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IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」
(第14回)議事概要

1 日時
  平成15年6月17日(火)午前10時〜12時10分

2 場所
  総務省地下2階 第1〜第3会議室(中央合同庁舎2号館地下2階)

3 出席者(敬称略)
(1)   構成員
  齊藤 忠夫 座長、醍醐 聰 座長代理、磯辺 浩一、大谷 和子、加藤 彰一、黒川 和美、佐藤 治正、清藤 正、田村 次朗、根岸 哲、米澤 明憲(欠席 三邊 夏雄、立花 宏、中空 麻奈)

(2)   オブザーバ
  青木 敏(電算)、石津 浩二(KDDI)、加藤 義文(日本電気)、木全 紀元(Jフォン)、櫻井 浩(日本テレコム)、庄司 勇木(イー・アクセス)、滝沢 光樹(テレコムサービス協会)、辻村 清行(NTTドコモ)
(代理 飯田 修久(C&W IDC)、尾崎 秀彦(NTT東日本)、木野 雅志(NTTコミュニケーションズ)、木村 孝(ニフティ)、本多 隆之(パワードコム)、吉田 哲也(東京電力)、吉松 康夫(NTT西日本)、梶谷 利明(公正取引委員会事務総局))

(3)   総務省
  有冨 寛一郎 総合通信基盤局長ほか

4 議事概要
(1)   報告書(案)について
  本研究会の報告書(案)に対して寄せられた意見を踏まえた同報告書(案)の修文等について、資料1「IP化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」報告書(案)、資料2「寄せられた意見を踏まえた報告書(案)の主な修正箇所(案)」、資料3−1「報告書(案)に対して寄せられた主な意見とそれに対する考え方」、資料3−2「報告書(案)に対して寄せられた意見とそれに対する考え方」及び資料4「報告書(案)に対する意見募集に寄せられた意見」に基づき、事務局より説明が行われた後、構成員及びオブザーバの間で意見交換がなされ、大要次のような意見等が出された。

  目的について
  構成員より「本研究会の研究に基づく競争評価が実施される際には、個別分野における既存の制度運用について、法改正を待たずとも運用基準レベルで整合性を確保し、行政としての首尾一貫性を確保することが必要。報告書本文を修正する必要はないが、寄せられた意見に対する考え方にその旨を明記してはどうか。」との主旨の意見があり、これに関し、他の構成員より「本研究会では新しい知見や手法について議論を重ねてきたのだから、同種の過去のガイドライン等との整合性について言及してもよいのではないか。」との主旨の意見が、また、その他の構成員より「競争評価の方法論については、今後の実践を通じて、ブラッシュアップを図っていくべきものであり、また、今般の競争評価のみによって全てが決定されるはずもない。しかしながら、個別分野については、その都度個別に対応してきたが、競争評価手法が確立されれば、将来に向けて、それらをより良いものに改善していくのは当然。」との主旨の意見があった。
  これに対し、事務局より「1つの省が行う政策間で、何らかの調整・整合を図ることは当然と考える。」との主旨のコメントがあった。
  以上の議論を踏まえ、資料3−1「1 目的」についての意見に対する考え方について、事務局にて修文案を検討することとなった。

  インフラ市場の競争評価について
  構成員より「ボトルネック設備のオープン化については、事務局から本研究会の研究に基づく競争評価ではなく情通審において見るべきものという説明があり、そのとおりと考えるが、資料3−1の考え方は当該設備のオープン化の状況について判断を下しているように読めるのではないか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「同資料では、当該設備の「オープン化が進展している状況」においては、インフラサービス市場の状況と無関係に、利用者向けサービス市場の競争状況を評価できると記載しているのみであり、当該設備のオープン化の状況について価値判断を下しているものではない。」との主旨の回答があった。

  地理的市場の取扱い、データの収集等について
  構成員より「地理的市場に関連して、データをどのように取扱うのかが非常に重要。実際にはそのようなデータはあるが社内的事情から提供できないという話をよく聞く。」との主旨の意見があり、これに関し、他の構成員より「競争評価では、データの収集が大きな重要性を持ち、客観的なデータがないと客観的な評価が困難となる。この点、競争評価に必要となる具体的データについては、パブコメ等を通じて事業者等からの意見を聞く中で、何らかのルール化を図っていくのか。」との主旨の質問があった。
  これに対し、事務局より「本報告書(案)では、抽象的な記述にとどまっているが、現時点では、それが限界と考える。ただし、個々に対象分野を定めて競争評価を実施していく段階では、例えば、キックオフ・ドキュメントにおいて、必要なデータの内容や収集方法等について、関係事業者等の意見も聞きつつ、具体化して参りたい。」との主旨の回答があった。
  構成員より「事業者に対してデータ提供を求める場合には、説明責任の観点から、何のために用いるのかについて明確化が必要。また、事業者がデータ提供を断るのなら、それについても同様の観点から明確な理由が必要。データ収集に当たっては、このような仕組みが必要となるのではないか。」との主旨のコメントがあった。
  構成員より「データの収集については、競争状況の評価のみならず、地理的市場等、市場画定にも関連する事項であり、競争評価のプロセス全般にわたって重要な問題と考える。データの収集可能性・公開性については、現在の章構成では、「5 各論 競争状況の評価」の細目となっているが、競争評価のプロセス全般に係る事項である旨を明確化するため、章構成を再構築した方がよい。」との意見があり、これに対し、事務局より了解する旨の回答があった。
  構成員より「データの収集に当たっては、行政が競争評価に必要となるデータを明確化し、根拠ある形で無駄のないよう配慮するのは当然であるが、事業者もデータを自主的に公開していくような努力が必要。」との主旨の意見があり、他の構成員より同主旨の意見があった。
  構成員より「資料1の42頁の「データの公開性には各事業者によって格差がある(中略)留意が必要である。」との記述に続き、「したがって」と繋いであるが、そのような状況が事実であるにしても、情報収集について各事業者が公平でないのは好ましくないという観点から、その制約にとらわれないという姿勢を明確にした方が良いのではないか。また、「過度な」負担という表現も修正した方がよい。」との意見があり、これに対し、他の構成員より「事業者の負担が「過度」というのは程度問題であり、その判断が困難ではあるが、それへの配慮は当然必要。また、キックオフ・ドキュメント等に対する意見募集を通じて、行政と事業者がデータ提供の在り方について共通の理解を形成していくべき。」との主旨の意見があった。
  これに対し、オブザーバより「弊社からも「過度な要求を避けるべき」という意見を提出したが、それに配慮すべきという趣旨であって、「過度な」という言葉に拘っているわけではない。」との主旨の意見が、また、その他の構成員より「競争評価に必要な限度内でデータを収集するのは当然であり、事務局にて表現を検討願いたい。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より了承する旨の回答があった。
  構成員より「資料1の42頁の「また、その他の法令等に基づく情報公開の内容との整合性に配慮しつつ」との記述については、競争評価においても、現行法令上の情報公開に関する非対称性がそのままコピーされる懸念がある。この点、ガイドラインにおいて、データ収集の根拠としての規範性が明確化されるべきであり、それが可能であれば当該記述は削除しても良いのではないか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より「この記述は、以前の会合において、例えば株式を公開している企業に対して義務づけられた情報公開・開示の内容との整合性についても配慮すべきというオブザーバからの指摘を踏まえ、意見募集前から記載していたもの。ただし、現行基準以上の情報を収集しないという趣旨のものではない。」とのコメントがあり、また、オブザーバより「弊社の主張は、競争評価における情報収集については平等にすべきというもの。」との主旨の意見があった。
  これに関し、他の構成員より「個人情報の保護等、法令に基づく情報公開の内容との整合性を確保するのは当然であり、報告書(案)の記述は誤解を招く可能性があるので、当該記述を削除してはどうか。また、「特定の事業者が競争上不利にならないよう」との記述については、法律上の用語との誤解がないよう、「一部の事業者」等に修正してはどうか。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より了承する旨の回答があった。
  オブザーバより「「地理的市場」と「データの収集」について、大手の事業者ならいざ知らず、中小の事業者の場合、必ずしも地理的データを保有していない場合がある。具体的には、加入数はユーザの登録住所から把握可能であるが、売上はクレジットカードを用いるユーザが多く、地理的データと連動していない。このため、売上高に関し地理的データが必要な場合は、新たに専用のプログラムを作成する必要があり、また、コンテンツ等の他の料金の区別も不可能。このように、中小の事業者の場合、地理的データを提出するのは、実際には難しいことがあり得る。」との主旨の意見があり、これに対し、構成員より「そのような場合には、行政とのやりとりを通して、情報提供が困難な合理的理由を説明し、代替可能なデータを探していくことになるのではないか。」との主旨の意見が、また、他の構成員より「どの事業者も、競争評価の市場区分に100%適合するデータは保有していないと思料。競争評価の実施に当たっては、事業者の過大な負担を避けつつ、合理的に代替可能なデータを提供する等の協力も不可欠なのではないか。」との主旨の意見があった。
  以上の議論を踏まえ、事務局にて、報告書(案)「5−5 競争状況の評価に際しての留意事項」の章構成の再構築について検討するとともに、「(3)データの取得可能性・公開性」について修文案を検討することとなった。

  今後の取組みについて
  事務局より「競争評価の実施に向けたロードマップ(想定)」の配布があった。
  構成員より「競争評価に実施プロセスにおいて、意見募集のほか、学識経験者や利害関係者の意見を聞く旨の記述があるが、例えばヒアリングの実施等、具体的な担保手段について説明願いたい。」との主旨の質問があり、これに対し、事務局より「競争評価の実施については、今後具体化していくものであり、現時点では回答しかねる。」との主旨の回答があった。
  構成員より「競争評価への公取委の参画については、具体的にどのように考えているか。」との主旨の質問があり、これに対し、事務局より「公取委については、例えば、意見募集のスキームでの参画も考えられるが、事前に双方が意見交換する等の方法も考えられる。いずれにしても、公取委側の対応もあるので、現時点では明確には回答しかねる。」との主旨の回答があった。
 構成員より「報告書(案)の内容でなく、今後のロードマップについての要望であるが、競争評価の実施に当たって、例えば、ガイドラインやキックオフ・ドキュメントに関する意見募集の段階で、オブザーバも含め本研究会と同じメンバーが一同に会して議論する機会を設けるよう配慮願いたい。また、競争評価への利用者代表、学識経験者等の参加の具体的な方策について、例えば一定期間の任期を持つスタンディングなメンバーによって構成される委員会の設置等、もう少し報告書で明確化すべきではないか。」との主旨の質問があり、これに対し、他の構成員より「ご指摘の点については、これまでも度々議論になり、相当時間をかけて検討してきたが、消費者団体や学識経験者等の意見を聞くことは重要であるものの、データの秘匿性の確保等の問題があるので、現時点では一定の結論が出ていない問題と思料。現在の報告書(案)は、構成員から提案された文案に忠実な記述となっており、意見募集でも修正すべきとの意見が寄せられていない以上、現時点で修正するというのはいかがなものか。」との主旨の意見があった。
  構成員より「今後総務省で策定されるガイドラインでは、競争評価の実施手順や実施主体も明確化されるという理解でよいか。」との主旨の質問があり、これに対し、事務局より「ガイドラインには、当然そのようなことも記述することになろう。」との主旨の回答があった。

  その他の修文箇所について
  構成員より「資料1の24頁のシェアに関する修文箇所について、「高いシェアの持続が何に起因するのかを定性的な要因を含めて精査する」ことは、シェアに関する記述全体を通じて重要であり、その旨を明記すべき。」との主旨の意見があり、これに対し、事務局より了承する旨の回答があった。
  以上の議論を踏まえ、「5−2(1)1)加入者数や売上高のシェア、その推移」」の記述について、事務局にて修文案を検討することとなった。

  その他の意見について
  構成員より「競争評価を導入するという議論は、サービス、ネットワーク、プラットフォーム等の様々なレイヤーに跨る新たなビジネスモデルの登場に対応するため、設備設置の有無に着目したルールからそのようなレイヤーに着目したルールが必要との認識のもと始まったもの。そのような新しいビジネスモデルの競争が進展する中、垂直統合型の競争時代に対応すべく、従来のルールを大胆かつ速やかに見直す必要があり、報告書(案)には追記するまでもないが、今後、競争評価の実施に当たっては、そのような議論の発端となったレイヤーや垂直統合の問題を十分認識しておくことが必要。」とのコメントがあった。

  報告書(案)については、事務局にて、以上の議論を踏まえ修文案を検討するとともに、海外の最新状況について調査・加筆修正し、構成員への照会の上、報告書として確定・公表することとなった


(2)   その他
  意見募集で寄せられた意見に係わる報告書(案)の修文等については、議論が尽くされたこととされ、よって、本研究会は、本日が最終会合となった。
  総務省の有富総合通信基盤局長から、研究会メンバーに対する謝辞があった。



以上




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