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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(12月12日開催)議事要旨

−速報のため事後修正の可能性あり−

日時

平成23年12月12日(月)10時00分から12時15分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、森泉陽子委員、小野達也臨時委員、門脇英晴臨時委員、城所幸弘臨時委員、佐藤主光臨時委員、高橋伸子臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田中弥生臨時委員、堤盛人臨時委員、中泉拓也臨時委員、森田朗臨時委員
(独立行政法人評価分科会所属委員)
河野正男臨時委員
(財務省)
大臣官房文書課政策評価室古川室長
(厚生労働省)
田原政策評価官
(農林水産省)
大臣官房評価改善課金丸課長
(総務省行政評価局)
川端総務大臣、新井行政評価局長、井波官房審議官、上村官房審議官、三宅総務課長、山内政策評価官、永留政策評価審議室長

議題

目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等について

配布資料

会議経過

(1)会議の冒頭に川端総務大臣より挨拶があった。概要は以下のとおり。
○ 谷藤分科会長をはじめ、委員の皆様には、精力的に審議を進めていただき、日頃の御活動に改めて御礼申し上げる。
○ 政策評価は、各府省におけるPlan-Do-Check-Actionというマネジメントサイクルを有効に働かせ、また、国民への説明責任を果たすため、様々な角度から評価を行うことで国民に信頼される行政を実現するために重要な機能である。
○ 評価を行うためには、政策の目的と手段の対応関係を明示するとともに、あらかじめ政策効果に着目した目標を設定することが必要。また、評価結果等の公表に当たっては、国民にとって理解しやすいものとなるよう工夫していくことが大事である。
○ 皆様の御議論も、その認識のもとに進めていただいていると思っている。事前の評価、目標設定がしっかり行われ、それが国民に対して分かりやすく明示されることによって、よりよい行政となることに資するためにしっかりと御議論いただきたい。
○ 私としても、更なる政策評価制度の改善に取り組んでまいりたいと思っており、委員の皆様方に、より一層の御指導、御協力を願いたい。

(2)「目標管理型の政策評価の試行状況等について(財務省)」について、財務省大臣官房文書課政策評価室古川室長から説明。質疑等の概要は以下のとおり。
○ (1)財務省の政策評価について、例えば参考資料「平成23年度政策評価実施計画(抜すい)」を見ると「財政健全化」に向けた目標が記載されているが、これは極めて政治的要素が強い政策であり、省庁で実施している政策評価結果がどこまでトップの判断に影響を及ぼしているのか、(2)政策評価結果については直接、大臣に対して届いているのかとの質問に対し、(1)いろいろな外部要因を踏まえた上で我々の業務の状況がどうだったのかきちんと整理し、それを幹部にも見てもらうのが政策評価の役割であると考えている、(2)政策評価結果については大臣を含めた政務三役の決裁を頂いているとの説明があった。
○ 政策評価と行政事業レビューとの関係について、財務省の中でどのように整理されているのかとの質問に対し、財務省の目標・業務の性格を考えると、なかなか具体的連携が難しいものもあるが、行政事業レビューとの連携の観点から業務に政策評価をできるだけ絡ませていくようにしているとの説明があった。
○ 政策評価と政治判断との整合性はどのように図られているのかとの質問に対し、内閣の方針等に沿ったところで財務省の政策目標を設定しているとの説明があった。
○ 政策の優先順位については政治判断があると思うが、例えば、税制抜本改革のための「ペイアズユーゴ―」のルールは、(1)政治判断で話が進んでいるのか、財務省が政策判断をしているのか、(2)当該ルールが適正かどうかの評価はどこが実施しているのかとの質問に対し、(1)政府として「ペイアズユーゴ―」といったルールを踏まえて税制改革を実施するというのであれば、財務省としてそれを踏まえて業務を実施することとなる、(2)政策評価の対象となると思うが、評価書で「ペイアズユーゴ―」についての記述をどうするかはまだ分からないとの説明があった。
○ カスタマイズすると一覧性が失われて国民から分かりにくくなるので、例えば欄を削除するのではなく欄を残して空欄にするということは考えなかったのかとの質問に対し、御指摘については検討したが、特に予算関係の内容についてかなりの部分が空欄になると思われるため、また、目標の達成と予算事業の関連性が薄いため、財務省のカスタマイズとして簡素化するのが望ましいと考えているとの説明があった。
○ (1)財務省においても定量的な目標設定ができる分野があるのではないか、(2)予算事業について「予算編成過程時の想定より効果が出なかった」といったように「反省」するためにも事後評価が重要ではないかとの質問に対し、(1)例えば関税に関する業務など目標を数値化できるものは実施している、(2)予算事業については、財務省を含めそれぞれの主管省庁が事後評価を実施していくものであるとの説明があった。

(3)「厚生労働省における目標管理型政策評価の実施状況等(厚生労働省)」について、厚生労働省田原政策評価官から説明。質疑等の概要は以下のとおり。
○ 行政事業レビューとの連携の整理は非常に重要だと思うが、うまく実施できそうか、実際の事務負担はどうかとの質問に対し、検討段階であるが、例えば行政事業レビューとの関係については、今の評価書では事業がどういうふうに成果に対して貢献したのかが見えないので、できるだけ見えるようにしたいと考えているとの説明があった。
○ (1)施策中目標に関連して標準様式のカスタマイズ版を見ると、目標そのものを記載するところがないように見えるが、どういう整理になっているのか、(2)「厚生労働省における事後評価の実施に関する計画」の目標値を見ると、定量的なものばかりになっているが、厚生労働省の所管事項はクオリティ・オブ・ライフに関するものが多く、定性的な目標もあるべきだと思うが、そういったものはどのように調べているのかとの質問に対し、(1)「施策の背景、枠組み」欄に記載している、(2)定量的な指標についての評価の記載が難しい場合には、定性的なものも記載できるようにしているとの説明があった。
○ (1) 87施策中目標の評価と事務事業レベルの評価につき、実際に両者をつなげてPDCAサイクルを回す場合に、やはりこの施策中目標のレベルでPDCAサイクルを回していくことになるのか、(2)目標設定が困難なものが多いと言われていたが具体的に教えてほしいとの質問に対し、(1)今年度に関しては、施策中目標レベルで評価し、PDCAサイクルを回している、(2)例えば就職率など、外部要因によって左右されるものについては設定が難しいとの説明があった。
○ 施策中目標と予算書の項とを対応させているという話であるが、政策評価の概算要求への反映につき状況を具体的に教えてほしいとの質問に対し、原課はぎりぎりまで予算要求額を詰めることを優先していることもあり、原課にとって政策評価の反映状況の整理は負担に感じているようであるが、当室としては翌年度要求額の項目や政策評価の反映状況についてもきちんと整理してもらうよう指導に努めているところであるとの説明があった。

(4)「目標管理型の政策評価の実施状況について(農林水産省)」について、農林水産省大臣官房評価改善課金丸課長から説明。質疑等の概要は以下のとおり。
○ 事前分析表における「政策手段一覧」において、法律、予算、交付金、補助金、経費、事業等が記載されているが、これらは互いに重複が生じていないのかとの質問に対し、重複は生じていないとの説明があった。
○ 事前分析表における「政策手段一覧」において「関連する指標」を定めているが、政策手段ごとの達成目標の記載はないのかとの質問に対し、達成目標の記載については行政事業レビューシートで対応しており、事前分析表では施策の指標と政策手段との対応関係のみを整理しているとの説明があった。
○ 上位政策レベルの評価をしてから事業レベルの評価をする場合、単純化して言えば事業単位のチェックを抜きにして、大きいくくりの政策レベルの評価を先にすることになるが、両者をどのように運用していくのかという質問に対し、(1)両者は同時に一体化して進めて行きたい、(2)24年から農林水産省では政策評価と行政事業レビューを評価改善課で行うこととなったため、作業担当者の負担からしても両者を同時に行う方が効果的になると考えているとの説明があった。
○ 政策評価と行政事業レビューを同時に進める場合、どのような流れになるのかとの質問に対し、予算要求作業等に評価結果を活用するため、5〜7月頃を中心に両者が同時に作業できるようにすることを考えているとの説明があった。
○ 政策評価と行政事業レビューを同時に進めることについて、新しい年度に入ったばかりの時期に前年度の実績を把握することは難しいのではないかという質問に対し、時期的に制限はあるが可能であるとの説明があった。
○ 総合評価を行っている横断的施策についても標準様式でおおむねうまくいくのか、それとも変更がもう少し必要と考えているのかとの質問に対し、総合評価を行う政策分野については数値目標を設定していないため、当該項目を削除しているとの説明があった。
○ 要因分析は重要であると思うが、達成度が悪い場合にしか要因分析が記載されないのはなぜか、政策がうまくいった場合の要因は記載されないのかとの質問に対し、基本的に予定どおり政策がうまくいけば問題はないため、本年においては、達成度合が悪かった指標について要因分析を行ったが、達成度合が150%以上になった指標についても、指標や目標値自体の妥当性を含めて、分析しているとの説明があった。

(5)目標管理型の政策評価の改善方策に係る試行的取組の実施状況等について、フリートーキングを行った。フリートーキングの概要は以下のとおり。
○ 目標管理型の政策評価は誰に対して行うものなのかということに関連することであるが、各府省のカスタマイズについて、様々に細かいカスタマイズを行っているが、微細なカスタマイズであっても、それが積み重なれば、一覧性に欠けてしまい、横並びの比較が難しくなる。国民に対する分かりやすさに主眼を置くのであれば、カスタマイズは基本的には認めず、必要な記述は備考欄に書くなどとすべきではないかとの意見があった。
○ 各府省における「評価疲れ」の一因として、行政事業レビューや事業仕分けとの相違が不透明であることがあるのではないか。我が国が抱える大きな課題は、「コストをどう省くか」の観点ばかりに目が行きがちで、「政策にどういう効果があってコストに見合うものなのか」という客観的な議論が不足していることにある。政策評価にあっては、政策に要した費用も含め、政策の効果について科学的・定量的に分析する観点から、政策評価に係る問題点を整理すべきではないかとの意見があった。
○ カスタマイズについて、各府省の取組を支援し、各府省におけるPDCAサイクルを機能させるために、標準の様式としては最低限のものを求め、「要旨」として用いるといったことを含め、カスタマイズは幅広く認めるべきではないか、少なくとも今まで工夫していた部分がなくなってしまうことは避けたいので、標準様式に追加していくような取組は奨励すべきとの意見があった。
○ 行政事業レビューとの連携も含め、目標管理型の政策評価が、予算要求時に使いやすく、また、PDCAサイクルを有効に機能させることに資するものとなるよう、各府省の意見を踏まえ、工夫いただきたいとの意見があった。
○ 府省間で描かれている政策の階層のレベルが大きく異なる、又は、体系がうまく描かれていない府省があるという現状のなかで、今回の取組は、体系の整理を促すことにつながったと思う。他方、今後、府省全体を見ていくに当たっては、府省間の政策の階層のレベルの違いをより明確にすべきとの意見があった。
○ 政策、施策、事業の各段階での評価を縦に串刺しで見ることができるようにすることが本来目指すべき姿ではないかとの意見があった。
○ 国民への説明責任を果たすとともに、情報を共有し、政策論議のレベルを高めるためには、国民が読み通せる程度の情報量に抑えるという工夫も必要なのではないかとの意見があった。
○ 今般の取組の目的が、評価書の一覧性を確保することで府省間での評価書の比較をできるようにすることにある場合には、カスタマイズの幅は最小限とすべきであり、各府省における政策評価の取組を支援することにある場合には、できるだけカスタマイズを認めるべきとなる。ただ、当分の間の移行措置として、広くカスタマイズを認めるという考え方もあり得る。まずは、戦略を明確にすべきであるとの意見があった。
○ ヒアリングを通して、施策目標と達成手段との関係の整理の必要性に疑問を感じるといった意見が多く、驚いた。これは、施策の目標とその達成手段たる事務事業が対応するという縦の関係が各府省に理解されておらず、施策と事務事業をうまくつなげられていない府省が多いためではないか。施策とその達成手段たる事務事業の間には縦の関係があるということが理解されるよう、総務省として努力する必要がある、との意見があった。
○ 政策評価、行政事業レビューなどの評価は、いわば「健康診断」として、各府省で使っていってほしい。その際、「予算要求ありき」になると、評価も「いかに良いことを書くか」というものに陥ってしまう。そうではなく、一つの目標を達成する上で採りうる事業を自ら選別する手段として活用するという視点が必要であるとの意見があった。
○ 政策評価の課題として、現状把握ができていないことが挙げられる。特に外部からも評価の過程を分析できるよう、総務省において、データベースを作っていくなどの対応が必要であるとの意見があった。
○ 民間において政策評価のような取組を行う際には、組織がアウトプットとして求める価値を明確にして行う。現状の政策評価においては、無駄な政策を浮かび上がらせ、新しい政策に結び付けていくような流れが見えていない。このようにPDCAサイクルが回っていることが分からない状況にあるために、「評価疲れ」が出てきているのだろう。政策評価を行うに当たっては、効率的な政策や非効率的な政策が浮かび上がるような評価を行うべきであり、その結果として実質的にPDCAサイクルが回るようなものにするべきであるとの意見があった。
○ 評価書の様式を統一化し、政策のデータベースを作り出すことは、科学的分析のための非常に大きな一歩となるので、どのようにデータベースを作っていくか今後研究していくべきとの意見があった。
○ 事業官庁と制度官庁や監督官庁とでは、目標管理型の政策評価への取組のやりやすさに違いがあるとヒアリングを通して感じた。前者であれば、ヒアリングを受けてブラッシュアップを加えた上で、新しい共通様式を提示できるのではないかと思うが、後者については、どこまでカスタマイズを認めるのかに関して更なる検討が必要であるとの意見があった。
○ 今般の目標管理型の政策評価の基本的な考え方について、各行政機関の幹部職員によるマネジメントにおいて積極的に活用されることと、国民にとって分かりやすいということの両方を同時に達成することは困難であり、考え方を整理する必要があるとの意見があった。
○ 今般の取組の基本的な考え方を、組織のミッションを明確にし、幹部職員によるマネジメントに活用されることをもって政策の質の向上を図るための取組だと理解するならば、ある程度のカスタマイズを許容することはやむを得ないのではないか、積極的に認めるべきなのではないかとの意見があった。
○ 各府省から挙げられていた、評価結果をどのように活用するかについて、実践的に整理すべきとの意見があった。
○ 内部評価用と外部報告用では目的が異なるため、含まれるべき情報も異なってくるものと思うが、国民に対しては様式が統一されていることが望ましく、外部報告用として、評価書の要旨を統一的な様式にしてもいいのではないかとの意見があった。
○ PDCAサイクルをいかに回すのかということが議論になるが、政策決定に評価結果をいかに反映させるかがポイントであると考えている。評価書を公開したとしても、実際の政策の改善につながらなければ意味がないため、カスタマイズを認めても良いから、政策決定への反映を担保すべきであるとの意見があった。
○ 評価結果が公表され、国民がそれを見ればいろいろなことが分かるという意味において、評価書の様式をあまり簡略化することなく、情報量を担保することが重要との意見があった。
○ 指標が数多く設定されているが、どのように統計的に処理されているか分からず、科学的な分析には至っていないと感じている。今後は、コスト削減に係る議論だけでなく、次の段階として政策の効果について科学的に検証するといったレベルまで踏み込んだ議論ができるようになっていただきたいとの意見があった。
○ 御指摘いただいた点について、まずは、事務局において関係方面と調整し、具体策を詰めていただきたい。その上で、次回の分科会において、来年度以降の取組について審議したい。


以上
(文責:総務省行政評価局政策評価官室)



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