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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(12月22日開催)議事録

日時

平成22年12月22日(水)10時00分から12時00分まで

場所

中央合同庁舎第2号館10階 総務省第1会議室

出席者

(委員)
岡素之委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理(※)、黒田玲子委員(※)、森泉陽子委員、浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、岡本義朗(※)、梶川融(※)、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二(※)、鈴木豊、木佳子、田渕雪子(※)、野口貴公美(※)、宮本幸始、山本清(※)の各臨時委員
(※)を付した委員は審議の一部に参画していない。

(総務省)
田中順一行政評価局長、宮島守男大臣官房審議官、讃岐建行政評価局総務課長、城代充郎政策評価審議室長、横山均評価監視官、平池栄一評価監視官、高橋巧調査官、平野誠調査官、萬谷優人調査官

議題

<政策評価・独立行政法人評価委員会>
(1) 平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)について
<独立行政法人評価分科会>
(1) 役員の退職金に係る業績勘案率(案)について
(2) 報告事項(平成21年度版独立行政法人評価年報について 他)

配布資料

会議経過

【岡委員長】  時間になりましたので、ただ今から第57回政策評価・独立行政法人評価委員会を開会いたします。
 本日は、独立行政法人評価分科会と合同で、「平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)」について御審議・御議決いただきたいと思います。
 審議に先立ちまして、委員の皆様方には、御多忙の中、精力的に評価作業に取り組んでいただきましたことについて、心から感謝申し上げます。
 それでは、富田分科会長に議事進行役をお渡しいたします。お願いいたします。

【富田分科会長】  「平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)」について、審議に入りたいと思います。
 初めに、事務局より「評価の結果等についての意見(案)」について一括して説明していただきます。

【平池評価監視官】  それでは、事務局より御説明させていただきます。
 お手元にあります資料1「平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)概要」に沿って御説明いたします。
 まず1ページでございます。今回、各先生方に御議論いただきまして、二次評価についての指摘事項は203事項盛り込まれております。二次評価に当たりましては、(1)にありますように、例えば、評価の視点として、「評価の結果が国民に分かりやすいものになっているか。効率性・生産性の向上等の視点に立った評価が行われているか」など、そのような観点で従来から評価を行っていただいたところでございます。
 ただ、今年につきましては、(2)今年度の重要事項といたしまして、保有資産、内部統制につきましては、i)不要資産の国庫納付等について定めた独立行政法人通則法が一部改正されたこと、ii)「独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会」の報告書が公表されたことを背景に、今回の年度評価において重要事項として位置付けて、各府省の評価委員会に対して共通的に指摘を行っているところでございます。
 では、意見の概要に参ります。2ページを御覧ください。
 まず、意見の概要といたしまして、共通意見のうちの「保有資産の見直し」でございます。上の枠の中に「二次評価で把握した実態」というところがございます。評価に先立ちまして、事務局の方でいろいろ実態を把握いたしました。そこでは職員宿舎の入居が低調な法人が5法人あったとか、利用率が低調な宿泊施設、教育研究施設等が8法人9施設あったとか、未利用地、遊休施設等が10法人36カ所あった等々、こういう事例が洗い出されたところでございます。
 これらの事例につきましては、先月御議論いただきました勧告の方向性におきまして、廃止、国庫納付、共用化等の指摘をしていただきまして、方向付けがなされたところでございます。
 それから、勧告の方向性の対象ではない法人につきましても、行政刷新会議との連携の一環といたしまして、個別の状況を刷新会議の方に提供いたしまして、刷新会議の方で今月7日に閣議決定いたしました「見直しの基本方針」に盛り込みまして、個々の施設ごとに、廃止、国庫納付、共用化等という指摘がなされたところでございます。
 年度評価の意見といたしましては、今後、こういう問題事例に対して、廃止、国庫納付、共用化等の方向付けがなされましたので、こういう取組が独法によって着実に実施されるかどうかという視点から、各府省評価委員会が評価することは必要であると、このような意見を述べておるところでございます。
 下の※でございます。これらのほか、保有資産の中の知的財産についても検討いたしております。知的財産につきましては、府省評価委員会で、例えば、見直し状況が明らかでない法人について評価していない事例があったりするものですから、こういうところはきちんと見直しの適切性を評価しろと、このような意見を言っているところでございます。
 このようなことを受けまして、(2)でございます。こういった独法の保有資産に関する見直しの取組、それから、指摘されていないものについても不断の見直しが必要だということが閣議決定されております。このような観点から、独法による資産の見直し状況を国民にオープンにする方策の検討と、それから、その厳格なチェックを行うための枠組みの整備が必要ではないかということを委員会として提言いたしまして、それを政府として取り組んでほしいという提言を盛り込ませていただいております。
 続きまして、3ページ、内部統制に関してでございます。内部統制につきましては、今年3月に内部統制の研究会、こちらは樫谷分科会長代理に座長を務めていただきまして、また、岡委員長の御尽力で住友商事さんに御協力いただきまして、研究会の報告を取りまとめさせていただきました。ここで、独法の内部統制とは、「中期目標に基づき法令等を遵守しつつ業務を行い、独立行政法人のミッションを有効かつ効率的に果たすため、法人の長が法人の組織内に整備・運用する仕組み」というような定義付けがなされているところでございます。
 この研究会報告を受けまして、2つ目の枠の中の3つ目の丸です。今回は、内部統制を整備・運用する立場にある法人の長のマネジメント等に着目して年度評価の検討を行ってまいりました。例えば、リーダーシップを発揮できる環境が整備されているかどうか。それから、内部統制の現状・課題の把握とその対応が的確に行われているかという点から検討をしてまいりました。
 府省評価委員会の評価結果の中には、取組の検証が十分に行われていないものが見られる。例えば、委員会の設置や規程の整備等をもって内部統制が適切であると評価しているものや、課題の指摘が抽象的となっているものなど、取組の検証が十分ではないのではないかという評価がございました。
 このようなことを受けまして、今回の意見といたしましては、下の枠でございます。
 内部統制の充実・強化に向けた課題等を府省評価委員会として積極的に指摘しなさいという意見を述べているのが1つ。そして、2つ目として、積極的に指摘するに当たっては、参考になるような取組を府省評価委員会や法人の中でも、よくやっている推奨事例というのがございますので、今回、こういうものを参考に提示いたしました。まさに、各府省評価委員会はこういうものを参考にしながら、積極的に取り組んでほしいという趣旨でございます。
 例えば、府省評価委員会の取組の推奨事例といたしましては、外務省の評価委員会が審議実績のない業務実施監理委員会の在り方を再検討すべきとの指摘を行っておりますし、文科省の評価委員会では、マネジメント等に関する方針や仕組みは整備されているが、実行面が不十分という突っ込んだ指摘も行われております。
 また、法人の取組の推奨例といたしましては、例えば、職員アンケートを実施して、「運営方針」の各職員への浸透度をフォローアップしている法人でありますとか、理事長を含めた役員が、現場事務所職員一人一人からヒアリングを実施しているような法人もございます。こういうものも参考にしながら、今後、よりよい内部統制の充実強化に取り組んでいってほしいというような指摘をしております。
 以上が共通事項であります保有資産と内部統制の説明でございます。
 続きまして、4ページ、(2)府省評価委員会に対する個別意見です。この個別意見というのは、合計60項目について指摘を行っております。従来、4本で柱立てておりますが、1番目といたしましては、評価の理由・根拠についての説明が不明確であるので、もっと分かりやすい評価を行うべきであるという意見をしているところであります。2番目といたしまして、もっと効率性・生産性の向上の視点等に立った業務運営の改善等を促すような評価をすべきというような意見をしております。その他にも、既往の勧告の方向性、政府の方針等で指摘した事項の取組状況に係る評価をしっかりやりなさいという意見とか、例えば、昨年、契約につきましては年度評価でいろいろ指摘したところでございますが、それについてのフォローアップ等々、的確な評価を行うべきという意見を述べさせていただいているところでございます。
 個別の事例について、5ページ以降から御説明いたします。

【横山評価監視官】  意見の具体例です。
 5ページ、平和祈念事業特別基金です。
 評定理由としては、根拠の説明が不明確・不十分であるので、分かりやすい評価が必要であるというものです。左側に各府省の評価委員会の評価結果、右側の欄に政独委の二次評価意見を書いております。
 総務省評価委員会の評価結果ですが、インターネット資料館の構築とありまして、これはシベリア抑留者や引揚者の体験談を電子データ化システムで構築するものです。
 評価がAAということで目標を大幅に上回って達成しています。
 「二次評価意見」の真ん中あたりを見ていただきますと、総務省評価委員会では、大変有意義なシステムであり、大きな成果であるとしています。
 しかし、当政独委としては、なぜこれが大きく目標を上回ったのかが十分に説明されているとは言えないということで、今後の評価に当たっては、最上級の評価を付すに当たっては、その目標に対して具体的に何が大きく上回ったのかを明らかにすべきであるという指摘をさせていただいております。
 6ページ、水産大学校です。評定理由としては、根拠等が不明確で、正確性に欠ける評価がされているので、厳格な評価が必要であるというものであります。
 評定がAということで、業務が順調に進捗しているとしております。本科と専攻科、研究科、こうした3つの科ごとに、水産業あるいはその関連分野に75%以上就職するという目標にしております。しかしながら、個別に科ごとについて見ていただきますと、二次評価意見の第1段落の末尾ですが、平成21年度の専攻科における就職割合は71.4%であったということで、目標を達成していないということになります。したがって、今後の評価に当たっては、厳格に評価を行っていただきたいという指摘であります。
 7ページ、農畜産業振興機構です。
 評価はAということで、砂糖勘定について評価しているものであります。2段落目を見ていただきますと、砂糖勘定を運用するに当たって、短期借入金について低利で実現をしているということでA評価をつけているということであります。しかしながら、政独委の二次評価意見の最初のところを見ていただきますと、砂糖勘定というのは海外から輸入する砂糖にかける調整金を利用しまして、さとうきび生産者等に交付金を支払っているというものであります。これは構造的に赤字を生む仕組みになっていまして、累積欠損金が平成21年度末で約706.8億円にも達しておりますと。こうしたことから、欠損金解消に向けた原因や問題分析について評価が必要であるという指摘をさせていただいております。
 次に、8ページ、情報処理推進機構です。
 評価結果について、説明が不明確・不十分であるので、分かりやすい評価が必要であるというものです。評価がBということで、概ね中期計画を達成しているというものであります。この法人は、平成21年度計画において、自己収入を拡大するという目標を立てています。ただ、各個別の項目について見ますと、二次評価意見の真ん中あたりですが、暗号モジュール試験認証手数料というものがありまして、この収入が20年度に比べて97%も減少しています。したがいまして、今後の評価においてはこうした実績も踏まえて評価を行うべきであるという指摘をさせていただいております。

【平池評価監視官】  続きまして、9ページ、国立女性教育会館でございます。この法人の評価項目として、研究成果の提供というのがあるのですが、調査研究の成果として作成した「男女共同参画データブック2009」について、リーフレットの作成とか、メール配信を行ったこと等の提供実績でS評定ということになっておりますが、提供するだけではなくて、どのように活用されたかということをもっと具体的に示すべきではないかという質的活用状況を具体的に明らかにした上で評価を行うべきという意見でございます。
 続きまして、10ページ、自動車事故対策機構でございます。この法人は交通遺児の生活資金の貸付業務を行っております。この貸付業務のうち、貸倒懸念債権が中期目標期間の3年間、増加する一方だという状況であるにもかかわらず、評価結果がほぼ同じなので、もっと具体的な改善方法を検討するよう評価において法人に促すべきと、このような指摘を行っているところでございます。
 11ページ、医薬品医療機器総合機構でございます。この法人は救済給付の請求から支給・不支給決定という審査業務を行っているのですが、この事務処理期間を中期計画では「平成25年度までに各年度に支給・不支給決定した全決定件数のうち、60%以上を6か月以内に処理」と、このような目標を掲げております。ところが、今回の年度評価の評価結果を見ますと、8か月以内の処理目標が70%以上であると。これに関して実績は74%だったということで、A評定になっているのですが、真ん中の「しかしながら」のところですが、中期計画、60%以上を6か月以内という中期計画の対比で見れば、結局、6か月以内の処理件数は36%と。中期計画の60%と大きな乖離がございます。これでは中期計画を上回っているという評定には疑問がありますので、もっと厳格に評価しなさいと、このような意見でございます。
 続きまして、12ページ、高齢・障害者雇用支援機構でございます。この法人につきましては、地方の各都道府県に雇用開発協会という公益法人がございまして、ここに事務を委託しております。ところが、この委託について、一般競争入札について少し不適切な面があったということで、もう1回やり直せというふうに当時の長妻厚生労働大臣から指示がございまして、結局、9道県については応札者が無かったので、これは法人自ら実施すると。この同じ業務は23年度からは全て「法人自ら直接実施する」ということが決まったところでございます。こういう意味では、9道県の先行取組を通じて得られた知識、経験は23年度からの全国実施に当たって業務の実施方法等に的確に反映しなければいけない、職員に周知徹底することが必要である、したがいまして、次年度の評価に当たりましては、こういう観点から厳格に評価を行うべきだと、このような指摘をさせていただいております。

【横山評価監視官】  13ページ、石油天然ガス・金属鉱物資源機構です。
 この法人につきましては、独法としてコンプライアンスの認識が浸透しているという評価をしております。御存知のように、この独法の元職員が資源探査船の調査要員の採用に絡んで、2,900万円の賄賂を受け取るという事件が起きました。政独委の意見としましては、こうした事件を踏まえて、内部統制システムについて厳格な評価を行うべきであるという指摘をさせていただいております。
 次に、国際協力機構、14ページです。右側の二次評価意見のところを見ていただきますと、平成18年の勧告の方向性において、国際協力機構については国内人員から在外へのシフトを行う、在外を強化するという指摘をしたところであります。しかしながら、左下の表を見ていただきますと、国内の人員については870人から1,251人と増えている一方、在外の人員が456人から413人と減少しているということであります。こうしたことからしまして、勧告の方向性を踏まえて、在外事務所の定員数の適切性について評価を行っていただきたいという指摘であります。
 次に、15ページです。環境再生保全機構です。ここについては、環境再生保全機構の調査研究費の委託につきまして、和歌山県立医大の研究員が395万円について、他の研究の物品に流用した、さらに、虚偽の報告書まで作るという事案が発生しました。これを会計検査院から不当事項として指摘されたわけであります。政独委の意見としては、今後の評価に当たっては、再発防止策について適正な運用が行われるように、厳格な評価を行っていただきたいという指摘であります。

【平池評価監視官】  続きまして、16ページの国立公文書館でございます。この法人につきましては、公文書管理法という新しい法律が制定されまして、結構事業量が増大するということになっております。昨年の勧告の方向性で、公文書管理法が施行されるまでに、新しい業務が追加されるので、その一方で既存の事務事業は従来の業務フローや事務処理手順を洗い出し、外部委託や賃金職員の活用による効率化、合理化の視点を入れて、無駄がないか徹底的な見直しを行うという指摘を勧告の方向性でしたところでございます。
 ただ、この点の評価がきちんとなされていないということでありますので、もっとここを厳格に評価しなさいと、このような指摘を行っております。
 続きまして、17ページです。日本原子力研究開発機構でございます。この法人につきましても、昨年の勧告の方向性において、展示施設の効率的な運営に関しまして平成21年度のアクションプランにおいて、経費の削減目標や入館者の目標数が20年度のアクションプランを下回っているという状況が見られたことから、目標設定を含めて、アクションプランをもっと見直す必要があるのではないかと、このような指摘をしたところでございます。
 ところが、今回の評価結果におきましては、第2期中期目標期間のアクションプランをどのように策定したのかが明らかになっていないことからその適切性を明らかにした上で評価をきちんと行いなさいという指摘でございます。
 18ページ、空港周辺整備機構でございます。これは昨年度、契約事務手続に関して年度評価で共通的に評価いたしまして、そのフォローアップでございます。点線の枠囲みでございますが、昨年度も空港周辺整備機構につきましては、審査体制が契約の適正性確保の観点から有効に機能しているかどうか検証しなさいと、このような指摘を行っておりました。ただ、本年度の評価におきましても、この辺につきまして、きちんと言及されていないというような状況でございましたので、改めて、もっと適正性確保の観点からきちんと検証して評価しなさいと、このような指摘をしています。
 続きまして、19ページ、これは国立大学法人・大学共同利用機関法人に対する意見でございます。国立大学法人につきましては、第2期中期目標期間におきまして、法人の運営改善に資するよう、経営協議会における運用の工夫改善や意見の内容及びその法人運営への反映状況などの情報の公表等により、学外者の意見の一層の活用を図るということが定められております。その点は取り組んでいる法人もあるのですけれども、そうでない法人もあるということで、今後の評価に当たっては、平成22年度から第2期中期目標期間に入りますので、経営協議会が期待する役割を十分に発揮し、その意見が法人運営に適切に反映されているかどうか明らかにする観点から、公表が行われていない法人につきましては、課題として評価結果等に記載するなど、厳格な運用に努めるべきだという厳しめの意見を指摘しているところでございます。
 以上が主な個別意見の概要でございます。
 21ページを御覧いただけますでしょうか。今まで、こういうところはよくない、改善すべきだという指摘でございますが、一方で、中には、意欲的に取り組んでいるという事例も法人や評価委員会に見られたものですから、まさにこれは積極的に挙げていって、ほかの法人や評価委員会は参考にしなさいという意味も込めまして、意欲的な推奨事例を掲げさせていただいております。
 まず、物質・材料研究機構でございます。この法人は研究者の半数が海外出身であるという特色がございます。そういう特色を踏まえて45歳以下の事務職員、これは研究職員ではなく事務職員も英語ができなければいけないということで、TOEICスコアを500点以上獲得するという目標を掲げまして、研修プログラムの導入や、職員の能力向上や人材育成に取り組んでいます。
 次、電子航法研究所でございます。
 この法人は、知的財産に係る管理体制の強化に取り組んでいます。100ぐらい特許権を持っていて、独法の中では多い部類に入ります。この管理体制を強化すべしということで、知的財産に係る自己収入増加を目指すと。
 i)専属の担当者を定める、ii)1件毎に整理してデータベース化とか、iii)外部専門家の方々とコンサルティング契約を締結して、組織体制も強化するという取組を行っているところでございます。
 それから、意欲的な取組事例として、22ページ、府省評価委員会の評価業務でございます。
 まず、内閣府の評価委員会であります。内閣府所管の沖縄科学技術研究基盤整備機構につきましては、平成21年度に大幅な予算超過問題を起こしております。これに対しまして、この評価委員会は理事長、理事、監事に全くなっていないという非常に厳しい意見を行っております。厳しい指摘をした上で、機構に対して具体的な対応策を示して改善を促しているところでございます。
 次に、文科省の科学技術振興機構は、事業仕分けの第1弾、第2弾で対象となった法人ですが、事業仕分け結果と法人の対応方針、対応状況を一覧表に整理したり、独法の横断的見直しの取組状況につきましても一覧表に整理したりしています。こういう資料を評価結果とともに公表して国民にオープンにし、そういう形で法人の対応状況を紹介している、このような評価を行っているところでございます。
 以上が意欲的な取組事例として掲げさせていただいているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、御意見・御質問等ございましたら、どなたからでもお願いいたします。いかがでございましょうか。
 御意見・御質問等はございませんでしょうか。
 なければ、次に進ませていただきたいと思います。
 それでは、大体よろしいということでございまして、ここで岡委員長に議事進行役をお返しいたします。


○政策評価・独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価分科会との合同)

【岡委員長】  ありがとうございました。
 ただ今、「平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見(案)」について審議されました。
 本件について、お諮りしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。
 政策評価・独立行政法人評価委員会及び独立行政法人評価分科会として、本案のとおり決定するということでよろしいですか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。
 本件につきましては、案のとおり委員会の決定とし、関係独立行政法人評価委員会等の委員長あてに通知することといたします。
 なお、公表、事後の事務的な処理につきましては、富田分科会長と御相談の上、対応させていただくことでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岡委員長】  ありがとうございます。
 それでは、そのように取り扱わせていただきます。
 最後に、何か御意見はございますか。
 どうぞ。

【河村臨時委員】  今の年度評価の件ではなくて、前回の分科会で審議されました事務事業の見直しの件で一つ、発言させていただいてもよろしいでしょうか。

【岡委員長】  どうぞ。

【河村臨時委員】  前回の分科会で審議された、今年度末に中期目標期間が終了する独法の事務・事業の見直しについて、勧告の方向性をこの分科会、そして、政独委で決定しましたが、その後の動きを拝見しておりまして非常に気になるというか、当分科会といいますか、委員会として注意して見るべきではないかという法人が一つあるものですから、今日、ここで発言させていただければと思います。
 私は国土交通省所管法人を担当する第4ワーキンググループに入れていただいておりまして、今日、申し上げたいのは国土交通省所管法人の航空大学校についてです。
 例年どおりの手続に沿って勧告の方向性が出ます。それに対応するような形で、各主務省の主務大臣のお名前での見直し案をこの時期にお出しになられると思うのです。この「見直し(案)」というのは、あくまで、国土交通大臣がお作りになるもので、政独委の側からどうのということを言うものではないし、それは私もよく承知しております。ただ、私もこの独法の評価に7年間ほど関わらせていただいているのですけれども、この見直しというのは、我々の勧告の方向性を踏まえたものになっているのがいつもの例であると。今回、何が問題かといいますと、勧告の方向性を踏まえたものになっていない部分がございます。それは、今回の見直しについて議論した中で重要な論点であった部分について、私には一方的のように見えますけれども、我々の主張として勧告の方向性で御理解いただいたはずであるにもかかわらず、一方的に戻されるような部分があるということで、今日はそれを申し上げさせていただきたいと思います。
 もちろん、これはあくまでも国土交通省で今の段階でお作りになるものであり、ほかの省庁でも主務大臣がお作りになるもので、これについてどうのこうのと言う立場ではない。一番大事なのは、2月、次期の中期目標、中期計画がどういう形で出てくるかということだろうと思います。ただ、この段階で勧告の方向性どおりになっていないものというのは、私、7年間やらせていただいて、国土交通省所管の法人に限らず、こういうふうになっている例は正直言って見たことがない。どこが問題かと申しますと、別に、一字一句直してはいけないとかいうことを言うつもりはなくて、同じ国土交通省の法人の中で研究開発法人の土木研究所とかで、頭書きのところで、研究業務の重点化というときに、「国土交通省所管の独法及び関連する研究機関の業務について、その在り方を検討するものとする」となっていたところに、例えば、「独立行政法人全体の見直しの議論等を通じ」というワンフレーズが入るとか、そういうものについてどうのこうの言うつもりは全然ないのです。ところが、この航空大学校については、「独立行政法人化以降に航空大学校の卒業生を採用した実績のある国内」というところが除かれています。これは見直しのときの議論の経緯、分科会でも議論をさせていただいて、私からも質問させていただきましたので御記憶の方もおありかと思うのですが、航空大学校はどうやって運営しているかというと、国費と学生さんの授業料、それ以外に受益者負担ということで、甚だ不透明で、なおかつ、決して公平な形ではないのですが、一部の民間エアラインからの負担という形で運営しています。
 でも、それは非常に問題ではないか。国の教育機関でありながら、受益者負担を求めるときに、取るところと、取らないところがあるというのはおかしいのではないかと、それは分科会のときにも議論をさせていただいたところです。航操振(社団法人 航空機操縦士養成振興協会)の会員になっている民間エアライン5社しかお金を負担していない。そこが機材を提供する形で受益者負担をしている。負担しているところはエアーニッポン、全日本空輸、日本貨物航空、日本航空インターナショナル、日本トランスオーシャン航空、以上だけです。と申し上げると、皆さん、委員の方々は、「ああ、どこが負担していないのだな」ということはすぐにお分かりになると思います。そういうのは、やはりよくないのではないかということで、9月の分科会のときにも議論させていただいていますし、その前の段階の7月のワーキンググループのヒアリングのときにも議論させていただいています。
 いろいろ伺っているところによりますと、5月の事業仕分けのときにも受益者負担については指摘を受けていると聞いています。
 にもかかわらず、その後、勧告の方向性を出す中で、我々も、どこもそうだと思いますが、一方的に自分たちの見方だけを押しつけて勧告の方向性を決めるということはしておりませんで、きちんとヒアリングも行い、事務局経由でいろいろなやりとりもしていただき、それで最終的にどういう形での見直しの方向にするかということを決めているわけです。それで案文も決めてこういう形になりました。
 そのときの経緯を申し上げると、最初、私たちは「国内全航空会社間の負担が公平となるような」という表現としてはどうかということを申し上げました。そのときに国土交通省側から、「国内全航空会社間」とすると、航空大学校が独法化される前の段階も入ってしまって、それはできないので、「独法化以降に航空大学校の卒業生を採用した実績のある国内航空会社」ということにしたいのでということで、「全」という言葉は取ってほしいというお話がありました。それでこういう形になりました。
 にもかかわらず、今回の主務大臣がお作りになられた「見直し(案)」のところでこういう形になっている。そのとおりに読みますと「そのため、航空会社間の負担が公平なものとなるような受益者負担の仕組みの導入を図るものとする」。
 私は正直申し上げて、この文面だと後退だなと思っています。こういう対応というのは、ほかの法人、ないしはほかの省でやられたことは正直ないのではないかと思います。確かに、今の段階というのは、政独委としてどうのという段階ではないと思うのですが、この件が2月に中期目標、中期計画をお作りになられる段階で、どういうふうに反映されることになるのかということを当分科会、委員会として注意して見ていく必要があるのではないかと。
 正直申し上げて、場合によって、今の段階で大臣がお作りになられているような文言になってしまって、本当にきちんと公平な負担が行われない結果になるようなことになれば、当委員会として前例はないと思いますけれども、これは勧告を発動して、実施することも視野に入れて検討すべき案件ではないのかなという気がしまして、発言をさせていただきました。
 以上でございます。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 これについて事務局、何かコメントございますか。

【平池評価監視官】  今の河村先生の御趣旨はごもっともだということで、今までも国交省に伝えてきておるところですが、まさに、今、河村委員のおっしゃった勧告も含めてという意味で、中期目標、中期計画の策定をある意味、政独委としてきちんと見ているぞ、場合によっては勧告もあるぞということを国交省の方にもお伝えした上で、引き続き、中期目標、中期計画の策定をきちんと見てまいりたいと考えております。

【田中行政評価局長】  今、担当の平池が申し上げたとおりなのですが、若干、河村委員のお話を解説させていただきたいと思います。
 当委員会で中期目標の見直しの時期に勧告の方向性を出していただきまして、それにつきまして、一昨年までは勧告の方向性に基づいて、各省の主務大臣が見直し案を作る際に、ある種、政治的なはめ込みのメカニズムがあったわけです。それが昨年からなくなりまして、昨年は政治的なはめ込みができる環境になかったのですが、結果として、勧告の方向性はすべて盛り込まれていたということであったかと思います。
 今の航空大学校の事案は、今年は政治的なコミットメントということであれば、行政刷新会議の一連の活動の中で指摘した事項につきまして、重複する部分につきましては、12月7日に既に閣議決定しているわけです。今、御指摘の部分は閣議決定対象事項ではなかったわけです。すなわち、当委員会のみが指摘していた事項でして、昨年から当委員会のみが言った事項についての、いわば政治的なはめ込みのメカニズムがない状態でございます。今、こんな状態が生じているということでございまして、具体的な取り扱いにつきましては、今、平池が申し上げたとおりでございまして、3月までの間によく状況を見て、また改めて御相談したいと思います。
 以上です。

【岡委員長】  河村さんよろしいですか。
 そのほか、何か御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。
 では、今の件は、事務局からもありましたように、きちんとフォローしていくということで見ていきたいと思います。
 それでは、最後に本委員会の任期も終わりに近づいておりまして、今回がこのメンバーでは最後の開催になろうかと思います。
 富田分科会長及び樫谷分科会長代理におかれましては、制度発足以降、10年間にわたって独立行政法人評価分科会の分科会長及び分科会長代理として御活躍いただきましたが、来年1月をもって御退任されると伺っております。この後、引き続き分科会が開催されますが、委員会の最後ということで一言、御挨拶を賜えればと存じます。
 それでは、まず、富田分科会長、続いて、樫谷分科会長代理にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 今から10年前に、当時の塚本行政評価局長、そして、村松審議官、今の讃岐総務課長、当時の企画官が大手町の私のオフィスに見えまして、分科会長をお願いしたいとのことでした。
 私は当該分野というか、行政の分野は全くの門外漢でありまして、加えて、独法制度について非常に大きな疑問を持っておりました。その点を次のように申し上げました。
 第1に、予算制約のもとで最適化を図るというのが経済学でありますが、予算の事前統制を弱め、事後統制を強化するという独法制度の考え方は根本から疑わしいのではないか。
 第2に、運営費交付金、中期目標期間という独法制度の考え方は憲法第86条の単年度予算の原則、つまり、民主主義によります財政統制の観点からしても、疑問なしとしない。  このように独法は、そもそも資源配分は市場と政治によって行われるという原則を逸脱するという原罪、オリジナル・シンを抱えていると考えていたわけでございます。それにもかかわらず、独法についての法律ができたのでありますから、事後評価を厳しく徹底することで経済学や財政学が投げかけている根本問題をどこまで是正できるか、パリサイ人の立法便宜主義――僕はクリスチャンではないのですけれども、大体こういう言い方をするわけです。立法の便宜主義や手続の至上主義といったものに陥るのではなくて、絶えず問題の根源に遡って頑張るしかない。こう行政評価局の方々に申し上げました。それでもということであったのでお引き受けいたしました。
 その後、10年の経験を凝縮して申し上げますと、第1に、どこかの独法で今も不祥事が散発いたすのでありますけれども、不祥事が発生すると胸が痛みました。その原因が属人的なことなのか、組織制度に由来することなのかということが大切であるんですけれども、こうしたことが起こりますと、政治においては、かつての特殊法人と同様に、独立行政法人悪玉論というのが台頭いたしまして、絶えず、廃止、民営化という組織見直しが進められてきました。
 こうした中におきまして、政独委では各独法が行っております主要な事務・事業の事後評価を通じた見直しを地道に、粛々と行ってまいったと思っております。
 次に、事業を主管する主務省との間の情報の非対称という、事後評価を行う立場としては越えがたい情報の非対称の問題がございます。ときには、一次評価委員会の方々より、素人が何を言うかということを言われながらも、我々としては、一次評価が陥りがちなお手盛りの評価といったことを様々例示しつつ、国民目線から主務省に説明責任を求めてまいりました。こうした皆様の御努力で特殊法人時代の問題の多くが克服でき、事後評価のノウハウも蓄積が進んできたと思います。
 今後の独法制度につきましては、評価制度を一元化しようという動きと、一次評価を中心にすべきであるという動きがせめぎ合うことになろうかと思いますが、先ほど、最初に申し上げましたとおり、中期目標期間という多年度で、運営費交付金という大くくり予算ということを前提にするのであれば、事後評価がお手盛りに陥らないように、二次評価をさらに厳しくする方向でなければならないと思います。
 この10年間、委員の皆様、そして、行政評価局の皆様と行政の透明性と効率に向け、真一文字に取り組むことができたと思います。何よりも、皆様と地道な評価作業を通じ、ときに欲求不満に陥るなど、多くの苦労を分かち合いつつも困難を乗り越えることができた建設的な10年間であったと感謝しております。
 ありがとうございました。(拍手)

【岡委員長】  樫谷先生、お願いします。

【樫谷分科会長代理】  ちょうど10年ということで、早いのか、遅いのかよくわかりませんが、10何年前でしたか、ここに岡本委員がいらっしゃいますが、岡本委員が中央省庁改革推進本部にいらっしゃったときに、独立行政法人というのができるのだと、そこで初めて独立行政法人という言葉を聞いたのですが、独立行政法人の会計は原則として、企業会計原則によるのだということが要綱に書いてある。ただ、パブリックセクターの方ですから、企業会計のことはよくわからない。一緒に議論してもらえないかという言葉がありまして、1年半か2年ぐらいかかって、当時の岡本企画官、参事官でしたでしょうかの言葉に乗せられながら、必死になって独立行政法人会計基準を、「ま、こんなもんでいいかな」と思いながら、初めての国の会計、公会計だったもので、作った途端にぼろくそに言われるんじゃないかなというふうに思いながら、不安を持ちながら作りました。その後も、こんな難しいものを作りやがってというような御批判も頂くのですけれども、あのときのビジネスモデルというのでしょうか、事業モデル、あるいは独立行政法人のモデルからいうと、あれが一番よかったのかなと思っております。その後、特殊法人などが参加し、大分ぐちゃぐちゃになりつつあるので、もう一度、会計基準そのものを大きく見直していただかなければいけないとは思っておりますが、会計に関与する仕事ができたということがまず一つ。
 もう一つは、私は会計士ではあるのですが、企業再生を20年以上やっておりまして、どうしてもそういう観点から、ビジネスモデルというのでしょうか、事業モデルという観点から、どういうやり方をやれば一番、有効かつ効率的に物事が進むのかという見方を常々、企業の方でしておりますので、パブリックセンターでも基本的には同じだろうと。つまり、数字で議論をしながら、有効かどうかというものを併せて検討していくということで、今年の3月、内部統制についても関与させていただくことができまして、非常に感謝しております。私がやったわけではなくて、委員の先生方や事務局の方が大変御苦労していただいて、あるいは岡委員長が会長であります住友商事さんにも本当に御協力いただいて、その御説明を聞いて、あっ、こうだというふうに瞬間的に思って、そのような形で整理させていただいたのを、半年ぐらい前なのですが、覚えております。
 いずれにしても、独立行政法人制度というのはよくこれだけたたかれるなと思うぐらいたたかれているのですが、10年間、周辺の方からですけれども、関与させていただいておりまして、そんなにひどい制度ではない、むしろいい制度であると思っております。
 中期の目標があり、年度計画があり、評価をし、もう一遍見直すというものはどうしても残さなければいけない制度だと思いますので、どんな形になろうと、独立行政法人という名前がどうなろうと、表現方法がどうなろうと、こういう仕組みは必ず入れていただかなければいけないと思っております。
 私の方はどちらかというと富田先生と違って、むしろ、事務局に御迷惑ばかりかけていたと思いますので、誠に申しわけないということでおわびをしなければいけないのですが、10年間、無事に務めさせていただいたということについて、大変感謝しております。
 また、委員の皆様方から、素晴らしい方ばかりなので、素晴らしい意見を聞かせていただいて、ああ、なるほどなと思うことばかりでした。
 事業再生ということで、自分の仕事にも随分生かすことができたということについても感謝いたしております。どうもありがとうございました。(拍手)

【岡委員長】  富田先生、樫谷先生、両先生には本当に長い間、御苦労さまでございました。二人の力で築き上げてきた独立行政法人の改善、改革に向けての基盤をぜひ生かして、今後とも我々は一つ一つの独立行政法人がより良い法人になるように尽力していきたいと思います。ぜひ、委員の皆様ともども、両先生に対する感謝の気持ちをもう一度表したいと思います。本当にありがとうございました。(拍手)
 それでは、田中局長の方からも一言、お願いいたします。

【田中行政評価局長】  ありがとうございます。
 のっけからおわびから入りまして大変恐縮ございますけれども、本日、片山大臣がぜひとも出席をということで予定をしていただいておりましたが、御案内のとおり予算編成で今、ちょうど地方財政の関係が山場に差しかかっておりまして、残念ながら御欠席でございます。皆様方にどうぞよろしくということでございましたので、お伝え申し上げます。
 改めまして、本日は「平成21年度における独立行政法人等の業務の実績に関する評価の結果等についての意見」をお取りまとめいただきまして、誠にありがとうございました。
 今期の委員会におきましては、独立行政法人につきまして、毎年度の業務実績評価に加えまして、中期目標期間終了時の主要な事務事業の見直しにおきまして、平成21年度及び22年度で合計50法人について精力的に御審議を賜りまして、勧告の方向性をお取りまとめいただきました。これに関連いたしまして、今月7日、各独立行政法人の事務・事業についての見直しの基本方針が閣議決定されたわけでございますけれども、先生方、岡委員長、それから、富田分科会長にお願いを申し上げまして、先生方には大変御無理を申しました。閣議決定に先立ちまして、委員会が示された勧告の方向性も御指摘していただきまして、行政刷新会議におきます検討に大いに活用されたところでございます。これに関連いたしまして、蓮舫大臣から片山大臣に対しまして協力の旨の感謝のお話がございましたことを御披露させていただきます。
 いずれにしましても、先ほどの河村委員の御指摘も含めまして、年度末までの間、ここで御指摘いただきました勧告の方向性の実現に向けて、事務局といたしましても、引き続き、フォローアップに精力的に活動いたしたいと思います。
 最後となりましたが、この2年間、政策評価及び独立行政法人評価委員会につきまして、いわば政府部内の政策評価あるいは独立行政法人評価の先導的役割、老舗といたしまして、多大な御尽力を賜りましたことにつきまして、改めまして、御礼を申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
 誠にありがとうございました。

【岡委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ここで政策評価・独立行政法人評価委員会については閉会することといたします。委員の皆様におかれましては、御多忙な中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございました。
 なお、ここで5分間の休憩をとりまして、11時から引き続き、政策評価・独立行政法人評価委員会の独立行政法人評価分科会を開催することといたします。
 後は富田分科会長に司会をお渡しいたします。
 どうもありがとうございました。

【富田分科会長】  では、11時から政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。以後の分科会につきましては、非公開となっておりますので、報道機関の方及び一般の傍聴者の方におかれましては、速やかに御退室願います。

(岡委員長退席)
(報道機関関係者、一般傍聴者退席)



○独立行政法人評価分科会

【富田分科会長】  それでは、11時になりましたので、これより政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 本日は、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省の各独立行政法人評価委員会から通知された「役員の退職金に係る業績勘案率(案)について」の審議を行います。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。

【高橋調査官】  資料は3−1でございます。総括表がついておりますが、今日、お出ししてあるのは全部で39法人、80人でございます。各ワーキングで業績勘案率についてチェック手順に従って御審議いただき、おおむね1.0で意見なしというものが大半ではございますが、事務局として幾つかコメントしておきたいものがありますので、それを御説明いたします。
 産業技術総合研究所の業績勘案率ですが、このうち理事長が1.0となっています。役員の個人業績で、この理事長は産総研ができ上がったときの初代の理事長でございます。当時、研究所等が16あったのですが、独法の立ち上げ、統合等々で尽力をしたということで、加算部分αとして0.1を見ています。ただ一方で、減算要因としてこの理事長が在籍中に、特許生物寄託センターにおける不適切な対応が発生したということがありました。この件に関しましては、当時の副理事長、担当の理事が3名ほどいたのですが、この3名も減算要因ということで、当時、こちらの分科会で議論して、0.9ということで通知しております。
 したがいまして、この理事長につきましては、先ほどの加算要因と減算要因を相殺して1.0ということになっておりまして、ワーキンググループでもここについて議論していただき、意見なしとしたいと考えております。
 産総研は以上です。

【平野調査官】  続きまして、通知された業績勘案率が1.0でない法人について説明させていただきます。
 住宅金融支援機構の副理事長1名及び監事1名の業績勘案率について御説明させていただきます。
 副理事長の在任期間は平成19年4月1日から21年7月27日までで、この間、機構のコンプライアンス総括担当としてコンプライアンスに取り組んでおりました。監事の在任期間は19年4月1日から21年7月31日までです。国土交通省評価委員会からは副理事長については0.9、監事については1.0と通知されてきております。
 まず、副理事長でございますが、法人業績については、依然として機構の主要業務である証券化支援業務の実績が計画を下回っているため、0.1の減算ということになるかと思います。
 個人業績につきましては、特段の加算、減算要因があるとは認められないということで、法人業績の0.1減算で、通知のあった業績勘案率0.9について意見はないというワーキングの結論になっております。
 監事につきましては、法人経営に直接関与していない監事の法人業績については、前回、7月の分科会において、同じく住金の監事につきまして、基本的な考え方が示され、了解を得られたところでございます。ここにおいては、「監事として求められると考えられる注意義務の励行や職責の遂行状況と業績不振に係る瑕疵の有無によって、業績勘案率への反映の要否を判断することが適切ではないか」とされております。
 本件の監事も、7月に議論していただいた監事とは4カ月しか違わず、7月の監事と同様に当該監事の職務遂行状況を見た上で、監事としての職務遂行状況を見ますと、「特に、監事監査報告において、証券化支援業務に係る改善点等の指摘も見られることから、業績不振に関する特段の作為又は不作為があったとは考えられず、業績不振に係る瑕疵はないと判断されること」ということで、「法人業績に関し、法人経営を担う副理事長については減算するにしても、監事については減算しないこととしたい」、これは7月の監事と同じでございます。
 個人業績については、特段の加算要因も減算要因もございませんので、第4ワーキングとしては、通知のあった業績勘案率(案)「1.0」については、意見はないということになっております。
 続きまして、物質・材料研究機構でございます。物質・材料研究機構の理事長1名、理事2名の業績勘案率について御説明させていただきます。理事長の在任期間は平成13年4月1日から21年6月31日まで、業績勘案率の算定期間は16年1月から21年6月までとなります。理事Aは研究者で、公募型研究への提案とか応募等を担当しております。在任期間は20年4月から22年3月までとなっています。
 理事Bですけれども、こちらは事務官の方で、在任期間は平成20年8月から22年3月までで、予算とか資金計画を担当されております。
 物質・材料研究機構の法人業績でございますけれども、毎年度の業務実績評価においては、CとかDという中期計画を下回っているとの評価はなく、任期中の業績はAとかSが多い状況で、法人業績はかなり良好かつ適切に運営されているものと判断されます。
 次でございます。「法人等の業績は退職手当を加算支給するほど、きわめて好調か。」ということでございます。まず、対象役員の任期中における法人業績についてでございますけれども、組織とか運営体制につきましては、平成15年に科学技術振興調整費を使いまして、戦略的研究拠点として、若手国際研究拠点というのを設置しております。ここでの取組が、5年経った19年において文科省の戦略的研究拠点等育成評価委員会から日本の研究機関の中で最も国際性に富んだ研究機関へと脱皮させた等、高い評価を受けております。ここでは世界中から優秀な若手研究者を集めて、刺激の中で才能を開花させるとか、自らのアイデアで自立的な研究を実施しているようなところでございまして、これについてはかなり高い評価を受けておるということでございます。
 次に、文部科学省は平成19年から世界トップレベルの国際研究拠点を形成しようということで、全国5カ所ほどの世界トップレベル研究拠点を設置しておりますけれども、その中の一つとして、物材研の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点があります。これも翌年度の評価においては、東大とともに模範として見ることができるという高い評価を得ております。
 さらに、材料分野における論文被引用数についてでございます。5年間ごとに区切っておりまして、独法化前は物質・材料研究機構は世界で31位でございました。それが独法化後、2001年から2005年は世界第5位で、現在、2005年から2009年の実績でいきますと世界第3位、国内第1位と。独法化後、かなり世界的研究機関という地位を確立しておるという状況でございます。
 それから、いろいろな研究を見ましても、超耐熱合金とか、10億分の1のナノシートとか、世界で初めて成功した等、かなり研究についても世界的な研究成果を上げているということでございます。
 このため、法人の業績は退職手当を加算支給するほど極めて好調であるとワーキングの方では判断していただいております。
 次に、個人業績でございますけれども、理事長につきましては、若手国際研究拠点につきましても、自らプロジェクトリーダーを務めるということ、それから、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の設立についても、理事長自ら優秀な研究者をスカウトしたり、あと、超合金とかナノシートにつきましても、産学連携の構築ということで、理事長自ら各企業とかを回って、そういう連携を生み出すなど、理事長としてかなり強いマネジメントとリーダーシップを発揮されておられるということで、理事長については加算要因があると認めてよいのではないかということにワーキングではなっております。
 法人設立から今まで、物質・材料研究機構を世界的研究レベルにするためにかなり努力されているという点も加算要因としてはあるかと思います。
 あと、理事AとBにつきましては、個人の業績につきましては、特段加算要因はないと。文部科学省の方からも、特に加算要因があるという報告は受けておりませんので、理事AとBについては個人業績は加算も、減算もなしということになっています。
 これらを受けまして、第5ワーキンググループでは、理事長については法人業績及び個人業績ともに加算要因が認められるとして、文部科学省独法評価委員会から通知のあった業績勘案率1.2について意見はないものとさせていただきたいということでございます。
 理事については、法人業績に加算があるとしても、個人業績に加算要因が認められないことや文部科学省独法評価委員会としても法人業績と個人業績を総合的に勘案して、1.1とするまでの状況ではないと判断していることから、文部科学省評価委員会から通知のあった業績勘案率1.0について意見はないものとさせていただきたいということでございます。
 次に、国立病院機構の退職役員でございますけれども、理事が2人ほど出ております。理事Aは労務担当理事で、平成20年4月から22年3月まで在職されて、厚生労働省評価委員会からは1.2ということで出ております。
 理事Bについては、理財担当の理事として平成21年8月から22年3月まで在職されて、厚生労働省評価委員会からは1.1ということで出ております。
 まず、国立病院機構の法人業績でございますけれども、国立病院機構については依然として、当期純利益も出ておりますし、セカンドオピニオンとか経営の改善につきましても、赤字病院数が減っているということで、この期間においてもかなりいい成績を上げているということで、法人業績については退職手当を加算支給するほど極めて好調ということになっております。
 理事Aの個人業績につきましては、労務担当理事として、勤務時間・休暇制度等の改正、それに伴う労使協議等に尽力し、看護師の離職率の低下、育児休業取得者の職務復帰率の向上などの成果を上げておられるということで、理事Aについては加算要因があると認めてよいと考えられるということでございます。
 理事Bの個人業績については、理財担当理事として、収支改善とかいろいろやっておられるので、この面では加算要因があると考えられるわけでございます。
 以上の検証結果を踏まえ、理事Aについては、法人業績及び個人業績ともに業績勘案率に加算要因があると認められ、過去の例との整合性も踏まえると、厚生労働省独立行政法人評価委員会から通知のあった業績勘案率(案)1.2について、意見はないものとしたいということでございます。
 理事Bの個人業績に関しては、法人発足以来、前理事が築き上げたコスト削減等の手法を踏襲したものであって、0.1を加算するほどのものではないと考えられるため、厚生労働省評価委員会から通知のあった業績勘案率(案)1.1については法人業績の0.1だけ加算するということで、1.1については意見はないものとしたいということでございます。
 最後でございますけれども、駐留軍等労働者労務管理機構の退職役員の理事長でございます。在任期間は平成18年4月1日から22年3月31日までとなっており、防衛省独立行政法人評価委員会から通知された勘案率は0.9となっております。
 御存じのように、駐留軍につきましては、港区愛宕の本部事務所移転に関し、防衛省が「主たる事務所を東京都に置くとした機構法の改正はしないので、本部事務所は東京都内で探せ」という指示を出しているにもかかわらず、防衛省との調整未了のまま、本部事務所を横浜に移転し、登記簿上の本部を大田区蒲田に置くことを率先して指導した理事長でございます。
 これにつきましては、考え方といたしまして、第5ワーキンググループでは本部移転問題については昨年度、移転担当の理事が減算して0.9となっております。業務を総理する立場である本件理事長について、当然、減算要因となると考えられますけれども、どの程度減算するかが問題となるかと思います。この点について、防衛省独立行政法人評価委員会は、本部移転の決定は役員会で行って、事務所の賃貸借契約も理事長の決裁を経て行われたものである以上、理事長も理事も責任としては同じであるとして、減算を0.1として出してきておりますので、0.9となっているわけです。
 第5ワーキンググループでは、役員会等で決定したとしても、最終的な決定は理事長が行ったものでありますし、理事はただ単に理事長を補佐し、担当業務を行っていただけでございますので、理事長の責任と理事の責任は異なるだろうということで、防衛省独立行政法人評価委員会が0.9とした理由は、理事も理事長も責任は同じだとしたと、この辺については更に審議を深めてほしいという意見を述べさせていただくという結果になっております。
 具体的な意見につきましては、資料3-1の一番最後の29ページに先ほど言った趣旨のことを文書にして、委員長名で防衛省独立行政法人評価委員会の委員長へ意見を出すことになっております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局の説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 山本委員、どうぞ。

【山本臨時委員】  物質・材料研究機構の理事長は、非常に素晴らしい方で、私、全く異存ないのですが、若干、今後の研究開発独法等の絡みもあるものですから確認したいのですが、資料の29ページで見る限りにおいては、論文数そのものは855件から1,155件とそんなに増えているわけではないのです。サイテーションのインデックスが非常に顕著な増加をしているということが資料につけられております。この解釈なのですが、解釈の前に、我々大学の評価にかかわっているものですから、非常に微妙な問題があるのですが、イタリア人の非常に有名な方を招聘されたとか、そういう文言があるのですが、何人かのスーパー的な研究者の方の御活躍でサイテーションインデックスがものすごい増加を来しているのかどうかということを教えていただきたいという点と、この業績評価をやった結果、飛躍的なサイテーションインデックスの増加にもつながったというのは、果たして本当なんだろうかという2点を確認させていただきたいと思います。
 私、結論について全く異議はありませんし、外部資金、あるいはそういう有力な研究者を招聘されることも非常に素晴らしいことだということは全く異議はございませんが、事実確認をさせていただきたいと思います。

【富田分科会長】  今の御質問、御指摘の点につきまして、事務局から伺いましょうか。

【平野調査官】  23ページの論文被引用数ランキングの件数自体の内訳で、どの研究者の影響が強かったかまでは確認できておりません。そこは後で確認させていただきたいと思います。

【富田分科会長】  山本委員、よろしいですか。

【山本臨時委員】  後で教えていただければ、黒田先生の方が詳しいと思いますけれども、一応、発言をしておかないと。

【黒田(玲)委員】  詳しいことを見ないとわからないですが、優秀な人をヘッドハンティングするということは重要で、優秀な人は研究環境のいいところじゃないと移動しません。それに一人だけ優秀な人がいてもだめで、クラスターになっていて、優秀な人の相互作用でもっていい研究成果が出るのです。多分、優秀な研究者であっても、自分一人だけにいい給料をあげるから来てくださいと言われても、決断しないと思います。それはそこの研究環境のモチベーションが非常によかったからではないかと思いますので、評価していいのではないかと思います。
 今度、推奨すべき取組みたいなものを書いたということは、非常によかったと思っています。前からお願いしていたのですが、減点主義でやると、萎縮だけしてしまうけれども、こういう取組はいいよというポジティブな例を出して欲しいと、前の合同委員会のときにお願いしていました。ちゃんとこういうふうになってくるとよかったなと思ったのですが。本当の意味で税金が有効に使われるようにということで、この理事長は頑張ったのではないかと思います。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、阿曽沼委員。

【阿曽沼委員】  私もこの理事長の1.2と評価に関しては全く異存もございませんし、大変な業績を上げられたと文面を読む限り認識できるわけです。しかし、今後、同様の独法においての評価の一つのベンチマークになると思います。今後一つ一つの独法を比較する上で、それぞれの妥当性が問われていくだろうと思いますので、今回の評価というものが一つの指標になるように事務局の方でもお考えいただきたいと思います。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 河野委員、どうぞ。

【河野臨時委員】  私も出された結果について異論があるわけではありませんが、たまたま、国立病院機構の労務、経理関係の方と、研究という分野の方が1.2という同じ評価が出ていましたので一言。この理事長は国際的視点からも非常に高い成果を上げられていますが、今後、10年ぐらいの期間でこんなに成果が明確に出るということはあまりないのではないかと思いました。そうすると、研究分野でこれが指標となると、今後、1.2を超えるということは非常に難しい、さらに言うと研究分野の理事の評価が低く抑えられるのではないかという印象を持ちました。
 だからといって、もう一つの国立病院機構の理事の評価が悪いということではありません。たまたまここで1.2というような同じレベルで出てきたものですから、ちょっとそういう印象を持ちました。今後どうしろということではありません。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 大体よろしいでしょうか。
 それでは、農林水産省、経済産業省、環境省、文部科学省、国土交通省、厚生労働省及び防衛省の各独立行政法人評価委員会から通知された「役員の退職金に係る業績勘案率(案)について」お諮りいたします。
 本件についての委員会としての回答につきましては、案のとおりとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【富田分科会長】  ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 事後の処理につきましては、私に御一任いただくこととさせていただきます。
 まだ、若干、時間がございますので、せっかくの機会でございますので、残りの時間をフリートーキングとさせていただきたいと思います。
 独立行政法人評価制度が発足して10年となります。この間、独立行政法人評価をめぐる環境は大きく変わり、来年から、独立行政法人の組織及び制度の見直しの議論も始まろうとしております。このような中、これまでの皆様の経験を踏まえ、ぜひとも言っておきたいこと、今後の独立行政法人評価の在り方などについての御意見がございますれば御発言願います。御自由にお願いしたいと思います。
 めどは11時55分くらいまでとしてフリートーキングとしたいと思います。
 いかがでございましょうか。

【梶川臨時委員】  そういう意味では、私も十分に携わらせていただきまして、さっき、分科会長代理から御案内があったような会計基準のところにも参加させていただいて、そういう期間を含めて、少し心残りがあり続けるのは、やはり財務数値を評価にどのように結びつけていったらいいかという部分で、パフォーマンスのインジケーターであるフローの損益計算のようなものは、会計基準の作り込み自身に問題があるんだろうということもさることながら、どうしても生かし切れていない。いろいろな定性的な評価に加えて、ある財務報告の数値というものが一つの集約された形で、本来、もうちょっと有効に機能して生かしていかなければいけないなという部分がなかなか機能し切れていないままに時が過ぎているということについては、常々、古くて新しい問題で、多少、仕組みづくりにも関わったという関係でいえば、非常に申し訳ないと思うと同時に、何とか経営努力認定をした上でのパフォーマンスのインジケーターである損益みたいなものを、今後、やり方を変えるということも含めてですけれども、改善される方向にいければなと。
 ある意味では財務数値というのは国民的にも分かりやすい部分だと思うんです。定性的に多様な報告書ももちろん必要ではありますけれども、そういったものではない形で、単純に、企業でいえば利益が上がるといいという、それと全然違うことのために仕組みを作っているのですが、結局、途中から特殊法人が移行されるときに、本来想定されていた事業ビジネスモデルと違うようなものも混在したために、本当にその辺が分かりにくくなってもいるということなので、全体の見直しも含めまして、当初の目的にかなうような形で、今後も発展的に検討を進めていっていただきたいなということが一番のテーマでございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 ほかに、どうぞ。せっかくの機会でもございます。
 どうぞ、黒田委員。

【黒田(玲)委員】  私も10年間務めさせていただいて、これが最後になりますので、一言だけ、おわびとお礼と感想を述べさせていただこうかなと思います。
 私は純粋な研究者ですし、国際的な機関での科学技術行政とか、総合科学技術会議の議員をやったりしたので、ただの研究者というわけではないのですが、これを始めたときに、かなり違う文化と接したなという気がしておりました。
 独法といってもいろいろあるわけで、なかなか一くくりにできない。研究開発独法もあれば、そうではないサービス的な独法もあるわけで、それを一くくりの指標で決めるということがいいのだろうかという疑問をずっと持ち続け、では、研究開発独法が評価できないかというと、そんなことはない。それでは困るわけで、やはりきちんとした評価をしなければいけない。それには時間軸が違うのだろうか。10年間、いろいろなことを考え続けながらやってきたように思いますし、最初、富田分科会長とは結構火花を散らしておりました。
 本当の意味で国民の税金を有効・効率的に使うにはどうしたらいいんだろうかということで、細かい数字やパーセンテージということも重要ですけれども、それ以外に何とかエンカレッジして、萎縮しないで、プラスに持っていけるようなことができないかということを常々考えてやってきたように思います。
 北風と太陽ではないですけれども、国民の税金でやっているという厳しさを研究者、あるいは研究開発独法は持たなければいけない。そこの意識が結構甘いのだと思うので、そこをしっかりと浸透させた上で、どうやったら研究開発独法は飛躍できるのか、萎縮しないでできるのかということはすごく難しい問題であるというふうに今でも思っています。
 形だけではない、長い目での本当の意味での成果がどうやったら上がるのかということは、なかなか相入れない問題だなとは思うのですが、新しく委員になられる方、このままずっと継続して委員になられる方は、さらに良い独法の評価委員会となるように努力していただきたいと思います。
 いろいろ意見を申し上げて御迷惑だったこともあったかとは思いますが、やはり理系の研究をやっている人が委員に多くないので、内輪から見てどうなのかという意見も、少しはお役に立てたらありがたかったかなと思います。
 そういうことで、いろいろな違ったタイプの独法を一くくりにしてやっているのだということ。
 それから、何とか萎縮をしないで、形だけではない、本当の税金の有効な使い方になるように、続けて御努力していっていただけたらと思います。
 10年間、本当にありがとうございました。

【富田分科会長】  どうぞ。

【梶川臨時委員】  10年間というくくりでお話を……。
 私、最初に携わって、本当に素人で御迷惑ばかりおかけしたのですが、独立行政法人、府省でも見せていただく中で、非常に努力されて、いい形になってきているところも、富田先生はもともとの問題に原罪があるという中では、いろいろな意味で御努力をされ、国民にとっていい行政サービスを提供されることになってきたと思うのですが、それに関する広報というのでしょうか、国民に対する理解度、どうして理解していただくかということの御努力をいま一層、ぜひお願いしたい。
 広報というのは単にPRという意味ではなくて、内容を御説明するというわけですから、責任あるスタンスで、それがわかりやすく、かつ、実績がなければ説明できないわけですから、私、今、思うのですが、行政のサービスというのは、受益者が普通の、市場財のようにお金を払って測定できない、受益者自身も測定できないので、ひどく心理学的な受益の要素がものすごく大きいと思うのです。やはり国民が満足できるという……。
 ただ、今、この社会は行政のサービスについては不満足だということが前提になってしまい過ぎていて、そのためにいくら負担以上の受益を受けていても、国民としては心理学的な満足が全く得られなくて、負担なんかこれ以上一円もしたくないという。
 ですから、行政サービスに対する受益を満足してもらう活動というのは経済学というよりも、心理学の世界でとても重要な要素だと思っておりまして、こんなにいいサービスを受けられているのだなというところで、これはやっぱり負担をしても仕方がないなという、ここについては地道な、かつ、わかりやすい広報活動をしていただかないと、誤った方向性に、今、なりかかっていたり、さっきおっしゃられた、本当にいいサービスが萎縮してしまうという、非常に大きな問題点に来ていて、どこまでいっても、二言目には、キーワードでこういう組織がやっているものはよくないと。私が思うに、働かれている方はどんな気持ちで働かれているのかと思うと、独法だ、やれ、何とかだというのがみんな悪者になってしまう現状というのは、こうやって、内部で見せていただいていると、今までの公的機関は打って出ないというのが行動原則にあるのですが、ぜひ、打って出て、国民に満足を……、不満なところは不満でいいのですけれども、少しでも公平な目で見てもらえる広報活動をお願いしたいということが、ひたすらお願いでございます。
 決して甘い話で言っているわけでは絶対にないのでございますけれども、公平に、ファクトに基づいた活動評価をしていただけるということで、お願いできればと思っております。

【富田分科会長】  ありがとうございました。
 黒田委員、いかがでございましょうか。

【黒田(壽)臨時委員】  私もこれで終わりだろうと思いますので、最後に一言言わせていただきます。
 私は独法評価は全くの素人で入ってきたわけでありますけれども、皆さん方とは全く違う目線で見ていたのではないかという気がします。私は第3ワーキングと国大評価を中心にやってきたわけですが、国家公務員の定員削減により独法になったものと、研究を中心とする独法という2つに分かれている独法を同じような目線で評価するというのは間違いだろうと思います。
 いろいろな独法を見ていて、これは独法よりも民間に完全に移行したほうがいいのではないかというのもありますし、また、国としてやるべきことを外へ出さずに中でやった方がいいというのも幾つか見受けられるわけなので、今後、独法の在り方を見直すときに、ただ単に公務員の定員削減という観点からじゃなくして、本当に必要な事務事業は何かということに視点を置くことが必要と思います。
 それから、研究独法で一番気になるのは理事長の立場です。理事長というのは世界的に大変権威のある方がつかれるわけです。そうしますと、当然、ガバナンスはできないわけです。内部統制をやるということは全くできない。ですから、理事長にかわる人が責任を持ってやれる組織を作る必要があると思うのです。それがないものですから、研究独法ではいろいろな不祥事が出てくるわけです。何でもない単純ミスで多額のお金がどこかにいってしまったということになるわけです。ですから、そういう管理をきっちりできる人を理事長の補佐役に置いて、その人を中心に組織を動かしていくという、そういう形態を取らざるを得ないのだろうと思います。研究独法の理事長というのは、世界的な権威者で、世界の顔として置くわけですから、その人に管理運営の責任を全部持たせるというのは、私は無理があるだろうと思いますので、その辺のことも少し考えていただいたらいいのではないかと。これは組織の在り方なのですけれども、こうしませんと、日本の研究独法というのは育っていかないと思います。
 そういう点がちょっと気になったところですので、今後、改善するとすれば、国として本当にやるべき事務事業は国の方に移管する。そうでないものは民間に思い切って移してしまうというやり方、それから、研究独法は研究独法として国のステイタスとして置くべきといったことを考えてもらいたいと思います。
 それから、日本の文化、活力を維持するための装置としてのいろいろな独法があるわけですが、そういうところはそのような仕組みを作り上げていくということが大事だと思います。そこに多額のお金を投資するというよりも、国のステイタスとして美術館であれ、博物館であれ、そういうのがあるわけです。これは世界的なステイタス、日本の国力を示すステイタスなので、それを一独法の評価で物事を決めていくのは不都合があるのではないかと思いますので、その辺の改革もぜひ、お願いをしたいと思っています。
 以上です。
 大変お世話になって、ありがとうございました。

【富田分科会長】  はい。

【黒川臨時委員】  本当にお世話になりました。
 私は、特殊法人の時代から総務省に、特殊法人をどのように評価するかというので、全ての特殊法人の評価書が出たのですが、あのときからなので、実を言うと10年以上なんです。それから特殊法人の会計基準ということで……。
 私のイメージとしては、特殊法人でしたので、事業活動が中心のものであり、会計基準にしても、かなり企業会計に近いようなものを作ったわけです。そういうようなものについては有効かなと思いましたけれども、独立行政法人ということになりますと、いろいろな法人が研究活動を中心とするというのが入ってきたものですから、会計基準自体が特殊法人に近いような営利型の会計基準との間で悩みがあった部分も、樫谷先生もおっしゃっていましたけれども、それはおそらく会計学を専門にしている人間からすれば、少し心にひっかかるところはだれもがあっただろうとは思います。
 次に、私がこの委員会で勉強させていただいたことを述べさせていただきます。私は現場主義でありまして、主査もやらせていただいておりまして、ワーキングも途中でコンバートといいますか、ほかのところに移ったりさせていただいて、いろいろな法人を見させていただきました。例えば、北海道の苫東の石油備蓄基地も見に行きましたし、大阪にも行きました。そこで、今まで知らなかった、国民として恥ずかしいわけですけれども、独立行政法人自体は一生懸命CSRみたいなことをやられているかもしれないけれども、実を言うと、我々国民の方がそれを看過しているのかもしれませんが、初めて知らなかったことを見て、本当に勉強になりました。
 これは今でも授業でも子供たちに話していることなのですが、例えば、苫東の石油備蓄基地のところで、さびが出るかどうかというのが問題なのです。あそこだけで日本全国の消費量の7日分ぐらいの備蓄をしているすごい大きな基地で、30基ぐらいなのですが、そこをメンテナンスするために、時々、何年かに一度、全部空っぽにして、それでさびが出ているかどうかを見るのです。そこのところに潜り込んで行って、中を見た。そこで、効率性、効率性と我々は言っているわけですけれども、本当にそれがいいのか。少々さびが出ても、10年、20年は大丈夫だと思うのですが、独法自体の評価というのを、理事長でも2年とか4年任期なわけです。ですから、そのさびをお金をかけてでもきちんとメンテナンスをしておくと、大きなタンクがもしかすると30年、40年先になったときに駄目になるか、あるいはもう10年、20年延びるかというところに出てくるのだけれども、今は顕在化しない。そこで、そういうさびを、特に角みたいなところに出るわけですが、そういうところも空っぽにしてよく塗っておくとか、そういうことが長期的に見ると、国民にとってコストが安くなる、要するに、長く持たせるという視点も大事かなと。
 だから、あのときは主査だったのですが、効率性とか何とかという前に、長期的視点に立って、少しメンテナンス費用がかかったとしても、それはいいのだというような言い方をした方がいいと、我々ワーキングでは結論したというか、それはとても勉強になったわけです。
 あと、幾つか渡り歩いていろいろ見せていただくと、似ているようなものもあるし、連動するものもあるということに気がついた。この間もお話ししたように、生まれながらにしてハンディーを負って生まれてくる人たちというのは、私は理系出身で文系になったのですけれども、ある確率のもとに生まれる可能性がある。ですから、我々健全に生まれてきた人間は、そういう方々があって我々は健全だというふうにも考えることができる。ですから、社会のコミュニティーとして、そういう方々は宝だというのでしょうか。我々が健全であるというのは確率のもとに出るわけですから、それを負ってくださっている方だという認識でもって見なければいけない。子供のときからずっとあるのですけれども、大人になり、それが老後まで見なければいけないコミュニティーでなければいけないはずです。
 そうすると、いろいろ独法があって、それぞれの場面で対応するのだろうと思うのですが、それをもっと通時的に各独法間で協力をし合って、そういう問題については幾つかの独法がバトンタッチをしてというのでしょうか、そういう形でやっていく、そういうのを感じたといいましょうか、ありました。
 そこで結論は、長期的な観点と全体的な観点を忘れないようにしなければならないのではないかと、こういうふうに私はこの10年間で感じた次第です。特にそれが府省評価委員会と我々政独委との違いであり、我々の方は全ての独法を見ることができる立場にありますから、今言った全体的及び長期的な観点で我々は評価するという点を忘れてはならない、このように私は感じました。
 本当にどうもありがとうございました。勉強になりました。
 以上です。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 だんだん55分に近づいてきましたけれども、議論は尽きません。続きは次回の分科会に持ち越したいと思います。
 最後に事務局より御報告がございます。

【横山評価監視官】  資料4でございます。
 平成21年度版の独立行政法人評価年報ということでお配りをさせていただいております。この評価年報は、毎年度、独法の情報と評価の情報を取りまとめまして、公表するものであります。非常に大部なものでございますので、本日は概要としてお配りさせていただいております。今後、最終チェックを行った上で、来週にでもホームページに公表することとしております。年明けには先生方のもとに印刷物をお手元に配付させていただきたいと考えております。
 また、今後の日程でありますが、次回の分科会は、三連休明けの1月11日、火曜日の17時から開催していただきたいと考えております。
 議題としましては、これまでの活動を踏まえまして、今後の独立行政法人評価の在り方などについて御議論をしていただきたいと考えております。
 場所につきましては、調整し、別途、御連絡を差し上げたいと考えております。どうかよろしくお願いします。
 また、分科会の終了後でありますが、ささやかながら懇談会を開催したいと考えております。委員の皆様方の御出席を賜りますよう、よろしくお願いします。
 以上でございます。

【富田分科会長】  ありがとうございます。
 ただ今の事務局からの説明につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は年末の御多忙の中、御出席賜り、ありがとうございました。


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