平成14年3月25日
総務省


「政策評価・独立行政法人評価委員会における
独立行政法人評価に関する運営について」の概要


独立行政法人の評価の仕組み
      独立行政法人は、主務大臣から指示された中期目標を達成すべく業務を実施
   各府省の評価委員会(第三者機関)が、目標に沿った業務の実績を評価。評価の結果を政策評価・独立行政法人評価委員会に通知
   政策評価・独立行政法人評価委員会は、当該評価の結果について、必要があると認めるときは意見を述べる。

「運営について」の位置付け
      政策評価・独立行政法人評価委員会がその任務を的確に遂行していくための基本的考え方を明らかにしたもの。
   平成13年度終了後、最初の事業年度の業務の実績の評価が、府省評価委員会において実施されるのに伴い、3月22日の委員会において決定。各府省の評価委員会に対して送付

「運営について」の骨格・概要
      前文
   前段において、事前統制から成果の達成を重視する事後チェックに重点を移行した独立行政法人制度の定着、発展のためには、事後評価の仕組みが信頼性、実効性あるものとして機能することが重要な鍵を握るという、評価の意義、重要性に関する基本的認識を表明。

   独立行政法人制度は、法人運営の自主性、自律性を確保し、弾力的・効果的な運営を可能とするが、その一方で、業務の実績を厳正に評価し、効率性とサービスの向上を図るもの。
   評価の結果は、業務運営の改善のほか、長の解任、役員の報酬にも反映され得るもの。


   後段においては、評価の信頼性、実効性向上のためには、各評価機関が評価の重要性を認識し、的確に任務を遂行していくことが必要であること、また、本「運営について」で明らかにしている政策評価・独立行政法人評価委員会の評価に関する基本的な考え方が、府省評価委員会の評価の取組においても参考とされ、一層実効ある評価が実施されることを期待する旨を表明


   政策評価・独立行政法人評価委員会の任務
   各府省の評価委員会から通知された、独立行政法人の業務の実績の評価の結果について評価を行い、必要があると認めるときに、府省評価委員会に対して意見を述べることを任務とする。


   評価の方針
(1)    評価対象
   各府省評価委員会が行う評価の結果を対象として評価を行う。

(2)    評価方法
   評価の信頼性、実効性の向上が重要であるという基本的視点に立ち、評価結果について点検等を行う。


1)    各府省評価委員会の実施する個々の評価の実施形式及び評定が、独立行政法人の評価制度が求める適切な評価であると認められるために必要と考えられる水準を満たしているかどうかについて、点検することを基本として評価を行い、府省評価委員会に対し必要な意見を述べる。


具体的には、
1i)    各府省評価委員会において定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価が行われているか、
2ii)    評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか、
について、点検を行う。


2)    また、評価の一環として、独立行政法人評価全体の実効性向上の見地から、評価結果を全体的、横断的に把握し、評価の実効性向上に資すると考えられる一定の手法、視点等が見いだされる等の場合、その有効性、必要性等を吟味し、その結果、当該手法、視点等が有効かつ必要と認められる場合には、各府省評価委員会に対して通知等を行う。


具体的な点検、把握に関する考え方を、別紙「点検項目等の設定についての考え方」に示している。>


   評価結果及び公表

   各府省評価委員会の評価結果を評価した結果、必要と認めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べるとともに、当該意見を公表。
   また、年度を通じた政策評価・独立行政法人評価委員会の評価の結果及び評価活動の状況等を取りまとめて公表




















政策評価・独立行政法人評価委員会における

独立行政法人評価に関する運営について






























平成14年3月22日



政策評価・独立行政法人評価委員会決定






















政策評価・独立行政法人評価委員会における

独立行政法人評価に関する運営について


平成14年3月22日
政策評価・独立行政法人評価委員会決定


 目次

   前文
   1  政策評価・独立行政法人評価委員会の任務
     (1)  独立行政法人の評価に関する制度の基本
     (2)  政策評価・独立行政法人評価委員会の任務
   2  評価の方針
     (1)  評価の対象
     (2)  評価の方法
          ア   実施方法
             (ア)  「各事業年度に係る業務の実績に関する評価結果」の評価
             (イ)  「中期目標に係る業務の実績に関する評価結果」の評価
          イ   資料の提出等の要求
   3  評価結果及び公表

   別紙「点検項目等の設定についての考え方」






前文

      中央省庁等改革の柱の一つとして、平成13年4月、独立行政法人制度が導入された。独立行政法人制度は、政策実施機能に係る一定の事務・事業について、国から独立した法人を設置し、当該事務・事業の実施を担わせる制度である。この制度の基本は、法人運営に関する国の細部にわたる事前関与・統制を制限し、自主的、自律的で透明な法人運営を確保し、法人が業務の運営を弾力的・効果的に行うことを可能とするが、その一方で、主務大臣が法人に対して指示する明確な達成目標(中期目標)の下で、その目標に沿った法人の業務の実績を事後的に評価するとともに、中期目標の期間の終了時には組織、業務の全般的見直しを行うという仕組みにより、国民のニーズに即応した効率的な行政サービスの提供を実現するということにある。
   評価結果は公表され、国民の前に明らかにされるとともに、法人の業務運営の改善に反映されていくこととなる。また、評価結果を踏まえて、独立行政法人の長の解任も行われ得るものとされ、さらに役員の報酬の支給にも業務の実績が反映され得るものとされている。
   このような厳正な措置をも伴い得る事後的な評価の仕組みの存在が、独立行政法人に対して、自主的、自律的な法人運営の下、業務運営の効率化と、国民に対して提供するサービスの内容の向上という、納税者であり、また、行政サービスの受益者である国民の求める成果の実現を図るための不断の努力を促すこととなる。
   すなわち、独立行政法人制度において、評価の仕組みは、国民の求める成果の実現を図るためのメカニズムが、有効に機能するための鍵を握る重要な位置付けを有するものである。独立行政法人制度が、国民に信頼される制度として今後の我が国の行政に定着するか否かは、評価の仕組みが信頼性のある、また、実効性のあるものとして機能するか否かにかかっていると言っても過言ではないと考える。
   本「政策評価・独立行政法人評価委員会における独立行政法人評価に関する運営について」は、総務省に置かれる当委員会が、独立行政法人の評価に関する任務を的確に遂行していくための基本的な考え方を明らかにしたものである。
   この中では、まず、当委員会の任務について記した上で、当委員会における評価の方針として、評価の対象と方法について記した。評価の方法としては、評価の信頼性、実効性の向上を図ることが重要であるという基本的視点に立って、各府省評価委員会の評価結果について必要な点検等を行うこととした。なお、具体的な点検項目等については、別紙にその設定についての考え方をまとめ、評価の実施の過程で、その設定を図っていくこととした。
   もとより、独立行政法人評価の信頼性、実効性の向上が図られるためには、各評価機関が独立行政法人制度における評価の重要性を認識し、第三者機関として、中立・公正な立場で客観的かつ厳正な評価に取り組んでいくことが必要である。各府省評価委員会と当委員会とがそれぞれの任務を的確に遂行していくことにより、独立行政法人評価制度が、真に国民の期待に応えるものとして発展していくこととなる。
   今回、当委員会の評価に関する基本的な考え方を明らかにしたところであるが、各府省評価委員会においても、独立行政法人評価の取組において参考とされ、一層実効ある評価が実施されることを期待する。



1 政策評価・独立行政法人評価委員会の任務

   (1)    独立行政法人の評価に関する制度の基本
   独立行政法人制度は、政策実施機能に係る一定の事務・事業を担う独立の法人格を持つ法人を設置し、国の事前関与・統制を制限し、法人の運営における自主性・自律性を確保するが、その一方で、主務大臣の指示する明確な達成目標の下で、その業務の実績を事後的に評価し、その結果を法人の業務運営の改善に反映させ、また、毎年毎年の長の責任や役職員の処遇等に反映させ得るという仕組みにより、業務運営の効率化と国民に対して提供するサービスの向上等、国民の求める成果の実現を図ることを目的とする制度である。
   このように、事後評価に重点を置くということが制度の基本の一つであることから、独立行政法人の業務の実績の評価が、中立・公正な立場から客観的に実施されることが重要である。このため、各府省に第三者評価機関である評価委員会が置かれて評価を行うこととされ、これに加えて総務省に全政府レベルの第三者評価機関である政策評価・独立行政法人評価委員会が置かれることにより、独立行政法人の評価の客観的かつ厳正な実施を確保する仕組みとなっている。

   (2)    政策評価・独立行政法人評価委員会の任務
   総務省に置かれる当委員会は、全政府レベルの評価機関として、各府省評価委員会から通知された独立行政法人の業務の実績の評価結果について評価を行い、「必要があると認めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べる」(独立行政法人通則法第32条第5項及び第34条第3項による第32条第5項の準用)こととされている。
  (なお、上記に加え、「独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、主務大臣に勧告する」(独立行政法人通則法第35条第3項)こととされているが、これについての取組の方針は、別途検討する。)




2 評価の方針

   (1)    評価の対象
   当委員会は、各府省評価委員会が独立行政法人の業務の実績について行う、以下の評価の結果を対象として、評価を行う。

1)    当該事業年度における中期計画の実施状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について行う総合的な評定(独立行政法人通則法第32条第2項)

2)    当該中期目標の期間における中期目標の達成状況の調査をし、及び分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して当該中期目標の期間における業務の実績の全体について行う総合的な評定(独立行政法人通則法第34条第2項)

   (2)    評価の方法
   当委員会は、独立行政法人評価の信頼性、実効性の向上を図ることが重要であるという基本的視点に立ち、各府省評価委員会の評価結果を対象として、以下の内容により必要な点検等を行い、必要な意見を述べる。
   その際、各事業年度に係る業務の実績に関する評価結果についての評価は、府省評価委員会の評価の趣旨が当該事業年度における法人の業務の実施状況、進捗状況を評価し、その結果を中期目標の達成を図るため必要な業務運営の改善等に反映させるものであることを勘案して実施する。
   また、中期目標に係る業務の実績に関する評価結果についての評価は、府省評価委員会の評価の趣旨が中期目標の達成状況を評価し、その結果を次期中期目標の策定や、必要な場合、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討に反映させるものであることを勘案して実施する。

      実施方法
   当委員会の評価においては、まず、各府省評価委員会の評価結果が、当該評価委員会において定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価を行ったものとなっているか、また、評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているかについて点検を行うことを基本とする。

(ア)    「各事業年度に係る業務の実績に関する評価結果」の評価
   各府省評価委員会から通知を受けた各事業年度における独立行政法人の業務の実績の評価結果について、(a)「当該事業年度における中期計画の実施状況の調査及び分析の結果」に係る部分と、(b)「これらの結果を考慮して当該事業年度における業務の実績の全体について行う総合的な評定の結果」に係る部分のそれぞれに関して、以下の方法により点検を行う。

1)    府省評価委員会において定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価が行われているかについて点検を行う。
2)    また、評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているかについて点検を行う。

   ただし、府省評価委員会の評価結果が、(a)及び(b)の部分に截然(せつぜん)と区分されない場合には、評価結果を全体としてとらえ、1)及び2)により必要な点検を行う。

   また、全政府レベルの評価機関である当委員会は、評価の一環として、独立行政法人評価全体を通じた実効性向上を図る見地から、各府省評価委員会の評価結果を全体的、横断的に把握し、評価の実効性向上に資すると考えられる一定の手法、視点等が見いだされる等の場合、その有効性、必要性等の吟味を行う。
   その結果、当該手法、視点等が、評価の実効性向上のため有効かつ必要と認められる場合には、当委員会から各府省評価委員会に対して通知等を行うこととし、また、次年度以降の評価結果の評価において、当該手法、視点等の検討状況、活用状況について把握を行うこととする。

(イ)    「中期目標に係る業務の実績に関する評価結果」の評価

   本評価結果の評価については、中期目標に係る業務の実績に関する評価の趣旨を踏まえて行うものとする。

評価の実施方法に沿った点検項目等の設定についての考え方は、別紙に示す。

      資料の提出等の要求
   評価の実施に当たって必要な資料収集、説明聴取等については、次による。

   所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、独立行政法人の主務大臣又は独立行政法人の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求める。
   所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、独立行政法人の主務大臣又は独立行政法人の長以外の者に対しても必要な協力を依頼する。




3 評価結果及び公表

   (1)    各府省評価委員会による所管独立行政法人に係る評価結果を評価した結果、当委員会が必要と認めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べる。その際、当該「意見」は、公表する。
   また、年度を通じた当委員会の評価の結果及び当委員会の「意見」を含めた評価活動の状況等について、取りまとめ、公表する。

   (2)    各府省評価委員会の評価結果の評価を行うことに関連して、評価の実施状況の把握とあわせ、以下の事項について当委員会として注視・把握し、中期目標の期間終了時において、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、当委員会が主務大臣に対して行うことができる「勧告」(独立行政法人通則法第35条第3項)の検討に資することとする。

1)    府省評価委員会が、独立行政法人通則法第32条第3項に基づき、評価を行った結果必要があると認めるときに、独立行政法人に対して行うことができる業務運営の改善その他の勧告について、その実施に係る状況と、それに基づく措置に係る状況
2)    府省評価委員会が、中期目標期間終了の前年度等の評価において行う、次期中期目標の策定等についての検討の実施状況
3)    主務大臣が、独立行政法人通則法第35条に基づき、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずる場合にあって、その検討に際して行う府省評価委員会の意見聴取及び当該委員会の審議・答申等の状況
4)    府省評価委員会の評価結果を踏まえ、主務大臣が中期目標を、又は独立行政法人が中期計画を、それぞれ一層適切なものとするとの観点から見直し、変更を行う場合にあって、当該主務大臣が、その変更又は変更の認可に際して行う府省評価委員会の意見聴取及び当該委員会の審議・答申等の状況

   (3)    上記と関連して、全政府的な立場から独立行政法人の評価制度の実効性の向上を図る上で必要と考えられる場合には、当委員会としての見解等を取りまとめ、公表する。







別紙

点検項目等の設定についての考え方



        各府省評価委員会の評価の実施形式及び評定が、独立行政法人の評価制度が求める適切な評価であると認められるために必要と考えられる水準を満たしているかどうかを点検する。

   具体的には、以下の1)及び2)を基本として点検を行う。

1)    定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価が行われているか。具体的には、定められた評価基準に則り、また、公正妥当な手続・手順を用いて、適切に評価が行われているか。

(要点)
 ○    評価基準及び中期計画掲記の項目との関係での網羅性(完全性)

 ○    評価の実施の計画、手順、データ収集その他調査、審議、結果取りまとめ等手続の妥当性(適時に、公正な立場から、判断に必要なデータ等を必要十分に入手し、検討して、結論を得たことが明らかであるか。)

2)    評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか。

(要点)
 ○    評価基準の当てはめは適切か。

 ○    当てはめの結果行った判断について、その理由、根拠等がきちんと示されているか。その際、用いられた資料、データ等の信頼性の確認結果が示されているか。なお、当該データ等には検証可能性があるか。審議の記録及び基礎資料はきちんと保存されているか。

 ○    評価結果(評定、評定の理由等)は、明瞭で分かりやすいものとなっているか。 


   上記1)及び2)について、既に定められた府省評価委員会の評価基準等をもとに、具体的な点検項目となることが想定される例を示すと、以下のとおりである。



ア   「各事業年度に係る業務の実績に関する評価結果」の評価

  
  (a )  当該事業年度における中期計画の実施状況の調査及び分析の結果

1)    定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価が行われているか。

   定められた評価基準に則り、適切に評価が行われているか。

(中期計画の実施状況の調査)

   (例 ) 評価基準に示された各項目(中期計画掲記項目)のすべてについて、実績の把握が行われているか。

   (例 ) 実績の定量的・定性的把握は、評価基準に示された指標によって正確に行われているか。

(中期計画の実施状況の分析)

   (例 ) 評価基準に示された評価の単位ごとにすべて判定が実施されているか。

   (例 ) 評価基準に示された判定の区分(例えばA、B、C等)に沿い、正確、厳格な実績の把握に基づく判定が行われているか。

 公正妥当な手続・手順により評価が行われているか。

   (例 ) 専門的な内容のものについて、専門家による第三者評価の結果を活用して評価が行われている場合、その第三者評価の手続的妥当性(利害関係者の排除等)について必要な確認が行われているか。

   (例 ) 把握されたデータの妥当性(代表性、信頼性等)について必要な確認が行われているか。

2)    評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか。

 中期計画の実施状況の分析内容は妥当なものとなっているか。

   (例 ) 中期計画の実施状況の判定は、評価基準に示された判断基準を業務実績等に適切に当てはめたものとなっているか。

   (例 ) 機械的な判断基準の適用等で判定結果を導き出せない等の場合、判定結果を導き出した根拠、理由等は明確に示されているか。



  (b )  業務の実績の全体について行う総合的な評定の結果

1)    定められた評価基準に適合したかたちで適切に評価が行われているか。

 業務の実績全体の総合的な評定が、評価基準に則り、適切に実施されているか。

   (例 ) 評価基準に示された考慮要素(中期計画の実施状況の判定結果、その他加味する要素等)に基づいて評定が実施されているか。

2)    評価基準を踏まえた評価の内容は妥当なものとなっているか。

 業務の実績全体の総合的な評定の内容は、妥当なものとなっているか。

   (例 ) 業務の実績全体の総合的な評定は、評価基準に示された判断基準を適切に当てはめて導き出されているか。

   (例 )  中期計画の実施状況の判定結果を平均(加重平均)して総合的な評定を実施する等の判断基準が示されている場合、その基準によって総合的な評定が行われているか。

   (例 ) 業務の実績全体の総合的な評定を導き出した根拠、理由は明確にされているか。当該評定は妥当か。

   (例 ) 中期計画に明定されていない法人の業務運営の実績(法人のマネージメントの改善への努力等)を加味して総合的な評定を行うとされている場合、どのような要素をどのような理由で選択し、加味したかが明確に示されているか。
   その上で、当該総合的評定は適切か。

          また、全政府レベルの評価機関である当委員会として、独立行政法人評価全体を通じた実効性の向上を図る見地から、評価結果の全体的、横断的な把握を行い、評価の実効性向上に資すると考えられる一定の手法、視点等が見いだされる等の場合、その有効性、必要性等の吟味を行う。

       具体的には、上記1.及び2.の点検作業を通じて、各府省評価委員会の評価結果を全体的にとらえ、例えば一部の評価において採られている一定の手法、視点等で、これが採り入れられることが評価の実効性向上に資すると考えられるものが見いだされる等の場合、その手法、視点等を活用した評価の取組状況を横断的に把握し、その有効性、必要性を吟味する。

   横断的な把握の対象となる手法、視点等は、以下の1i)から4iv)に示す区分により、中期目標事項の達成状況の評価に資することとなると考えられるものを設定する。
      i1    業務運営の効率化
      ii2    国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上
      iii3    財務内容の改善
      iv4    その他

   把握の対象となる手法、視点等は、各府省評価委員会の評価結果を全体的にとらえた上で設定されるものであるが、評価の実効性向上という観点から、これまで当委員会で示唆された手法、視点等としては、以下の(例)に挙げるようなものがある。

       i1)   業務運営の効率化

         (例 ) 費用と効果の関係について、単位費用等何らか適切な指標を設定し、当該独立行政法人における当該指標の経年的な比較、同種・類似の業務を担う他法人・民間法人等との比較を行う等の有効と考えられる手法により、効率性(生産性)の向上を把握しているか。

      ii2)  国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上

         (例 ) 何らか一定の業務の実績に関して、独立行政法人の業務の特性等に応じて、適切な指標を設定し、当該法人における当該事業の実績との経年的な比較、同種・類似の業務を担う他法人・民間法人等との業務実績との比較を行う等の有効と考えられる手法により、その業務の実績を把握しているか。

      iii3)   財務内容の改善

         (例 ) 財務内容の改善に関して、独立行政法人の業務の特性等に応じて、自己収入比率、収益率等の適切な指標を設定し、当該法人における経年的な比較、同種・類似の業務を担う他法人との比較を行う等の有効と考えられる手法により、財務内容の改善を把握しているか。

      iv4)  その他

         (例 ) 独立行政法人の業務実績を向上させるために行われている、組織運営の弾力化(インセンティブの設定、職員の能力の向上等)、マネジメント・システム、内部統制システムの改善等の措置に関して、その効果を、有効と考えられる手法により把握しているか。

イ   「中期目標に係る業務の実績に関する評価結果」の評価

       中期目標に係る業務の実績に関する評価の趣旨を踏まえて、点検項目等を設定するものとする。












「政策評価・独立行政法人評価委員会における独立行政法人評価に関する運営について」の決定に当たっての委員長談話

政策評価・独立行政法人評価委員会委員長
村松 岐夫   

   本日、当委員会は、「政策評価・独立行政法人評価委員会における独立行政法人評価に関する運営について」を決定、公表した。
   独立行政法人制度は、中央省庁等改革の柱の一つとして、平成13年4月にスタートしたが、平成13年度終了後、最初の事業年度の評価が実施されることに先立ち、当委員会の基本的な考え方を明らかにするため、これを決定したものである。
   独立行政法人制度は、政策の実施を担うため国から独立した法人を設置し、法人にその運営上の自主性、自律性を与え、弾力的、効果的な運営を行うことを目的とするものである。同時に、主務大臣が示す明確な目標に沿った業務の実績を評価し、組織の定期的な見直しを行うことによって、効率性の向上とサービスの質の向上を達成しようとする仕組みである。評価結果は、業務運営の改善に反映されるとともに、長の責任、ひいてはその任免にも結び付き得るものとされており、このような厳正な措置をも伴い得る事後評価の存在が、独立行政法人に対して、業務運営における不断の努力を促すものとなる。独立行政法人制度が信頼性と実効性のあるものとして機能するか否かは、事後評価の仕組みにかかっていると言っても過言ではない。
   全政府レベルの評価機関である当委員会は、各府省に置かれる評価委員会が行う独立行政法人の業務実績に関する評価の結果について、必要と認めるときに、当該委員会に対して意見を述べることを任務としている。
   この「運営について」においては、全政府レベルの評価機関である当委員会が行う評価の取組として、評価の信頼性、実効性の向上を図ることが重要であるという基本的視点に立ち、次のことを行う。
   1)    府省評価委員会が行う個々の評価について、その実施形式及び評定が独立行政法人評価制度が求める適切な評価であると考えられる水準を満たしているかどうかを点検することを基本として評価を行い、必要な意見を述べる。
   2)    独立行政法人評価全体の実効性向上を図る見地から、評価結果を全体的、横断的に把握し、評価の実効性向上に資すると考えられる手法、視点等について吟味し、その結果有効かつ必要と認められる場合、通知等を行う。
   府省評価委員会におかれては、本「政策評価・独立行政法人評価委員会における独立行政法人評価に関する運営について」を参考とされ、一層の実効ある評価を実施されることを期待する。また、これにより国民の期待に応える独立行政法人制度が定着・発展していくことを強く願うものである。