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地上デジタルになった場合のローカルの広告マーケットの将来をどのように予測しているか。また、広告の時間枠のセールスについて、ローカル局が独自に取引をしていく余地が現実的にどの程度あるのか、あるいは今後どのようになっていくと思われるか。 |
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ローカルの広告マーケットの市場価値が急速に拡大するということは残念ながら考えられない。ローカルエリアの市場の活性化のため、広告会社が広告主に、ローカルエリアに関するエリアマーケティングの必要性を積極的に働きかけることが必要。
ローカルセールスで申し上げると、よりコストのかからない番組開発を多チャンネル編成の中でやっていくというのが、私が個人的に持っている考え方。
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地上デジタルの普及に伴い、BSと地上のデジタルのマーケットが仮に2つの違ったマーケットとして生きていくという可能性があるとした場合に、その計り方はどう考えればいいのか。 |
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編成がBSデジタルと地上波では多少異なっているところに企業がどういう価値を見いだしていくかであると思うが、基本的には接触、すなわち視聴率が基準になっていくのは変わらないと思っている。
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資料中の「地上波は視聴率、BSは視聴質」というのは、どういう証拠に基づいてこのように言えるのか。 |
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直感の部分が大きい。お得意様と提供する番組のブランドイメージが合わないケースも結構あり、その部分をBSが担うというのは、裏付けを探せば見いだせると思う。 |
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そういうことを促進するための処方箋のひとつとして、地上波とBSの総合編成が挙げられている。一方でBSの経営主体がもっと違った方がいいのではないかという意見もあるが、これが唯一の処方箋とお考えか。 |
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BSデジタル放送の普及が1000万世帯くらいになると、広告主も注目してくると思う。そうなると、地上波キー局の主導だからこそ、その編成的棲み分けが切実なものと考えられる訳で、これが新規参入事業者ということになると、目標としては地上波を凌駕するというところに経営方針を置かざるを得ないのではないか。 |
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テレビ番組の制作能力で言うと、日本ではキー局が圧倒的な力を持っている。キー局の制作能力の高さをもっと生かした方が、コスト的にもメリットがあるのではないか。
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デジタル情報の環境というのはもっと詳細なマーケットの把握に貢献できるのではないかと考えるが、広告主、広告、あるいは今の民放のビジネスモデルにおいて、将来像に大きく期待をするような部分があるか。 |
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デジタル放送が普及し、かなり当たり前のものになったときに例えば視聴者情報等の把握が可能になるのは確かであろうし、少なくとも広告主からはそういう要望が高まると思う。 |
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デジタル化になればいわゆるターゲットにぴたりと当てるような広告も現実には可能になっていくと思う。ただ、それだけではない面もあり、広告会社にとってはデータのコストもかさみ、システムも作らなくてはならないため、なかなか大変というふうに受け止めている。 |
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蓄積型の放送サービスに関連して、地上波で放送されている部分とは別に例えば個人個人でCMを差し替えるという研究は徐々に始めている。
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本日ご説明のあった1セグメント放送、携帯電話を使っての地上デジタル放送の利用意向調査結果は、きちっとしたモノを見れば、利用意向は大きく違うのではないか。
2点目に、タイムシフト視聴を重視していくようでないと、視聴率から重要なファクターが落ちることになるのではないか。
3点目に、ヨーロッパで見たNHKの放送にコマーシャルが出てきたが、あれは日本の国内でできないことをヨーロッパでやっているのか。
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3点目はたぶんNHKの海外番組販売であり、それに海外の民放がコマーシャルを入れているということではないか。
最初の携帯については、同感。実態をしっかり認知していない回答になっているのであろうと思う。
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携帯について実際に見せながら調査をやったことがあり、かなり視聴意向は高かった。また、言葉では視聴意向が計れない。
タイムシフト視聴について、日本の場合どうするかはこれから議論しなくてはいけない。民放連、広告主協会、広告業等で問題意識を持って協議を始めている。
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視聴質のデータに関して、どういう新しい調査手法やデータがあるのか。 |
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視聴質といっても色々な捉え方があり、一般的には番組のクオリティと捉えられがちであるが、見られ方の捉え方もある。デジタル時代といえども視聴質の計測というのを客観的な尺度として作っていくのは非常に困難なことだと思っている。 |
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新しい質的な調査データを整備するための調査手法が開発の途上にあるということではないのか。 |
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開発の途上にある。我々の重要な研究テーマではある。 |