政策評価制度の法制化に関する研究会(第8回)議事概要

 

1.日時 平成12年12月14日(月)14:00〜17:00
 
2.場所 中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
 
3.出席者 (研究会)
  塩野宏座長代行、宇賀克也、田辺国昭の各委員
  (総務庁)
  塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、
新井政策評価制度法制化担当室長、若生政策評価等推進準備室長

4.議題
   (1) 研究会報告のとりまとめの方向について
  (2) その他

5.会議経過
  (1) 政策評価制度の法制化に関するこれまでの議論を踏まえ、本研究会の報告のとりまとめの方向について、事務局から説明の後、出席者による自由討議が行われた。 討議の概要は以下のとおり。
     
  これまでの本研究会における議論を整理し、取りまとめて、政策評価制度に関する法制として整備すべき枠組みの方向を示すものとして報告書を作成することとする。その際、政策評価制度の構築という観点では政策評価の手法等に関する研究会の場で検討されており、本研究会はその制度の実効性確保や国民の信頼の一層の向上のために必要な法制的な枠組みを整備をしたものであるという両者の関係も明記する必要がある。
  法制化の基本的考え方として、政策評価制度の全政府的な取組の指針であるガイドライン案を基本としつつ、政策評価に関する各府省共通のルールを定めるものと位置付け、1政策評価の実施を法律上明確に義務付けるとともに、その着実な実施を図ること、2政策評価の客観性を確保すること、3政策評価に関する一連の情報の公表を義務付けること とする。なお、政策評価制度は今般新たに導入されるものであり、性急に成果を求めるあまり硬直的な制度や過度に画一的な制度となることは制度導入の趣旨に反する。継続的かつ着実な取組により制度の定着と質の向上を図っていくための制度設計が必要である。
  今回の法制化は、政策評価をplan−do−seeのマネジメント・サイクルの中に制度化されたシステムとして組み込み、実施することにより、効率的で質の高い行政及び成果重視の行政を推進し、さらに、評価結果等の公表を義務付けることにより、国民に対する説明責任を徹底するものであると考えることが適当である。
  本法では、各行政機関に政策評価の実施を明確に義務付けることが必要であるが、その際には、政策のマネジメント・サイクルの中で評価を実施しなくてもよい政策はないとの前提に立つ必要がある。また、事前評価を実施したものについては事後評価を行う必要性が認められるが、その際には、単にその妥当性を検証するだけでなく,フィードバックして事前評価の精度を高めるという観点も必要である。
  公共事業、研究開発、ODA事業について事前評価を義務付ける事が適当と考えるが、法律でこれら3分野を特出しして、あらかじめ固定的に法律で規定して明確にするのが良いのか、その時々の政府の方針として政令に位置付けることが良いのかなどについては、法文化に際して引き続き検討するべきである。また、これらの事業について一律に義務付けることは適当ではなく何らかの線引きを考えていくことが必要である。
  第三者の活用については、チェック機関、専門的助言はあり得るが、評価の実施主体としての第三者機関を各行政機関に新設するのは本制度にはなじまないと考えるべきである。委託についても個別のケースでは考えられるが、制度として全体に仕組む必要があるとまでいかないだろう。実際には様々な態様の活用があることを念頭に検討しなければならない。
  資料提供については、実際に制度を動かしてみたところ、何らかの権限が必要になるということに将来なるかも知れないが、現段階では任意の協力により提供を受けるということでいいのではないか。
  評価結果については、政策評価を政策の企画立案と区別し、政策のマネジメント・サイクルの中での位置付けを明確にし、評価結果を政策の企画立案に適正に反映させる観点、及び、国民に対する説明責任を徹底する観点から、書面(評価書)の作成が必要と考える。その内容については、政策の企画立案への反映のために必要な情報と公表のために必要な情報を併せて考える必要があり、どちらかの情報を優先させることになるのか等、両方の機能を踏まえたうえで、どういった形のものが良いのか検討が必要である。
  評価書のほか、評価結果の概要を公表することについても検討が必要であるが、その際は国民にとっての分かり易さや、必要になる事務量も勘案する必要がある。「公表」の範囲と書面作成の範囲を分けて考えてよいのではないか。詳しいデータまで「たどれる」ようにしておくことが重要である。その場合、情報公開法でいう「公にしておく」という方法と開示請求による方法とが考えられる。また、情報公開法にいう非開示情報の取扱いについての考え方も慎重に検討する必要がある。
  評価結果と予算との関係については、評価結果を機械的に予算の配分額に結びつけることは困難であり、最終的な政府案の決定を様々な要素を含めた総合判断により行う中での、重要な判断材料として評価結果を活用していくという位置付けが適当である。
  総務省が行う評価及びこのために総務大臣が行う調査、勧告等の根拠については、現在総務省設置法で規定されているが、政策評価の一般法としての位置付けとなるものである本法制に位置付けることが適当である。
  政策評価に関し、政府全体における基本的な方針を策定するとともに、各行政機関がそれぞれ、その政府全体における基本方針に基づき、当該機関における政策評価への取組方法を実施方針として策定し、公表する仕組みとすることが適当である。
  継続的に政策評価の質を高め、政策評価の円滑かつ着実な実施を図るための取組や、国民が広く政策評価に関する情報を入手することを容易にし国民に対する説明責任を徹底していくための取組について規定しておくことも重要である。
  (2) 次回(第9回)研究会は、12月20日(水)に開催する予定。
   
以上
   
(文責:総務庁行政監察局政策評価制度法制化担当室)

 


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