政策評価フォーラムの概要

(札幌会場)


日時  平成17年10月28日(金)13時30分〜16時00分
会場  札幌グランドホテル
主催  総務省

政策フォーラム写真


13時30分 開会  (司会:岩田 一彦 総務省行政評価局政策評価官)

13時30分〜13時35分 主催者挨拶  
須貝 俊司  総務省北海道管区行政評価局長

13時35分〜13時55分 基調講演  
「日本の政策評価:現状と課題」
金本 良嗣  東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授
   政策評価・独立行政法人評価委員会政策評価分科会長
→ 資料参照(PDF)
【ポイント】
 国の政策評価には事業評価方式、実績評価方式、総合評価方式の3つの類型がある。
事業評価方式は、公共事業の費用対効果分析に代表されるもので、事業等を行う場合に、国民にとっていいかを評価するもの。事前評価、中間評価や事後評価で構成。公共事業、ODA、研究を対象とした評価が行われており、現在、規制関係について、議論がされている。
実績評価方式は、目標に対する実績を評価するシステム。目標を基に、達成度を毎年チェックし、何を改善すべきか考えるもの。
総合評価方式は、かなり幅広い分野について広範な分析を行って問題点を出し、これからの方向性を探るもの。
 公共事業の費用対効果分析は、日本では数年前から始まった。規制の評価は日本では試行中だが、これは公共事業のような考え方を規制にも入れようというもの。規制については、民間は規制によって様々な負担をしているが、この負担について明示的にしていないのはまずい。
 実績評価方式は、民間企業のマネジメント方式をまねており、目標を設定して達成できているかチェックをして、次の行動につなげていくもの。
 実績評価は、目標が身近な地方公共団体の方が有効性は高い。国レベルの政策についての実績評価は、有効に機能させるのは難しい。イギリスでは政治家がマニフェストに書いて選挙に通っている、だから使えるといった面がある。基本的には、政治の方で目標が設定され、それを受けて行政部門で色々やるといったことであると思う。日本は下からの積み上げで目標を作っている。メリハリが効かないと有効性がなくなる。
 日本では費用対効果の認識が乏しい。この認識がないままに目標管理をすると、過大な目標を設定して予算を獲得するという問題が起きる。
 事業評価はチェックシステムがない等の問題があり、改善の余地がある。政策評価にかなりの資源を使っていて、この人件費に見合った成果が出ているか、政策評価の政策評価が必要だという話を聞くが、政策評価を国民にとって有効なものにしていく必要がある。
 また、政策評価は、やっている作業が実質的に意味のある作業でなければならず、基本的には政策企画の作業と合体する必要がある。
 良い政策を作るために政策の分析評価を行うことが政策評価システムの中に組み込まれることが必要。
 問題を分析して解決策の代替案を作って代替案の分析評価を行って、それをコミュニケーションしていく。これを政策企画の現場でやると、日本の政策は非常に変わっていくのではないか。

13時55分〜14時15分 講演  
「政策評価と市場化テスト」
宮脇 淳  北海道大学公共政策大学院院長
→ 資料参照(PDF)
【ポイント】
 「政策」というのは、「理想と現実との乖離を克服する手段」で、政策に対して評価は、「理想に対する現実の位置づけは適切か」ということである。乖離を克服する手段の認識、選択、執行は適切かという過程で評価というものが動いている。
 政策評価結果を予算、行政組織の改革にどう結びつけるかが難しい。地方自治体の場合、評価が直接に住民サービスに影響を与えていくので、行政だけでなく地域全体、住民を含めて議論しないと政策評価の結論が出ても、それを受け止める受け皿が形成されてこない。
 そこで、政策評価を通じて次世代の行政組織、公共サービス、地域を作る必要がある。
 右肩上がりという戦後60年続いてきた構造の中で、行政や国民の意識も形成されてきた。その時の評価の対象は、前年度より増加した部分で、その分配をどうするかという議論を展開してきた。過去の配分の部分を敢えて議論しなくともすんできた。
 行政には貸借対照表がなく、過去の資産がどうなっているか分からない。貸借対照表は過去の政策の結果が積み上がったもので、過去の配分の結果であり、新しい部分ではないので、過去のストックの部分について余り意識しないですんできた。
 これから人口が半減していく状況になってくると減る部分の議論をしなければならず、当然過去のストック部分の議論をこなさなければならなくなるし、今まで使っていた政策決定をするような情報だけでは、新しい政策評価を行っていくための情報としては必ずしも十分ではない。
 大きな経済社会構造の変化の中で、これから政策評価をし、予算編成や行政組織の改革、さらには地域住民とのパートナーシップを深めていくためには、今までとは違った視点での情報を形成していくことが重要。こういったものを変えていく一つのツールとして、政策評価を通じた新しい情報の形成が必要。
 そのための一つの手段として、市場化テストがある。これからは、官と民が「共に考え共に行動する」ことが必要で、そのためには共通の言葉と情報で話せることが必要。
 公共サービスを行政だけが全て担う訳ではないということの受け皿を作っておかないと、政策評価してもそれを具体化に結びつけていけず、最終的に予算の削減とかだけにシフトしてしまうことになる。
 北海道の政策評価調書で、「当分の間停止する」という言葉を使っており、2〜3年の間様子を見るというのが一般的な解釈であろうが、行政の用語ではこれは「永遠に止めた」という意味で、意味合いが違う。お互いに信頼関係を形成する時は、こういう違いを修正していくことが必要。
 行政機関では非効率な部分は改善する努力はするが、認識している非効率を改善するということで、認識されていない非効率はそのまま潜在的に残されるという問題がある。政策評価や外部の視点を入れ、この「見えない非効率」を改善し、従来のやり方を変えていく必要。
 ツールとして市場化テストがあるが、「指定管理者制度」も市場化テストの一つ。市場化テストの意義は1)事業の効率性、創造性2)官の人的資源等の適正配分の実現で、これが非常に大きな課題。公的部門の経験と知識を持つ人が民間部門に出ていくので、この人達とどう連携をとるか、民の力を発揮していくツールがここに存在する。
 政策評価等で出てきた結論を受け止め、地域を活性化させていく一つのツールとして市場化テストを活用していく。
 これから少子高齢化の中で人的資源をもっと活用していく一つのツールが政策評価であり、それを推進していく一つのものが市場化テスト。

14時15分〜16時00分 パネルディスカッション
〈コーディネーター〉
木村 陽子    地方財政審議会委員
   政策評価・独立行政法人評価委員会政策評価分科会専門委員
〈パネリスト〉  
先川 信一郎  北海道新聞社編集委員
井上 宏子    花王販売株式会社北海道支社商品教育センター部長
 札幌市行政評価委員
金本 良嗣    宮脇 淳

(木村)
  評価法が本当に効果的に機能しているのか、国民にとってより良い仕組みにするにはどうすれば良いのかについて、議論したい。まずは先川先生と井上先生から講演等の所感を。
(先川)
  政策評価は、2002年4月に政策評価法が施行され制度が定着したが、「政策評価が市民に支持され活用され始めているか」ということが今日の課題だが、本格的活用はこれからで、広く市民の方に浸透させていきたい。
 市民にとって関心は、増税問題、年金、介護、福祉、医療、教育、雇用等の問題だが、こうした問題に政策評価がどこまで関わり、市民の要望を満たせるか、縦割り行政の中で如何に質の高い行政の実現が出来るのか、更に外部から検証ができるのか、そういう意味で国民的議論を活発化させていくことが重要。
 政策評価制度を予算編成に活用していくかのキーワードは透明性であり、そのために行政は国民に対して、説明責任を果たすことが重要。
(井上)
  札幌市の行政評価報告書を提出したが、時間をかけ検討したのは、宮脇先生の「減分主義の経営」という部分。過去やって来たことを見直しするのは非常に厳しく、見直しの視点が見つけにくい。
 札幌市の行政評価では、事業の必要性、事業の有効性、事業の手法、事業の効率性をポイントとした。
 評価結果については報道されたが、削減したことが強調され、どのような効果がもたらされたかは、報道されなかった。
 今後は市民の声を吸い上げる評価制度にするが、政策評価において、公務員が市民に目を向ける、市民に見られている意識を持つだけでも政策評価というのは大きい。
(木村)
  金本先生、宮脇先生、講演についての補足事項は。
(金本)
  基本的にコストをカットすればいいわけではなく、そこから得られる市民生活への貢献度をどう評価して、それとのバランスでコストがどうかということを考える必要。公共部門の仕事は、かなりの部分でその評価が難しい。費用と便益の数字の計算が可能であっても、誤差として5割といった「くるい」は当然で、そんなにピッタリといくはずがない。評価をして考えていくことは必要だが、万人が100%正しいと認めるようなことにはならない。
 意思決定者にとっての選択の幅は大きく、考えの違いもあり、一つには決まらないのが当然。民主主義社会ではそういう考え方の違いを選挙で出し市民が判断する。客観的に100%正しいと言えないものでも政治的プロセスで決定され、実際の政策になっていくという仕掛けであることを認識する必要。
(宮脇)
  社会学の数字というのは「嘘つき」が作ると言われている。嘘つきというのは、人間が作るので必ず思想が出てくるという意味で、「思想を持ったものだ」ということを前提として見なければいけない。ただ、数値化することで、透明性を担保出来る、他との比較可能性を担保することが出来るのが重要で、その意味で数字というのは一つの軸になる。しかし、数値による客観性だけで決まるものではなく、規範性もあり透明性を担保した上できちっと議論する必要。
 予算編成でも、プロセスを完全に透明化すれば、政策評価をしなくとも良いかもしれない。
 評価結果が、単なる削減だけでは苦しい状況をもたらすので、これを克服するためには今までとは違った発想、視点を行政側も住民側も持たなくてはいけない。そのための橋を架ける仕組が、政策評価である。
 自らの地域作りに何が出来るか考える仕組にするのが、自治体の政策評価の重要な役割。
(木村)
  政策評価法は、施行から3年が経過したが、1)国民本位、2)成果重視の行政、3)説明責任の徹底及び4)質の高い行政の実現という大きな柱があった。当初の目的を達成しているか、もし充分に達成していないとしたら何が課題なのか。
(金本)
 最大の課題は人材。現状の体制では政策評価をしきれない難しいものも顕在化している。
 日本の雇用システムの中では難しいこともあるが、早く解決しないと進まない状況になる。アメリカの会計検査院で政策評価をやるようになった時、既存の人間の再訓練や専門的訓練を積んだ人材の新規採用等を大規模に行った。
(宮脇)
  全くそのとおり。去年まで政策評価・独立行政法人評価委員会の独立行政法人評価分科会にいたが、評価委員会だけで全ての法人を評価するのは無理ではないか。独立行政法人は益々増えるので、増える独立行政法人について評価委員会が今までと同じようなやり方をすること自身が無理。人材を育成することと、評価委員会だけではなくて、色々な視点から議論をすることが必要で、そのためにも情報の共有化が必要。しかし、情報は出すのは良いが、活用できる形で提供しないと、本当の共有にはならない。
 政策評価について、きちっとした物差しがあるのか悩んでいる。財政危機なので、財政危機の物差しを優先順位として、どこへウエートを置くか明確にしさらに色々な角度から議論することが必要。
(井上)
  本日の資料「国の政策評価」は一般向けで分かり易い。情報の共有化を目指し、発信される情報は多いが、それを収集し読みこなす力の有無については、まだ国民との間にコンセンサスができていないのではと思料。
 より分かりやすい情報を発信すれば、政策評価はもっと身近なものになる。
(先川)
  政策評価の問題点として、官僚が官僚の政策を評価する点ではないかと考える。
(金本)
  政策評価法は自己評価で、これが全く意味がないかというと、意味あるようにすることはできる。今の状態で意味があるかと言えば、色々な議論はある。
 これに外部の人が評価するものが、その上に積み重なることが必要。その外部の人が評価をするために、情報が提供されなければならないし、透明性を高めなければいけない。
 これには2つの側面があり、1)普通の人が見て分かりやすいものになっているか、また、2)政策についておかしいとか、もうちょっと変えたらいいと思う時に、それを分析するだけの資料が出ているかということ。
 役所の外と中に専門知識を有するプロがいて、お互いを批判しあわないと政策評価の実効は上がらない。
(木村)
  国によっては、官僚機構の外に監査の機構を持っているところもあるが、日本は総務省の中の一つの部局が担っている。その中で他の省がやったことに対して、緊張関係を持ってやっていけるか、どこで担保するかと言う時に、データがきちんと公表されていれば、外部の研究者でもきちんと検証することができるので、統計データ、情報がきちんと外部に公表されることが大切。
 また、日本の雇用システムや3年で変わる人事異動の中で、スキルを持った人材を如何に育成するのかが課題。
(宮脇)
  情報が確実に共有されていれば、地方自治体の場合、同じような規模の自治体同士の間の比較可能性がかなり担保できるはず。おなじような事業なのに何で違うのか、問題提起をするだけでも議論できる。行政のプロの目から説明し、また議論する。そういう議論のプロセスの中で、政策評価のノウハウを蓄積するのも可能ではないか。
 行政のプロが一番問題点を分かっているが、それをなかなか表に出せない、或いは、問題点としても別の視点からの見方ができないことがある。まず、プロがきちっと見て、比較する中で住民や外部の人もそれに関わることができて、地域毎に政策評価に関わる意識ができれば、自ずとその能力が地域全体としてついていくのではないか。
(木村)
  政策評価法が3年経過して、公務員の意識改革が大きいと言われている。毎年約1万件の評価をして、廃止或いは中止する事業が出てきている。地道な作業の積み重ねで「国民本位のより良い行政は何か」というところに近づいていると思う。
 ここからは、具体的な実施例の話に移っていきたい。(以下、各府省による政策評価の実施例として未着手、未了の公共事業を対象としたもの、防衛庁の事前評価の例、次に、総務省が複数の府省にまたがる政策について、政府全体として評価を行った「リゾート地域の開発整備」の例及び「湖沼の水環境の保全」の例について説明。)
 → パンフレット5ページ参照(PDF)
(先川)
  防衛庁の事例について防衛庁に取材した。総務省が防衛庁のB案を却下できるのかと尋ねたら、専門家は防衛庁であるとのことだった。ならば、総務省は何か勧告できるのかと尋ねたところ、ケースバイケースだとのことだった。
(井上)
  政策評価した結果、中止した公共事業があるが、どのような代替案があったか伝えて欲しい。また、長期間の事業では当初計画も無くなっていると書かれているものもあるが理解できない。
  しかし、行政は縦軸でものを考えると思ってきたが、横軸で考えるようになったんだと思う。暮らしの変化の中で、色々な省庁と関連しているということを、しっかり伝えてくれている。行政が知恵を絞りながらやっていることが、本当にそうなのだと思えるように政策評価のパンフレットは表現している。
(木村)
  北海道ではリゾート法で、財政的に傷ついた市町村が多い。夢を見過ぎた結果としての財政支出の抑制に、政策評価をどう使ったらいいのか。宮脇先生と金本先生に伺いたい。
(宮脇)
  リゾート法の見直しは、国からトップダウンで降りていったもので、国との関係で国にボトムアップで持って行くスムーズな仕組がない。もっと、自主的に地域側が見直しできるような体系を作ることが、政策評価の大きな役割。
(金本)
 まず、先川さんのお話について説明させていただく。評価法上の評価は自己評価が基本。総務省の行政評価局は、各府省の評価を束ねるのが仕事で、それを突き返す権限は与えられていない。
 最近の傾向として、予算と評価が合体されつつある。政策評価の資料を予算編成の時につけるようになってきており、防衛庁のケースでも、評価結果を使いながら選択したのではないか。
 リゾート法は、実質的に国が地方に予算をくれない法律で、地方の方がほぼ損害を全部かぶらなければならない法律だった。
 余計な政府介入をすると、色々なタイミングで悪いことが起きる一つの例と思う。
(木村)
  リゾート法に関して言えば、コンサルタントが首長の意向を汲んで、採算がとれる事業計画を持ってきた。現在も、コンサルタントに頼んで、事業が採算に合わないから廃止や事業をしないとかになっていると聞く。構造は一緒で、横並びで時代の風潮に飲み込まれてしまうのは、本当に注意しなければいけない。もうあの失敗はしないと思っていても、肝心の構造が地方で払拭できているかどうか、思い返してみる作業が必要。
 政策評価制度を良くするために、今後どうすべきか聞きたい。
(先川)
  行政が説明責任を果たすことが重要。北海道のニセコ町では温泉施設を作る話に、町民との懇談会を開催し、大規模な施設計画を中規模のものに変えた。これは、行政が説明責任を果たし、住民の意見が反映された好例。
(井上)
  国民、道民、市民の満足度を如何に高めるかという努力と、意思疎通のできるサービスを心がけて頂きたい。また、北海道では過疎化や高齢化が進むが、施策に対する説明責任というものがあれば、安心して住める土地になると思う。分かりやすく丁寧に、そして人それぞれの理解度の差を考慮し、サービスで補ってほしいと思う。
(木村)
 政策評価についてなかなか記事にしてもらえないという声がありますが。
(先川)
 行政が改善したというのは記事にしにくい部分もあるが、地域活性化につながるならば、政策評価制度をどんどん活用し、記事にしていきたい。
(金本)
  人材の育成が最大の問題だと話したが、基本的には、政策を良くするための政策企画立案能力が高い人が増えるといい。
(宮脇)
  リゾート法の話だが、その時代に政策評価の対象として政策金融機関が対象になっていれば、違ったものになったという思いを持つ。今回の経済財政諮問会議の議論では、政策金融についても政策評価の対象にすべきではないかという議論をしている。
 それから、コンサルタントの問題だが、やはり地域のコンサルタントを作り上げていく必要がある。また、地域の視点に立った特色ある提案は何かということを突き詰めてコンサルタントには求めていくことをしないと、中央集権型のコンサルタントの結論が出てくる。
 政策評価の課題としては、自治体でいえば市民と市民とが政策について議論できるものを作り上げていくことが、体力の強い政策評価システムを作ることにつながる。
(木村)
  会場から頂いた質問だが、市場化テストにおいて、民間部門が失敗に終わった場合、その原状回復策について、責任の所在についてどうすべきか。
(宮脇)
  継続性を絶対的に担保しなければいけないものとそうでないものがある。或いは、今の行政のやり方以外で継続性がある程度担保できるような発想を民間は示してくれるかもしれない。一つの社会実験として試すというのが、市場化テストだと思う。市場化テストの大前提として、事前調査を徹底的に行う必要がある。
 職員が減って財政も非常に厳しくなっていく中で、今までと同じやり方では、地域に対するサービスが非常に悪くなってしまう。右肩上がりの時とは違う中で市場化テストを考えていく必要がある。
 政策の失敗に対する最終的な責任は、国民となるので、そのことも十分踏まえる必要。
(金本)
  市場化テストはイギリスで始まった時は、日本とは事情を異にしている。イギリスでは、役所でやっていた刑務所管理で管理の人達の規律が低下していた。この規律を取り戻すために委託した背景がある。日本では、現在全体的に役所の人がきちんとしているかもしれないが、未来永劫続くものではない。
 事業の継続性や効率性の担保は、契約技術の問題である。市場化テストは完全民営化ではなく、民間委託であり、委託契約と競争入札のやり方を同時に改善していく必要がある。
(木村)
  政策評価制度を良くするために、公務員の意識改革をどのようにすべきか、新聞社の立場からみて感想をいただきたいとのこと。
(先川)
  イギリスのサッチャー政権の時に行政改革の気運が高まり、次のメージャー政権でシチズンズチャーターという政策が打ち出された。
 これは、企業と消費者の関係をそのまま公共サービスに導入する考えで、住民は公共サービスを受ける権利があり、行政は住民側の望むサービスを提供する義務があるということ。そういう認識が浸透すれば、非常にいい。
 アメリカでは、納税者は自分達のお金はどう使われたか、ものすごく敏感で、少しでも無駄があれば直ぐ指摘し、次の選挙で関連する議員は落選してしまう。
 日本の場合、官僚の能力は世界的に見てもトップクラスだと思うが、あとは意思決定で、政策評価制度を維持していけるのか難しい。そういう住民の声をくみ上げていくべきであるとともに、住民が色々なことに声を出していかなければならない。
(木村)
 政策評価・独立行政法人評価委員会は、年内に政策評価に関する基本方針の改定や新ガイドラインの策定を行う。その時の柱は、1)評価と予算の連携強化、2)重要政策に関する評価の徹底、3)評価の客観性の担保及び4)国民への説明責任の徹底。
 また、市町村合併でどの政策を優先すべきかの判断に本日の内容がお役に立てば幸いで、国も地方も切磋琢磨して、良い政策評価をし、より良い行政を実施していきたい。

16時00分 閉会  

(注)  この概要は、事務局(総務省行政評価局政策評価官室)の責任において取りまとめたものであり、事後修正の可能性があります。




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