政策評価制度の法制化に関する研究会(第7回)議事概要

 

1.日時 平成12年11月13日(月)10:00〜12:10
 
2.場所 中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
 
3.出席者 (研究会)
  工藤敦夫座長、宇賀克也、塩野宏、田辺国昭、吉田和男の各委員
  (総務庁)
  塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、
鎌田企画調整課長、新井政策評価制度法制化担当室長、
若生政策評価等推進準備室

4.議題
   (1) 政策評価制度の法制化に関する基本的考え方の整理について
  (2) その他

5.会議経過
  (1) 政策評価制度の法制化に関する、これまでの議論を踏まえた基本的考え方について、事務局から説明の後、出席者による自由討議が行われた。 討議の概要は以下のとおり。
     
  <第三者機関の活用>
  専門性や情報を多く有する(例えば)審議会などは、企画立案の過程から見ると厳密には第三者とは言えない。法文化に際しては、まず「第三者機関」にどこまで第三者性を持たせるのかについて、なお検討してはっきりさせないといけない。政府の外にある第三者機関なのか、あるいは政府内での第三者機関なのか、あるいはそこまではいかず、専門家や学識経験者を活用するということでの「評価のサポート機関」くらいの位置付けなのか。
  評価を行う際の専門的知識の活用という側面と、評価で出てきたものの信頼性、客観性をある程度チェックをしてもらうという側面の両面がある。 第三者「機関」のチェックといった場合は後者、その他の専門家、学識経験者等に対する意見聴取・委託といった場合は前者であろう。法文化にあたってもその辺りの対応関係は整理をしておく必要がある。
  政策評価には「行政の一環としての評価」だけでなく「行政と独立しての評価」の要素も必要なので、従来の審議会方式のような形とは違い、評価の部門をある程度切り分けた形にできないか検討すべきではある。ただ、行政と独立した第三者の視点によるチェックというと、国民に対する公表で意見を聴くということで担保されているということではないかとも考えられる。
  法文化に当たっては、専門家、学識経験者(個人)と審議会等、研究機関等(機関)の区別を念頭に入れて、それぞれの活用方法を法文に書いていくことも考える必要がある。
  審議会はこれまで政策立案に関わっているものが主である。審議会が事後評価するということは、自ら企画立案した政策を事後評価することであり、第三者性はないのではないか。審議会の使い方の考え方を整理しておく必要がある。一方、事前評価については審議会の「活用」ではなく、審議会そのものではないかという問題がある。多様な意見を集めるという役割を担っている既存の審議会に、「外部性」を求めて政策評価の役割をプラスするのは難しいのではないか。
  政策立案自体に専門家、学識経験者、研究機関等の外部性を持たせることはそれで意味のあることである。ただ、活用の仕方として「任用」を入れると、任用してしまえば外部性が保てなくなるのではないか、という問題が生じる。
  <政策評価の実施>
  事前評価と事後評価のどちらが重要かということについて、考え方をはっきりと整理しておかなくてはいけない。これまでは事前の評価に重点がおかれて後はやりっ放しという問題があった、という問題意識を踏まえると、この法制の中では事後評価に重きをおいているということをきちんとしておくべきとも考えられる。ただ各省で事情は異なるであろうから、画一的に法律で決めてしまうのは適切ではないだろう。
  「政策が前提とした条件が変化した時」にこそ途中の評価が必要となるのであろう。法文で表現するに当たってはうまく工夫する必要がある。
  研究開発の分野については、有効性からだけでは評価できない。研究・学問の中身についての評価は行わないのが大原則であり、研究機関や独立行政法人等への投げ方のみを評価の対象とするということについてはっきりと誤解のないように説明・規定しないといけない。学問の自由との関係、学界での評価と政策評価としての評価との整合性などを整理しておかなければならない。
  <政策・予算への反映>
  法律上では、予算については要求から国会提出まではすべて内閣が行う事となっているので、この過程を区分して反映のあり方について規定する必要はないであろう。ただし実際には与党と調整を行っており、政治との関係について何らかの言及をしておく必要があるのではないか。法文上盛り込むことはむずかしいであろうが、考え方の整理としては、評価が政府原案を作成する際の「重要な判断材料」という位置付けにはしておくべきであるのではないか。
  <公表>
  評価の結果を書面(「評価書」等)で整理してそれを公表するにあたっては、公表用専用というのではなく、同時に内部でも活用できるような形のものであることが望ましい。
  実際には、公表用には分かり易さに配慮した概要のようなものにして、それ以上の詳細な内容のものは情報公開法の枠内での開示請求等で対応するという仕組みが現実的であろう。
  国会への報告と同時に、会計検査院への報告をする必要があるか。また会計検査院の行う検査と、本法の政策評価の位置付けについて整理をしておいた方がいいか。検査院法の改正で一応法律上の整理は済んでいるという風にも考えられる。
  <その他>
  人材の養成・確保をするといっても、現在の定員の中で現実にどういう対応ができるかは課題として残る。
  政策評価を実施することで、各省にどのようなメリットがあるのかを明確にし、インセンティブとなるような仕組みを示さないと、評価制度そのものがうまく機能しないのではないか。ニュー・パブリック・マネジメントの観点で、今後は各行政主体にも経営的視点が求められるということからすると、各主体がどれだけよい行政ができるかといった「省庁間競争」がそのインセンティブとして考えられるのであろう。
  「画一化」は制度が硬直化して動かなくなる恐れがあり避けるべき。「標準化」を図るという観点で法制化を進めていくことが重要である。
  (2) 次回(第8回)研究会は、11月28日(火)に開催し、引き続き政策評価制度の法制化に関する基本的考え方の整理について討議を行うことされた。
   
以上
   
(文責:総務庁行政監察局政策評価制度法制化担当室)

 


行政評価局トップページ 総務省トップページ  
行政評価局
トップページ

総務省
トップページ

政策評価トップページ