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地域における情報化の推進に関する検討会
住民サービスワーキンググループ(第3回)
議事要旨

  開催日時
  平成16年10月26日(火)10時〜12時

  開催場所
  総務省10階 1002会議室

  出席者
  (1)   構成員
宇山正幸、國領二郎、塩崎泰雄、鈴木聰明、高木治夫、高橋寿美夫、寺林一朗、平井愛山、丸田一(五十音順、敬称略)
  (2) オブザーバー
総務省・西泉自治行政局地域情報政策室課長補佐
  (3) 総務省
松井審議官、吉武地域通信振興課長、今田地域通信振興課長補佐、その他

 議事概要
  (1)   平井構成員より、「電子カルテネットワークが開く地域医療連携の新たな世界」についての説明が行われた。
  (2) 鈴木構成員より、「南房総におけるICT推進の現状と展望」についての説明が行われた。
  (3) 事務局より、「本WGの今後の議論の方向性について」についての説明が行われた。
  (4) 域情報化に関する意見交換が行われた。

 意見交換の概要
問題解決型プロジェクトとして活動を行う場合には、PDCAサイクルを意識している。PDCAサイクルには活動の客観的な結果が必要だが、これまで行った実証実験等のプロジェクトは、インフラを整備すると終了するため、結果を示すまでに到らなかった。活動への複数年度に渡る支援を行うべき。
医療分野において、「病院と診療所との役割分担」「医療と薬局との連携」「在宅医療の安心感」を達成するには、ヒューマンネットワークが不可欠。ヒューマンネットワークを構築するための支援が必要。
地域における活動を興すためには、経済的なインセンティブがなければ難しい。
地域のインフラ整備は、公共の敷設を待っていられない状況。地域コンテンツやリテラシーとともに、地域独自の取り組みが発生してきている。
現状のネットワーク東京一極集中は、災害時等を想定すると好ましくない。地域中心の新しいICTネットワークの実現が必要。
地域の活動においては、まず地域内で試行錯誤する人がいて、ヒューマンネットワークを構築しながら進めていく形を取っている。
地域の自立のために、意識の変革を促したい。現在、地域は考え方が萎縮しがちであり、その縮小傾向を打破する必要がある。
ここまでの検討で、地域情報化のイメージが湧き上がってきたように思う。今後は情報化を通じた地域活性化のイメージ、特に様々なプレイヤーが連携するときに、どのような連携のあり方で、どのようなものを目指していくべきかということについて、イメージが固まってくれば良いのではないか。当初盛り上がるだけでなく、後々まで続くような活動にする必要があり、そのために沸きあがってくるエネルギーを活かせれば良い。
  先日発生した災害についても、非常時にどの程度セキュアな仕組みを維持できるかということが課題になるように思う。また、地元の人間のネットワークと、地域を越えた人間のネットワークをどのように連携すれば良いかなど、異質な要素をどのように汲み上げて運営していけるかということと、それに向かって国がどのような役割を果たすかということについて検討することが必要。本日はこれらについて議論を進めたい。
今回の災害では、携帯電話やインターネットがつながらない地域があった。P2P的なマルチホップシステムや、コミュニティFMのような様々なツールを、今のツールの隙間を埋める形として使うのが有効ではないか。
インセンティブ、トラスト、コネクターという地域情報化の成功モデルを提案する。インセンティブは、情報の作成、利用時にメリットを感じること、トラストは、活動に対する信頼性、コネクターは情報をつなぐディレクターを指す。これらを報告書に盛り込みたい。本日プレゼンのあった病院連携等でも、このモデルが合致するのではないか。
確かに、情報化に対する経済的なインセンティブがないと、活動は普及しない。ネットワーク化によって従前より質が高いサービスを提供できるということが、経済的なインセンティブに繋がらなければ、導入は進まない。普及の大前提として、インセンティブは必ず必要。病院の例を挙げると、トラストについては診療所との信頼関係がなければ患者の紹介のような病診連携は不可能。コネクターについては、共通の診療ガイドラインなど、一定のサービスの質を担保できるような仕組みが該当すると思われる。
地域の活動に対しては、ふたつの分類が可能。プロジェクトベースのものと、マルチプロジェクトのもの。これらは別のものとして分析するべきではないか。
  PDCAサイクルに関して言えば、サイクルを回すためには、活動者が客観的に自らチェックするスキルを要していることが必要なのではないか。またこのサイクルを回すスキルを他の人に提供していくと、良い循環が広がってゆくのでは。
  チェックの指標については、地域情報化の活動において重要な項目である「活動者がどれだけ楽しめるか」を加えるべきではないか。また、達成に対するものではなく、過程を評価するような指標にするべきでは。地域の活動においては、現在の価値基準とは別のところにも価値があるように思う。数値化は難しいと思うが。
活動において、行政に利用してもらうという形を取っているものがある。例えば、インフラを運営する時に、コストパフォーマンスを考えると、行政という立場では不利であるため、NPO等が小規模ながらインフラを行政に提供するのも方法のひとつである。
評価は行政区画単位の指標になっているが、行政区を超えても関連のあるものについては、枠に入れるべき。
2007年以降、団塊の世代がリタイアの時期を迎える。地域にとっては、これは大きな課題であるとともに、資源がやってくることと同義。彼らが地域における新たなパワーとなるよう、有効活用する方策を検討する必要がある。
先行事例の役目の一つは、同じような活動を考えている地域の参考となるように、資料などを提供することにある。既に成功事例はいくつか存在している。
今回のプレゼンにあった医療の話と、前回の建築業界の話はしくみが同じであると言える。医療の話は、生産性の向上が利益誘導というインセンティブをもたらし、情報が透明で信頼に満ちているため、ネットワークが機能しているということ。これは建築業界でも同様。また、建築業界はネットワークが県外に拡大するにつれて、サプライチェーンが動き出している。医療のケースもこのように展開されればいいのでは。
医療分野において、行政に期待していることはブロードバンドの整備。医療機関が今一番欲しいのは、画像を配信可能とするインフラである。
高齢化地域とブロードバンド未達地域は関連性があるため、電子カルテという契機によって地域にブロードバンドを普及させる取り組みを行ったが、電子カルテシステムは巨大でコストがかかるため、導入に踏み切れなかった。要望はあるがインセンティブがないということ。
費用の捻出はIT導入において大きな課題である。どの業界でもロジスティクスによって30%ほどコストが低減すると予測されるので、そこから運営コストが捻出できれば強いインセンティブを生むのではないか。
医療機関においては、IT導入によるコスト削減によって、導入コストを賄うという発想はなかった。また、病院と診療所の間でのダブル検査防止やトータルの医療費の圧縮も可能である。このようなマクロの視点を持って、情報化を評価していくことが必要ではないか。
サプライチェーンのシステム、EVM(Earned Value Management 価値創造マネジメントシステム)などを大きく捉えれば、ソーシャルキャピタルとであると言える。
地域の情報化に関する活動については、仕掛けが同じでその上に乗るものが異なっているというものがある。またインセンティブが存在すると活動を動かすための仕掛けは出来上がるため、その仕掛けをノウハウとして体系化していけば、他の地域でも活動を行うことが出来るということに繋がるのではないか。そのためには、仕掛けを他地域に普及させる仕組みをどのように作っていくか、そして動き出したものをサポートする仕組みをどのように作っていくかを検討すべき。今後の行政の役割は、その過程で出てきた障害を取り払うこと、不足している部分を補うことである。
医療関係で言えば、IT化によって住民にどれ程メリットがあるのか、結果医療コストがどの程度低減するかを明確にし、そのためには何が必要かを検討するのが必要ではないか。顧客満足度と経済的メリットをアピールすることが、有効な手段であると言える。
本日は、「仕掛け」と「インセンティブ・トラスト・コネクター」と「メジャメント」が主に議論された。これまでの議論から、地域の活動には共通性があり、そのイメージが見えてくると誰が何をすべきか、行政の役割が明らかになるのではないか。継続して検討したい。
    

  以上



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