勧 告 日 | :平成12年11月10日 |
勧 告 先 | :大蔵省(国税庁) |
実施期間 | :平成11年4月〜12年11月 |
〔監察の目的・背景事情等〕 | |||
○ | 我が国における国税の基本的な制度は、納付すべき税額が納税者の申告によって確定する「申告納税制度」 この申告納税制度の下で適正かつ公平な課税を実現していくためには、国税庁における法令の解釈や適用の指針、税務上の取扱いを明確かつ統一的に示していくとともに、納税者に対し、これらを分かりやすい形で公表していくことが重要。また、納税者の負担軽減や納税者に提供するサービスの内容の継続的な見直し、事務運営の一層の適正化や効率化も重要 |
||
○ | この監察は、申告納税制度の下における国の税務行政運営の公正性、効率性等を確保する観点から、国の税務行政の実施状況等について調査し、関係行政の改善に資するため実施 | ||
○ |
|
||
○ |
|
〔主な勧告事項〕 | ||||||
1 | 適正かつ公平な課税の実現 | |||||
(1) | 適正な申告、納税の基盤整備 | |||||
○ | 法令解釈通達において統一的な法令の解釈や適用の指針が示されていないものについて、研修資料、出版物等において、法令の解釈や適用の指針と解される内容を記載。また、これらの記載内容をみると、文章表現が様々なものとなっており、統一的な記載とはなっていない状況 | |||||
|
||||||
また、国際課税の一つである「移転価格税制」(法人税)において納税者が申告に当たって自ら計算しなければならない独立企業間価格について、国税庁本庁により算定方法に関する指針が十分に示されていない状況 | ||||||
○ | 通達に示されていない新たな取引形態等が出現した場合や、通達が具体的な問題にどのように適用されるかが明らかでない場合に、納税者等からあった質疑を基に国税局及び税務署に示している「質疑応答」の内容は一部を除き公表されていない状況 また、「質疑応答」を発展させ、事前に納税者が帳簿等の具体的な資料を提示してあらかじめ国税当局の見解を確認できる仕組みについて、整備の余地 |
【勧告要旨】
|
(2) | 適正な申告、納税の環境整備 | |||||
○ | 国税庁では、「法令解釈通達」以外に、職員向けの執務参考のための資料として「情報」、「事務連絡」等を作成。税務署等においても、法令の解釈・適用のよりどころとして使用、一部は出版物に引用
しかし、これらについては、納税者が適正な申告を行うために有用なものも少なくないにもかかわらず、国税庁の見解としての公表はほとんど行われていない状況 |
|||||
|
||||||
○ | 税務調査の結果、更正処分を行うかあるいは納税者に修正申告の提出を勧める「修正申告の慫慂(しょうよう)」を行うかの取扱い、また、修正申告を行った場合の不服申立ての機会が失われる等の法的効果についての納税者への告知に係る取扱いが、国税局間で異なる状況 |
【勧告要旨】 大蔵省(国税庁)は、納税者による適正な申告、納税が可能な環境を整備する観点から、次の措置を講ずることが必要
|
2 | 適正かつ効率的な事務運営の推進 | ||
○ | 国税局から税務署に対する税務調査の方法についての指示等をみると、次のような状況 | ||
i | 国税局資料調査課から税務署に引き継ぐこととなった大口・悪質事案について、調査の方法の指示が明確になされていないため、税務署での調査が効果的、効率的に行われていないもの(申告所得税、法人税、相続税) | ||
ii |
交際費課税の調査対象を抽出する場合の基準が国税局によって異なるもの(法人税) | ||
○ | 税務調査等結果に基づく指摘等の内容に誤りがあるもの(消費税、印紙税) |
【勧告要旨】 大蔵省(国税庁)は、税務行政における適正かつ効率的な事務運営の推進を図る観点から、次の措置を講ずることが必要
|
3 | 納税者の申告手続の負担軽減及び利便の向上 | |
○ | 申告に当たって必要な添付書類等について、「収支内訳書」の記載項目が国税局間で区々(申告所得税)、あるいは提出部数が多く一部の広範な海外活動を展開している納税者に負担(法人税) | |
○ | 税務署における税務調査の事前通知の実施の状況に相当の差異がみられる(申告所得税)とともに、税務調査終了についても通知を検討する余地(法人税) | |
○ | 確定申告期における国税に係る納税相談や申告書の収受の状況をみると、税務署ごとの管内事情等様々な要因によって、地方公共団体による納税相談及び申告書収受の状況にばらつきがみられ、地方公共団体からの効果的な協力が必ずしも十分に得られていないと考えられるものもみられる状況 |
【勧告要旨】 大蔵省(国税庁)は、税務行政における納税者の申告手続の負担軽減及び利便の向上を図る観点から、次の措置を講ずることが必要
|