平成13年3月26日
総  務  省

 

 

JR鉄道路線における途中下車の取扱いについての社員教育の徹底(概要)

《行政苦情救済推進会議の検討結果を踏まえたあっせん》

 

 総務省行政評価局は、次の行政相談を受け、行政苦情救済推進会議(座長:味村治)に諮り、その意見(別添要旨参照)を踏まえて、平成13年3月27日、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)に対し、改善を図るようあっせん。
 行政相談の申出要旨は、「JRの途中下車は片道 100キロメートルまでは認められていないが、運行本数の少ない地方路線を乗り継いで利用する場合で、その乗り継ぎのための待ち時間が長い場合には、下車したいときがある。先日、この待ち時間を利用して駅の近くで食事をしたいと思い駅員に下車を申し出たところ、この切符では下車できないが、今回に限り大目にみるということで下車が認められた。乗り継ぎのための待ち時間を有効に活用できるよう、また、JR利用者の利便向上を図る上からも、現行の営業キロだけではなく所要時間等も勘案の上、途中下車の制限を見直してほしい。」というもの。
 東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則(以下「旅客営業規則」という。)においては、片道の営業キロが 100キロメートルまでの普通乗車券を使用する場合、旅客の任意による「途中下車」は認められていないが、このような普通乗車券を使用する場合であっても、次の乗り継ぎ列車までの接続待ち時間が長い場合などについては、旅客からの申出に応じてその待ち時間の範囲内で一時的に下車を認める弾力的な対応を採り得るものとされており、既に同規則で認められている。
 当省のあっせん内容は、旅客営業規則においてこのような取扱いとされていることを駅員が必ずしも十分理解していなかったことに起因するものと考えられることなどから、次の措置を求めるもの。
  (1)  同種事案の再発防止と旅客サービスの向上を図る観点から、旅客営業規則で定める一時的な下車の取扱いについて、研修の充実などにより旅客からの申出に適切に対応するための社員教育の徹底
  (2)  一般の旅客は旅客営業規則等における取扱いの詳細までは承知していないことが多いと思われるので、本件のような場合を含め、何か困ったことがある場合は駅員への申出が行われるよう旅客に対する案内サービスの一層の充実

 

資  料

 


 東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則 (昭和62年4月1日公告第4号)(抜粋)
(途中下車)
第156条
   旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については、最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車等に乗り継いで旅行することができる。ただし、次の各号に定める駅を除く。
  (1)  全区間の営業キロが片道100 キロメートルまでの区間に対する普通乗車券又は自動車線内の各駅相互発着の普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅。ただし、列車等の接続駅で、接続関係等の理由により、旅客が下車を希望する場合及び別に定める自動車線内の各駅相互間発着の普通乗車券(第192条第5号に規定するものを除く。)を使用する場合で、旅客鉄道会社が指定した駅に下車するときを除く。
  (2)  次に掲げる区間(以下「大都市近郊区間」という。)内の駅相互発着の普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅
     東京付近にあつては、東海道本線中東京・熱海間(第16条の2の規定にかかわらず、東海道本線(新幹線)東京・熱海間を除く。)及び品川・新川崎・鶴見間、山手線、赤羽線、南武線、鶴見線、武蔵野線、横浜線、根岸線、横須賀線、相模線、中央本線中東京・大月間、青梅線、五日市線、八高線、東北本線中東京・宇都宮間、日暮里・尾久・赤羽間及び赤羽・武蔵浦和・大宮間、常磐線中日暮里・勝田間、川越線、高崎線、上越線中高崎・新前橋間、両毛線、水戸線、総武本線中東京・成東間及び錦糸町・御茶ノ水間、京葉線、外房線中千葉・茂原間、内房線中蘇我・君津間、成田線中佐倉・我孫子間及び成田・成田空港間並びに東金線(以下これらの区間を「東京近郊区間」という。)
     大阪付近にあつては、東海道本線中米原・神戸間(第16条の2の規定にかかわらず、東海道本線(新幹線)新大阪・新神戸間を除く。)、山陽本線中神戸・相生間(第16条の2の規定にかかわらず、山陽本線(新幹線)新神戸・西明石間を除く。)及び兵庫・和田岬間、湖西線、大阪環状線、桜島線、JR東西線、福知山線中尼崎・谷川間、北陸本線中米原・近江塩津間、加古川線、赤穂線中相生・播州赤穂間、山陰本線中京都・園部間、関西本線中拓植・JR難波間、草津線、奈良線、桜井線、片町線、和歌山線、阪和線及び関西空港線(以下これら区間を「大阪近郊区間」という。)
     福岡付近にあつては、鹿児島本線中門司港・鳥栖間(鹿児島本線(新幹線)小倉・博多間を除く)香椎線、篠栗線、日豊本線中小倉・行橋間、日田彦山線中城野・今山間、筑豊本線、後藤寺線及び博多南線(以下これらの区間を「福岡近郊区間」という。)
  (3)  第86条及び第87条によつて発売した乗車券を使用する場合は、当該乗車券の券面に表示された特定都区市内又は東京山手線内にある駅
  (4)  鉄道又は航路と自動車線とにまたがる普通乗車券で、全区間の営業キロが片道100キロメートルを超えるものを使用する場合は、自動車線区間内の駅。ただし、旅客鉄道会社が指定した駅を除く。
  (5)  自動車線回数定期乗車券を使用する場合は、その券面に表示された区間内の駅
  (6)  回数乗車券を使用する場合は、その券面に表示された区間内の駅
  (7)  当社が特に途中下車できる駅を指定した場合は、その指定した駅以外の駅
       
       
  (注)  下線は当省が付した。

 

参  考

 

 

 行 政 苦 情 救 済 推 進 会 議 に お け る 意 見 要 旨

 東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則第 156条第1号ただし書では、既に途中下車できない 100キロメートルまでの区間に対する普通乗車券を使用する場合であってもその例外として、次の乗り継ぎ列車までの接続待ち時間が長い場合などは、旅客からの申出に応じて一時的に下車を認める弾力的な対応を採ることとされている。
 要は、善意の旅客が希望すればきちんとこのような弾力的な対応を受けられるようにすることが大切である。
 駅員に対する教育の徹底は当然のこととして、旅客は営業規則の細かいところまで承知しているわけではないので、旅客への案内サービスを工夫していくことが大切である。

 

《行政苦情救済推進会議》
 総務省に申し出られた行政相談事案の処理に民間有識者の意見を反映させるための総務大臣の懇談会(昭和62年12月発足)
 会議の現在のメンバーは、次のとおり。

座長 味村  治 元内閣法制局長官、元最高裁判所判事
  大森  彌 千葉大学法経学部教授
  加賀美幸子 千葉市女性センター館長
  加藤 陸美 (財)健康・体力づくり事業財団理事長
  塩野  宏 東亜大学大学院総合学術研究科教授
  田村 新次 中日新聞社論説顧問
  堀田  力 さわやか福祉財団理事長、弁護士