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「IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」
(第4回)議事概要

1 日時
  平成141021日(月)午後2時〜午後4時10

2 場所
  総務省 第一特別会議室 (中央合同庁舎2号館8階)

3 出席者(敬称略)
(1)  構成員
 齊藤 忠夫 座長、醍醐 聰 座長代理、磯辺 浩一、大谷 和子、加藤 彰一、清藤 正、佐藤 治正、三邊 夏雄、立花 宏、中空 麻奈、根岸 哲(欠席 黒川 和美、田村 次朗、米澤 明憲)
(2)  オブザーバ
 青木 敏(電算)、有馬 彰(NTT東日本)、井崎 直次(ニフティ)、加藤 義文(日本電気)、木全 紀元(Jフォン)、桑田 昭(東京電力)、櫻井 浩(日本テレコム)、庄司 勇木(イー・アクセス)、高瀬 充弘(NTTコミュニケーションズ)、塚本 博之(東京通信ネットワーク)、藤野 利行(KDDI)、リサ・スーツ(C&W IDC)、田辺 治(公正取引委員会事務総局)、(代理 会田 雄一(テレコムサービス協会)、富永 寛(NTTドコモ)、吉松 康夫(NTT西日本))
(3)  総務省
 鍋倉 眞一 総合通信基盤局長ほか

4 議事概要
(1)  論点整理について
 論点整理及び今後の進め方について、資料1「論点整理(案)」及び資料2「検討スケジュール(案)」に基づき、総務省から説明が行われ、また、資料3「事業者の事前規制廃止に関する懸念について」に基づき、齊藤座長から説明が行われた後、構成員及びオブザーバ等の間で意見交換がなされ、大要次のような意見等が出された。

 研究会の目的について
 構成員より「競争評価の目的は、利用者利益の最大化のために市場原理を補完する公正競争環境を整備するものと理解しており、事務局案のデタリフ化のための競争評価のみが目的では競争評価を矮小化。本来的な意味での競争評価についても検討するのであればその旨を明記すべき。」との主旨の意見があった。
 構成員より「競争促進と規制緩和は、いわばメダルの両側であり一体。その片方しか示していない事務局案では議論の矮小化を招きかねず、再整理すべき。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員より「競争促進と規制緩和は常に一体とされるものでなく、新規参入を促進し、新たなビジネスを創出するための規制緩和もあるという点に留意が必要。」との意見があった。
 構成員より「競争促進と規制緩和は、必ずしも一体でなく、状況に応じてそれぞれ使い分けるべきツールと認識。」との主旨の意見があった。
 事務局より「研究会の目的については、議論を矮小化させぬようご指摘の方向で再度整理したい。」との回答があった。

 研究会の進め方について
 構成員より「有効競争を機能させるための公正競争環境の整備は必要であり、これによって有効競争が機能するようになれば、結果として規制緩和に結びつくもの。これまでの情通審IT特別部会、ビジネスモデル研究会の議論では、このような観点に立ち「有効競争レビュー」の導入について提言。本研究会では、差し当たって必要なデタリフ化のための競争評価手法の検討を行った後、本来的な意味での「有効競争レビュー」の検討も行うという主旨で、「当面、前者の検討を行う」と記述していると理解してよいか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「そのとおり。デタリフ化のための競争評価手法は目的も明確であるため、年内にその検討を行い、そこでの問題点や考慮すべき事項等を踏まえ、来年6月までに競争環境の整備及び行政の透明化のための競争評価の在り方についての検討を行いたい。」との主旨の回答があった。
 構成員より「当初は本研究会の目的を広めに考えていたが、デタリフ化の判断基準を決めていくのであれば議論も容易。限られた時間の中で効率的に議論を進めるためには妥当な方法であり、当面、ケーススタディと並行してこの方向で進めていけばよい。資料1の論点整理で項目としては網羅されており、抽象論に終始しても議論が収束しないので、具体例を織り交ぜつつ、一般論にフィードバックしていけばよい。資料3については、市場画定の際に考慮すべき事項であり、これまでの議論と異質ではない。BLECの問題についてもテナントの入居の際の情報提供でクリアできる可能性があり、広い意味で市場画定の範疇に含まれる。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員より「資料3は、地理的市場について地域よりもさらに狭い場合もあるという一例。このような現在の懸念・問題や現行法での事例等、具体的なイメージを持って議論しないと、適切な方向性が見いだせないのではないか。」との主旨の意見があった。
 構成員より「具体例がないと議論が進まないという意見に賛成。この点、オブザーバとして参加している事業者から事業展開に当たっての具体的な問題点、不満を洗い出せば、問題が絞れるのではないか。」との主旨の意見があり、これに対し他の構成員より「具体的な問題点を事例として事業者に挙げてもらった場合、議論の収拾がつかなくなる可能性大。」との主旨の意見があった。

 次回会合におけるプレゼンテーション等について
 事務局より、次回会合において、消費者の視点等について消団連の磯辺構成員から、英国有効競争レビュー等についてオブザーバのC&W IDCから、独占禁止法における競争評価等についてオブザーバの公取委から、それぞれプレゼンテーションが行われる旨の説明があった。
 構成員より「次回会合でのプレゼンテーションも、それぞれ別々の論点では議論しにくいので何か項目を絞るか、事務局からケーススタディを示すべきではないか。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「具体的なイメージを持って議論できるよう、プレゼンテーションの内容について対象者と相談していきたい。また、事務局としても具体的な事例のデータ等を示したい。」との主旨の回答があった。
 構成員より「デタリフ化に際しての消費者への情報提供は非常に重要であり、次回のプレゼンでも言及したい。」との主旨の意見があり、それに対し、他の構成員より「消費者の観点については、これまで議論の蓄積がなく、消費者側のデタリフ化に対する問題と懸念をプレゼンテーションいただくのは有意義。」との主旨の意見があった。
 構成員より「1)英国では有効競争レビューを誰が行うのか。競争評価レビューの実施主体とそれに基づく規制の判断主体は別か。2)英国の有効競争レビューもSMP・MIの認定を行うのではないか。また、それらの認定の判断基準は何か。3)移動体レビューでは、ボーダフォンの投下資本回収率が他社より高いことを論拠としているが、その際のデータ収集方法及び判断のベンチマークは何か。」との主旨の質問があり、これに対し、オブザーバより「1)レビューとその結果の判断の主体は共にOFTEL。なお、OFTEL内のチーム・スタッフとしては異なる。2)SMPの判断基準は、EU新指令に基づき「事業者が競争事業者、顧客そして最終的には消費者とは無関係にふるまう力を有する」こと。3)競争状況を判断する多くの要因の一つが投下資本回収率であり、ボーダフォンと効率的事業者との比較によりそのような結論に到ったと認識。詳細は、次回会合でのプレゼンテーションで回答したい。」との回答があった。
 構成員よりOFTELにおける消費者支援策、紛争処理の第三者機関等について、また、他の構成員よりOFTELの有効競争レビューは社会的に受け入れられているのかについて、次回会合のプレゼンテーションにおいて教授願いたいとの主旨の意見があった。
 次回会合のプレゼン対象者に対して具体的な質問事項があれば、1025日(金)までに事務局まで提出することとなった。

 時間軸の観点について
 構成員より「資料1に「現時点における競争の存在をもって競争的と捉えるべきではないか」とあるが、これは、参入障壁がないことによる「可能性としての競争」に近いこれまでの総務省の考え方から不連続。これは、このような認識の下での記述か。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「本研究会は、客観性、明確性という観点から優れた評価手法を見いだそうとするものであり、現実の認識を基本として、変化の方向でもってそれを修正することを加味することとしたい。」との主旨の意見があった。
 構成員より「現実の認識を基本とすることの客観性という点は理解するが、東西NTTの業務範囲拡大の認可ガイドラインでも、公正競争条件の整備をパラメータとして設定しており、資料1の記述はこれまでの総務省の考え方と不整合。今後の検討にあたり、要因や判断に少なからず影響を及ぼす事項なので、基本的な視点を固めていくべき。」との主旨の意見があり、オブザーバより「ネットワークのオープン化等の公正競争条件の整備によって、参入機会の均等が確保されれば十分。サービス提供面でのデタリフ化について、市場支配力に基づき非対称とする意義が理解できない。」との主旨の意見があった。

 今後の検討スケジュールについて
 構成員より「中間とりまとめの前に意見募集は行うのか。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「意見募集を行った場合、意見の提出が想定される事業者はオブザーバとして多数参加している。その意見を聴取する機会を研究会会合において設定することにより、意見募集と同等の効果があると考えられるため、研究会の開催回数を増やすために意見募集を省略することを想定。」との主旨の回答があった。
 構成員より「議論の透明性、公平性の観点から、本研究会に参加していない事業者の意見も聴取する機会を設定すべきでないか。」との主旨の、また、他の構成員より「中間とりまとめの段階でオブザーバが会合に参加できないのであれば意見募集を行うべき。また、意見募集を行わないなら、会合を公開とすべき。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「会議の非公開は、ケーススタディの過程等において企業秘密を取扱うことを想定し、開催要綱において定めたもの。そのようなことが想定されない年内の会合は公開として支障ない。」との主旨の回答があった。
 構成員より「具体例に基づく議論をこれから行うのであれば、何らかの方向性を示した中間とりまとめを年内に行うことは困難ではないか。もし、年内に中間とりまとめを行う必要があるなら、議論を深めるために会合の回数を増やす必要があるのではないか。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「検討が不十分な事項について、中間とりまとめで一定の結論付けを行うことは想定していないが、年内にこれまでの検討状況をいったんとりまとめていただきたい。今後のスケジュールは再度検討して見直したい。」との主旨の回答があった。

 その他
 構成員より「資料1において、「評価の際に考慮すべき要因」と「判断の際に考慮すべき事項」に分けた理由は何か。指標についても重み付け等の判断に係る意見も出されており、個人的には両者は不可分と思料。」との主旨の意見があり、それに対し、事務局より「前者は指標等の判断材料、後者はそれら判断材料をどう見ていくかということであり、便宜上整理したもの。」との主旨の回答があった。

(2)  その他
 次回会合は11月6日(水)午後2時から開催し、詳細については事務局から別途連絡することとなった。

以上




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