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2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」
(第11回会合)議事要旨



  1.  日時
     平成19年3月20日(火) 1000分〜1200

  2.  場所
     総務省第1特別会議室(8階)

  3.  出席者
    (1)  構成員(五十音順、敬称略)
     石橋庸敏、音好宏、小池不二男、後藤滋樹、清水俊彦、多賀谷一照、竹岡哲朗、中村正孝、藤咲友宏、藤本勇治、森忠久、山下東子
    (2)  総務省
     中田大臣官房審議官、吉田放送政策課長、藤島地域放送課長、本間地域放送課技術企画官、井上地域放送課課長補佐
    (3)  説明者(株式会社野村総合研究所)
     北林主任コンサルタント

  4.  議事内容
    (1)  開会
    (2)  「2010年代におけるケーブルテレビを取り巻く市場動向」調査研究報告
    (3)  報告書素案に関するディスカッション
    (4)  閉会

  5.  主な議論
     2010年代におけるケーブルテレビを取り巻く市場動向調査研究報告(資料11-1)について株式会社野村総合研究所から、及び報告書素案(資料11-2)について事務局から説明がなされた後、それぞれについて以下のような質疑応答が行われた。

(1)  「2010年代におけるケーブルテレビを取り巻く市場動向」調査研究報告

 資料中の「トリプルプレイ」はケーブルテレビ事業者が行うものだけでなく、通信事業者が行うものも含むのか。
 「トリプルプレイ」の定義としては、提供主体がどうであれ3種のサービスがセットで提供されるものとの前提を置いており、通信事業者の行なうものも含まれる。ただし、本調査では、通信事業者提供分の市場規模は算出していない。

 「非多チャンネルIP放送」は、どのようなものか。
 FTTHのネットワーク上で、地上波放送をIP方式により再送信するものを指す。

 ケーブルテレビが成長していくためにはトリプルプレイがないとダメなのか。
 トリプルプレイの需要上昇が、ケーブルテレビ業界の成長の要因になっていると考えられる。ただし、消費者アンケートの回答ではトリプルプレイに対する価格感度が低く表れており、需要喚起のためには割安感を出すことが必要と考えられる。

 ケーブルテレビの加入者数があまり増えないという悪いシナリオでも3,000万世帯になっており、十分に伸びていると思われるが、今後の人口の減少や景気の影響、ケーブルテレビの料金という要素については、どのように考慮されているのか。
 世帯ベースで考えており、世帯数はトレンドとして伸びている。景気については、現状の延長線上で考えている。また、価格については、非多チャンネル放送を無料として仮定しており、これについて月額の課金がされれば、加入世帯は予測より下がると考えられる。

 世帯数の母数が増加することから、加入者が減ることはないということか。
 世帯数の母数の増加だけでなく、消費者アンケートから既存契約を維持する傾向も見られ、ホームパスの増加傾向のトレンドも考慮すると、加入者が増加すると考えられる。

 無線利用の動向については、どのように考慮しているのか。
 要因の選定の際にいただいた各構成員からの回答の中で上位に位置付けているものもあったが、全体として、上位にならなかったことから、本シナリオでは考慮していない。

 このシナリオは、MSO型ケーブルテレビと自治体型ケーブルテレビに同じようには当てはまらないのではないか。
 大雑把な分類ではあるが、トリプルプレイの動向はMSO型に、地デジの再送信の動向は自治体型にそれぞれ影響するものであり、これらを複合したシナリオを作成することで、ケーブルテレビの全体を考慮できるものと考える。

(2)  「2010年代におけるケーブルテレビの在り方に関する研究会」報告書素案

 P90において「施設区域の基準の見直し」について触れられているが、有線役務利用放送事業者に区域全体への整備義務が課せられていないからといって、有線テレビジョン放送事業者についても義務を緩和することになれば、公共性という観点から問題があると思う。また、クリームスキミングは好ましくないので、そのようなバランスを取りながら併せて検討していくべき。

 クリームスキミングについては、ハード面とソフト面の観点があると思う。ハード面でいうと、FTTH(通信)は都市部から参入し、都市部での競争に負けたケーブルテレビには経営的に苦しい過疎地域しか残らないということになる。また、ソフト面では、放送サービスの競合もあるので、クリームスキミングの記述については、レイヤを明確にして記述できないか。

 第4章の最後(P100〜)に公共的役割について記述されているが、これは、ケーブルテレビ全体でなく、有線テレビジョン放送事業者を想定しているのではないか。
 また、公共的役割については「課題」ではなく、「あるべき姿」として第3章に記載すべきではないか。

 公共的役割には、PAC(パブリックアクセスチャンネル)についても記載すべきではないか。ケーブルテレビ事業者が公共的役割を担う上で、PACも重要であり、導入を検討すべき。

 PACについては、議論を進めているケーブルテレビ事業者もあれば、そうでない者もいる。公共の観点だけでなく、ケーブルテレビ事業者がPACについてどう取り組んでいくのか併せて議論する必要があると思う。
 政策提言でも、米国の動向を調査するという形でとどめているのは、この報告書をきっかけとして、関係者が検討することを期待しているということだろう。
 中海テレビ放送の取組についても触れており、このままでよいと思う。

 PACを日本で議論する場合、通信・放送の融合的なサービスとして利用することも考えられる。

 P107の用語解説のうち、「IPマルチキャスト」は、「インターネット等のIPネットワーク上において、複数の相手に一斉に同じデータ送信を行うIP技術のこと」ぐらいの説明が適当だと思う。

 第2章には、調査研究報告のまとめだけを取り込んでいるが、前提に大きく依存している結論となっている。予測においてどのような点を考慮して、どのような点を加味していないか、明確にしておいてほしい。

 「マスメディア集中排除原則の見直し」について、従来の議論にのっとった形で、ソフトとハードが一致している従来の前提での記述となっている。EUの新しいディレクティブを見ると、放送事業の概念というのは、放送コンテンツがどういうルートを通るか問わず、リニア(生放送)−ノンリニア(オンデマンド)で区別している。
 このような状況を踏まえ、放送の概念が相対化する可能性についても記載しておいてほしい。

 地方公共団体とケーブルテレビの関係についてのネグレクトな書き方がなされている。これから、地方公共団体は財政も苦しくなり、人口も減少し、体力がなくなってくる。そうなれば、ケーブルテレビも維持されなくなる。地方公共団体や地元住民からの支えが必要であり、公的機関の介入の原則禁止を強調するのは如何なものか。地方公共団体からの出資があったとしても、ケーブルテレビ事業者と地方公共団体との関係を透明にできるような体制を整えるとしたほうがよいのではないか。また、放送番組審議会に地域住民が参加してチェックする旨を加えてはどうか。

 P75のネットワークDVRについて、サーバー型サービスの見逃し番組と似ており、その境界となるサービスとなる。課題などについて考えてみたい。また、日本でも同じようなサービスを行う場合に米国と同様に著作権法上問題が発生するかどうか、NHKでも検討をしていきたいと思っているところ。

 ネットワークDVRについて、構わずどんどんやっていこうというということではなく、権利者等関係者と多くの検討をする必要があることは十分に認識している。

 ケーブルテレビでは視聴者がどのような視聴の行動をとったかのログが分かるのであれば、見逃し視聴サービスの権利者との交渉において有利になるのではないか。

 個人情報保護の関係では、ケーブルテレビでは、地上波放送とは異なり、視聴者の受信の行動が分かる。このため、ケーブルテレビについては、特に注意すべきことを記述しておいてほしい。

 第2章の調査研究のまとめだが、加入率に直すと、悪くても60%、良いと80%以上にまで達する。この加入率を提示すると数字が一人歩きしそうなので、やめたほうがいいだろう。また、予測の前提となるシナリオ等条件について明確にしておくべき。

 ここでいう「公共的な役割」とは、放送の公共性とは異なるものなのか。ケーブルテレビの「公共」とは、「地域密着」なのではないかと思う。

 国産技術の世界展開ということだが、インターネット等の技術と比べて、ケーブルテレビ関連技術は、仮に他国が追随しなくても失うものはないと思う。
 これまでは、アメリカに追随することによってメリットがあったが、アメリカの技術から離れる覚悟を表明するということではないか。

 ケーブルテレビの「公共性」とは、マンションに例えて言うなら、室内というプライベートな「私」と建物外の道路等不特定多数が利用する「公」の間にある、住人の共同空間の「共」という場所に近いのではないか。すなわち、ケーブルテレビの公共的役割とは、「公」と「私」の間を埋める、地域住民が共同して利用する「共」の部分ではないかと考えられる。

 ケーブルテレビの公共性については、インフラ面、コンテンツ・アプリケーション面、マネジメント面の3つのレイヤごとについても、考えていく必要があるのではないか。

 P87のグラフを見ると、ケーブルテレビは地域の独占性が強く競争状態がないように表現されているが、これはRF方式を使った事業者間の競争だけしか見ていない。「地域密着」性を担うコミチャンは、その維持に膨大なコストを要するので、これを提供する義務を担うケーブルテレビ事業者は、コスト的に競争力が高いとは言えず、IPマルチキャスト放送事業者等との競争を加速させれば、ケーブルテレビの存続に関わる問題になる。
 ケーブルテレビの存続・公共性の維持の観点からも、整理することが大事である。

 ハード面での独占性は記述されているが、サービス面での独占性の有無については触れていない。ただし、インフラ面では、FTTH(通信)と競争することになるのだから、完全な地域独占ではないことについても触れておくべき。

(以上)


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