自動車運送事業における事故防止対策に関する行政評価・監視
の勧告に伴う改善措置状況(その後)の概要

〔調査の実施時期等〕
 1 実施時期 平成14年12月〜16年5月
 2 調査対象機関 国土交通省、厚生労働省、自動車運送事業者

〔勧告日及び勧告先〕 平成16年5月26日 国土交通省、厚生労働省

〔回答年月日〕 平成17年2月28日 厚生労働省
  平成17年3月30日 国土交通省

〔その後の改善措置状況に係る回答年月日〕
  平成19年7月9日 厚生労働省
  平成19年7月10日 国土交通省


〔行政評価・監視の背景事情等〕
  バス事業、タクシー・ハイヤー事業、トラック事業の事業者数、車両数、交通事故件数は、いずれも増加
        事業者数 平成5年度末 約 9万9,000事業者 14年度末 約 11万6,000事業者
  車両数 平成5年度末 約133万台 14年度末 約146万台
  交通事故件数 平成5年 約 4万6,000件 14年 約 6万6,000件
  事業用自動車には大型車が多く、その乗車人員も多いこと等から、いったん事故が発生した場合の被害や社会的な影響も大
  自動車運送事業における安全を確保し、事故防止の徹底を図る観点から、自動車運送事業者における運行管理及び車両の整備管理の実施状況、地方運輸局等の自動車運送事業者に対する指導・監督の実施状況等を調査



主な勧告事項 関係省が講じた改善措置状況
 
「回答」時に確認した改善措置状況
「その後の回答」時に確認した改善措置状況

平成16年6月10日に開催した16年度第1回全国監査担当課長会議(地方運輸局監査担当課長が対象。以下「監査担当課長会議」という。)並びに同年11月11日及び12日に開催した16年地方運輸局自動車技術安全部安全・環境課等専門官会議(以下「専門官会議」という。)において、今回の勧告及び結果報告書を配布し、勧告の趣旨を徹底
(国土交通省)
  同一事業者における同一原因・同一内容の事故の再発防止対策の徹底等
  国土交通省は、同一事業者が繰り返し引き起こしている同一原因・同一内容の事故の再発防止や重大事故の正確な状況分析等に必要不可欠な事故報告書の提出の徹底を図る観点から、
(1)   事故情報分析システムにより、同一事業者が繰り返し引き起こしている事故のうち原因の種類が同一の事故の検索を行った上で、この検索を行った事故に係る事故報告書に基づき、同一内容の事故を特定すること。
  また、同一原因・同一内容の事故を再発し、その都度従前と同じ形式的な社内指導を繰り返すなどにとどまっている事業者に対し、再発を防止する上で有効と認められる方策を提示するとともに、その方策の実施について指導し、その励行状況の確認を行うこと。
(説明)
○   事業者
    業者は、重大事故(事故のうち、死者、重傷者を生じた事故等)を引き起こした場合、事故の発生日時、事故の種類、事故の原因等を記載した事故報告書を運輸支局に提出する義務あり
(道路運送法第22条、貨物自動車運送事業法第24条、報告規則第3条)
○   国土交通省(運輸支局)
    事故情報分析システム
  事業者から事故報告を受けた運輸支局は、事業者名、事故の種類、事故の原因(「発車時の安全確認の不良又は不履行」、「乗降口扉の開閉不適切」等152種類)等を事故情報分析システムに入力
  15都道府県の136事業者を調査
    うち、平成11年4月から14年9月末までの間に、同一原因・同一内容の事故を3回以上繰り返しているバス事業者が8事業者
上記事業者の事故の総回数 (73回)
事故による負傷者数  (73人、重傷者52人、軽傷者21人)

○   このような状況に対して、
    事業者は、形式的な社内指導の繰り返しだけで、覆面チェックによる運転者の安全運転の励行状況の確認等有効と認められる再発防止策を未実施・不徹底
    国土交通省は、有効な再発防止対策を講じていない事業者に対し、対策の提示と指導等を未実施


→1)   同一事業者における同一原因・同一内容の事故の再発防止対策総論
  同一の事業者による同一原因・同一内容の事故(以下「同一事故」という。)の再発防止を図るため、「旅客自動車運送事業の監査方針の細部取扱いについて」(平成14年1月17日付け国自総第423号、国自旅第148号、国自整第146号自動車交通局総務課安全対策室長、自動車交通局旅客課長、自動車交通局技術安全部整備課長通知。以下「旅客細部取扱い」という。)及び「貨物自動車運送事業の監査方針の細部取扱いについて」(平成15年2月14日付け国自総第458号、国自貨第93号、国自整第181号自動車交通局総務課安全対策室長、自動車交通局貨物課長、自動車交通局技術安全部整備課長通知。以下「貨物細部取扱い」という。)を平成16年6月30日に改正し、同年8月1日以降、過去3年間に同一事故を3回以上繰り返した事業者については、監査を実施することとし、再発防止の徹底に努めているところ。

⇒1)   平成17年3月31日に「旅客自動車運送事業の監査方針の細部取扱いについて」(平成14年1月17日付け国自総第423号、国自旅第148号、国自整第146号自動車交通局総務課安全対策室長、自動車交通局旅客課長、自動車交通局技術安全部整備課長通知。以下「旅客細部取扱い」という。)及び「『貨物自動車運送事業の監査方針について』の細部取扱いについて」(平成15年2月14日付け国自総第458号、国自貨第93号、国自整第181号自動車交通局総務課安全対策室長、自動車交通局貨物課長、自動車交通局技術安全部整備課長通知。以下「貨物細部取扱い」という。)を改正し、17年7月以降、事故、苦情又は法令違反が多いと認められる事業者への重点監査の際、前回実施された監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況を確認
  また、平成17年12月8日付けで貨物細部取扱いを、17年12月9日付けで旅客細部取扱いを各々再改正し、18年2月1日以降、行政処分等を行った事業者に対する改善状況を確認するため、その後、フォローアップの監査を行うなど、再発防止のための指導を徹底。この改正にあわせて、18年2月から3月を強化監査期間として集中的に監査を実施した結果、2か月で907件(前年比1.6倍)の監査を実施
  同一の事業者による同一原因・同一内容の事故の発生が多いバスの車内事故については、「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会」において、事故要因の分析と対策について検討を行い、平成19年3月に「バスの車内事故を防止するための安全対策の提言」をとりまとめたところ。同提言に基づき、7月には社団法人日本バス協会が全国的なキャンペーンを展開してバス利用者への啓発活動等を行うなどしているところ。今後も同提言に盛り込まれた対策を順次実行に移し再発防止を図るよう、事業者を指導していく予定
(注)   国土交通省は、平成17年12月の改正により、「重点監査」を「巡回監査」に名称変更した。

→2)   同一内容の事故の特定、再発防止対策の提示、指導、励行状況の確認について
  同一事故を特定し監査対象事業者の選定を容易にするとともに、同一事故の原因等を分析するため、平成17年度から19年度にかけて、「自動車事故報告データベースを用いた事故情報分析システム」(以下「事故情報分析システム」という。)を構築する予定。この事故情報分析システムにより、従前と同じ形式的な社内指導を繰り返すなどにとどまっている事業者に対し、有効な再発防止策の提示及びその指導の効率的実施が可能となる。
  また、平成16年度内を目途として、旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いを各々再改正し、事故、苦情又は法令違反が多いと認められる事業者に対し、重点事項を定めて行う重点監査の重点事項として、「監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況」を追加する予定。これにより、平成17年4月以降、その後の改善状況の確認が必要であると認められる者に対し行う監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況の確認を確実に行っていく予定
(総務省注)   国土交通省は、平成17年3月31日付けで旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いを各々再改正し、事故、苦情又は法令違反が多いと認められる事業者に対し、重点事項を定めて行う重点監査の重点事項として、「監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況」を追加した。
  なお、貨物自動車運送事業者(以下「トラック事業者」という。)については、平成15年4月以降、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第38条に基づく地方貨物自動車運送適正化実施機関(以下「適正化実施機関」という。)として指定された都道府県トラック協会が行う巡回指導の対象に、地方運輸局及び運輸支局が監査において再発防止対策の実施を指示しその改善状況の確認が必要であると認めるトラック事業者を追加し、都道府県トラック協会において、監査で指摘した再発防止対策が確実に行われているか確認を徹底している。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示

⇒2)   「自動車事故情報収集・分析システム」については、平成17年度に業務分析・基本設計を行い、18年度には詳細設計を終えたところであり、19年度からはシステム構築・稼働を行う予定
  監査等の際に事業者に対して行った指導の励行状態の確認については、前述 1)参照
  地方運輸局及び運輸支局が監査において再発防止対策の実施を指示し、その改善状況の確認が必要であると認める貨物自動車運送事業者(以下「トラック事業者」という。)については、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第38条に基づく地方貨物自動車運送適正化実施機関(以下「適正化実施機関」という。)として指定された都道府県トラック協会が行う巡回指導の対象としており、当該巡回指導の際に監査で指摘した再発防止対策が確実に行われているか確認を徹底しているところ。
  地方運輸局及び運輸支局においても、貨物細部取扱いに基づき、都道府県トラック協会の巡回指導の結果、「悪い」又は「大変悪い」という評価がなされた事業者でその後の改善が確認できない事業者には、巡回監査を実施
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。


→3)   これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)

3)   今後とも、勧告の趣旨を踏まえ、引き続き適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)
(2)   事故報告については、事業者に対し、期限内の提出の励行を指導するとともに、報告が遅延している事業者に対しては督促を徹底すること。また、報告が繰り返し遅延している事業者及び報告を提出していない事業者に対しては、監査を実施し、指示に従わないものについては、厳正な処分を行うこと。
(説明)
  15都道府県の136事業者を調査
    平成13年5月から14年9月末までの間に、有責重大事故に係る事故報告書を提出している事業者は86事業者、その事故報告書の提出件数は246件
    このうち、
期限を遵守していないもの(30事業者で47件)
事故発生から報告まで90日以上経過しているもの(11件、最長は192日)
事故報告書を複数回提出しているもの(43事業者、提出件数合計203件)
  また、事故報告書の提出の有無について、平成11年4月から14年9月末までの間に、報告すべき事故を引き起こしているにもかかわらず、事故報告書を提出していないもの
(4事業者で7件)
→○   地方運輸局又は運輸支局は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第108条の34に基づき、都道府県公安委員会から、平成15年2月以降は死亡事故及び悪質な交通違反の情報について、同年9月以降は傷害事故の情報について、情報提供を受けることとした(以下、これら都道府県公安委員会からの通報を「108条通報」という。)。これにより、事故報告書提出対象となる事故のうち、死者や重傷者が発生した事故についてより確実な把握が可能となったことから、これらの事故を引き起こした事業者が事故報告書を提出していない場合には、提出の督促を行っている。
  また、事故報告書提出対象事故のうち物損事故については、108条通報の対象に含まれない可能性があることから、これら物損事故については、従前と同様に新聞情報等に留意し、事故報告書の未提出者の把握に努め、提出の督促を行っている。
  自動車事故報告書の提出の更なる徹底を図るため、平成16年6月30日に旅客細部取扱いと貨物細部取扱いを改正し、17年2月1日以降、期限内に提出のなかった事業者をすべて監査の対象とし、確実に指導を実施することとしている。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)

⇒○   地方運輸局又は運輸支局は、平成15年2月以降、道路交通法(昭和35年法律第105号)第108条の34に基づき、都道府県公安委員会から、死亡事故及び悪質な交通違反等の情報の提供(以下、これら都道府県公安委員会からの通報を「108条通報」という。)を受けており、これらの通報のあった事業者が事故報告書を提出していない場合には、提出の督促を行っている。
  108条通報の対象に含まれない可能性のある事故についても、新聞情報等に留意し、地方運輸局間で相互に事故情報の提供を行うなど、未提出者の把握に努めるとともに、提出の徹底に努めている。
  さらに、自動車事故報告書の提出の徹底を図る観点から、平成16年6月30日に改正した旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いに基づき、期限内に事故報告書の提出がなかった事業者については、すべて監査の対象とし、確実に指導を実施
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。
  今後とも、勧告の趣旨を踏まえ、引き続き適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)
  運行管理及び車両整備管理の徹底並びに監査及びこれに基づく行政処分の厳正な実施
  国土交通省は、事業者における運行管理、車両整備管理の徹底並びに監査及びこれに基づく行政処分の厳正な実施を図る観点から、
(1)   事業者に対し、道路運送法、貨物自動車運送事業法、運輸規則及び安全規則、労働時間の改善基準等にのっとり、運行管理を徹底するよう指導すること。
(2)   事業者に対し、車両法等にのっとり、車両整備管理を徹底するよう指導すること。
(3)   監査及びこれに基づく行政処分については、次の措置を講ずること。
1)   トラック事業者に対する監査については、事業者における運行管理及び車両整備管理の徹底を目的とする監査を効果的かつ効率的に実施するために、過去に事故を引き起こした回数等から法令違反等が多いとみられる事業者を重点的に監査対象として選定するよう、監査方針等に明定するとともに、これに基づく監査を確実に実施すること。
  また、バス及びタクシー・ハイヤー事業者に対する監査については、 監査方針等に基づき、事故の多いと認められる事業者に対する監査を徹底すること。
2)   第一当事者と推定される死亡事故を引き起こした事業者及び事故を連続して引き起こしている事業者に対する監査を徹底すること。
(説明)
○   事業者の責務
    運行管理:営業所ごとに、運行管理者の選任を義務付け。運行管理者の業務は、運転者の疾病、疲労、飲酒等の有無を確認するため、乗務しようとする運転者に対する点呼等の業務を実施 等
    車両整備管理:営業所等ごとに、整備管理者の選任を義務付け。整備管理者の業務は、車両の定期点検等車両整備の管理に関する業務を実施 等
○   国土交通省(地方運輸局、運輸支局)
    自動車運送に係る事故防止の徹底を期するとともに、運輸の適正を図ることを目的として、事業者に対し監査、行政処分を実施
○   15都道府県の136事業者を調査
    136事業者中126事業者に不適切事例あり
○   調査した8地方運輸局、15運輸支局の対応は、
    事業者が、第一当事者(事故に関係した者のうち、過失が最も重い者など)と推定される死亡事故を引き起こしているにもかかわらず、特別監査を実施していないもの
(1地方運輸局及び8運輸支局 115事例)
    1年間に複数回連続して重大事故を引き起こしているにもかかわらず、監査及び行政処分を実施していないもの
(1地方運輸局及び4運輸支局 7事例)


→○   過去3年間に同一事故を3回以上繰り返した事業者については、平成16年8月1日以降、すべて監査を実施することとした。また、期限内に事故報告書を提出しない事業者に対しては、平成17年2月1日以降、監査による指導を徹底することとしている。
  第一当事者の死亡事故及び悪質な交通違反による108条通報のあった事業者については、平成15年3月7日に旅客細部取扱いを改正するとともに、15年2月14日に貨物細部取扱いを制定し、15年4月以降、すべて監査対象とし、確実に監査を実施しており、これらの監査により、事業者に対し、道路運送法、貨物自動車運送事業法、運輸規則及び安全規則、労働時間の改善基準、道路運送車両法等を遵守した運行管理及び車両整備管理を徹底するよう指導することとした。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)

⇒○   過去3年間に同一事故を3回以上繰り返した事業者については、平成16年8月1日以降、旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いにおいてすべて監査対象としており、これらに基づき監査を実施し、再発防止の徹底に努めている。これらの監査により、事業者に対し、道路運送法、貨物自動車運送事業法、運輸規則及び安全規則、労働時間の改善基準、道路運送車両法等を遵守した運行管理及び車両整備管理を徹底するよう指導しており、期限内に事故報告書を提出しない事業者に対しても、前述1の(2)のとおり、確実に指導を実施しているところ。
  第一当事者の死亡事故及び悪質な交通違反による108条通報のあった事業者についても、平成15年4月以降、すべて監査対象として監査を実施しているところであり、事業用自動車の運転者が明らかに第一当事者と推定される死亡事故及び悪質違反を伴う事故などで社会的に影響の大きな事故を引き起こした事業者への監査については、平成17年度は748件(平成15年度比12%増)の監査を、平成18年度は742件(平成15年度比11%増)の監査を実施
  更に、自動車運送事業に係る監査要員数については、平成16年度末の110人から平成18年度末の166人に増員
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。
(国土交通省)
3)   監査で指摘した不適切事項については、その後の監査時等に改善状況の確認を励行すること、また、行政処分の際に提出を求めた改善報告書については、その提出を徹底させること。
4)   監査に基づく指導及び行政処分に従わない事業者に対しては、法令違反の内容に即して、道路運送法第40条又は貨物自動車運送事業法第33条の規定により、許可の取り消しを行うなど、厳正な処分を行うこと。
(説明)
  調査した8地方運輸局、15運輸支局が監査で不適切事項として指摘したにもかかわらず、当省の調査時において未改善となっているもの
(11事業者 14事例)
→○   平成16年度内を目途として、旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いを各々再改正し、重点監査の重点事項として、「監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況」を追加する予定。これにより、平成17年4月以降、その後の改善状況の確認が必要であると認められる者に対し行う監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況の確認を確実に行っていく予定。なお、トラック事業者については、平成15年4月以降、適正化実施機関として指定された都道府県トラック協会が行う巡回指導の対象に、地方運輸局及び運輸支局が監査において再発防止対策の実施を指示しその改善状況の確認が必要であると認めるトラック事業者を追加し、都道府県トラック協会において、監査で指摘した再発防止対策が確実に行われているか確認している。(総務省注) 前述1の(1)の2)の内容と同じ。
  また、監査に基づく命令に正当な理由なく従わない事業者であって、監査を行うことが必要と認められる事業者に対しては、再度の監査を行うなど、厳正な対処をする予定。なお、再度の監査において、前回の監査の際に改善を指示した改善事項について改善が認められず、同様の違反が確認された場合は、これまでも前回の処分よりも重い処分を科してきたところであり、今後も厳正な対処を行う。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示。
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)
⇒○   旅客細部取扱い及び貨物細部取扱いを平成17年3月及び同年12月に再改正し、事故、苦情又は法令違反が多いと認められる事業者への重点監査の際、前回実施された監査等において特に改善を指示した事項のその後の改善状況を確認するとともに、行政処分等を行った事業者に対する改善状況を確認するため、その後、フォローアップの監査を行うなど、再発防止のための指導を徹底
  また、監査に基づいて改善報告書の提出を求めているにもかかわらず提出していないなど監査に基づく命令に正当な理由なく従わない事業者であって、監査を行うことが必要と認められる事業者に対しては、再度、特別監査を行い厳正な対処を行っている。
  なお、再度の監査において、前回の監査の際に改善を指示した改善事項について改善が認められず、同様の違反が確認された場合は、これまでも前回の処分よりも重い処分を科してきたところであるが、平成17年12月9日付けで「一般乗合旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成14年1月17日付け国自総第412号、国自旅第137号、国自整第135号自動車交通局長通知。以下「乗合処分基準」という。)、「一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成14年1月17日付け国自総第413号、国自旅第138号、国自整第136号自動車交通局長通知。以下「貸切処分基準」という。)、「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成14年1月17日付け国自総第414号、国自旅第139号、国自整第137号自動車交通局長通知。以下「乗用処分基準」という。)及び「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成16年6月30日付け国自総第119号、国自貨第28号、国自整第36号自動車交通局長通知。以下「貨物処分基準」という。)を各々再改正し、前回の監査の際に改善を指示した改善事項について改善が認められず、同様の違反が確認された場合の処分基準をさらに重くしたところ。
  また、平成18年8月以降、更なる法令の遵守の徹底及び輸送の安全を確保するため、酒気帯び運転や過労運転などを伴う重大事故を引き起こした事業者であって、当該違反を防止するための指導監督が不十分であった場合には事業停止処分を科すなど、行政処分の基準の一層の厳格化を図っている。
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。
  引き続き勧告の趣旨を踏まえ、自動車運送事業における安全の確保及び事故防止の徹底を図る観点から、継続的に監査手法、行政処分の基準の見直しを行うとともに、関係機関との連携強化を図る。
(国土交通省)
  運転者に対する特別指導、適性診断等の的確化
  国土交通省は、事業用自動車の運転者、運行管理者及び整備管理者に対する研修の適切な実施を推進する観点から、
(1)   事業者に対し、特別指導及び適性診断の制度について周知徹底を図り、その対象者に確実に受講・受診させること。
(説明)
  事業者は、以下の者に対して、事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき事項について特別指導を行い、かつ、国土交通大臣の認定を受けた適性診断を受けさせなければならない。
  死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした運転者(以下「事故惹起運転者」という。)
  運転者として新たに雇い入れられた運転者及び65歳以上の運転者
    (運輸規則第38条第2項、安全規則第10条第2項)  
○   15都道府県の136事業者を調査
    特別指導 事故惹起運転者に対して特別指導を実施しないまま乗務に復帰させているものなど
(のべ30事業者)
    適性診断 特定診断の対象者に対して受診させないまま乗務に復帰させているものなど
(のべ49事業者)

→○   事業者に対し、従来から、特別指導及び適性診断の制度について、運行管理者研修等の機会をとらえ、周知を図っており、監査時においても特別指導及び適性診断の対象者に確実に受講・受診させるよう事業者に対し指導の徹底を図っているところであるが、さらに、適性診断の受診の徹底を図るため、「道路運送関係行政情報システム」(事業者、運行管理者、整備管理者、監査・処分記録、事故情報、巡回指導情報等を総合的に管理するデータベースシステム)を改良し、平成18年度より事故惹起運転者の適性診断の受診歴の管理が可能となることから、適性診断の未受診者に対し、受診の督促の徹底を図ることとしている。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)

⇒○   事業者に対し、従来から、特別指導及び適性診断の制度について、運行管理者研修等の機会をとらえ、周知を図っており、監査時においても特別指導及び適性診断の対象者に確実に受講・受診させるよう事業者に対し指導の徹底を図っている。平成18年度末には「道路運送関係行政情報システム」(事業者、運行管理者、整備管理者、監査・処分記録、事故情報、巡回指導情報等を総合的に管理するデータベースシステム)を改良して「運送事業者監査総合情報システム」として運用を開始しており、これにより、事故惹起運転者の適性診断の受診歴の管理が可能となることから、未受診者のいる事業者に対し、受診の督促の徹底を図る。
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。
(国土交通省)
(2)   運行管理者及び整備管理者に対する研修の受講の有無を把握するとともに、未受講者のいる事業者に対し、受講の督促を徹底すること。
(説明)
○   事業者は、
    運行管理者に対し、(1)初めて選任された運行管理者を対象として実施する基礎講習、(2)既に運行管理者として選任されている者等を対象として実施する一般講習、(3)死者又は重傷者を生じた事故を引き起こした運転者が所属する営業所の運行管理者を対象とする特別講習について、運輸支局長の指定を受けた独立行政法人自動車事故対策機構が行うこれらの講習を受けさせなければならない。
  なお、運輸支局長が研修対象者の選定とその対象者に対する受講通知を行う。
(運輸規則第48条の4、安全規則第23条)
    整備管理者については、地方運輸局長が行う研修を受けさせなければならない。
(運輸規則第46条、安全規則第15条)
○   15都道府県の136事業者を調査
    運行管理者に対する研修
  :対象者に受講させていないもの   (3運輸支局管内11事業者)
    地方運輸局が実施する整備管理者に対する研修
  :対象者に受講させていないもの   (1運輸支局管内3事業者)
→○   「道路運送関係行政情報システム」を改良し、平成18年度より運行管理者及び整備管理者に対する研修の受講の有無の把握が可能となることから、未受講者のいる事業者に対し、受講の督促の徹底を図ることとしている。
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施する等により、改善指導を行うよう指示
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)

⇒○   運送事業者監査総合情報システムにより運行管理者及び整備管理者の研修の受講の有無の把握が可能となることから、未受講者のいる事業者に対し、受講の督促の徹底を図る。
  指摘事例の事業者に対しては、監査を実施する等により、確実に指導を行ったところ。
  今後とも、勧告の趣旨を踏まえ、引き続き適切にフォローアップを行うこととする。
(国土交通省)
  地方運輸局等と労働局との相互通報に基づく措置の徹底
  国土交通省及び厚生労働省は、相互通報制度を通じた過労運転による事故の発生防止及び自動車運転者の労働条件の改善を図るため、それぞれ、地方運輸局及び運輸支局並びに労働局に対し、
(1)   通報を受理した案件については、監査・臨検監督等の措置に速やかに着手すること。
(2)   通報を受けて処理した案件については、処理後速やかに回報すること。
(説明)
  国土交通省と厚生労働省は、自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の労働条件の改善を図るため、
    地方運輸局・運輸支局は、監査により把握した、労働基準法(自動車運転者の労働時間に関する規定)等に重大な違反の疑いのある事業者について、労働局に
    労働局は、臨検監督により把握した、道路運送法(運行管理に関する規定)等に重大な違反の疑いのある事業者について、地方運輸局・運輸支局に
  相互に通報
    通報を受けた地方運輸局・運輸支局、労働局は、それぞれ、
    ・ 通報に基づき所要の措置を講じる
    ・ 措置結果については速やかに回報する
  こととされている。
○  通報に基づく措置
    通報を受理した案件について、通報を受けてから6か月以上経過していながら、監査・臨検監督等の措置を講じていないもの
  8地方運輸局15運輸支局のうち (5運輸支局 70件)
  15労働局のうち (5労働局  10件)

○  措置結果の回報
    通報を受けて処理した案件について、処理後、回報していないもの
  8地方運輸局15運輸支局のうち (1地方運輸局及び1運輸支局 6件)
  15労働局のうち (5労働局  31件)

→○   平成16年11月25日に第35回自動車運転者の労働条件改善等に係る国土交通省・厚生労働省連絡会議を開催し、相互連絡制度の確実な運用を相互に確認したところであり、今後とも、同会議等において、連携の強化を図ることとする。
(国土交通省、厚生労働省)

→○   監査担当課長会議及び専門官会議において、「自動車運転者の労働条件改善のための相互通報制度について」(平成元年3月29日付け地総第143号、貨政第105号地域交通局長、貨物流通局長通達)の趣旨を踏まえ、労働局との相互通報件数の増加を図るとともに、労働局から通報を受けた案件については速やかに監査に着手し、監査を行った案件については速やかに監査結果を労働局に回報するよう指示
  今回の勧告の指摘事例については、監査担当課長会議及び専門官会議において、平成16年度末までに、指摘事例の事業者に対し監査を実施するとともに、監査結果については、労働局に速やかに回報するよう指示
  これらに基づく措置については、今後、適切にフォローアップを行うこととする。
  今後とも、相互通報に基づく迅速な措置に努めることとしている。
(国土交通省)

→○   平成16年2月18日に実施した全国都道府県労働局労働基準部監督課長会議において、総務省の今回の行政評価・監視の実施を受けて、地方運輸局等から通報を受けた事案については適切な時期に監督指導を実施するとともに、その結果については漏れなく地方運輸局等へ回報するよう指示
  平成16年7月7日、都道府県労働局労働基準部長に対し、「自動車運送事業における事故防止対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告に対する対応について」(平成16年7月7日付け基監発第0707001号厚生労働省労働基準局監督課長通知)を発出し、今回の勧告及び結果報告書を改めて示すとともに、地方運輸局及び運輸支局との通報制度の適正な運用に万全を期するよう改めて指示
  今回の勧告の指摘事例については、監督指導等を実施し、全数措置済みであり、監督結果等の回報についても、地方運輸局及び運輸支局に実施済み
  今後とも、相互通報に基づく迅速な措置に努めてまいりたい。
(厚生労働省)

⇒○   相互通報については、平成17年11月28日、18年11月27日と自動車運転者の労働条件改善等に係る国土交通省・厚生労働省連絡会議を開催し、相互連絡制度の確実な運用を相互に確認したところであり、今後とも、同会議等において、連携の強化を図ることとする。
(国土交通省、厚生労働省)

⇒○   同会議での検討結果を基に「一般乗用旅客自動車運送事業に対する労働基準監督機関との合同監査・監督の実施について」(平成18年2月13日付け国自総第505号、国自旅第235号、国自貨第124号自動車交通局長通達)及び「自動車運転者の労働条件改善のための相互通報制度について」(平成18年2月13日付け国自総第506号、国自旅第238号、国自貨第105号自動車交通局長通達)を地方運輸局長等に発出し、労働局との合同監査・監督の実施、相互通報制度の拡充等の更なる連携の強化を図ったところ。本通達の趣旨を踏まえ、労働局から通報を受けた案件については速やかに監査に着手し、監査を行った案件については速やかに監査結果を労働局に回報するよう指示しているところであり、勧告の指摘事例の事業者に対しては、これまでに監査を実施するとともに、監査結果についても労働局に対して回報を行ったところ。
  平成17年度は、労働局に対し245件(前年度比約22%増)、18年度は345件(前年度比41%増)の通報を行った。
  今後とも、勧告の趣旨を踏まえ、適切にフォローアップを行うこととし、引き続き相互通報に基づく迅速な措置に努めるとともに、自動車運送事業における安全の確保及び事故防止の徹底を図る観点から、関係機関との連携強化を図っていく。
(国土交通省)

⇒○   平成18年2月15日、19年2月15日に実施した全国都道府県労働局労働基準部監督課長会議において、地方運輸局等から通報を受けた事案については適切な時期に監督指導を実施するとともに、その結果については漏れなく地方運輸局等へ回報するよう改めて指示したところ。
  今後とも、相互通報に基づく迅速な措置に努めてまいりたい。
(厚生労働省)