中央省庁等改革に係る大綱
(平成11年1月26日中央省庁等改革推進本部決定)(抄)

VII その他

第1 政策評価に関する大綱

 政策評価機能の充実強化を図るため、各府省に評価部門を確立するとともに、総務省が府省の枠を超えて政策評価を行う機能を担うために必要な法制上の措置を検討する。

1.  各府省の政策評価
   各府省は、所管の政策について、その性質に応じ、主としてその必要性、優先性、有効性等の観点から改廃等の評価を行うこととする。
 評価の実施に当たっては、評価の実施体制、業務量、緊急性等を勘案しつつ、各年度ごとに次のような対象の中から実施するなど、重点的に行うものとする。
  (1)  新規に開始しようとするもの(事前の評価)
  (2)  一定期間経過して事業等が未着手又は未了のもの
  (3)  新規に開始した制度等で一定期間を経過したもの
  (4)  社会的状況の急激な変化等により見直しが必要とされるもの
   また、評価の実施に当たっては、計画的に行うものとし、中期的な計画に基づき実施するなど、効果的・効率的に実施していくこととする。ただし、急激な社会経済情勢の変化等により緊急に政策評価を実施する必要が生じた場合には、機動的に対応するものとする。
       
2.  各府省の政策の評価手法
   各府省は、政策評価の客観性を確保するため、評価の対象とする政策の性質等に応じた合理的な評価手法により評価を行うこととする。このため、評価指標の体系化や評価の数値化・計量化など合理的で的確な評価手法の開発を進めることとする。
 また、政策の性質等により、具体的な指標・数値による定量的な評価手法を用いることが困難なものがある場合には、定性的な評価手法をも取り入れるなど、その具体的方策等について調査研究を進めていくこととする。
       
3.  各府省の政策評価結果の政策への反映
   各府省は、政策評価の結果が予算要求等の企画立案作業に反映されるようにすることとする。このため、所管の政策の性質等を踏まえつつ、例えば、政策評価担当組織による政策評価結果の取りまとめ、当該政策の企画立案部門への通知、政策への反映状況に関する報告の徴収などの措置を講ずるものとする。
       
4.  各府省の政策評価の組織・方法
  (1)  各府省の内部部局に、政策評価を担当する明確な名称と位置付けを持った組織を置くこととし、当該組織については、原則として課と同等クラス以上となるよう検討する。また、必要に応じ、所管部局等に政策評価担当組織を置くことを検討する。
  (2)  各府省の政策評価は、内部部局に置かれる政策評価担当組織、又はその総括の下に所管部局等の政策評価担当組織若しくは当該所管部局等が実施する。また、高度の専門性が必要な場合、実践的な知見が必要な場合等は、学識経験者、民間等を活用することができることとする。
   
5.  各府省の政策評価に係る実施要領等
   各府省は、体系的に継続して政策評価を実施していくため、所管の政策の性質等を踏まえつつ、政策評価の方針及び実施、政策評価結果の処理、政策評価に関する情報の公表などの事項を盛り込んだ政策評価の実施要領等をあらかじめ策定して、これに従って実施するものとする。
       
6.  総務省の政策評価
   総務省においては、次の政策について、その性質に応じ、主としてその必要性、優先性、有効性等の観点から改廃等の評価を行うこととし、その運用に当たっては、民間有識者などを加えた第三者的評価を可能とする仕組みの活用を図ることとする。
  (1)  全政府的見地から府省横断的に評価を行う必要があるもの
  (2)  複数の府省にまたがる政策で総合的に推進するために評価する必要があるもの
  (3)  府省の評価状況を踏まえ、一層厳格な客観性を担保するために評価する必要があるもの
  (4)  その他、政策を所管する府省からの要請に基づき、当該府省と連携して評価を行う必要があるもの
   評価の実施に当たっては、評価の実施体制、業務量、緊急性等を勘案しつつ、上記の(1)から(4)までに該当する政策の中から各年度ごとに評価対象を重点化するなど、計画的に実施するものとする。その際、府省の実施状況に留意するものとする。
 また、評価の実施に当たっては、評価の実施に関する中期的な計画に基づき実施するなど、効果的・効率的に実施していくこととする。ただし、急激な社会経済情勢の変化等により緊急に政策評価を実施する必要が生じた場合には、機動的に対応するものとする。
       
7.  総務省の政策評価結果の政策への反映
   総務省が行う政策評価の結果が政策に適時・的確に反映されるようにするため、次のような措置を講ずることができるようにする等の法制上の措置の必要性について検討する。
  <1>  政策評価の終了後、速やかに、評価した政策の概要、評価結果を取りまとめ、関係する府省に通知するとともに、公表するものとする。その際、必要があると認められる場合には総務大臣から関係する府省の大臣に勧告することができるものとする。
  <2>  通知等の後、関係する府省に対し、政策評価の結果の政策への反映状況(講じた措置の内容、時期等又は措置を講じなかった場合その理由と今後の予定等)について適期に報告を求めるものとする。
  <3>  政策評価の結果、勧告事項のうち特に必要があると認められる場合には、内閣総理大臣に対し、意見を具申することができるものとする。
       
8.  総務省の政策評価の組織・方法
   現在の総務庁行政監察局を、府省の枠を超えた政策評価機能を含め行政評価・監視機能を担う部局として改組する。同部局は、府省と連携しつつ、府省が政策評価の実施要領、評価基準等を策定するための標準的ガイドラインを策定し、各府省に対し提示するものとする。
 また、総務省に、第三者的評価を可能にする仕組みを整備することを検討することとし、その際、独立行政法人に関し総務省に置かれる評価委員会と統合すること、6.及び7.に基づき総務省が行う政策評価の計画、実施状況、主要な勧告等を対象とすることについて検討する。
       
9.  政策評価の結果等の公表
   各府省及び総務省において、次のような情報について、公表を進める。
  <1>  政策評価の実施に関する計画
  <2>  政策評価の実施要領、評価基準等
  <3>  政策評価の結果
  <4>  政策評価の結果の政策への反映状況
   また、総務省においては、政府全体の評価結果及び政策への反映状況について、白書等により公表する。
       
10.  現在の行政監察の機能強化・重点化
   現在の行政監察の機能は、総務省に引き継ぎ、各行政機関の業務の実施状況について、主として合規性、適正性、効率性等の観点から監察し、改善を推進することとする。その際、特に、国民からの苦情、事故・災害、不祥事件等を契機として、早急に改善を要するものについて機動的に行うものとする。
 また、調査対象の拡充については、認可法人、指定法人等の性格、国費の使用状況、国の行政機関の業務との関係の度合い等を勘案して、その範囲を検討する。調査権限の明確化についても検討する。
       
11.  その他
   総務省は、政策評価等の実施に当たり、効率的な運営に留意するとともに、次のような措置を講ずることにより、各府省等の関係部門との連携強化を図るものとする。
  <1>  政策評価担当組織相互間の連携を密にし、政策評価制度の円滑かつ効率的な実施を図るため、例えば次の事項について連絡・協議することを目的として、政策評価担当組織の長により構成される「政策評価関係機関連絡会議(仮称)」を開催する。  
    (1) 政策評価の実施に係る調査研究  
    (2) 政策評価の実施要領、評価基準等の標準的ガイドラインの作成  
    (3) 政策評価を実施するに当たって参考となる情報の提供・交換  
  <2>  各府省の協力を得て、各府省及び総務省の政策評価を担当する職員に対する研修、人事交流等の推進について検討する。

(注)中央省庁等改革に係る大綱本文では、括弧数字の下の見出し数字の体裁が異なっている。
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