視聴覚障害者等向け放送の普及促進

 視聴覚障害者等が放送を通じて情報を取得し、社会参加をしていく上で、視聴覚障害者等向け放送の普及を進めていくことは重要な課題となっています。
 これまで総務省は、視聴覚障害者等向け放送の普及に向けて、「視聴覚障害者向け番組の放送努力義務化」、「字幕放送・解説放送・手話放送における普及目標の策定、実施状況の公表」、「字幕番組、解説番組、手話番組等の制作促進」を実施し、各放送事業者の自主的な取組を促してきました。

視聴覚障害者向け番組の放送努力義務化

 平成9年、放送法が改正され、テレビジョン放送事業者は、字幕番組・解説番組をできる限り多く設けるようにしなければならないこととする放送努力義務が規定されました。

(放送法抜粋)
国内放送等の放送番組の編集等
第4条第2項
 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けなければならない。

字幕放送・解説放送・手話放送における普及目標の策定、実施状況の公表

(1)字幕放送・解説放送・手話放送における普及目標の策定

  1. 字幕放送普及行政の指針
    •  郵政省(当時)は、平成9年の放送法改正の趣旨を踏まえ、平成9年11月、平成19年度までに新たに放送する字幕付与可能な放送番組のすべてに字幕を付与することを目標とする「字幕放送普及行政の指針」を策定し、平成19年度実績では、字幕付与可能な放送時間に占める字幕放送時間の割合は、NHK(総合)で100%、民放キー5局平均で89.0%となりました。
  2. 視聴覚障害者向け放送普及行政の指針
    •  平成18年10月から「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する研究会」を開催し、同研究会における提言を踏まえ、平成19年10月、字幕付与可能な放送番組の定義を拡大し、新たに解説放送の普及目標を加えた「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を策定しました。同指針においては、字幕放送については平成29年度までに対象の放送番組のすべてに字幕付与、解説放送については平成29年度までに対象の放送番組の10%に解説付与する等の普及目標を定めました。
       平成24年10月には、同指針の見直しを行い、手話放送や大規模災害等緊急時放送についても目標に盛り込みました。
  3. 放送分野における情報アクセシビリティに関する指針
    •  平成29年9月から「視聴覚障害者等向け放送に関する研究会」を開催し、同研究会における提言を踏まえ、平成30年2月、令和9年度までの字幕放送等の普及目標を定めた「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」を策定しました。
       本指針において「技術動向等を踏まえて、5年後を目途に見直しを行う」とされていることから、令和4年11月から「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」を開催し、同研究会における提言を踏まえ、令和5年10月に「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」を改定しました。

(2)実施状況の公表

 視聴覚障害者等向け放送の実施状況のフォローアップを行うために、平成9年度から実態調査を行っており、字幕放送、解説放送及び手話放送の実績を公表しています。

字幕番組、解説番組、手話番組等の制作促進

【助成イメージ】

助成イメージ

 助成イメージ
 国の一般会計からの補助金を原資として、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、字幕番組、解説番組、手話番組の制作等を行う放送事業者等に対し、その制作費の2分の1を上限として助成を実施。

(1)字幕番組、解説放送、手話番組等の制作支援

 本助成制度は、視聴覚障害者等がテレビジョン放送から情報を得るために不可欠な字幕番組、解説番組、手話番組等を制作する者に対し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が制作費の2分の1を上限として実施するものです。
 なお、本助成制度は、平成5年度から「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)」に基づき、通信・放送機構(現NICT)の衛星放送受信対策基金の運用益を原資として字幕番組及び解説番組の制作に対する助成として開始しました。その後、平成9年度に一般会計からの補助金を追加、平成11年度には手話番組を、平成22年度には手話翻訳映像をそれぞれ助成対象に加え、制度を拡充してきました(平成22年度からは、一般会計からの補助金のみで運用)。

(2)生放送番組に対する字幕付与設備の整備支援

 本助成制度は、生放送番組に字幕を付与する設備の整備を行う者に対し、NICTが整備費の2分の1を上限として実施するものです。生放送番組への字幕付与は、多くの人手とコストがかかり、字幕付与設備の普及が進んでいない状況を踏まえ、令和2年度から助成を開始しました。

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