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IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」
(第13回)議事概要

1 日時
  平成15年5月9日(金)午後2時〜午後4時00

2 場所
  総務省講堂 (中央合同庁舎2号館地下2階)

3 出席者(敬称略)
(1)   構成員
  齊藤 忠夫 座長、醍醐 聰 座長代理、大谷 和子、加藤 彰一、佐藤 治正、清藤 正、中空 麻奈、米澤 明憲(欠席 磯辺 浩一、黒川 和美、三邊 夏雄、根岸 哲、立花 宏、田村 次朗)

(2)   オブザーバ
  加藤 義文(日本電気)、木全 紀元(Jフォン)、櫻井 浩(日本テレコム)、庄司 勇木(イー・アクセス)、ジョナサン・サンドバッチ(C&W IDC)、高瀬 充弘(NTTコミュニケーションズ)、滝沢 光樹(テレコムサービス協会)、塚本 博之(パワードコム)、辻村 清行(NTTドコモ)、田辺 治(公正取引委員会事務総局)
 (代理 尾崎 秀彦(NTT東日本)、加藤 高明(東京電力)、木村  孝(ニフティ)、篠原 聡兵衛(KDDI)、吉松 康夫(NTT西日本))
 (欠席 青木 敏(電算))

(3)   総務省
  有冨 寛一郎 総合通信基盤局長ほか

4 議事概要
(1)   報告書(案)について
  資料1「「IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」報告書(案)」及び参考「報告書(案)ドラフト(第12回会合配付資料1)に対してオブザーバから寄せられた意見」に基づき、事務局より説明が行われた後、構成員及びオブザーバの間で意見交換がなされ、大要次のような意見等が出された。

  資料1 第3章について
  オブザーバより「資料1p15(2)について、最終的には運用の問題ではあるが、アドホックな競争評価を頻繁するようでは、本来の定点観測の意味がなくなり、また、ある意味では紛争処理的な事態も想定されるので、仮に案文どおりとした場合でも、運用はある程度謙抑的にすべき。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「ガイドラインやキックオフ・ドキュメントにおいて競争評価の対象分野が毎回異なるのは、定点的・定期的な競争評価という観点から問題があるという指摘と理解。それらの意見公募では、対象分野の特定についても意見を募集することが想定されるので、文章をあえて修正しなかったもの。」との主旨の回答があった。
  これに関し、構成員より「資料1p15(1)の意見公募の中で事業者の意見がある程度反映されるので、(2)については、よほど緊急的なことが起こらない限り想定していないという理解。」との主旨の意見があり、これに対し、同オブザーバより「ご指摘のとおり、それが総務省又は学識経験者の判断で合理性が認められるという場合に緊急かつ特別に扱うという、いわば例外的な項目であるという理解であれば結構。」との主旨の意見があった。
  オブザーバより「資料1p15(2)2ポツの選定基準としての参入障壁の説明について、有効競争が機能していない蓋然性の高い対象から選ぶことと併せ、これまでの研究会の論調に合わせて、例えば競争が有効に機能している蓋然性が高いにもかかわらず、現行の規律とミスマッチが生じているようなケースもぜひ優先的に競争評価を実施する旨、並列的に例示願いたい。」との主旨の意見があった。
  構成員より「競争評価は、規制の見直しの方向性からニュートラルに実施すべきであり、そのようなトーンで報告書全体が統一されている方がよいと考える。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「選定基準は客観的・外形的なものであるべきと考えており、参入障壁が明確でないという主旨であれば、当該基準を削除しても、意見公募を積極的に取り入れているので別段大きな影響はないと考える。」との主旨のコメントがあった。
  構成員より「規制緩和が進んでいない分野も競争評価の対象とすることはよいが、客観的な選定基準としてどのように記述すればよいかということが事務局の懸念と理解。」との主旨の意見があった。
  構成員から「参入障壁が存在する場合に加え、従来の参入障壁が相当低下した、又は解消されたということを追記すれば、バランスがとれるのではないか。」との主旨の意見があり、これに対し、オブザーバより「そのような記述であれば妥当。」との主旨の意見があった。
  以上の議論を踏まえ、資料1p15(2)2ポツの記載を修文することとなった。

  資料1 第4章について
  事務局より「地理的市場の画定に関する方向性について記述の内容が踏込み過ぎという理由から該当部分を削除すべきという意見については、1)地理的市場は本報告書(案)でも重要な論点の1つであること、2)市場画定の段階と競争状況の評価の段階は峻別すべきであり、レバレッジ又はボトルネック性に起因する影響力は競争状況の評価の際に考慮すべき事項という理由から反映していない。」との主旨のコメントがあり、これに対し、オブザーバより「2)については了解。1)については、地理的市場の画定に関する具体的方法についてどれだけ深く議論がされていたのかという、ある種の問題提起という趣旨であり、原案のとおり意見募集を行っても異論はない。ただし、意見募集の際に改めてコメントするかも知れない。」との主旨の回答があった。
  事務局より「地理的市場の画定の在り方は今後模索すべき問題である点は異論ないが、本研究会で議論したにもかかわらず、今後の検討課題であって何も議論されてないという形の取りまとめは不適切と思料。」との主旨のコメントがあり、これに対し、構成員より「地理的な要因については、競争状況に大きく影響する問題という観点からは何回か議論したが、具体的にどのようなサービスをどのような地理的区分で取り上げるべきかというところまでは具体例をもって結論が出ているわけではない。この点、原案の記載は、議論を尽くして一定の結論付けを行っているものではなく、議論があった点についてまとめているという理解。」との主旨の意見があった。これに対し、オブザーバより了解する旨の回答があった。

  資料1 第5章について
事業者間の変更障壁について
  構成員より「携帯電話のナンバーポータビリティは、事業者間の競争の観点から、実質的に大きな障壁になっているのではないかという印象を持っている。」との主旨のコメントがあり、これに対し、オブザーバより「総務省で携帯電話のナンバーポータビリティに関する勉強会を開催しており、我々も参加している。同勉強会では、それに要するコストの算定、当該コストを負担することとなるエンドユーザーが便益を得られるのかどうかという点について議論していると理解。」との主旨の回答があった。
  構成員より「ナンバーポータビリティが確立されている固定電話の場合は、どの程度のコストが発生しているのか。」との主旨の質問があり、他の構成員より「エンドユーザが払っている電話料金の0.01%程度と認識。ただし、固定電話の場合は、ナンバーポータビリティの利用者がごく少数。携帯電話の場合は、不正確であるが、おそらく2けたぐらい大きなコストが必要。」との主旨の回答があった。
  これに関し、オブザーバより「固定電話と異なり、携帯電話では事業者を変更する利用者が多い。例えば、新規加入者の6割程度が事業者変更であり、しかも、さらに変更を重ねる利用者も多く、そのような利用者をどのように追跡していくのか等、複雑な問題が発生する。総務省の勉強会では、消費者の観点からナンバーポータビリティの重要性を十分認識した上で、このような問題を含め、現実的な解決方策とそれに要するコストを研究中と認識。」との主旨のコメントがあった。

ストックとフローのシェアの取扱いについて
  オブザーバより「フローをどのように取扱うのかという点は、競争評価の実践段階に於いて議論すべきであって、報告書の中で予見的にその性格を記載する必要があるのか、また、研究会としてのコンセンサスなのか疑問。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「時間軸の観点から指標の読み方を変えるべきでないという意見なら理解できるが、そもそも実際にやってみなければわからないのだから、一定の結論付けは示すべきでないという指摘は研究会報告書の取りまとめ段階では不適当と思料。」との主旨のコメントがあった。
  これに対し、構成員より「これまでの議論の蓄積として記載するのであれば、もう少し一般的に、シェアの中でストックとフローの重点の置き方、優先度については、時間軸ごとにどのように考えればいいかについては今後検討が必要であるという程度の記載にとどめた形で良いのではないか。」との意見があった。
  以上の議論を踏まえ、事務局にて修文することとなった。

他の修文意見について
  構成員より「資料1p43「いわゆる『揺籃期』」に係る記載について、「シェアを重視するあまり競争が有効に機能していない市場と判断するのは早計に過ぎる面がある」とあるが、競争が機能していないことは現実として事実であるので、誤解がないように修文すべき。ここでの主旨は、例えば「シェアを重視するあまり先行事業者の活動を早急に規制しようとするのは適当ではない」ということ。」との主旨の意見があった。
  構成員より「図表5−1−1では、備考欄に指標が定量的なものか定性的なものか記載しているが、利用者の利益や行動に関わる事項だけ、アンケートという指標の取得方法について記載されており、その意図が伝わりにくいので、修正すべき。」との主旨の意見があった。
  以上の指摘を踏まえ、事務局にて修文することとなった。

その他の意見について
  オブザーバより「データ収集に関する意見は、報告書(案)の書きぶりではなく、実際の運用の問題として様々な課題があるのではないかということを問題提起するもの。データ収集の際、画定された市場で事業活動を行っている事業者は公平に情報を求められ、かつ、その仕組みは透明にすべき。ある社は多くの情報が公開されているので多く収集できたが、他の社は別の事情でそのデータは収集不可能ということになると、競争評価が非常に歪になると思料。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「意見公募等を通じて改めて意見を頂くことになると考えているので、ここでは特に細かく記載していないが、ご指摘の問題の所在は十分認識。」との主旨のコメントがあった。
  構成員より「利用者の満足度に関する苦情の取扱いは、市場の成熟度によってクレームも変わり得ると考えるので、オブザーバからの修正意見のように初めから一定の結論付けを行うのは不適当であり、事務局の原案どおりが適当。また、利用者が得る情報の十全性については、指標にしづらいという点はこれまでの議論のとおりであり、利用者の主観を指標化するに当たっては方法的にはいろいろと課題があるという指摘は理解。しかしながら、事業者が適切に情報提供しているかどうかについては何らかの方法で把握する必要があり、事業者側の情報提供についての考え方を今後の課題も含め整理すべき。」との主旨の意見があった。
  これに対し、事務局より「まさにご指摘の問題意識から、事業者が情報を提供しているという行為のみでは不十分で、報告書(案)には、利用者が必要な情報として認識をしているかどうかということが重要という主旨を記載しているところ。」との主旨のコメントがあり、同構成員より了解する旨の回答があった。

  資料1 第6章について
実施体制等について
  構成員より「6−2について、総合的な評価が必要な場合、利用者代表や学識経験者の参加を求めるのが望ましいという記載は、具体的に制度が動き始めたときのことを指しているのか、また、そのような方法以外が想定されるのかについて補足説明願いたい。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「ご指摘の点については、構成員から頂いた意見をそのまま頂戴したもの。」との主旨のコメントがあった。
  構成員より「ガイドラインを策定する際の体制についても追記した方がよいのではないか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「ガイドラインの策定に限らず、競争評価のサイクルでも、学識経験者や消費者代表等の専門的な知見を反映する仕組みにしたいと考えている。」との主旨の回答があった。
  構成員より「この利用者、学識経験者等の参加を求めるという記載の主旨は、総合評価が必要な場合のみにアドホックに求めるということではなく、定点的な競争評価を実施するのであればスタンディングな体制として実施していくというもの。」との主旨の回答があった。

情報収集等について
  構成員より「競争評価の実効性を高めるためには、どれだけ客観的な判断ができるか、また、一連のフローの簡素化が重要となる。加えて、データ収集が極めて重要となるので、例えば、事業者に協力を求めることがあり得るという点について記述しておくべき。」との主旨の意見があり、これに対し、他の構成員より「その点については、ガイドラインやキックオフ・ドキュメントに関する記述で既に言及されている。」との主旨の意見があった。
  構成員より「総務省への報告義務又は情報の公表義務が課されている事業者とそれ以外の事業者が混在する中、競争評価を実効性のあるものにするためには、後者について配慮しつつも、非対称的な情報収集はなじまないのではないか。」との主旨の意見があった。

今後のスケジュール等について
  構成員より「競争評価の実施に向けたより具体的なスケジュールのようなものを盛り込めればよりよい。」との主旨の意見があり、他の複数の構成員からも同主旨の意見があった。
  これに対し、事務局より「競争評価の具体的な実践に当たっては、結局、業務量、人員等の体制との相対で検討する必要があり、非常に実務的な話となる。このため、報告書をまとめる段階において、大凡のスケジュールについては言及できても、それを具体的に裏づける行動計画的なものをまとめるのはタイミング的に困難。」との主旨の回答があった。
  構成員より「厳密なプログラムの策定は困難でも、大凡のスケジュールを示すだけでも非常に意味がある。このため、パブコメ後、総務省としてガイドラインの策定はいつ頃までに実施する等、可能な範囲で提示願いたい。」との主旨の意見があった。
  以上の議論を踏まえ、事務局にてスケジュール等を可能な範囲で検討することとなった。

その他の修文意見について
  構成員より「資料1p45の「もとより重要なのは、研究会の報告書自体ではなく、それを土台として」との記述は、余り自虐的になることもないと考えるので、「もとより重要なのは、研究会の報告書を土台として」等に修文すべき。」との主旨の意見があった。
  以上の指摘を踏まえ、事務局にて修文することとなった。

  報告書(案)については、本日の議論を踏まえ、事務局にて早急に修文案を作成し、構成員に照会の上、速やかに公表・意見募集を行うこととなった。


(2)   その他
  第14回会合については、意見募集終了後開催することとし、詳細については事務局より別途連絡することとなった。


以上




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