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「IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」
(第2回)議事概要

1 日時
  平成14年9月13日(金) 午後4時40分〜午後6時30分

2 場所
  総務省 第一特別会議室 (中央合同庁舎2号館8階)

3 出席者(敬称略)
(1)  構成員
 齊藤 忠夫 座長、醍醐 聰 座長代理、磯辺 浩一、大谷 和子、加藤 彰一、黒川 和美、佐藤 治正、清藤 正、田村 次朗、中空 麻奈、根岸 哲、米澤 明憲(欠席 三邊 夏雄、立花 宏)
(2)  オブザーバ
 有馬 彰(NTT東日本)、井崎 直次(ニフティ)、江部 努(NTT西日本)、加藤 義文(日本電気)、木全 紀元(Jフォン)、桑田 昭(東京電力)、櫻井 浩(日本テレコム)、庄司 勇木(イー・アクセス)、高瀬 充弘(NTTコミュニケーションズ)、滝沢 光樹(テレコムサービス協会)、塚本 博之(東京通信ネットワーク)、藤野 利行(KDDI)、田辺 治(公正取引委員会事務総局)、(代理 飯田 修久(C&W IDC)、富永 寛(NTTドコモ))(欠席 青木 敏(電算))
(3)  総務省
 鍋倉 眞一 総合通信基盤局長ほか

4 議事概要
(1)  今後の検討に当たっての論点及び関係者ヒアリングについて
 海外事例、今後の論点(案)、関係者ヒアリング等について、資料1−1・資料1−2「今後の検討に当たっての論点について(案)」、資料2「構成員及びオブザーバから提出された論点(案)に関する意見」、資料3「関係者ヒアリングについて(案)」、資料4「諸外国の動向について(その2)」及び参考2「英国OFTELの消費者アンケートについて」に基づき、総務省から説明が行われた後、構成員及びオブザーバ間で意見交換がなされ、大要次のような意見等が出された。

 研究会の目的と検討範囲等について
 構成員より「現行制度上、事業法に基づく非対称規制では加入電話及び携帯電話の各市場における市場支配力を検証するとともに、NTT法に基づく活用業務の認可に当たって公正競争確保に支障をおよぼすおそれを検証することとされている。それら現行制度の評価については、本研究会の第2の目的たる「競争評価手法そのものの評価」に含まれているとの理解でよいか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「第1の目的たる「実践的評価手法についての研究」に含まれつつ、第2の目的にも該当すると考えており、従来のドミナント規制や接続規制と今後行う競争評価との関係についても議論いただきたい。」との回答があった。
 構成員より「競争評価の結果、料金・契約約款の作成・公表義務が課せられるのは、市場評価の単位としてのサービスか、それとも事業者か。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「市場画定の対象となるのは電気通信サービスであり、画定された当該市場の評価の結果、市場支配力を有すると見なされるのは単独又は複数の事業者。」との回答があった。
 構成員より「電気通信サービスはエンドユーザとインフラとの間の部分に該当すると一般的には捉えるが、現状ではそれだけとも限らず、その点を明確にしないと、規制の対象に関する疑問が解決できない。現状を理解した上で、過度に複雑化しないよう、今後の議論を通じ、実践的に整理していきたい。」との主旨のコメントがあった。

 競争評価の視点等について
 構成員より「誰のための競争評価か明確にすべき。新技術が続々と登場してくる時代に、技術移転に要する社会的コストは最終的に料金として消費者が負担することとなるため、いかに小さな社会的コストで技術移転できるのかに関心がある。」との主旨の意見があった。これに対し、事務局から「競争進展によるサービス多様化・料金低廉化など直接的な消費者利益と、電気通信の他産業への活用による電気通信市場の活性化など間接的な消費者利益があるが、最終的には消費者利益の確保が目的。」との主旨の回答が、また他の構成員から「技術移転の社会的コストの最小化は重要だが、技術的に優れていてもユーザが許容しない場合も実例として数多くあり、要はその技術により提供されるサービス・アプリケーションの優劣如何。事業者の創意工夫による自由な事業展開を容易にするよう、産業育成の観点からの市場評価も必要。」との主旨の意見があった。
 構成員より「勃興期においては、参入・退出事業者数は市場への参入障壁の指標になるだろうが、それのみをもって有効競争の結果とは言い難い。また、勃興期は技術的にいわば未知の世界であり、消費者の視点は欠落することとなる。時間軸の観点からの評価が必要であり、勃興期と普及期を分けて考えるべき。」との主旨の意見があった。これに対し、他の構成員から「参入・退出事業者数は単にその数字を見るだけでなく、個別事例の分析が必要。」との主旨の意見が、また他の構成員から「時間軸の観点は必要であるが、競争の持続可能性に配慮することも必要であり、独占状態が持続するのは何らかの要因があると考え、それについての分析は必要。」との主旨の意見があった。
 構成員より「問題のある事業者は市場に参入できない方が国民の利益に適うと考えるが、事前規制はない方がよいと考えるか。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員から「ただ単に競争を促進することが国民の利益に適う施策とは言えず、市場の失敗を是正する規制は必要だが、基本は事業者の自由度を高め、参入障壁を下げるためのボトルネック性の排除と認識している。」との主旨の回答があった。

 競争評価の位置づけ等について
 構成員より「競争評価は規制緩和のトリガーとして捉えており、それ自体は中立的。ただし、競争評価の結果に基づく具体的な政策では、参入障壁を除去するための規制強化も有り得る。」との主旨のコメントがあった。
 構成員より「競争評価は変化著しい電気通信市場における新サービスの登場に柔軟に対応するため、競争促進の観点から必要な規制を円滑に導入するとともに不必要な規制を廃止していくという規制のスクラップ&ビルドの手段と認識。競争評価の実施に当たっては、1)定期的又は2)申立をトリガーとして不定期に実施するという2つの考え方がある。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員より「事前に行う競争評価と事後的な競争評価では性質が異なる。」との意見があった。

 独占禁止法に基づく市場画定との関係について
 構成員より「競争評価手法そのものの評価については、慎重に検討しないと現状との齟齬が生じる可能性あり。事前に市場を安直に画定すると、独禁法で行う市場画定と差異が生じる可能性があり、事業者にとって、競争促進措置ではなく、競争を困難にする危険性あり。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員より「その指摘は非常に重要。これまでと同様の手法がうまく機能するか予想は困難であり、慎重な議論が必要。」との意見があった。
 オブザーバより「現在の独禁法の体系に基づく市場結合の審査においては、事前に市場画定するのではなく、事後的に企業合併が行われる市場をその都度画定するものであり、本研究会で画定される市場と異なる可能性があることに留意すべき。」との主旨の意見があった。
 構成員より「市場における競争の実態を把握することが最も重要であり、理論的には、競争法と同じ手法で市場を画定すべき。法律上、規定は異なることになるかも知れないが、運用面において総務省と公正取引委員会が連携し、可能な限り独禁法との整合性を確保することが必要。」との主旨の意見があった。
 構成員より「独禁法との関係については、今後議論していくが、電気通信の専門性、過去のデータの蓄積等に鑑み、料金・契約約款規制等は総務省が行うことになるのではないか。ただし、両者の役割分担の議論は必要かも知れない。」との主旨のコメントがあった。

 その他
 構成員より「料金・契約約款の作成・公表は、消費者への情報提供が強化されるなど一定の場合には不要とするとのことだが、消費者への情報提供については、具体的に検討を進めているのか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「本研究会は競争促進のための評価手法を検討する場。消費者への情報提供等一連の政策パッケージについては今後の事業法改正に含まれる内容と承知しているが、まだ説明できる状況には到っていない。」との回答があった。
 構成員より光ファイバ、ADSL等の普及予測についての質問があり、これに対し、他の構成員より当該普及予測についての検討の経緯、予測方法等についての回答があった。
 構成員よりADSLに関する通信速度の表示について質問があり、これに対し、オブザーバより「実際に使用してみないと通信速度が分からないというADSLサービスの特徴から、ADSLの通信速度の表示はあくまでも最高速。競争上の副産物としての利用者保護については、事業者から提案するのではなく、行政が方向性を示すべき。」との主旨の回答があった。また、他の構成員より「インターネットはベストエフォートなサービスであり、従来の加入電話のようなギャランティードサービスとは異なる。このようなインターネットの特徴を消費者が理解することも重要。」とのコメントがあった。
 構成員より「「競争評価の結果と政策措置の判断の対応関係を透明化する手法」に対応する論点案も提示すべき。」との主旨の意見があった。

 次回会合において、資料3の進め方に基づき関係者ヒアリングを行うこととなった。

(2)  その他
 次回会合は、10月1日(火)午後2時から開催することとし、詳細については事務局から別途連絡することとなった。


以上




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