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政策評価の手法等に関する研究会(第9回)議事概要

日時

平成12年3月17日(金) 10:00〜12:30

場所

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

出席者

(研究会)
奥野座長代理、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、山谷清志の各研究協力者

(発表者)
稲継裕昭 姫路獨協大学法学部助教授
山本清 岡山大学経済学部教授

(総務庁)
東田行政監察局長、畠中官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

  1. 有識者による発表
    稲継裕昭 姫路獨協大学法学部助教授
    「英国政府業績評価制度の概要」
    山本清 岡山大学経済学部教授
    「政策評価システムの導入の課題と提言」
  2. その他

会議経過

  1. 姫路獨協大学法学部の稲継助教授から、「英国政府業績評価制度の概要」について報告があった。

    (稲継助教授)
    • 本日は、英国政府業績評価制度としてCSR(包括的歳出レビュー)とPSA(公共サービス合意)について報告する。
    • イギリスでは、1979年のRayner'sscrutinies(能率室長官レイナーによる業務の能率に関する調査)、1980年代の終わり頃のNextStepsProgramme(能率室長官イブス報告に基づく執行エージェンシーの創設)、1990年代のCitizen'sCharterWP(「市民憲章」白書。公衆に提供されるサービスの質の向上を目指したもの)、CompetingforQualityWP(「質の向上を目指す競争」白書。行政における競争の促進を提案したもの)などの様々な政策を実施。
    • CSRは、1999年度から2001年度までの3会計年度で行い、その後、CSRを発展させる形で2000SR(2000年歳出レビュー)に移行。1)全政府的な改革目的の設定、2)各省大臣による包括的レビュー、3)各省による歳出計画の策定、という流れ。
    • 予算総額であるTME(TotalManagedExpenditure:総管理歳出額)は、3会計年度の間で弾力的に運用できるDEL(DepartmentalExpenditureLimits:各省歳出限度額)と毎年予算折衝を行うAME(AnnuallyManagedExpenditure:年次管理歳出)という2つの予算項目から成る。
    • PSAは、政権党である労働党の公約を反映して各省が設定する「ねらい(Aims)」、「目的(Objectives)」、「資源(Resource)」及びそれらを達成するための指標である「業績達成目標(PerformanceTarget)」などから構成されているが、その作成は、次のような流れ。1)大蔵省が各省にヒアリングを行ってガイダンスノートを作成、2)ガイダンスノートに従って各省でターゲットの草案を作成、3)各省と大蔵省のEDs(ExpenditureDivisionTeams:予算査定担当組織)とで協議、4)その協議内容を大蔵省内でEDsからGEP(GeneralExpenditureDivisionTeam:大蔵省内の各予算査定担当組織を統括する組織)へ集積、5)GEPから主計大臣(閣議メンバー)、主計大臣からPSX(閣内委員会)へ報告、6)重要な点については主計大臣又はPSXと各省大臣で協議。技術的な点については事務レベルで協議、7)PSAの公表。
    • PSAは1999年度から始まった制度であるためモニタリングは現在未実施。EDsが各省と四半期ごとに行い、主計大臣又はPSXと各省大臣との間でディスカッションを年2回行う。
    • 2000SRは、1999年夏に着手。2000年7月に白書を出す予定。現在のCSRでは3つの政策(Criminaljusticesystem(刑事裁判制度)、IllegalDrugs(薬物取り締まり)、ProvisionforYoungChildren(青少年のための法的規定))でしか行われていない省庁横断的なレビューを、2000SRでは、13のプロジェクトで検討中。
    • 2000SRに伴い新しく設定されるPSAにおけるターゲットは、例えば保健省のように現行のPSAよりもターゲットの数を絞った上で、歪みのあるものは是正するなど改良を加え、かつ、OPA(成果・業績分析)との整合性も図った上で発表する予定。
    • CSR及びPSAについては内閣府から様々な政策が出ているものの、大蔵省のイニシアティブが強い印象。各省の大臣は、CSR及びPSAを評価している人が多いように聞く。官僚については、その評価は様々で、大蔵省のコントロール強化という意味しか認めない者もいれば、自分の仕事の位置付けが明らかになったと評価する者もいる。ただ、この制度により、ターゲットについて非常に敏感になったという点は、肯定的評価の者も否定的評価の者も是認。
    • このような制度の背景は、エージェンシーが所管大臣と契約を結ぶときにターゲットを設定する慣行となっているNPM型の改革の進行、AuditCommission(全国会計監査委員会)により自治体間の比較を行ってきていること。
    • CSR及びPSAは、従来の予算編成の流れをそのまま継承し発展させたもの。予算折衝が3年に1度になった分、余裕のある時間でPSAにおけるターゲットを設定。
    • 日本とは異なる事情として、イギリスでは選挙公約の内容に基づいてターゲットを設定。イギリスの強力な政党政治の反映。

  2. 稲継助教授の報告に関して、以下のような意見交換が行われた。

    (金本研究協力者)
    • 英国大蔵省のPublicServicesの各課の職員数はどれだけか、また、制度運用は課の職員だけで行っているのか。トータルのマン・パワーの使い方について。

    (稲継助教授)
    • 各課別の職員数は、公表されているものはない。担当者に聞いたところ、PublicServicesで150人。1課に10人から15人。

    (久保研究協力者)
    • 説明資料ではPSAの構成要素の一つとして、「業務運営の生産性向上」とあるが、保健省で評価のターゲットを絞ったという話は、それと関連する事柄か。

    (稲継助教授)
    • 保健省で評価のターゲットを絞るというのは、「業績達成目標」での話。誤解を与えたかもしれないが、ここで挙げられている「業務運営の生産性向上」は、電子政府の取組み、政府調達の改善などのアドホックなテーマについて行うもので、業績達成目標とは直接つながっていない。

    (奥野座長代理)
    • 業績達成目標の各省間の整合性の有無。また、外交など業績目標が設定しにくい分野はどのように扱っているのか。

    (稲継助教授)
    • どの省も他の省がどのような折衝をしているかは見えない仕組み。各省が対応するのは大蔵省の担当EDsのみであるので、各省はGEPにどういう情報が集積されているかわからない。各省の折衝についての情報を総体として把握しているのはGEPのみ。
    • ターゲットの設定が困難な分野については、長い時間をかけて定期的に各省を研修していくことにより対応したいとしているが、あまり熱心には取り組んでおらず、非常に大雑把であるという印象。

    (奥野座長代理)
    • イギリスは議会のコントロールが強く、行政側のGEPの権力が強くなっても、議会とのチェックアンドバランスがうまく働くが、日本の場合は議会がかなり弱い。日本でこの制度を導入する場合はうまく機能するのか。うまく機能させるにはどのようなことが必要か。

    (稲継助教授)
    • イギリスは、PSX(閣内委員会)が強い。しかし、日本の場合はそういったものはなく、日本のどこの機関がそれをやるべきかは、今はよくわからない。日本では、政府と議会の力関係がイギリスとは大きく異なるため、この制度の適用は困難を伴うと考える。

    (田辺研究協力者)
    • 1)英国の業績評価制度をみてきた日本の各省の関係者は皆、DEL(DepartmentalExpenditureLimits:各省歳出限度額。3会計年度の間で弾力的に運用できる予算枠。)よりもAME(AnnuallyManagedExpenditure:年次管理歳出。毎年予算折衝を行う予算枠。)の方がよいと言うがそれはなぜか、2)DELとAMEとの線引きはどういう基準で行うのか、3)PSAはトップダウン方式の評価であるが、もともと各省には過去の行政改革により構築された内部の予算管理のシステム(指標等)があるはずで、それとの整合性の有無、4)白書では、目標値が達成できないと予算を削ると明記されているが、実際にそういう例があるのか。

    (稲継助教授)
    • 1)3年間予算が固定されてしまい増加が見込めないDELに対し、AMEは毎年折衝があるので、増額が期待できる。2)DELとAMEとの線引きについてははっきりしない。3)各省で構築・運用されてきた予算管理のシステム(指標等)をPSAは逆に利用しているのではないか。4)初年度のPSAが進行中であるので、それがどのように予算に反映するかということはまだ明らかでない。

    (奥野座長代理)
    • CSR及びPSAに対するマスコミや外国の反応。

    (稲継助教授)
    • CSR及びPSAについては一般の人はほとんど知らない。マスコミでもあまり取り上げられていない。「エコノミスト」誌では、大蔵省の統制を強めるだけのシステム、本当に予算を削れるのか疑問、労働党の公約を実現させるためのシステム、といった批判的な論調で掲載。

    (奥野座長代理)
    • 政策評価と大蔵省の予算編成権との結びつけ方について、直接結びつけ過ぎると日本のように議会の弱いところは大蔵省の権力が強くなりすぎるという懸念があるがどうか。

    (稲継助教授)
    • イギリスでも、CSR及びPSAの導入により大蔵省の権限が増大する方向。日本に導入すれば、同様に大蔵省の権限は強化される。それを議会がどのようにコントロールするかが問題。

    • 続いて、岡山大学経済学部の山本清教授から「政策評価システムの導入の課題と提言」について説明があった。

      (山本教授)
      • 我が国での評価制度の現状について、以下のような課題がある。1)次の3つの意味から成果指標作成が自己目的化していること。ア)成果の評価においてコストとの対比による視点の欠如、イ)行政活動では統制不可能な要因の不明示、ウ)目標値の設定が恣意的で実現可能性への配慮が少ない。2)評価単位としてはほとんどが事務事業レベルであるため、その上位にある施策単位との変換ができないこと。3)成果は1年間で発現するとは限らないにもかかわらず、単年度主義のマネジメントに固執しているため評価のミスマッチが生じているということ。4)顧客志向の経営を目指す自治体について、顧客志向は職員の意識改革としての価値はあるものの、住民の過度の需要と過大な要求に応じてしまいがちになり、結果的に拡大財政による住民の負担増をもたらすおそれがあるということ。5)満足度調査や意識調査を、対象範囲、コスト負担、受益層をあいまいにしたまま行い、その結果を安易に活用しがちであるということ。
      • 次に、諸外国の政策評価に関する経験、特にGPRAについては、次のような課題がある。1)政策目標や目標値の設定が政策目的と十分に対応していないこと。2)ある目的や目標の達成のために、どのような手順・方法を用いるのか、どれくらい資源が必要なのかということが明らかになっていないこと。3)戦略的な目的の達成のために毎年度の計画がどのような役割を果たし、どのように反映されるのかを明らかにする必要があること。4)行政活動は、アウトカムに対しては「影響」するに止まるということを明確にするとともに、外部要因が発現した場合における対処策を事前に用意しておくことが必要であること。5)モニタリング評価だけではなく、重要な政策については定期的にプログラム評価を行う必要があること。
      • また、今回の「意見・論点の中間整理」に対するコメントは以下のとおり。1)評価の観点と手法との対応関係を整理すべき。また、内部評価と外部評価の特性を考慮する必要。2)「総務省の位置付け」については、国会、会計検査院、大蔵省と国会の統制や行政府内における統制について協議を行うべき。また、マニュアル類の整備を進めていくことも必要。3)事業評価(仮称)については、ODA、公共事業、研究開発などに限定するのも一つの考え方だが、施策実績評価(仮称)がすべての施策に及ばないのであれば、特定分野以外の事業はどこでカバーするのかという問題もある。4)施策実績評価(仮称)については、事後的評価に止まる必要はない。また、達成度の測定が、そのまま効果の測定とはならない。5)政策体系評価(仮称)については、プログラム評価に相当するものであると認識すれば、府省で評価を実施して中止や見直し等に利用する可能性は低い。むしろ改善や学習に重点を置くべき。休廃止には総務省を含めた外部評価が有効。6)評価手法についても限定されるが、原因とか対策を明示するという意味においてはTQM(TotalQualityManagement:総合的品質管理)的手法も有効。7)マネジメントコントロールに内在する統制的要素の逆効果(負の影響性)を少なくする工夫が必要で、対策としては実質的な指標の設定やトレードオフの特定化などが挙げられる。
      • 次に評価システムの設計と運用における留意点についての意見は次のとおり。1)評価に際しては、行政活動への関与者(ステイクホルダー)という視点が重要。例えば、納税者・出資者の観点ではVFM(支出に見合う価値)の確保、顧客の観点では顧客満足度(CS)、議会の観点では執行部門の統制、執行代理人の観点からは学習・改善にそれぞれ資することが重要。2)問題解決や学習型組織の確立が重要。そのためには、行政活動から成果までのプロセスを図式化・検証することも有効な方法。3)評価結果の予算や計画への反映について、単年度での反映と複数年度での反映に区分する必要。単年度では、サービスの質やサービスへの需要に着目。4)因果関係の連鎖の作成と指標のパネルデータとしての収集によりモニタリングとプログラム評価との中間的な簡易評価が可能。
      • 評価を施策単位で行うには、予算管理も施策レベルで管理をすべき。
      • 評価スタッフの充実と評価活動への財政措置のほか、評価結果の政策への反映の仕組みや需要者側に活用されやすい工夫、評価文化の確立が必要。
      • 米国連邦政府における事後評価において使われている手法について、その件数についてみると、一番多いのは専門家による審議会方式。次が前後比較とか目標比較といった順番で、費用便益分析等の手法はむしろ例外的。

    • 説明に引き続き、以下のような意見交換がなされた。

      (金本研究協力者)
      • 施策レベルの評価については、地方公共団体と国とでは異なり、国にあっては、政策体系に近いものになるという気がするが、欧米諸国で行っている評価のどれが対応するのか。
      • 施策レベルの評価は、専門的なレベルで施策と効果を体系的に分析するところまでやるのか。

      (山本教授)
      • GPRAは施策実績評価(仮称)に対応するものではなく、政策に近いところまで含まれた体系。
      • ニュージーランドでは、政権党による重点政策について施策レベルの評価を行っているが、(中間整理での)3類型には入らず、行政庁が行うマネジメントサイクルの中ではカバーしない方がよい。

      (奥野座長代理)
      • 施策実績評価(仮称)は(政策体系評価(仮称)や事業評価(仮称)との関係で)具体的にどのように使ったらよいのか。

      (山本教授)
      • 施策実績評価を事後評価に限定すべきではないというのは、施策レベルの事前評価も行うことにより、不適切な施策が行われるのをあらかじめ防止できる。経験的な観点、概念的・論理的な観点、実施可能性の観点等により事前評価すべき。
      • 施策実績評価をGPRA的な評価とみなすならば、単なる実績と目標の比較ではなく、評価結果を施策の改善につなげるために、あるいは、評価結果が政治的に恣意的に用いられないために、外部要因の特定化、施策と個々の事業との対応関係を明らかにすることが必要。
      • 事業評価を特定分野に限定すると評価対象の空白が生じる。また、施策実績評価を入れずに政策体系評価と事業評価だけの評価で企画立案や予算編成に反映させるのも問題。

      (田辺研究協力者)
      • 評価を組織的に行う場合のチェックアンドバランス、特に、総務省と各府省の評価との関係で総務省にどの程度権限を持たせるのか。GPRAでの権限よりも強い方がよいのかどうか。

      (山本教授)
      • 総務省は、指揮・監督権を行使するよりも、サポートに徹した方が我が国の風土に合うように思う。
      • 大蔵省との関係を抜きにしてはチェックアンドバランスが不十分。アウトカム、アウトプットに必要な資源の特定化をしておく必要があるのではないか。また、会計検査院の在り方を変えないと理想的なチェックアンドバランスを図ることは困難。

      (田辺研究協力者)
      • 法制化について、事業評価(仮称)、施策実績評価(仮称)、政策体系評価(仮称)という方式の中で、どのような法制化の道があるのか。もしくは法制化はしなくともよいと考えているのか。

      (山本教授)
      • 法制化は全く無駄とは思わない。法制化によりどのような場合にどのような評価を行うのかが明確になるというメリットはあり、義務的にしろ継続的に実施することが担保される。特に、外部監査については、法制化は有効なツール。
      • 法制化において評価の3類型を明記してもよい。現在検討されている行政評価法案は、施策実績評価(仮称)に限定して実施するような印象があり問題。

      (田辺研究協力者)
      • 事業評価(仮称)の主要なツールは費用便益分析。それを公共事業やそうでないものにどこまで拡張できるのか。また、公共事業以外の分野へ拡張する困難さと、その分野におけるアカウンタビリティの確保の必要性とどのように折り合いをつければよいか。

      (山本教授)
      • 事業評価(仮称)は費用便益分析が中心になるとは考えていない。それに代わるツールとしては、予測的な評価手法を使うか、あるいは事後的には実験法(又は擬似実験法)などで評価が可能。施策レベルの評価を事前に行おうとした場合、外部的要因の追求など困難な部分があるので、とりあえず事業評価(仮称)でいくつかの分野に限定して実施するということはあり得る。
      • 費用便益分析が適用し難い分野について、これに代わる指標となると、事前の評価指標についてはなかなかない。ニーズ評価等はあるがこれは不完全な評価ツールである。

      (久保研究協力者)
      • 総務省の位置付けも、国会、大蔵省、会計検査院と協議をして方向性をみつけておく必要。この研究会だけで何か決めても他の機関が動かないと意味がない。
      • 施策実績評価(仮称)の事前評価の時点で目標を設定し事後にレビューする等の運用をすれば、実質上の事前評価が可能。目標設定時に事前評価が行われている。
      • この研究会の中間整理では、施策実績評価(仮称)を各行政分野について幅広く実施しようとしており、アカウンタビリティの空白は生じない。

      (山本教授)
      • 施策実績評価(仮称)を全ての分野で実施すれば空白の問題は生じない。ただ、一つの施策の下にある複数の事業間で効果が重複する場合、それをどのように評価するかという問題は残る。
      • 目標を設定する際には確かに事前評価の要素の一部は含まれているが、問題は因果関係の領域にどれほど踏み込んで目標が設定できるかということ。

      (久保研究協力者)
      • 把握の難しいアウトカムではなくアウトプットで事業評価する地方公共団体が出てきたが、それについてはどう考えるか。また、単年度主義に固執しないためどのようなシステムがあるか。

      (山本教授)
      • 評価結果と予算編成のリンクを強調すればアウトプットにならざるを得ないが、アウトカムの評価は必要ないということではない。地方公共団体においても、事務事業レベルの評価はアウトプットでやって、施策レベルの評価は一応アウトカムでやろうとしている。また、NPMでは予算編成はアウトプットで行い、戦略的計画や効果の評価においてアウトカムの要素を入れるという考え。
      • 評価と予算とのリンクについては、アウトプットやサービスの質は単年度サイクルで行い、アウトカムについては、3?5年サイクルの戦略的計画で行うべき。

      (山谷研究協力者)
      • 総務省の位置付けのところで、国会、会計検査院及び大蔵省との協議という話があったが、米国とは違って日本でやろうとするとかなり難しいのではないか。

      (山本教授)
      • 評価と予算とを全く分離するというのであれば別だが、評価結果を企画立案、予算編成への直結又は反映を目指すのであれば、大蔵省等と協議せざるを得ない。
      • 国会との協議は、政策体系レベルでの評価結果を国会等の議論の場で活かすためにも必要。
      • 総務省は、業務の区分け・整理のためにも会計検査院との協議が必要。

      (奥野座長代理)
      • 大蔵省からの独立性を担保し、かつ予算編成にもうまく反映させるには、予算編成のプロセスにおいて政策評価をどう位置付けるのが望ましいか。

      (山本教授)
      • 施策単位でアウトプットを中心として予算編成をしていくことで評価の単位と査定の単位を一致させていくことが必要。ニュージーランドのようにアウトプットに必要なコスト・財源、アウトプット(施策)の目的・目標を明確にすべき。その上でアウトプットの実施方法は各省の裁量に任せ、各省が内部評価を行い、さらに総務省や会計検査院がそれを評価するというイメージ。

      (奥野座長代理)
      • 政策体系評価(仮称)は具体的にどのようなことをイメージしたらよいのか。

      (山本教授)
      • 政策体系評価(仮称)はプログラム評価よりもやや上のレベルの評価であるような印象。そうであれば国民がどのような政策領域に一番力を注いで欲しいかを踏まえるためのニーズ調査が重要。プログラム評価については、既にそれぞれの政策において行われている。
      • よい成果だけでなく、お互いにトレード・オフの関係にある効果やネガティブな効果も把握しそれをいかに減らすかが大切。そのためにプログラム評価を行えば、各省庁のモチベーションが高まる。

    • 事務局から、研究会では本年6月を目途に中間まとめを予定し、これに向け検討を進めていく必要があるとの説明があり、了承された。


    • 次回第10回研究会は、平成12年4月の中旬、英国、米国、オーストラリア、ニュージーランドにおける政策評価制度に関する調査報告、施策実績評価(仮称)の在り方等を議題として開催することとされた。


以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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