政策評価国際シンポジウム 開催結果
 総務省(行政評価局)では、政策評価制度導入以来初めてとなる国際シンポジウム「21世紀における政策評価の重要性と課題 我が国における政策評価の発展のために」を、平成18年6月25日に開催(早稲田大学大隈記念大学院公共経営研究科との共催)しました。

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 【プログラム】

開会挨拶  丹羽 宇一郎
(政策評価・独立行政法人評価委員会委員長、伊藤忠商事株式会社取締役会長)

基調講演 「日本の政策評価・6年 問題点とその克服」
  村松 岐夫(学習院大学法学部教授)

特別講演1 「業績レジームと制度的背景:日本、英国及び米国の比較から」
   コリン・タルボット(マンチェスター大学教授)

特別講演2 「評価と業績測定:政府を改善するツールか、あるいは小さくするツールか」
  スティーブン・ケルマン(ハーバード大学教授)

大臣挨拶  竹中 平蔵(総務大臣)

パネルディスカッション
    「21世紀における政策評価の重要性と課題
      我が国における政策評価の発展のために」
   パネリスト  丹羽 宇一郎
       金本 良嗣 (政策評価・独立行政法人評価委員会政策評価分科会長、東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授)
       コリン・タルボット
       スティーブン・ケルマン
   モデレーター 堀江 正弘(総務省総務審議官)

閉会挨拶  縣 公一郎 (早稲田大学政治経済学術院教授)


 【配布資料】

1 プログラム(PDF)
2 基調講演配布資料(英語(PDF)、日本語(PDF))
3 特別講演1配布資料((1)(PDF))((2)(PDF))
4 特別講演2配布資料(PDF)
5 政策評価Q&A


 【結果の概要】

 開会挨拶
    丹羽宇一郎  政策評価・独立法人評価委員会委員長
             伊藤忠商事株式会社取締役会長


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 戦後50年を経過してあらゆるところで行政の制度疲労が起きており、戦後型の行政システムを改めて、より自由で公正な社会に相応しい21世紀型の行政システムへと転換するのが中央省庁改革の基本理念であった。そして、そのような新しい行政システムを確立するための大きな柱として新たに導入されたのが政策評価制度であり、国民への説明責任、あるいは効率的で質の高い行政、あるいは成果を重視するといった三つのポイントを持っている。従来の行政に欠けていた政策レビューによる見直し、政策の企画立案作業への反映という仕組みの構築を目的としている。
 過去4年間、政府全体で毎年約1万件に上る政策評価を実施し、更には8月末までの予算要求に反映できるように努力してきた。また、政策目標の数値化が進んだことも成果である。
 今後は、内閣の重要政策を踏まえた政策評価の徹底、評価と予算・決算との連携の強化を図って行きたいと考えている。しかしその一方で、今後の大きな課題として、完全に客観的ではあり得ない自己評価という制度の宿命への対処と、国民に非常に関心の高い部分でこの政策評価の重要性を訴えていく必要があると考えている。
 委員会としては、政府の取組を絶えずウォッチする必要があり、必要に応じて、メッセージを出していきたいと思っている。


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 基調講演
    「日本の政策評価・6年 問題点とその克服」
        村松 岐夫 学習院大学教授
          配布資料(英語(PDF)、日本語(PDF))


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 日本の政策評価の特徴の第一は、自己評価が義務付けられるとともに、総務省が客観性を担保していく仕組みとなっていること。また、評価の方法が各府省の自由であるという柔軟さがある。第二の特徴として、全政府職員が評価に関与することにより政策の企画立案とか実施には評価が伴うということが各府省の隅々まで徹底されたことで、非常に大きな事である。第三の特徴として、省内では政策活動を主としてやっている組織と、評価を専門としてやっている専門家との間に緊張がある。最後に、やはり予算と直接関連がないということだが、評価の手法自体が予算に縛られない手法として検討されてきたということは、評価の性格上、価値があることだった。
 日本の政策評価の長所として、次の三つのことが言える。一つは、法律によって全職員が関与せざるを得ない仕組みになっており、公務員の一種の規範になっていること。第二に、政策評価が導入されたことで、戦略的に優先順位を見直す機会が得られたこと。第三に、各府省が自分の所管のどの政策をどの程度重視しているかについて、外からも分かるようになっている部分がかなりあり、行政の透明化が進んだこと。
 一方、少なくとも二つの大きな問題がある。第一点は、政策評価の情報を各府省は一体どう利用しているのか、自分の所管の仕事を効率的に進めるための組織のマネジメントに本当に役立てているのか、という点がいまひとつ見えないこと。第二点は、政策評価の文書がとにかく多いこと、また、書き方にアクセントがないこと。
 政策評価によって廃止した事業・政策もたくさんあると聞いているが、非常にメジャーと考えられ、
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かつ多少疑問のある政策について、踏み込んだ評価が行われているとは思えない。今は第二段階に入りつつあり、もう一歩の踏み込みが必要ではないか、性急に何か政策をすぐに廃止するという立場ではなく、評価をしっかり十分にやってほしいとの思いがある。
 私はアテンティブな層をアクティブな層に拡大させていく努力が相当必要だと思う。


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特別講演1
   コリン・タルボット マンチェスター大学教授
     「業績レジームと制度的背景:日本、英国及び米国の比較から」
      配布資料((1)(PDF))((2)(PDF))


 日本の行政改革、英国や米国の改革と比較をして、そのコンテクストとして業績レジームと制度的関係の話をしたい。成果報告が重視されてきた過去25年間の動きは、新しいものではない。今日においては、ほとんどのOECD諸国が何らかの成果報告の制度を実施しており、最近のトレンドとしては、過去と比べて、より規模が大きくなり、より広範囲に、より深遠で、より長期的になってきている。
 日本の政策評価法、英国の公共サービス合意(PSA)、米国の政府業績成果法(GPRA)の三つに焦点を当てたい。日本では、業績ではなく評価という言葉及びアプローチを多用しているが、米国と英国では、評価と業績測定で完全に分離されたアカデミックなコミュニティがあり、伝統も異なり縦割りとなっている。政策評価とは、プログラムや政策に着眼点を置いている手法であり、
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個別政策ごとに量的及び質的な手法両方で評価する。一方で、業績測定の焦点は組織であり、組織にある複数のプログラムについて、量的手法で継続して評価される。しかしながら、近年、業績報告において、長期のアウトカム重視となってきたことにより、評価と業績測定の収斂が見受けられる。
 制度的なファクターを見ると、英国においては、財務省が公共サービス合意の中で業績目標について一般省庁と交渉し、一般省庁は業績目標についてエージェンシーと交渉を行うというとても単純なプロセスとなっている。しかし実際には、省庁の業績を形作るには様々なアクターが存在している。特に議会が、省庁に対して業績目標を精査、アドバイスするなど重要な関与をする。NAOや裁判所、健康や教育分野における専門家機関、第六のアクターたるユーザーも公的機関のパフォーマンスを形成する上で役割を果たすことができる。そして最後のアクターとしては、パートナー機関というカテゴリーがある。
 英国、日本、そして米国における中核省庁と立法府の役割をみるとともに、これらの一般省庁との関わりを比較してみたい。第一に、行政府と立法府の関係が違う。米国は、権力が分立しており、行政府と立法府の間に権力の争いが見られる。英国の場合には、行政府が支配的な役割を果たし、日本の場合は、どちらかというと少し権力の分立の方向にある。米国のGPRAは立法府から生じ、日本と英国は行政府から生じているが、立法府、行政府がそれぞれの国において果たしている役割を考えると驚くことではない。
 成果報告と予算の統合は、どのくらい行われているか。
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英国は、業績情報は予算編成過程に統合されていると主張しているが、業績、成果が予算編成過程で使用されたという状況や証拠は何もない。米国を予算との統合度が高い位置に記載しているが、それは米国がそう言っているからであり、実際にどうかはよく分からない。
 どれくらい報告が行われているかについては、バラつきがある。誰が何を報告するかについては、英国では財務省が一般省庁とPSA の業績目標設定に当たって交渉を行っているのに対し、日本と米国では、一般省庁が自分達の業績目標を設定しており、それぞれの省庁が、これらのプロセスに大きなオーナーシップを持っている。
 ところが、省庁が実際の自分達の業績を向上させるため、業績結果をどれほど上手く使っているかについては、情報は外にどんどん出されるが、自分達の内部での利用はほとんどないのが実態だ。


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特別講演2
    スティーブン・ケルマン ハーバード大学教授
    「評価と業績測定:政府を改善するツールか、あるいは小さくするツールか」
      配布資料PDF


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  政策評価の目的は、政策決定のプロセスを変えること。政党、利害団体、世論等により支配されてきた従来から政策決定プロセスに、「事実と証拠」という新しい要素を取り入れようとするものである。
 政策形成(Policy Development)とは、政府が新しい法律、事業、規制等について検討を行う際に行われる活動で、政策形成プロセスのインプットとなっている研究、統計、政策論争及び調査、公共事業を行う前の費用便益分析と、規制に対するレビューの3つである。
 次に、米国のPolicy Evaluationは、日本で使われているより少し狭い意味となり、プログラムがどれだけうまくいっているかを把握する研究で、大変大きなリサーチプロジェクトとなる。この特徴の一点目は、一般的に、プログラムが論争の的であればあるほど省内における評価や評価機関の役割が重要となってくることである。特徴の二点目は、政策形成と同じように客観性の問題を課題として抱えていることである。客観性の問題については、米国ではいくつかの段階を踏んでその問題に対処してきた。一つ目は、評価担当部局を省内の独立した組織として設けることである。二つ目は、外部の監査及び評価機関である議会の組織であるGAOの役割が挙げられる。三つ目は、教授、シンクタンク等の外部の者の活用である。政治指導者が既存の政策を変えたい時に影響力を最も発揮することも特徴といえる。
 評価が政策決定に与える影響について特徴を挙げると、一つ目は相反する評価や党派性を帯びた評価が増えてきていること。二つ目は、特定の評価が特定の政策に直ぐに影響を及ぼすのは非常に難しいが、長年にわたる政策評価によって、最終的には影響を与えていること。三つ目は、政策決定過程に流れ込み続ける二つの独立した流れ(政策の流れと政治の流れ)があることで、結論として、米国の評価は政府を縮小するためのツールとして使われる傾向があると言える。
 Performance Measurement(業績測定)は、日本においては政策評価の一部とされているが、米国ではEvaluation(評価)とは区別している。業績測定が用いられる目的として、アカウンタビリティと、組織の業績を改善するという2つが挙げられる。組織の管理者が、組織を改善する目的で業績測定をマネジメントツールとして用いる際には、四つの方法が挙げられる。一つは、職員に対して集中的に行う課題を与えることである。二つ目は、動機付けに使うこと。そして三つ目は学習である。四つ目は、組織内の資源の配分である。
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 業績測定及び評価と予算編成について、ブッシュ政権は、業績測定及び評価と予算をリンクさせるための取組であるProgram Assessment Rating Tool(PART)を導入し、期待以上の成果を得ることができた。PARTの一つ目の特徴としては、業績測定と予算編成とをミックスしており、予算編成のツールとして使用されていること。二つ目の特徴は、うまくいっていないプログラムは予算を削減するというレトリックがあることである。しかし、プログラムがうまくいかないのは、お金が足りないからということもあり、私の見たところ、良い格付けや悪い格付けがプログラムの予算に与える影響について、あまりに早く結論を出しすぎである。三つ目の特徴としては、行政管理予算庁がアウトカム指標を好んでいるということがある。四つ目には、行政管理予算庁は、省庁にPARTの一部として評価結果を提出するよう求めているが、その評価が外部評価であることを求める意向が非常に強く、内部評価は省内の独立した部局が行った場合にのみ認めるとされていることがある。そして最後に、PARTで良いスコアを獲得したプログラムは、予算の増額に繋がっているということが証明されている。
 日本が学ぶべき点としては、一つ目は、日本における政策評価の発展が日本の政策決定の文化の変化の一部であるということである。ほとんどの政策評価において行われている費用便益分析は、社会全体に対する費用対便益は見ているものの、分配については考慮されていないが、公共事業、農業政策及び貿易政策など、論争が多い分野においては、経済効率の問題だけではなく、分配の問題も考慮しなければならない。二点目としては、日本の政策評価に十分な客観性を確保するためには、評価が府省内の部局から独立していることや、総務省が行っているような外部からの分析、もしくは大学、シンクタンク等政府外の機関が独立性を確保していることが必要ということである。最後の点としては、日本における政策評価のプライオリティとして、業績測定を政府を改善するマネジメントツールとして使うことが重要ではないかということだ。
 総務省の役割については、第一に、業績測定を行うためのツールを開発し、業績改善のベスト・プラクティスを集めることである。二つ目の役割としては、民間部門、特に評価の研究を行っている大学に対する調査手法や技術の能力開発を支援することである。最後の点としては、総務省は財務省と連携を取り、業績情報を予算編成に活用するに当たって、業績情報を提供したり、財務省のために業績情報の分析を行う役目も果たすべきであると考える。


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 大臣挨拶
    竹中 平蔵 総務大臣


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 政策評価はきわめて重要であるが、日本ではようやく定着してきた段階であり、より一層国民の皆様に知っていただく必要がある。民主主義社会では、国民の皆様に広く、政策の意味、評価を正確に知っていただくということが、政策決定のパフォーマンスを上げる唯一最大の方法。
 2001年から、政策の決定プロセスそのものが日本では非常に大きく変わった。まず政策のことをきちんと時間をかけて議論して、政策の基本的な方向を決めるというプロセスが「骨太の方針」という形でようやく定着してきた。6月に政策の基本方針が決まったら、それにお金をどのようにつけるかというプロセスを12月までやっていく、そういう形に明示的に変わってきた。その変革の中で、ようやく政策をきちんと評価し、議論しようという基盤が日本でも出来てきた。政策評価が日本でも動き始めたが、まだまだ不十分。
 今日お集まりの皆様は、この政策評価に関して大変に高いご関心とご見識をお持ちの方々。ぜひ集中的なご議論をいただき、広く国民の皆様にこのことを発信していただきたい。総務省としてやらなければいけないことが沢山ある。ぜひ厳しいことも含めて、ご注文をお出しいただきたい。


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パネルディスカッション
    「21世紀における政策評価の重要性と課題
                 我が国における政策評価の発展のために」
   パネリスト 丹羽 宇一郎
      金本 良嗣 (政策評価・独立行政法人評価委員会政策評価分科会長
東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授)
      コリン・タルボット
      スティーブン・ケルマン
   モデレーター 堀江 正弘(総務省総務審議官)


<日本の政策評価の課題について>
 (金本)
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日本の政策評価の特徴は、政策評価法で、 事業評価、実績評価、総合評価という3タイプの評価が一度に全ての府省に導入されたということだが、プログラムエバリュエーションに相当する総合評価はかなり遅れている。
 課題としては、1に評価者のモラールがあまり高くないこと、2に専門的な分析レベルが低いことが挙げられる。
 (タルボット)日本の政策評価を改善するためには、報告の量を見直すことと、独立した形の検証だ。
 (ケルマン)
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【丹羽委員長】  
パフォーマンスマネジメントの分野に改善のチャンスがある。日本社会は英米より信頼的なので、第三者でなく、政策評価を実際に仕事をしている人たちが使うべき。
 (丹羽)政策評価制度が導入されたことは大変に大きな意義があったと思う。外部評価は専門的な人材が豊かでないとなかなかできないと思う。第三者評価は自己評価と同じ作業では意味がないので、2次評価で視点を変えるため、数値化などの客観性を求めるような視点で評価をしていくことをもっとやるべき。資料については選択と集中をすべき。
 (金本)自己評価が有効なものは、パフォーマンスメジャーメントが1番有効だと思う。ただ、パフォーマンスメジャーメントが有効な分野は多くなく、各府省にとって都合がいい分野だけそれを行うことになると問題だ。小さな政府を目指した政策評価はまだできていない。これは今後努力していかなければ行けない。

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  【金本教授】
<マネジメント>
 (丹羽)各府省に政治の側から明確な目標を設定すると同時に、大臣、局長等の役職者に責任と権限をある程度持たせないと、効率的な行政になり得ないのではないか。
 (ケルマン)パフォーマンスマネジメントについて、組織によっては、うまく行かないところもあると思う。大事なことは、評価結果が良くても資金が節約されるし、結果が悪くても予算が増えることもあり得るので、評価結果を高度な判断力とミックスして活用すること。
 (金本)改善に向けた難点としては、自己評価であることと、財務省がものを言う立場にないことだが、改善の方向にはあるだろう。
 (タルボット)評価を行った際には、どこを改善していきたいかを視点として、前向き組織の評価やプログラムの評価を行うことが大事。評価内容はパブリックドメインにするべきである。予算配分とパフォーマンスのレベルは機械的にリンクするものではない。これらについては透明性の高い議論をすることが大事。


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【タルボット教授】  
<政策評価制度の広報と、評価を専門的に行う人材の確保、養成>
 (丹羽)国民に身近なテーマを取り上げれば、政策評価がいかに重要であるかもご理解いただけるのではないか。実務を知っていないと本当の評価は難しいので、理論、実務、理論、実務の繰り返しの中で、評価のプロというものを育てるべき。
 (タルボット)官僚は何がベストか分かっているが、それは国民感覚と違うことがある。
 (ケルマン)人材面では、新しい様々な技能、専門分野を持った人が政府部門に入らなければいけない。広報については、米国でも公共情報へのアクセスは可能だが、使用している人は限られている。
 (金本)
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  【ケルマン教授】
政策評価も基本的には情報提供なので、興味を持って読まれねばならない。PARTは結論が先で理由は後に書いてあり、理由は読みたい人が読めばいいという構成である。こういった工夫をしないといけない。日本でそれに対応するものは、公共事業の評価だが、採択されなかったものの評価がないのが、興味を持たれない一つの原因。個々のプロジェクトについても、単に資料の分量を減らすだけでなく、メリハリをつけ、見せ方を工夫するべき。有効な議論をするためには、最終的な結論を出す段階よりずっと前に評価を行って、公表する必要がある。
 プロフェッショナルな人材養成について、ミドルキャリアの人を採用するか、既にいる人を再訓練する方法があるが、うまく機能してないので、
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【堀江総務審議官】  
もう少しシステマティックな対応が必要。我々は、日本の具体的な政策を使って教えることを始めているので、これからの改善を期待できるのではないかと思う。
 (質問者)一般の方に興味を持ってもらうため、もう一歩突っ込んだ方策はないか。
 (丹羽)直接国民の生活にインパクトがある政策をテーマに議論をして、それを追っていく地道な努力を繰り返していくしかない。
 (堀江)大統領や首相が、政策評価について、個別に関心を示したり、言及されたケースがあるのか。ある場合、それはどのような場合か。
 (ケルマン)ブレア首相は国民に対するパフォーマンスに関してのミーティングをずっと行っていた。ブッシュ大統領は、もっと限定的な形で、どちらかと言うと、政策というよりも、マネジメントを中心とした協議で運用の仕方や改善の方法を検討した。

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 閉会挨拶
   縣 公一郎 早稲田大学政治経済学術院教授


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 政策評価においては、フィードバックが重要である。本日の議論で、予算へのフィードバックも指摘されていたが、大きな困難は、政策目標体系と予算体系が必ずしも斉合していないことにある。これは、日本に限ったことではない。政策目標体系、予算体系、政策評価の三つの要素をどのように組み合わせて有効なフィードバックを行うのか、ということが非常に重要だろう。
 政策評価の向上のため、是非大学と行政の協力を強めていくことをお願いしたい。大学としては、少なくとも二つの貢献が可能である。一つは実際に政策評価のプロセスに関わることにより政策評価制度を改善すること、もう一つは人材育成への貢献である。是非、有為な人材の輩出と公務員の研修を充実させたい。
 本日、政策評価に関わる国際的ネットワークを構築できた。このネットワークをさらに充実させ、定期的に意見交換を行いたい。大学と行政の協力、意見交換を通じて、日本の政策評価制度や世界の政策評価に少しでも貢献できるよう、心から望んでいる。


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