ピックアップ!ふるさと納税

島根県 松江市 城下町の歴史・景観を市民と共に守る。

松江城の写真
<城下町・松江のシンボル松江城>

島根県の東部に位置する松江市は、東に中海(なかうみ)、西には宍道湖(しんじこ)と2つの湖を擁する国際文化観光都市です。豊かな自然を背景に古代出雲の中心地として早くから開け、江戸時代には城下町としても栄えました。
これら貴重な歴史を守ると同時に、観光資源を活かした新たな魅力づくりにも力を注いでいます。

【市長からのメッセージ】

松江市は後世に引き継ぐ自然や歴史、文化など世界に誇る地域資源を大切に保全し、まちづくりに活かしています。松江を愛する皆様のたゆまぬ努力と支えにより、美しい宍道湖をはじめとするまちなみは、訪れる人を優しく癒し、松江は日本人の心、"和の心と日本の美"を紹介し、世界に誇れる国際文化観光都市として発展してきました。

本年7月には、長年の念願が叶い、松江城が国宝に指定されましたが、今後は、文化財としての松江城の保存管理と整備活用に努めながら、市民の憩いの場であるとともに、多くの観光客の皆様をお迎えするおもてなしの場として、一層快適な空間となるよう、適切な整備にも取り組んでまいります。

更には、松江城だけにとどまらず、城下町としての歴史的な資産と景観を最大限に活用し、特色と活力に溢れた共創(きょうそう)のまちづくりを市民の皆様とともに手を携えて推し進めてまいります。

松江市では、ふるさとを愛し、まちづくりに励む松江市民を応援していただける個人や団体の皆さんから広く寄附金を募集しています。 どうか皆さん、これからもふるさと松江を応援してください。

ふるさと納税の状況

松江市では、ふるさと納税を利用して寄せられた寄附金を「ふるさと松江だんだん基金」に積み立て、「松江市ふるさとづくり寄附条例」に定めた事業に充てています。条例で定めた事業として「宍道湖、中海などの自然景観、自然環境の保全やこれらを生かした観光、産業の振興」と「松江城を中心とした城下町のまち並みなどの歴史的景観の保全、文化伝統の継承やこれらを生かした観光、産業の振興」、「その他、魅力あるふるさとづくりに資する事業で市長が指定するもの」があり、寄附者はこれらから応援したい事業を選んで指定できます。
松江市では、ふるさと納税を活用した取組などをわかりやすくまとめた申込書付きパンフレットを道の駅や高速道路のサービスエリアにも常設し、広くふるさと納税を紹介しています。結果、観光客からの寄附が増えています。その背景には、観光資源が豊富であることに加え、市民が自主的にゴミ拾いを続けるなど、まちぐるみのもてなしの心があります。ふるさと納税の申込書にも「ゴミひとつ落ちていない、きれいな松江が好きになりました」「松江を旅しましたが、素敵なまち、素敵な人々でした」といったメッセージが添えられています。
寄附者の方々に対して、松江市では受領証明書とともに季節に応じた観光パンフレットを送付し、四季折々のイベントへの参加を促すなど、まちに訪れてもらうような細やかな対応をしています。

ふるさと納税の寄附金額と件数と実績
年度 件数 寄附金額
平成20年度 82件 6,287,000円
平成21年度 63件 3,391,900円
平成22年度 117件 5,878,394円
平成23年度 112件 7,421,210円
平成24年度 295件 13,632,421円
平成25年度 2,071件 19,646,083円
平成26年度 4,669件 61,805,787円

寄付者の方へ贈られるパンフレットの写真寄附者の方へ受領証明書と一緒に送る観光パンフレット。
季節のイベントの告知など松江に来てもらえるような情報を提供しています。

まち歩きを楽しんでもらうために。
「観光案内誘導板設置事業」「松平直政公銅像の説明板整備事業」

城下町・松江市のシンボルである松江城は、慶長16(1611)年に築城されました。四重五階地下一階付の荘重な天守は全国に現存する12天守の1つで、平成27年7月に国宝に指定されました。
城の北側には緑豊かな散策路・鎮守の森が広がり、松江城山公園内では季節の花が咲きそろいます。内濠(うちぼり)に沿って続く道には、松江ゆかりの作家・小泉八雲(こいずみやくも)の記念館や武家屋敷、松江歴史館など見どころが点在し、電線が地中化された町並みは、城下町の風情を静かに伝えています。
こうした観光スポットをめぐり、快適にまち歩きを楽しんでもらおうと、松江市では松江城周辺に観光案内板を設置し、ここにふるさと納税を充てました。各見どころまでの方向や距離をわかりやすく表示した観光板は、景観に溶け込むような色とデザインになっています。松江城が国宝に指定されて以降、観光客が急増しており、三叉路(さんさろ)などに設置された案内板は便利だと好評です。さらに松江城の観光案内所の近くには、松江城周辺のイラストマップを設置し、初めて松江を訪れた人も見どころやまち歩きのルートがすぐわかるような工夫をしています。

  • 観光案内板の写真観光スポットまでどれくらいの距離で、どちらの方向か、
    必要な情報をシンプルにわかりやすく伝える観光案内板。
  • イラストマップの写真観光バスなども停まる駐車場横、
    松江城大手前入口に設置されたイラストマップ。

この松江城の天守を見上げるように建っているのが松平直政(まつだいらなおまさ)公の銅像です。銅像の説明板とLEDによるライトアップの設置にも、ふるさと納税が充てられました。直政公は幕末まで松江の藩主を務めた松江松平家の初代藩主で、徳川家康の孫にあたります。昭和2年に松江城本丸に銅像が建てられたものの、第2次世界大戦中の金属供出によって撤去され、台座だけが残っていました。
市民からは再建を望む声が根強く、松江開府400年を機に再建が実現。本丸から県庁前庭に場所を移して平成21年に銅像が完成しました。こうした経緯を含む内容を紹介した説明板を歩道に面して設置し、まち歩きを楽しむ人に城下町・松江の歴史のひとこまを伝えています。

松平直政公の銅像の写真初代の銅像を基本に再建された直政公銅像。
台座は初代のものがそのまま使われています。
説明板にはこうした再建の経緯なども紹介されています。

市民の声を反映して歴史的景観を守り、後世に伝える。
「興雲閣保存修理事業」「明々庵への「茶の湯の道」整備事業」

松江市では、市民や企業との対話により連携を図る「共創のまちづくり」を進めており、ふるさと納税を活用した事業にもそのスタンスを反映しています。例えば「興雲閣(こううんかく)保存修理事業」もその1つです。松江城山公園内に建つ「興雲閣」は、明治36年に松江市が工芸品陳列所として建設した建物で、迎賓館としても使われた歴史があります。昭和48年からは「松江郷土館」として利用されていましたが、老朽化などで平成23年に閉館。しかし、美しい彫刻や装飾を誇る市内でも希少な明治建築であることから、松江市は今後の保存と活用について、外部委員会や広く市民からの意見を集めました。結果、明治45年当時の姿に復原すると同時に、新しい活用のための整備を決定しました。

興雲閣の外観写真興雲閣の外観は、保存修理工事前は白でしたが、調査の結果や古い写真・史料から明治時代は淡い緑色だったことが判明し、当時の色に復原されました。

保存修理工事や耐震補強工事が行われ、外観は当時の塗装色である薄い緑色に復原され、平成27年10月3日に一般公開となりました。市民の要望を反映し、1階にはカフェを設置。そのイスとテーブル、さらに建物の歴史を伝える展示パネルにもふるさと納税が充てられました。今後は観光スポットとして紹介すると同時に、イベントなどの開催で広く市民に親しまれる活用がはじまっています。

  • 興雲閣の1階の写真興雲閣の1階は展示スペースになっており、建物の歴史などが紹介されています。
  • 興雲閣の2階の写真1階に設置されたカフェでは、落ち着いた雰囲気の中でお茶や軽食を楽しめます。

市民の声を反映して歴史的景観を保全する事業としては、「明々庵(めいめいあん)への「茶の湯の道」整備事業」もあります。松江城に近い「明々庵」は、茶人としても知られる松江藩7代藩主の松平治郷(不昧(ふまい))公ゆかりの茶室で、島根県指定有形文化財でもあります。明々庵に至る道は松江市景観計画の景観重点区域内にあることから「茶の湯の道」整備事業に着手。平成23年度から3年をかけて側溝の整備を含む道路の美装化と足元灯を設置し、ここにふるさと納税が充てられました。整備にあたっては歩行者の安全性を確保してほしい、夜間は照明が少ないので照明灯を整備してほしいといった地元住民からの要望を反映し、景観保全との両立が図られました。

「茶の湯の道」の写真

整備された明々庵へと続く「茶の湯の道」。道路舗装面は黒のアスファルトではなく、景観を考慮して、グレー系の舗装に白の骨材を混ぜて上品な印象に。

※文献や史料など根拠に基づいて元の状態に再現すること。

観光資源を活用し、新たな魅力づくりに取り組む。
「松江水燈路事業」

全国の神々が出雲に集まる10月は「神無月(かんなづき)」と言われますが、神々を迎える出雲地方では10月を「神在月(かみありづき)」と呼びます。この10月の1か月間、松江市内では週末を中心に松江城周辺をライトアップする光のイベント「松江水燈路(すいとうろ)」を開催しています。
松江城内や内濠に沿って行灯(あんどん)が並び、幻想的な光がまちを包むこのイベントにもふるさと納税が充てられています。宍道湖に沈む夕陽を楽しんだ後、夜はライトアップされたまちを歩くという観光客も多く、10月は市内中心部が一層にぎわいます。また、松江水燈路開催中は松江城周辺でコンサートやライブ、市民のアイデアによるイベントや市民の皆さんによるワークショップなども開かれ、共創のまちづくりを基本とした松江の新しい魅力づくりが行われています。

  • 「松江水燈路」の写真松江城の堀に沿って行灯が並び、幻想的な風景をつくり出す松江水燈路。秋の夕暮れ時のまち歩きが一層楽しくなると人気のイベントです。
  • 遊覧船から眺める「松江水燈路」の写真松江城の堀を航行する小さな遊覧船に乗って、松江水燈路を眺めることもできます。松江水燈路の時期に合わせて行われる夜間運航は、観光客から好評です。
  • 宍道湖周辺の夕日スポット「松江水燈路」が始まるのは午後6時から。それまでは宍道湖周辺の夕日スポットで夕景を楽しむ観光客や市民の方がたくさんいらっしゃいます。日本の夕陽百選にも選ばれた景色です。
  • 松江城天守の写真地元の人や旧藩主らの奔走によって、山陰で唯一保存された松江城天守。松江観光の中心であると同時に、ふるさとを愛する市民の皆さんの心のよりどころでもあります。

取材を振り返って

宍道湖周辺には、ゆっくりと腰をかけて夕焼けを楽しめる夕日スポットがあり、地元の方や観光客の皆さんが集まり、静かにその時を待っていらっしゃいました。目の前には、刻々と沈んでいく太陽と静かな湖面、ただそれだけです。おそらく江戸時代の人たち、それ以前の時代を生きた人たちもこの夕景を眺めていたのではないでしょうか。松江の自然や歴史を大切に守り続けてきた市民の皆さんのふるさとに対する思いが少しわかったように感じました。そして、宍道湖の夕景をはじめとした松江の魅力に触れ、松江を心のふるさとのように感じる観光客の方がたくさんおられることもよくわかりました。心のふるさとへの感謝の思いを、ふるさと納税という形で伝える、旅のスタイルの1つかもしれません。

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