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政策評価の手法等に関する研究会(第16回)議事概要

日時

平成12年8月21日(月) 14:00〜17:10

場所

中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室(404号室)

出席者

(研究会)
村松座長、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(総務庁)
塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

  1. 今後の研究会の日程及び政策評価をめぐる最近の動向について
  2. 事例研究(下水道等汚水処理施設の整備、空港の整備、職業能力の開発)

会議経過

  1. 若生室長から、今後の研究会の日程及び政策評価をめぐる最近の動向について説明がなされた。


  2. 事務局から、下水道等汚水処理施設の整備、空港の整備及び職業能力の開発に関する事例研究について説明がなされ、これを踏まえて、以下のような意見交換が行われた。

    (星野研究協力者)
    • 事例研究の位置付けを明確にすべきである。

    (若生室長)
    • 事例研究は、総務省による評価でも各府省による評価でも共通してみなければならない部分と、総務省が総合的に行う評価でみる部分との両方を含めてまとめるものである。

    (村松座長)
    • 事例研究の結果は、相手省庁に義務付けする性質のものではないが、研究会における研究結果として参考提示できればその方がよいと考える。
    • 事業評価、実績評価、総合評価の視点ごとに、必要性、効率性等の各観点とも関連させながら整理していきたい。

    (星野研究協力者)
    • 個別個所の事業評価における事前評価については、「政策評価に関する標準的ガイドラインの案」という。)に、「事業等の目的が国民や社会のニーズに照らして妥当か、上位の目的に照らして妥当か、行政関与の在り方からみて行政が担う必要があるかについて検討する。」とあるように、まず、事業そのものの必要性を評価し、次に、国の関与の必要性の評価を行い、続いて、有効性、効率性の順で評価すべき。

    (土井次長)
    • 事例研究では、既に実施され継続されている事業分野をテーマに採り上げており、事業そのものの必要性及び国の関与の必要性については、基本的に事後的に評価すべきものという理解でいる。

    (若生室長)
    • 個別箇所の事前評価においては、地域特性等により事業そのものの必要性の議論までするのは難しい面があるのではないかと考えている。事業の目的の妥当性や国の関与の必要性については、事業全体を対象としてとらえた場合の評価であり、個別箇所の評価とは異なるという理解でいる。
    • 新たに事業を行う場合には事前評価が可能となるが、既に継続実施されている事業について、その事業全体を対象として評価する場合は途中評価にならざるを得ない。

    (金本研究協力者)
    • 事例研究について、評価主体と評価方式を明確にする必要がある。
    • 総務省の行う評価についての事例研究の場合は、各府省が自己評価を行う視点からまとめるのは適切でない。各府省による評価のメタ評価、府省横断的な施策の評価などの総務省が実施する評価を念頭に置くべき。
    • 事前評価における必要性については、事業によって評価の内容が異なる。個別箇所別の評価の際にその事業全体の必要性が問われる事業もあるのではないか。事業全体の評価を事後評価でみるとしてしまうのは問題で、これから行おうとする事業について幅広い見地から検討することが最も重要である。下水道事業でいえば、ある地域で整備計画を立案する際に、各省の役割分担をどのようにし、どういうネットワークにすべきかを評価することが必要。その際に活用できる事業の具体的な費用・効果に関するデータを、過去行われた評価において収集しておくことが必要である。

    (村松座長)
    • 行政が関与する必要性に係る指標として、「行政関与の在り方に関する基準」(平成8年12月16日行政改革委員会)が挙げられているが、この基準の扱いについてはどう考えるべきか。

    (金本研究協力者)
    • 自分も行政改革委員会においてこの基準の策定に加わったが、これについては政府が最大限尊重する旨の閣議決定がなされている。基準はかなり抽象的な内容となっており、基準を適用する際に、当てはまっていると誤認するケースも多い。
    • 総務省は、行政が関与する必要性について各府省が説明した内容について評価すべきであり、総務省自らが関与についての結論を最初に提示すべきではない。

    (久保研究協力者)
    • 事例研究の内容について、(1)ガイドラインで示された評価の3方式との対応関係、(2)ガイドラインで示された5つの観点(必要性、効率性、有効性、公平性、優先性)との関係の整合を明確にすべき。
    • 効率性における効果と有効性における効果について、その違いを明確にする必要がある。

    (若生室長)
    • 評価において適用すべき観点は、評価の時点、評価の対象、評価の方式などによって違ってくる。どういう場合にどういう観点にウェイトを置くのかなどについて検討することも、事例研究の目的の一つである。

    (星野研究協力者)
    • 「下水道」の事例について、次のことが言える。(1)全体は個別箇所別の事業評価になっており、この分野においては中心的な評価であると言える。(2)効率性と有効性について、効率性が広義に解釈されており、結果的に目標達成度と同様になっている。(3)実績評価については適切なアウトカム指標がないので、公共投資基本計画、下水道整備7箇年計画等におけるアウトプット指標を用いて整理してはどうか。(4)地域における事業全体の評価の部分が総合評価的なものであり、3省にまたがる評価なので、総務省的な評価であると言える。
    • 事業評価と実績評価は各省庁が行うのが中心になると考える。総務省は、その事業の前提条件が正しいかチェックすることが重要である。

    (金本研究協力者)
    • 事業評価の事前評価について、各省庁のマニュアルに基づいた整理を研究会の成果として出すのは、各省庁の評価マニュアルに対し批判的検討を加えないままオーソライズしてしまうことになるので避けるべきである。むしろ、各省庁の評価マニュアルを紹介するような形でまとめた方が将来的にはよいのではないか。
    • 事例研究においては、執行体制(下水道における入札契約制度、空港における運営体制等)の評価や国による補助率の評価も整理すべき。
    • 総務省が行う評価の対象をあまり早い段階で対外的に示さないほうがよいのではないか。

    (田辺研究協力者)
    • 事例研究を総務省が行う総合評価の実施計画としてみた場合、不足している部分として、(1)評価の目的(評価対象の選定理由等)、(2)具体的な調査手法、分析手法等、(3)評価に要する資源(人的投下量等)、(4)評価のスケジュールが挙げられる。

    (山谷研究協力者)
    • 空港の拡張整備については地域振興や事前の需要予測により必要性を説明することが多いが、整備された結果、どの程度地域振興がみられたか、どのくらい需要が伸びたかなどの事後検証が不可欠である。
    • 「職業能力開発」の事例については、インセンティブの仕組み(職業訓練を行うことにより訓練者と企業双方に利益をもたらす仕組み)が政策に内包されているかどうかをみる視点が必要である。その場合、労働省以外にも複数の省庁が関わり、総務省が評価を行うことも考えられるのではないか。

    (村松座長)
    • 「職業能力開発」の事例については、既に長い期間実施してきている制度であるので、総務省の行う評価かどうかは別として、途中評価において、制度の改善、より効果的な他の運用方法の導入等様々な評価の視点を設定できる。

    (星野研究協力者)
    • 「空港」の事例においては、個別の空港整備が事業評価の対象になる。空港新設時には事前評価になるが、既に整備された空港については途中評価になる。途中評価においては、その事業の前提条件が妥当かどうかの検証が必要。これは必要性の評価になる。
    • 空港整備における実績評価の指標として、空港をどのくらい整備したかというアウトプットの指標と、交通の利便性をどの程度確保できたかというアウトカムの指標とがあり、どちらを採用するのかを明確にすべき。
    • 空港整備の総合評価については、民営化の視点や、空港のネットワーク全体の在り方を変えるといった視点での評価となる。

    (久保研究協力者)
    • 事業評価について、現在継続中の事業の評価は全て途中評価になるという整理もあれば、どの地域に整備を行うかという箇所付けの評価は事前評価とする整理もある。その辺りを明確化すべき。
    • 地方自治体による評価においては、事務事業レベルで実績評価を行っているので、執行体制の評価まで対象に入ってくると理解している。国の政策評価の場合は、施策レベルという大きな単位で実績評価を行うので、執行体制の評価が抜け落ちてしまうおそれがある。その部分は総務省の行政評価・監視で行うのではないか。

    (星野研究協力者)
    • 国が直轄で行う事業の評価については事業評価の中に執行体制の評価が入ってくると思うが、補助事業については執行体制の評価までは難しいのではないか。

    (金本研究協力者)
    • ガイドラインで示されている事業評価には執行体制の評価まで入っていないが、政策評価の対象には含めておくべきである。

    (星野研究協力者)
    • 各省が実績評価においてアウトプット指標のみを用いている場合は、総務省の総合評価により指摘を受けることになるのではないか。
    • その場合、費用対便益の費用項目も含めて実態に合った厳格な評価を各府省が行っているかをみていくのが総務省が行うメタ(二次)評価になるのではないか。

    (金本研究協力者)
    • 下水道の整備については、整備計画どおり進捗していないので進めるように一層努めなさいという行政監察的な見方もできるが、整備の進まない原因を追及して制度や事業の実施方法の変更に結びつける総合評価的な見方もできる。
    • 下水道整備における本当のアウトカム指標は、整備により環境負荷がどれだけ軽減したかを示す指標。このためその評価は本来は環境省が行うべき評価だが、仮に環境省が行わなければ総務省が行う必要があるかもしれない。
    • 総務省は、各府省が行う事業評価をそのまま追評価するのではなく、その外縁の関連部分を評価していくことが重要で、その際に運営体制も評価対象に入ってくる。

  3. 次回第17回研究会は、平成12年9月20日(水)の14:00から、事例研究を議題として開催することとされた。


以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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