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(1)開会
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塩野座長 それでは、ただいまから、デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会第9回会合を開催いたします。
本日は、小塚、新美、羽鳥、舟田、各構成員が欠席というふうに伺っておりますが、そのほかの方は大体おいでになっていると思います。
今日は、前回会合で私からご提案というか、お願いをしたところでございます。我々として、デジタル化に向けて経営の方の大変さだとか、それから、技術的にはこうだとか、そういった話はいろいろ伺っているところなのでございますけれども、番組を作っておられる方にとってデジタル化とは一体何だろうか、そういった点について何の情報も得ずに政策論を語るのもいかがなものか。私ども、何もその番組の内容についてどうこうということではございませんけれども、デジタル化、デジタル化といって、どういうことが番組制作の方では問題になっているかということをお伺いしておいた方が、やはり研究会の審議に深みを持たせるために必要ではないかということで、今日、地上デジタル放送に一生懸命取り組んでおられる方、たくさんおられるわけですけれども、その中から、時間の関係もございまして、お二人にお声をかけ、ご出席賜ったということでございまして、我々のお願いについてご了解いただきました、お二方、どうもありがとうございました。
その後で、前回会合において提案させていただきましたワーキンググループにつきまして、その構成などの点について具体的にご披露して、これでいいかどうか、ご相談させていただきたいと思います。
それでは、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
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安藤放送政策課長 それでは、お手元の資料、クリップを外していただければと思います。議事次第に引き続きまして、資料1といたしまして、「"県民とともに歩む放送局"をめざして」、NHK水戸放送局、涌井様の発表資料でございます。続きまして、資料2でございます。北日本放送株式会社の土肥様の説明資料、縦紙のものでございます。それから、その後に資料3でございます。「ワーキンググループの設置について(案)」というものでございます。それが別紙4までの5枚ものでございます。そのほか、参考資料といたしまして、前回、第8回会合提出資料ということで、「今後の検討の進め方について(案)」という横紙1枚もの。それから、第6回会合、第7回会合の議事録ということでございます。配付資料は以上でございます。
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(2)議題
1) デジタル化への取組みと課題(関係者ヒアリング) |
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塩野座長 では、最初に、地上デジタル放送を開始されている地域において番組制作に取り組んでおられる方から、先ほど申しましたように、デジタル化への取組みと課題についてのお話をお聞かせいただければというふうに思います。
まず、日本放送協会水戸放送局放送部副部長の涌井良介様から、NHKの地域の放送局の取組みについて、ご発表をよろしくお願いいたします。
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涌井日本放送協会水戸放送局放送部副部長 NHK水戸放送局で番組制作の統括をしております涌井と申します。本来でしたら、放送番組を実際に見ていただく、あるいは番組制作の様子を実際に見ていただくというのが、一番、皆さんのご参考になるのではないかというふうに思うのですが、今日はこちらの場でということで、幾つか写真の資料なども用意しましたので、その辺を交えながら、我々のやっている放送をご紹介したいというふうに思っています。よろしくお願いします。
NHK水戸放送局の場合には、全国で唯一、県域の放送局、テレビ局がなかったというふうな茨城県の特殊な事情もありまして、デジタル、アナログということ関係なく、まず地域密着型の放送というふうなことを目指しております。その上で、デジタルの高画質であるとか、それから、双方向性みたいなものを生かした形での地域サービスに取り組んでおります。ということで、我々局内では、どういう放送局を目指すかということになりますと、「県民とともに歩む放送局」というふうなことをコンセプトとして掲げております。
それで、番組をやっていく上で我々がどういうことを考えているかと申し上げますと、一つは、アナログ、デジタル関係なく、地域に密着した放送サービスということを念頭に置いております。その中では、ニュースとか気象情報は、かなりデジタルということで細かくできるようになりました。それから、いろいろとイベントとかスポーツ番組なんかをやるに当たりましても、ハイビジョンということで、これまた、これまでの制作手法とはちょっと違う形でいろいろ番組をやることができるようになっております。それから、これは非常にアナログ的なんですが、茨城県民の皆さんが主役ということで、いろいろな形で番組に出てもらう、参加してもらう、というふうなことで番組制作を行っております。
それで、デジタルと言われるとすぐピンときそうな新技術ということですが、ハイビジョン放送、それから光ファイバーを使ってハイビジョンでの中継なども行っております。それから、データ放送を併せて行っておりますので、データ放送では細かい地域情報をいろんなジャンルにわたって放送しております。
さらに、マルチ編成ということで、どうしても全国放送の番組なんかとかぶる時間帯がありまして、スポーツイベント物なんかにつきましては、マルチ編成を使っております。
それから、最近のことですけれども、NHKデータオンラインというのが始まりましたが、併せてデータ放送を通じて、データ放送のテレビ画面で全国各地のNHKが出しているニュースや情報などに触れることが最近では可能になりました。
水戸放送局の主な番組をご紹介します。これが基本の1週間の番組編成です。NHKや民放含めて、基本的な番組編成のフォーマットではないかと思いますが、朝のニュースから始まりまして、午前中は、水戸の場合は、11時半から12時前まで、毎日、生活情報とニュースや気象情報等をやる番組を放送しております。それから昼のニュースがあって、夕方につきましては、ローカル番組の時間帯を2時間とっております。厳密には、5時10分から7時前までなのですが、その中で茨城県向けのニュース、生活情報、あわせて関東向けのニュースなんかも盛り込みながら、2時間番組を毎日放送しております。夜の時間帯につきましては、NHK、8時45分から9時がローカル放送の時間ですが、この15分間で一日のニュースをまとめてまた伝えております。
デイリー番組につきましては、週末、土日、それからお昼、夜と、それぞれニュースや気象情報を出していますのに加えて、ちょっと色を変えてありますけれども、茨城県向けの番組ということで、ルポルタージュの番組ですけれども、月に1回、「特報茨城」という番組を放送したり、随時ですが、県域のスペシャル番組というものをやっております。さらに、スポーツというものにも結構力を入れておりまして、茨城はサッカーが盛んな地域でありまして、J1とJ2と、それぞれ1チームあります。そういうことで、J1の試合、それから、J2がローカル放送では中心になるんですが、そういう中継なんかもかなりボリュームたっぷりとやろうとしております。
これがNHK水戸放送局のスタジオです。それで、先ほど、公開というふうに申し上げましたが、デジタル、アナログ、これは関係ないことだと思うのですが、完全に一般の視聴者の方が番組を放送している時間帯にどんどん入ってきて自由に見られる、というふうな形をデイリーの番組のコンセプトにしております。
これは、向こうのフロアの方でいろいろとスポーツの何かを紹介しているところですけれども、キャスター自身が客席の方にどんどん入り込んでいって、視聴者の方の話を聞いたり、時には逆に、我々はフロアと呼んでおりますが、スタジオのメーンの方に視聴者の方に入ってきてもらって番組をするというふうな視聴者参加型の番組があるんですけれども、いろいろあると思いますが、デイリーの番組でこれだけ視聴者参加を前面に出しているということは、そんなに多くないのではないかなというふうに思っております。ここのスタジオからは、ニュース、気象情報含めて、すべて公開でやっております。
こちらが午前中の番組の時間帯ですが、こうした公開スタジオができたということで、地元の小学生なんかが、社会見学というのが5年生のカリキュラムであるんですけれども、そういう小学生たちが毎日、入れかわり立ちかわり番組参加に来てくれたり、あるいは地域のいろんな団体の人が番組に参加してくれるというふうな日々が続いております。
これが水戸放送局の副調整室です。水戸局につきましては、アナログを持っておりませんので、フルデジタル、デジタルのみというふうな放送でやっておりますので、画角なんかにつきましても、通常のサイマルですと、16対9だけではなくて、4対3ということを考えて制作しなければなりませんが、我々の場合は、首都圏向け、それから全国向けに出す番組以外、茨城県向けにつきましては16対9のフルサイズで、全部、番組を制作しております。
続きまして、毎日、放送しております主なスタジオ番組の内容について、ちょっとご紹介したいと思います。スタジオを使っている番組というのは、ここに書いてありますように、午前中、11時半から11時54分、それから夕方が5時10分から6時59分まで、この2つの時間帯が月曜日から金曜日までのデイリー番組です。ニュースはそれ以外にもございますが。それで、大体こういうふうなラインナップになっております。天気カメラのリレーをやったり、ニュースをやったり、それからあとはスタジオの視聴者に参加してもらう形で、お昼前の情報番組なんかの割と普通のパターンだと思うんですけれども、主婦とか高齢者の方なんかに関心のあるネタを日がわりで、曜日で決めていて放送しております。大体15分から20分ぐらいのサイズのこういった企画コーナーをやっております。
それで、毎日の企画のコーナーのところで、一つ、デジタルで申し上げたいのは、木曜日のところに「とことん健康」というふうなコーナーがありますが、こちらは、番組連動型のデータ放送を使った演出になっております。今、ここに画面を持ってこられなかったのですが、画面上、5つとか10ぐらいの項目のそれぞれ健康に対する質問が出るんですね。例えば高血圧みたいなものがテーマだったら、塩辛いものをよく食べるとか、生活が不規則であるとか、よくある健康のチェックなんですけれども、その健康をチェックする質問にリモコンでマークをつけていって、最後に例の4色ボタン、データ決定ボタンを押すと、それぞれのケースについての健康診断の答えが出てくるというふうなものをやっております。
完全なる双方向ではないのですが、テレビの番組の中ではそういったものを使いながら、皆さんも一緒にチェックしましょう、というふうな形で番組を進行していきまして、デジタルをごらんの方で、ちょっと一緒にやってみたいなという方は、ご自宅でリモコンを使いながら、自分で健康のチェックをしながら番組を見るというふうな、疑似双方向といいますか、ただ、新しいデジタル時代ならではの番組のコンテンツではないかというふうに思っております。
それからもう一つ、デジタルということでいきますと、「まちむら発!情報スタジオ」というふうなコーナーを毎日やっております。直接放送のデジタルということはそんなに関係ないのかもしれませんが、茨城県内には県が持っておりますブロードバンドのネットワークがありまして、そこを借りることで、そこを経由することで、茨城県内の各地のいろんな自治体のスタジオに仮設のカメラをローテーションを組むような形で置いて、そこから県庁の人とか、あるいは何とか祭りの実行委員長の人とか、そういう人たちが生で番組に出て情報を伝えるというふうなコーナーです。どういうことをやっているかといいますと、具体的に写真をごらんいただきたいと思います。
こういうコーナーでして、これは、何ということはない、おもしろくない画面なのかもしれませんけれども、自治体の人とイベントの関係者が出てきてしゃべってくれるというふうなことで、ここまで見ると実は普通なんですけれども、この舞台裏がどういうふうになっているかと申し上げますと、こういうふうな、出先に無人のカメラが1台置いてあるんです。ここでカンニングペーパーを出している人は自治体の職員の方、自分たちの出したいお祭り情報みたいなものを伝えるために、いわゆるフロアディレクターの役割を買って出ていらっしゃるところですが、この無人カメラに向かって生で番組に出演してもらっています。
これは、向かって右側の人が実際に番組に出てしゃべる役割の人ですね。もちろん、プロの人では全くありません。で、向かって左側にあります、一番上に載っているのが無人のカメラです。その下にトランクのようなものが見えますけれども、これがハイビジョンのエンコーダーになっています。
それで、もうちょっと、どういう箱と申し上げますと、これですね。丸いレンズがついているのが無人カメラです。その下に、放送ですから、自分が映っていることを当然モニターする必要もあるわけでして、小さいモニターがおさまっていて、その下にはハイビジョンのエンコーダーが入っていまして、これを光ファイバーにつないで水戸放送局の方まで生中継の信号を送ってもらって、それで番組を出すというふうなことをやっております。デジタル放送という、ブロードキャストということには、このコーナーは直接はつながらないかもしれませんけれども、デジタル時代ということでいろいろ新しい試みをやっている一つの取組みです。
それから、夕方の時間帯についても簡単にご説明します。夕方5時10分から7時前まで、ほぼ2時間です。
前半が5時10分から6時まで、50分サイズですね。それで、オープニングがあったり、メーンの企画と書いてありますけれども、いろんな形で茨城県内の話題を、健康情報であるとか、いわゆる食べ物情報とか、趣味とか、それからあとはいろいろな県民の人たちが活動している様子の紹介とか、イベントとかお祭りの紹介みたいなものを日がわり、曜日決めでやっております。この辺のコーナーにつきましても、さっき、ごらんいただきましたオープンスタジオに基本的にはいろんな人に来てもらって、そこでうちの番組のキャスターと一緒にその話題を紹介していく、というふうなコンセプトでやっています。
それから、ニュースとありますが、このニュースにつきましては、オープンスタジオから毎日やっています。恐らくニュースをオープンスタジオで視聴者公開でやっている放送局というのは、ほとんどないのではないかというふうに思っております。
あとは、中継なんかも毎日やっておりまして、県内各地からいろんな人にたくさん出てもらうというふうなコーナーがあります。
それから、「300万人のメッセージ」というのをちょっと書きましたが、これは、無人の――さっきのは生中継をやるための無人のカメラなんですが、無人のカメラと収録機がセットになった機材がありまして、通常はNHK水戸放送局の中に置いてあるんですけれども、そこの前に立つと自動的にスイッチが入って、30秒とか1分とか、カメラに向かっていろんなことを話すことができる機械があるんです。テレビ版プリクラみたいなものだと思っていただければいいと思うんですけれども、こういったもので好きなときに、皆さん、例えば茨城県の好きなものとか、私の今年の夢とか、そういうテーマを決めて、どんどんいろいろと好きなことをしゃべってくださいというふうなことでVTR収録を重ねて、その中から選んだものを、茨城の皆さんの声をいろいろ紹介するという形のコーナーにして、こういうところで放送しております。これが毎日出している中継です。
これもデジタル放送とはまた関係ないのですが、中継につきましては、ワイヤレスのカメラを使っております。ケーブルがありません。ということで、カメラマンとレポーター、あと、ちょっと補助のスタッフぐらいのコンパクトな中継キャラバンのスタッフが、毎日、県内をぐるぐる回って、いろんなところから地域の人の話を聞いて放送するというふうな中継をやっています。
ちなみに、これが毎日、中継で使っている中継車ですが、こちらも大型の立派な中継車ではなくて、ごく簡単なワンボックスカーを改造したものに機材を載せて、中継で県内を回っています。
こちらは、5時台に引き続き、6時台です。6時台につきましても、ニュースというものが中心ですけれども、ニュースについても、例えば防災みたいなことをやったら、スタジオにいる視聴者の人に、防災ではどんなことが心配ですか、とかいうふうなことをいろいろと意見を聞きながら番組を伝える、という形の温かいニュースを目指しています。それから、中継があったり、企画があったり、あとは学生が出てくるコーナーがあったりというふうな形で、5時過ぎから7時前までの2時間の番組を毎日出しています。
それから、デジタル放送のローカルニュースということで一つ申し上げたいのは、今まで茨城には県域放送がありませんでした。テレビがありませんでした。ということで、茨城県の視聴者の皆さん、例えば去年は台風が2つ通過したんですが、そういった防災の情報なんかは、これまで非常に少なかったというふうな声が多く出ております。そういうことで、我々としましては、台風なんかが来た場合には、もう接近したときから通過するときまで、かなり細かい、地域の、ここにも1時間雨量、北茨城市花園とかなにか、すごくローカルな地名が書いてございますが、本当に小さなところの情報でもきっちりと伝えようというコンセプトで災害報道なんかに取り組んでおります。
こちらも、これまでは絶対に出ることのなかった、県内の小さな鉄道の運転情報ですね。
それから、気象情報です。気象情報につきましては、うちはアナログとのサイマルがないということを申し上げましたが、16対9のハイビジョンの画面ということで、予報画面もかなりきれいにくっきりとお伝えできるようになりました。今までうちの報道でも、茨城県については県の北部、南部とかいうふうな、2つの地域にしか分割していなかったのですが、県域デジタルを始めるということで、地元では一般的な5つの地域に分割するというふうな形の細かい予報を新たに始めております。
それから、こちらは、今、県内の全部の市の短時間予報というふうなものを出しております。これも、本来の4対3の画面ですと、こんなにたくさん字と天気のマークが並んでいると見にくいんですが、16対9のハイビジョンということで、これだけのマーク、それから、今、ここには5つの市が並んでおりますが、最大8つぐらいの市を縦に並べる形で、今、県内20数市あるんですけれども、これから合併があったりして、さらに増えるのですが、そういった市ごとの情報みたいなものをハイビジョンの画面をうまく利用することで伝えております。
NHKの水戸放送局の放送、去年の10月1日から始まっております。大体4カ月が経とうとしております。これまでどんなことをやってきましたかということを簡単にまとめました。放送開始のときには、放送局ができたということで、テレソン、いわゆる長時間番組をやったりもいたしました。そして定時番組を立ち上げて、災害報道なんかについても細かく報道しております。それから、これまで全くテレビで放送されることのなかったJリーグ2部、J2の地元チームの中継を始めております。それで、一番下に書きましたが、番組への参加。それから、純粋に番組に参加するだけではなくて、見学者という方というのもいらっしゃいますが、去年の12月初旬で、水戸放送局への来館者は1万人を超えております。
というのが、以上、簡単でありますが、水戸放送局がデジタルということで行っています放送についてご紹介させていただきました。
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塩野座長 どうもありがとうございました。いろいろご質問等もおありかと思いますけれども、引き続きまして、ご発表をお願いしたいと思います。
それでは、続きまして、北日本放送株式会社報道制作局制作部、副部長の土肥尚彦さんから、地方局におけるデジタル放送の現状と課題について、ご発表をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
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土肥北日本放送株式会社報道制作局制作部副部長 北日本放送、富山県ですけれども、そこで番組のディレクター、プロデューサーをしております土肥と申します。よろしくお願いいたします。
今も水戸放送局さんの発表があったんですけれども、NHKと民放では、デジタル放送を始めるという、単純にその思考なり、準備とかノウハウとか、いろんなものに違いがあるんだなと思いながら聞かせていただきました。
北日本放送は、三大都市圏以外の民放地方局では初めてデジタル放送を開始したんですけれども、何らノウハウがない中、制作上、技術上のあらゆることを初めて体験する人間で行ってきたわけですけれども、放送開始から4カ月、試験放送を始めてからは既にもう半年以上が経過しております。実は、開始前、デジタル放送を始めなければいけないと準備をしていた段階から、実際に放送を始めて今に至るまで、随分我々の中でも変わったことがたくさんありますので、そういったお話をさせていただきたいと思っております。
あくまでも現場の制作者として感じたことであって、会社としての代表的な発表ではないんですけれども、制作者なりにいろいろと感じたことが多々ございます。まず、デジタル放送を始める前、我々が常に感じていたことは、非常に多額の投資をして、ハードががらりと変わる、設備が変わる、そういうところにばかり目が行っていました。実は、今、いろんな地域の制作者と出会う会合なり機会が多いんですけれども、そういう中でも、デジタル放送を始めるということを、設備が変わる、方式が変わるというふうにとらえている方が多くて、どういう放送形態になろうとも、いいソフトを作るということには違いがないというような形で、デジタル化というものの技術をソフトにどう反映しようかという発想ではなくて、あくまでもハード部分が変わるのであって、我々のソフトは変わらないんだという、要するに、デジタル化というものをソフトと切り離して考えている人が、民放の地方局に限らず多いというふうに感じています。
実は、我々も放送を始める前は、おなじように、設備が大きく変わって、我々の制作上のいろんなことが変わっていくという発想だけで準備を進めていたわけですけれども、実際にそれを始めてみると、一番大きく違うのはソフトであるということを強く感じるようになりました。
まずは、デジタル放送を始めて、我々がふだんお送りしている地域の情報番組なりニュース番組というものが、ソフトとしての強さ、価値という面でどれだけ変わるのか、というものには疑問を持っていたんですけれども、逆に、編集機が変わったり、ハードが変わったり、ましてや画角が4対3から16対9になる。サイマルでは両方相手にしなければいけない。そういうものの制作上の不都合や戸惑いがたくさん出てくるだろうということばかりに、始める前はかなり気をとられていたと思います。要するに、字幕スーパー一つをとっても、どういう機械でどんなふうに運用していくのか、そういうこと一つ考えるだけでも随分大変な思いをした経緯があります。
そういう中で、私どものデジタル化、HD化ということに関しては、夕方5時台の情報番組、月曜日から金曜日までやっている1時間の番組、それから土曜日の1時間の番組、これはもう既に95%以上、ハイビジョンで放送しています。スタジオもそうですし、VTRもそうですし、先ほど、光ファイバーの中継なんていうこともありましたけれども、アナログ時代からやっておりました駅前中継なんかは、やはり駅前から光回線を使って中継をしております。そういう機材の一部は、技術さんの手づくりだったりするんですけれども、取材用のカメラもすべてハイビジョンのカメラに切り替え、7台体制で地域のニュースもすべてハイビジョンでお送りしています。スポーツ、イベントなどの中継なんかももちろんそうですし、まずは地域の日常やっているもののハイビジョン化というところからデジタル放送が始まりました。
実際に始まってみると、非常に戸惑いを感じるだろうと思っていた制作上の不都合というものが意外に気にならない。アナログ時代と運用方法としては何らそんなに違いはない。一番戸惑うだろうと思っていた画角の違い、サイマルによって16対9と4対3の両方をスタジオなり取材、編集でやっていかなければいけないというところも、実際に始めてみると、そんなに大きな不都合は感じなかったんですが、大きく変わったのは、高精細映像というものだけではないですが、実際に我々がふだんやっていたソフトのパワーは格段に上がったと感じています。
例えば夕方の情報番組であれば、どこの局も同じように、視聴率を取るためのグルメ情報なんかをやったりしているんですけれども、食べ物一つをとっても格段においしそうに見える。単純なことなんですが、日々撮っていたもの、見ていたもの、例えば湯気を一つとっても細かく見える、食べ物の表面にある香辛料までがはっきりと見て取れる。視聴者が自分の嗜好に合っているかどうかを判別する上で、そういった映像がかなりの判断基準になっていく。そういった違いが僕は単純にメディアパワーだというふうに今は感じています。
それで、実際にそういうものを始めていくと、今までと絵の見え方が随分違ってくるわけですから、編集の仕方も変わらざるを得ないし、演出方法もかなりいろんなことを細かく突き詰めていくわけですけれども、映像の強さを生かした演出放送に最近は随分変わってきました。たまたまそういう意識を持っている人間に限った話ではなくて、日ごろの制作活動を続けていくうちに、どのディレクターも技術さんも随分技術的なこと、映像の見せ方、演出的なことというのは相当変わってきました。ですから、開始前には、デジタル化というものはハードの問題だ、設備投資の問題だというふうに感じてはいたんですが、実際にやってみると、一番大きく違うのは、ソフトのあり方であったり、受けとめられ方だというところだなというふうに強く感じるようになりました。
実際に、純粋に、我々も夕方の番組なんかを各局で比較するのですが、特においしそうな食べ物に関しては、アナログ放送と見比べても、他局を僕ら自身が見る気になれないくらい、チェックをする気にもなれないくらいの違いがあるなというふうに今は感じていますし、やっぱりそういうものの一つ一つのメディアパワーの積上げを、我々がソフトとしてどうやって切り替えてうまくこなしていくかということが、これから大事になってくるのではないかというふうに感じています。
そのメディアパワーというものが僕は格段に上がったというふうに制作者として感じていますけれども、それは何も美しい高精細な映像というだけではなくて、デジタル放送の技術のあらゆるところにそれがあるのだと思っています。
例えばうちは、まだしっかりと結果として実を結んでいるわけではないですけれども、サラウンド放送というものも、 5.1チャンネルというものも、現場レベルでは随分力を入れて研究を続けています。というのは、今、東京からも一部の音楽番組とかスポーツ中継というものに限られているサラウンド放送なんですけれども、それがなぜ地方局がサラウンドなのかという疑問を持つ方も今の段階では多いですし、サラウンド環境でデジタル放送を受信できる機器が一般の家庭に普及している速度というのは、非常に遅い。現状では遅いですし、なかなか普及は難しいものかもしれないと思っています。
ただ、そこには、要するに、高精細映像と同じように、これをうまく使いこなすことで地域放送を変えられる、実は、そこにパワーがあるのではないかというふうに考えて、我々はその研究をしています。
例えば高尚な音楽であったり、臨場感のあるスポーツ中継、そういうものだけがサラウンドに向くソフトというわけではなくて、例えば地域に住む人たちが毎年すごく楽しみにしているお祭りがある。富山にもおわら風の盆ですとか、年配の方々が非常に毎年楽しみにしているお祭りなんかがあったりするんですけれども、高齢化社会ですから、毎年楽しみにしていて、そのお祭りに参加したいと思っていても、なかなかそこに体力的にも足を向けられない。実際に雑踏の中には入っていけないという方も多いです。落差日本一の称名滝を間近で見たいというふうに思っていらっしゃっても、おばあちゃんをそこまで歩かせることができないということは多いわけです。
そういう方々にとっては、テレビは、ただそのほんの一部を伝えることしかできなかった。切り刻んだカットを駆使しても、なかなかあるがままを表現することはなかなかできなかったんですけれども、そういう皆さんがその場に行って見たいと思っているもの、行きたいけれど行けないところというものを体感させてあげられるというところが、実は、地域におけるサラウンドの将来性なのではないかというふうに僕は考えています。そういう地域の人たちのために、地域の放送局はデジタル放送によって新しく何ができるのか、ということを考えることは非常に大事なのではないかというふうに今、我々は考えています。
例えば今までお祭りなんかを地域の情報番組の中で放送しようと思っても、正直、お祭りという素材そのものが視聴率を取らなければいけない情報番組の中で放送してネタになるのか、というジレンマが非常にあったわけです。だから、レポーターを立てて、何かを体験させる、その体験部分をおもしろく描いたりだとか、お祭りに関わる人間模様の方を追跡してドキュメンタリータッチで伝えたりとか、そういう演出を凝らなければなかなか伝えられるものではなかった。ただ、サラウンドによって体験できるということで、そこにあるそのもの自体が力を持つということが、さらに、それをどう見せていくかというところが、ひょっとして新しい地域の放送のあり方につながってくるのではないかというふうに、今、考えております。
まさにその場にいるのと同じような臨場感で疑似体験してもらえるというのは、何も音楽やスポーツだけではない。そこに我々は地域として、その場に行けない人、行きたい人、まだ知らない人たち、楽しんで体験したいけれども、そうできなくなった人たちに、ただのテレビではない、映像だけではないテレビの使い方というものをこれからどんどん開拓していきたい。実は、そこに我々が可能性を感じるのは、後で視聴習慣が変わってきたという話をしたいと思っているんですが、視聴習慣が今後どんどん変わっていくときに、そういうものの価値が出てくることがきっとあるのではないかというふうに考えているからです。
もう一つは、今は一般家庭でのサラウンド状態でテレビを受信するという環境がなかなか普及しないという現実はあるんですけれども、我々は地域の放送局ですから、地域の中で何ができるかということを考えたときに、例えばそういう高齢者の方々がたくさん集まっているパブリックな場所であるとかそういうところで、我々が作ったソフトを視聴して、例えばみんなが見たいと思っているお祭り、参加したいと思っている場所というものを体験させてあげられる、そういう貢献の仕方も地域放送局にあってもいいのではないかというふうに考えています。将来的にそれが普及につながって、いつかそれが利益につながれば、それでいいのだろうということも含めて、高精細映像とサラウンドを含むデジタル技術というものを、どう地域放送と新しいテレビの見方というものにつなげていくかということを、なかなか答えは見つかりませんが、探究を続けている最中でございます。これが民放の場合は、経済的に最終的にはちゃんと結びつかなければいけないという大命題はあるんですけれども。
そういういろんなメリットが考えられて、制作者としてはそういうものを最大限に生かしたソフトづくりというものをやっていきたいと常々思ってはいるんですが、これがごく自然な流れで、地方局にとってのメリットにつながっていくかというと、実は、そうともいえないという傾向が僕はあると感じています。美しくて大きな画面のテレビがどの時点でどのぐらい普及するかによっても随分変わってくることだとは思うんですけれども、北日本放送が富山、 人口112万人の県でデジタル放送を始めたということは、他局よりもちょっと早く始めたということ以上の意味があると我々は感じております。
というのは、富山県の地形のよさもあって、今の時点で、もう総世帯の95%をカバーしています。要するに、県内のほとんどの世帯でテレビさえ買えば映る状態です。というのは、国内の他地域でいえば、相当未来、先の状況を、デジタルテレビがほとんどまだ普及していない時点で、その環境を整えたということになりますので、だからこそ見えてくる部分が多々あるのではないかというふうに感じています。例えば富山という地域は、田舎ですから、都会では考えられないくらい、地域放送局への依存度が高いです。多少テレビが高くても、都会よりは普及速度は随分速いだろうと思います。全国的に新しいテレビの需要なり方向性がひょっとすると見える前に相当普及してしまうのではないかなという可能性も感じています。
その中でも最も普及率の高いのが、北日本放送の社内です。社員全員がデジタル放送が何たるかを知って、その開拓に貢献すべきだ、という社長の方針もありまして、社員のデジタルテレビの普及率は 100%です。そういう我が社で何が起きているのかということを、最近、非常に興味がありまして、いろんな人に話を聞いているんですけれども、新しい高精細で大きいテレビを買った人の心理というものを、実は、我々は制作者としてあまり想像できていなかったということを痛感しています。今までのテレビではないものを買った人たちの心理というものがどう働くのかということを、もう少し我々はこれから勉強しなければいけないということを強く感じています。
というのはなぜかというと、デジタル放送の利点というのはたくさんあって、例えばゴーストがなくクリアな映像であるということがあります。だから、遠隔地で、もともとテレビの受信が悪かったところでテレビを買った方々は、アナログ放送は受信が悪いですから、北日本放送なりNHKなり、デジタル放送を既に始めているところの番組をよく見るようになったとおっしゃる方が多いです。ところが、そうではない地域の方々は、特にご年配の方々は、デジタルハイビジョンの16対9の画角で放送しているものも、アナログで放送されて16対9に引き延ばされているものも、そう違いを感じずに見ているという現実があります。
それとは逆に、今までとは違うテレビを買ったということから前向きにテレビを見ている方々からよく聞こえてくるのは、きれいなハイビジョンの映像を、今までテレビを見ていた嗜好とは違って、きれいなものを追いかけるようになった、とおっしゃる方が非常に多い。そういう中で、その後に何が出てくるかというと、我々はネットワークというものがありますので、基本的に自社でハイビジョン制作をしている夕方の情報番組とニュース番組が終われば、後はずうっとキー局の番組が流れています。で、ハイビジョン、きれいな放送として魅力がない時間帯になると、BSを見ることが多くなったという方が非常に多い。そういう傾向が強くなったというのは、社内で聞いていても多いですし、実際にデジタルテレビを買った方々と我々が取材中に話をしていても非常に多いです。
で、あくまでも社内の話ですが、デジタルテレビを買うと同時に、BSデジタルが受信できる環境にしているところがどのぐらいあるかというふうに聞いてみると、ほとんど、恐らく8割ぐらいは、我々は地上デジタル放送というものを研究するためにテレビを買っているんですけれども、同時にBSデジタル放送が受信できる環境にしている人が多い。
それと同時に、今、これはすごく納得しているんですけれども、デジタルテレビを買うと同時にハードディスクプレーヤーを買っている人が実は多くて、聞いた感じだと、2〜3割はデジタルテレビと同時にハードディスクレコーダーを買っている。で、そういう人たちの中で出てきているのは、きれいなハイビジョンを捜してBSに行ったりしながら、自分が見たいと思う嗜好のものを、EPGというのは非常に便利で、番組の名前だけで録画予約できるわけですから、それで録画して、自分が選んだものだけを家に帰ってから見ているという人が非常に増えてきている。
実は、これが将来的なテレビの見られ方だとすると、ひょっとするとリアルタイム重視の地上民放の放送が不利な状況になってきたりするのではないかということも、最近、非常に気になっています。そういう時代に我々はどういう放送をしていくかということも含めて、高精細であるもののメディアパワーというものだけではなくて、視聴傾向が変わっていくことに対しても、ソフトとして対応していかなければ、なかなか将来は厳しいのではないかというふうに最近感じております。
そういう傾向でちょっとびっくりするのは、20代、30代だけではなくて、割と50代の方々にも多い。北日本放送のデジタルテレビの普及率が 100%というのは進み過ぎているのかもしれませんけれども、ハードディスク連動でという蓄積型の視聴形態というものは、実際には、ハードディスクレコーダーつきのDVDというものが既にもう普及しているわけですから、こういう傾向というのは恐らく相当早く来るのではないか。そうなった場合、ひょっとすると視聴率というものが今までほど意味をなさなくなっていくのではないか。広告価値も下がっていくのではないか。視聴率以上にストック率とかリピート率というものが重要になってくるのではないだろうか。そういうときにソフトの価値とか局のブランド力ということを、今後、どうやって測っていくのだろう。そういういろんな疑問が出てきます。
恐らく次の世代の家電としてのテレビが、ハードディスク内蔵になったり、その次には、フロントサラウンドというものが標準になったりという商品になっていくのだと思います。そうなって普遍化、一般化していったときに、みんなの視聴形態が大きく変わっていくときに、我々地上波ローカル局というものがどうやって生き残っていけばいいのかというものが、今後、我々の大きなテーマになってくるのではないかというふうに感じています。
そういう中で、我々が日ごろ放送している地域放送の価値を落とさずに、どうやって高めていけばいいのだろうか。先ほど言った、地域におけるメディアパワーというものを十分に生かした編成なりソフトづくりに取り組んでいきたいんですけれども、ここで、NHKさんとの大きな違いでしょうけれども、民放の場合はネットワークというものがあります。最近、BSを見ることが多くなったという方々に話を聞いていると、夜、要するに、人がいる時間にハイビジョンなりデジタル放送の魅力を生かしたコンテンツがまだまだ少ないという事情があるんですけれども、我々はいろんな時間帯で魅力のあるソフトを作っていきたいと思うんですけれども、実は、夕方の情報番組と6時台のニュースが過ぎると、ネットワークの縛りがありますので、それ以降の時間帯はキー局任せという形になってしまいます。
要するに、購買意欲のある、普及が促進される世代が家にいる時間帯に、我々は頑張ってデジタル放送の魅力を生かしたソフトを作りたいと思っているんですけれども、ネットワークの縛りが解けて枠が与えられるのはかなりの深夜になってしまうというジレンマが、今、非常に大きく我々制作者の間で広がっています。これは、恐らく今後もこの悩みを持ちながら、地域のデジタル放送というものをどう作っていくかというのは、かなり大きなテーマになっていくのではないかなというふうに考えています。
先ほどもちょっとお話ししたんですが、視聴傾向がそういう形で、今後、もし変わっていくとすれば、視聴率というものにかわって、どう24時間の中で魅力ある放送をしていくかというときに、我々は地方局として地域の放送のためにどう頑張っていくかということもあるんですけれども、24時間問わず、よりストックされるソフトを今後供給していく中で、どれだけ優良なソフトを全国の場に乗せられるかというのも、我々、地方局の次の生き残るための課題になってくるのではないかというふうに強く思っています。
ただ、そのときに、我々地域の放送局がキー局のプロダクション化するのではなくて、そうなってしまったら本末転倒ですので、ソフトを供給しながら、新しいネットワークの形というものをどう作っていくのかということも、今後、大変な課題になってくるのではないかというふうに感じています。
以上、デジタル放送を始める前、そして始めてから、今、我々が感じていることをお話しさせていただきました。
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塩野座長 それぞれのお立場から実感のこもったお話を伺いまして、ありがとうございました。
それでは、多少時間もございますので、ご質問、あるいは構成員の方からのコメントも結構でございますので、どうぞご自由にご発言をお願いしたいと思います。どなたからでも結構でございますから、どうぞ。
では、私の方から、今日のお話を伺って、それぞれなかなか難しい問題をお抱えだと思いますが、特に民間放送の場合には視聴率との関係、いろいろあろうかと思いますが、先ほど、デジタル化で新しいのが開けてきたというので、地域とハイビジョンとサラウンド放送の結合ということで、お祭りというものを出されましたよね。それで、年寄りがそこに行かなくても、家で臨場感が味わえる。それは、昔、子供のころに行ったお祭りだということになると、ますますいいことなんですけれども、それは非常に普遍性のないお話なんですよね。非常に地域限局、あるいは人でも、パーソンでも非常に限定的なもので、私は、それがまさに民間放送あるいは地域放送のある種、神髄かなとは思ったんですけれども、他方、最後におっしゃったのは、もう一つ、やはり制作者としては、もう少し普遍性のあるものもお作りになりたいということなんですか。
つまり、普遍性のあるものを作るということは、やはり視聴率を考えてのお話なのか、それとも、やっぱり番組制作者としては、そういった非常に地域限局的なもの以外のものにも制作者として出ていきたいということなのか。つまり、前者だと、私は視聴率は取れないと思うんですけれども、その辺がどういう関係になっているのか、お伺いしたいと思います。
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土肥副部長 地域の放送局でやっているときに、我々が地域で放送するときも、そこから全国に発信するときも、常にテーマとしてふるさとというものがありまして、今、現状でずうっとやってきたことを考えると、その地域の放送である場合は、地域の人たちがどういう気持ちで見るのだろうかということを想像してやる。それは、地域のために作った場合は、逆に、視聴率は非常によく取れるんです、地域のことがわかっていますから。逆に難しいのは、地域のことを全国の場に、普遍的なものを求めている場に持っていくときに、我々はふるさとをどう演出して戦うかということを考えてきたわけですけれども、先ほど言った、例えば地域のお祭りを体験できるというものは、恐らく今の段階では視聴率は確かに取れないものだろうというふうに判断されますので、簡単に編成されていいものではないと思います。
ただ、先ほども言ったように、視聴傾向が変わって、いずれ、その視聴率というものに意味がなくなったときに、しかも、放送時間というものもひょっとしたら意味がなくなるんじゃないかという気がするんです。そういうときには、24時間の中で、非常にいろんな人の嗜好に合わせたものを多角的に編成できていくわけですから、家族があるものをみんなで体験できるというテレビの見方があったり、その時間には見られないけれども、それをストックして、おばあさんたちと一緒に見ようという見方が出てきたり、ということが非常に日常的になっていくのではないかと思っているんです。そういう時代には、地域の人のために視聴率とか時間帯ということを考えずにいろんなことができていくようになるのではないか。そういうときに私は有効になっていくのではないかというふうに思っています。
それと、後者の普遍的なものというか、全国に対してどう作っていくかということは、そういう時代になると、要するに、視聴率だけではない判断基準が出てくるのであれば、ソフトというものが逆に枯渇していく時代になるのではないかという気がするんです。要するに、東京から発信していても、今までの手法でもっていくゲームショーだとかバラエティーというものがどれだけ価値が続くのだろうという気がするんですね。なおかつ、視聴率というものがなくなったときに、ほかの基準でブランド力を判断しなければいけないということになると、どれだけの人がそれをストックして見てくれたか、ということを恐らく計測しなければいけない時代も来るのではないかと思います。
そういう時代に、できるだけ見ごたえのあるソフトをたくさん用意しなければいけないときには、ネットワークというものが別の力を持ってくるんじゃないかなという気がしているんです。プロダクションとキー局という関係ではないネットワーク、要するに、東京と地方という関係ではなくて、ネットワーク全体としてソフトを供給して、という新しいネットワークの形がひょっとしたらできてくるのではないかという気がしていまして、そのためにいろんなことを今から研究していこうというふうに思っているんですが。
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塩野座長 どうもありがとうございました。篠原さん、どうぞ。
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篠原構成員 ついでに、今の話の関係上、北日本の方にお聞きしたいというか、ちょっと確認させていただきたい事柄があります。最初の方で、要するに、デジタル技術というのがコンテンツなりソフトのありようというか、多様性を規定する可能性があるんだ。そういう豊かな可能性があるという、大変おもしろい、なるほどなというお話を聞かせていただきました。特にデジタル技術の中でも、今日、高精細な映像とサラウンド技術ということで具体例をお話しいただいたわけですけれども、そういうデジタル技術をうまく使うことによって、ローカル局のソフトなりコンテンツの制作・調達能力は高くなる可能性がある。だから、現在のネットワークへの依存度というのは、これからもっと低くなる可能性があるというようにお話をされたと考えてよろしいのでしょうか。
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土肥副部長 すみません、実際にどうなるかというのは、私もそんなに強く認識できているわけではありませんので、ただ、本当に制作現場で感じているレベルでのお話ですので、そういう形で希薄にならない方法をやっぱり考えていかなければいけないんだというふうに思っています。
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塩野座長 野村さん、どうぞ。
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野村構成員 両方の局の方にお聞きしたいんですけれども、前にNHKさんの水戸放送局のシンポジウムに参加させていただいたときに、やっぱり会場の人たちが地域放送を商店街の活性化につなげたいだとか、茨城大学の学生に実際に番組制作に携わらせることができないかといった感じで、地元の方々の地域放送に対する関心の高さですとか、期待の高さというものを感じました。
それで、先ほど、北日本放送の方からも、デジタル技術を生かした地域貢献、普及活動というお話があったかと思うんですが、一つには、パブリック・アクセスといいますか、視聴者参加というと、これまではどちらかというと番組に受動的に参加してきた人たちが、これからは実際に情報発信チャンネルの一つとして(地域放送を)活用したり、制作主体として地域放送に関わっていける可能性があるのではないのか、と今のお話を聞いて思ったのですが、それぞれパブリック・アクセスと申しますか、制作主体としての視聴者あるいは地域社会というのをどういうふうに考えておられるのかということをお聞きしたい。
あと、NHKの方にお尋ねしたいのですが、疑似双方向というのは、どういう意味で疑似双方向なのか。これ、つけ加えてなんですが、教えていただければと思います。
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塩野座長 では、お一人ずつ、どちらからでも。
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涌井副部長 今おっしゃっているパブリック・アクセスというふうなことについては、デジタル時代に限らず、地域放送局としてはこれからどんどん盛んにしていくべきだと私は思っております。多分、あまりよくないテレビの作り方というのは、討論をしてもらうにしても、ある程度それぞれの立場があって、その役割と話をする内容が番組を始める前に大体見えていて、それで始まる番組というふうなものも世の中には結構たくさんあるのではないかというふうに思っております。それは、やはり制作者側がこういうふうな番組にしたい、こういうことを伝えたいというふうなことがあるがゆえに、そういう傾向が、今、世の中では多いのではないかと思いますけれども、やはり我々地域放送としては、地元の人たちの忌憚のない意見をどんどん出していくことで、地域社会をいろいろ活性化していきたいというふうに思っています。そういう面で、番組にいろいろ出演をして参加をしてもらうというふうなことはさらに加速していきたいというふうにも思っております。
それからもう一つは、さっき、大学生がというふうな話が出ましたが、我々も、大学生が作った、自分たちが作った作品とか、それから高校生が作った作品とか、それを作った人たちに自分たちでプレゼンテーションしてもらって、こういうものを作っていますよ、みたいな形での番組参加というふうなものは、かなり今までよりも垣根を低くしているつもりです。そういった意味で、地域の人たちがメディアというものに参加をすることで地域の文化を作っていくといいますか、そういうことに我々としては一役買うことができるのではないかというふうに思っています。
それで、さっきの疑似双方向は、どこの部分の疑似双方向でしょうか。データ放送のところでしょうか。
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野村構成員 そうです。番組連動のデータ放送で健康チェックができるというお話で、完全な双方向ではなくて、疑似双方向というお話だったのですが、これがどういう意味なのかかがちょっとわからなかったので、教えていただければと思います。
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涌井副部長 NHKの場合、水戸放送局でもデータ放送はやっているんですけれども、技術的な問題でいいますと、残念ながら、データ放送で本当に双方向するのに対応ができるサーバーというのは地方の放送局にはまだないわけなんですね。それで、一番シンプルな双方向というのは、視聴者の方がリモコンを使って、モデムで、逆回線で放送局にアクセスをしてというふうな形で、さらにそれに対して放送局がいろいろ答えていく、というふうなものが一般的な双方向といわれているものだと思うんですが、残念ながら、今の地方の放送局にはそこまでをやる金もパワーもありませんので、何かもう一工夫することで参加感が作れないだろうかというふうなことで、私もデータ放送の専門家ではないからわからないんですが、幾つかのレイヤーがあって、その中のレイヤーを一つずつ視聴者の方がリモコンを押して入り込んでいくことで、最終的に何十通りか何百通りかのゴールに達するものが設定されているわけでありまして、ただ、そこにレイヤーを超えて入っていくというふうな作業が、視聴者の人にとってはリモコンを使って番組参加をしている、そういうふうなフォーマットのデータ放送を作ってやっているということです。
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塩野座長 もう少し素人にもわかりやすく説明できませんか。
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村井構成員 視聴者と放送局の間での双方向ではなくて、リモコンとテレビの間での双方向を実現するということが技術的には可能です。具体的には、データ放送でテレビに送られたプログラムのデータをリモコンで操作することで、視聴者の参加感を作るということではないかと思います。
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塩野座長 それでよろしいですか。
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涌井副部長 そのとおりです。
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塩野座長 私も大いに勉強いたしました。どうもありがとうございました。それから、土肥さん、どうぞ。
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土肥副部長 パブリック・アクセスということが、実は、よく理解できてないと思うんですけれども、視聴者参加ということに関して言うと、例えば何のきっかけもなく、ただ登場させるということが私は視聴者参加だとはあまり思ってなくて、富山の方言だとかいろんな習慣について、一般の人たちがうちのアナウンサーなんかと一緒に寸劇とか演技をして、そのおもしろさとか習慣の意味を伝える、というふうなことを新春の特番でシリーズでやったことがあるんですけれども、そのときに、視聴率も26%ぐらい取ったりということもあるんですが、それ以上に、全然違う取材をしているときに、それを見た人たちが、次はおれも出たい。そうなって初めて視聴者参加なんじゃないかな、というふうに僕は思っているんです。
それとちょっと話は違うかもしれないんですけれども、デジタル放送を始めて、デジタルテレビを買った人たちというのは、ただデジタル放送のテレビを買ったのではなくて、今は非常にきれいになった大きなテレビを買ったという意味もあって、デジタル放送のPRのために実際にテレビを買った方を取材したことがあるんですけれども、そこで出てきたのが、今までそれぞれてんでんばらばらに自分の部屋でテレビを見ていたのに、このテレビを買ったら、みんな、家の人が集まってテレビを見るようになったという話があるんですよ。ひょっとしたら、デジタル放送というのはそういう要素があるんじゃないかなというふうに、今、思っていまして、今までテレビというものが当たり前になって各部屋につくようになって、家族がばらばらになったのが、きれいな大きなテレビを買って、また家族が集まるということがあるのであれば、そういう集まった状況のときに年代を超えて何を地域で見たいのかということを考えていくことの方が、ひょっとしてこれから大事なのではないかなというふうに僕は感じています。
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塩野座長 どうもありがとうございました。どうぞ、村井さん。
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村井構成員 大変興味深いお話を伺いまして、どうもありがとうございました。
お二人とも制作する側の立場として、一方では、デジタルテレビは視聴者にとって高価な機器であり、設備、つまりハードウエアが高価になることから、購入に際してある程度ハードルが高くなるというデメリットがあることについてご指摘していただき、もう一方で、デジタルテレビになり表現方法、つまり、高精細の画像、デジタルでのエディティングの作業のプロセス、表現力、音声のサラウンドのことなど新たなメリットについてもご指摘をいただきました。要約させていただきますと、ハードウエアのコストは少し上がるかもしれませんが、表現力や作り出せるコンテンツに関しては、また新しい力を持ってくる、という話ではないかと思います。
このメリットとデメリットについて、先ほど、デジタル放送を始めてみる前と後で感覚が違ったというご指摘もあったかと思いますが、そうしたときに、私のお伺いしたいこととしましては、お二人が実践されているようにコンテンツに関する新しい試みがこのデジタル放送で取り組まれていき、大学などいろいろな主体からのコンテンツ面での参加なども出てくるかと思います。そこで、気になってくるのがコンテンツの競争力についてです。デジタル化したことにより、地域を飛び越えて、少しコンペティティブな力を持っていくとか、あるいは国際的な競争の中でどういう力を持ってくるかということを考えたときに、そういったコンテンツの持つ競争力という視点で、現時点においてデジタル化というのがどういう影響力を持ってきた、あるいは今後持っていくとお考えでしょうか。
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塩野座長 両方へのご質問だと思いますが、どちらでも結構ですから、お答えいただければと思いますけれども。
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涌井副部長 まず、高精細ということですけれども、むしろ、高精細のハイビジョンというのは、先ほど、北日本放送の方もおっしゃっていましたけれども、私自身は非常にシンプルなローカル番組の制作にマッチするんじゃないかというふうに思います。例えば、さっき、スポーツの中継をやっているというふうに申し上げましたけれども、我々、サッカーをやって、いろいろ地元に喜んでもらおうと思ってやっているわけですけれども、通常のスポーツ中継ですとカメラの台数がものすごく多いのですが、我々地方の放送局で、人もお金もそんなにかけられません。ただ、16対9、これはサッカーのピッチとほとんどサイズが同じでして、我々はCSさんがやっているのと同じような形でカメラは2台しか使っていません。それでもかなり臨場感のあるスポーツ中継が可能になっている。これがハイビジョンの魅力だと思います。
それから、さっき、お祭りの中継番組なんていうお話もありましたけれども、まだこれはやっていませんけれども、ひょっとしたらお祭りの生中継なんかも、カメラを1台持っていって、それがそこに参加する人の目線になって、お祭りを紹介していく、というふうな形で臨場感を伝えていけば、物すごく手間暇をかけて番組を作るよりは、逆に、地域の人に受け入れられるコンテンツにつながることもあるんじゃないかというふうに思います。
私、以前は東京でいろいろとハイビジョンの番組を作りましたけれども、多分、ハイビジョンというのは何十台もカメラを使って、演出を凝れば凝るほど、本来のハイビジョンのよさから離れていくのではないかというふうに、私は制作者として思っております。そういう意味で、ローカル番組にデジタル放送というのが結構マッチするんじゃないかな。ローカルでこそ、デジタル放送をいろいろやって、新しい試みをして、地域の人たちに受け入れられるようなソフトを作っていく、というふうな道も一つあるんじゃないかと思います。
それから、国際的な競争力とかこれからのデジタルの競争力ということですけれども、こればかりは、確かに、例えば日本の地方都市でアナログ放送とデジタル放送、デジタル放送をごらんになった方は、若い人からお年寄りを含めて、非常にきれいだと言いますけれども、ただ、視聴者の方というのはそんなに映像分析のプロではありませんから、では、アナログの放送とデジタルはどれぐらい違うのかということについては、まだまだ直接それを比較して皆さんが判断、理解していただくということにはなってないんじゃないかというふうに思います。ただ、デジタルの映像の良さというものは、見た方は皆さん、一様に良いという印象を受けることは間違いありません。
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○ |
塩野座長 どうもありがとうございました。土肥さん、何かおつけ加えになりますか。
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○ |
土肥副部長 競争力というときに、何を対象に考えればいいのかということが、実は、あまり想像できなくて、国際的だったり、全国的だったりという競争力をどういうふうに受けとめればよろしいのでしょうか。
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○ |
村井構成員 私がお伺いしましたのは、デジタル化にともない映像の作り方とか表現の仕方が変わってきたときに、起こってきていることとして、一番先に思いつくのは、大学においての映像作成が盛んに行われるようになったということです。大学におりまして感じてきたことは、これまでのテレビの放送というのは、コンテンツを作る人にとって憧れのマーケット、憧れの職場で長い間あったわけです。そういうマーケットですので、全国の多くの次の世代を担う人たちが、いいコンテンツを作るためにテレビ局に就職をしたり、あるいは就職してからテレビの番組を作るために、就職前からいいコンテンツを作り出すという動きが我が国の中で広がってくるかどうかが私の興味の対象の一つでした。そういった視点で、テレビの放送が良いデジタル・コンテンツを作っていくというのは、とても大切で、良いデジタル・コンテンツがあるから、引き続きテレビは大変魅力あるマーケットの一つでいられるという捉え方をしているわけですけれども、逆にテレビが魅力あるマーケットだということを前提にしたときに、このデジタル化というのが、魅力あるマーケットを作るために必要な良質のコンテンツを作っていくということにどういう影響を与えていくとお考えですか、というのがご質問でした。ちょっと言葉が足りなくて申しわけございません。
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○ |
土肥副部長 それに関しては、日々感じていることですけれども、今までは相当東京指向の番組づくりというものがあって、手法で視聴率をとっていくという番組が非常に多いんですけれども、多分、そういうものがどんどん意味をなくしていって、コンテンツの強さで人は視聴する番組を選んでいくように僕はなっていくんじゃないかというふうに感じています。ということは、より強いコンテンツを作ったものがより見られていくというふうになれば、おのずとコンテンツ力というものは今後上がっていくのではないかというふうに感じています。
それと、我々、地方のディレクターというのは、僕らは、これは負けないと思っているのは、特にコストの面で、地方のディレクターというのは自分で時には撮影もしますし、編集オペレーターを使わずに、自分で全国の1時間番組であっても自分で編集しますし、自分で本を書きますし、それを分業化してコストのかかる東京に比べれば、我々は同じものを作っても随分コストは抑えられる。大量に優良なコンテンツが必要になってきたときには、低いコストで作る我々の時代がひょっとしたら来るのではないかというふうに僕は思っています。
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○ |
塩野座長 どうもありがとうございました。大分時間が経ちましたが、あと、もし、何かご質問があれば、一つでも承りますが、よろしいでしょうか。
どうも大変ありがとうございました。地上デジタル放送における普遍性と地域性というのは、永遠の問題のようにも思えますが、私はお二方のプレゼンテーション、それから土肥さんはもっと別なところで一度お伺いしたことがございますけれども、地上デジタルについての、特にローカル番組におけるデジタル放送の意味ということについて、今日もお話を伺いまして、大変感銘を受けました。
何かデジタル化というと、一般的な普遍性をすぐ思い浮かべてしまうんですけれども、しかし、デジタル化によって地方の独自性が生み出されるということについては、やはり放送政策から見ても非常に重要なポイントではないかというふうに私は思っておりますので、お二方のご発表、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、お二方のプレゼンテーションと質疑応答は以上で終わりにいたします。
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2) 今後の検討の進め方について |
○ |
塩野座長 次に、今日、ご案内をいたしましたように、これからのこの研究会のあり方として、ワーキンググループを作って、それぞれ議論を深めていただきたい、ということを前回お話をいたしました。
そこで、事務局の方でいろいろ調整をしていただきまして、ワーキンググループの具体的な構成ができ上がったようでございます。事務局に資料の作成をお願いしておりますので、まず、ワーキンググループの設置の案について、事務局から資料の説明をお願いいたしましょう。どうぞ。
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○ |
小笠原放送政策課企画官 それでは、お手元の資料3に基づきまして、ワーキンググループの設置の案についてご説明させていただきます。
前回、12月21日の資料でございますが、お手元に前回、第8回会合の資料ということで、前回、座長からご提案をいただきましたときに用いました資料をお配りしてございます。基本的に、この分け方に基づきまして、事務局として構成員の方々とご相談をさせていただきました。その結果を取りまとめたのが本日の資料でございます。
案の冒頭にございますとおり、本調査研究会の開催要項5(8)と書いてございますが、今、お手元に資料はないと思いますが、研究会の運営に必要な事項については座長が定める、そういう要項になっておりまして、それに従って前回の資料に基づく4つのワーキンググループを設置する、ということに従って資料を作ってございます。
検討項目及びそれぞれワーキンググループの名称等につきましては、基本的に、前回、お配りした資料に沿って書いてございます。つまり、新サービスに伴う制度的諸課題、衛星・ケーブルデジタル放送検討のWG、デジタル化と公共放送を取り扱うWG、放送コンテンツに関する検討を行うWG、この4つのWGを設置する。そして、その検討項目につきましては、前回の資料に記載いたしました事項を当面の検討事項とするということでございます。それぞれ検討項目のWGの横に、構成員の案としまして、別紙1から4ということでつけさせていただきました。
それでは、別紙1から簡単に説明させていただきます。前回、A4横の一枚紙の資料のときに、それぞれワーキングの性格により、例えば諸外国の状況ですとか、あるいはそれぞれ専門分野の制度ですとかそういったことについて、必要な場合については、そういったことの専門家についても場合によってはご参画をいただく、ということにちょっと触れさせていただいたかと思います。ワーキンググループによっては、そういった方々にご参画をお願いしてはどうかということで、案を作成してございます。
別紙1に記載をいたしました、新制度諸課題にかかわるワーキンググループ、これにつきましては、そういった方のご参画は当面記載してはございません。ここに記載したとおりの案を作成していただきました。
それから、別紙2、衛星・ケーブルデジタルワーキンググループということでございます。名簿の2番目にあります音先生でございますが、これにつきまして、このテーマについて、ヒアリングの段階で諸外国の状況等についても触れられたところではございますが、そういったことに関する知見ということもこれから必要という観点から、上智大学の音先生に専門分野ということで加わっていただいてはどうかということでございます。
それから、別紙3をおめくりいただきまして、デジタル化と公共放送の検討のワーキンググループということでございます。この中では、大阪大学の鈴木秀美先生に加わっていただいてはどうか。座長からちょっとご指摘がございましたが、例えばドイツとかを含めました諸外国の状況につきまして、今後の検討の材料として情報をいろいろ提供していただく必要があるのではないかという視点でございます。
最後に別紙4、コンテンツのワーキンググループでございます。ここにつきましては、名簿の2番目の慶應大学の國領先生、それから名簿の4番目の北海道大学の田村先生が記載してございます。國領先生につきましては、放送コンテンツ、いろいろ制度、ルールの問題に加えまして、ビジネス上、それからそれを裏づけられます技術、そういったところについてやはり知見というところを取り扱っていく必要があるのでなはいかという視点。それから、田村先生につきましては、知的財産権法、そういった制度のご専門家ということでご参画いただいてはどうかということでございます。
それで、最初の資料3の冒頭のページに戻っていただきまして、事務局といたしましては、こういったメンバー案と構成でいかがかということでございますが、運営につきましては、(1)にあります、それぞれ座長を置く。その座長につきましては、それぞれ塩野座長からのご指名ということで、それぞれ座長をお願いしたいということでございます。
それから、指名された座長の方が招集し主宰。それから、当然ながら、各ワーキンググループ、必要に応じて、その関係団体あるいは有識者といった方々に出席を求めることができる。最後に、その他運営に必要な事項についてはWGの座長が定める、ということに一応案としてさせていただきました。
簡単でございますが、事務局からの説明は以上でございます。
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○ |
塩野座長 こういう案と、それから、今、運営要領案みたいなものと、各ワーキンググループのメンバー構成をご紹介いたしました。まず、これについて、何かご質問あるいはご意見があれば、おっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
この案は、お一方、2つ。それから、3つの方もおられる。3つの方は大変だと思うんですけれども、そこは日程調整等、事務局が精いっぱい取り組むということで、よろしくお願いをしたいと思います。よろしゅうございますか。
これは、座長の方でいろいろ会議の持ち方もお考えだと思いますけれども、そこはワーキンググループということで、いろんな意味での情報交換が成り立つと思いますので、何も全員が同じところでやるということ以外にも、それこそ、メール等をお使いいただきまして、デジタル化の技術を十分に駆使して、わからないところがあれば、村井さんに聞けばいろんなやり方があるということを教えてくれると思いますので、適宜お願いをしたいと思います。運営の方法等について、何か質問はございますか。
よろしゅうございますか。
それでは、これに基づきまして、いよいよ発足ということになるわけでございますけれども、その発足に当たっては、資料3の2の運営の(2)で、ワーキンググループの座長は座長から――この座長というのは研究会の座長だと思いますが、研究会の座長から指名された者がこれに当たるということになって、今、お認めいただいたわけでございますので、私の方から、研究会の座長から、ワーキンググループの座長についての指名という段取りにさせていただきたいと思います。
この新サービスに伴う制度的諸課題検討ワーキンググループということでございまして、私はここに入っておりますし、ここは私が座長を務めさせていただきます。
それから、衛星・ケーブルデジタル放送検討ワーキンググループでございますけれども、ここは競争政策等の問題もいろいろございますので、舟田さんにお願いをしたいということで、これは事務局の方で連絡していると思いますが、内諾は得ていますね。そういうことで、ここは舟田さんにお願いしたい。
それから、デジタル化と公共放送検討ワーキンググループにつきましては、これは内諾するかどうか、後でもう一度確認しますが、濱田さんに。それから、放送コンテンツ検討ワーキンググループにつきましては、村井さんにお願いしたいと考えておりますけれども、お二方、よろしゅうございますか。
(濱田構成員及び村井構成員、頷く)
それぞれ結構大変なお仕事だと思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
それで、こういった形でワーキンググループが発足いたしますが、今後、今日、1月はこれで大体終わりでございますので、2月以降、各ワーキンググループで論点を掘り下げた議論と整理を行っていただきます。その検討結果を踏まえて、さらに本会合でより幅広い観点から全員で議論をする。そういう形をとりたいと思っております。
そういうことで、本会議をいつ設定するかということによって、ワーキンググループの、それこそ、仕事のやり方も随分変わってくるのではないかというふうに思いますので、ワーキンググループの仕事の進め方ももう少し細かく検討しながら、今後、全体の会議の日程をご相談させていただきたいと思っております。
ただ、これ、事務局もいろいろ大変だと思うけれども、例えば2つ、ワーキンググループを続けてあると、委員の構成の均一性が割合あるので、続けようという場合も、ちゃんと部屋なんかはとれるんですか。余計なことかもしれませんけれども、ありますか。
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小笠原企画官 そういったこともございますので、かなり委員の方々に先々のスケジュールもお伺いしながら、可能な限り確保するように事務局として努力してまいりたいと思います。
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塩野座長 座長があまり忙しければどうにもならないんですけれども、濱田さん、これから大丈夫ですね。忙しいですか。座長が非常にお忙しいときには、場合によっては、事実上の座長代理をお決めいただいても結構だと思います。あらかじめ座長代理を決めておくと、両方とも倒れたときにどうしようもなくなりますので、この日はどうしてもだめだというときには、自分のかわりにどなたかお願いするよということで、その方にうまく連絡をとって進めていただきたいというふうに思います。しかし、座長になられる方、それぞれできるだけ日程を調整して皆さんに合うようにやっていただきたいと思います。ほかに何かございますか。
大体事務局としては、今後のいろんな予定もあると思いますけれども、次回は、本会合はいつごろを考えていますか。
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小笠原企画官 それぞれのワーキンググループの作業状況にもよるかとは思いますが、おおむね3月にかけて1回開くことをめどとして作業は進めてまいりたいというふうに考えております。
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塩野座長 この次までに全体でお集まりいただく機会はあまりないと思うので、今のうちに申し上げておきますけれども、ワーキンググループで少し幅広にお考えいただいて、また、この研究会の全体会合でいろんな情報を得て、そしてまた自分のところに持ち帰るという程度に、特に最初はそうしていただきたいというのが、むしろ、私のお願いでございます。
そうしませんと、ワーキンググループがあまり独立してしまいますと、この研究会で、全体で会合するという意味がなくなりますので、そこは座長の方、よろしく塩梅をしていただきたいと思います。そういうお願いでよろしいですか。
それからもう一つは、やっぱり研究会は3月ぐらいにやった方がいい、あるいはどんなに開いても1カ月半ぐらいがいいと思われますのは、忘れてしまうことがあるんですね。2カ月前の会合だと、そのときに自分がどういう情報を得たかということを忘れてしまうこともありますので、研究会としては、ワーキンググループの方々、大変お忙しいと思いますけれども、1カ月半あるいは一番長くても2カ月に1度というくらいのペースはとっておきたいと思います。そうしますと、大体ワーキンググループの回数も少し決まってきてしまうかもしれませんが、そういうことを考えております。どうぞ、村井さん。
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村井構成員 前回も少しお願い申し上げたのですけれども、今おっしゃられたワーキンググループ間のイシューの流通といいますか、議論されたことの情報共有をこの研究会で調整するというのは非常に大事なことだと思います。ワーキンググループがオーバーラップしている方がたくさんいらっしゃるので、そういう委員の方に情報共有をする役割を担っていただけるのではないかと思いますけれども、もう少し頻繁に、細かいイシューの流通の方をぜひ事務局の方にお願いしたいということが1点です。
それから、私にとって気になるインターネットという言葉が(3)に出ていますので、私もオーバーコミットにならないようには気をつけますが、何かご入り用でスケジュールがうまく合えば、私もワーキンググループを超えて議論には参加させていただければと思います。多分、私以外にも興味分野が今回所属が決まったワーキンググループ以外にある方がいらっしゃると思いますので、そのような場合には所属ワーキンググループ以外に参加するということをお互いにやっていただけると、うまく回るのではないかと思いますがいかがでしょうか。
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塩野座長 わかりました。その点は、それぞれ情報交換と、それから、一般的に日程のご連絡をし、お時間があれば出ていただくということは、もちろん、歓迎をいたすつもりでございます。それから、場合によりましては、今の村井さんのお話のように、ワーキンググループ間の調整を図る、あるいはスピード感を大体同じように持っていくというためには、時には座長の方に特別にお集まりいただいて、議論の進め方のスピードについても調整をさせていただくということも事実上はあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
大体そんなところでよろしゅうございますか。では、とにかくやってみてください。やってみて、ここはどうしてもやりにくいということがあれば、全体会議あるいは私の方にお申し出をいただきたいと思います。
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(3)閉会
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塩野座長 それでは、最後に事務局の方から何かご案内すべきところがあればご案内してください。
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小笠原企画官 ただいま、次回の本会合のめど、それから座長からご指摘のありました各ワーキンググループの場所、時間等につきまして、現在、調整中でございます。確定次第、それぞれご連絡をさせていただければというふうに考えております。事務局からは以上でございます。
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塩野座長 どうもありがとうございました。
先ほど申しましたが、今日、地上デジタルのことにつきまして、お二方からご報告いただきました。大変ありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
それでは、今日はこれで終わります。 |