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政策評価の手法等に関する研究会(第6回)議事概要

日時

平成11年12月21日(火) 10:00〜13:00

場所

中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室

出席者

(研究会)
村松岐夫座長、奥野正寛座長代理、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(総務庁)
東田行政監察局長、塚本官房審議官、畠中官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

政策評価の基本的な在り方について

会議経過

  1. 事務局から政策評価の基本的な在り方に関する討議テーマについて説明があった後、以下のような意見交換がなされた。

    (久保研究協力者)
    • 政策評価を導入する目的としては、行政経営のツールとして行うということも重要。

    (金本研究協力者)
    • 行政改革の一つの主眼は、国の機能を企画立案機能に純化して、経営的機能を下に落としてしまうという発想であることとの整合性を考えると政策評価を導入する目的として経営のツールという言葉を入れるのは議論の余地があるところ。

    (山谷研究協力者)
    • アカウンタビリティの内容は、単なる説明責任ではなく、結果について説明するところまで含んでいるので、その趣旨を明確にすべき。

    (星野研究協力者)
    • アカウンタビリティの内容には、政策の成果が上がらなかった理由、目標が未達成の場合の理由と責任の所在についても含まれるべきと考える。

    (金本研究協力者)
    • 政策評価においては、「行政サービスの消費者としての国民に対してどれだけ成果を挙げているか」という側面が強い。

    (奥野研究協力者)
    • 政策評価においては、そもそも行政が担うべき政策であるか、ということを評価することも必要である。

    (金本研究協力者)
    • 政策評価とは、意思決定そのものではなく、意思決定を行うに当たって有益な情報を提供するものと位置付けるべき。その意味では、高度の政治的判断に基づく政策も評価対象となり得ると考える。

    (星野研究協力者)
    • いわゆる高度の政治的判断に基づく政策であっても、その遂行には国民の税金が使われているのだから評価の対象にしないのはおかしいのではないか。結果的に成果が出ず費用対効果に問題を残した場合、それは行政側よりも政治的判断を行った側に責任が所在すると思われる。

    (奥野研究協力者)
    • 新たな政策を行う場合の事前評価もあり、政策評価については、行政活動の範囲と質を国民が客観的に評価できるようなプロセスを作ることととらえられる。また、選挙や議会の活動を有効に機能させるためにも、情報の公開を一層積極的に進める必要がある。

    (金本研究協力者)
    • 時点については、事前・途中・事後と分けつつも、あまりはっきりと区別しない方がよい。 途中評価も事業を続けるかどうかの意思決定のための評価という意味で事前評価に近い。

    (田辺研究協力者)
    • 政策評価は、意思決定そのものではなく、意思決定のための判断材料であること、ただし、単なる情報提供とは異なり意図的に行われる活動であることを明確にすることが必要。

    (星野研究協力者)
    • 評価の観点については、まず行政が担うべきか、民間で実施すべきかという議論がある。より厳密に言えば、その政策の達成に対して税金を投入すべきか、税金を投入して達成する目的なのかというのが行政関与の妥当性であり、民間委託するしないといった手段の評価ではない。さらに行政が担うべき政策であっても、国か地方公共団体のいずれかが担うべきかという評価がその次にくる。必要性という評価視点はこのようにもう少しきめ細かく行い、政策評価の目的の一つである国の機能の絞り込み、スリム化を図るものに結び付けるべきと考える。

    (金本研究協力者)
    • 優先性は、必要性、有効性、効率性、公平性などの観点を全てみて、どれが優先されるという判断をするところから、他の観点と性格が異なり、優先性に基づく評価結果が他の観点による評価の結果と異なることがあり得る。

    (星野研究協力者)
    • 評価の主体については、内部評価が必要ないということにはならず、内部評価のみだとどういう問題があるのかということ。それは評価の客観性が確保できずに結果として単なる見直し、部分改善に止まるという懸念があること。

    (山谷研究協力者)
    • 行政の内部評価も、各府省の評価と総務省の評価とがあり、さらには、行政以外の国会や住民の評価という多元性を前提としているので、「お手盛り」評価であるという批判は当たらない。

    (金本研究協力者)
    • 政策に最も詳しいと考えられる各府省が内部評価を行うことで情報が提供され、外部評価が可能になる。ただし、「お手盛り」評価との批判の声はあってよい。
    • 各府省に置かれる政策評価担当組織の役割や外部評価の位置付けは分野によって異なり、それぞれに合ったやり方を許容せざるを得ないのではないか。
    • 第三者の活用については、現在各省庁で行われているほとんどの評価は、民間を導入しており、各府省の評価の実施の際には外部の有識者が入らないと内部ではノウハウがない。ただし、その第三者にどれだけの権限を持たせるかについては検討しなければならない。

    (奥野研究協力者)
    • 内部評価は、外部評価を行うために行政活動の内容が誰にでも分かる資料を提供するというプロセスと割り切ることも必要ではないか。また、総務省に理解してもらう資料を作成するシステムも重要で、総務省の役割の一つはそこにある。また、各府省の内部評価同士を比較することも求められる。

    (田辺研究協力者)
    • 各府省は、内部に評価担当組織を置くことになるが、政策担当部局に対してはチェックの機能を持つため、馴れ合いの関係となることをある程度防ぐものと考える。

    (山谷研究協力者)
    • 情報公開を行うことを前提として評価を行うとすると、各府省の政策評価の担当部局はその精度、質を競い合うようなことになる。この意味では、評価は失敗を追及するだけでなく、評価がいかにうまく実施されているかということを示すことも重要であると考える。

    (金本研究協力者)
    • 政策評価における第三者の活用については、実務作業を民間のコンサルタントなどに実施してもらう側面と、その作業に必要な知識を有する学識経験者が必要な側面とがある。各府省の評価の実施要領を定める際に外部の考え方を入れることは重要だが、どのような側面で活用するかは各府省で判断することである。

    (星野研究協力者)
    • 評価結果については、予算への反映以外に定員査定に反映させて活用すべきである。

    (金本研究協力者)
    • 予算、定員の査定、法令改正など意思決定を行う場合には、政策評価を行うことが原則であると考えられる。
    • 総務省の役割としては、評価を行うこと以外に、まず、政策評価を実施するための政府全体のガイドラインをつくることが重要。また、各府省の情報を一元的に検索できる「クリアリングハウス」のような機能を果たすことも重要。
    • 情報を公表する際に、過去の評価結果が蓄積されていて、それを検索することが可能である状態になっていることが重要。

    (星野研究協力者)
    • 政策評価のデータベースをどのように構築するか、どの機関がどのような役割を担うかが重要。また、情報をどのような形で蓄積していくかが重要。

    (金本研究協力者)
    • データベースを一元的につくろうとすると時間がかかりなかなかできないので、各府省の分散型を基本としてそれぞれが責任をもって保管することとした上で、相互にリンクを張るようにしないと有効に機能しない。

    (村松座長)
    • 評価結果に関する外部からの意見・要望を受け付ける仕組みについては、米国のGPRAに関する論文でも相当問題にされており、様々な意思決定手続がどれだけ手続法規に即して行われているかということが問題にされている。

    (久保研究協力者)
    • 評価結果を予算と直接的に連動させることは避けるべきであるが、全く連動しないのも問題というのが大勢であろうと考える。

    (金本研究協力者)
    • 評価手法を選択する場合の考慮事項として、第三者の検証可能性と、事後評価に適用できることが挙げられ、評価手法によりその程度が異なる。
    • 評価手法の信頼性についての情報はあまり出ておらず、各府省でも総務省でも行うべき。
    • 異なった事業間を比較して、どちらがよりよいかという評価はなかなか困難であり、有効な評価は、同種の事業の中で最もよいものを選ぶということである。

    (星野研究協力者)
    • 政策評価の法制化については、それにより評価実施の強制力を持たせるという面と、かえって柔軟に対応できなくなるという面とがある。今回の標準的ガイドラインづくりの中で、最低限強制力をもたせることが必要なものについては法制化を検討していくということになるのではないか。
    • 法制化を検討すべき事項として、政治主導で実施された政策も、その結果については評価を実施し、次の政治主導判断に反映させる、これが国民的視点での政策評価ではないか。

    (東田局長)
    • 政策評価の実施自体についての根拠規定は、既に国家行政組織法等に盛り込まれているが、更に法制化を行うとなると、その前提となる基本的な考え方を検討する必要があり、この研究会での検討はそのための前提ともなるものであるという認識でいる。

    (久保研究協力者)
    • 政策評価のインフラとして、発生主義の会計システムを整備しないと、政策のコストが把握し難いということになるのではないか。また、人件費も政策のコストの大きな要素の一つ であると考えるべき。

    (奥野研究協力者)
    • 行政全体が事前裁量型から事後チェック型へと重点が移っている中で、事後チェックの際に代替的なチェックができることが重要。それとの関連で、早期に政策評価の法制化を行う場合には、事前裁量型の行政を前提とした形にならざるを得ないおそれがあり、事後チェック型の行政への移行の流れに沿うような仕組みをどう担保するかを重視すべきではないか。
    • 事前裁量型の行政を事後チェック型に転換していくためにはある程度の人的資源を使うことはやむを得ないことであり、そのことも明確にしておくべき。
    • 行政活動における成果重視が重要であるという側面はあるが、大学教育など成果重視で考えきれない行政分野もあるのではないか。
    • 積極的な公表になじまない事項に関する評価についても最初から内部の段階にとどめてしまうのでなく、最低限、守秘義務をかけるなどとした上で、総務省の第三者委員会に挙げて、その上で公表するかどうかを判断することが重要。

    (山谷研究協力者)
    • 定量的な評価になじむ政策領域と定性的な評価になじむ政策領域を仕分けして整理する必要がある。

    (金本研究協力者)
    • 評価制度の定着のためには、評価手法を用いた結果の誤差の程度など評価手法の信頼性についての情報が不足しており、このような課題について調査研究を行うことも必要。

    (村松座長)
    • 評価手法の信頼性の確保は、政策評価のインフラのようなことでもあり、絶えず情報を収集し、蓄積する必要があるのではないか。

    (山谷研究協力者)
    • 評価のインセンティブという意味では、例えば大学の政策評価論の課程を修了したら国の省庁の政策評価関係部門に携われるようにするということも考えられる。また、NPOに評価についての提言をしてもらうことなどにより、積極的に評価に関わりたいという人が出て来るのではないか。
    • 評価のインセンティブの内容としては、社会的なインセンティブ(行政に対する社会的な信頼の確保)、経済的なインセンティブ(評価結果に基づく予算の獲得)、政治的なインセンティブ(政治や行政に対する信頼の確保)が挙げられる。

    (星野研究協力者)
    • 評価のインセンティブとしては、特定の政策についてテーマを決め、シンクタンクなどの複数の団体に外部評価を募ることも考えられるのではないか。

    (村松座長)
    • 法制化の関係では、我が国では政策評価についての経験が豊富ではないとすると、各国の動きにみられるように、ある程度段階的に進めていくということでないと評価制度自体が信用を失うというおそれがある。

    (久保研究協力者)
    • 法制化の検討に当たって、法律ができたから一律に一挙に実施しなければならないというものではなく、段階的に取り組むことを可能にする法律も検討できるのではないか。また、法律の実施可能な範囲で盛り込むということではないか。

    (星野研究協力者)
    • 評価を実施する際に不具合が生じた場合、制度の在り方に問題があるのか、運用の問題なのか、第三者が判断できるようにすることが必要。これが外部評価の持つ重要な機能と考える。

    (山谷研究協力者)
    • 欧米諸国で実施されているように、政策評価を実施するのに先立って、評価のためにどの程度の時間やコストをかけるべきかを認識した上で適切な評価手法を選択することが重要。

  2. 次回第7回研究会は、平成12年2月2日(水)15:00から、本研究会の「政策評価の導入に向けた意見・論点の中間整理」についての検討、九州大学大学院法学研究科 今里滋教授による「ニュージーランドの政策評価の動向」についての発表等を議題として開催することとされた。

以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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