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高度ICT人材育成に関する研究会(第7回) 議事要旨



  1.  日時
     平成20年3月28日(金) 15時00分〜16時00分

  2.  場所
     総務省共用902会議室

  3.  出席者
    (1)   構成員
      村岡座長、石島座長代理、大西構成員(神ア代理)、大場構成員、筧構成員、北川構成員、斎藤構成員、重木構成員、大力構成員、中島構成員、原沢構成員
    (2) オブザーバー
      高橋参事官 (内閣官房IT担当室)(神谷代理)、藤原課長(文部科学省高等教育局専門教育課)、八尋課長(経済産業省商務情報政策局情報処理振興課)、上田グループ長(日本経済団体連合会事務局)
    (3) 総務省
      中田政策統括官、松井官房審議官、鈴木総合政策課長、松川情報通信利用促進課長、門馬イノベーション戦略室長、小原情報通信利用促進課課長補佐

  4.  議事概要
    (1) 開会
    (2) 資料7-1に基づき、事務局から「高度ICT人材育成に関する研究会報告書(案)」の説明が行われた。主な意見は以下の通り。
      (「新たな「育成の場」イメージについて」)
    • 社会人教育、リカレント教育の全体のトーンが、教育を1回やって卒業生を完成品として出したら終わり、という感じを受ける。リカレント教育としては、何年かに1度大学院に必ず戻ってきて学習するというトーンを強くしたほうがよい。
    • 専門職大学院では、大学院同士はある程度単位交換できるが、企業内の教育では単位認定ができないので、そういう問題も盛り込んで欲しい。
    • 情報処理学会は、財団法人ではなく社団法人である。
    • 「新たな育成の場」に関しては、文部科学省において実施している「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の取組では不十分な点を明確にしたうえで、その必要性を検討すべきである。ナショナルセンターが担うべきとされている機能については、「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム拠点間教材等洗練事業」の中で一部取り込んでいる。また、「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」の各拠点において育成を目指す人材像はまちまちであり、それを標準化してしまうと、各拠点における人材育成が画一化され、各拠点の特色ある取組による創造性を持った人材が育たないのではないかという意見もある。将来的には、ナショナルセンターが担うべきとされている機能を充実させることは重要であると思われるが、どのような形態やアプローチが実効性を持つのかについて、実績等を踏まえて検討を積み重ねていく必要があると思う。
    • スキルの見える化、キャリアパスの明確化として、ITSSやUISSが取り上げられているが、スキルの見える化を処遇の体系化と織り込むことを、まさに各企業が取り組もうとしているところであり、報告書はこうした動きに拍車をかけるものと考える。ナショナルセンターをお作りになるのであれば、これまで産業界や省庁等で取り組んできた成果を活用していただきたい。具体的には、IPAでこれまでの産学連携についてデータベース化し、公開の作業に入っているところ。こうしたものも全部つながっていくような開かれたナショナルセンターとして動いていくことになればよいと思う。
    • 経団連の提言を、真正面から検討いただいたものと思う。この報告書を、オブザーバーとして参加している各省庁も共有していただき、具体的な施策に一緒に取り組んでいただけるとありがたい。「何が足りないのか」という指摘については、そもそも取組みが始まったのが産業界と大学間の需給ギャップを埋めていくためであり、先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムの学生数は最大でも200人ぐらいの規模であり、直近の需給ギャップだけでも1500人という話があることを考えると、この人数分、産業界から教員を派遣できるかは厳しい状況にある。いかに産学官が連携して教員の養成を図るかという課題も含め、ナショナルセンターのようなところで取り組んでいくかが今後の課題ではないか。
    • 十数年前から皆が人材育成を行っているが、産業界からは満足の声が出てこない。どこかアプローチに問題がある。お互いに学び、教え合うことを考える必要がある。先生と学生が対等でやる場を作らねばならない。これまでのアウトプットは教科書であり、それを配って教育方法を普及させて終わりであった。それで学生は育ったか。なぜ人が育たないのか、知恵を出さないと同じ結果になる。若者は吸収力が高いので、こうした場を見せれば飛びついてくる。それをいろいろな制度でバックアップすればよい。そういうことを考えるのがナショナルセンターだと思う。
    • 多くの大学の先生は、学生と付き合って、ディスカッションをしている。
    • 「新たな育成の場のイメージ」について、新卒だけでなく社会人や留学生が学び合う環境をつくるのは非常によいと思うが、そこへの参加が給与に反映されていく仕組みをどのように作るかという点の提言がやや弱いのではないか。また、大学における学位の問題については、研究中心とか問題点の指摘だけではなく、解決方法まで示すほうがよいと思う。今ないものをつくるためには、そこに集まる人達にとっての魅力が必要である。
    • ITスペシャリスト育成推進プログラムやITSSなど、既存の取組みの成果の上に積み重ねていけるよう進めて欲しい。
    • 准教授などを1年間企業に派遣し、プロジェクトに従事させることを考える際、派遣中に研究成果がないことから終了後に大学に戻る場がなくなるのではないか、という問題がある。
    • 専門職大学院といっても、通常の大学院同様の問題があり、企業で行われている教育に学生を派遣して修了しても単位には組み込めないなどの問題がある。また、大学では教育の体系化を目指しがちだが、それでは最先端の知識に対応していくのが難しくなる。大学でのノンディグリープログラムを増やしていき、単位認定ではなく、サーティフィケーションを行うのも1つの方法だと思う。
    • 企業への派遣が単位と認められるかどうかは、それぞれの大学のカリキュラム内でどのように位置づけられるかによる。3〜5ヶ月程度の長期インターンシップに単位を認めている例もある。
    • こうしたことが自由にできるようになれば、A社の事業とB社の事業を組み合わせて1つの教育体系を作るなど、カリキュラム資源が無限に増える。
    • 経団連の提言のナショナルセンターの趣旨は、これまで行われてきた様々な取組みの成果をここに集約して宝の山にしたいということだと思う。また、専門職大学院については、既存のしがらみのないところで、新たな教育の場として実験的な教育を行いたいということだと思う。
    • 報告書の中に、文部科学省やIPAなどの活動による資産を含めてとか、連携して、という文言があった方が、ここ単独で実施するという誤解がなくなるのではないか。
    • 専門職大学院でも普通の大学院でも、既存の学位の仕組みを使ったのでは、うまくいかないのではないか。ナショナルセンターは広域研修センターと考え、1年間学んだ学生にサーティフィケートを出すことにしてはどうか。既存の大学院からナショナルセンターに在席する学生を派遣し、ナショナルセンターで学んだ学生に対しては既存の大学院が単位を与え、学位を与えるというしくみの方がよいのではないか。
    • 企業から教員を出してもらうためには、新たな学びの場で教員をしながら、ドクター論文を書ける仕組みが欲しい。また、既存の大学から学生を派遣し、当該大学のディグリーを取って帰ってもよい。若手の教員が企業の人たちと闘ってもよい。先生も学ぶし学生からも学ぶ。そういう仕組みが中立的にできるとよいと思う。
    • アメリカのある大学の取組みで、教える内容をスキルレベルまで落とし、授業がどういうスキルユニットで構成されているかまで落として、その内容はどこの大学で学んでも、最終的にこの大学が学位を出すものがある。ナショナルセンターが大学院機能を持つなら、そうした思い切った考え方もある。
    • 学生が本当に興味があることであれば、制度の運用でできる面は相当あるので、やり方次第だと思う。ナショナルセンターは、学生が本当におもしろいということを打ち出していくべき。
    • 高度ICT人材の育成のための様々な取組、スキルの見える化、大学における工夫、PBLの試みなどが単発で終わっていて、積み重ねができる仕組みがないことが、問題だと思う。ナショナルセンターは、いろんなテーマについて、議論し、教育ノウハウを蓄積し、発展させる場としての意義があり、そこを強調すべき。
    • 大学の取組みは、最近だいぶフレキシブルにやれるようになっている。学生にとって魅力的な授業科目にすることも、大学側のやる気によって以前に比べてやりやすい環境になっていると思う。
    • ICTは国境がない技術であり、海外との交流は大きなテーマの1つである。「新たな育成の場」に、「外国からの留学生など、多様な人材が集まり・・・」とあるが、国際的な広がりが、この部分にとどまっていないか。海外から来てみようと思える魅力があるような運営、コンセプトが必要。また、社会人が高等教育機関との間を行き来できる仕掛けは非常に大事であり、大学を何年以内に卒業しなければいけないとか、10年前の単位は有効なのかとかの問題が、クリアになるとよい。また、高度ICT人材の予備軍である中学生や高校生への何らかの手当も必要だと思うので、触れられていてもよいと思う。
    • 報告書をまとめる際には、あまり分量を増やしすぎると、フォーカスが分からなくなる心配もある。
    • トップの意識が変わらないと企業は変わりにくいので、トップの意識が大事。現場に近くなればなるほど、講師の派遣等を行いにくいなど現実的な話になってしまうので、トップダウンでしっかりやるという意識が必要。
    • その点では、高度ICT人材育成に向けた取組の基本方針の(2)の産業構造や人材育成環境の問題は、産業界が考えないといけない問題と十分に認識している。
    • 産業構造については、どのように国際的に合わせていくか、独自性をどこで残すかという問題が避けられず、検討するなら本格的な議論が必要である。
    • 我が国の企業が、ベトナムやインド、中国など海外に大学を作っているが、日本人が行くことを期待しているのか。
    • 現地人材の育成のために連携を深めている側面があるが、複合した課題もある。
    • 報告書は、日本の中における高度ICT人材の育成にしぼりたい。
    (3) 報告書案については、事務局および座長に一任する旨の了解があった。また、事務局から今後の予定として、報告書案については意見招請を実施し、その後、再度研究会を開催し、最終的に報告書をとりまとめる旨の説明があった。
    (4) 閉会
以上


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