5 通信の秘密、個人情報保護
 5−1  携帯電話などは誰かに盗聴されたりする心配はないのですか。
 5−2  電話料金の請求が届いたのですが、思っていたよりはるかに高額になっていました。本当に利用したかどうか確認したいのですが、電話会社に言えば通話明細を教えてもらえますか。(1−2−1)
 5−3  未成年の子の携帯電話の通話明細が見たいのですが、携帯電話会社に請求することはできますか。
 5−4  「通信の秘密の保護」に関する法律と「通信の秘密」として保護される範囲について教えてください。
 5−5  インターネット上の通信も「通信の秘密」として保護されるのですか。
 5−6  私の会社では、社員が送受信したメールを上司がチェックしているようです。こういうことは許されるのですか。また、家族のメールを勝手にのぞき見るのはいけないことなのでしょうか。
 5−7  電話サービスやインターネットサービスの申し込みの際に教えた個人情報が悪用されるなどの心配はないのでしょうか。
 5−8  自分の電話番号を相手に通知する(しない)ようにできるのですか。(1−3−2)
 5−9  電話帳に自分の電話番号を掲載する(しない)ようにするには、どのような手続きを行えばよいのでしょうか。(1−3−5)
 5−10  「104」の電話番号案内で自分の電話番号を案内する(しない)ようにしてもらうには、どのような手続きを行えばよいのでしょうか。(1−3−6)
 5−11  携帯電話の通話料を滞納していたら強制解約されてしまいました。その後、別の携帯電話会社に携帯電話の契約を申し込んだところ、断られてしまいましたがどうしてでしょうか。(3−1−8)
 5−12  インターネットの電子掲示板に、自分の住所・氏名・電話番号等の個人情報が無断で掲載された場合には、どのように対処したらよいのでしょうか。(4−7−2)
 5−13  インターネットの電子掲示板に、自分の住所・氏名・電話番号等の個人情報が無断で掲載されたので、掲載した発信者本人を突き止めて損害賠償の請求をしたいと思っています。この場合、電子掲示板の開設者に言えば、発信者本人が誰か教えてもらえますか。(4−7−5)
 5−14  他人の無線LANアクセスポイントから勝手にインターネットにアクセスすることは問題があるのですか。
 5−15  クッキーとは何ですか。クッキーを受け取らないようにすることは可能ですか。





5−1  携帯電話は誰かに盗聴されたりする心配はないのですか。

 携帯電話の通話を盗聴するということは技術的に非常に困難で、ほとんど不可能です。しかしながら、電波を利用して通信を行っているため、盗聴されている可能性は絶対にないとはいえません。

 法律的には、携帯電話の通話内容を盗聴することは、その通話が携帯電話会社など電気通信事業者の取扱中に係る通話であり、原則として違法な行為です。具体的には、電気通信事業者の取扱中に係る通話の場合には、その通話の内容を盗聴する行為は電気通信事業法第4条に違反します。

 電気通信事業者の取扱中に係らない通話の場合であって、企業内の有線LANなどの通話の内容を盗聴する場合には有線電気通信法第9条に、企業内の無線LANなどの通話の内容を盗聴する場合には、その通話の内容を聞くだけならば電波法に違反するとは言い切れませんが、その内容を漏らしたりすると電波法第59条に違反し、それぞれ違法な行為として処罰の対象となります。

 この他、盗聴のために他人のパスワードをつかって無線LAN等のネットワークに侵入するような不正アクセス行為をした場合には、不正アクセス禁止法違反となります。





5−3  未成年の子の携帯電話の通話明細を見たいのですが、携帯電話会社に請求することはできますか。

 個別の通話が記録されている通話明細は、通信の秘密として、厳格に保護されているものであり、基本的に契約者本人のみが通話明細を閲覧することができます。

 このため、携帯電話会社は、契約者に代わって通話料金を支払っている者や身内の者などが、通話明細を閲覧したいとの申入れがあっても、契約者から委任を受けた場合であるとか、緊急性が認められる特殊な場合を除いて、契約者の通話明細を閲覧させることはできないこととされています。

 したがって、親が契約者である未成年の子の携帯電話の請求金額が多すぎるので通話明細を閲覧したいという場合であっても、単に親であるというだけで通話明細が閲覧できるとは限らないことに注意すべきです。各事業者によって扱いは異なりますが、一般的には、契約者である未成年者からの委任状に加え、親の公的証明書(運転免許書など)、子の公的証明書(パスポートなど)を揃えて、携帯電話会社に請求すれば閲覧できる場合が多いようです。





5−4  「通信の秘密の保護」に関する法律と「通信の秘密」として保護される範囲について教えてください。

 誰にも通信の内容や通信の存在、相手方といった事実を知られずに秘密のうちに通信を行うことができることは、個人の私生活の自由を保障する上でも、自由なコミュニケーションの手段を保障する上でも大変重要なことです。

 こういったことから、憲法第21条第2項においては、通信の秘密を個人として生きていく上で必要不可欠な権利として保障しているものです。この趣旨を受けて、電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密については電気通信事業法第4条、第104条により、有線電気通信における通信の秘密は有線電気通信法第9条、第14条により、無線通信における通信の秘密は、電波法第59条、第109条によりそれぞれ罰則をもって保護されています。

 このように通信の秘密が保障されなければならない理由には、通信の内容だけでなくその存在の秘密が確保されることも含まれるものですから、上記の各法律の保護の及ぶ範囲は、通信内容だけでなく、通信当事者の住所、氏名、通信日時、発信場所等通信の構成要素や通信の存在の事実の有無を当然に含むものです。

 電気通信事業法では、電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密を侵すことを禁じているのですが、ここで禁止行為とされている「秘密を侵す」とは、上に述べた通信の秘密の保障が及ぶ事項の秘密を侵す行為、すなわち、通信当事者以外の第三者がこれらの事実をことさら知ったり、自己又は他人のために利用したり、第三者に漏えいすることをすべて含むものです。正当な理由なくこれらの行為を行うと刑事罰に処せられることになります。

 電気通信事業者の取り扱うプライバシー情報の中には、上記の「通信の秘密」に該当しない情報も含まれていますが、これらの通信の秘密以外のプライバシー情報の取扱いについては、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成1012月郵政省告示第570号)において定められています。
 http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/s-jyoho.html





5−5  インターネット上の通信も「通信の秘密」として保護されるのですか。

 インターネットを利用して行われる通信であっても、インターネット接続事業者のサービスを利用して行われるような場合には、電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密に該当し、電気通信事業法に定める保護が与えられることになります。それ以外の場合であっても、必要に応じて有線電気通信法、電波法等の保護が与えられることになります。

 ただし、インターネットの場合、接続機器の設定や事業者のサービスによっては、プライバシー保護が万全とは言い難い場合もあるようですので、注意することが必要です。





5−6  私の会社では、社員が送受信したメールを上司がチェックしているようです。こういうことは許されるのですか。また、家族のメールを勝手にのぞき見るのはいけないことなのでしょうか。

 会社内のネットワークにおいては、電気通信事業法上の通信の秘密の保護が及ぶものではなく、有線電気通信法の適用の有無が問題とされるに過ぎません。そこで、適切なプライバシーポリシーを設けてそれに従った運用がなされている限りにおいては、「通信の秘密」の関係での問題は生じないと考えられます。

 もっとも、このような会社におけるメールチェックについては、従業員のプライバシー保護との関係で議論されているようですので、その観点からの配慮は必要でしょう。

 家族のメールを同意を得ないままにのぞき見る行為は、既に端末にダウンロードされているものをのぞき見る場合には、単に民事上の不法行為の問題しか生じませんが、他人のID・パスワードを入力するなどして、未だダウンロードされていないメールをインターネット接続事業者のメールサーバからダウンロードしてきて読む場合には、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」が禁止する不正アクセス行為に該当するおそれが高いといえますし、場合によっては、電気通信事業法に定める通信の秘密侵害罪に問われるおそれがあります。





5−7  電話サービスやインターネット接続サービスの申込みの際に教えた個人情報が悪用されるなどの心配はないのでしょうか。

 電話サービスやインターネット接続サービスを提供している電気通信事業者は、契約者の個人情報を適切に取扱い、契約者の権利利益を保護することが、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成1012月郵政省告示第570号)で求められています。
 http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/s-jyoho.html


 電気通信事業者による個人情報の利用は、業務に必要な範囲内で利用し、その提供は、法令に基づき提供しなければならない場合、又は本人の同意がある場合に、その情報を第三者に提供することが認められています。

 しかし、最近では、ホームページやメールで、アンケートやプレゼントと称して、メールアドレス、氏名、住所などの個人情報を収集している業者もいますので、何でも気軽に応募するのではなく、慎重に対応することが大切です。





5−14  他人の無線LANアクセスポイントから勝手にインターネットにアクセスすることは問題があるのですか。

 他人の無線LANアクセスポイントから勝手にインターネットにアクセスすることがアクセス制御機能の侵害に当たるような場合には、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」第3条の違反になります。

 また、勝手に他人の無線LANアクセスポイントにアクセスし、無線LAN上を流れているデータを知得し、その内容などを漏らしたり窃用したりした場合は、電波法第59条違反になる場合もあります。

 さらに、以上の刑事上の責任の他、他人の無線LANアクセスポイントから勝手にインターネットにアクセスした場合、場合によっては不法行為等の民事上の責任も発生する余地があります。





5−15  クッキーとは何ですか。クッキーを受け取らないようにすることは可能ですか。

 クッキーとは、ホームページを置いているサーバコンピュータが送信した情報をインターネットの利用者のパソコンに保存させ、その利用者が次に同じホームページにアクセスした時に自動的に保存された情報をサーバに送信するシステムのことをいいます。

 このシステムの機能は、利用者の情報に固有の番号を振り、利用者が入力した情報の一部をサーバに覚えさせておくことで、その利用者が次回にそのホームページにアクセスした時にその情報を利用して、入力すべき情報を省かせたりします。利用者がこの機能を正しく認識して使用すれば便利なものですが、ホームページの中には、利用者のパスワードなど必要以上の情報を保存させる場合があり、他人が利用者のパスワードを読むことも技術的に不可能ではありません。

 ただし、利用者は、自分のパソコン上のブラウザの設定で、ある程度クッキーの受け入れを制限することができます。例えば、ブラウザの一つであるインターネットエクスプローラー6.0では、ウェブサイトのプライバシーポリシーに応じて、クッキーを受け入れたり拒否したりする制御が可能になっています。

 このクッキー受け入れ制限の設定方法は、ブラウザやそのバージョンにより異なります。(クッキーに関する設定方法は、使っているブラウザの「ヘルプ」メニューで確認してください)
 また、クッキーを拒否することで、安全なウェブサイトでも制限がかかってしまいサービス利用に支障が生じる可能性もありますので注意してください。


  (参考:クッキーの受け入れ制限方法(インターネットエクスプローラー6.0の場合))

 メニューバーの[ツール(T)]より[インターネットオプション(O)]を選択します。
 インターネットオプションウインドウの[プライバシー]タブをクリックします。
 左側のつまみを上下する事でクッキーの受け入れを制御します。
通常は「中」になっています。