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情報通信新時代のビジネスモデルと競争環境整備の在り方に関する研究会(第13回) 議事概要



 日時
 平成14年3月6日(水) 午後2時〜午後3時半

 場所
 総務省 1101会議室 (中央合同庁舎2号館11階)

 出席者(五十音順、敬称略)
(1)構成員
舟田正之(座長代理)、青山友紀、太田清久、齊藤忠夫、佐藤治正、三邊夏雄、藤原まり子 (以上7名)
(2)総務省
鍋倉真一総合通信基盤局長ほか

 議事概要
(1)電気通信事業分野におけるIP化の進展等について
標記について事務局から説明が行われた後、自由討議が行われた。主な意見等は以下のとおり。

何をもってIP化の進展と言うか議論が必要。例えば、トラヒックの面ではIPベースのトラヒックが急速に増加する一方、ネットワークがIPに即した形となっていくという面もある。また、IP化に伴って単位収入が1/10になっても通信事業者として従来と同じようにトラヒックを扱うことが可能かという問題もある。
これまでの電話事業は、キャリアがすべて面倒をみる形だったが、IPでは顧客の自己責任、あるいは機器メーカーに委ねたりする部分が出てくるのではないか。
IP化が進展する中で、通信業の構造そのものが変わり、市場プレイヤーの範囲も違ってくる。ユーザからみれば、インターネットの世界へつないでくれるプロバイダしか見えず、その先はわからないということになり、アクセス系で顧客を囲い込んでいる事業者の支配力は電話モデルに比べてはるかに強くなる。
インフラのうちアクセス系については、これを一度構築すると継続的に利用するため、引き続き投資インセンティブを与えることが重要。他方、バックボーン系については、米英においても網の開設コストが急激に低下する中、料金引き下げ競争によって超デフレ経営、経営危機をもたらしている。
FTTHが進展する中、ダウンロードだけでなく、自作のコンテンツの発信が増えてきている。したがって、これからはADSLのような受け手の側にだけ太いというようなものではなく、双方向対称型のネットワークが主流になるということではないか。
有線と無線はサービスとして統合化に向かうのではないか。また、電話サービスは単独のサービスではなくなり、全体のパイに占める割合は小さくなっていく。この場合、新しい交換機への投資はなくなり、IP網にシフトしていくのではないか。
既存事業者は使わなくなる巨大な設備を保有しているため、今のビジネスモデルのままでは業績が悪化していくものと考えられるのではないか。
今後のマーケット全体で見ると、通信サービスの売上が小さくなり、端末関係のウェイトが高くなってくると考えられる。このため、通信事業者は顧客の囲い込みにより生き残りを図るということになるのではないか。
ユーザに一番近いところの通信事業者が顧客の囲い込みを図るということになるのだろう。
既存の通信事業者は追加投資を行うことなく、既にネットワークを保有しているのであるから、既存網を維持するためのメンテナンスコストを最小限にしつつ、別のビジネスモデルを構築していくということになるのではないか。
現在の日本のアクセス網の規模は4兆円程度で、1兆円は減価償却で回収できるがメンテナンスコストに6〜7,000億円かかる。利益が出ないのに加えて社債を発行するのも難しいという状況の中で、いかに資金を調達できるかが重要になる。
米英では、ブロードバンド化に向けて基本的には規制をはずして自由化の方向に向かおうとしている一方、ボトルルネック設備の在り方についても考慮に入れる必要があるとしている。また、市場支配力に関して定期的に見ていくべきということだと思う。
米国の自動車関連産業においては、ハイウェイと地域道路網が発達することによって宅配事業などが伸びたが、通信に関しても、バックボーンとローカルでどういう規制、ルール作りをしていくべきかということが重要ではないか。
高速でない鉄道もスロー・トラヒックに適したものと位置付けられ、また小さい空港同士を結んだ路線も高付加価値の網として認識されている。ユーザもスピードによって分けられた手段を用途に合わせて荷物を運ぶようにしている。通信の世界においても、既存のものとは違った形でネットワークを活用したビジネスモデルが考えられるのではないか。
英国の有効競争レビューの中で、市場構造のチェック項目として「非効率な事業者が存在し得ているかどうか」という項目があるが、実際問題としては非効率な企業が排除されてしまうと、超過利潤を取れるところがなくなってしまうということになる。
アクセス網については、追加的な投資が困難な部分があり、政策的な配慮が必要であるということかも知れない。
米国の政策はネットワークそのものを太くして、独占が起きたらその時点で規制をかければよいということではないか。その意味で、従来の政策の方向性から大きく振り子が振れたと言えるのではないか。
通信事業者からみて、CATV事業者はアクセス網を作ってくれる競争相手としての位置付けとなり、市場支配力の分析を客観的に行うということが重要になってくると思う。
通信と放送の融合という問題に関しても無視することはできないのではないか。

(2)今後の検討スケジュールについて
 事務局から検討スケジュール(案)について説明が行われ、原案通り了承された。なお、3月29日を期限とする意見募集(案)については、上記(1)の議論を踏まえ、所要の修正を事務局において加えた上で公表することとしし、了承された。

 配付資料
  資料1 電気通信事業分野におけるIP化の進展等について(PDF)
  資料2 本研究会における今後の検討スケジュール(案)(PDF)

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