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IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第19回会合議事概要

日時

平成24年5月30日(水) 16:00〜17:50

場所

総務省8階第1特別会議室

出席者

(1)座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2)構成員
会津泉(多摩大学)、荒野高志(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、木下剛(財団法人インターネット協会)、近藤寛人(社団法人電気通信事業者協会)、清水博(財団法人電気通信端末機器審査協会)、立石聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松村敏弘(東京大学)、松本修一(日本ケーブルラボ)、村松茂(財団法人日本データ通信協会)
(3)総務省
桜井総合通信基盤局長、原口電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、古市事業政策課長、二宮料金サービス課長、齋藤データ通信課長、中西データ通信課企画官、田邉データ通信課課長補佐

議題

(1) オブザーバからのプレゼンテーション
・第3次報告書のフォローアップ等
(2) その他

議事要旨


(1) オブザーバからのプレゼンテーション
・資料19-1〜19-6について、KDDI株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社ジュピターテレコム、日本ネットワークイネイブラー株式会社、BBIX株式会社、株式会社TOKAIコミュニケーションズより説明。

○前回の議論を踏まえて、回線事業者、ISP、VNE等の民間の関係者で議論を行った。基本的にAAAAフィルタの対策は短期解であり、IPv6インターネット接続サービスの利用者数を増やしていくことが重要であるという認識であった。関係者の会合では、IPv6普及・高度化推進協議会において、この課題を共有し、解決に向けたロードマップを作っていくことや、IPv6対応の進捗状況の指標として客観的データを取り、公表していくことについて議論した。議論の結果、協議会の中にグループを設置し、この中で具体的な検討を進めていくことについて合意したので、報告したい。

○本研究会での議論がきっかけとなり、ISPをはじめとした各事業主体を含めて、協力関係がより進んでいくというのは良いことと思う。

○参考資料18-2(前回資料18-2)グーグル株式会社の資料について、数値目標に関する記載があるが、この議論の経緯、今後の取扱いについて説明をお願いしたい。

○前回会合の中で、本研究会において数値目標を策定してはどうかという提案に対して、国が直接数値目標を策定することの弊害も考えられるとの意見があった。先程説明のあったように、業界団体等で進捗状況を確認するためにデータを収集されることは良いと思うが、本研究会では、目標が何を意味するかという議論は行われておらず、また、それを議論する場ではないとの認識である。民間でデータを収集する延長に目標があった方が良いのであれば、民間で議論した方が良いと思う。

○グーグル株式会社としては、規制的な意味を持ちうる数値目標として、国が示すべきであると主張したかったわけではない。本研究会は関係者が揃うため、業界のゴールを決めるために有益な議論ができるのではないかと考え、提案した次第である。そういう意味では、業界団体等において、IPv6対応に関わる進捗管理を行うためのゴールを決め、有効な管理ができるのであれば、それで良いと考えている。

○一般ユーザの視点で見たとき、自分が利用するインターネット環境に選択肢がある場合は、料金や使い勝手など、条件の良いものを選択すれば良いと思うが、アクセス網の部分は必ずしもその条件がまだ揃っていないと思う。アクセス網の部分とその上の部分では扱いが異なり、目標を掲げる方策が適しているかはよくわからない。

○アクセス網については、本日の各社説明の中でもBフレッツ網がIPv6に対応していない点が少なからず影響があるという話があった。前回はフォールバックに関してNTTより前向きな提言があり、その部分に関する議論は進捗したのではないかと思うが、Bフレッツ網のIPv6対応について、補足説明いただきたい。

○本日の説明の中で、マイグレーションに対する意見や、計画を明らかにすべきとの話があった。マイグレーションの計画については、前回ご説明したようにBフレッツをはじめとした既存網のNGN網への網統合は、約2年間のスケジュールで進めていく考えである。これで、既存のBフレッツユーザには、NGNで提供しているサービスを提供できる環境が整うという意味で、ネットワーク統合が完成する。NGNで提供しているサービスについて、これはIPv6インターネット接続サービスも含むが、これらをBフレッツユーザに自動的に提供できるようになるかという点に関しては、ISP各社がどのようなサービスを提供されるかということとセットになると思われる。そういう意味で、早期にユーザへの提供条件を明らかにしてほしいという要望はもっともだと思う。だが、現時点では、既存のBフレッツユーザの利用形態をどのように扱うかという点については、まだ検討段階である。ただ、少なくとも2年後から同等機能を提供する環境が整うということまでは整理している。
また、IPv6インターネット接続サービスについては、網統合した環境下で、既存のBフレッツユーザへIPv6アドレスをどのように提供するのか、その提供方式に依存することになると考える。ISPに対し、弊社の移行計画を示しながら、既存のBフレッツユーザのIPv6インターネット接続サービスの提供をどのように進めていくかという協議になると考える。

○本日のVNEの説明の中でも、今ある端末側の構成と、NTTが提供するもの、提供を予定しているものとの間で、どの設備をVNEが提供しているかによって、解も1つではないように感じた。この点、方式を1つに決めてしまうと、不満を感じる事業者が出てきてしまうことが懸念されるので、1つの方法を発表しその計画を示すというのも、あまり現実的ではないのではないか。

○先ほど報告したIPv6普及・高度化推進協議会では、より多くの関係者の参加の下、しっかりと議論を進めていきたい。放っておくとそのまま入れ違いになるようなことは避けたい。

○今ご指摘いただいた点について、マイグレーション、HGW(ホームゲートウェイ)、同時申し込み等の検討事項についても、要望やご意見をいただいた事業者と議論を進め、論点等を共有している。目処が立っているものもあれば、お互いに知恵を出し合わないと進まないものがあるので、連携しつつ前向きに検討を進めていきたい。

○各社の説明の中にあったAAAAフィルタの件について、昨日(5/29)JAIPAのウェブサイトでWorld IPv6 Launchへの対策に関するISPの情報開示ガイドラインを公表した。AAAAフィルタをかけるISPと、かけないISPがあるので、エンドユーザやコンテンツプロバイダが混乱を招かないように、情報開示のためのガイドラインをまとめたので、ここに報告させていただきたい。

○株式会社NTTドコモの説明について質問がある。1点目は、spモードのIPv6対応は市場の動向を見つつ検討すると説明があったが、具体的に何がどう変わると、spモードでのIPv6サービスが開始されるのか。2点目は、LTE網がIPv6のオペレーションを始めて、色々なサービスがIPv6対応して提供し始めているところ、今後、IPv6対応機種が増えたり、テザリングをしてパソコンやモバイル端末が繋がる場合、更には、モバイル接続用の無線LANアクセスポイントを介して端末へサービスを提供する場合において、IPアドレスをどのように分割して割り当てるのかが移動通信事業者各社で共通していないと、今後、エンドユーザが困る状況にならないか懸念している。この点で、移動通信事業者各社で運用ガイドラインを策定する計画はないのか。モバイル網ではどういうサービス設計をしていくのか、業界の関係者間でしっかり議論がなされて、サービスがつくられているのかをお聞きしたい。

○1点目の質問については、現在LTEでspモードを使う場合にはIPv4を使用しているが、何がトリガーとなりIPv6に移行していくかというご質問だと理解した。spモードは、ブラウザを使ってインターネットをアクセスしていただくサービスと、弊社が用意しているサービスと、大きく2つの利用形態があると思っており、前者は、来週から始まるWorld IPv6 Launchや、ウェブサイトのIPv6対応状況を見ていくことになる。後者については、いつどのように進めるという具体的な経過が議論できていないが、スマートフォンのアプリケーションやコンテンツサーバ等、影響範囲は多岐にわたるので、具体的に計画を立てて進めていく必要があると考えているが、現状では、一気に進むという状況には至っていない。
2点目の質問について、少なくとも私の知る限りでは、例えばWi−Fiルータのようなものでどうやってアドレスを割り当てるか、移動通信事業者各社の間で議論はされていないように思う。現在、mopera UではIPv6のサービスを提供しているが、パソコンにつなぐタイプのみである。Wi-Fiルータは、まだIPv6に対応できていないので、今後の課題と認識している。ご指摘されたように、技術的なところも含めて検討が必要だと思う。

○業界団体などでしっかりこの辺の議論をして、業界団体などで運用ガイドラインをつくるような方向性がまだ見えていない状況ということか。この点をとても心配している。移動通信事業者各社が、それぞれ仕様を策定し、サービスを始めた場合には、事業者毎に端末の仕様が異なることにもなりかねない。ガイドラインについては、是非検討いただきたい。データサービスの部分も世界を引っ張ってほしい。

○この辺のところは、日本だけで決めてしまうと言うことには、また別の問題があるかもしれない。これから多様な使い方をする人たちが、色々と工夫されることが想定されるため、ある程度の自由度を残しておくことも大切ではないかと思う。

○LTEではNTTドコモが技術的に進んでいて、世界をリードしているという認識。NTTドコモがリーダーシップをとって、世界のオペレーターと連携をしながら、IPv6のサービスをどのように提供するべきかという指針を示してほしい。

○この点、移動通信事業者のみならずWiMAX事業者等も関係するので、各社から様々なサービスが出てくると、課題も複雑になる。各社に工夫いただくことがあると思う。技術的な課題のみならず、ビジネス・サービスをどのように作れるか、という議論も入ってくるのではないか。簡単に結論の出る課題ではないと思うが、各社が色々なことを考えて決めていく必要がある複雑な問題のように思う。

○携帯電話の場合は、ビジネスモデルが垂直統合型であるという点からも、NGNのようにレイヤの異なる事業者間でせめぎ合いが入ってしまわないかが懸念される。技術的なことの社会的、経済的な影響までを読み取ることは難しいと思うが、エンドユーザの視点でも、メリット、デメリットがあることを示していただきたい。
また、本日の各社の説明を聞いていると、今ユーザが使っているものがIPv6に対応できない場合には、IPv6への移行時期が少し遅れるという印象を持った。アーリーアダプタ層の方々は新しい端末・サービスの導入に積極的であるかもしれないが、一般の利用者とギャップがある。事業者としては、既存設備の追加改修に後ろ向きになりがちになるのではないか。この追加改修に係るコストは、通常ユーザは負担したがらないだろう。
過去に策定したIPv6移行に関するアクションプランでも、通信事業者からアプリケーション、ソフト開発者まで、皆で取り組む必要があるとまとめていた。インターネットテレビ等多様な機器・サービスにおいて問題が顕在化しうるため、この点を考慮していく必要があるのではないか。

○このような問題は、現実には各事業者が、どうすれば集客できるかという点での競争から出発するというのが一番素直な考え方だと思う。しかし、進めていく中で、多くのユーザのIPv6対応に支障が生じるようなことがあれば、事業者間で何か合意が得られれば良いということになるかもしれない。その場合にも国内で合意が得られるだけでは不十分だと思う。難しい問題である。

○今回、World IPv6Launchが企画された背景には、鶏卵問題の扉を開ける方策の一つとして、ハイパージャイアントと呼ばれる大手コンテンツプロバイダが、IPv4とIPv6のデュアルスタックへ移行するということがあった。
オペレーターにとっては、デュアルスタックで運用するには未だ技術的に怖い部分があるという指摘もあり、IPv6普及・高度化推進協議会において、このような課題を一緒に解決するような機会をつくっていくことも必要だと感じている。

○ご指摘のとおりと思う。国内の特殊事情に対応するため、世界でそのまま利用できないような対応策が必要という面もあるだろうが、十分色々なことを考えてやっていただきたい。日本国内の環境に対応するため、各ISPやVNEは通常、他国ではあまり持ち得ないような問題が発生しうる中で仕事をされており、単純に国際比較をすることも難しいかもしれないが、やり方には留意が必要であると思います。


【その他】
○次回会合では、IPv6利用拡大に向けた議論を引き続き行う予定。次回の開催等については別途連絡する。

以上

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