総務省トップ > 組織案内 > 研究会等 > IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会 > IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第26回会合議事概要

IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第26回会合議事概要

日時

平成25年7月1日(月) 15:00〜16:10

場所

中央合同庁舎第2号館(総務省) 8階 第1特別会議室

出席者(敬称略)

(1)座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2)構成員
会津泉(多摩大学)、伊藤公祐(代理:佐藤晋)(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、今井恵一(一般社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、奥山八州夫(代理:三瓶徹)(一般社団法人電気通信事業者協会)、木下剛(代理:細谷僚一)(一般財団法人インターネット協会)、清水博(代理:寺田昭彦)(一般財団法人電気通信端末機器審査協会)、立石聡明(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松村敏弘(東京大学)、松本修一(一般社団法人日本ケーブルラボ)、渡辺久晃(一般財団法人日本データ通信協会)
(3)総務省
吉良総合通信基盤局長、安藤電気通信事業部長、菊池総合通信基盤局総務課長、吉田事業政策課長、河内データ通信課長、中西データ通信課企画官、佐藤データ通信課課長補佐、内藤料金サービス課課長補佐

議題

(1) 民間事業者からのプレゼンテーション
(2) 第二次プログレスレポート(案)について
(3) その他

議事要旨

(1)民間事業者からのプレゼンテーション
・資料26-1について、NTTコミュニケーションズ株式会社より説明。

○IPv6普及・高度化推進協議会の立場として、また、本プロジェクトの評価、技術支援者という立場として申し上げると、実用的で標準化にも関係する成果を出していることは、非常に意義のあることと思う。しかし、まだ全ての課題が解決されたわけではないため、総務省には引き続き、今回の実証で構築したインフラを活用し、国外に対しても貢献できるよう、必要な支援を継続いただきたい。

○エンドユーザの立場として質問させていただきたい。一般論として、Carrier Grade Natを導入した場合に、1つのIPアドレスでどの程度のユーザを収容できるものなのか。

○目安として、1つのIPアドレスで10程度のユーザを収容できる。資料26-1の5ページに記載のとおり、本実証の結果で1ユーザ当たり1,000ポート程度であることが判明した。TCP/IPのポート番号は2バイト(65,536)で表現されるため、理論的には65ユーザまで収容できるということになるが、家庭等へ割り当てる場合、1家庭につき2〜3ユーザの使用が想定されるため、収容数は65から20程度となる。更に、ポートの下半分は、特権ポートと呼ばれており、通常使用しないポートであり、使用した場合にはアタックと認識されるおそれがあるため、これを考慮すると収容数は10程度となる。

○ISPとしては、Carrier Grade NatによりIPアドレスを節約できたとしても、多額の設備投資が必要なのではないか。エンドユーザのコスト負担に影響を及ぼさないか、懸念されるところである。

○Carrier Grade Natは、セッションを管理する都合、通常の企業に導入されるNATに比べて、数倍から10倍程度高価な機材である。Carrier Grade Natの導入によって、エンドユーザは、アプリケーションの利用に制限がかかってしまう場合があることから、Carrier Grade Natに係る費用をエンドユーザへ転嫁することは考えにくい。このため、Carrier Grade Natの導入は短期的な対策として考え、業界全体がIPv6へ移行していくことが望ましいものと考える。

○昨年秋から北陸先端科学技術大学院大学にテストベッドを構築して、実証実験を進めてきたところ、このテストベッドの存在、使い道が業界の中で注目されはじめている。本テストベッドを活用して、例えばコンテンツプロバイダや、アプリケーションプロバイダ、ゲームベンダ等においても、様々な実証が可能になったという点で、非常に価値のあるテストベッドが構築されたと思う。できれば継続的に、このテストベッドを有効利用できるよう、総務省にも支援していただければありがたい。

○Carrier Grade Natの導入により、1つのIPアドレスで10ユーザ程度を収容できるようになるとのことであるが、これはIPv4アドレスの有効利用方策として有効であり、セキュリティ対策に多少追加投資が必要であったとしても、Carrier Grade Natの導入を推進するべきということなのか。

○本レポートの趣旨は、Carrier Grade Natを導入した場合、一定のIPv4アドレスの節約が可能となるものの、大きな効果を得られるわけではなく、根本的にはIPv6への移行が必要というものである。また、Carrier Grade Natは携帯のネットワークではほぼ必須の技術として既に導入されているが、現状ではここで挙げているようなセキュリティ対策はほとんど行われておらず、Carrier Grade Nat配下から攻撃されると、手の打ちようがない。

○資料26-1の課題1や課題2の中に、今の議論にあったCarrier Grade Natの導入における課題などが記載されていると良いのではないか。また、本レポートは、有益な成果が出ているので、公表するべきである。

○実用上どのような問題があるか、という観点であれば、レポートへの追記も可能である。また、公表については、現在関係方面と調整しているところであり、IPv6普及・高度化推進協議会のホームページ等を掲載場所の候補として考えている。


(2)第二次プログレスレポート(案)について
・資料26-2, 26-3について、事務局より説明。

○報告書とプログレスレポートの対応関係がわかりにくいので、いつ、どのようなレポートが出たのかについて一覧を付けた方がよいのではないか。
また、資料26-2の6ページ、各国のIPv6対応状況について、日本が比較的進んでいるはずだったのが遅れはじめている。この点、他国から学べること等があるのかが気になる。これに関連して、資料26-2の7ページ、日本政府のIPv6対応状況が前々回の報告書の段階からあまり進展がないように見える。地方自治体がIPv6対応を進めることが必要との記述があるが、政府が率先してやるべきであるというトーンも必要なのではないか。
資料26-2の10ページ、第2章のタイトルが「第三次報告書及びプログレスレポートの進捗状況」となっているが、正確にはそこで取りあげた課題や取組についての進捗であって、報告書やレポートの進捗ではないと思う。表現を工夫していただきたい。
最後に、資料26-2の23〜27ページ、今後の重点課題とその対応方策の中で、ユーザの不利益にならないようにするという観点を追加いただけないか。例えば25ページのBフレッツのフレッツ光ネクストへの移行では、NTT東日本はできるだけ早期に完了させることが望ましいとあるが、さまざまな課題が解決できていればそれで問題ないと思うが、ユーザの不利益にならないことが前提である。

○NTT東西やISPの協力により、第二次プログレスレポートでは、既存のユーザに対するIPv6インターネット接続サービスのデフォルト提供についても方向性が示された。これにより、年明け早々には、IPv6ユーザの数がある程度増えてくると思う。これに合わせて、コンテンツ事業者においてもIPv6対応が進めば良いと思う。コンテンツ事業者のIPv6対応について、少し具体的な、広く認知されるような企画を契機とすることについて記載できないか。例えばIPv6 Launch Japanを契機に、というマイルストーンがあればコンテンツ事業者を巻き込んで取組が促進できるのではないか。

○IPv6 Launch Japanの開催に向けた調整を、この10カ月くらい進めているところ、当該イベントは関係者の参加があってのものであることから、報告書へ記載する際には、当該イベントの方向性を考慮すべきというような書きぶりが適切と思う。

○資料26-3の24ページ、ネイティブ方式では、既存ユーザに対するIPv6デフォルト提供方策について、2013年度中の結論を目指すという文言がある。結論とは、具体的にどのような意味を持つのか。

○トンネル方式については、アダプタとホームゲートウェイの一体化が来年3月頃から始まり、IPv6ユーザも徐々に増えてくると推測される。ネイティブ方式についても、トンネル方式と公平な競争条件を確保するため、同時期迄に少なくともフレッツv6オプションを既存ユーザへデフォルト提供するための方法を確立することが必要と考えている。

○いつ、どのようなレポートが出たのかについては、資料26-3の1ページの脚注の2番で、既に記載している。
また、政府のIPv6対応の進捗状況について、第三次報告書を取りまとめた時点ではウェブサイトのIPv6対応が完了していたのは5府省だけであった。一方、今回の取りまとめでは、政府共通ネットワーク、霞が関クラウドについてもIPv6対応が完了し、省庁のウェブサイトのIPvv6対応についても進捗があったところである。また、政府においてはシステムの更改の際にIPv6対応することが決まっているが、地方自治体については、特段、更改の際にもIPv6対応することが決まっていないため、今回着目したものである。
第2章のタイトル「第三次報告書及びプログレスレポートの進捗状況」の修正については、検討させていただきたい。
最後に、「ユーザの不利益にならないように」、という点はご指摘のとおりだと思うので、この点についても検討させていただきたい。

○それでは、プログレスレポート(案)の修正については座長預かりとしてよいか。

○(構成員一同)異議なし。

○本研究会ではこれまで、第三次報告書、プログレスレポートを取りまとめ、IPv6インターネット接続サービスの利用拡大に係る重点課題や、今後の対応方策について議論を行ってきた。今回のフォローアップで、当該報告書に基づいて着実に進んでいるということは、本研究会が役立っているということではないかと思う。今後も、議論が進展していくに従って、様々な問題が出てくる可能性があり、必要に応じて進捗状況のフォローアップ等を実施することが必要かと思う。


(3) その他
○第二次プログレスレポートについては、所要の修正を加えた上で、7月中を目途に報道発表を行う予定。今後の開催については、別途改めて連絡する。

ページトップへ戻る

IPv6によるインターネット利用高度化に関する研究会
サイドナビここから
サイドナビここまで