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IPv6によるインターネット利用高度化に関する研究会第10回会合議事概要

日時

平成22年7月1日(木) 15:30〜17:30

場所

総務省 低層棟1階 共用会議室3

出席者(敬称略)

(1) 座長
齊藤忠夫(東京大学)
(2) 構成員
会津泉(多摩大学)、荒野高志(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、依田高典(京都大学)、井筒郁夫(社団法人電気通信事業者協会)、今井恵一(社団法人テレコムサービス協会)、江ア浩(東京大学)、熊田和仁(財団法人日本データ通信協会)、高橋徹(財団法人インターネット協会)、立石聡明(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)、中村修(慶應義塾大学)、松本修一(代理:平出氏)(日本ケーブルラボ)、松村敏弘(東京大学)、清水博(財団法人電気通信端末機器審査協会)
(3) 総務省
桜井総合通信基盤局長、福岡電気通信事業部長、山田総合通信基盤局総務課長、長塩データ通信課長、中沢データ通信課企画官、武馬データ通信課課長補佐

議題

  1. IPv6を用いた環境分野のクラウドサービスWG中間取りまとめについて
  2. 構成員/オブザーバーからのプレゼンテーション
  3. IPv4アドレス枯渇対応の状況について
  4. その他

議事要旨

・資料10-1、資料10-2について江ア構成員から説明。
○ 環境分野のクラウドサービスについて、スマートグリッドと重なる部分、違う部分を明確にしてもらいたい。電力分野で議論されるスマートグリッドは、センサーやスマートメーターが対象であり、情報をすい上げるネットワーク側を対象としていない。ネットワーク側とセンサー側の全体構造が示されると、ガイドライン化する段階で国民の理解を得やすくなると思う。
○ モデルA、Bはスマートグリッド、モデルCはスマートコミュニティを説明している印象を持った。スマートグリッドは非常に広い分野にまたがる技術であり、電力分野だけを対象にしているのでは議論が足りないであろう。
○ ガイドライン骨子の11、12ページでセキュリティの確保について掲げられているが、IPv6で大量のアドレスをセンサー等に使うときにガバナンスやセキュリティにどういった課題があると想定されているのか。従来とどう違うか。IPv6のアドレスをセンサーのIDとしてそのまま使う想定かについても分からない。具体的にこういった問題が出そうなので、それらが説明されていると良いのではないか。

○ スマートグリッドは国によって捕らえ方が異なる。日本は電力業界、米国はICT業界、中国は石炭等のエネルギー関係者を中心に国家のエネルギー管理技術として、それぞれ議論がなされている。日本のように、電力会社が中心となって議論されるスマートグリッドは、世界的には非常に特殊。米国でスマートグリッドを議論し始めてから、日本は1年ほど議論されることはなく、その後、日本の電力会社に都合の悪いところを落としたものが日本のスマートグリッドとして整理された経緯がある。スマートグリッドという言葉は忘れて、環境対策という切り口から捕らえ、その中でIPv6を使うというところ視点でIPv6環境クラウドサービスの議論に入りたい。
○ センサーは出てくるがアクチュエータという言葉が出てこないが、考慮する必要はないか。環境クラウドにおいて多くのセンサーが扱われ、そこで得られた情報は誰のものか。また、誰にアクチュエーションの権利があるのかは、サービス毎に異なる。例えば、エアコンのスイッチを入れたり切ったりする場合は、誰にアクチュエーションの権利があるのか。ビル郡だと一義的にはビル管理者がアクチュエーションするだろうし、もっと広くスマートシティとしてアクチュエートする場合もあるだろう。研究面から、どのようにアクチュエートできるかということを検討することも重要。スマートグリッドという言葉は、電力業界の考え方と違う使い方になる可能性があるため、留意する必要がある。
○ このガイドラインを誰が読むのか分からない。SIer、データセンター等のクラウドサービス事業者が読むと想定するとしっくりこない。従来のクラウドサービスとどこが違うのか、どういった需要があるか等、今後の検討の際に考慮いただければと思う。
○ 取りまとめの中にはスマートグリッドという言葉はあまり出てこない。WGではセンサー系、アクチュエータ系について技術的に議論を深めていない。WGでの議論の対象は、IPv6環境クラウドサービスの裏で広域に展開するネットワークの話と、そこから上げられる情報のどのように管理、認証するかである。データセンター自身というより、データセンター上でサービスをする事業者や、クラウドを活用する事業者のためのガイドラインという意味合いが強い。
○ 日本は通信インフラが発展しており、光の道の構想がある中、光の道を誰が何に使うのかが明確になっていない。そのため、IPv6環境クラウドサービスが光の道に対してどう位置づけられるか具体化できると良い。なお、ICT利活用によってどう環境対応できるかは、国際的にもその実現方策が注目されているところである。
○ 現在、センサーやアクチュエータ等について、統一的なつながり方が標準化されていない。これらがシームレスに光の道等のネットワークとつながることが望ましい。
○ ガバナンスとセキュリティについては、ある程度ネットワーク上のセキュリティ問題が把握されなければ現実性のある議論ができないため、WGとしては資料に記載した以上の具体的な議論に至っていない。
○ IPv6環境クラウドサービスでは、国際的にIPアドレスを使うことになるのか。
○ WGでは議論していないし、国際的にもIPアドレスを使うようになるかは具体的に決まっていない。
○ ガイドラインに関しては、別途総務省から3つのモデルで実証実験事業が行われると聞いている。その中で、さらに具体的にセキュリティやガバナンスを検討することになると思われる。
○ WGと実証実験事業の双方で連携しながら検討を進めていく予定である。
○ 実証実験事業の中で、無数のセンサーやアクチュエータがつながるネットワークが構築されて、一体化してトータルで管理するシステムとなり、ビル郡など様々な形で検討が行われる。今のところ、こうした無数のセンサーをIPアドレス以外で管理することになるというのは、あまり現実的ではない。しかも数に限りのあるIPv4ではなくIPv6で管理するということは自然な話である。また、セキュリティやガバナンス等の対策についても、実証実験で検証すると理解している。
○ 国民の目から見て、IPv6環境クラウドサービスと、スマートグリッド、スマートコミュニティ、ナショナルグリッドとの関係がよく分からない。
○ 基本的にはバックボーンであるナショナルグリッドと互換の関係にある。IPv6の検証については、米国のNISTにおいて大きな期待が寄せられている。WGでは、北米の標準化との整合についても議論された。
○ WGでの議論は、IPアドレス以外の付加要素(センサーの位置情報等)の紐付けに関連することという理解でよいか。グローバルに紐付けがなされれば、効率は良くなるだろうが、セキュリティ面の不安も増えるだろう。
○ WGでは、クラウドが扱うデータをどう保護するかという汎用的な議論になっている。
○ 実証実験を通じて様々な課題を見つけ出せれば、その課題の中には日本ではあまり流行していないが、海外ではスマートグリッドとしてやっているものもあるのではないか。グリッドというと「送配電網」という和訳になるが、スマートグリッドという言葉の中では、配電網や分散発電という意味で捉えられている。各国の政治、業界の利益に基づいて理解されている用語であるため、スマートグリッドという言葉を多用しない方が良いと思うが、使ったとしても、こうした経緯があることを説明できるようにしておけば問題ないだろう。
○ 実証実験において、ネットワークをすべてIPv6で構成したときの問題点が浮き彫りになれば良いと思う。

・資料10-3について荒野構成員から説明。
・資料10-4についてNTTコミュニケーションズ(株)から説明。
○ テストベッドによる人材育成について、成果はどの程度か。
○ 去年は12月から開始して、300人程度。今後は1000人を超えるように、できるだけ事業者に声をかけていきたい。
○ 人材育成に関しては、シンガポール等のアジア諸国でも展開しており、6月に開催されたAPEC TELにおいても、APECで共通の人材育成の場を作っても良いのではないかと議論されている。日本の技術が採用される形になれば、人材交流からビジネスにつなげることができる。
○ 資料10-3についてデータセンターやホスティング事業はまだ課題があると理解した。前回の資料で出ていたNGNではない光回線サービス事業者についてもIPv4枯渇対応が順調と見て良いか。
○ そのとおりの理解でかまわない。しかし、順調ではあるが、ネットワーク全体がIPv6に移行するのはまだ先である。データセンターはアプリケーション側がIPv6対応に追いついていないので、サービスは可能だが実現には至っていないと思う。普及啓発活動が不十分かもしれないと思っている。
○ IPv6 Enabled Logo(ISP)の取得事業者数が延びていない。また、IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースで公開されているIPv6サービスリストでは、13社が対応しているとあるが、IPv6 Enabled Logoの取得は5社しかないのはなぜか。
○ IPv6 Enabled Logoは、ISPがIPv6サービスを提供するにあたってユーザーに誤解が生じてしまうおそれがあるため、ISPが取得に慎重になっているのだろう。総務省の情報開示ガイドラインに沿って、情報公開するのが良いのではないか。
○ 事業者だけではなく、一般のユーザーもIPv6を利用する時期になれば、役に立つ可能性はあるだろうが、今のところ、ISPにとってロゴ取得のメリットが少ないことによるのかもしれない。
○ IPv6関連のロゴは、第三者からの認証ということではなく、自身で判断してロゴを取得できるものである。あまりユーザーにとってメリットがないのではないかと感じるし、場合によっては取らない方が良いという判断をすることも出てくるのではないか。
○ 将来、ISPがユーザーに対して自社のIPv6対応状況を適切に情報提供していく段階になったときに、ISPがそれぞれの判断でIPv6関連のロゴを利用する場面が出てくれば良いと思う。
○ 行政機関がIPv6関連のロゴを取り入れていかないと普及していかないのではないか。

・資料10-5について事務局から説明。
○ P5におけるアンケート調査について、サンプリング方法等の記載が無いため、このデータだけ見ると、ISPがIPv6対応状況を決定していく時期に既になっているはずだが、検討中のISPが大半であり悠長に取り組んでいるように思える。
○ 現在のところ、大手ISPはIPv6への対応方針を決定しているが、NTTのNGN網との接続形態が整っておらず、ローミングを中心に行っている中小ISPは、自社のみでは対応できていない状況であり対応方針を決められていないのだろう。ただし中小ISPは、サーバーをIPv6対応するだけで良いところも多く、こうした経緯を踏まえると、そこまで悲観する状況ではないと思う。
○ P5のアンケートは400社のISPに対して実施し、そのうち回答があったデータを基にしている。
○ IPv6広報については、ターゲットの主体と目的に応じて行われるべきであり、そこを踏まえて今後の議論の方向性を説明してもらいたい。
○ 前回会合の報告書案に示した広報の仕方等は、構成員のご意見を踏まえ、関係各団体から、IPv6対応を含む枯渇対応を団体内へ周知していただいたところであり、今後も引き続き柔軟な対応をお願いしたいと考えている。
○ アプリケーション等が個別にきちんとIPv6対応できるのかというところは状況が把握できていないと思われる。
○ 具体的なソリューションが見えてきたときに、エンドユーザにとって困る点があるかを議論すればよいのではないか。
○ IPv4枯渇後、新規アドレスを取得するエンドユーザの数を考慮すれば、しばらくは日本全体で大きな問題が起きるとは考えにくいが、少なくとも政府自治体のIPv6対応は前衛的であるべきだと思われる。
○ IPv6対応をするかしないかは、ISPに選択の自由はあるだろうが、どちらにしても広報については早めに対応してもらい、ユーザに選択できる時間を与えた方が良いだろう。IPv6対応しないISPは淘汰されることになると思う。
○ ISPを規制によって対応させるのではなく、ISPの判断に任せるような自由度は残しておいた方がよいだろう。
○ 国として、ここ数年のどこかで確実に新規のIPv4アドレスが取れなくなるということはしっかりと広告すべき。
○ IPv6対応しないISPからユーザーが離れていき、その結果、ISPがいきなり倒れてしまうことも考えられる。枯渇状況などについて何も分かっていないユーザーは、いきなりISPに倒れられると、インターネットを利用できなくなって困ってしまう恐れがある。
○ 枯渇対応については、対応をすぐにとらないISPのユーザーではなく、対応をとったISPのユーザーが困ることになる、ということがこの問題の難しいところである。そのため、IPv4アドレス在庫枯渇に関する広報については、今後も引き続き検討する必要があるだろう。

【その他】
○ 次回の開催日時については別途改めて連絡する旨を連絡。

以 上


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