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IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第20回会合議事概要

日時

平成24 年6 月18 日(水) 17:00〜19:10

場所

中央合同庁舎第2号館(総務省)11階 第3特別会議室

出席者

(1) 座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2) 構成員
会津泉(多摩大学)、荒野高志(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、
今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、木下剛(財団法人イ
ンターネット協会)、近藤寛人(社団法人電気通信事業者協会)、清水博(代理:寺田
昭彦)(財団法人電気通信端末機器審査協会)、立石聡明(代理:木村 孝)(社団法人
日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、村松茂(財団法人日
本データ通信協会)
(3) 総務省
桜井総合通信基盤局長、原口電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、
古市事業政策課長、二宮料金サービス課長、齋藤データ通信課長、中西データ通信
課企画官、田邉データ通信課課長補佐

議題

(1) オブザーバからのプレゼンテーション
・第3次報告書のフォローアップ等
(2) その他

議事要旨

(1)オブザーバからのプレゼンテーション

・資料20-1、20-2について、株式会社ケイ・オプティコム、フリービット株式会社より説明。
 
○ケイ・オプティコムの説明について。資料20-1、10頁の説明の中で、量販店等で販売しているルータがIPv6に対応していないという話があった。今後、一般のユーザがルータを買い替えるためにはどうすれば良いのか。この点、一般ユーザへのメッセージになるのではないかと思っているので、お考えをお聞かせいただきたい。
 
○ルータを販売しているメーカ等へヒアリングをしたところ、IPv4対応のルータは廉価版が市場に出ている状況であるが、IPv6対応のルータに関しては廉価版まで出しにくいという状況であった。IPv4ルータには、各ISPのロゴや、対応サービスが表記されているが、IPv6対応ルータについては、まだそうなっていない。よりお客様に買いやすい形での提供が望ましいのではないか。
 
○フリービットの説明について質問が2点ある。1点目は、資料20-2、16頁の説明の中で、接続環境に依存せずにIPv6対応サービスが提供されているという点について、例えばフレッツ光ネクストを使用しているユーザも、フォールバック等の問題を気にする必要がないと受け取って良いのか。また、その場合、ユーザがソフトウェアを導入する手間はどれくらい必要なのか。2点目は、資料20-2、28頁の説明について、IPv6が普及しない原因として、ユーザが個別に手続き、設定を行う必要がある点と、費用負担がある点を指摘されていたが、本当にそうなのか。ユーザメリットが明確であれば、手続きをしてでも申し込むと思うので、ユーザメリットを提示する方が先なのではないか。また、IPv6を使っても無料オプションにするということは理解するが、IPv4を使用しているユーザもIPv6を使用しているユーザも同じ料金となると、結局はIPv6を使わないユーザにも費用負担をしてもらうことにならないか。もしそうだとしたら、ユーザの合意を得る必要があると思うが、その理解で合っているか。
 
○1点目の質問について、Feel6ではフォールバック問題は発生しない。また、DNSサーバもIPv6トランスポートのDNSサーバを通知するため、IPv6通信が正常にできる状況である。2点目の質問については、IPv6を利用してもらうことを、ユーザになるべく気づかせないような形でIPv6を普及させていければと考えている。その意味で、手続きや利用負担をユーザに意識させない形で進められれば良いと考えている。またIPv4のみを使用するユーザに対して費用負担が発生してしまうのではないか、という点については、弊社のバックボーンは既にデュアルスタックに対応しているため、IPv4ユーザもIPv6ユーザもネットワークを共用している状況であり、費用も按分している形である。
 
○量販店のルータがIPv6に対応していない点について、フリービットにおけるルータの扱いはどのようになるのか。
 
○ネットワークは既にデュアルスタックに対応している。Feel6についてはユーザのパソコンにソフトウェアをインストールする形なので、パソコン自体がIPv6に対応していれば、IPv6通信を確立できる。ホームルータのIPv6対応/未対応には依存しない。
 
○PPPoE方式を利用したYourNetなど、ISPに対してインターネット接続を提供する際には、NGN網を利用してローミングサービスを提供していると思うが、この場合の終端装置、ホームゲートウェイは誰が準備することになるのか。
 
○トンネルアダプタをお客様に用意していただくことになる。
 
 
・資料20-3、20-4について、NTTコミュニケーションズ株式会社、ソネットエンタテインメント株式会社より説明。
 
○PPPoE方式を採用しているISPとしては、ホームゲートウェイにPPPoEの終端機能を搭載することで、ユーザは意識せずに、IPv4とIPv6のデュアルスタック環境を利用することができるとの説明であった。1点確認であるが、NTT東西のホームゲートウェイは、誰の持ち物になるのか。KDDIの場合は、ホームルータはレンタルであり、かつ同社がオーナーとなるので、同社においてホームルータのファームウェアの書き換えや設定の変更などが可能であったと記憶している。
 
○ひかり電話のお客様へひかり電話を終端するために設置しているルータのことを、ホームゲートウェイと呼ばれているものと理解する。フレッツユーザの6〜7割程度がひかり電話の契約者であり、そのオーナーシップはNTT東西である。ファームウェアの書き換え等については、事業者主導で実施できるが、終端している電話を止めないよう配慮する必要があり、こういった点が難しい。また、そもそも光電話を終端するための機器というのが主目的であるところ、ブロードバンドルータの機能としては、Bフレッツの時代に付加してきたものなど多様な種類があり、ホームゲートウェイにアダプタ機能を内蔵するとなると、スペック的に難しい機種が非常に多い。新しい機種に内蔵することはできるが、古い機種をリプレースしていくにはコストを要するため、JAIPAとの協議でも、この点を相談させていただきたい。また、ひかり電話サービスを申し込まれていない4割のお客様への対応をどうするかが残課題であると認識している。
 
○もう1点確認させていただきたい。ホームゲートウェイにアダプタ機能が内蔵された時には、その他アダプタは使用できなくなるのか。KDDIのサービスは、ルータ機能込みで提供されるので、一般的なブロードバンドルータは設置されない。NTTのひかり電話にアダプタ機能が内蔵されると、同じようなことが起こりうるのか。
 
○現在でも、ホームゲートウェイとブロードバンドルータを多段で設置している方もいらっしゃると思うので、必ずしも阻害するということは無いと思う。
 
○ソネットエンタテインメントの説明について、資料20-4、7頁の説明の中で、AAAAフィルタをONにしたことで、本来IPv6で接続できるユーザにフィルタがかかってしまった例について触れていたと思うが、この点について公開できるような情報があれば教えて頂きたい。
 
○AAAAフィルタによる影響については、社内で調査しているが、有意な数字を得られていない。現状ではIPv6通信を行っている利用者が非常に少なく、その中で、パソコン等の環境によりAAAAフィルタが付いたキャッシュDNSを参照する方がどのくらいいるのか、この2週間でほとんど数字として現れていない状況。
 
○NTTコミュニケーションズは、World IPv6 LaunchにWebオペレータとして参加されており、以降もウェブサイトをIPv6で運用されていると思う。OCNユーザの方は、フィルタ等が適切に導入されているので問題ないと思っているが、他のISPのユーザがOCNサイトへアクセスし時には、フォールバック問題が起きるのではないか。
 
○今回はウェブサイトでのIPv6対応ということだけであり、弊社において接続環境を試験的に確認したのは、OCN経由で接続する場合のみである。他のISPからOCNサイトへアクセスして、フォールバックが起こっているかどうかという情報は、今のところ収集できていない。ただ、ご指摘のユーザがいる可能性はある。
 
 
・資料20-5、20-6について、ニフティ株式会社、NECビッグローブ株式会社より説明。
 
○ニフティの説明について、IPv4トラヒック増加への対応として、オフロード増加を挙げられていたが、データは持っているのか。
 
○弊社からは、トラヒックの全体像しか見えないので、本当にオフロードによりトラヒックが増えているかは分からない。様々な所で話を聞く限り、携帯網よりもWi-Fiの方が速いという点から、オフロード、Wi-Fiを使いたいというユーザが多く、また、使用する場所や時間がある程度限られることから、全体のトラヒックは少ないが、ピークが高くなるような使われ方になるのではないかと思われる。弊社としてもピークの問題として認識している。
 
○この点について、江ア先生や総務省において、ISPやバックボーン系でトラヒックがどう変化しているか解析されていると思う。携帯端末がIPを利用し始め、オフロードも関係する中で、このようなデータを既に取り始めているのか。
 
○基本的には有線系のトラヒックデータしか得られていない。携帯系のオフロードのデータを取得するのは、それ自体非常に難しいが、携帯事業者にご協力いただけるのであれば、検討を始めることは不可能ではないとは思う。
 
○ニフティの説明について、資料20-5、12頁の説明の中で、ウェブサイトのIPv6化推進について、主要サイトのIPv6化推進が必要とあるが、この点、先ほど申し上げた利用者側のメリットと結びつくように思われるので、考えをお聞かせいただきたい。
 
○ウェブサイトのIPv6化推進について、IPv4で見えるものを直接IPv6対応した時に、お客様に直接メリットがあるかというと、見えるものが一緒であるという意味ではおそらく変わらないと思う。ただ、IPoE方式の場合には、ネイティブのIPv6網を使うという意味では、PPPoE方式よりも速くなると思っているので、体感的な価値が上がるというメリットが考えられる。
 
○IPv4をどれくらいまで対応しなければならないかという点で、ニフティは長期間かけて取り組むのに対して、NECビッグローブはあと3年くらいで100%まで、との対照的な目標を設定しているように感じた。また、ユーザがIPv6対応を希望した場合、ケイ・オプティコムでは無線ルータと一体で月額650円、フリービットは、IPv4のローミングを利用している場合には追加負担なし、NTTコミュニケーションズとソネットは無料、ニフティは月額210円ということであったが、ビッグローブは無料なのか。このような差は、ISPの考え方なり戦略により存在しているということなのか。
 
○IPv6対応に関わるユーザ負担は無料としている。ビッグローブは2015年までにIPv6化を進めるという点については、条件が揃わないと弊社単独では進められないので、まずはこの条件をクリアできれば弊社も目標に向けて努力していくということであるとご理解願いたい。また、先ほどのIPv4とIPv6の併用に伴うコストの考え方については、併用により確かにコストはかかってしまうので、急速にIPv6を普及させることによって、ネットワークをなるべく1つにしたいという考えである。IPoE方式の場合には、2つのネットワークを運用する必要があるが、このような期間が長ければ長いほど運用コストが嵩むこととなる。
 
○BフレッツのIPv6適用が一番大きな条件であると聞こえたが、本当か。
 
○全体の普及という点では、もちろんBフレッツの適用が一番大きい条件と思っている。
 
○ニフティの方がIPv4の対応が長くなるという点については、これまでの経験則等から、古い機器を使われているお客様が相当程度存在するという点を考慮している。弊社には、ダイヤルアップのアクセスでWindows95に関する質問が時折舞い込んでくる状況。必ずしも全てがIPv6へ移行できるかというと、正直自信がなく、現状弊社が入手可能な情報を元に本説明資料を作成している。例えば、4rdやSAMの様な技術の活用により、IPv6側にIPv4を乗せることにより、既存ネットワークのIPoEとPPPoEの二重の部分を解消できるのであれば、IPv4の延命期間も当然変わってくると思っているが、基本的にIPv4はかなり長く提供し続けなければいけないサービスであると考えている。
 
○ニフティ、ビッグローブ、2社の要望は、申込み手続の簡素化のためにNTT東西のフレッツ光回線の契約情報が必要であるということだと思う。手間の問題はあるとして、それ以外に個人情報保護法の観点等の問題があるのか。
 
○ないとは言えないと思うが、両社の説明は弊社としても要望として承っている話なので、直接のプレーヤーとなるVNEとNTT東西において、既存のルールの中で知恵が出せないか継続して検討している。
 
○ぜひ進めていただきたいと思い質問した。もし法律的な問題があり、この場で話ができるような内容であれば議論した方が良い。
 
○検討が詰まってきた段階で、もし皆さんへ相談しなければならないようなテーマがあれば、ぜひお願いしたいと思う。
 
○デフォルト化や申込み手続の必要性等の話があるようだが、そもそもIPv4アドレスは誰も知らない形でユーザに割り当てられている。IPv4がIPv6になっても、この仕組みが変わらないのであれば、通信事業者が何かやってはいけないということはないというか、アドレスが変わることは、これまで同様にありうるのではないか。電話番号は勝手に変えてはいけないということがあると思うが、IPアドレスに関してはそれがなくなってきている。IPv6に変えることにより、何かできなくなるなどの問題が起きず、アドレスだけの問題であるならば、それがIPv4からIPv6へ変わろうが、今まで通りのやり方で構わないというのが、これまでの考え方ではないか。
 
○ただ、ユーザが申し込みをする際に、回線を申し込んでいる人とISPのサービスを申し込んでいる人が違うというのは、これはまた別の問題だと思う。そのコントロールをしているのがISPであるとすると、誰が、回線については何を申し込んでいようと、ISPはアドレスを変えても良いということになるのではないかと思う。それによって、また不都合が発生するのは今回の話の中でも色々あると思うので、そこは対策を考えなければいけないと思う。
 
○AAAAフィルタをかけているISP各社は、フィルタを無効にする予定はあるのか。
 
○以前からJAIPAとの協議の中で、NTT東西と共に解決策について議論している。その議論の中で、幾つか案が出ているが、完全にフィックスした時点で解決できるものと思っている。現時点では、明確なスケジュール等は導入していない。
 
○ご質問のスケジュールについては、前々回(第18回)の研究会で既に議論している。提示された様々な対策手法について、いつまでに対応が必要だという話は出ている。それ以上の議論については、現時点ではなされていない。
 
○今回のISP各社のプレゼンテーションにおいて、各社からIPv6デフォルト対応と言及していただけたことを大変喜ばしく思う。以前は、IPv6はオプションという扱いであったと思う。アクセス回線事業者等の様々な協力を得て、ISP各社が全てのユーザに対して、デフォルトでIPv6、IPv4のデュアルスタックのオペレーションを開始しようとした場合、すぐにでもオペレーションできる状況であるのか、ISP各社にお伺いしたい。
 
○ケイ・オプティコムでは、まだデフォルト配備できない状況のため、今後対応していけるように準備をしていく。
 
○フリービットは、サーバからメールアプリケーションまで全て対応してきているので、いつでも対応可能。
 
○NTTコミュニケーションズは、ネットワークは既に対応済み。運用面で、現在はユーザに対しIPv4でIDを振っているため、その体系を今年度中に整理していく。この取組が終われば、対応可能。
 
○ソネットは、NGNに関して言うと、弊社側の設備は対応済みだと思っている。
 
○ニフティは、デフォルト化に向けた課題を3点挙げており、これらの課題がクリアになれば、弊社として提供できると考えている。
 
○NECビッグローブは、基本的に準備できているという状況。デフォルトと言っても2つあるものと思っていて、新規ユーザのデフォルト対応と、既存ユーザのデフォルトがある。弊社としては、既存ユーザのデフォルトまでも是非お願いしたいと考えている。
 
○先ほど、デフォルトと言っても、ユーザの装置が対応できていないと、装置を買い換えないといけない等の問題もあるので、どうするかという議論がまだ他にもあると思う。
 
○本日、ISP各社からのプレゼンで、主にNTT東西に対する要望や課題が出てきたと思う。これを受けて、日本インターネットプロバイダー協会としても解決に向かって取り組んでいきたいと思っている。また、グーグルが公表しているIPv6統計を見たところ、国別では、日本の遅延時間がかつては280msecであったが、本日時点で70msecまで削減、見方によっては80%改善している。これは、ISP各社がIPv6 Launchに向けて対応した結果であると思われる。各社の対応状況については、現在取りまとめているので、次回の研究会で発表させていただきたい。
 
○大手ISP各社が非常に前向きに検討されているということは、大変大事だと思う。しかし、現在ブロードバンド契約数が3,900万契約あるうち、まだDSLが700万契約、ケーブル事業者は560万契約であり、これらのバランスが重要であると考えている。また、サプライサイドの環境をどうやって整えるかという点で議論があったが、デマンドサイドや、ユーザ側のメリットが見合わないうちに設備を打って、サプライだけ実施するということは、設備的にも空回りしてしまう。この点、サプライサイドとデマンドサイドの双方を併せて考えなければいけないと感じた。
 
○デフォルトというのは、同じ事ができるならばISPがやっても良いということ。ただし、それによってお客様の所に何か負担が発生するとか、ネガティブなことが起こるならばそれはできないと思う。
 
○コンマ数パーセントのユーザが増えるという議論の中で、デフォルトにして本当に良いのか、ということも含めて考えなければいけないのではないか。
 
○World IPv6 Launchの結果のデータがグーグルからも公表されており、ちゃんとIPv6対応が進んでいるところでは、かなりトラヒックが出ている。
 
○この会合に限らず、問題を意識されたISPをはじめとして、様々な方々の努力がなされた結果、状況が随分改善したということになると思うので、このような議論はとても大事であると思う。
 
 

(2)その他

○次回会合は、6月下旬の開催を予定。詳細は別途連絡する。
 
                                                                                                           以上
 

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