政策評価の手法等に関する研究会(第20回)議事概要
日時
平成12年12月4日(月) 10:00〜
場所
中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室(401号室)
出席者
(研究会)
村松座長、金本良嗣、奥野正寛、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者
(総務庁)
塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長、土井次長、藤野次長、その他関係官
議題
会議経過
最終報告案について、事務局から説明後、以下のような議論がなされた。
(奥野座長代理)
- 独立行政法人化するまでの特殊法人は、政策評価とどのように関わるのか。
(若生室長)
- 特殊法人については、各府省が自ら実施する政策評価との関連の中で見ることになる。
(星野研究協力者)
- 特殊法人自体の在り方を評価することと、特殊法人が実施している事業を評価することとを区別して考える必要がある。
(山谷研究協力者)
- JICA(国際協力事業団)やJBIC(国際協力銀行)など評価に取り組んでいる特殊法人の印象が強いので、今般導入する政策評価制度においては、特殊法人は評価の実施主体にはならないということを説明する必要があるのではないか。
(久保研究協力者)
- 政策評価に関する標準的ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)や政策評価の実施要領との関連で、最終報告がどのように活用されるのかを具体的に明らかにすべきである。
(星野研究協力者)
- 単に最終報告を作成するだけではなく、何らかの形で活用されなければ意味がない。
(田辺研究協力者)
- この研究会の位置付けを考えると、最終報告自体に直接の拘束力を持たせることはできないので、そのことを踏まえた位置付けとする必要がある。
(山谷研究協力者)
- 政策評価をテーマに採り上げている学会が多く存在する。評価手法に関する研究開発や教育研究の部分で、学会にも言及すべきである。
(久保研究協力者)
- 多元的な評価についての意味が曖昧であるが、国民は客観的な第三者の視点の必要性を指摘しており、多様な視点があればよいというわけではない。
- 会計検査院も政策評価活動の一環として検査を行った方がより効率的で有効な検査を行うことができるのではないか。
(村松座長)
- 多元的な評価とは、独善的にならないように様々な主体による評価を受け入れ、情報交換も行いつつ評価の質を改善していくということである。
- 評価が様々な主体により行われていく中で手法の研究開発も活発になって行くと思われる。そうした環境の中で今後評価に取り組んでいくということを明らかにすることは重要である。
(星野研究協力者)
- 評価結果の客観性を担保するために多元的な評価をするという課題それ自体に異議はないが、政策評価制度の定着・発展に向けた課題を掲げる以上、課題の解決のために何をすべきかを具体的に示す必要がある。多元的な評価の部分いついても、具体性を欠いていては課題とは言えない。
(若生室長)
- 多元的な評価は、行政内部だけで独善に陥ることのないよう、行政周辺で行われている評価についても認識することに意味がある。多元的で競争的な環境において、行政内部による評価を改善させていくという意味で課題としている。
(山谷研究協力者)
- 政策評価は、様々な評価主体が切磋琢磨しながら、進化し、洗練されていくものであり、その意味で「多元的な評価」は重要なキーワードである。
(奥野座長代理)
- 具体的な方策としては、政府は、政府以外の民間団体、専門家等が容易に評価を行えるような環境を整備していく必要があるということではないか。
(星野研究協力者)
- 総合評価については、特に客観性が求められることから、評価結果を公表し、広く意見を求めるべきであり、ある程度の時間的余裕を持って、いろいろな意見を踏まえて評価を行うべきである。
(久保研究協力者)
- 政策目的に対して、施策が手段としてうまく結びついているか、すなわち、投入、産出、成果がうまく結びついているかという評価は、総合評価における効率性の評価として重要であり、まず始めに行うべき評価であるかもしれない。
(山谷研究協力者)
- 目的と手段とがうまく結びついていない政策については、評価を行っても意味のある結果が得られない。しかし、目的と手段との適合性について、どのような評価手法を用いて見ていくかが問題である。
(星野研究協力者)
- 政策の目的・手段の体系をきちんと作ることができるかどうかで、目的と手段の適合性はチェックできるのではないか。
(久保研究協力者)
- 目的と手段の適合性については、自己評価よりも第三者評価に適している。評価の途上で目的と手段が不適合であることが明らかになった場合、それ以上評価を行わないということもあり得るのではないか。
(村松座長)
- 国民からの意見を評価委員会が採り上げることもあり得るということか。それは、国民が委員会に対して意見を言う仕組みと考えてよいのか。
(若生室長)
- 評価委員会が具体的にどういう形で意見・要望を受け付けるかについては、評価委員会と事務局である行政評価局とが適切に役割分担しながら行っていくことになる。
(久保研究協力者)
- 法制化に関わる事柄とことして、評価をどこまで行えば違法にならないのかということ。
(松村審議官)
- 政策評価の法制化の議論においては、その時期、内容、方法、手法やコストの問題もあり、法的に義務付けるのは難しい面がある。
(村松座長)
- 各府省の所掌事務の中に政策評価が書かれていれば、やらない場合、法律違反ではないか。
(松村審議官)
- 各府省の設置法には書いていない。国家行政組織法や内閣府設置法の中で活動として政策評価を行うものという書き方をしている。
(村松座長)
- 「効果」と「成果」という言葉は、研究会において頻繁に使われているが、両者の意味が時に曖昧になっている場合があるかもしれない。
(若生室長)
- 「成果」という言葉で意味しているのは、実績評価の目標設定の部分で、成果をアウトカムの概念として使っている。「効果」はもっと広い意味で用いており、アウトカム以外のものも含まれる。
(村松座長)
- 来年1月から制度として各府省の評価活動が始まるが、その際、既に進行中の事業も評価対象に含めて考えてよいのか。順序としては、新規の事業を先に行うということになりがちだと思うが、その辺りはどうなのか。
(若生室長)
- 事業評価については、既存の公共事業の評価の枠組みも含めてガイドラインの中で位置付けているので、進捗中の事業も対象となる。実績評価については、施策レベルで目標を設定するということであれば、進捗中のものを中心にして評価を行っていくことになる。
(田辺研究協力者)
- 法制化研究会で出ている議論は、事前評価については、ガイドラインや公共事業評価に関する政府の決定等に沿った形で書くようにしている。事後評価については、必要に応じて行うこととするのか、全ての事業を対象とするのかはまだ明確でない。
(久保研究協力者)
- 各府省に計画の作成を義務付けても、実際になかなか計画が出てこないという事態が想定される。何年までに計画を作成するのかといった年限を規定すべきでないのか。
(田辺研究協力者)
- 年限を設けるのはなかなか厳しいように思われ、仮に年限を設けても十分に機能していくのかは疑問である。
(奥野座長代理)
- いくら法律で規定しても、それが有効に機能しないと国民の支持を得られない。総務省が、問題となるテーマを見つけ、十分に準備し、アンパイヤ的な役割を果たしていくことによって、国民の支持を高めていくという方向を目指すことの方が重要である。
(田辺研究協力者)
- 総務省が評価においてどこまでできるかということであるが、一つは、横断的な評価や総合的な評価が行える。二つ目にメタ評価が挙げられるが、総務省がメタ評価の実績を積み上げ、ある程度の信頼性が得られれば、メタ評価がシステムとして有効に機能していくのではないか。
(星野研究協力者)
- 政策評価制度の定着・発展に向けた課題には、国全体の課題、政府全体の課題、総務省としての課題があるが、政策評価制度を運営していく上での最大の課題は、総務省の組織と機能、評価に携わる幹部や職員の意識であると思う。いかにアンパイアに成りきるかということが重要であるが、アンパイアとしての行動が取れないとすると、それは組織の問題になる。
- 総務省は事業も持つようになるため、プレイヤーをしながらアンパイアを行うことになる。その辺りの問題も評価委員会で審議することになるのではないか。評価委員会は、評価内容や実施方法だけではなく、政策評価制度を着実に運用していくにはどうすればよいかということも審議するべきではないか。
- まず、制度、国全体のビジョン、政策があり、それを達成するために組織があるのが本来であるが、国の省庁再編はそのような形で行えなかった。組織改革に携わってきた立場から見て、そのような印象を持っている。
最後に、若生室長から、次回第21回研究会は、平成12年12月11日(月)の10:30から、最終報告案の検討を議題として開催することとされた。
以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)
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