政策評価制度の法制化に関する研究会(第5回)議事概要

 

1.日時 平成12年10月18日(水)10:00〜12:10
 
2.場所 中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
 
3.出席者 (研究会)
  工藤敦夫座長、宇賀克也、塩野宏、田辺国昭、吉田和男の各委員
  (総務庁)
  塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、
鎌田企画調整課長、新井政策評価制度法制化担当室長、
若生政策評価等推進準備室長

4.議題
   (1) 法制化についての基本的な論点について
  (2) その他

5.会議経過
  (1) 法制化全般に渡り、基本的な論点に関して事務局からの説明の後、出席者による自由討議が行われた。 討議の論点、概要は以下のとおり。
     
  <法の目的・理念>
  法の目的・理念に「必要最小限の費用で」と盛り込むかどうかについて、「「安上がり」という観点は重要であり、「効率的」というと一般に行政目的に対する効率性であり、これだけでは費用対便益の考え方は出てこないので、法文に盛り込むことを検討すべきである。一方、「効率的で質の高い行政の実現」に「安上がり」という観点も包含されると考えられ、ガイドライン案上でも「効率的」の中に費用対便益の考え方も含めているので、あえて盛り込む必要はないのではないか。」との議論があった。
  <評価の概念及び対象範囲>
  政策評価として各府省の行う一次評価の他に、総務省の行う二次評価についても本法制の中で位置付けていくこととする。
  <評価の対象>
  政策評価を実施する対象を法律上であらかじめ明確化している必要があるのか。明確化するとするとどういった切り口になるか、さらには基準をどう明確に設定するかが問題となるのではないか。全く何の縛りもしないという訳にもいかないであろうが、政策評価制度自体がまだ試行段階であるのに今の時点で法律で対象をきちっとさせ、それに該当するものは「必ず」評価しなければならないとしておく必要があるのか。一方で、既におこなわれている公共事業での取組み等との整合性等に留意する必要もある。
  各府省が基本方針なりで評価の対象について選定する際に、総務省との間で調整するなどの何らかのフィードバックの仕組みを制度に入れ込むことも一案。各府省に一発勝負で計画を作らせ、「その計画では対象に漏れがあり法律違反だ」というのは実際問題厳しいはず。
  法律ではあくまで対象を示すだけで、そのうちの何に評価を実施するかは各府省の説明責任の下で判断してもらうという仕組みがもっとも現実的か。客観的基準を示すのではなく、基本的方向を示すのみで具体化は政府内のやり取りや国民との関係で決めていくということであろう。ただ、新規ものについては縛りをきつくするべきなど、何らかの程度の差をつけて段階的にする必要性もある。
  <評価の観点及び基準>
  評価の基準については、「できる限り具体的な評価基準」のような表現にならざるを得ないか。また、定量的な評価が原則だが、定性的な評価にならざるを得ないものもあるのは事実。
  <第三者等の活用>
  「客観性の確保」「多様な意見の反映」のために第三者等を活用するという論理には学識経験者や、研究会等の第三者と客観性の関係がややはっきりしないため、違和感があるが、内部の人間では気の付かない部分を指摘してもらうという意味では、専門的知見以外の要素があるとも考えられる。ただ、本当の意味での客観性はむしろ結果の公表のところで議論すべきではないか。
  審議会は、第三者性を有するとはあまり言えないであろう。また、中央省庁改革では審議会の数を減らしていこうという流れも尊重する必要がある。
  第三者等は「活用」するものであり、「活用」して最終的に判断するのは各省の大臣であるという構図は明確にしておく必要があろう。
  <国と地方との関係>
  国と地方との関係については、現実に評価制度を実行していく中でしか分からない部分が多く、現段階で法文で調査権限のように権限強化的に書いてしまうのは問題があるのではないか。ただ、各省としては調査も資料もなく政策評価をしろと言われても困るというもの正論であり、実効性も踏まえつつ、地方自治法における枠組みも考慮し、バランスのよい規定を考えていくべきであろう。
  <評価結果の政策・予算への反映>
  評価結果の反映を確実に担保するならば、予算要求や予算案の提出に際しては必ず評価書を付属せよ、ということにはなるが、現段階でそこまで求めるかどうか。ただ、評価結果の政策・予算への反映について「必要な措置」として何をするのか、ある程度のイメージを作っておかなければならないのではないか。
  予算の要求と編成は実務上では明確に分かれているが、財政法上では区別されていない。ただ評価結果との関係では、要求については「反映」ともいえるが、編成の時点では「活用」にとどまらざるを得ないとも考えられる。ガイドラインのレベルではこの書き分けも可能であろうが、法文上でこの書き分けができるかが難しい問題である。
  <評価結果等の公表>
  公表の手段を法律上書く必要があるのか。
  評価結果等についてパブリック・コメントの仕組みの整備を図るとしたら、おそらく大量に出てくるであろう意見に本当に対応仕切れるのか、反対運動や陳情に類するような意見にどう対応するのか、といった問題がある。
  <地方公共団体への政策評価の導入>
  地方公共団体でも、現在政策評価については実験的に取り組んでいる段階であり、国の方から一律にスキームを当てはめることは適当ではないと考えられる。
  (2) 次回(第6回)研究会は、11月1日(水)に開催し、法制化全般に渡り、基本的な論点について、今回の議論を踏まえて引き続き討議することとされた。
   
以上
   
(文責:総務庁行政監察局政策評価制度法制化担当室)

 


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