません。
 それから、土木研の雪崩・地すべり研究センターとの仕分けのお話ですけれども、私どもの雪氷防災研究センターはメカニズムの解明を基本的にはしている部分がありまして、雪が降ってから雪崩が起きるまでとか、着氷はどうやってするのかとか、そういうメカニズムの解明から防止へつながるということで、土木研究所は直接的に雪崩の発生からその後の対策工事をどういうふうにやるのが効率的かというようなことで実証されているというふうに認識はしております。
 それから、新庄と長岡の違いですけれども、この両方は実は設置場所、それから雪の質が違っておりまして、そういう点では盆地から山岳にかけてのところを新庄が担当というか、そういう雪質のところの担当をしておりまして、長岡の方はもう少し海寄りで、もっと重たい雪の関係でなっていまして、そういう研究所の役割の分担をもって両方は活動しているということです。
 残りのところにつきましては、資料でお出しさせていただきたいと思います。

【富田分科会長】  はい、ほかにいかがでしょうか。河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  防災科学技術研究所は地震、火山、気象、氷雪等の災害等を対象とするということなのですが、温暖化対策が十分でないとすると、気候変動とか海面上昇に伴う防災現象が起こる可能性が考えられます。この点について、温暖化に対応する防災面ですか、これについては国立環境研との連携とか、そういうことについてやっているのかどうか。あるいは独自に温暖化対策がうまくいかなかった場合の防災現象、これもやはり土木関係の話に関連してくるところがあるかと思いますが、その辺の対策についてお考えをお聞かせ願えればと思います。

【鈴木課長】  現状、そういう点では気候変動では特にゲリラ豪雨の細かい把握で、MPレーダを使った観測、それから早くの予測というところが、そういう点では防災科学技術研究所が取り組んでいる研究になります。全体的な大きな気候変動との関連については、現在直接的にはありませんけれども、そういう点では今後関連づけた研究というものはあり得るのだというふうには考えています。現状は今ちょっと直接的にはわかりません。

【河野臨時委員】  特に国立環境研等とは協力してやっているということではない。

【鈴木課長】  すみません。現状ではございません。

【富田分科会長】  ほかにいかがでしょうか。河村委員、どうぞ。

【河村臨時委員】  すみません、資料2ページ目のところで、防災科学技術研究所、様々な省の様々な分野と深く関わりを持っていらっしゃると思いますけれども、これらの本省なり、それからその傘下による独立行政法人の場合があると思いますけれども、こういった成果の活用をするとか、場合によっては共同研究とされていることもあるのかと思いますけれども、ここに挙げられているそれぞれについて、どのような形で日常の情報交換なり、共同の枠組みを持っていらっしゃるか、何か定期的な仕掛けのようなものを持っていらっしゃるかどうかとか、どのようなやり方で連携を図っていらっしゃるか、それぞれについてお教えいただければと思います。

【鈴木課長】  それぞれの研究機関なり省庁と定期的にという点では、ちょっと研究所自体としては定期的にというものはそういう点ではありません。通常研究者同士の、例えば学会等を通じたというものはありますけれども、省庁とか研究所とのはありません。
 ただ、こういう研究があって、現在進んでいて、こんな形で使えるのではないかというような情報提供ないしはそれぞれ関連があるところへの御説明にお伺いしたりとか、そういうような形の中から、そういう点ではうまく受け渡しがいってきているものというふうに思っています。

【河村臨時委員】  確かにいろいろな制約とかもおありになるのかとは思うのですけれども、我々の目からすると、同じ政府の中のいろいろな役所なり研究所なりだということだと思いますので、やはり研究者それぞれのご専門の分野があって、個人的なネットワークは当然おありだとは思うのですが、そういうレベルにとどまらず、更にその成果を広く活用できるような仕掛けを研究所としても何か工夫されてもいいのではないでしょうか。

【鈴木課長】  そういうものもありまして、アウトリーチ・国際研究推進センターというような形で、そういう情報発信なり、一緒に組んでいけるような方にうまく情報提供していくためのものも、こちら側のポンチ絵では省きましたけれども、中の方に入れてございます。

【富田分科会長】  今日のところは大体よろしいでしょうか。
 それでは、本日は時間の都合もありますので、防災科学技術研究所につきましてはここでいったん議論を打ち切らせていただきます。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力賜りありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえながら、今後主要な事務、事業の見直しに関する審議を更に深めてまいりたいと思いますので、御協力引き続きよろしくお願いいたします。また、本日は時間の関係で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合は、後日事務局を通じて照会したり、必要に応じ、ワーキンググループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には、御多用方、何とぞよろしくお願いいたします。
 文部科学省の皆様方には大変ありがとうございました。


(文部科学省 退席)


【富田分科会長】  以上で本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。
 最後に事務局から報告、連絡事項がありますのでお願いいたします。

【横山評価監視官】  6回にわたってヒアリング、議論いただきまして、どうもありがとうございます。今後は各ワーキングにおきまして、勧告の方向性を議論していただきたいと考えております。その上で、11月に予定しております分科会におきまして議論していただきたいと考えております。11月と申し上げましたが、次回の分科会につきましては、委員の皆様方の御都合をお聞きしまして、日時、場所を連絡させていただこうと思います。どうかよろしくお願いします。

【富田分科会長】  皆さん、御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席を賜りありがとうございました。


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