ピックアップ!ふるさと納税

広島県 福山市 花や文化を愛する心を、まちづくりの礎に。

鞆地区の写真<灯台として造られた「常夜燈(じょうやとう)」はじめ、江戸時代の港湾施設が残る鞆(とも)地区>

広島県の東南端、瀬戸内海のほぼ中央に位置する福山市。江戸時代は城下町として栄え、
とりわけ沼隈(ぬまくま)半島の先端にある鞆の浦(とものうら)は、瀬戸内の主要な港として
多くの人やものが行き交いました。
大正5(1916)年には市制を施行し、以来、備後地区の中核都市として発展してきました。
現在は、まちの各所にばらが咲き誇る「ばらのまち」として知られています。
市制施行100周年を迎える平成28年に「100万本のばらのまち」を実現しようと、
まちが一丸となり、家庭や地域でばらを育てています。

【市長からのメッセージ】

福山市は、本年7月に市制施行100周年という大きな節目を迎えます。
この記念すべき年をオール福山で喜び祝い、活力と成長力が感じられるまちづくりのスタートとして「市制施行100周年事業の推進」「未来につなぐ施策〜新たな成長戦略〜」を柱に、子どもから大人まで市民全員参加のもと、「ふるさと福山」への愛着と誇りを高める100周年のアニバーサリーを祝う事業を行ってまいります。
また、福山を含めた備後地域全体の発展のため、連携中枢都市として広域的な施策の推進に加え、新たに『世界に誇れる「ばらのまち福山」の実現』により次の100年に向け、市民のだれもが豊かさを実感できるまちづくりを進めてまいります。
全国の皆さま、ばらの花が咲き誇る「ふるさと福山」の応援をよろしくお願いいたします。

ふるさと納税の状況

「未来に向けた持続的発展力のあるまちづくり」に取り組む福山市では、「ばらのまち福山応援寄附金」として全国から応援を募っています。ふるさと納税が始まった平成20年度当初は「市の将来のための大規模な事業のために」「地域の福祉のために」といった大きなくくりで6つの使い途を設定していました。しかし、寄附者の方に具体的に使い途をイメージしていただき、その上で共感し、応援をしてもらおうと、平成27年6月に使い途メニューをリニューアルしました。例えば「福山を100万本のばらが咲き誇るまちにする」といった明確な事業名にしてかつ、メニュー数も増やしたところ、寄附件数が増えています。リニューアル以降は、市役所内で広く意見を集めると共に、ふるさと納税の申込書に書かれた寄附者の方からのメッセージを参考にして、事業内容を定期的に吟味することにしました。その結果、平成27年12月には、これまでのメニューにはなかった環境保護の取組として、新たに「里山里地の再生・保全を支援する事業」を追加しました。
現在12ある事業の中でもとりわけ寄附件数が多いのが「福山を100万本のばらが咲き誇るまちにする事業」です。まちの各所にばらの花壇があり、観光をきっかけにふるさと納税をされた方からは「きれいにばらを育てておられますね。これからもがんばってください」と応援の声が届いています。また、映画やドラマのロケ地としても知られる鞆の浦を保存するための「鞆地区の町並み保存を支援する事業」にも県外から多くの寄附があり、「ドラマで見て、きれいなまちだと思いました。まちを守ってください」といった応援メッセージが寄せられています。

観光パンフレットと、福山市を紹介する情報誌の写真寄附者の方々に送っている観光パンフレットと、福山市を紹介する情報誌。

現在はふるさと納税をされた方にお礼状と共に福山市の魅力を紹介する総合情報誌や観光パンフレットなどを送付し、まちの魅力を伝えています。
今後は寄附者の方に実際にふるさと福山を訪れてもらえるような取組を実現したいと市では考えています。

ふるさと納税 平成27年度の寄附件数と金額(平成28年1月末現在)
応援メニュー 件数 寄附金額
合計 581件 329,905,345円
1.福山を100万本のばらが咲き誇るまちにする 128件 3,325,000円
2.「地域をよくしたい!」さまざまな市民活動を応援する 22件 597,345円
3.鞆地区の町並み保存を支援する 47件 2,980,000円
4.お年寄りがいきいきと暮らせるまちづくりを応援する 45件 1,635,000円
5.子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちづくりを応援する 71件 2,203,000円
6.障がい者が社会で活躍するための支援をする 28件 935,000円
7.福山市図書館の蔵書を充実する 20件 570,000円
8.子どもたちの夢の実現に向けたチャレンジを応援する 60件 2,050,000円
9.生涯スポーツ・競技スポーツを支援する 5件 140,000円
10.福山市新総合体育館を整備する 1件 30,000円
11.市長におまかせ 143件 315,230,000円
12.里山里地の再生・保存を支援する(平成27年12月1日から) 11件 210,000円

ばらを育てておもいやりの心をはぐくみ、まちを美しく。
「福山を100万本のばらが咲き誇るまちにする事業」

昭和20年8月に起きた福山空襲で市街地の約80%が焼けた福山市。まち全体がうちひしがれていたときに、市内中心部にある南公園の周辺住民が中心となって、ばらの苗約1,000本を公園に植えました。ばらを育ててまちに潤いを取り戻そう、それを心のよりどころとして、まちを復興させようと住民が立ち上がったのです。この活動に共感した行政も苗の手配を支援するなど、住民と市の協働でばらを植える活動を始めました。昭和31年のことです。やがて昭和40年には、南公園はほぼ現在の姿となり、人々から「ばら公園」の愛称で親しまれるようになりました。同時に、こうした活動に刺激を受けて、市民の間でばらを植えたり、花壇を作る動きが広がっていきました。
ばらに関するイベントも生まれ、拡大していきました。
ばら愛好家が市内の金融機関で始めたばらの展示会が徐々に大きくなり、昭和43年には、ばらのコンテストを中心とした「バラ祭」となりました。現在「バラ祭」は、県外からの観光客も含めて約80万人が訪れる福山市最大の祭りとなっています。
平成19年度からは、ばらのまちづくりを推進するため、市民や事業者によるばら花壇の整備を支援する「協働のばら花壇整備補助事業」を開始しました。この事業にふるさと納税を充てています。地域でばらの花壇を整備したいと考える自治会や有志の団体に対して、花壇の整備に必要な経費の一部を負担するもので、上限10万円でレンガや土、苗などの資材の購入を支援しています。公園や公共性が高い場所など、公道から見える花壇を条件に、平成28年1月末までで約130件の申請がありました。
「ばら花壇を作りたい」という声が子どもたちの間から上がり、この事業を活用して子ども会で花壇を整備した例もあります。

ばらの花でいっぱいの福山駅前写真春になるとJR福山駅前は、ばらの花でいっぱいになり、
まちを訪れた人を楽しませます。

バラ祭の写真「ばら公園」、ばら公園に隣接する「緑町公園」を
メインステージに毎年5月に開催される「バラ祭」。
2日間にわたり、ばらのコンテストのほか
結婚式などイベントも行われます。

  • 石神ばら花壇の写真ふるさと納税を活用して、地域の方が整備された「石神ばら花壇」。
  • 霞学区のばら花壇の写真「霞学区」のばら花壇整備には、子どもたちも参加。

平成22年には、市制施行100周年を迎える平成28年に向けて「100万本のばらのまち」を実現しようと「ばらのアクションプラン」を市が作成しました。ばらを通じたまちづくりを市民・団体・事業者・行政の協働で行い、ばらの咲き誇るまちの実現を目指すものです。
観光の目玉となる大規模なばら花壇を市の主導で作るのではなく、市民一人ひとりが積極的にばらのまちづくりに参加することを大切にしている福山市。そうしてばらの苗を育てることで「ローズマインド」の育成も目指しています。「ローズマインド」とは「思いやり・優しさ・助け合いの心」を意味します。市内の全小・中学校にはばら花壇があり、「ローズマインド」は子どもたちにも引き継がれています。「100万本のばらのまち」が実現した後、「ローズマインド」を柱にどういったまちづくりが進むのか、期待が膨らみます。

  • 河川敷のばら花壇の写真市内各所にあるばら花壇。
    河川敷にもばらが咲き、まちに彩りを添えます。
  • 学校のフェンスに咲いたばらの写真学校の中だけでなく、フェンスの外側に向けてもばらを咲かせ、道行く人を楽しませています。

歴史的な港町を、力を合わせて守っていく。
「鞆地区の町並み保存を支援する事業」

瀬戸内海のちょうど中心に位置する鞆地区。鞆の浦として知られるこの港町の歴史は、万葉の時代から栄えていますが、発掘調査では平安時代まで遡ることがわかっています。瀬戸内海の海流は、満潮時に豊後水道や紀伊水道から流れ込み、干潮時には鞆の浦の沖を境に流れ出ます。ちょうど潮があたる場所が鞆の浦なのです。昔の船は潮流に乗って風を利用し航行したため、潮と風のタイミングを待つために多くの船が鞆の港で停泊し、「潮待ち、風待ちの港」として発展しました。
鎌倉時代に埋め立てが進んでまちが広がり、室町時代には日明貿易で栄え、江戸時代は北前船が出入りして賑わいました。やがて時代が進み流通の担い手が船から鉄道や自動車に代わると、港町のにぎわいは徐々に失われていきました。
しかし、現在も鎌倉・室町時代に形成された街区や港町の繁栄を伝える豪商の町家建築などが残る美しいまちとして人々を魅了しています。灯台の役割を果たした「常夜燈」や、潮の干満差があっても積み荷の上げ下ろしができるよう階段状になった船着場「雁木(がんぎ)」など、江戸時代に造られた港湾施設がほぼ完全に残されている貴重な港町です。

鞆の港の写真波の穏やかな鞆の港。
かつては商港として栄えましたが、
現在は漁船などが往来します。

鞆地区の街並の写真まちのあちらこちらに貴重な町家建築が残っており、
鞆地区らしい風情を感じられます。

  • 船番所の跡の写真船の出入りや安全を管理する港湾管理事務所の機能を果たした船番所の跡。江戸時代に造られた石垣が残っています。
  • 大波止の写真 台風などから船を守るために江戸時代に造られた大波止(おおはと)。
  • 一方、まちの歴史的建造物は老朽化が進み、人口流出で空き家が増えたことから、町並みの保存が難しくなっています。そこで福山市では、鞆地区の保存を進めるため、平成20年に伝統的建造物が集中する地域約8.6ヘクタールを「鞆町(ともちょう)伝統的建造物群保存地区」として都市計画に定めました。保存地区内には江戸時代から昭和初期までに建てられた歴史的建築物が約300棟あり、これらを保存すべき建物として、伝統的建造物の候補に挙げています。伝統的建造物は、所有者の同意を得て特定し、保存地区保存計画の中に位置づけられます。所有者は修理の際、内部は自由に改造できますが、外観は元々の美しさを損なわないように整備する必要があります。例えば、壁は漆喰(しっくい)塗りか板張り、開口部は木製建具にする等です。そこで外観の修理の際、所有者から申請があれば、審査を経て市から補助金を交付。この「鞆地区の町並み保存を支援する事業」にふるさと納税を充てています。
    都市計画を推し進めるため、福山市では平成27年度から修理費用の補助率を50%から90%へ、上限額を500万円から900万円へと拡大しました。とはいえ補助は外観の修理工事のみであり、他はすべて所有者の負担です。住民の方々の理解・協力があってこその町並み保存であることは言うまでもありません。市ではふるさと納税を活用して歴史的建造物を保存しながら、住民の皆さんと一緒にまちを守っていく方針です。

  • 外観の修理工事が行われた住宅の写真 外観の修理工事が行われた住宅。この格子の美しさが鞆の町並みの魅力の一つです。
    外観の修理工事の写真 現在、外観の修理工事が行われている建物。保存地区ではこうした光景があちらこちらで見られます。

取材を振り返って

観光客を集めるためにばらを植えるのではなく、住民の皆さんが力を合わせてばらを育てる中で「ローズマインド」を育み、そして100万本のばらのまちを目指す。その取組は、生活に根付いた力強さや温かさが感じられました。鞆地区も観光のために演出されたまちではなく、住民の方々が暮らしと歴史を大切に守ってきたまちです。カモメの声が響く以外はとても静かで、路地を歩いていると、かすかに生活音が聞こえてきました。だからこそ、ここを訪れる人の多くは、ふるさとに帰ってきたような懐かしさや温もりを感じるのではないでしょうか。心のふるさとである鞆地区を守りたいという寄附者の方の気持ちがよくわかりました。

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