平成13年5月
総務省
1 | 効率的かつ効果的な空港整備等 | ||
(1) | 需要予測の精度の一層の向上及び透明性の確保 | ||
(2) | 空港整備事業の評価の的確な実施 | ||
(3) | 重点的かつ効果的な空港整備等 | ||
2 | 航空保安無線施設の効果的整備 | ||
3 | 保守管理業務の合理化・適正化 | ||
4 | 契約事務の適正化等 | ||
5 | 空港整備特別会計に属する未利用国有地の処分促進 |
(2) | 空港整備事業の評価の的確な実施 国土交通省は、新規空港整備事業の採択時評価に当たっては、従来から考慮している空港整備五箇年計画等の政策目標、需要動向、地元の調整状況等に加え、平成9年度から評価の一要素として費用対効果分析を実施し、その結果を公表している。さらに、平成11年4月に、「航空局関係公共事業の新規事業採択時評価実施細目」(平成11年4月14日付け空総第2007号・空経第 263号運輸省航空局制定)を定め、空港整備事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図ることとしている。 また、同省は、平成9年12月の「物流効率化による経済構造改革特別枠」に関する関係閣僚会合における内閣総理大臣の指示を受け、10年4月に「航空局関係公共事業再評価実施細目」(平成10年4月1日付け空経第 288号運輸省航空局制定。平成11年4月14日改正)を定め、事業採択後一定期間を経過して継続中の事業等について再評価を実施することとしている。 これら空港整備事業の評価制度において評価の一要素とされている費用対効果分析について、同省は、平成11年度に「空港整備事業の費用対効果分析マニュアル」(以下「費用対効果分析マニュアル」という。)を策定し評価を実施している。 さらに、同省は、事業実施による効果の確認等のため、事業の事後評価制度の導入に向けて検討を進めているところである。 今回、空港整備事業に係る事業評価制度及びその運用状況等について調査した結果、次のような状況がみられた。
したがって、国土交通省は、空港整備事業の評価の的確な実施及び透明性の一層の向上を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
|
||||||||||||||||||||||
(3) | 重点的かつ効果的な空港整備等
|
1) | NDBとVORは、方位標識として同種の機能を有するものであるが、中長波帯電波を使用するNDBは、超短波帯電波を使用するVORに比べ測定精度が低い。このため、国土交通省は、近年新設された空港においてはVORのみを整備してきており、また、既設の空港においても、VORの整備を進め、航行の安全上必要のないNDBを廃止してきている。 しかし、今回調査した31空港中20空港において、NDBを存置しつつVORを設置している。これらの空港でVORと併設されているNDB24施設の用途をみると、当該NDBが単独で出発・到着経路又は航空路の設定に使用されているものが9施設みられるが、残りの15施設については、併設されているVORと同様に空港への着陸方式、直行経路等の設定に使用されており、これらの空港用NDBについては、以下の理由から、航空機の航行上、特に存置しておく必要性は乏しいものとみられる。
|
||||
2) | 就航航空機数が多く、かつ、ILSが設置されていない滑走路の方向からの進入割合が高い空港において、ILSを滑走路の双方向に設置することにより、気象に起因して相当数発生している欠航あるいは離発着の遅れの解消が図られると認められる例がみられる。 |
1) | VORと併設されている空港用NDBについては、航行の安全に支障がない場合には廃止すること。 |
2) | 滑走路の双方向にILSを設置することにより運航の円滑化及び安全性の向上に効果が見込まれる空港については、ILSの増設を検討すること。 |
(1) | 管制技術業務に係る要員の合理化 国土交通省は、空港及びその周辺に設置される航空保安無線施設、管制施設及び管制通信施設の運用・保守並びにこれらの施設に関する工事の設計・施工を行う管制技術業務を実施するため、平成11年度末現在、全国94空港のうち53空港の空港事務所(28)、空港出張所(23)及び空港・航空路監視レーダー事務所(2)に航空管制技術官 1,180人を配置している。この航空管制技術官の配置について、国土交通省では、運用・保守の対象施設(以下「保守対象施設」という。)の種類、数及び運用時間を基礎に要員数を算定し、保守対象施設の数(特定の保守対象施設が整備された場合を含む。)及び運用時間の変更等に応じて増員又は減員を行うとの考え方を採っている。 また、国土交通省は、管制技術業務について、近年における航空保安無線施設等の性能・信頼性の向上を踏まえ、遠隔監視制御装置の導入等を図ることにより、離島空港等を対象に航空管制技術官の常駐による保守方式の見直しを行い同業務を近隣の空港事務所等に集約してきているほか、保守業務の委託化等に取り組んできている。 今回、空港事務所及び空港出張所における管制技術業務の実施状況を調査した結果、次のような状況がみられた。
|
||||||||||||
(2) | 空港土木施設の維持管理業務の適正化 国土交通省は、大臣管理空港について、滑走路面等の日常点検とは別に、1年に3回以上、滑走路、誘導路等の空港土木施設の維持管理のための点検(以下「巡回点検」という。)を自ら実施するとともに、3年に1回程度、民間委託により定期点検(舗装面のひび割れ、わだち掘れ、平坦性等の点検)を実施し補修の要否を評価している。 今回、大臣管理空港における空港土木施設の維持管理業務の実施状況を調査した結果、国土交通省では、定期点検により不具合が発見された場合の対応については、その方法を通達等文書で明定し指示しておらず、各空港事務所等の判断によっているため、次のような状況がみられた。
したがって、国土交通省は、航空保安施設の保守管理業務の合理化及び空港土木施設の維持管理の適正化を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
|
(1) | 適切な発注ロットの設定によるコスト縮減の徹底 公共工事については、現下の厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し社会資本整備を着実に進めるため、全閣僚を構成員とする公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議において、平成 9年4月4日、「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(以下「行動指針」という。)が決定された。各省庁は、行動指針に基づき、公共工事のコスト縮減に資する諸施策を速やかに実施するとともに、遅くとも平成11年度末までに完了し、その効果が可及的速やかに得られるよう最大限の努力をすることとされた。 国土交通省は、平成9年4月、「運輸関係公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」(平成9年4月4日付け運技第87−2号運輸事務次官通達。以下「運輸行動計画」という。)を策定し、公共工事のコスト縮減に取り組んできている。 行動指針及び運輸行動計画においては、経常建設共同企業体(以下「経常JV」という。)の活用を図る等により、中小建設業者の受注機会の確保を図りつつ適切な発注ロット(一つの契約として発注する工事の規模)の設定を進めることを公共工事のコスト縮減対策の一つとして位置付けている。 なお、毎年度閣議決定されている「中小企業者に関する国等の契約の方針」においては、中小企業者の受注機会の増大のため、物品等(工事及び役務を含む。)の発注に当たっては可能な限り分離・分割して発注を行うよう努めるものとされているが、公共工事については、コスト縮減を図る観点から適切な発注ロットの設定が要請されており、平成9年度からは、この要請の範囲内で分離・分割して発注することとされている。 今回、国土交通省地方整備局、港湾空港工事事務所等における空港整備に係る工事の発注状況を調査した結果、指名競争において、中小建設業者の受注機会の確保対策である経常JVの活用が図られておらず、同一時期かつ同一内容の工事であって一括発注することも可能であったとみられる工事を分割発注しており、適切な発注ロットの設定によるコスト縮減が十分図られていない例がみられた。 |
||||||||||
(2) | 契約事務の適正化 国が行う契約は、機会の均等及び公正性の保持を図る観点から、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3に基づき、一般競争に付することが原則とされ、指名競争又は随意契約は、限定された場合においてのみ認められることとされている。 具体的には、会計法第29条の3第3項において、契約の性質又は目的により競争に加わるべき者が少数で一般競争に付する必要がない場合及び一般競争に付することが不利と認められる場合には、指名競争に付することとされている。また、同条第4項において、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合には、随意契約によることとされている。このほか、会計法第29条の3第5項において、契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においても、指名競争に付し又は随意契約によることができることとされており、予算 決算及び会計令(昭和22年勅令第 165号。以下「予決令」という。)第94条及び第99条において、予定価格が一定金額を超えない場合等指名競争あるいは随意契約によることができる場合を規定している。 さらに、指名競争については、予決令第97条第1項において、競争に参加する者をなるべく10人以上指名しなければならないこととされている。 今回、内閣府及び国土交通省における空港整備に係る工事、設計等並びに国土交通省における大臣管理空港の警務業務に係る契約事務の実態を調査した結果、次のような状況がみられた。
したがって、内閣府及び国土交通省は、空港の整備及び管理に関する契約事務の適正化等を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。
|
1) | 行政財産として管理している宿舎等用地の中には、その供用を廃止した後、事業用地としての利用が見込まれないにもかかわらず用途を廃止しないまま長期にわたって保有している例がみられた。また、用途が廃止され普通財産(処分等対象財産)となった土地の中には、地方公共団体への照会の結果取得希望のないことが判明したにもかかわらず、一般競争入札を行っていない例がみられた。 |
2) | 大阪国際空港周辺の騒音対策区域の縮小に伴い用途が廃止され普通財産となった移転跡地の約7割(約25ヘクタール)が更地となっている。 国土交通省では、この更地の過半(約14ヘクタール)を、国と騒音対策区域を持つ地方公共団体とが共同で実施する都市計画緑地事業の用地買収に伴う移転者への代替地として確保している。この代替地の面積は、当該事業の事業区域内で移転対象となる地権者の代替地の取得希望の有無を把握した上で決定したものではなく、その地権者がすべて代替地を希望する可能性があるとの前提で確保しているものである。 しかしながら、平成11年度の時点で移転者に対する代替地の売払い実績をみると、代替地として売り払われた面積は、当該事業の実施により実際に用地買収された面積の3割程度となっており、当該事業の事業区域内の地権者がすべて代替地を希望する可能性があるとの前提で用地を確保する必要はないと認められる。 |
1) | 行政財産としての使用目的がなくなった土地については、速やかに用途を廃止すること。また、普通財産のうち処分等の対象とする土地については、地方公共団体等への処分が見込めないものは速やかに一般競争入札に付す等、処分の促進を図ること。 |
2) | 大阪国際空港周辺区域において都市計画緑地事業の用地買収に伴う移転者への代替地として確保している国有地については、当該事業の進ちょくに応じ、移転者の意向を確認しつつその規模を縮小する方向で検討すること。また、その結果、代替地としての用途を失うこととなる国有地については、処分又はその有効活用を図ること。 |