総務省トップ > 組織案内 > 審議会・委員会・会議等 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 > 会議資料 > 政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(2月28日開催)議事録

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(2月28日開催)議事録

日時

平成23年2月28日(月)13時00分から15時10分

場所

中央合同庁舎第2号館 第3特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、森泉陽子委員、牛尾陽子臨時委員、小野達也臨時委員、加藤浩徳臨時委員、門脇英晴臨時委員、城所幸弘臨時委員、小峰隆夫臨時委員、佐藤主光臨時委員、清水涼子臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田中弥生臨時委員、堤盛人臨時委員

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博委員

(総務省行政評価局)
新井官房審議官、讃岐総務課長、佐伯政策評価官、城代政策評価審議室長、荒木調査官、細川調査官、柴沼総括評価監視調査官

議題

  1. 法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について
  2. 政策評価制度の在り方(政策評価と行政事業レビューとの連携方策など)
  3. 規制の事前評価の点検結果等
  4. 平成23年度以降の行政評価局調査テーマ検討状況 <非公開>

配布資料

会議経過


【谷藤分科会長】  時間になりましたので、ただ今から政策評価分科会を開会したいと思います。
 本日の政策評価分科会では、お手元にございますように、議題は4件でございます。
 第1の議題は、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について。
 第2は、政策評価制度の在り方(政策評価と行政事業レビューとの連携方策)でございます。
 第3は、規制の事前評価の点検結果等についての報告でございます。
 第4は、平成23年度以降の行政評価局の調査テーマの検討状況について、それぞれ御審議いただきたいと思います。
 最初に、委員会令第5条に基づきまして、政策評価分科会長の代理を指名させていただきたいと思います。本政策評価分科会長代理といたしまして、森泉委員にお願いしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【谷藤分科会長】  それでは、森泉委員に一言御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【森泉委員】  森泉でございます。よろしくお願いいたします。私はまだ政策評価の委員としては日が浅いのでございますけれども、その中で考えていることを一言述べさせていただきたいと思います。私は、評価には必ず対象の実態、実情を知ることが、非常に重要なことだと思います。前回でもありましたが、評価対象のデータがないことがあったかと思います。実態を十分に把握してから評価を行うということは基本であるにもかかわらず、必ずしもこの点に関して十分であるとは言いがたいと思いますので、調査をして、きちっとしたデータを集めることが、まず、評価の第一歩であると思います。その次に、そのデータを踏まえて、統計的処理、さらには統計的分析を行って、客観的に評価をすることが必要です。今後はできるだけそのようなことを考慮に入れて、評価を進めていくことができたらよろしいのではないかと思います。
 以上、簡単でございますけれども、今後ともよろしくお願いいたします。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 それでは、最初に議題1、「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について」でございます。まず、この問題につきまして、事務方から説明をお願いしたいと思います。
【佐伯政策評価官】  説明に入ります前に、局長と宮島審議官は、国会の関係で席を外させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【谷藤分科会長】  分かりました。
 それでは、法曹養成制度の御説明をお願いします。
【細川調査官】  それでは、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価の概要について、御説明させていただきます。お手元の資料1を1枚おめくりいただきますと、資料1−1がございます。これが、本政策評価の概要でございます。昨年12月27日、当分科会において一度御説明させていただきまして、御審議いただきました。その時点から、委員の先生が代わられていますので、改めて概要、これまでの経緯も含めて、若干御説明させていただきたいと思います。
 本政策評価につきましては、22年度のテーマということで掲げられておりまして、昨年、内山政務官主催の法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会において評価の在り方、方法等について御検討いただきました。研究会の座長は、この政策評価分科会の谷藤分科会長でございます。研究会の検討結果でございますが、昨年12月21日に報告書に取りまとめて公表し、その概要につきまして、政策評価分科会で27日に御説明、御審議いただいた後、それらを経まして本年1月24日に関係府省、法務省及び文部科学省に対しまして、調査の実施を文書で通知いたしました。また、最高裁判所、日本弁護士連合会に対しましても、調査の協力依頼、文書を発出いたしまして、既に調査に着手しているところでございます。現在、関係府省等からのヒアリングを行い、資料、データの収集を行っているところでございます。
 資料1−1は研究会の報告、御提言を踏まえた内容で、まず最初に、「調査の背景」でございますが、一番左の枠、法曹人口拡大を目指した法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度が構築されましたけれども、研究会におきましても様々な課題、問題点の御指摘がございまして、大きくはここに三つ問題点が示されております。
 一つは、新司法試験の合格率が低迷している点。平成22年で25.4%でございます。ただし、司法試験の受験資格は法科大学院修了でございますけれども、修了後、5年間に3回という受験についての制限がございますので、その5年間の間にどれだけ合格するかという累積の数値も見る必要がありまして、例えば、18年度修了者について見ますと、既に19、20、21、22年度と4年間、受験の機会がございましたが、累積の合格率は49. 1%でございました。あと1年、受験の機会がございますけれども、果たしてその段階で、例えば、7割、8割の方が新司法試験に合格するという政府の目標が達成できるかというと、5年間の累計で見ても非常に難しいのかなということでございます。
 あと2点そこにございますけれども、年間の合格者数、平成22年ごろ3,000人という目標も、平成22年において2,000人ちょっとで、達成していない。あるいは、法曹志願者数は、ここに平成16年度72,800人が22年度には24,000人となってございまして、約7割程度減少している問題もございます。
 真ん中の欄に移っていただきまして、関係府省でございますけれども、法務省、文部科学省がワーキングチームを作って検討し、昨年の7月、法曹養成制度の問題点や改善方策を検討するための新たな体制、「フォーラム」と称しておりますが、その構築が必要という検討結果を取りまとめております。その検討体制の構築、検討が進められているとは承知しておりますが、現時点ではまだ実現しておりません。
 それから、その下でございますけれども、昨年11月、司法修習生に対する給費制の1年延長の法案が可決されましたが、その際、衆議院の法務委員会で、委員会決議がございまして、法曹養成制度の在り方全体については速やかに検討を行われて、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずるという決議がされております。
 こういう制度見直しの動きがあることを踏まえまして、一番右の枠でございます。研究会では、これらの検討を促すよう、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策について、総体としてどの程度効果を上げているかなどの総合的観点から評価を行うとの御提言をいただいたということで、この政策評価、こういう設計になっているということでございます。
 「主要調査項目と調査の視点」でございますが、そこに三つ掲げております。これにつきましては、後ほど資料1−3で御説明させていただきたいと思います。
 続きまして、資料1−2を御覧いただきたいと思います。横長の資料でございます。こちらは、全体の司法制度改革の取組について、政策の体系図でお示しさせていただきました。その中で、今回この法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価でどこを対象として評価をするかということをお示ししたものでございます。
 一番上、司法制度改革の基本理念が三つございます。その中の真ん中、「司法制度を支える体制の充実強化(人的基盤の拡充)」とございます。ここを取り上げ、矢印に沿ってさらに一段下がっていただきますと、その司法制度を支える体制の充実強化に係る政策としてどういうものがあるかということがございますが、これは一番左、「法曹人口の拡大」、真ん中、「法曹養成制度の改革」とございまして、この左と真ん中の二つを評価の対象とする。こちらが、評価の対象の政策であるということです。右側に弁護士制度の改革、裁判官制度の改革、検察制度の改革等ございますけれども、こちらは今回の政策評価の対象ではございません。
 さらに、その一段下、大きな枠組みがございますが、こちらは関係の法曹養成制度の一連の流れと関係機関、関係省の範囲を図示させていただいたものでございます。評価、調査の対象というのは、中心は法科大学院、それから、新司法試験でございますが、右側、司法修習、※で1と付されています。注意書きの一番下、※1を御覧いただきたいのですけれども、一連のプロセスとしての法曹養成という新たな法曹養成制度でございますので、司法修習については、最高裁判所の所管ではございますが、法科大学院における教育や司法試験、司法修習生の修習との有機的連携を図るという理念がございますので、そのことを踏まえて必要な範囲で調査するということで研究会から御提言をいただいたところでございます。
 次に、もう1枚おめくりいただきまして、資料1−3を御覧いただきたいと思います。これが、今回の政策評価の評価チャートでございまして、評価対象政策、評価の観点、それから、主要な調査項目と調査の視点を示させていただいたものでございます。
 一番初めの「評価対象政策」でございます。司法制度改革推進法と関係法の整備を踏まえて、法曹人口の拡大、法曹養成制度の改革に関する政策について、評価の対象とするということでございまして、「評価の観点」はその法曹人口拡大、法曹養成制度の改革に関する各種の施策が、総体としてどの程度効果を上げているかという総合的な観点から総合評価を行うということでございます。その際でございますが、特に研究会から御指摘、御提言いただきましたのは、制度利用者の観点、制度利用者の視点からの評価が必要であるという御指摘をいただいておりまして、制度利用者の観点から各種施策の実施により期待された効果が得られているかという、政策の有効性の観点を中心に評価を行う。効果が上がっていない場合、その原因及び改善方策を検討するということでございます。
 主要な調査項目及び調査の視点、大きく二つございます。1番目は、まさしく政策の現況がどうなっているかということでございます。二つ目は、その政策の効果の発現状況がどうかということでございます。
 1番目の政策の現況については、三つ大きく掲げておりますが、丸の最初でございます、各種施策の実施状況がどうか。法務省や文部科学省、あるいは最高裁判所等は、どのような施策を、いつから、どういうふうに講じているのか。その実施状況を把握・整理いたします。
 それから、政策コストの投入状況でございます。非常に重要な課題だと思っております。どの程度の国費、あるいは法曹志願者が、要するにどの程度の経済的な負担を負っているのか。例えば、法曹1人当たりを養成するためのコストとしてどのぐらい投入されているのか。それが、旧司法試験の制度と比べてどの程度増加しているのかというところを把握・分析したいと考えております。
 3番目ですが、政策目標の達成状況でございまして、いろいろな数値目標、定量的な目標を掲げております。例えば、年間の司法試験合格者数3,000人とか、法科大学院修了者の相当程度、7〜8割が司法試験に合格するなどの目標がございます。これらの目標につきまして、政策目標の設定根拠がどういう考えのもとに設定されたのかということを確認した上で、その目標の達成状況を把握・分析する。あるいは、達成されていない場合は、その原因を分析するという取組をしたいと考えております。
 それから、2番目の政策の効果の発現状況でございます。大きく5点ございます。
 1番目は、法曹人口の拡大でございますが、平成16年から22年までの6年間で、法曹人口は9,251人増加しております。年間3,000人の目標は達成されていませんが、法曹人口自体は増加しております。数字で言いますと、平成16年24,188人が、平成22年で33,439人となっております。後ろのほうに参考資料をつけておりますので、後ほど御覧いただければと思いますが、この辺の数字は参考資料の1−2に載せておるところでございます。実際、法曹人口は増加しておりますけれども、それによる効果がどういうものかということについて、調査・把握したい、一方で、法曹志願者が大幅に減少していることもございますし、あるいは、弁護士が法律事務所に就職できないという問題の指摘もございますので、法曹人口が拡大していることにより、どのような支障があるのかということについても、把握・調査したいと考えております。
 その次、2番目、法科大学院制度でございます。法科大学院については、理念がいろいろと掲げられておりまして、例えば、入学者の適性の適確な評価とか、多様な人材を確保するということで、それに配慮した公平な入学者選抜、その他、いろいろな理念が書かれております。例えば、7〜8割が合格するという意味では、厳格な成績の評価及び修了の認定がその前提となっているということもございます。そのような法科大学院の理念として掲げられたものが、今、どの程度達成されていて、どのような効果を上げているのか。また、関係機関、司法試験、司法修習のこの有機的な連携を図ることも理念としてございますので、その辺の連携が十分図られているかといったことも調査・把握を予定しております。
 その下、法科大学院の質の向上を目指した文部科学省の入学定員の見直し等の取組につきましても、効果の発現状況を見たいと予定しております。
 それから、3番目、司法試験制度の改革でございます。司法試験の理念は、法科大学院における教育を踏まえたもの、有機的な連携のもとにということでございます。それがどの程度達成されて、どういう効果を上げているのかということでございます。
 その次でございますが、例えば、合格者数年間3,000人の目標が達成されていない状況がございますけれども、その原因は何か。それから、未達成ということで、何らかの支障が生じているか。あるいは、5年間に3回という受験制限が、本来のねらいどおり機能しているのか。どういう効果を上げているか。また、支障があるのかということ。それから、試験の方法・科目・日程もいろいろな御指摘がございますけれども、合格基準の透明性の確保という意味で、どの程度情報が開示されているのかということもございます。それについて、改善を求める意見もあると承知しておりますので、その辺の見直しの余地について調査・検討したいと考えております。
 四つ目、司法修習制度の改革でございますけれども、これは、法科大学院の教育との有機的連携でございまして、司法修習期間が短縮されて1年になっているとか、前段階の前期の集合修習が廃止されていることもございますが、特に法科大学院の教育との連携という意味でどのような効果を上げているのかということに着目して調査をしたいと考えております。
 その他、特に研究会で御提言いただきました、新司法試験の合格率が低迷していることに鑑みますと、一方で5年間に3回の受験資格制限がございますので、それで受験資格を喪失する者も出ております。平成22年度までで1,737人という数字が出ております。こういう司法試験の不合格者がどの程度発生して、その方々はどういう進路をとっておられるのかということ。この辺については、今まで関係府省などの取組が必ずしも十分ではなかったのではないかという御指摘が研究会でございまして、この辺にもスポットを当てて、評価の取組としてしっかり実態把握等をやっていきたいと考えているところでございます。
 それから、資料を御用意しておりませんが、若干、御説明申し上げたいことがございます。昨年12月21日、研究会の報告書を公表させていただきまして、直ちに広く国民から意見を募集するということで、総務省のホームページで御意見募集をさせていただきました。1月末までの期限で、1か月ちょっとの期間でございます。その結果について、概要を御報告させていただきます。
 昨年12月21日から1月31日までで、118件の御意見をいただきました。個人からの意見が116件でございます。それから、団体からの御意見が2件ございました。団体からは日本弁護士連合会さんと、法科大学院協会でございます。118件の御職業等明らかにされていた方々を見ると、最も多かったのが弁護士さんでございまして、20件。16%、17%ぐらいですね。それから、司法試験の受験をしたことがある方が15件で、13%ぐらいでございます。あと、法科大学院生からも13件ございました。職業等不詳、分からない方が64人でございます。
 いただいた御意見の概要でございますけれども、現行の法曹養成制度の問題点、課題、それから改善方策、そして、総務省が行う政策評価の方法等について、でございますけれども、極めて幅広い御意見をいただきました。その多くは、法科大学院を中核とする、今の新たな法曹養成制度は、様々な問題が生じておりまして、その見直しは必要とするものでございます。法曹人口の拡大につきましては、根拠がなく過大であるとか、もう少しきちんとした算出を考えるべきという、どちらかと言いますと、人口拡大については否定的な意見が多うございましたが、肯定的な意見も複数ございました。法科大学院につきましては、例えば、法科大学院の定員が多過ぎるという御意見等で、抜本的な制度の見直しが必要だという意見が太宗を占めていた状況でございます。
 いただいた意見、大変大部でございますが、総務省のホームページで公表させていただいております。全件公表させていただいておりますし、どんな意見が多かったかということも、概要をホームページで公表させていただいております。お時間のあるときに御覧いただければと思います。
 以上、法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価の概要を御説明させていただきました。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。こういう過程で、現在、総合評価を実施している状況でございます。
 それでは、各委員から御意見をいただきたいと思います。御発言をどうぞよろしくお願いいたします。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  ありがとうございます。田中と申します。
 法科大学院に関しまして、多くて恐縮ですが、三つほど挙げたいと思います。
 一つは、先ほども意見募集で御指摘があったと思いますけれども、3,000人を前提条件としないで、この目標設定自体も妥当であったのかどうかということも、この政策評価の中で検討いただきたいということであります。
 2点目ですが、これは利用者の視点でありますけれども、特にこの教育の理念からすれば、受験勉強的にならずに、コミュニケーションスキルとか、市民性とか、あるいは問題解決能力等々のいわゆるジェネリックスキルというものを養うことが理念に入っておりまして、これは本当に養われているのかという点を確認する必要があると思います。これらについては、現場の職場での声を聞く必要があるかと思います。
 そして、3番目ですが、法科大学院の制度に関する評価であります。これは、やや手前みそになるかもしれませんけれども、個別の法科大学院に訪問調査されるようですが、私は、これはむしろ避けたほうがいいのではないかと思っています。それは、既に認証評価、あるいは適格認定と呼ばれていますけれども、そこを受けておりまして、不適格の指摘を受けたところも、さらに再審査を受けて、適格であると認証を受けていますので、フォローアップが済んでいるということであります。ですから、個別の大学院を見るよりは、この政策評価においては、さらに上位のところを見るべきではないかと思います。例えばですが、法科大学院の数が多過ぎていないかということとか、あるいは、評価機関が複数ありますけれども、実は基準に関する解釈の仕方、適格認定の仕方に関して若干微妙なところで違いがあります。この辺りがどうであるのかとか、あるいは一番の問題になっているのは、教育と成績のつけ方ですけれども、これが評価機関と大学院と教員の間で、もしかすると認識のギャップがある可能性がある。この辺りは、評価機関、文部科学省、あるいは中教審辺りでのヒアリング、資料で十分に対応できるものではないかと私は踏みます。
 以上です。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。
 立花委員、続きまして、どうぞ。
【立花臨時委員】  どうもありがとうございます。私のは質問ですけれども、確か昨年末に、この政策評価分科会の委員の交代と言いましょうか、辞められる委員の方が注文をつけておられたのを、私は記憶しているわけです。そのときに、確か吉野直行委員が、この司法制度改革に関連して、日本のこういった法務人材、弁護士等を含めた人材の海外展開の可能性を追求する必要があるのではないかと。日本の国力の低下もあって、なかなか縮み志向もあるかもしれませんけれども、今や民主党の菅政権も平成の開国と、国を開くということでTPPの問題に取り組んでおられますけれども、何もこれは農業の問題だけではなくて人材の受け入れ、あるいは人材の、日本から出ていくということもあるわけで、このソフト的なインフラという意味で言えば、こういった日本の法務人材が海外で活躍できるようなものにも対応できるように、この司法制度改革をにらむ必要が、今日的な課題との絡みであると思うのですが、そういった吉野前委員が提起された問題に対しては、今回のこの調査の中でどういうように扱われるおつもりなのか。私もどういうようにそれをこの中に盛り込んでいけばいいのかというのは、にわかにアイデアはないものですから、吉野さんがおそらく遺言みたいな形で言い残されたものですから、御質問ということでお聞きする次第でございます。
【谷藤分科会長】  それでは、田中委員から3点と、立花委員から1点の質問ないし要望がありましたけれども、細川調査官から。
【細川調査官】  まずは、田中委員から3点御意見賜りました。ありがとうございます。いずれも御意見に沿った取組をしていきたい、政策評価の取組の中に反映していきたいと思っております。ジェネリックスキルの話は、特に現場の声を聞くということは、アンケート調査等でその辺、どういうふうに把握可能か詰めていきたいと思っております。
 1点、法科大学院の個別の調査の件でございます。御指摘の趣旨はよく分かります。それは各方面からもいろいろと御意見をいただいているところでございます。ただ、私ども、一方で極力現場の実態、生の声を聞きたいと、実地で調査をしたいというところがございます。もちろん、関係府省、それから、関係機関からの資料、データで補えるところは、それで対応していきたいと思っておりますが、ほかはまだ具体的にどうするか、どういう調査ということは決まっておりませんけれども、必要最小限、法科大学院を実地に調査することもあるという前提で、今、詳細な調査事項等を検討しているところでございます。もちろん、いろいろな評価を受けていることは重々認識しておりますし、個別のデータも認証評価結果等、あるいは、評価の関係の資料から収集できるものもあると承知しておりますので、そこは仮に個別の法科大学院に調査をするとしても、必要最小限、負担をかけない範囲でやっていきたいと、そういう配慮はさせていただきたい。特に、教育研究の特性、配慮もございますので、そういうことも十分踏まえて、これから具体に詰めていきたいと考えています。御意見は内容的には重々承知しております。その辺を踏まえた検討をしていきたいと思っております。
 それから、立花委員、前の御指摘をいただいた件でございます。確かに、昨年12月27日に、吉野委員から法曹の海外展開という御指摘をいただいております。その点につきましては、基本的に今考えておりますのは、法曹需要というところで海外での展開も含めて、どういうことが想定されていて、現実、今、どういうことになっているのか、実態把握は可能な範囲でできるのではないかと思っております。ただ、現実に法曹人口の拡大の政策目標として、法曹の海外展開ということが理念・目標として掲げられていたかどうかということは、今一度確認させていただきますけれども、そういう目標があれば、それに照らしてどうかというチェックは十分評価でございますので、できるかと思います。ただ、そうでない場合は、法曹需要、拡大の一つの需要が今後ますます拡大していくであろうと考えられた時点で、もちろん、国内の司法過疎とか、弁護士の偏在とかいろいろございますけれども、一方で、海外に対するグローバリズムの中でどういうことが想定されていたのか、その辺は調査で調べて確認していきたい。そのときには、そこはきちんとやらせていただきたいと考えている次第でございます。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。そのほかに御意見ございますか。
 門脇委員、どうぞ。
【門脇臨時委員】  門脇と申します。日本総合研究所におります。
 私は、先ほど田中委員がおっしゃいましたけれど、やはり3,000人という数字がどこから出てきたのかというのが、非常に大きな問題ではないかと思います。その需要はどこで生まれるのか。弁護士の需要は、国民の中で生まれるのでしょうが、その需要予測が全くないような気が致します。法曹人口を増やさねばならないのだという理念、方針があって、それがまず先行しているように思えます。しかしながら、今後日本は人口も減りますし、海外に出ている企業も多くなるとすれば、本当に国内の司法関係の事件が増えるのかどうか。そういう情況の中で、何らかの形で増加した方がいい、増やすマーケットを作るという方向に司法制度が誘引しているとすれば問題です。また増加することを前提としているとすればこれもまた大きな疑問です。
 法科大学院の評価に関する研究報告書の中で、私が一番感心しましたのは、18ページに法曹人口の拡大について皆様が忌憚ない意見を出されていますが、正に指摘されている通りではないかと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、小野委員、続けてどうぞ。
【小野臨時委員】  今回から委員に加えていただきました、小野でございます。
 私からの一つ質問と、それに関連して一つコメントですけれども、一つ目の質問は、これまでの経緯を十分に把握していないのですが、昨年12月27日の議事録を拝見して、一つ気になったところがあります。当時の委員の田辺委員が、この法曹の評価について、エバリュエーションデザインが十分ではないのではないかという御指摘をされていて、詳細はそれまでの議論の経緯とか、私は知りませんので、ここからは推測のようなことですけれども、通常エバリュエーションデザインが不十分だということになると、おそらくは田辺委員の趣旨としては、何を明らかにするか、検証すべきか、という命題がまず明らかになっていて、そのためにどういうデータを集めるのだという骨組みが、おそらくは必ずしも十分ではないのではないかという指摘をされたように思うのです。田辺委員の議事録の中にあったと思うのですが、意見の羅列に終わってしまう可能性があるのではないか。そういう意味では、本来の政策評価ではないような気が私もするのですけれども、そうやって事務局がそれに対して、それは十分踏まえてやっていきますという御回答があったと思うのです。その辺り、どのようになっているのかということをお尋ねしたいのが、一つの質問でございます。
 それに関連するのですけれども、これは今日いただいた研究会の報告書なども拝見しておりませんので、既にそういうことは当然入っていますということかもしれないのですが、今日配付されている資料だけを見ると、一つ気になりますのは、文部科学省のほうで入学定員の見直しを進めていて、それがどのような効果を上げているかとあるのですが、この問題のその前に当初の定員が6,000人ぐらいだったでしょうか。ですから、仮に3,000人合格しても7割、8割には絶対にいかないところからスタートしているわけです。それは何年か累積しても、結局、毎年それだけ出てくるわけですからそうなると思いますけれども、実際、入学者も当初の数年間は1万人ぐらい入学していると思います。ですから、そもそものスタートのところで、そういう学生を受け入れている中からたくさんの問題が出てきていると思うのですけれども、それで現在、入試の倍率ですとか、新司法試験の合格倍率とかで、表にして各大学への指導があると思います。これも各大学のパフォーマンスももちろんあると思うのですけれども、それ以上にかなり大きな要因がそもそものところからあって、そこから必然的に合格率の、特に地方の大学での合格率の低さとか出ていると思うのです。ですから、その辺の、当然そういうことは入っているということであれば余計なコメントかもしれないのですけれども、おそらくこの全体の評価となると、その辺も非常に重要なことになるのではないかという気もしております。
 以上でございます。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。今、2件ございましたけれども、それにつきまして細川調査官から。
【細川調査官】  今、御質問いただいた件、最初の法曹人口3,000人の件につきましては、田中委員にも御指摘いただいた件でございます。3,000人については、私どもの評価の中では、その目標設定の一つということでございまして、それが実際どういう前提のもとに、どういう実態を反映して、あるいは需要予測があって設定されたものか。数値目標の設定の考え方については、そこはしっかり調査させていただきたいと考えております。
 その先でございますけれども、実際は、法曹需要はどういうふうに予測できるのか、把握できるのか、ということでございます。そこは非常に難しいかと思いますが、今、法務省さん、文部科学省さんなりヒアリングして、いろいろなデータを収集している中で、例えば、現地的にどういうデータが取れるのか。例えば地域ですね。単位弁護士会とか、地域におきましては、法曹人口の拡大がどこの地域でどれだけ増えているのかというベースで見たら、どうなるか。弁護士人口の偏在とか、司法過疎と言われているものが、どの程度是正されているのか、そういう点でデータを確認したいと思っております。そこは今、具体のどういう資料をどういうふうに取れるかというところは、検討中でございます。
 それから、昨年の12月27日、確かに当時、田辺委員からエバリュエーションデザインの話、御指摘を受けております。そこにつきましては、今回資料、概略、つけさせていただいた評価チャートがございますが、さらにこれを具体に細かいものに落とし込むということを、今、各府省のヒアリングでデータ資料を収集しながら、4月以降、管区行政評価局を動員して実地調査をすることを考えておりますので、その中で今、具体にどの範囲でどういうデータが収集可能なのか、あるいは必要なのかということについて、詳細検討しているところでございます。
 もう一点、法科大学院の定員が当初6,000人弱、今は5,000人弱までなっているかと思いますけれども、それが目標とする3,000という数字から見たらそもそも乖離試算ではないかという御指摘ですが、これは研究会の報告書でも、研究会の中でもいろいろと御指摘をいただいて、なぜそういうことになったのかというところを、調査の中でできる限りつまびらかにしていきたいと考えているところでございます。
 具体のエバリュエーションデザインでございますが、法曹需要の3,000人につきましても、例えば、どういう評価をしようかと言いますと、法廷活動の実績、事件数とか相談件数とか、それが全国都道府県、地裁の本庁とか、種別を見たらどうかとか、内容別に見たらどうか、民事・行政・刑事・家事、事件とかで見たらどうかとか、あるいはその被疑者、国選弁護の件数とか、いろいろなそういうデータがあるかと思います。
 それから、組織内の弁護士の活用状況とか、あるいは専門的知見を要する、例えば、知財の関係とか労働とか医療過誤についても、ある程度定量的なデータが取れるのではないかということも見ています。それから、先ほども申し上げていますが、司法過疎とか弁護士の偏在の是正とか、そういうところについては、例えば、司法過疎地域はどういうふうに推移してきているかとか、あるいは、これは法テラスの司法過疎事務所とか、日弁連さんの公設事務所とかございますけれども、そういうところの取扱い事件数がどうなっているかとか、相談がどうなっているかとか、そういうものをいろいろと、多様なデータがあるのではないかと考えているところでございます。もちろん、利用者の視点からいけば、法的サービスの充実とか、弁護士へのアクセスの改善がどうなっているのかというところも重要な要素だと思いまして、そういうところも評価の手法として工夫して取り入れることができないのかなと。併せてそれはどういう形で調査方法として取り得るのかなと。アンケートで把握可能かどうかということも含めて、今、具体に検討している状況でございまして、御意見を踏まえた、できるだけ評価として質のいいものができるように、鋭意これからも検討してまいりたいと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 そのほかにも皆さんのほうから……。堤さん。
【堤臨時委員】  私、工学エンジニアリングの出身ですので、非法学部出身者ということで、多少間違ったことを申し上げるかもしれませんが、御容赦ください。
 先ほど来、法曹需要の拡大という話が出ていまして、それの是か非かというのはまた議論があると思うのですが、仮にそれが是だとした場合に、制度の利用者の観点という言葉が出てきているのですが、結局のところ、例えば、資料1−2を見ると、受験者は出てくるのですが、最終的な利用者である消費者であるとか、企業、あるいは実業界というものが全くこの中には出てこない。これは、非常に私からすると疑問でして、最終的な利用者は誰か、それにとってのいい政策、あるいは施策は何かということを是非考えていただきたいと思います。
 それから、2点目、先ほどの弁護士等へのアクセスの改善は、やはり法曹需要の拡大に非常に重要だと思うのですけれども、そのときに問題自体を認識できることが重要で、要するにこれは法律の問題で、こういうことを誰かに相談するともっと改善するかもしれないという認識がないとならないのですが、少なくとも私の経験で、中学校、高等学校で法律を学んだことはほとんどありません。憲法は学んでいますけれども、それ以外のことは学んでいない。大学で民法は選択等で取るかもしれませんが、そのときに、例えば、私みたいなエンジニアリング出身だと、民法が総則から入って、後見人だの禁治産者なんていう話になった瞬間に、興味が失せてしまうのですね。そのときに具体的な事例で、物権とか債権という話から入ると、多分そこでこういうことの重要性を認識して、それが将来誰かに相談しなくてはいけないかということが認識できると思いますので。そういった意味では、教育とか啓蒙のところも、もう少しこの中で考えていただきたいと思います。
 それから、最後、今、その制度の話はゼロか1かで、弁護士になるか、ならないか、ゼロ、1でどちらかというと最後の評価を考えていらっしゃる気がするのですけれども、実際にその過程で今のアクセスの話もありますが、いきなり弁護士に相談する前にもう少し別に相談してという、ある種連続的に考えていく必要もあるかなと思いますし、場合によっては、資格によっては士の下に士補とか、そういうものがあるわけですけれども、今のゼロ、1の議論ではなくて、もっとすそ野とか潜在的な需要を増やす意味での連続的な議論もお考えいただきたいと思いました。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 田中委員、どうぞ。
【田中(常)臨時委員】  今のお話に関連するのですが、弁護士の就職難の指摘があるとすんなりと言っているのですけれども、この実態をちゃんとする必要があるのかなと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 御両者の意見に対しまして、説明をいただきたいのですけれども、どちらかというと、今、お二人の意見を踏まえた上で、これからの政策評価に利用していただきたいということでよろしいでしょうか。申し訳ございません。今日は案件がたまっておりますので、大体これぐらいにして。この総合評価につきましては、経過報告を今後とも逐次よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、第2番目の案件に進みたいと思います。
 第2番目の案件は、政策評価制度の在り方、政策評価と行政事業レビューとの連携方策の問題でございます。この二つを併せまして、事務局からの説明をお願いしたいと思います。
【佐伯政策評価官】  それでは、御説明させていただきます。資料2−1以下を御覧いただきたいと思います。政策評価制度の現状と課題について、昨年の12月27日の政策評価分科会の主な指摘をまとめさせていただいております。これは、今日が新しい体制で初めての分科会でございますけれども、前期との接続を図るということで紹介させていただくものであります。時間がありませんので、ざっと御紹介させていただきますと、一つは、証拠やデータに基づく政策の判断・分析に施策が寄与できているのかという指摘が五つほどございます。それから、目標管理方式を用いた評価についての目標・指標の立て方についての御意見が二つ。各府省における政策の見直し・改善に役に立っているのかということで、三つほど御指摘。
 その他、総務省が行う評価の改善等についても御指摘がございます。情報の取扱いについても御指摘がございますが、詳細な説明は省かせていただきたいと思います。
 続きまして、資料2−2を御覧いただきたいと思いますが、一番近いところの課題ということで、行政事業レビューと政策評価との連携について、でございます。この真ん中の(5)に「政策評価との関係について」と書いてありますけれども、その3のところで、「来年」というのは今年ですけれども、行政事業レビューの本格実施までにお互いの役割分担と連携の在り方、各府省の事務負担の軽減などについて検討を行い、結論を得るということで、昨年の9月30日に、確認がされておるということであります。
 さらに、次のページ、資料2−3でございますけれども、昨年12月の予算編成の基本方針の中でも、真ん中から若干下辺りに、既存の政策評価制度と行政事業レビューの役割分担の明確化・連携強化等について検討を行うと確認がされているところであります。現在、検討している中身でございますけれども、政策評価と行政事業レビューの役割については、基本的に政策評価、目標管理型のものとB/C分析のもの、大きく分けると二つあると思いますけれども、今回は目標管理型の政策評価について取り上げて御説明いたします。
 まず、現状と課題を御報告いたしますと、全てがそうだというわけではございませんが、焦点が絞りきれておらず、重要な情報が埋没しがちではないかとか、あるいは、府省、施策ごとに実施方法がかなり区々であって、なかなか政府全体の俯瞰とか府省横断的な施策への活用が困難だ。あと、施策の達成手段やそのコストについての情報が不十分なものが結構ある。こういう辺りが問題点かと思います。政策評価も行政事業レビューも、各府省の中で自己評価というか、自ら行うものとして位置付けられておりますけれども、その両者がどう連携していくかというところで、考えていることのポイントを御報告いたします。
 一つは、行政事業レビューとの役割分担の明確化でございますけれども、まず行政事業レビューについては、事務事業についての情報をきちんと把握していく。それから、政策評価については、その上位にあります施策レベルの情報を把握していくことで、お互いにそれぞれの情報を活用しながら、それぞれの取組を進めていくことかと思います。予算監視・効率化チームというのは、副大臣をヘッドとする仕組みができておりますので、ここで両方見ながら審議していただくということは、具体的な連携の在り方として想定されるかなということであります。
 それから、二つ目は政策体系の整備でございますが、これは端的に言うと、何のためにどのような手段で、どれぐらいのお金をかけて施策や事務事業を行っていくのかという事前の整理はやはり大事だろうということでございます。もちろん、今まで全くできていなかったかというとそうではなくて、特に政策評価に関する基本方針や政策評価の実施に関するガイドラインで、こういうことをきちんとやりましょうということが書かれておりまして、それなりの取組をしていただいているところももちろんあるわけですけれども、もう少しここをきちっとやっていただくことが必要かなということであります。
 それから、統一フォーマットの導入、メリハリのある評価の推進であります。これは今まで評価書が何十ページもあったものをできるだけ少なくしていこうということですけれども、そのときにシートはどうしたらいいのか、評価書をどうしたらいいのかというところがありますので、そこはこのぐらいのものを作ればいいですよというところを示していくこと。あるいは、もう一つメリハリのある評価とは、毎年詳細なものをやらなくてもいいですよという方向付けをしていったらどうかということで考えております。これは、関係方面ともまだ調整をしているということで、未定稿で出させていただいているところであります。
 具体的にどういう取組をしていくのかというと、まず、先ほどの政策体系の整備に関連して、事前分析について、こういう形でまとめてはどうかということで案を作っておりますが、これは施策の測定指標や達成手段の関係の情報を取りまとめるものでございます。
 それから、目標管理型の政策評価に係る評価書の標準様式の案も作成中であります。測定指標などが多ければ、1枚におさまるかどうかは工夫が必要ですけれども、できるだけコンパクトにまとめていく方向でやっていきたいと考えております。
 それから、こちらはまだ固まったものではないのですが、行政刷新会議でも今年行う行政事業レビューシートの案について検討されております。これは今日の議論の対象ではないのですけれども、先ほどの9月30日の議論でシートを改善するところが具体化されつつあるということであります。
 また、政策体系図で施策と政策手段の関係については、従来、必ずしもきちんとした形で整理して公表されていなかったところがあります。施策の達成手段である予算事業とか、規制とかいろいろあると思いますけれども、そういうものについて整理しておくことと、今回、行政事業レビューでいろいろ出てくる情報を、政策評価でも活用していくための、ある意味接着剤として、こういうものが必要になるのであろうということでございます。
 それから、先週の金曜日の予算委員会の分科会で、長島一由議員からいろいろ質問がありまして、そこで御提言があったものを紹介させていただきます。
 5点ほど提案がありますが、1点目は、各府省のベストプラクティスを参考に、行政評価局でチェックリストを作成して、もう少しグリップを効かせたらどうかという話。それから、情報公開について。指標目標の設定の在り方について、関係機関の連携について、ということでございます。
 具体的に中身を若干紹介しますと、先ほど要望の一つを紹介した中で、「総務省自体が持っている第三者機関に、今日の指摘があったことを伝えて検討したり、もんでもらうことはできませんでしょうか」という質問があり、大臣からもおそらく可能だというお答えをしております。片山大臣は、政策評価について、各府省の自己評価で限界はあるのだけれども、内燃機関という言い方をされていますが、各府省の取組、意欲というか、そういうものも大きいものにしていって、自己評価であるけれども、行政の改善につながっていくようにやっていきたいということで、お答えをされているということでございます。
 それから、これは先ほど申し上げましたが、既に法律に基づく閣議決定や各府省申合わせの中で、特に目標管理型の政策評価、実績評価と言っていますが、これについていろいろな取決めもあって取り組んでおり、今御紹介した検討中の案も、正にそういうことのためにやっている面もあります。もちろん、負担の軽減という点でも課題を課されているわけで、全体にかかっているわけですけれども、そういうことも意識しながら検討を進めている状況でございます。全体、先ほど御紹介した大きな方向性について御意見等を賜れば幸いであります。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。ここでの議論は二つあるかと思います。まず一つは、政策評価制度そのものの在り方の問題。これまでも長期にわたって議論してきましたけれども、新しい委員の体制になりましたもので、何かその辺りについて御意見をいただきたいというところであります。
 もう一つは、政策評価と行政事業レビューの連携をどのように図っていくのか。あるいは、もう一つはすみ分けをどうしていくのかという問題。これについても、各委員から御意見をいただきたいと思います。
 どうぞ。
【清水臨時委員】  このたびから参加させていただきます、清水でございます。どうぞよろしくお願いします。
 現状と課題として、施策の達成手段やコストについての情報が不十分であるとされています。財務省で省庁別財務書類という、企業会計ベースの財務書類を作っておりますけれども、21年度から政策別のコスト情報ということで情報公開する予定になっていることは御承知だと思うのですが、これは正に政策評価に資するためというのが一つ大きな目標になっているわけですので、是非その利用を総務省さんとしても推進していただきたいなと思います。先ほどの御説明との関連でいけば、施策レベルということでしたが、その下の事務事業レベルとの関係も、コストの面での内訳になっていることから適切な使われ方がされているかどうかということもありましょうし、あるいはその説明が不十分であれば総務省さんとして客観性担保評価ですか、再チェックをかけ改善を促すことも是非やっていただきたいと思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  どうぞ。御説明ありますか。
【佐伯政策評価官】  先ほどの政策別のコスト情報については、2月26日土曜日の新聞に出ておりますけれども、是非利用できるようにいろいろ検討を進めていきたいと思っております。1年遅れになってしまう点をどう考えるかというところもありますけれども、活用していく方向で考えていきたいと思います。
【谷藤分科会長】  そのほかは御意見ございますか。田中委員、どうぞ。
【田中(常)臨時委員】  私は、もういつの間にかもう8年目ぐらいになってしまって、最初のころから出ているのですが、私は経済人として参加しているのですけれども、この政策評価制度について10年目を迎えるに当たって、さらに見直す必要があるのかなと。皆さんの意見をいろいろ集めて、課題を総括して見直しをするような審議が必要なのかなと思います。
 その一つは、政治側からもこういうことに対しての要望がありますよね。では、そこまで見ているのかというと、今まではその範疇の中で内部評価の枠から出られていないところがあると思います。内部評価については、それなりにフォーマットを決めてやり始めてきていたり、今、行政事業レビューみたいなものがあったり、その両方についてこの政策評価・独立行政法人評価委員会の位置付けをどう考えていくのかということを、やはり今までの枠を取り除いて議論する必要があるのかなと思います。
 それから、政治、党の求めることは、多分国民の求める感じと似ていると思うのですが、政策評価と施策評価について、目標値みたいなものが、説得力がないような気がするのですよね。3,000人という話であったり、例えば、今まで見ていても重要政策の評価のうち建築物の耐震化のもので、要は数値だったりとか、いろいろなものが実際に評価に値するものかどうか、それから、その施策の効果が生きているものかどうか。その先にある目標がどうかと、その説得力がなかなかないような気がするので、もちろん、その数値がなかったり、全体にデータが集まらない、予算もないという現状もあって、できなかったことも多いと思いますが、そういったことも含めてどうしたらいいのかということも一つ審議をすべきではないかなと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。それについての説明はまた後ですか。
【佐伯政策評価官】  はい。
【谷藤分科会長】  では、田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  田中です。今、今までの枠を取り払って議論したらどうかとおっしゃったので、少し勇気をもって私もコメントをさせていただきたいのですけれども、今は行政事業レビューとの関係をお話しされていますが、国家戦略室が検討している政策達成目標明示制度とのさらに上との関係、つまり、マニフェストで掲げられている目標との関係も明確にするべきではないでしょうか。今、政策評価制度は行政事業レビューと政策達成明示制度との間で、サンドイッチ状態になっているわけですから、全体像の中でトータルで議論をしないと、だめな時期にきているのではないかなと私は思います。
【谷藤分科会長】  佐伯政策評価官。
【佐伯政策評価官】  はい。今の点ですけれども、政策達成目標明示制度については、先ほどの閣議決定にもありましたが、その取扱いを含めて検討するとされており、今、国家戦略室でその取扱いについては検討中と承知しております。ですから、まだ具体的な動きはないということでございまして、もちろん、その動きが出てくれば非常に我々の制度と近いものでございますので、適切に役割分担をして連携を図っていくことは必要だと思っております。
 ですから、そのほかのいろいろな見直しの機能があるわけですけれども、そちらとの連携もきちんとやっていくことで考えたいと思っております。
【谷藤分科会長】  小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  二つのテーマです。一つは、政策評価制度そのものの話と行政事業レビューとの関係で、それぞれ一つずつコメントをさせていただきたいと思います。
 まずは、小さなほうと言いましょうか、具体的な行政事業レビューとこの実績評価方式と言いましょうか、施策単位の評価とのリンクの話です。一つ、今日の説明ですごく重要だろうなと思いますのは、この施策と事業とを結びつける接着剤とおっしゃいましたでしょうか、そういうものは用意すると。これは確かに非常に重要だと思うのですけれども、そこで一つ気になるのが、行政事業レビューのほうは行政刷新会議で全体の取りまとめというか、シートの設計などもされるということで、各省庁が自己評価をする段階はもちろん、各省庁のチームが施策単位の政策評価も、事務事業単位の行政事業レビューもやるということで、その省庁の中でのPDCA作業はきちんとやっていただければ完結するだろうと思うのですが、政府全体と言いましょうか、政策評価のほうは総務省さんが毎年度その中身のチェック、点検されているわけで、これが十分ではないにしてもそれなりの効果を上げていると思います。そのときに、行政事業レビューのほうは、本来その施策の評価と事務事業のレビューの評価は当然、リンクしていないといけないわけですけれども、その辺が、各省庁の中ではそれぞれの内部評価、自己評価としては行われるとしても、それを外からチェックする観点が全くばらばらだと、あるいは行政刷新会議がそこまでのことはしていられないということになると、事業レベルの質的なチェックが少しどうなるのかなというのが気になる点。
 あともう一つ、これは難しい面があるのかもしれないんですが、この行政事業レビューは全事務事業を基本的にやっていくのかどうか分かりませんが、行政事業レビューで評価される事務事業と、それから同じタイミングで、同じ年度で階層の上に位置する施策が政策評価制度の中で評価されていないと、行政事業レビューの評価の上にある政策評価制度のほうでの施策については、例えば3年に1回のサイクルで再来年にならないと評価になりませんみたいなことだと、なかなか合わせた議論ができないような気もします。それは一例なんですけれども、この施策の評価と事務事業レベルの評価とは、中身的にと言いましょうか、いろいろな意味でくっつけて、もし本当にリンクさせることを目指すのであればそれが必須なのではないかなと、いろいろな工夫をしなきゃいけないんだろうなと思います。
 もう一つ具体的な話で、今日の説明の中で事後評価の施策単位の、政策評価制度の個々の施策の評価の中の測定指標について、これまでの実績評価方式でも10数ページあるようなものが一つの施策ごとに出ていたりして、いま一つ焦点が絞り切れていないんだよと。外から見ていてそういう気も確かにするんですけれども、そこでフォーマットを決めて要点を明確に説明させるというのは非常にいいと思うんですが、そこで簡素なフォーマットになると気をつけないといけないような、先ほどのどなたかのコメントにもありましたが、目標値なら一体それは何の目標値なのか、なぜその目標値なのかとか、あるいは測定指標については、なぜこの測定指標なのかと。
 現在の10数ページを費やしている実績評価の中にも、たくさんいろいろな情報はあっても、肝心のそこのところがあまり書いていないものがかなり見受けられると思います。そういう意味で、フォーマットを簡素にするのはいいんですけれども、その分、質を上げていただきたいというか、その辺が非常に重要なのではないかと。
 これは地方自治体がたくさんやっています事務事業評価とか、あるいは総合計画の進行管理なんかの評価フォーマットに非常に似たイメージのものになるんですけれども、そうするとひょっとして同じようなことが起きるのではないかと。要するに、指標の選択ですね。妥当性のある指標をいかに選ぶのかとか、目標値はどういう意味を持っているのかなど、非常に基本的なことではあるのだけれども、そこを明確にするような仕掛けというかチェックがないと、なかなか実績評価方式を本当によくする方向に行かないのではないのかなと。これはコメントです。
 それから、もう一つ、全体の政策評価制度の在り方については既にお二人ぐらいがおっしゃったことに私も大賛成でありまして、これまでも昨年の12月27日の、やめられる委員の方がいろいろおっしゃっている中にも非常に重要な御指摘がたくさんあったと思います。あと、数年前に第1回目の政策評価制度全体の見直しがあったわけですけれども、それからもう既に数年たっておりますし、民主党政権になって行政の施策を評価する仕組みが幾つかでき、あるいは政策達成目標明示制度などこれからのものもありということで、そういう関係も問い直さないといけないし、あと長島議員の質問にもありましたが、会計検査院との関係もありますし、今は10年という節目もありますが、実績評価方式ももちろんですが、評価制度全体について少し時間をかけて見直しをするようにされてはいかがかと。私もほかの委員の方がおっしゃったことに、正に賛成でございます。
 以上でございます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 佐伯政策評価官から、何か。
【佐伯政策評価官】  行政事業レビューのチェックをどこがやるかは、行政刷新会議事務局で去年もやっておりますし、今年もされることになると思います。
 それから、数年に一度、詳細な評価ということですけれども、それ以外の年は主要な指標のモニタリングをやっていただくことを考えておりまして、政策にも反映させていくと。特にその数字に変な動きがあれば、詳細な評価をやっていくことも当然、考えられるかと思います。
 それから、目標設定の考え方については、事前分析表がセットになっておりまして、そこでなぜそういう目標を設定するのか、あるいは事務事業は上位の施策に対してどういう貢献をするのかという辺りも整理してもらってと思っています。
 ですから、この事前分析表と事後評価書とセットできちんとした取組につながるものと考えています。
 以上です。
【谷藤分科会長】  ここもまだ議論すべきか悩みますが、城所さん、どうぞ。
【城所臨時委員】  すみません、質問なのですけれども、先ほどの法曹の例でいうと、例えば3,000人の合格者で今2,000人合格しているのかというのをチェックするのが行政事業レビューで、そもそも法曹人口の拡大という政策がどうなのか、正しいのでしょうかというのを検証していくのが政策評価と捉えればよろしいのでしょうか。
【佐伯政策評価官】  はい。大きく捉えれば行政事業レビューは予算の使われ方をチェックして、効率的なもの、あるいは効果的な事業になっているのかを検証することで、政策評価のほうは、目標の達成状況を評価して政策の改善に反映していくと。かなり大きなくくりで捉えていくという理解でおります。
【城所臨時委員】  先ほどの議論にもありましたけれども、3,000人が正しいかどうかも含めて考えるのが政策評価で、3,000人をもう与えられたものとして達成度を評価するのが行政事業レビューということなのでしょうか。先ほど皆さん、3,000人を含めて考えるべきなのかどうかという議論がありましたが、3,000人という目標を踏まえて、果たしてこの政策が役に立っているかどうかを考えるのが政策評価なのでしょうかという質問なのですが。
【佐伯政策評価官】  政策評価のほうは政策が国民のために役に立っているのかどうか、それを効率的、効果的にできているのかを見ていくことだと思います。その中で3,000人という目標がいいのかどうかを判断していくようなこともあり得るのではないかと思います。
 行政事業レビューのほうは、主としてお金の使われ方ということで、その施策を実現するために様々な事業をやっているわけですけれども、その事業が適切なお金の使われ方、効率的なものになっているかどうかという辺りと、本当に効果が出ているのかを見ていくということです。そこで3,000人というのを捉えていくのは、普通はないのかなという感じはいたしますが、ただ、そこはもう完全にどちらかに偏ってというか、役割分担は決まっていて何を議論してはいけないというのはないのかと思います。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。この問題は今回だけで終わる問題ではありませんで、正に両田中委員から出てまいりましたように制度の導入から10年以上たっておりまして、政策評価制度が世界でいろいろな形で導入されて、ヨーロッパ各国でも大きな見直しの時期にございます。そういう動向とか政策評価に対する新しい考え方なども全部盛り込みながら、少し時間をかけて議論をしていきたいと思っております。
 先ほど言いましたように、例えば先ほどの法曹制度につきましては、実は、私どもは研究会では3,000人という目標は本当に正しかったのかという目標の設定の問題から議論していくようなことをずっとやっておりまして、あらかじめ3,000人を設定して、そこから全てが達成されているかどうかもあまり議論はしておりませんでした。つまり、目標の設定が正しかったのか、目的に対応するような目標ないしはターゲットが体系的に組み合わさっているのかなんてことも議論してまいりました。
 そういう問題を含めて、将来を見つめて幅広く政策評価制度の現状と課題とを検討していきたいと思います。何回かに分けてこれを議論していきたいと思いますので、事務局のほうで少し本年度のスケジュールの中に評価制度の在り方を広く検討する機会を設けるように努力していただけますか。
【佐伯政策評価官】  来年度になると思いますけれども、御指摘を踏まえて4月以降、そういう形で考えさせていただきたいと思います。
【谷藤分科会長】  はい。それから、政策評価と、これは正に小野委員と城所委員がおっしゃいましたように、いわば行政事業レビューの明確なすみ分けあるいは連携をさらにクリアにする必要があると思いますので、これにつきましても併せて議論していきたいと思います。
【佐伯政策評価官】  それについては、関係方面ともいろいろ協議させていただいておりますので、次回、御報告をさせていただきたいと思います。
【谷藤分科会長】  はい。それではそういうことで議題の2は終わりたいと思います。
 それでは、第3番目の規制の事前評価の点検結果が出ておりますので、これについての御説明をお願いしたいと思います。
【荒木調査官】  資料3−1を御覧ください。規制の事前評価の点検結果につきましては、委員の皆様には、先週、報告書と概要を送らせていただいていますが、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 規制につきましては、政策評価法に基づき、平成19年10月から事前に評価を実施することが義務付けられています。昨年1月から12月の1年間に各府省で実施された規制の事前評価82件について「規制の事前評価の実施に関するガイドライン」に沿って設定した七つの点検項目に照らし、その実施状況を点検した結果をまとめたものがこちらの資料です。
 この七つの点検項目は、規制の事前評価を行うに当たり最も基本となるものですが、中でも、費用と便益を分析して、費用を正当化できるような便益があるかどうかが一番重要です。
 その際、特に、できれば定量化をする必要性があると求められているのですが、今回、点検した中においては定量化まで行っているものはあまりなかったという状況です。
 ただ、規制の実際の内容を見てみますと、定量化がとてもできないようなものもありますので、定量化できていないから即それがダメというわけではありません。ですので、この定量化を行っていないものの中においても、内容を見ると本来なら定量化できたのではないかというものについて、今後、努力していただくように個別に課題を指摘しているのが今回の結果です。
 この結果を踏まえて、今後更なる規制の改善、評価の改善に努めていただくことは当然ですが、総務省としましても、規制の事前評価について定量化を行うに当たっての必要な情報を提供するなど、必要な取組をしていく必要性があるのではないかと思います。
 以上、簡単ですが説明を終わらせていただきます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、規制の事前評価の点検結果につきまして、これは各委員の方にも配付されていると思いますけれども、御意見がございましたらどうぞ。
 はい、小峰委員、どうぞ。
【小峰臨時委員】  規制の事前評価は大変重要だと思うのですけれども、これは事前評価を踏まえて規制そのものの在り方を議論するのが本来の意義だと思うのですが、この点検の結果がどういうタイミングで、つまり事前に国民的議論が可能なタイミングで出て、それが国民に分かりやすく提示されているかどうかが大きな問題になると思います。特に、閣議決定案件では確か直前でもいいということになっているので、ほとんどそういう意味ではせっかく出しても誰も見ないうちに決まってしまうことになるのではないかと思うのですが、その辺は改善の余地がかなり大きいのではないかと思っています。
【荒木調査官】  委員の御指摘のとおり、現在、規制の事前評価は、タイミング的に、例えば、法律ですと閣議決定する前、政令ですとパブリックコメントすることになっていますのでその30日ぐらい前となっているのですが、タイミングとして最終段階に来てほとんど決まった段階で行われていますので、それを国民に示したとしても、その後、規制の内容自体が変わることには、今のところあまりなっていないのが現状です。とは言いつつ、こういう情報を示していくことにひとまずは意味があると思っております。
【谷藤分科会長】  そのほか。佐藤さん、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  もう既にやられているのかもしれませんけれども、今回、この規制の費用対効果の数値化をそれなりにやっているところもあるわけですから、もしかしたら数値化していないところはやり方が分からないというか、こんな感じでもいいのかなとか、何かやり方に関して漠然とよく分からないという人たちもいたと、そういう府省もあったと思いますので、うまくやっているモデルケースなんかをテキストというか、こんな感じでほかのところはやっているんですよと少し情報として開示していくというのはあっていいのかなと思いました。
 それから一つ、これはただの感想になってしまうのですけれども、資料3−2の、競争状況への影響の有無ということですが、当たり前ですが厚生労働省はあるのだろうと思うのですが、あったからじゃあそれに見合う、つまり競争しないことに見合う便益はこれくらいあるのだ、あるいは競争状況に陥るとこういう問題があるのだというのについても、一応ちゃんとコメントなり数値化された何かは出されているのでしょうか。それともただ、ある、なしというファクトだけを見せているということですか。
【荒木調査官】  まず1点目ですけれども、今回の概要の中にも一つだけ、それなりによくできているライター規制の関係を例として挙げさせていただいておりますし、今後、必要な各府省に対する研修などもしていきたいと考えております。
【佐伯政策評価官】  資料3−2については後ほどと思っていたのですけれども、簡単に御説明しますと、昨年の4月から規制によって事業者に競争状況の影響があるかどうかの把握を試行的に始めております。試行的という意味は、評価書にはまだその記載は載せないということで、とりあえずこういうことを始めてもらって、ある程度実績や事例が蓄積されて、どの程度のことをやっていけばいいのかという合意ができれば本格的にと考えております。
 去年の4月から12月まで、御覧のとおり件数的に18件ということで、これから2月、3月は多いので出てくると思うのですが、そういう実際に出てきたものを見ながら検討していきたいと思っております。
 先ほどの規制の金銭価値化みたいなところも、事業を消化しながらということもありましたけれども、まだこれは各府省に呼びかけて、我々と各府省、あるいは競争状況ですと公取も入っていただいて、勉強会みたいな形でどうやったらいい評価ができるのかも考えながら質の向上を図っていきたいと思っております。
【谷藤分科会長】  田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  田中です。2点あります。
 1点目は、規制、RIAは事前評価ですし、なかなか定量化は難しいようですけれども、かなり具体的にその効果が出ているとすると、実際に規制を施行した後の効果、つまりPDCAを回しているのかどうかと。回しやすい環境にあると思うのですけれども、それはどうなっているのかという点が1点と、それから、2点目ですが、RIAが導入されたのは2007年ぐらいからですか。
【佐伯政策評価官】  はい。平成19年10月です。
【田中(弥)臨時委員】  そうですか。これが施行されたときから着目はしているのですが定量化がとても難しいようで、これは5年ぐらいたったところで運営の在り方を見直す必要があるような気がします。私もODAの評価で内部収益率等を計算を求められた経験がありますが、経済学をやった方にとっては簡単なことらしいのですが、外注しないとなかなか出てこないものもありました。この辺りは自前でやるといっても限界があるのではないかなと思いますので、運営体制について再度、5年区切りぐらいで検討していただけたらと思います。
【谷藤分科会長】  立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  この件については、先ほど小峰先生がおっしゃった、どういうタイミングで公表されるかが大事だと。私は全く先生の御意見に賛成でございまして、是非規制の事前評価の件に関連して、できるだけ余裕を持って。私は前に経済界にいたものですから、何かアリバイづくり的な感じで公表されるケースをよくウォッチしていたのですけれども、それで非常に苦い経験といいましょうか、がっくりしたような経験もあるものですから、是非事前に民間の方がそれについてチェックして、この立て方はおかしいとか、いろいろものが言えるようなタイミングを持ってやる。そういったことが、例えばヨーロッパとのEPA交渉で日本の仕組みが不透明だとかいろいろ言われることにもなるわけで、是非きちっと事前の公表のタイミングを見て、余裕を持って公表していただきたいなと、繰り返し私のほうからもお願いですが。
 それと、これは頭の整理で、私も自分で十分理解できていない点がありますが、この規制の事前評価とパブリックコメントはどういう関係になるのか、もしお分かりでしたら教えていただきたいんですが。
【谷藤分科会長】  どうぞ。
【佐伯政策評価官】  それでは、田中弥生先生の御質問についてもお答えします。
 まず、実際にその規制を施行した後の効果はどうなっているかという検証の話については、ガイドラインの中でも、レビューをすることと、実際に規制を始めるときに、いつごろ見直すのかはちゃんと決めておいてくださいということは書いてあります。実際に法律を作る場合、施行後何年で見直すという規定が置かれているものも結構あるということであります。
 それから、規制についてなかなか金銭価値化が進んでこないというところで、先ほど申し上げたとおりですけれども、各府省ともよく相談させていただきながら今後1年間ぐらい、1年はちょっと長過ぎるのかもしませんが、少し時間をかけてそういうことについて勉強していきたいと思っております。
 それから、公表のタイミングが重要というのは正におっしゃるとおりでありまして、できるだけ早く公表できるようにしていかないといけないというところもありますが、規制の中身が固まらない段階で出すのもなかなか難しいところがあります。これについても、実際やるのは各府省ですので、どれぐらいできるかはよく話をしながら進めていきたいと思っております。
【谷藤分科会長】  それから、立花委員からの質問のパブリックコメントについては。
【佐伯政策評価官】  パブリックコメントについては、事前評価の対象は法律または政令で規制を作る場合となっていまして、政令についてはパブリックコメントも通常30日間行われますので、そのパブリックコメントに評価書を添付する形になっております。法律の場合は国会で法案を御審議いただくことになりますので、そこまで求めていないと、閣議決定までに公表するという扱いになっております。
【谷藤分科会長】  阿曽沼先生、どうぞ。
【阿曽沼委員】  私は2002年から規制改革会議におりまして、今は行政刷新会議の規制制度の改革のメンバーをいたしております。実はそのメンバーも、この規制の事前評価の点検についてそれほど注目しているわけではなく、きちんと情報が連携できているかと、そうでもないわけです。実は規制の新設よりは改廃を行う場合に事前評価をするということも重要であります。
 日本の国の場合は基本的に、ある一つの規制が緩和されると新たな規制がまた上乗せになってしまうということが多く、その繰り返しが省庁の中で結構あるわけです。結局は事業者及び国民などの利益につながらないという問題も多くあるわけであります。従って、行政刷新会議の規制制度の枠組みを改廃するような委員会との情報の連携についても特にスピード感を持った連携が必要なのではないかと思います。その辺についても御検討いただければありがたいなと思います。
【谷藤分科会長】  これまで行政刷新会議との協議はあったのですか。
【佐伯政策評価官】  直接はございません。ただ、おっしゃるとおりでございまして、使っていただける場をどうやって作っていくかは非常に大事かと思っております。そういう刷新会議等の連携を含め、どういうことができるかは十分に検討してまいりたいと思います。
【谷藤分科会長】  そのほかにございますか。よろしいですか。
 それでは、第4の議題に入りたいと思います。第4の議題は、平成23年度以降の行政評価局調査テーマの検討でございます。実はこれにつきましては今後、総務省政務三役会議における検討を経て案を策定しまして、さらにその案とともに広く国民からのパブリックコメントを求めていくことになりました。そして、今年度末をめどに総務大臣が決定ということでございます。
 したがいまして、本日ここでの検討の場は、その決定に至るプロセス、過程の会議でございます。これは三役会議で決定されているわけではございませんので、誠に申し訳ないのですが、傍聴者の方におかれましてはここで御退室をお願いしたいと思います。つまり、これは検討状況でございますから、現段階においては本日の議事自体は非公開で行うことが適当であろうと考えられます。そのように運びたいと思うわけです。それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【谷藤分科会長】  なお、議事要旨等、議事録につきましては、全て後に公開することになります。本日の協議については非公開で、これから進めたいと思います。
(一般傍聴者退室)
【谷藤分科会長】  それでは傍聴者の方には御退室をお願いいたしましたので、平成23年度以降の行政評価局調査テーマの検討状況の説明をお願いしたいと思います。
【讃岐総務課長】  それでは、御説明いたします。総務課長の讃岐でございます。 資料4―2を御覧いただければと思います。これが、行政評価局の仕事の全体像を図式化したものでございます。このうち、2つ目の「政策評価推進」は、これまで議題2、議題3で行っていたように、各府省がそれぞれ自らの政策を評価する際の在り方についてどうするのかということでございますが、議題4につきましては行政評価局自らが評価する機能について、そのテーマをどうするのかということでございます。
 それでは、このイメージを改めて整理したものが参考資料「行政評価局調査のテーマ選定について」ですので、御覧いただければと思います。
調査テーマでございますけれども、大体1年間に六つから七つのテーマを決めて、ここに沿ったプロセスで実施するのですが、(1)のテーマの選定は、前年度までに決めたテーマを踏まえて、次の年度に何をやるのか、昨年の夏からずっと検討をいたしてきております。それで、粗々の素案をまとめて有識者の皆様、あるいは総務省の政務三役に御説明するというのが今の段階でございます。(1)から(2)に移っているのが今の状況であるということでございます。それでテーマが決まりますと、事前準備を経て逐次調査をしていくということでございます。
 一番下の行政評価局の所掌事務概要について御説明いたしますと、一つは各府省の政策について、統一的・総合的な評価を行うことでございます。これは各府省がそれぞれ自らの政策評価を行う前提でありますけれども、横断的な政策等につきましては、総務省が自ら政策評価を行うという所掌になっている。それについては政策の効果をしっかりとチェックして、政策そのものの在り方についてまでの見直しを総務省の評価でやっていくということです。
 もう一つが、各行政機関の業務の実施状況の評価及び監視でございますけれども、昔、行政監察という言葉で呼びならわしておりましたが、言ってみれば執行状況をチェックして、それについて正すべき点を指摘する。これについては特段、各府省が何をやるという縛りがあるわけではないということでございます。総務省の調査結果に基づいて、総務大臣から各大臣に勧告をして改善を促すということであります。
 もう一つ最後に、参考資料「政策分野別最近10年間の業際評価局調査実績の概要」ですが、過去10年に120から130本あるんですけれども、各行政分野別の調査の実績ということで、その流れに立って今回どうするのかをご議論いただく上で、参考となる資料を用意させていただきました。
 それで、本日御意見をお伺いしたいところは、資料4―3でテーマの候補として今挙げているものについてです。行政評価局の今のキャパシティーの関係から言って、23年度に新規着手できるものは大体7本ぐらいと考えております。
 そこで、総理の所信表明演説などに示された大きな観点から言ってどういうものが適当かを指し示す指針として、一つは「行政の刷新」でありますけれども、行政の効率化・適正化の観点からこのような分野、もう一つは、「いのちと生活」、あるいは「弱者に寄り添う行政」という分野があります。今、むしろ後者のほうが重点が高かろうということで、本数的にはこちらのウエートを高めるよう整理をしております。
 調査テーマ候補として挙がっているもののうち、まず、※印がついているものが六つございますが、これらは、昨年、有識者検討の場で御議論いただいたときにやるべきテーマとして議論にはなりましたけれども、優先順位、あるいはキャパシティーの関係で23年度以降という議論になったものについて、改めて今回、そこについてどう考えるのかというところから議論をしていこうというものでございます。
 また、○印のついているものは、事務的な検討をするとともに、また既に政務まで一度御相談をして、こういうことだろうかということで粗々挙げているものでございます。
 ◇印がついているものは、いずれやることが適当だろうと考えられるといたしまして、ただその実施時期というタイミングも考えなければいけない。例えば、今正に法律改正をした、あるいはしたばかりであって、少し実績を見て、それを踏まえて評価をすることが有効であろうとか、逆にもう少しすると到来する見直し期限に向けて行政評価局の評価結果をぶつけていくのが適当だろうけれども、そうであればもう少し待ったほうが有効であろうというようなことから、タイミングは少し後ろかなと考えているものであります。
 一番下の「引き続き検討、論点整理、情報収集等が必要なテーマ」欄は、各方面から指摘があったものについて、正に今国会で議論されているようなものについては改めてまた来年度以降、議論するとして整理することが適当かということで挙げているものでございます。
以上、内容につきましては、さらに資料4−4で簡単なコンセプトと、もし実施に当たっての時期などの留意点がある場合には書いております。
 本日、このような素案の骨子案をもとに御自由に御議論いただいて、これについてもっとこうしたらどうか、あるいはこのようなテーマがあるのではないかというようなことを御示唆いただきまして、それを踏まえて事務的に改めて整理をし、さらに政務三役にお諮りをした上で、この後のプロセスとしてパブリックコメントで国民からの意見の公募なども行った上でさらに議論を集約いたしまして、年度末ぐらいにこのテーマを決めて、23年度の行政評価等プログラムにまとめていきたいというものでございます。
 説明は以上にとどめまして、御議論を賜れればと思います。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。平成23年度以降の行政評価局自身が行う、いわば新規着手のテーマということでございます。これについて各委員から御意見をいただきたいと思います。
【清水臨時委員】  すみません、いいですか。
【谷藤分科会長】  どうぞ。
【清水臨時委員】  資料の4―3にテーマ案が列挙されており、いずれも重要なテーマであることはよく理解しているんですが、一つ奇異に思うのは、一体どのぐらいのリソースをかけてこういった調査をされるおつもりなのかということです。
 やり方によって内容的にも大分違ってくると思いますので、正確なコストとは言わないまでも、一体どのぐらいの人数というか工数をかけておやりになるおつもりなのか、これが事前に示されるものなのかというふうなことを教えていただきたいと思います。
 たまたま私は防衛省の調達業務に関することに8年ぐらいかかわっているんですが、過去何回も不祥事があるたびに大がかりな調査があったり、内部監査なども充実されてきているわけなんですね。有識者会議などもあります。それなのに調査をまた一からやられるのかと。やり方にもよると思うんですが、行政評価局さんがおやりになる調査であれば費用対効果が最も高いものという視点も当然入れなくてはいけないと思いますので、その辺の投入コストへの配慮をお聞かせいただきたいと思います。
【谷藤分科会長】  讃岐総務課長。
【讃岐総務課長】  金銭的に明確にはなかなかすぐに把握しがたいんですけれども、やり方といたしまして、現地の出先機関が総務省行政評価局にございます。主に今、ブロック8カ所で大体数名の人たちが、本省で示した様々な調査票をもとに現地の行政の現場まで出向いていって、実地調査あるいはヒアリングを3カ月ないし4カ月かけて行った報告書を本省にまとめまして、本省でまた数名のチームが半年から8カ月ぐらいかけてそれを取りまとめるというのが標準的な仕事の仕方であります。
【清水臨時委員】  テーマによっても調査ごとにも違うと思うんですね。ですから、その辺の大まかな予定工数があって、どこまでの成果を期待するのかでその選択も違ってくると思うんですが、その辺のところは事前にある程度お見積もりはあるわけですよね、ということなんです。
【讃岐総務課長】  例えば、資料4―4の左側欄にあります「防衛調達業務」ですと、あくまで一般的なことでありますけれども、防衛省で既に不祥事が相当あり、それに関して様々な改革方策を累次にわたって出しているわけですが、まだそれでも最近においても不祥事が顕在化したようなことがございました。そういったことから、方策が本当に徹底されているのか、方策に沿って契約手続がなされているのか、あるいはそれをしっかり抑制できるような仕組みができているのかというのを見ようということです。
【清水臨時委員】  すみません、一言だけ。それはよく分かるんですが、要するに、各テーマについて事前にどの程度リソースをかけてやるのかをお見積もりになるんですかということなんですけれども。
【讃岐総務課長】  リソースは大体何人ぐらいということでいけば、3カ月で三、四十人がこの調査に従事するとともに、現地調査でデータを集めるとともに、あと半年から八カ月の取りまとめに大体七、八人のチームが当たると。
【城代政策評価審議室長】  おっしゃっているように、テーマによって動員する人は相当変わってまいります。例えば、「国から補助・委託等を受けている公益法人」ですと、おそらく本省だけで調査できると思います。「農地公共事業」ですと、全国の農業用水利を現場で見なければならないだろうと。私どもとしては、テーマごとにある程度どこまで人数をかけなければならないかは事務的には当然考えます。
 ただ、現状、あまりそれをやりますと事務的に都合のいいところしかやらないんじゃないかと逆に言われますので、それも含めて全体で7本、その中でどこにどれだけの当方のコストをかけるかは私どもの内部で調整するという考え方でやっております。
【清水臨時委員】  要するに、考慮していただいているということですね。
【城代政策評価審議室長】  はい。
【谷藤分科会長】  全体として大体想定しているのは7本。
【城代政策評価審議室長】  7本ぐらい。
【谷藤分科会長】  そうしますと、こちらのほうでも7本をめどに、ある種の選定作業というよりも集約していくふうな方向性でよろしいでしょうか。
【城代政策評価審議室長】  さようでございます。
【谷藤分科会長】  それでは、御意見をどうぞ。立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  私も土日に資料をいただいて勉強してみたんですけれども、是非事務局、あるいは委員の先生方の御意見もお伺いしてよりいいものにというのが私の発言の真意です。
 結局、中央、あるいは中央の出先のベテランの方々の協力を得ながらやっていくというと、おそらくテーマを決めて着手して、それからいろいろ現地で調べたり、関係企業、関係者からヒアリング、その結果を持ち寄ってディスカッションした上で現状、問題点、それから課題、勧告という形でまとまってきて、大体1年後ぐらい。
 着手して結果が出てくるのは1年後となると、場合によっては、テーマを決めるときはそのときの内閣の施政方針演説で、是非我が内閣ではこれを最優先にやりたいんだ、是非御理解をと総理が力説されても、結局、政権交代しちゃったらその後出てくるとそれは一体どうなってしまうのかなということで、取りまとめに当たる皆さん方、事務局の方々もむなしさが出てくる。政権交代する前の総理が力説したものが、結果的にはものにならないことになってしまって、一体どういうことになるのかなと。その辺のところをどうやって解決していくかですね。
 私が考えたのは実はそのことなんですけれども、過去10年間、実施中も含めて行政評価局でいろいろやっているわけですが、最近は年金の調査の関係で随分人手がとられていると。私なんかは本当はもう少しこっちのほうに力を入れてもらいたいですが、自民党政権のときに民主党から批判を受けたこともあって、行政評価の人たちが年金のチェックにかなりかかわっているわけです。これがいつまで続くかはあれでしょうけれども、その辺のところを考え合わせると、これまでの行政評価のプロの皆さん方の結果をうまくまとめて、要は一生懸命いいものをつくっても、患者が死んだ後に医者が来ても仕方がないという例えから言えば、私はこういう状況の中ではスピードが大事だろうと思うんですね。
 そうなると、私が御提案することがどの程度行政の現場で考慮いただけるか分かりませんが、少なくとも過去、こういうテーマでこういった調査を行い、こういう問題点に基づいてこういう勧告をしたと。その勧告のフォローもしているけれどもということで、言うなれば、既存の行政評価局の調査、勧告から見た考察意見とも言うべきものをタイミングよく、時の政権が施政方針なり、あるいは内閣でそういった重要なアドホックな、例えば農業再生等をやるときに、行政評価局がこれまでの皆さん方の先輩の方々のプロの経験、手法も使ってやってきた結果から見て、少なくともこういうことは言えるぞと。是非内閣で議論される場合に、この辺のところは頭に入れた上で政策的な議論を進めていただきたいということを出していかないと、政権交代が異常なほど短いという状況の中で、せっかく時の政権の意を体して着手したけれども、出来上ったらもう政権が変わっていて使い物にならないことになりかねない。そこでこれまでの蓄積を踏まえながら、これまでの既往の調査、勧告結果から見て、そもそも今、内閣が重要としているこのテーマについては我々行政評価、監察のプロから見るとこういうことが言えるんじゃあるまいかというようなことを、是非スピーディーに問題提起して、これで不十分だというのは大車輪で我々これから調査に入りますけれどもということで。
 問題は納期が間に合わないとせっかくの皆さん方の熱意、問題意識、それから我々のあれが生きてこないことになりかねないものですから、是非納期のことも考えながら、既存の提起されたことも活用しながら。農業というのはおそらく二、三年前、四、五年前にやったものとそんなに現場の状況は変わっていないものもあるでしょう。あるいは大きく変わっているものもあるかもしれない。その辺のところは行政評価のプロである皆さん方も、我々が申し上げるまでもなくよく御存じのはずですから、それなども加味しながら、要は今の政権の問題意識にどうやってスピーディーにこたえていくか。1年後、2年後に出したのでは全然役立たないということで、納期のことをどうやって考えて皆さん方が知恵を絞られるか。私はこのことをしばらく前にも申し上げたことがございました。長くなりましたけれども、是非そのところをもう一回お考えいただけないかなという点が一つ。
 それから、もう一つは、前回も申し上げましたが、テーマの中で農業、TPPに関連しての農業、農地制度の問題、あるいは農地の集約化の問題。これはこれでいいんですが、外国人の問題を、ちょうど法改正で24年から改正されたものがスタートするということなんですけれども、一方では既に介護士、看護師ということでインドネシア、あるいはフィリピンから受け入れた人たちが試験を受けても、日本語の問題があってなかなか受からないということで、いろいろ改善もあるようですが、そういったことで法改正の問題はもちろん分かりますが、現に動いて改善されてきている点についても問題点が出てきているようなわけですから、法改正の結果を見て24年、25年と言わずに、できればもう少し前倒しして、タイミングを早めて調査に至ることも考えていただけないかなと思います。少し長くなりました。申し訳ありません。
【谷藤分科会長】  ありがとうございました。では、藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  この資料4―4に挙げられている候補テーマについて意見を申し上げてよろしいのでしょうか。
【谷藤分科会長】  はい。
【藤井委員】  先ほど御説明がありました行政評価局調査機能の特性という3点のポイント、あるいは今までに出てきております規制の事前評価を踏まえて利用していくことなどを考えますと、「行政の刷新」の分野では、「農地の保全及び有効利用」という項目が、一つの案として考えられるのではないかと思います。
 また、「国民のいのちと生活」の分野では「高齢者問題」のところが先ほどの特性の1点目から3点目のいずれにもかかわる問題のように受け止められますので、一つの選択の候補となり得るのではないかと意見を申し上げさせていただきます。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
行政評価局の総合性の観点から踏まえて、藤井委員には農地の保全と有効利用の問題と、それから高齢者の問題の二つほど御意見をいただきました。
 そのほかに各委員からどうぞ。
【讃岐総務課長】  あるいは全く別の、こういうものがあるということについても、今日この場でお願いできればと思います。
【谷藤分科会長】  ここに載っていないような、こういうことも考慮しろというような意見がございましたらどうぞ。佐藤さん、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  時の政権ということで言うと、ワーク・ライフ・バランスが微妙だなと思うのは、どうしても例の子ども手当の話とか、幼保一体化の問題を避けて通るわけにもいかないということになりますので、ここでは子ども手当を前提に議論したけれども来年になってみたらなかったよというとしゃれにもならないことになります。
 ただ、そういう縛りにとらわれないでもう少し長い目で見ようというんだったら、確かに御指摘のとおり非常に重要なテーマだろうと。以前トライしてあまり結果もよくなかった気がするので、ただこの間である程度相場観があるというのであれば、少しじっくり腰を据えて、あまり今のフレームにとらわれないでという前提ならばいいんですが、今のフレームを前提にスピーディーにというのはどうかという感じかなと思います。
 あと、多分、今回、総務省さんがやる行政評価については、もちろん自殺の問題も高齢者の問題も重要性は分かっているんですけれども、逆に世間に対する一種の発信というか、意外と個別問題として理解されているけれども、今後重要になってくるんじゃないかというのが、私は水害と土砂災害の問題だと思うんですね。
 いろいろなイベントがあるごとに老人ホームが流されたりして、気の毒だな、問題だなと言われるんですけれども、これは根本的に日本の地域経済の問題というか、過疎問題になってきて、例えば、そもそもそんな危ないところに人を住まわせていいのかという議論にまでつながってくるんですね。
 今、多分、国土交通省さんなんかでも議論していると思うんですけれども、つまり土砂堤防も含めて堤防をきっちりつくって災害が起こらないようにするのか、ある程度は許容して危ないところには人を住まわせないという方向に政策を転換するのかと。もちろんいろんな御意見があると思うんですけれども、非常に大きなイシューだと思いますので、既存のフレームのままで行っていいのかどうか。特にこれは高齢化社会、それから過疎問題、限界集落といった問題を抱えていますので、ある種問題提起として、今の国土開発の在り方そのものにかかわってくるのではないかという点では、悪くないかなという気はしております。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
そのほかに御意見ございますか。堤さん、どうぞ。
【堤臨時委員】  私も今、佐藤先生がおっしゃったような高齢者に関する問題、限界集落等、是非盛り込んでいただきたいんですが、テーマ候補では高齢者問題とバリアフリーとが分けてあるんですが、これは一体で考えるべきものだと思いますので、その辺がなぜ分かれているのかよく分からないところがあります。高齢者問題を扱うのであればこの二つは総合的に扱っていただきたいということと、あと例えば、自殺とかいった問題、先ほどの防衛省の調達の話もなんですが、10年ぐらい前にやったものが1回出てくるみたいな、同じテーマで既にやられているものが幾つかあるんですが。1回やったものを少しぐらいは混ぜていく考え方も必要かと思います。
 それから、最後、新しいテーマということで私自身思うのは、いわゆる環境絡みが今回薄いのかなという気がして、エコポイント等で、ある種需要を前倒ししてやったものが本当に効果が上がっているのかみたいな話は、今の時点では評価できないのかもしれないんですが、少しこんなことも考えていただいたらどうかなということで。環境あるいはそれに関連するエコポイントみたいなものですか、ちょっと問題提起をさせていただきます。
【谷藤分科会長】  そのほかに御意見ございますか。牛尾さん、どうぞ。
【牛尾臨時委員】  欲張りかもしれないんですけれども、全体的な問題を選択するうえで、今、事業仕分けとかいろいろな評価の部分が出てきていますので、行政評価、政策評価として一番強みを発揮できる、これまで持っておられた実績とか何かで政策評価、行政評価局でなければこれはできないんだというテーマが、私は政策評価の決定的な重要性、優位性のポイントになると思いますので、その部分を是非選定のときに考えていただければいいなと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。そのほかにございますか。どうぞ。
【門脇臨時委員】  今の話と同じですが、評価を受ける政策が選ばれる母集団や、さらにその為のスクリーニングの基準はディスクローズされているのでしょうか。特に行政運営の効率化や適正化に係る政策の選定には重要だと思います。
 これは非常に難しい問題かもしれませんが、要するに、評価する政策の選定基準を明らかにしていくことが重要だと思います。政策の規模、受益者の数、過去に一度も評価を受けたことがない、さらには国民的関心の高さ等々、いろいろあると思いますが、スクリーニングにかける基準を明らかにし、透明性を上げれば、政策評価の信頼性も高まるのではないかと考えます。
【谷藤分科会長】  そのほか、ございますか。これについて何かそちらから説明はございますか。讃岐総務課長。
【讃岐総務課長】  大変貴重な御意見をたくさんいただきました。これをどのようにして選んだのかという基準、正になかなか難しいところではあるんですが、包括的には示しているわけですけれども、なかなかこの包括的なところから個別のところまで行かない。それに至るには予算の多寡とか、社会問題としての事象の捉え方、あるいはこの内閣、あるいは総務省の政務からの強い意向など、様々な要素が出てくるわけです。それぞれがどのようにして選ばれたのかは、選んだ時点ではしっかりと説明をしてやっていくと。そして、そのねらいが何なのかということもしっかりさせていく。
 立花先生が御指摘になったように、納期がしっかりしないと意味のあることができない。もちろん政権がまた代わってしまえばということはあるかもしれませんけれども、そうであろうとなかろうと、まず何のために、何の見直しに結びつけるためにこれをやるんだという納期をはっきりさせるということで、これも今、明示するようにしているところです。
 さらにそれを、これまでやってきたことも含めて、どういうことをやってきたのか、いろいろな資料は確かにまとめてはいるところですけれども、効果的に、見て分かりやすく説得力のある資料にすることが重要な御指摘かと思いますので、よく考えないといけないと。
 それから、行政評価局ならではの、ということでありますが、正にいろいろ行政評価局の特性を生かしてできるようなものを、リソースの問題もありましたけれども、資源をそういうところにしっかりと当てはめてやっていくことが重要だろうと考えております。
 そのほか個別の御指摘がございました点につきましては、これをさらに精査していく中でよく論点を整理いたしまして、これに盛り込む、あるいは優先順位を決めるときに参考にさせていただきたいと思います。その結果をまた3月28日にこの分科会があろうと思いますので、そのときに御報告できるように整理したいと思います。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。最後にこれだけはというような御意見がございましたら。ございませんか。よろしいでしょうか。
 時間の関係もございますので、本日はこれで終わりたいと思います。
 3月28日までに最終的なテーマの絞り込み作業があるわけですか。
【讃岐総務課長】  そのときまでに、また政務と御相談、あるいはパブリックコメントの結果も踏まえて整理をして、その段階で整理できるものを御説明したいと思います。
【谷藤分科会長】  分かりました。それでは、最後に今後の日程だけを明示していただけますか。
【佐伯政策評価官】  それでは、次回は3月28日月曜日の14時から16時ということで予定をしております。場所はまだ決まっておりませんが、追って御連絡をしたいと思っております。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、政策評価独立行政法人評価委員会の政策評価分科会の本日の分を終了いたしたいと思います。本日は御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございました。これで終わりたいと思います。

以上




ページトップへ戻る

政策評価・独立行政法人評価委員会
サイドナビここから
サイドナビここまで