目次へもどる / 1. 全国のICT支援団体を対象としたアンケートの結果 へもどる

2.実証フィールドにおけるヒアリングの結果

Webアンケートによる定量的な評価に加え、すでにICT支援を積極的に実践している3地域(仙台、東京、北九州)を実証フィールドとして選定し、関連機関(仙台市障害者ITサポートセンター、東京都障害者ITサポートセンター、社団法人北九州市障害福祉ボランティア協会)との連携のもとに情報ポータル機能活用のモデルを構築し、その有効性の検証をおこなった。
上記3団体におけるICT支援の状況については、それぞれに以下のような特徴がある。

今回、実証フィールドとして選定した団体では、各団体の中に、スキルの高いコーディネーターとしての支援者が配置されていることで、きちんと他の専門職や組織とのネットワークが作り上げられている。今回の実証事業においては、各団体におけるICT支援のプロセスの中で、ポータルサイトの情報を実際に使いながら、その有用性について検証するとともに、サポート事例ならびにパソコン教室の事例を入力してもらうことで、今後の情報提供の課題を検討することとした。

(1)情報の活用状況と課題・ニーズ

上記から、今回のポータルサイトで提供した情報については、定量評価の結果と同様に、全体的に役立つとの評価であるが、実際にどのように使えるかという点では、まだまだ、細かな点で改善の余地がある。
また、支援者どうしでのノウハウの蓄積に対するニーズは高い。しかしながら、現場の実態に関する詳細な情報については、ホームページ上での情報共有だけでは充分ではないため、セミナーなどの情報交換の場を組み合わせるとともに、客観的、専門的観点からの考え方も示す必要がある。

(2)事例情報の提供について

今回は、サポート事例とパソコン教室の事例に限って、入力フォーマットを用意し、各団体からの情報提供を依頼した。以下、情報提供の過程で寄せられたコメントである。 各団体からの事例情報に関しては、個人情報に触れない形に一般化することができれば、提供可能であることがわかった。今後は、より、細かなレベル(たとえば、障害を受けた時期や年齢の入力方法の変更)で情報を入力しやすい環境を整備すれば、ノウハウの蓄積が可能である。
ただし、提供された事例情報の内容が妥当なものであるかどうか、また、ここにあげられた事例のみで対応することの危険さ、ホームページ上では表現しにくい情報などをどうフォローするのかが問題である。前項にもあげたように、支援者どうしでの情報交換や、ケーススタディによるスキルアップを図る場を作り、情報を活用する能力を向上させる必要がある。
目次に戻る / このページのトップにもどる / 3. 障害者支援の専門家(作業療法士)の視点からみた提案に進む