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政策評価の手法等に関する研究会(第21回)議事概要

日時

平成12年12月11日(月) 10:30〜

場所

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室(407号室)

出席者

(研究会)
村松座長、奥野正寛、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(総務庁)
塚本行政監察局長、堀江官房審議官、松村官房審議官、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

  1. 最終報告案の確認
  2. 座長談話について
  3. 政策評価の取組状況について
  4. フリーディスカッション

会議経過

  1. 最終報告案について、若生室長から説明後、以下のような議論がなされた。

    (村松座長)
    • 既にこれまで議論を重ねてきたが、なおこの時点で注意を要する点など何らかの意見はないか。

    (久保研究協力者)
    • 政策についての責任を組織に帰してしまうと、責任の所在がはっきりしなくなる。また、政策についての最終的な責任は政治家にあるのではないかという考え方もある。政治と行政との役割分担や、最終的責任は誰が取るのかといったことが今後の検討課題になる。

    (村松座長)
    • 政策については、第一に、行政機関の組織全体に責任があるということであり、職員個人の責任が問われないというわけではない。

    (星野研究協力者)
    • 組織には必ず役職があり、役職についての責任権限と考えられる。単に組織に帰するというと、抽象的で逃げているような感じを与えるといけない。
    • 目標達成についての責任は目標を決めた組織の長が負う。評価結果についての責任を政策についての責任と表現すると具体性に欠ける。

    (山谷研究協力者)
    • 人事は常に交流があり、個人の責任を問題にしても実質的にはあまり意味がない。実績と個人の関係を書いている法律も日本にはないので、個人の責任を問うのは現実的にはあまり意味がないのではないか。

    (村松座長)
    • この案をもって本研究会の最終報告としたい。今日あった議論を念頭に置き、政策評価制度が今後よりよい方向に行くよう注視していきたい。

  2. 事務局から座長談話が読み上げられた後、以下のような意見が出された。

    (星野研究協力者)
    • 全体として国民の側に立った伝え方をしており、概ねよいと思うが、政策評価制度の運用に当たっては、各府省や総務省が仕組みの背景にある考え方を十分理解することが必要であること、また、国民に正しい情報を伝えることや、国民が定常的に政策評価制度を注視していくことにおいて、マスメディアの果たす役割は重要であることを強調すべきである。

    (星野研究協力者)
    • 過去のことを振り返るというより、これからの行政システムを創造していくという書きぶりがよいのではないか。

  3. 若生室長から、政府における政策評価の取組状況について説明後、以下のようなフリーディスカッションがなされた。

    (村松座長)
    • 最後に、研究協力者から政策評価について考えるところを発言いただいて本研究会を締めくくりとしたい。

    (奥野研究協力者)
    • 政策評価を実際に行うことはかなり難しいと思う。画一的なやり方・手法はなく、かなりフレキシブルに行っていくことになると考える。
    • 政策評価自体を「Plan−Do−See」のサイクルの中に組み込み、よりよいものにして行くことが重要である。また、政策評価を行うこと自体に意味があるのではなく、政策評価を行うに当たって行政機関が何を考え、どのような評価をどのような形で行い、どのような決定を行ったかということについて国民がチェックできることが重要である。
    • 政策評価を行うためには様々なデータが必要となるが、国民がそのデータを容易に入手できることが重要である。その意味で情報公開法の果たす役割は大きい。
    • 各省庁では、情報公開法に対し、要らない情報は捨て、今後は書物に残さないという対応を取りがちであるが、そうならないように提言すべきではないか。
    • 第三者評価においては、外部の専門的見識を持っている者がレビューを行うピア・レビューが最も重要な手法であると考える。

    (久保研究協力者)
    • 我々が評価対象とする政策はどこまでかということは大きな課題である。これは政治と行政の区分の問題に関係する。
    • 更に気になるのは、評価結果の報告先がどこになるのかが明確でないことである。政策評価・独立行政法人評価委員会が情報収集するような形になっているものの、各府省が評価結果を発表してそれで終わりのような形になっている。そのため、政策評価制度が上手く機能するか心配である。
    • 総務省は総務庁、郵政省、自治省が一緒になり、行政評価局の独立性の問題に懸念が残る。
    • さらに、政策評価の実施範囲と時期の問題がある。一つのテーマでも評価を行えばそれでよいのか、全ての政策で行う必要があるのか、許容される実施範囲の幅が大きく、どの程度の範囲で落ち着くのか心配である。
    • 政策を実施するためには事前に一定の方針、戦略を立てる必要があり、よい評価を行うためにはその方針や戦略についての理解が欠かせない。そこを理解せずに外部の者が評価してもその結果は正しくないのではないか。 

    (奥野研究協力者)
    • 政策を決めるのは本来は政治であり、政策評価においても政治との関係を無視することはできない。

    (村松座長)
    • 理屈からいえば、政策評価についての情報が国民に公開されることで、国民による評価を受け、それを反映して政治が政策をよくするという流れになる。しかし、そのことは政策評価制度の周辺の制度も含めたもっと大きな部分を含めて論ずべきであると思う。

    (山谷研究協力者)
    • 研究会の報告書がどのような形で公表されるのかということが気になっている。政策評価についての議論は活発に日本国中で行われているが、全く分かっていない人が随分おり、これからもそうだと思う。少なくとも都道府県庁所在地の一般書店でも関心のある人が入手できるようにしてほしい。インターネットで公開する方法もあるが、コンピュータを所有していない人も少なからずいる。

    (星野研究協力者)
    • 振り返ってみると、本研究会の発足以来、政治、行政の構造変化が進み、省庁再編の中で組織の形を変えるだけでなく、制度、マネジメントの新たな仕組みが導入されるわけである。政策評価の最初の成果は、おそらく各府省が政策評価を行うということであるが、それだけではなく、例えば、マスコミなどが事業評価を行ったり、評価過程や結果を英文にして諸外国からの評価を得るなど、様々なところで評価が実施され、国民に評価が浸透するよう努力する必要がある。
    • 制度というものはその運用の仕方によって成果が違ってくる。政策評価制度の運用を成功させるポイントは各府省の職員の意識改革の徹底である。
    • 従来は税金をいかに獲得するかという方向で業界は発達してきており、多くの人が業界と行政の間の潤滑油の役割を果たしてきたのが、従来の政治と行政のシステムであったが制度疲労を起こし、これからの人口減の時代に対応できなくなってきている。評価対象に決して聖域を設けずに評価結果をどのように活用し、次の政策にどのように生かすかも含めて報告することが必要である。また、納税者が納得できるようなプロセスを踏まえた論理的な意思決定、課題解決を徹底することが重要である。
    • さらに、政策評価の結果を、国民、政治、行政がそれぞれの立場で活用し、税金の使われ方をチェックし、よい方向に見直しを行っていくことが政策評価の定着化につながると考えている。
    • また、税金の使われ方をチェックする能力のトレーニングが必要であり、そのためには、教育の場に政策評価を活用していただくようお願いしたい。

    (田辺研究協力者)
    • 政策評価制度についての議論の前提条件として、この制度を導入しても人員はほとんど増加しないこと、この制度は政府部内の評価制度であり、外部に組織を設けることはないということがあった。
    • 最終報告で述べている評価の制度は、強制された自己評価方式という側面がある。この方式のメリットについて考えると、(1)完全に画一的な方式ではないので、各府省のマネジメント・システムと組み合わせた柔軟な運用が可能となること、(2)各府省における評価部局は、すべて評価を行う必要がなく、政策所幹部局(所管部局)が出した情報をチェックするという形になり、低いコストで評価が行えること、(3)自己評価方式だと、政府全体をカバーすることが可能であるとともに、評価のコストの観点からどこに重点を置いて評価するのかも把握することが可能であること、(4)評価を行うに当たってどのような情報を出すのかという評価情報の型を決められたこと、(5)評価の公表については、評価の過程に関するものも含めて公表することとされたことにより、再検証も可能なシステムになったということである。
    • 課題は2つあると思う、一つは評価情報をどのように活用するかということであり、予算や人事評価において活用するのかどうか不明である。二つ目は、情報の質をどのようにして上げていくのかということである。強制的(強制された)自己評価方式であるから、各府省が動かなくなった場合に、どう対応するのかについて今後も検討する必要がある。

    (村松座長)
    • 評価結果を出した後については、評価委員会が重要な役割を果たすと考えるが、どういう働きをするのかがはっきりしない。行政評価局も評価委員会との連動如何で活動しやすくもしにくくもなるので、評価委員会の運用が重要である。
    • 職員一人一人の意識改革が重要であるということである。評価が自己評価であり、比較的低いコストで行えるということは、一人一人が政策評価を行わなければならないという意識を持たないと、外部からそれを強制することは難しい。
    • 評価情報を誰が利用するのか、利用できるかという問題であるが、やはり評価情報に興味を持ち、分析し解説する組織、人、グループ、ネットワークがなければならないと思う。その場合、情報が公開されていることは重要であり、その意味で、政策評価は、情報公開制度と密接な関係にある制度であると考えている。

  4. 最後に、塚本局長から、研究協力者に対し感謝の意を表したあいさつがあり、これを受け、村松座長から、昨年の8月以来、議論を重ねて本日最終報告を取りまとめることができましたことに座長として感謝するとともに、政府における着実な評価の取組が行われていくことを期待する旨の発言がなされた。


以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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