政策評価制度の法制化に関する研究会(第3回)議事概要

 

1.日時 平成12年9月28日(木)9:30〜11:30
 
2.場所 中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
 
3.出席者 (研究会)
  工藤敦夫座長、宇賀克也、塩野宏、田辺国昭、の各委員
  (総務庁)
  塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、
鎌田企画調整課長、新井政策評価制度法制化担当室長、
若生政策評価等推進準備室長

4.議題
   (1) 法制化についての基本的な論点について
  (2) その他

5.会議経過
  (1) 前回に引き続き、法制化についての基本的な各論点に関して、事務局からの説明の後、出席者による自由討議が行われた。
論点と討議の概要は以下のとおり。
       
  1.) 評価機関の在り方(第三者機関等)
  一つの省でも、その政策範囲は広く、関係する学識経験は多岐にわたる。各省ごとに一つの委員会を置いても、少人数の委員ですべてチェックするのは難しいのではないか。第三者機関が本格的な評価を行うとすれば、事項ごとに専門家が必要で、委員の下に多岐の分野にわたる専門家や膨大なスタッフが必要となるのではないか。
  ガイドラインのレベルでは、各府省は既存の仕組みを活用してできるだけ新たなコストが生じないように評価を行っていくことが予定されている。ただし、コストがかかったとしても本格的に評価の客観性を確保するための仕組みを整備すべきだとの別の政策的判断はありうる。第三者機関には各府省の評価へのチェック機能を果たすという役割が求められていることから考えると必ずしも米国のように膨大なスタッフを必要とするものではないということでよいと思われる。
  諮問に応じて二次評価をするのか、自らの判断でチェックするのかにより、機関の態様が変わるが、この点については各方面で様々な意見がある。
  第三者機関については、自ら個別に評価を行うというよりも、各府省の行う評価についてチェックを行うお目付け機関としての役割の方に重点が置かれているのであり、そういう役割を担うためには、各府省にそれぞれ第三者機関を設置するより、各府省からある程度距離をとって総務省が評価していく方が効果的ではないか。また、審議会を活用するという選択肢もあり得るが、審議会の整理合理化を図る行政改革の流れと調整が必要となってくる。
  評価を厳格にしようとすると「評価の評価」が無限に続いてしまうので、むしろ情報を徹底的に公表することで、行政外部にいる専門家がチェックできるような仕組みを考えた方が、コストと実効性の見合いからはよいのではないか。また、政策評価の中の特に重要なものについては、環境アセスにおける方法書の仕組みのようなものを考えるのもよいのではないか。
  第三者等の活用については、第三者の「主体」「役割」について、様々な要素が含まれており、仮に義務付けるとなると、一義的に決めるのは困難で、かなり詳細に規定しなければならないのではないか。例えば、「主体」にはシンクタンク、学識経験者、国民の代表などがあり、「役割」についても専門性の確保なのか単なるチェック、お目付け役なのか関与のレベルの差がある。ガイドラインでも、柔軟な対応を可能とするため「必要に応じて」とされているところである。
  米国の監察総監制度は政策評価とは別の制度であり、監察総監制度自体についても
    1)報告義務が大統領と議会の両方に対して課されており、忠誠心が二重で動きづらい
2)監査に係る機能が中心で、政策評価に係る機能はほとんど含まれていない
 との問題点が指摘されている。したがって今回の法制化に盛り込むには無理があり不適当ではないか。
  作用法的要素である総務省の権限については、総務省設置法に現在一部規定があるが、今回法制化にあたっては、総務省の権限についてある程度の一覧性を確保するということも必要であろうから、政策評価の法制に移し、総務省設置法の中にも規定を置くようにすべきではないか。また政策評価・独立行政法人評価委員会は関与できる対象が幅広いことを考えると、これについてあまり強い権限を規定するのには慎重であるべきである。
     
  2.) 評価結果等の公表
  評価結果等の公表については、基本的に情報公開法の不開示情報に該当するものは公表しないことになるだろう。個人情報、法人情報等の第三者情報はプライバシーの保護や統計法との関係も考慮する必要があり、政策評価の法律だけで公表すべきとは出来ない。但しそれ以外の情報については各省庁が評価結果等として積極的に公表すると決定すれば、もはや秘密ではないと判断されたのであるから、情報公開法の不開示情報に該当するかどうかの問題は生じない。
  シンクタンク等に外部委託して評価した場合にあって、当該シンクタンク等が評価するために収集し、使用したモデル・データに関する情報については、行政機関の保有する情報ではないため、情報公開法には該当しないが、委託した側の責任で判断し対応することになると考えられるのではないか。
  情報の公表を義務付ける意義は、再検証ができるようにすることであるが、評価の際に使用したデータについては、その取扱いについて情報公開法や統計法との関係で検討が必要である。少なくとも、いたずらに非開示であるという主張がなされないためにも、積極的な公開についてなんらかの指針は書いておくべきか。ただ実際の場面では、いろいろ判断に困ることもでてくるであろう。
  公開方法については、インターネットでの公表を義務付ける要請もあるようだが、全ての行政機関に一律に義務付けることは現実的でなく、様々な公表手段の中の一つとして他の手段と補完しあう関係として捉えるべきではないか。米国の電子情報自由法においても全ての行政機関においてオンラインアクセスを認めなければならないとまではいっていない。
  個々の公表とは別に、政府全体の評価制度の状況等についてとりまとめて白書のようなもので公表することも必要となるであろう。
  評価手法や評価の対象は多種にわたるため、法律で一義的に公表の時期を規定するのは困難ではないか。「速やかに」等の包括的な表現とならざるをえないのではないか。むしろ外部からの批判の目にさらされることにより、適切な時期における公表が担保されると考えるべきではないか。特に事前評価の公表について法律でその時期を定めるとなると、間接民主制との関係について整理する必要が生じる可能性がある。
     
  3.) 国会との関係
  政府全体の評価結果等をとりまとめて国会に報告するとの規定を置くにあたっては、その頻度が問題となると考えられるが、他の法制の例を参考にすると、年一回とするのが適当ではないか。
     
  (2) 次回(第4回)研究会は、10月2日(月)に開催し、引き続き法制化についての基本的な論点に関して討議を行うこととされた。討議を行う論点は、1.)評価結果の政策・予算への反映、2.)他の制度との関係、3.)実施の時期に関する事項(段階的実施等)、4.)その他、の予定。
   
以上
   
(文責:総務庁行政監察局政策評価制度法制化担当室)

 


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