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政策評価の手法等に関する研究会(第1回)議事概要

日時

平成11年8月27日(金)12:30〜14:45

場所

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

出席者

(研究会)
村松岐夫座長、奥野正寛、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(総務庁)
東田行政監察局長、塚本官房審議官、畠中官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

  1. 行政監察局長挨拶
  2. 事務局説明(政策評価のこれまでの経緯、研究会の検討課題、スケジュール等)
  3. フリーディスカッション

会議経過

  1. 研究協力者の自己紹介に引き続き、東田行政監察局長の挨拶が行われた。

  2. 政策評価のこれまでの経緯、研究会の検討課題、スケジュール等について、事務局から説明が行われた。

  3. 議事の公開の取扱いについて話し合われ、第2回会合で決定することとされた。

  4. 各研究協力者から、政策評価に関する所見や今後の研究を進めるに当たっての抱負などについて、以下のような発言がなされた。

    (奥野研究協力者)
    • 政策を企画立案する際にどういう情報を集めて評価し、これをどう公開するかの手続について、ガイドラインを作って盛り込むことが重要。
    • 情報化が進展し、行政に関する情報の量の増加と多様化が進んでいる中で、一般の人が政策について問題意識を持った時に必要な情報が得られることが大切であり、また、政策に問題があると思った時に、どこに持ち込めばよいかについてもはっきりさせることが必要。

    (金本研究協力者)
    • 評価の細かな点はむしろ各省にまかせて、全体としては評価の手続を整え、インセンティブを与えるような構造を作るべき。
    • 評価手法の開発は専門的なものであり、行政の現場に近いところの方が開発に適する。また、政策担当者だけでも開発は難しく、多くの分野の専門家が集まって取り組むことが必要。
    • 全く新しい評価の手法の開発はあまり期待できず、現在ある手法を集めて、それらの手法をどう適用させるかを工夫することが重要。しかし、既存の手法の適用が困難な分野もあり、そのような分野の評価結果は、あまり信頼性が高くないことを前提にすることが必要。
    • アメリカで見られるように、評価結果は自画自賛になりがち。しかし、評価は個別専門的であるため、総務省が評価結果すべてをチェックしお墨付きを与えることも難しい。評価の信頼性を高めるためには、専門家の間で相互チェックが行われることが必要。
    • 評価に関する情報を本当に処理し理解できるような専門家は少数であり、これらの専門家が情報を入手できるような公表の仕方がポイント。このため、インターネットでの公開を活用すべきであり、また、評価結果だけではなく、データや使用した方程式等についても公開すべき。

    (久保研究協力者)
    • 政策評価を行うこと自体は目的ではなく、次の政策の企画立案に反映させることが重要であることをまずはっきりさせるべき。
    • 政策評価はアウトプットではなく、アウトカムの成果志向であるべき。その際、行政は基本的にサービス業であるという位置づけが大切であり、最終的には国民の満足度が成果指標になるのではないか。
    • 民間では「自己監査は監査にあらず」と言われており、お手盛りの評価にならないような第三者評価の仕組みも大切。
    • 政策評価と地方自治体で取り組まれつつある各年度の政策の成果を計算する仕組みや民間における内部の業績を評価し業務の改善を図るための管理会計などの関係についても解明したい。

    (田辺研究協力者)
    • 政策評価は、アカウンタビリティ確保のための一つのツールである。しかし、アカウンタビリティ(説明責任)の内容が変わってきており、(1)法令・手続遵守に関するアカウンタビリティから、(2)与えられた資源の中でいかに成果を出すかという効率性、有効性などに重点を置いたパフォーマンスに関するアカウンタビリティや(3)国民の要求に応えられるよう行政の能力をいかに高めるかというキャパシティに関するアカウンタビリティが求められるようになっている。
    • 政策評価を成功させるためには、情報のモニタリング、適切に集約した評価に必要な情報の産出、評価情報の伝達の3つの要素をバランスよく行うことが必要。
    • 理論的には色々な評価システムが考えられようが、総務省と各省の2本立ての行政の内部評価であるということを前提に、実際に動くようなシステムを作ることが重要。
    • 政策評価の立派なシステムを作ってもリソースが足らなかったり、評価担当者の専門性が低ければ、システムは働かない。評価のためにどれくらいのリソースが割けるか、割くべきかを前提とした議論が必要。
    • 政策評価のシステムは、あまり画一的、集権的ではない方がよい。また、政策の改廃ばかりではなく、政策の改良にも力点を置いた方がより利用されやすいものになるのではないか。

    (星野研究協力者)
    • 何のための政策評価であるか、始めに政策評価の目的を議論すべき。
    • 税金の使われ方が政策の目標、目的に実際に貢献できるものなのか、行政活動の成果を納税者の立場から点検することが重要。
    • 縦割り行政の弊害を是正するためにも横断的な政策評価が大切。そのためには、個々の事務事業の評価だけではなく、政策体系を構築し、これに沿った評価を行うことが必要。また、毎年、目的達成度を点検することで、政策課題を先送りできないような仕掛けをつくるべき。
    • 人や組織を動かしていくためには、やる気を起こすようなインセンティブとやらざるをえないペナルティの両面を盛り込むことが大切。
    • 最初から精緻な評価の基準やマニュアルを作るのは困難。将来的なビジョンを持ちつつ、段階的な取組をした方が制度の運用の際につまづかないのではないか。

    (山谷研究協力者)
    • 政策評価や事務事業評価等の評価に関する概念が混乱している。英米においては、アカウンタビリティの質的転換がなされており、財政上のアカウンタビリティ(fiscal accountability)や行政活動を進める手続・手順・マニュアル・規則をどう遵守したかのアカウンタビリティ( process accountability)から、プログラムがその効果を達成したかをチェックするprogram accountabilityへと変化。我が国においては、これらの概念をどう使うかという議論がなされておらず、概念整理がまず必要。
    • 政策評価で改革するのは、組織、人事、予算等のハード面ではなく、行政における仕事の進め方というソフト面の改革である。
    • 政策評価においては、各分野の専門家でなくても、行政の運営の仕方やマネージメント等の面からの評価ができ、これがprogram accountabilityにもつながる。各省が評価した上で総務省が評価することは、メタ・エバリュエーション(評価の評価)として、評価の第三者性、客観性を確保するとともに、ある意味では素人の健全な目で適正な政策評価を行うことになる。総務省の政策評価は、各省のしくじりを探すのではなく、政策の改善のために各省の自己診断システムがうまくいくようにバックアップするようなイメージ。

    (村松座長)
    • 検討すべき課題として、政策評価の定義について、その間口の幅、方法、達成する目的などについて整理することが必要。また、政策評価と行政評価との接点についても整理することが必要。
    • 各省が行う評価に対し、総務省が行う評価とは何なのかを検討することが必要。
    • 事前評価は具体的にいつ行うかが難しい問題であり、どの時点で行うかで意味が変わってくる。政治過程とも関係し、政治と行政の接点に関わる問題である。

  5. 各研究協力者からの発言を踏まえ、以下のような意見交換が行われた。

    (星野研究協力者)
    • 横断的な政策評価の目的は、企業の本社部門が行う評価のように、全体の資源をどううまく配分するかということであり、各省の予算や人員等の配分をどうするかといった全体の有効性をみて、資源配分を変えるようにすべき。

    (奥野研究協力者)
    • 企業の場合であれば、横断的な資源配分のための評価が可能であろうが、官庁の場合は人事の仕組等からも難しいのではないか。複数の省庁が政策の企画立案において競争対抗することにも意味があり、横断的な資源配分によりかえって縄張り化することも考えられる。

    (金本研究協力者)
    • 政策評価の範囲をはっきりさせるため、まず、政策評価と執行評価との関係を整理することが必要。また、評価の観点についての理解も様々であり、整理することが必要。

    (星野研究協力者)
    • 政策評価の定義については、何を評価するかといった評価対象での分け方と、どんな評価をするかといった評価視点での分け方とを分けて議論すべきであり、政策目的と手段を体系化し一連の成果として評価することが重要。

    (行政監察局長)
    • 中央省庁等改革基本法においては、政策評価は必要性、有効性、優先性等の観点から政策の改廃等の評価を行うものであり、これ以外に、合規性、効率性等の観点から評価や監視を行うものも含むものが行政評価・監視と整理しており、行政評価・監視の方が広い概念になっている。
    • 「効率性」「有効性」等の評価の観点についても各方面の議論を整理し、今後御検討いただくことが必要。
    • 評価の対象としては、政策、施策、事務事業のすべてのレベルを考えてきたが、これについても今後ご議論いただきたい。

  6. 研究会の検討課題については、次の2点を中心に検討することが了承された。
    1. 政策評価に関する基本的な考え方の整理
    2. 政策評価の手法等の研究

  7. 次回研究会は、平成11年9月9日(木)14:00から、先行事例の発表(三重県における事務事業評価システム)、研究協力者による発表等を議題として開催することとされた。
    1. 以上
      (文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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